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【発明の名称】 小型乗用作業機
【発明者】 【氏名】島添 雅弘

【要約】 【課題】機体のダッシングを防止すること。

【解決手段】昇降機構に、耕耘部の耕耘爪回転軌跡の下降速度を、圃場面近傍から耕深最下位置までは、その上方の下降域よりも減速させる下降減速手段を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 自走可能な走行部(B) の後方に耕耘部(C) を昇降機構(17)を介して連結した小型乗用作業機において、昇降機構(17)に、耕耘部(C) の耕耘爪回転軌跡(Q)の下降速度を、圃場面近傍から耕深最下位置までは、その上方の下降域よりも減速させる下降減速手段を設けたことを特徴とする小型乗用作業機。
【請求項2】 昇降機構(17)は、走行部(B) の後端部に上下回動自在に取付けた連結体(47)と、同連結体(47)と走行部(B) の後端上部との間に介設した昇降用シリンダ(48)とを具備して、昇降用シリンダ(48)の伸長動作に連結体(47)の下方への回動動作を連動させると共に、昇降用シリンダ(48)に下降減速手段を設けて、同下降減速手段により、耕耘部(C) の耕耘爪回転軌跡(Q)が圃場面近傍から耕深最下位置まで下降する間は、その上方の下降域よりも昇降用シリンダ(48)の伸長動作を減速させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の小型乗用作業機。
【請求項3】 昇降用シリンダ(48)は、シリンダ本体(48a) と、同シリンダ本体(48a) に摺動自在に挿通したピストンロッド(48b) とを具備し、同ピストンロッド(48b) の先端部に連結体(47)を連動連結して、同ピストンロッド(48b) の進出動作に連結体(47)の下方への回動動作を連動させ、ピストンロッド(48b) の基端部には、シリンダ本体(48a) 内の圧油の排出量を減少させる下降減速手段を設けて、同下降減速手段により、耕耘部(C) の耕耘爪回転軌跡(Q)が圃場面近傍から耕深最下位置まで下降する間は、その上方の下降域よりもピストンロッド(48b) の進出動作を減速させるようにしたことを特徴とする請求項2記載の小型乗用作業機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、小型乗用作業機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、小型乗用作業機の一形態として、自走可能な走行部の後方に耕耘部を昇降機構を介して連結したものがある。
【0003】そして、昇降機構は、走行部の後端部に連結体を上下回動自在に取付け、同連結体と走行部の後端上部との間に昇降用シリンダを介設して、同昇降用シリンダの伸縮動作に連動して連結体を上下回動動作させることにより、耕耘部を昇降可能としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記した小型乗用作業機では、昇降用シリンダの伸長動作に連動して連結体が下方へ一定の速度で回動するようにし、しかも、作業能率を向上させるために、下降回動速度が早くなるように設定していることから、耕耘部を耕耘作動させながら下降させた際には、耕耘部が耕盤の反力を受けて、走行部が急発進、いわゆるダッシングすることがあり、この場合、オペレータに恐怖感を与えるという不具合がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明では、自走可能な走行部の後方に耕耘部を昇降機構を介して連結した小型乗用作業機において、昇降機構に、耕耘部の耕耘爪回転軌跡の下降速度を、圃場面近傍から耕深最下位置までは、その上方の下降域よりも減速させる下降減速手段を設けたことを特徴とする小型乗用作業機を提供せんとするものである。
【0006】また、本発明は、昇降機構は、走行部の後端部に上下回動自在に取付けた連結体と、同連結体と走行部の後端上部との間に介設した昇降用シリンダとを具備して、昇降用シリンダの伸長動作に連結体の下方への回動動作を連動させると共に、昇降用シリンダに下降減速手段を設けて、同下降減速手段により、耕耘部の耕耘爪回転軌跡が圃場面近傍から耕深最下位置まで下降する間は、その上方の下降域よりも昇降用シリンダの伸長動作を減速させるようにしたこと、及び、昇降用シリンダは、シリンダ本体と、同シリンダ本体に摺動自在に挿通したピストンロッドとを具備し、同ピストンロッドの先端部に連結体を連動連結して、同ピストンロッドの進出動作に連結体の下方への回動動作を連動させ、ピストンロッドの基端部には、シリンダ本体内の圧油の排出量を減少させる下降減速手段を設けて、同下降減速手段により、耕耘部の耕耘爪回転軌跡が圃場面近傍から耕深最下位置まで下降する間は、その上方の下降域よりもピストンロッドの進出動作を減速させるようにしたことにも特徴を有する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【0008】すなわち、本発明に係る小型乗用作業機は、基本的構造として、自走可能な走行部の後方に耕耘部を昇降機構を介して連結している。
【0009】そして、上記小型乗用作業機は、特徴的構造として、昇降機構に、耕耘部の耕耘爪回転軌跡の下降速度を、圃場面近傍から耕深最下位置までは、その上方の下降域よりも減速させる下降減速手段を設けている。
【0010】このようにして、耕耘部を耕耘作動させながら下降させた場合にも、同耕耘部は圃場面近傍から耕深最下位置までゆっくり下降されて、耕盤より大きな反力を受けることがなく、その結果、走行部がダッシングすることがない。
【0011】従って、オペレータに恐怖感を与えることなく、効率良く耕耘作業を行なうことができる。
【0012】また、本機に自動耕深調節手段を設けて、耕耘部の自動耕深調節が行なえるようにした場合にも、圃場面近傍から耕深最下位置まで耕耘部の下降速度を減速させるために、耕深変化のセンシングに耕耘部の昇降動作が敏感に反応する、いわゆるハンチングを防止して、安定した耕耘深さを確保することができる。
【0013】しかも、昇降機構は、走行部の後端部に上下回動自在に取付けた連結体と、同連結体と走行部の後端上部との間に介設した昇降用シリンダとを具備して、昇降用シリンダの伸長動作に連結体の下方への回動動作を連動させると共に、昇降用シリンダに下降減速手段を設けて、同下降減速手段により、耕耘部の耕耘爪回転軌跡が圃場面近傍から耕深最下位置まで下降する間は、その上方の下降域よりも昇降用シリンダの伸長動作を減速させている。
【0014】このようにして、圃場面近傍から耕深最下位置まで、耕耘部を確実に下降減速させることができて、この点からも、オペレータに恐怖感を与えることなく、効率良く耕耘作業を行なうことができる。
【0015】さらに、昇降用シリンダは、シリンダ本体と、同シリンダ本体に摺動自在に挿通したピストンロッドとを具備し、同ピストンロッドの先端部に連結体を連動連結して、同ピストンロッドの進出動作に連結体の下方への回動動作を連動させ、ピストンロッドの基端部には、シリンダ本体内の圧油の排出量を減少させる下降減速手段を設けて、同下降減速手段により、耕耘部の耕耘爪回転軌跡が圃場面近傍から耕深最下位置まで下降する間は、その上方の下降域よりもピストンロッドの進出動作を減速させるようにしている。
【0016】このようにして、圃場面近傍から耕深最下位置まで、耕耘部を構造簡易にして確実に下降減速させることができ、走行部のダッシング防止効果を良好に確保することができる。
【0017】
【実施例】以下に、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
【0018】図1に示すAは、本発明に係る小型乗用作業機であり、同小型乗用作業機Aは、自走可能な走行部Bの後部に昇降機構17を設け、同昇降機構17に耕耘部Cをヒッチ部18を介して連結している。
【0019】走行部Bは、図1に示すように、機体フレーム1上の略中央部にミッション部2を設け、同ミッション部2の左右側部にそれぞれ前車輪伝動軸ケース3,3を連動連設し、各前車輪伝動軸ケース3,3に前車輪4,4を前車軸4a,4a を介して取付けると共に、機体フレーム1上の左右側後部に後車輪伝動ケース5,5をそれぞれ設け、各後車輪伝動ケース5,5に後車輪7,7を後車軸7a,7a を介して取付け、ミッション部2の左右側部と左右側後車輪伝動ケース5,5との間に、それぞれ伝動シャフト6,6を介設して、車体支持構造体8を構成している。
【0020】そして、車体支持構造体8には、前部に運転部9を設けると共に、前記ミッション部2と左右側後車輪伝動ケース5,5との間に原動機部10と燃料タンク11とを上下に位置させて配設し、同原動機部10に設けたエンジンEにミッション部2を第1伝動機構12を介して連動連結している。
【0021】また、機体フレーム1の後端部には、左右一対の作業部連結体14,14 を後方に向けて突設し、両作業部連結体14,14 間にPTO軸15を横架して、同PTO軸15をエンジンEに第2伝動機構16を介して連動連結すると共に、同PTO軸15の外周面に昇降機構17を設け、同昇降機構17に耕耘部Cをヒッチ部18を介して連結している。
【0022】このようにして、耕耘部Cを、車体支持構造体8の後方に昇降機構17を介して昇降可能に連結すると共に、耕耘部Cの入力軸120 にPTO軸15より伝動ケース(図示せず)を介して動力を伝達可能としている。
【0023】機体フレーム1は、図1に示すように、ミッション部2の左右側下部より後方へ伸延し、かつ、後車軸7a,7a の直上方位置より後上方へ立上げて形成した左右一対のメインフレーム20,20 と、ミッション部2の前端部と両メインフレーム20,20 の後端部との間に架設した平面視矩形枠状のサブフレーム21と、同サブフレーム21上に起倒自在に立設した正面視門型のロールバー22とを具備している。
【0024】サブフレーム21は、図1に示すように、左右幅方向に伸延させた前側フレーム形成体24と、同前側フレーム形成体24の左右側端より後方へ向けて伸延させた左右側フレーム形成体25,25 と、両左右側フレーム形成体25,25 の後端部間に横架した後側フレーム形成体26とから形成しており、メインフレーム20,20 より上方へ立上げたサブフレームステー(図示せず)の上端に左右側フレーム形成体25,25 の中途部を固定すると共に、メインフレーム20,20 の後側立上げフレーム形成体20d,20d の上端に後側フレーム形成体26を固定している。
【0025】そして、左右側フレーム形成体25,25 は、それぞれ前後車輪4,4,7,7の直上方位置に配置しており、前端から後下方へ向けて傾斜する踏ん張り面形成部25a,25a と、各踏ん張り面形成部25a,25a の後端から後述する運転部9の座席34の側方位置まで後上方へ向けて傾斜する側方傾斜部25b,25b と、各側方傾斜部25b,25b の後端からメインフレーム20,20 の後側立上げフレーム形成体20d,20d の上方位置まで略水平に伸延する後方伸延部25c,25c とから形成している。
【0026】また、上記側方傾斜部25b,25b と後方伸延部25c,25c とが接続している屈曲部をそれぞれ握り部25d,25d となし、両握り部25d,25d は、後述する運転部9の座席34の左右側方に配置している。
【0027】サブフレーム21の側方傾斜部25b と後方伸延部25c との間には、図1に示すように、サイドカバー体100 を架設しており、同サイドカバー体100 は、車体の側方と前車輪4の上方と後車輪7の前側上方とを被覆している。102 は前車輪フェンダー、103 は後車輪フェンダーである。
【0028】しかも、サイドカバー体100 の中途部101 は下方へ凸状に折曲させて形成して、同中途部101 と握り部25d との間に握り部空間109 を形成して、オペレータが握り部25d を容易に把持できるようにしている。
【0029】運転部9は、図1に示すように、機体フレーム1の前部に床部形成体30を張設し、同床部形成体30の後端縁に連続させて座席支持機枠カバー体31を設け、床部形成体30の前部にハンドルコラム32を立設し、同ハンドルコラム32の上端にハンドル33をハンドル支軸33a を介して取付け、同ハンドル33の直後方位置で、かつ、ミッション部2上に座席34を座席支持機枠35を介して載設している。
【0030】そして、ハンドル支軸33a は、ハンドルコラム32内を下方へ伸延させて、床部形成体30の直下方位置にてミッション部2に前車輪操舵機構(図示せず)を介して連動連結している。
【0031】また、ハンドルコラム32の右側方に位置する床部形成体30の部分には、ブレーキ操作手段としてのブレーキペダル37を配設し、同ブレーキペダル37にブレーキ操作手段としてのブレーキレバー38を取付けている。ハンドルコラム32の左側壁には前後進切替レバー39を取付ける一方、ハンドルコラム32の右側壁にはアクセルレバー40を取付けている。
【0032】ここで、ブレーキペダル37とブレーキレバー38の取付構造について説明する。
【0033】すなわち、図2〜図5に示すように、左右側フレーム形成体25,25 の踏ん張り面形成部25a,25a 間に横フレーム50を横架し、同横フレーム50の左右側端部と前側フレーム形成体24との間にそれぞれ左右側支持ブラケット51,51 を架設して、両支持ブラケット51,51 間に左右方向に対向する支持ピン52,52 を突設し、両支持ピン52,52 間に筒状支軸53をその軸線廻りに回動自在に横架し、同筒状支軸53の右側部にブレーキペダル37のペダルアーム37a の基端部を取付け、同ペダルアーム37a の先端部にブレーキレバー38の基端部を取付けている。
【0034】そして、筒状支軸53には、左右一対のワイヤ連結片54,55 を上方へ突設し、左側のワイヤ連結片54と、ミッション部2内に設けたブレーキ装置56,56 のブレーキ作動アーム57,57 との間に、ブレーキ制動ワイヤ58とスプリング59とを直列的に介設する一方、右側のワイヤ連結片55と後述するPTOクラッチ操作手段としてのPTOクラッチ操作レバー44との間にクラッチ強制切断機構60を介設している。
【0035】また、ブレーキレバー38は、ペダルアーム37a の先端部より左側方へ略水平に伸延させ、中途部38a を前上方へ伸延させ、さらに、先端部38b を後上方へ伸延させており、同ブレーキレバー38は、機体の前部右側方若しくは前方よりオペレータが楽に操作できるようにしている。
【0036】しかも、ブレーキレバー38の中途部38a には、右側方へ伸延するフック支軸61を取付け、同フック支軸61にフック62の基部62a を巻回して回動自在に取付け、同基部62a に、回動操作片62b を後方へ向けて突設すると共に、フック支軸61にコイルバネ63を巻回して、同コイルバネ63の両端部63a,63b を上記回動操作片62b とブレーキレバー38の中途部38a とにそれぞれ係止して、フック62をコイルバネ63により上方へ回動付勢している。
【0037】そして、前側フレーム形成体24の右側部にフック受片64を突設して、同フック受片64に、ブレーキ制動操作したブレーキレバー38のフック62を係止可能として、同フック62をフック受片64に係止することにより、ブレーキ制動状態を保持して、駐車ブレーキ状態となすことができる。65はペダル受体、66はペダル復元スプリング、67はペダル復元規制ピン、68は規制ピン受体、69はワイヤ・スプリング受体である。
【0038】また、ブレーキペダル37には、ペダルアーム37a の先端に取付けたペダル本体37b の下面よりスイッチ当接片70を垂設しており、同スイッチ当接片70は、ブレーキペダル37のブレーキ制動操作位置にて規制ピン受体68に取付けたセーフティスイッチ71に当接して、同セーフティスイッチ71をスイッチONさせるようにしている。
【0039】ここで、セーフティスイッチ71は、エンジンEの始動用電気回路(図示せず)中に設けて、同始動用電気回路を接続・切断すべく構成しており、同セーフティスイッチ71がONしないと、エンジンEを始動させることができないようにしている。
【0040】従って、オペレータは、エンジンEを始動させる際には、必然的にブレーキペダル37を踏込み操作して、機体をブレーキ制動状態にしなければならず、その結果、機体の急発進を防止することができて、安全性を確保することができる。
【0041】座席34の左側位置には変速レバー42を配設する一方、同座席34の右側方位置には、作業部昇降操作レバー(図示せず)と、PTOクラッチ操作手段としてのPTOクラッチ操作レバー44と、耕深調節操作レバー45とを配設しており、作業部昇降操作レバーの近傍には制御用バルブ(図示せず)を配設して、作業部昇降操作レバーにより制御用バルブを介して後述する昇降機構17の昇降用シリンダ48の伸縮作動を制御可能としている。
【0042】しかも、これら各種操作レバー42,44,45は、前記したサブフレーム21の左右側中途部に形成した握り部25d,25d の内方かつ近傍に配置している。
【0043】このようにして、オペレータは、運転部9に乗降する際には、握り部25d を把持することにより、側方傾斜部25b の上方の空間より楽に乗降することができ、また、傾斜地作業において、各種操作レバー42,44,45を操作中に危険性を感じた際には、すばやく、握り部25d を把持することにより身体を確実に支えることができて、安全性を確保することができる。
【0044】次に、PTOクラッチ操作レバー44の取付け構造について説明すると、図6及び図7に示すように、前後一対のレバー支持体75,76 間に架設したレバー支持壁体77よりへ筒状レバー支軸78を右側外方へ突設し、同筒状レバー支軸78中にレバー支軸79を挿通して、同レバー支軸79にレバー取付体80の下端部を取付け、同レバー取付体80の上端部にPTOクラッチ操作レバー44の下端部を取付けている。
【0045】そして、ミッション部2の後端部には、図3及び図6に示すように、左右方向に伸延する支軸81をブラケット82,82 を介してその軸線廻りに回動自在に横架し、同支軸81の左右側端部にそれぞれ左右側連動アーム83,84 を後下方へ向けて突設している。
【0046】しかも、右側の連動アーム84の先端部と、PTOクラッチ操作レバー44の下端部との間には、略への字状に形成した支点越えレバー85を介設する一方、左側の連動アーム83の先端部には、第2伝動機構16のPTOクラッチ機構86を連動連結体87を介して連結している。
【0047】ここで、第2伝動機構16は、エンジンEの出力軸88に取付けた出力プーリ89と、PTO軸15に取付けた入力プーリ90との間に伝動ベルト91を巻回している。
【0048】また、PTOクラッチ機構86は、伝動ベルト91の近傍に左右方向に軸線を向けたテンションアーム支軸92をステー93を介して支持し、同テンションアーム支軸92にテンションアーム94の中途部を枢支して、同テンションアーム94の先端部に取付けたテンションローラ95を伝動ベルト91に対して進退作動させることにより、同伝動ベルト91を緊張・弛緩自在となしている。
【0049】しかも、テンションアーム支軸92には、トルクスプリング96を巻回すると共に、同トルクスプリング96の両端96a,96b をそれぞれテンションアーム94の基端部とステー93に係止して、同トルクスプリング96によりテンションローラ95をテンションアーム94を介して伝動ベルト91から離隔する方向、すなわち、クラッチ切断方向に回動付勢している。
【0050】そして、テンションアーム94の基端部と、前記した左側の連動アーム84の先端部との間には連動連結体87を介設しており、同連動連結体87の中途部はコイルスプリング状に形成している。
【0051】このようにして、PTOクラッチ操作レバー44は、図6に示すように、後傾状態のクラッチ切断位置(イ)と、同クラッチ切断位置(イ)より前方へ回動させて前傾状態のクラッチ接続位置(ロ)との間で前後回動操作可能としている。
【0052】そして、PTOクラッチ操作レバー44は、クラッチ切断位置(イ)では、トルクスプリング96の回動付勢力によりその位置に保持される一方、クラッチ接続位置(ロ)では、支点越えレバー85の両端連結点85a,85b を結ぶ仮想直線が、レバー支軸79の中心よりも下方に位置して、その位置に保持される。
【0053】次に、前記したクラッチ強制切断機構60について説明する。
【0054】すなわち、クラッチ強制切断機構60は、図2、図3、図6及び図7に示すように、レバー支持壁体77に、略L字状に形成した強制作動レバー97の中途部を前記レバー支軸79の後上方位置にて、左右方向へ軸線を向けたレバー枢支ピン98により枢支しており、同強制作動レバー97は、下方へ伸延する下方伸延レバー形成片97a の先端部と前記右側のワイヤ連結片55との間にクラッチ強制切断ワイヤ99を介設する一方、前方へ伸延する前方伸延レバー形成片97b の先端部に当接ローラ97c を取付けて、同当接ローラ97c に、クラッチ接続位置(ロ)にあるPTOクラッチ操作レバー44を支持するレバー取付体80の前端縁部が当接するようにしている。
【0055】このようにして、ブレーキペダル37又はブレーキレバー38をブレーキ制動操作した際には、右側のワイヤ連結片55がクラッチ強制切断ワイヤ99を前方へ引張して、同ワイヤ99が下方伸延レバー形成片97a をレバー枢支ピン98を中心に前方へ回動させ、それに連動して、前方伸延レバー形成片97b が上方へ回動して、当接ローラ97c に当接しているレバー取付体80を介してPTOクラッチ操作レバー44を支点越え解除位置(ハ)まで回動させる。
【0056】その結果、PTOクラッチ操作レバー44は、トルクスプリング96の回動付勢力により支点越え解除位置(ハ)より、クラッチ切断位置(イ)まで回動復元される。
【0057】従って、ブレーキ制動操作がなされると、PTOクラッチ機構86は強制的にクラッチ切断作動がなされる。
【0058】また、前側フレーム形成体24の下端には、図1に示すように、フロントウエイト46を取付けており、同フロントウエイト46は、平面視略コ字状に形成して、前車輪操舵機構36の前側部を前方と左右側方とから被覆して、バンパーとしても機能している。
【0059】原動機部10は、図1に示すように、エンジンEと、同エンジンEに連通連結すると共に、同エンジンEの後方上部位置に配置したエアクリーナ105 とを具備している。107 はボンネットである。
【0060】次に、昇降機構17について説明すると、同昇降機構17は、図1に示すように、PTO軸15に連結体47の前端部を軸受具(図示せず)を介して連結し、同連結体47の中途部と、サブフレーム21の後側フレーム形成体26の中央部との間に昇降用シリンダ48を介設して構成している。
【0061】そして、昇降用シリンダ48は、図9に示すように、単動式シリンダであり、上下方向に伸延して下部に圧油流出入孔48g を有するシリンダ本体48a と、同シリンダ本体48a 中に挿通したピストンロッド48b と、同ピストンロッド48b の上端部に取付けたピストン48c と、同ピストン48c の直下方に位置してピストンロッド48b の上部外周面に嵌合した下降減速手段としての筒状の下降減速体48d と、同下降減速体48d が当接さらには嵌入すべくシリンダ本体48a 内の下部に配設した下降減速体嵌入受体48e とを具備している。
【0062】ここで、下降減速体48d は、図10に示すように、外周面に上端から下端にわたって軸線方向に伸延する油溝48f を形成すると共に、同油溝48f は上端から下端に向けて漸次広幅に形成している。
【0063】また、下降減速体嵌入受体48e は、筒状に形成して、内周面とピストンロッド48b の外周面との間に内側圧油流出入路48h を形成すると共に、外周面とシリンダ本体48a の内周面との間に外側圧油流出入路48i を形成し、両圧油流出入路48h,48i を連通路48j を介して連通させ、外側圧油流出入路48i はシリンダ本体48a の圧油流出入孔48g と連通させている。
【0064】そして、下降減速体嵌入受体48e の上部内周面には、リング状のパッキン48kを取付けている。48m,48n はOリング,48p,48qは連結ピンである。
【0065】このようにして、図11及び図12に示すように、下降減速体48d の下端がパッキン48k に当接した状態では、シリンダ本体48a 内の圧油の内側圧油流出入路48h への流入路は、下降減速体48d の油溝48f に制限されて、同油溝48f →内側圧油流出入路48h →連通路48j →外側圧油流出入路48i →圧油流出入孔48g へ排出される。
【0066】従って、図11及び図12に示すように、下降減速体48d が、パッキン48k に当接すると共に、下降減速体嵌入受体48e 内に嵌入して、最大限にピストンロッド48b が進出するまでの間は、ピストンロッド48b の伸長速度が減速される。
【0067】この際、油溝48f は、上端から下端に向けて漸次広幅に形成しているために、パッキン48k の内方に位置する油溝48f の部分の開口幅が漸次小さくなり、ピストンロッド48b の伸長速度は徐々に大きく減速される。
【0068】そして、本実施例では、図8に示すように、耕耘部Cの耕耘爪回転軌跡Qが圃場面Gの近傍に近づいた下降域において、下降減速体48d がパッキン48k に当接するように設定し、耕耘爪回転軌跡Qが耕深最下位置まで下降する下降域まで、下降減速体48d が下降減速体嵌入体48e 内に嵌入されるようにしている。
【0069】従って、下降減速体48d が下降減速体嵌入受体48e 内に嵌入しながら下降する間に、耕耘部Cの耕耘爪回動軌跡Qは、圃場面Gの近傍から耕深最下位置までの下降減速域Wを、徐々に減速されながら下降する。
【0070】その結果、耕耘部Cが耕盤より大きな反力を受けて、走行部Bをダッシングさせるという不具合が生じず、オペレータに恐怖感を与えることなく、効率好く耕耘作業を行なうことができる。
【0071】次に、耕耘部Cについて説明すると、同耕耘部Cは、図1に示すように、耕耘伝動ケース110 の下部に左右方向に伸延する耕耘軸111 を横断貫通状に取付け、同耕耘軸111 に耕耘爪(図示せず)を取付け、同耕耘爪の直上方位置に耕耘カバー112 を張設し、同耕耘カバー112 の後端縁部にリヤカバー113 の前端縁部を枢支ピン114 を介して枢支して、同リヤカバー113 を上下揺動自在となしている。
【0072】そして、耕耘カバー112 の上面より後上方へロッド支持体121 を突設し、同ロッド支持体121 にハンガーロッド115 の中途部を摺動リング116 を介して上下摺動自在、かつ、前後揺動自在に支持し、同ハンガーロッド115 の下端部をリヤカバー113 の基部上面より突設したロッド連結体117 に連結している。118,119 は連結ピンである。
【0073】また、ハンガーロッド115 の上端部には、自動耕深調節用ワイヤ122 の一端を連結している。
【0074】このようにして、耕耘作業時には、リヤカバー113 の先端部を耕面に摺接させ、同リヤカバー113 が耕面の凹凸を検出して上下揺動した際には、ハンガーロッド115 を介して自動耕深調節用ワイヤ122 が押し引きされて、制御用バルブが切替動作され、昇降用シリンダ48の伸縮作動が自動制御されて、同昇降用シリンダ48により昇降機構17を介して支持されている耕耘部Cによる耕耘深さの調節が自動的になされるようにしている。
【0075】この際、耕耘部Cは、下降減速域Wでは、徐々に減速されながら下降するために、自動耕深調節時の耕深変化のセンシングに耕耘部Cの昇降動作が敏感に反応する、いわゆるハンチングを防止することができて、安定した耕耘深さを確保することができる。
【0076】
【発明の効果】本発明によれば、次のような効果が得られる。
【0077】■ 請求項1記載の本発明では、昇降機構に、耕耘部の耕耘爪回転軌跡の下降速度を、圃場面近傍から耕深最下位置までは、その上方の下降域よりも減速させる下降減速手段を設けているために、耕耘部を耕耘作動させながら下降させた場合にも、同耕耘部は圃場面近傍から耕深最下位置までゆっくり下降されて、耕盤より大きな反力を受けることがなく、その結果、走行部がダッシングすることがない。
【0078】従って、オペレータに恐怖感を与えることなく、効率良く耕耘作業を行なうことができる。
【0079】また、本機に自動耕深調節手段を設けて、耕耘部の自動耕深調節が行なえるようにした場合にも、圃場面近傍から耕深最下位置まで耕耘部の下降速度を減速させるために、耕深変化のセンシングに耕耘部の昇降動作が敏感に反応する、いわゆるハンチングを防止して、安定した耕耘深さを確保することができる。
【0080】■ 請求項2記載の本発明では、昇降機構は、走行部の後端部に上下回動自在に取付けた連結体と、同連結体と走行部の後端上部との間に介設した昇降用シリンダとを具備して、昇降用シリンダの伸長動作に連結体の下方への回動動作を連動させると共に、昇降用シリンダに下降減速手段を設けて、同下降減速手段により、耕耘部の耕耘爪回転軌跡が圃場面近傍から耕深最下位置まで下降する間は、その上方の下降域よりも昇降用シリンダの伸長動作を減速させているために、圃場面近傍から耕深最下位置まで、耕耘部を確実に下降減速させることができて、この点からも、オペレータに恐怖感を与えることなく、効率良く耕耘作業を行なうことができる。
【0081】■ 請求項3記載の本発明では、昇降用シリンダは、シリンダ本体と、同シリンダ本体に摺動自在に挿通したピストンロッドとを具備し、同ピストンロッドの先端部に連結体を連動連結して、同ピストンロッドの進出動作に連結体の下方への回動動作を連動させ、ピストンロッドの基端部には、シリンダ本体内の圧油の排出量を減少させる下降減速手段を設けて、同下降減速手段により、耕耘部の耕耘爪回転軌跡が圃場面近傍から耕深最下位置まで下降する間は、その上方の下降域よりもピストンロッドの進出動作を減速させるようにしているために、圃場面近傍から耕深最下位置まで、耕耘部を構造簡易にして確実に下降減速させることができ、走行部のダッシング防止効果を良好に確保することができる。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【識別番号】000005164
【氏名又は名称】セイレイ工業株式会社
【出願日】 平成10年8月6日(1998.8.6)
【代理人】 【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
【公開番号】 特開2000−50704(P2000−50704A)
【公開日】 平成12年2月22日(2000.2.22)
【出願番号】 特願平10−222206