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【発明の名称】 水耕植物の培地撹拌装置
【発明者】 【氏名】中川 秀明

【氏名】平林 克敏

【氏名】望月 清

【要約】 【課題】従来のわさび等水利用植物培地の維持管理は、山地での狭隘な場所が多く、大型農業用機械の導入に不向きであり手作業で行なわれていたが、効率のよい維持管理作業装置を提供する。

【解決手段】移動車両1の前側に駆動縦軸2を設け、この駆動縦軸2下端に回転板3を配設すると共に回転板3に複数本の耕耘ナタ爪4,4..を取り付けて成る水耕植物の培地撹拌装置、及び、該駆動縦軸2を正面視で左右方向に傾斜させたり、回転板3を上下複数段とし、夫れ夫れの回転板3に耕耘ナタ爪4,4..を後退角を有するように取り付けてなる水耕植物の培地撹拌装置の構成とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 移動車輌1の前側に駆動縦軸2を設け、この駆動縦軸2下端に回転板3を配設すると共に回転板3に複数本の耕耘ナタ爪4,4..を取り付けたことを特徴とする水耕植物の培地撹拌装置。
【請求項2】 駆動縦軸2を正面視で左右方向に傾斜させたことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の水耕植物の培地撹拌装置。
【請求項3】 回転板3を上下複数段とし、夫れ夫れの回転板3に耕耘ナタ爪4,4..を後退角を有するように取り付けたことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の水耕植物の培地撹拌装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は水耕植物の培地撹拌装置に関するものである。この発明は、山間地の湧水や清水等を利用して、例えばわさび等の山菜植物を栽培する、水利用植物培地の維持管理作業装置に関する。
【0002】
【従来の技術、及び、発明が解決しようとする課題】わさびは、アブラナ科わさび属の多年生植物であり、畑地で栽培した畑わさび(または、オカワサビ)と、わさび田や渓流で栽培される沢わさび(または、ミズワサビ)がある。畑わさびは、根茎内の色が白っぽく安価な加工用が多く、沢わさびは根茎内の色が緑色であり、食用薬味として高価に取引されている。
【0003】わさびは、強い直射日光を嫌い、耐暑性が低いので、沢わさびの栽培は、山間地に開田したわさび田や、山間地の渓流で行なわれている。その栽培用培地は礫(れき)や小石を使用し、この栽培圃場に水温が摂氏12〜15度程度の養水を流している。このような、水利用植物培地の維持管理は、山地での狭隘な場所が多く、大型農業用機械の導入に不向きであり手作業で行なわれており、山間地の湧水や清水等を利用している場合、長期間の使用に伴い、栽培地の小石に泥土やヘドロが付着し清水の供給量が減少したり、わさびの根廻りへの酸素供給量が変化することが生じ、水量減少の場合には、水温が摂氏18度以上に上昇しやすくなって成育停滞を起こしたり、病害虫の影響を受けやすくなって成育障害を生じたり、酸素不足の場合には、根ぐされを起こしたりする等の不具合を生じている。
【0004】これらをなくすには、水源の管理に手間や労力を多く必要とし、能率の上がらない仕事であり、老人や婦女子には大変な作業であった。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、従来装置の欠点を解消しようとするものであって、次のような技術的手段を講じた。即ち、移動車両1の前側に駆動縦軸2を設け、この駆動縦軸2下端に回転板3を配設すると共に回転板3に複数本の耕耘ナタ爪4,4..を取り付けて成る水耕植物の培地撹拌装置、及び、該駆動縦軸2を正面視で左右方向に傾斜させたり、回転板3を上下複数段とし、夫れ夫れの回転板3に耕耘ナタ爪4,4..を後退角を有するように取り付けてなる水耕植物の培地撹拌装置の構成とした。
【0006】
【発明の実施の形態】図例は、この発明を歩行型耕耘機である移動車両1の、前部に取り付ける作業機として折り込んだものであって、小型で簡単な構成としており、以下詳しく説明する。図1で示すものは作業機を取り付けた全体側面図であって、移動車両1である耕耘機は、伝動ケース5やエンジンフレーム6を走行機体7としており、走行機体7である後方に突設したエンジンフレーム6上にエンジン8を搭載し、走行機体7である伝動ケース5の上下方向中間前方にヒッチ9を突設している。
【0007】エンジン8の進行方向右側には、駆動プーリー31が突設しており、この駆動プーリー31の駆動力は、Vベルト等の動力伝達具11を介して、図3の要部平面図で示す、伝動ケース5上端部に備えた従動プーリー10に達し、従動プーリー10を駆動回転している。図示しないが、各回転具の外周は、安全のためにカバー体で覆っており、運転者の手や指が、直接回転部に接当しない構成としている。図1,図3で示すように、伝動ケース5の上方には軸心を左右方向とした主軸12が配設されており、進行方向右側に突出した主軸12端部に前述した従動プーリー10を取り付けており、主軸12の反対側に作業機駆動用の駆動2段プーリー13を取り付けている。
【0008】伝動ケース5の上端部には、支枠14が取り付けられており、この支枠14上にハンドルフレーム15の基端部が、前後方向反転回動又は固定自在に取り付けられている。ハンドルフレーム15は後方斜め上方に向かって突出し、その突出端側には、左右のハンドルパイプ16,16の一端部を取り付けている。ハンドルパイプ16の他端部には、操縦のための軟質材から成るグリップ17,17を取り付けて防振や滑り止め効果を向上させている。18はクラッチレバーであって、ハンドルパイプ16の前後方向途中部に設けられ、このクラッチレバー18を前方または後方に揺動させることにより、前述したエンジン8の駆動プーリーと伝動ケース5上端部に設けた従動プーリー10間の動力伝達具11に設けたテンションクラッチ32の張圧や弛緩操作を行って、エンジン8の駆動力の入り・切りを行なう。図例では、ハンドルフレーム15を、エンジン8方向に反転したハンドル位置反転状態で使用している。
【0009】伝動ケース5の内部には、図示しない複数の歯車が備えられ、ケース上部の主軸12から入力するエンジン8の駆動力を、変速操作レバー19により複数の変速比に変速可能としてケース下端部の車軸20から必要回転数を出力している。車軸20には左右の車輪21,21が取り付けられており、車軸20の正回転または逆回転に伴い前進または後進として移動車両1である耕耘機は走行する。
【0010】走行機体7である伝動ケース5の上下方向中間で前方に突出したヒッチ9は、前方開放の側面視「コ」字状の金具であり、このヒッチ9部に前方に突出する主枠22の基端部9aを、ピン23,23を介して着脱自在に取り付けている。主枠22の前端部には、軸心を略上下方向とした筒体24が配設されており、基端部9aと筒体24間を縦板25と左右の補強板26,26で連結して主枠22を構成している。また、筒体24上端部にはフランジ27が一体的に溶接され、このフランジ27上部には、メタル28を挟んでベベルケース29がボルト、ナット等で着脱自在に取り付けられている。
【0011】筒体24内には駆動縦軸2が、上下のベアリングやシール等を介して回転自在に軸承されており、駆動縦軸2下端の突出部にはボス30がスプライン等を介して一体的に取り付けられている。図2,図3で示すように、ベベルケース29の上部には入力軸33がベアリング等で軸承されており、側方外部に突出した入力軸33に従動2段プーリー34が取り付けられている。前述した主軸12の出力側に取り付けた駆動2段プーリー13と、この従動2段プーリー34間には複数本のVベルト等から成る動力伝達具35,35が巻き廻されており、動力伝達具35,35の中間部を幅広のテンションプーリー36で加圧している。37はバネであって、テンションプーリー36を、バネ力により常時加圧している。主軸12と入力軸33間には平板状の裏板38が配設され、両軸の軸端に取り付けた駆動・従動プーリーやテンションプーリー等の、各回転部材の外周をカバー体39と裏板38とで覆っている。裏板38は、前後方向中間部や前端側を、主枠22やベベルケース29等の強度メンバーに亘って取り付けている。
【0012】ベベルケース29には、一対の駆動ベベルギヤ40と従動ベベルギヤ41が組み込まれており、夫れ夫れ駆動ベベルギヤ40は入力軸33の内端部に、従動ベベルギヤ41は駆動縦軸2の上端部に取り付けられており、内部に潤滑油が満たされている。また、ベベルケース29の天井部前後には取付座42,42が設けられ、この取付座42,42にボルト43,43を介してゲージ輪フレーム44の基端部が取り付けられている。
【0013】ゲージ輪フレーム44は平面視「L」字状であり、カバー体39の前方を迂回して終端側を移動車両1の左前方に突出している。ゲージ輪フレーム44の突出端には、パイプ体45が溶接等で上下方向に一体的に設けられ、このパイプ体45に、ゲージ輪46を下端部に設けた下部パイプ47を支持する上部パイプ48を、ボルト・ナット等の締付具49で上下調節可能に取り付ける。上部パイプ48の上端部には、一対のベベルギヤを内装したケース51が設けられており、ギヤ回転により上部パイプ48内のネジ軸を回転して、下部パイプ47を上下方向に伸縮させゲージ輪46の対地高さをさらに調節するものである。50は回転握りであって、ベベルギヤを回転操作する。
【0014】図2の正面図で示すように、移動車両1の左右方向中央に位置する伝動ケース5の略前方に位置する筒体24は、進行方向で言うと下端側を機体右側外方に傾むけている。当然、筒体24内に軸承する駆動縦軸2も、同方向に傾斜している。先述したが、駆動縦軸2下端に取り付けたボス30には、図例では上下二段に亘る、上下回転板3a,3bから成る回転板3を取り付けている。
【0015】回転板3廻りについて、図2,図4に基づいて説明する。ボス30に対し放射方向に広がる小径の上回転板3aが、ボス30の外周に一体溶接されている。上回転板3aは円形の平板であって、上面に4個の爪ホルダー52,52..を、回転板3の回転方向を矢印「イ」で示すが、回転後方位に後退角θを有して溶接している。この爪ホルダー52は、側面視端面を「コ」字状としておりこの「コ」字状空間部に、耕耘機で泥土の耕耘掘削に使用している掘削爪と同一の、耕耘ナタ爪4の基部を挿入し、従来の耕耘爪と同様に一本のボルト,ナット等の締付具53で着脱自在に取り付けている。締付具53は、回転板3に設けた6角孔にボルトの頭部を沈め、爪ホルダー52空間内の耕耘ナタ爪4の取り付け孔を経て爪ホルダー52上方に突出した上端ネジ部に、ナットを締め付けて固定している。そして、爪ホルダー52の回転前方に、直立壁部を有する保護板54を夫れ夫れネジ60,60..で取り付け設けて、締付具53の上端突出ナット部に礫や小石等の他物が直接接触するのを防止している。下回転板3bはドーナツ状に中央孔55を有した径大の平板であって、中央孔55の外周囲近傍平板面部と小径の上回転板3aの外周との上下間隔間を、円筒状のスペーサ板56を介して上下に間隔を開け一体溶接している。そして、上回転板3aと同様に、上面に4個の爪ホルダー52,52..を、回転板3の回転方向「イ」に対して後退角θを有して溶接している。また、下回転板3bの爪ホルダー52の方を、平面視で30度程度(角度α)先行した位置に溶接している。
【0016】図2の全体正面図でこの回転板3の標準状態の位置を見ると、傾斜した回転板3に取り付けた耕耘ナタ爪4,4..の低位側は左右の車輪21,21間に位置し、耕耘ナタ爪4,4..の高位側は右車輪21のさらに右側に突出している。左右車輪21,21のトレッドは、車軸20に開口した調節孔57位置を広挟調節した位置に、ホイルボス58位置を移動しピン59で係止すれば良く、適所へのトレッド変更も容易である。
【0017】次に、この作業装置を取り付けた時の、作用について以下説明する。前述したように、山間地の湧水や清水等を利用して、例えば沢わさび等の水耕山菜植物を栽培する水利用培地においては、長期間の使用により培地の礫や小石に泥土やヘドロが付着し、清水の供給量が減少変化すると、沢わさびが水温上昇により成育停滞や成育障害を生じたり、色艶や味が悪くなったり、栄養や酸素不足により枯れる等の不具合を生じるので、適当な期間ごとに、培地の礫や小石を清水中で撹拌し、表面に付着した泥土やヘドロを洗い流して、礫や小石間に間隙の大きい、清水の流れやすい培地にする必要がある。
【0018】通常、培地内での泥土は、礫や小石の下層側になるほど増加しているので、傾斜した大径の下回転板3bに取り付けた耕耘ナタ爪4,4..により、深層部の礫や小石を撹拌しつつ上方に持ち上げ、泥土は水中に浮かせて流し、さらに機体の一側方に礫や小石を寄せながら移動することにより、培地の洗浄移動作業の能率を上げることができる。
【0019】小径の上回転板3aに取り付けた耕耘ナタ爪4,4..は、大径の下回転板3bに取り付けた耕耘ナタ爪4,4..が上方に持ち上げる際の礫や小石を、さらに上方で撹拌し清掃するから、洗いの精度を向上できる。培地の礫や小石は、図例の構成では、移動車両1の進行方向矢印「ロ」の右車輪21外側に移動させられるので、まず前進しながら培地の撹拌洗浄作業を行ない、洗浄した礫や小石を機体の右側方に移動しながら圃場の終端まで行く。この走行作業した列の培地には、礫や小石を移動した分、培地表面に凹みが生ずる。次に機体を、無負荷で単に後進して元の作業開始位置左横まで戻る。最初に作業した培地の左隣を前進して作業し、礫や小石を右側方に洗浄移動するから、最初の凹みは平らに修正される。再度、作業開始位置左横まで後進する繰り返しの作業となる。
【0020】このとき、ゲージ輪46を上下調節することにより、回転板3の対地高さの変更ができ、撹拌下層部の深さ、即ち、洗浄する培地の礫や小石の量の決定が容易に行なえる。そして、側面視でゲージ輪46と回転板3の位置が、両者ともに略前端部に位置しているので、機体前端部が圃場端または障害物位置まで、容易に移動することができるから、狭隘地での作業が楽に行なえる。また、爪ホルダー52の前方に保護板54を取り付けているので、締付具53に直接礫や小石が当たらず締付具53の摩耗が防げ、耐久性が向上すると共に、耕耘ナタ爪4の取り付けが緩みにくい。さらに、爪ホルダー52の溶接角度を後退角を有して溶接しているので、耕耘ナタ爪4の回転により無用に礫や小石を遠くまで飛散させず、機体の側方近傍に撹拌洗浄した礫や小石を移動し前進できるから、洗浄能率を低下させないで作業できる。
【0021】
【発明の作用効果】以上説明したように、この発明の、培地である礫や小石洗い装置は、移動車両1の前側に駆動縦軸2を設け、この駆動縦軸2下端に回転板3を配設すると共に回転板3に複数本の耕耘ナタ爪4,4..を取り付けて成る水耕植物の培地撹拌装置、及び、該駆動縦軸2を正面視で左右方向に傾斜させたり、回転板3を上下複数段とし、夫れ夫れの回転板3に耕耘ナタ爪4,4..を後退角を有するように取り付けてなる水耕植物の培地撹拌装置の構成としたので、次のような技術的効果を奏する。即ち、泥土やヘドロによって汚れた培地の礫や小石を、培地水源地側から下流に向かって、清水中で複数本の耕耘ナタ爪4,4..で礫や小石を撹拌して下流に向かって走行移動するだけで、礫や小石に付着した泥土やヘドロが撹拌清掃され、水と共に下流に流れ去るので、培地の礫や小石の清掃を簡単容易に行なうことができる。また、駆動縦軸2を正面視で左右方向に傾斜させることにより、傾斜上方に礫や小石を放出できるから、清掃済みと非清掃状態の礫や小石が容易に判別できる。さらに、耕耘ナタ爪4,4..を後退角を有するように取り付けたので、礫や小石の遠方への飛散を押えて機体側方近傍に安定して移動できる。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成10年7月9日(1998.7.9)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−23505(P2000−23505A)
【公開日】 平成12年1月25日(2000.1.25)
【出願番号】 特願平10−194373