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【発明の名称】 作業車の制御装置
【発明者】 【氏名】梅本 享

【氏名】三浦 敬典

【氏名】仲井 章平

【要約】 【課題】センサ類からの信号電圧域を小さくすることなく、確実に信号経路の断線を検出する。

【解決手段】ポテンショメータ式のセンサ類Sから制御装置16に信号を伝える信号経路Aに抵抗器Rを介して所定周期の交流信号を伝える系を形成すると共に、この信号経路Aの電圧信号が交流信号と同期して変化している場合に、この信号経路Aが断線していると判別する判別手段を備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポテンショメータ式の入力手段からの電圧信号に基づいてアクチュエータを駆動するよう構成された作業車の制御装置であって、前記入力手段から該制御装置に電圧信号を入力する信号経路に対して、抵抗器を介して所定の周期で電圧を印加する、あるいは、この信号経路を抵抗器を介して所定周期で接地する切換手段を備えると共に、この信号経路からの電圧信号が前記所定周期と同期して変動することを検出した際に、前記入力手段からの信号経路が断線していると判別する判別手段を備えている作業車の制御装置。
【請求項2】 前記入力手段が、ロータリ耕耘装置の後カバーの揺動量を計測する耕深センサで構成されると共に、前記判別手段で該耕深センサからの信号経路が断線していると判別した際には、報知手段を作動させるよう制御形態が設定されている請求項1記載の作業車の制御装置。
【請求項3】 前記入力手段がロータリ耕耘装置の目標耕深を設定する耕深設定器で構成されると共に、前記判別手段で該耕深設定器からの信号経路が断線していると判別した際には、報知手段を作動させるよう制御形態が設定されている請求項1記載の作業車の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポテンショメータ式の入力手段からの電圧信号に基づいてアクチュエータを駆動するよう構成された作業車の制御装置に関し、詳しくは、入力手段としてのセンサ類からの信号経路の断線を検出する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】上記のように信号経路の断線を検出する技術と類似する技術として特開昭63‐160508号公報に示されるものが存在し、この従来例では、ポテンショメータ式の入力手段から制御装置に電圧信号を伝える信号経路に抵抗器介して電圧を印加する、若しくは、信号経路を抵抗器を介して接地しておき、信号経路に介装したコネクタが分離された場合に信号経路の電圧が上昇する、若しくは、低下することを利用してコネクタが分離されたことを判別するものとなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来例では、信号経路の電圧に基づいてコネクタの分離を判別するものであるが、この原理は信号経路が断線したことを判別する際にも利用できるものである。しかし、従来例の原理を用いて断線を判別しようとすると、断線時に信号経路に発生する電圧値がポテンショメータ式の入力手段の信号電圧域と異なる電圧域となるように設定しなくてはならず、具体的にはA/D変換器の計測域の端部の域を断線判別用に設定し、この計測域の中央部の一部だけを入力手段からの電圧を計測する域に割り当てねばならず、入力手段の分解能を低下させる面で改善の余地がある。そこで、断線時に信号経路に発生する電圧値と入力手段の信号電圧域とを近いものに設定することも考えられるが、このように設定すると、入力手段の信号域の設定を高い精度で行わねばならず調節の面で手間が掛かるものとなる。特に、最近の農用トラクタのように多数のセンサを備え、夫々のセンサからの信号を順次高速で切換えて、単一の逐次比較型のA/D変換器に送って信号処理をするものでは、このA/D変換器が入力電圧をサンプル・アンド・ホールドして処理する構造であることから、ホールドされた電圧信号が次に選択された信号経路の電圧信号に影響して信号経路が断線状態にあっても断線状態にであることを的確に把握ができない不都合に繋がることもある。
【0004】本発明の目的は、入力手段の信号電圧域を小さくすることなく確実に断線を検出できる装置を合理的に構成する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の特徴(請求項1)は冒頭に記載したように、ポテンショメータ式の入力手段からの電圧信号に基づいてアクチュエータを駆動するよう構成された作業車の制御装置において、前記入力手段から該制御装置に電圧信号を入力する信号経路に対して、抵抗器を介して所定の周期で電圧を印加する、あるいは、この信号経路を抵抗器を介して所定周期で接地する切換手段を備えると共に、この信号経路からの電圧信号が前記所定周期と同期して変動することを検出した際に、前記入力手段からの信号経路が断線していると判別する判別手段を備えている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0006】本発明の第2の特徴(請求項2)は請求項1において、前記入力手段が、ロータリ耕耘装置の後カバーの揺動量を計測する耕深センサで構成されると共に、前記判別手段で該耕深センサからの信号経路が断線していると判別した際には、報知手段を作動させるよう制御形態が設定されている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0007】本発明の第3の特徴(請求項3)は請求項1において、前記入力手段がロータリ耕耘装置の目標耕深を設定する耕深設定器で構成されると共に、前記判別手段で該耕深設定器からの信号経路が断線していると判別した際には、報知手段を作動させるよう制御形態が設定されている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0008】〔作用〕上記第1の特徴によると、ポテンショメータ式の入力手段は所定の電圧を印加して用いられ、その電圧を分圧して信号経路に伝えることになるので、信号経路は電気的に電源側とも接地側とも導通した状態にある。そして、本第1の特徴のように信号経路に対して抵抗器を介して所定の周期で電圧を印加した場合に、信号経路が断線していない状態では抵抗器を介して流れる微弱な電流がポテンショメータを介して接地側に流れることになるので、信号経路の電圧に影響を与えることがなく適正な使用が可能となり、信号経路が断線している状況では抵抗器を介して所定周期で印加された電圧に起因する電流が入力手段の側に流れることができず、信号経路の電圧が印加された電圧と同じ周期で変動することになる。これと同様に、抵抗器を介して信号経路を所定の周期で接地した場合に、信号経路が断線していない状態では入力手段に電圧を印加した側から信号経路を介して微弱な電流が接地側に流れることになるので、信号経路の電圧に影響を与えることがなく適正な使用が可能となり、信号経路が断線している状況では信号経路の電圧が所定の周期で変動することになる。つまり、本第1の特徴では信号経路の電圧が決まった周期で変動する場合にのみ判別手段が断線していると判別するので従来例のように、1つの電圧値に基づいて判別するものより確実な判別が可能となり、従来例のように断線検出用の電圧域と入力手段の信号電圧域とを特別に分離する必要もない。
【0009】上記第2の特徴によると、ロータリ耕耘装置のカバーセンサからの信号経路が断線していることが判別されると、報知手段が作動することによって作業者は故障の発生を即時に把握して適切な処理を行えるものとなる。
【0010】上記第3の特徴によると、ロータリ耕耘装置の目標耕深を設定する耕深設定器からの信号経路が断線していることが判別されると、報知手段が作動することによって作業者は故障の発生を即時に把握して適切な処理を行えるものとなる。
【0011】〔発明の効果〕従って、入力手段からの電圧信号を高い分解能で判別してアクチュエータの制御が可能になると共に、信号経路の断線を確実に検出できる制御装置が合理的に構成されたのである(請求項1)。又、ロータリ耕耘装置の耕深を制御する場合に耕深センサからの信号経路が断線した場合でも耕深設定器からの信号経路が断線した場合でも報知手段の作動によってポジション制御への切換を行う等、適切な処理を即時に行えるものとなる(請求項2,3)。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、作業車としての農用トラクタの車体1の後部にアクチュエータとしてのリフトシリンダ2の駆動力で揺動作動する左右一対のリフトアーム3を備えると共に、車体1の後端に単一のトップリンク4と左右一対のロアーリンク5,5とで成るリンク機構を介してロータリ耕耘装置6を連結し、ロアーリンク5,5とリフトアーム2,2とをリフトロッド7,7を介して吊り下げ状態に支持することで該ロータリ耕耘装置6をリフトシリンダ2の駆動力で昇降自在に構成してある。
【0013】同図に示すように、車体後部に備えた運転座席8の側部位置にロータリ耕耘装置6の対車体高さを設定するポジションレバー9を配置すると共に、前記リフトアーム2の基端位置に該リフトアームの揺動量からロータリ耕耘装置の対車体高さを計測するポテンショメータ式のリフトアームセンサ10を備え、運転座席8の側部位置のコントロールボックス11にロータリ耕耘装置6の耕深を設定する耕深設定ダイヤル12を備え、前記ロータリ耕耘装置6の後カバー6Aの揺動量から該ロータリ耕耘装置6の耕深を計測する耕深センサとしてポテンショメータ式のカバーセンサ13を備えている。
【0014】このトラクタでは前記ポジションレバー9で設定されるロータリ耕耘装置6の対車体目標高さと前記リフトアームセンサ10で計測されるロータリ耕耘装置6の対車体高さが合致するまでロータリ耕耘装置6を昇降するポジション制御と、前記耕深設定ダイヤル12で設定されるロータリ耕耘装置6の目標耕深と前記カバーセンサ13で計測されるロータリ耕耘装置6の耕深とが合致するまでロータリ耕耘装置6を昇降する自動耕深制御とを行う制御装置が備えられている。
【0015】つまり、図2に示すようにマイクロプロセッサを備えて成る制御装置16に対して前記ポジションレバー9の操作位置を求めるポテンショメータ式のレバーセンサ9Sから信号経路Aを介して伝えられる信号と、前記リフトアームセンサ10から信号経路Aを介して伝えられる信号と、前記耕深設定ダイヤル12の操作位置を求めるポテンショメータ式の耕深設定器12Sから信号経路Aを介して伝えられる信号と、前記カバーセンサ13から信号経路Aを介して伝えられる信号とが入力する系、及び、リフトシリンダ2を上昇方向と下降方向とに強制的に作動させるマニュアル昇降スイッチ17から信号が入力する系が形成されると共に、この制御装置16から前記リフトシリンダ2を制御する電磁弁18に操作信号を出力する出力信号系と、報知手段Cとしての警報ブザー19と液晶ディスプレイ20とに制御信号を出力する出力信号系とが形成されている。又、電磁弁18に対しては車体1に備えたエンジン(図示せず)で駆動される油圧ポンプPからの作動油が供給されるよう油路が形成されている。尚、前記レバーセンサ9S、リフトアームセンサ10、耕深設定器12S、カバーセンサ13夫々が入力手段Sに相当し、これらを以下、センサ類と称する。又、制御装置16の入力側には4つの信号経路Aからの信号を無接点スイッチ等を介して単一のA/D変換器に入力するよう構成することが可能であり、4つの信号経路A夫々に対してA/D変換器を備えることも可能である。
【0016】同図に示すように、前記4つの信号経路A夫々に対して抵抗器Rを分岐状態に形成してあり、又、夫々の抵抗器Rを介して信号経路Aに交流信号を印加する切換手段Bを備え、この切換手段Bの交流信号と同期した信号を制御装置16に入力する系を備えている。これらの抵抗器Rは前記センサ類を構成するポテンショメータの抵抗値と比較して充分に高い抵抗値に設定されている。
【0017】そして、この制御装置16では前述したポジション制御と自動耕深制御とを行う制御プログラムがセットされると共に、前記4つの信号経路Aの何れか1つでも断線した場合には、その断線を判別して前記警報ブザー19を作動させると同時に液晶ディスプレイ20に断線したセンサ類を特定する文字やエラーコード等を表示するプログラムがセットされ、以下にその制御動作を説明する。
【0018】図3のフローチャートに示すように昇降制御ルーチンでは、先ず断線判別ルーチンを実行する(#200ステップ・この断線判別ルーチンで判別手段Dが構成されている)。この断線判別ルーチンは図4のフローチャートに示すようサブルーチンの形でセットされ、各センサ類からの信号値を設定時間毎にメモリ(図示せず)に保存し、このメモリのデータから信号値が前記交流信号と同期して変動しているかを判別し、同期して変動している場合には断線部位を特定するデータをメモリやレジスタにセットし、同期して変動していない場合にはデータのセットを行わないものとなっている(#201〜#203ステップ)。
【0019】又、このように交流信号と同期して入力信号が変化た場合に断線が発生していると判別する理由は以下の通りである。つまり、夫々のセンサ類から制御装置16に対して信号を伝える信号経路Aが断線していない場合には、抵抗器Rを介して印加される交流信号に起因する微弱な交流電流はセンサ類を構成するポテンショメータを介して接地側あるいは電源側に流れる結果、信号経路Aの電圧を変動させない。これとは逆に、信号経路Aに断線を生じている場合には、抵抗器Rを介して印加される交流信号に起因する交流電流が微弱でも流れ出すことがないので信号経A路の電圧が交流信号と同期して大きく変動するものとなる。従って、信号経路Aの電圧値が交流信号と同期して変化していることを検出すると断線が生じていると判別するのである。
【0020】次に、判別の結果、断線を特定するデータが存在しない場合には断線が発生していないのでレバーセンサ9Sからの信号に基づいてポジションレバー9の操作域を判別すると共に、このポジションレバー9が図2に示す如く「オート」域に設定されている場合には耕深設定器12Sとカバーセンサ13との信号値に基づいてロータリ耕耘装置6の昇降を行う制御を行い、ポジションレバー9が「ポジション」域に設定されている場合にはレバーセンサ9Sとリフトアームセンサ10との信号に基づいてロータリ耕耘装置6の昇降を行う制御を行うものとなっており(#200,#101〜#104ステップ)、又、4つの信号経路Aの何れか1つでも断線を生じていることを判別した場合には、警報ブザー19を作動させるともに、断線を特定するデータに基づいて前記液晶ディスプレイ20に断線を生じた信号経路Aを示す文字やエラーコードを表示する報知作動を行うと共に、断線した部位が耕深設定器12Sやカバーセンサ13である場合のようにポジション制御が可能である場合にのみポジション制御を許容するものとなっている(#105,#106ステップ)。
【0021】このように制御動作を設定したので、4つの信号経路Aの何れか1つでも断線を生じた場合には、即時に警報を発し、断線箇所を表示し、昇降制御を停止するので、作業者が断線の発生に気付かずに作業を行う不都合を回避できると共に、断線箇所がポジション制御に不都合がない場合にはポジション制御を行えるので慣れた操作感覚でロータリ耕耘装置6の昇降を行えるものとなり、このポジション制御も行えない場合には、前記マニュアル昇降スイッチ17の操作でロータリ耕耘装置6の昇降を行えるものとなっている。特に、本発明では従来例を応用したもののように、断線を判別するための電圧域を特別に形成せずに済むので、広い電圧域を利用した高い分解能でセンサ類からの信号を計測できるものとなっている。
【0022】〔別実施の形態〕本発明は上記実施の形態以外に、例えば、以下のように構成して実施することも可能である(前記実施の形態と同じ機能を有するものには実施の形態と共通する番号・符号を附する)。
【0023】(イ)図5に示すようにセンサ類を構成するポテンショメータの電気抵抗値より充分に高い電気抵抗値の抵抗器rを介して信号経路Aを接地すると共に、同じようにポテンショメータの電気抵抗値より充分に高い電気抵抗値の抵抗器Rとトランジスタ23(切換手段Bの一例)とを介して信号経路Aに対して電圧を印加する系を形成し、トランジスタ23を間歇駆動する信号を制御装置16から出力することで信号経路Aに対して間歇信号を印加するよう構成する。このように構成すると、センサ類から制御装置16に対して信号を伝える信号経路Aが断線していない場合には、抵抗器Rを介して印加される交流信号に起因する微弱な間歇電流はセンサ類を構成するポテンショメータを介して接地側に流れる結果、信号経路の電圧を変動させない。これとは逆に、信号経路に断線を生じている場合には、抵抗器Rを介して印加される間歇信号に起因する微弱な間歇電流でも接地側の抵抗器rを介して即時に流れ出すことがないので入力信号経路の電圧が間歇信号と同期して大きく変動させるものとなる。尚、接地側の抵抗器rは制御装置16の入力インピーダンスが高く、間歇信号を印加した場合に信号経路Aの信号が高電圧域に保持される構成のものでも、信号経路Aの信号を高電圧域に保持される現象を回避するために備えている。
【0024】(ロ)図6に示すようにセンサ類を構成するポテンショメータの電気抵抗値より充分に高い電気抵抗値の抵抗器rを介して信号経路Aに電圧を印加すると共に、同じようにポテンショメータの電気抵抗値より充分に高い電気抵抗値の抵抗器Rとトランジスタ23(切換手段Bの一例)とを介して信号経路Aを接地する系を形成し、トランジスタ23を間歇駆動する信号を制御装置16から出力することで信号経路Aを間歇的に接地するよう構成する。このように構成すると、センサ類から制御装置16に対して信号を伝える信号経路Aが断線していない場合には、抵抗器Rを介して間歇的に接地した場合でも微弱な電流がセンサ類を構成するポテンショメータから接地側に流れる結果、信号経路Aの電圧を変動させない。これとは逆に、信号経路Aに断線を生じている場合には、ポテンショメータから電流が流れないので信号経路Aの電圧が間歇信号と同期して大きく変動させるものとなる。尚、電源側の抵抗器rは制御装置16の入力インピーダンスが高く、間歇信号を印加した場合に信号経路Aの信号が低電圧域に保持される構成のものでも、信号経路Aの信号を低電圧域に保持される現象を回避するために備えている。
【0025】又、本発明では報知手段Cを電気的に合成された人の言葉で断線箇所を報知するよう構成することや、信号経路Aに対応させて複数のランプを備えておき、ランプの点灯で断線箇所を示すよう構成することも可能である。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成10年8月25日(1998.8.25)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2000−60220(P2000−60220A)
【公開日】 平成12年2月29日(2000.2.29)
【出願番号】 特願平10−238633