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【発明の名称】 フィルドビア構造を有する多層プリント配線板
【発明者】 【氏名】白井 誠二

【氏名】島田 憲一

【氏名】浅井 元雄

【要約】 【課題】フィルドビア構造を有し、微細パターンを形成するのに有利な多層プリント配線板を提供すること。

【解決手段】本発明の多層プリント配線板は、導体回路と層間樹脂絶縁層とが交互に積層された多層プリント配線板において、前記導体回路は、その厚さがバイアホール径の1/2未満でかつ25μm未満であり、前記層間樹脂絶縁層には、開口部が設けられ、この開口部にめっきが充填されてバイアホールが形成されていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 導体回路と層間樹脂絶縁層とが交互に積層された多層プリント配線板において、前記導体回路は、その厚さがバイアホール径の1/2未満でかつ25μm未満であり、前記層間樹脂絶縁層には、開口部が設けられ、その開口部にめっきが充填されてバイアホールが形成されていることを特徴とする多層プリント配線板。
【請求項2】 前記開口部は、その壁面が粗化処理されていることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板。
【請求項3】 前記バイアホールは、表面中央部に窪みが形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の多層プリント配線板。
【請求項4】 前記バイアホールおよび導体回路の表面は粗化処理されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の多層プリント配線板。
【請求項5】 前記バイアホールが接続する下層側の導体回路の表面が粗化処理されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の多層プリント配線板。
【請求項6】 前記バイアホール上には、バイアホールが形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の多層プリント配線板。
【請求項7】 バイアホールが形成された前記層間樹脂絶縁層は、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の複合体または熱可塑性樹脂からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の多層プリント配線板。
【請求項8】 (バイアホールの直径)/(層間樹脂絶縁層の厚み)=1〜4であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1に記載の多層プリント配線板。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィルドビア構造を有し、微細パターンを形成するのに有利な多層プリント配線板について提案する。
【0002】
【従来の技術】ビルドアップ多層プリント配線板は、導体回路と層間樹脂絶縁層とが交互に積層されたものであり、下層の導体回路と上層の導体回路とが、層間絶縁層を開口してそこにめっき膜を設けてなるいわゆるバイアホールによって、電気的に接続されている。
【0003】このようなビルドアップ多層プリント配線板において、バイアホールは、層間絶縁層の開口部内面にめっき膜を被覆して形成したものが一般的であったが、めっき析出不良やヒートサイクルによる断線が発生しやすいという問題があった。そのため最近では、その開口部をめっきで充填して充填バイアホールとする方法が採用されるようになった。例えば、特開平2−188992号公報、特開平3−3298号公報、特開平7−34048 号公報には、その充填バイアホールを開示する図面がある。また、特開平9−312472号公報にも同様のビルドアップ多層プリント配線板が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような充填バイアホールを用いる技術では、開口部を充填するためにめっき膜を厚く形成しなければならず、同時に形成される導体回路の厚さも必然的に厚くなる。例えば、上述した公報の実施例では、厚さ25μmの導体回路が開示されている。一方で、フルアディティブ法およびセミアディティブ法の製法では、導体回路を形成するに当たり、いずれもめっきレジストを形成する必要がある。したがって、めっき膜を厚くしようとすると、その分、めっきレジストも厚くしなければない。その結果、めっきレジストを厚くすると、フォトマスクフィルムのパターンの内側に光が回折して回り込み、めっきレジストにテーパーが発生してしまう。つまり、導体パターンは、下部ほど細くなる形状となる。かかる現象は、L/S=50/50μm程度であれば問題ないが、L/S=25/25μmのような微細パターンでは、パターン剥離の原因となった。
【0005】さらに、特開平2−188992号公報のように、めっき膜を形成してからエッチングによって導体回路を形成する場合は、めっき膜を厚くすると、エッチングによりアンダーカットが発生して、微細パターンを形成しようとすると断線してしまうという問題が見られた。
【0006】同様の問題は、特開平9−312472号公報に記載されたビルドアップ多層プリント配線板でも見られた。即ち、この多層プリント配線板では、導体回路の厚さをバイアホール径の1/2以上にしてバイアホールを充填して、導体回路の高さとバイアホールの高さを同一としている。ところが、このようなビルドアップ多層プリント配線板では、バイアホール径に比べて導体回路厚みが厚くなってしまう。そのため、めっきレジストの厚さも厚くする必要があり、その結果、露光、現像しにくくなり、微細パターンが形成できないという問題があった。また、特開平9−312472号公報の実施例にあるように、導体膜を形成した後にエッチングにより導体回路を形成する場合には、導体回路の厚みが厚いために、エッチングによって微細パターンを形成することができないという問題があった。
【0007】このように、開口部をめっきにより充填しようとすると、めっきレジストや導体回路を厚くすることになるため、微細パターンの形成が困難になるという問題が生じた。
【0008】そこで、本発明の目的は、フィルドビア構造を有し、微細パターンを形成するのに有利な多層プリント配線板を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記目的の実現に向け鋭意研究した結果、下記■〜■を必須の構成要件とする発明に想到した。
■.ビルドアップ多層プリント配線板であること(つまり、導体回路が層間樹脂絶縁層を介して積層されていること)。
■.導体回路の厚さがバイアホール径の1/2未満でかつ25μm未満であること。
■.バイアホールは、開口部にめっきが充填されて形成されてなること。
【0010】すなわち、本発明の多層プリント配線板は、導体回路と層間樹脂絶縁層とが交互に積層された多層プリント配線板において、前記導体回路は、その厚さがバイアホール径の1/2未満でかつ25μm未満、より好ましくは20μm以下であり、前記層間樹脂絶縁層には、開口部が設けられ、その開口部にめっきが充填されてバイアホールが形成されていることを特徴とする。
【0011】このような本発明の多層プリント配線板において、(1) 層間樹脂絶縁層に設けた開口部の内壁面は粗化処理されていることがより望ましい構成である。この理由は、その開口部に形成されるバイアホールとの密着性を改善するためである。
(2) バイアホールは、表面中央部に窪みが形成されていることがより望ましい構成である。さらに、この窪みは、導体回路の厚さ以下の大きさで20μm以下であることが望ましい。この理由は、窪みが大きすぎると、この上に形成される層間樹脂絶縁層の厚さが他の導体回路上に形成されるものよりも厚くなり、露光、現像処理やレーザ加工した場合にバイアホールの窪みの上に樹脂が残存しやすく、バイアホールの接続信頼性が低下してしまうからである。
(3) バイアホールおよび導体回路の表面は粗化処理されていることがより望ましい構成である。この理由は、上層の層間樹脂絶縁層との密着性を改善するためである。
(4) バイアホールが接続する下層側の導体回路(内層パッド)は、その表面が粗化処理されており、その粗化面を介して前記バイアホールと接続していることがより望ましい構成である。この理由は、バイアホールと内層パッド(下層導体回路)との密着性を向上させるためである。
【0012】特に、上記 (1)と(4) の組合せの構成では、内層パッドが層間樹脂絶縁層に密着し、かつバイアホールも層間樹脂絶縁層に密着するので、層間樹脂絶縁層を介して、内層パッドとバイアホールとが完全に一体化する。
【0013】また、本発明の多層プリント配線板において、(5) バイアホール上に、さらに他のバイアホールが形成されていることがより望ましい構成である。この理由は、バイアホールによる配線のデットスペースを無くし、より一層の高密度化が達成できるからである。
(6) バイアホールが形成された層間樹脂絶縁層は、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の複合体もしくは熱可塑性樹脂からなることがより望ましい構成である。この理由は、めっきを充填して形成してなる充填バイアホールは、ヒートサイクル時に発生する応力が大きく、通常の熱硬化性樹脂からなる層間樹脂絶縁層ではクラックが発生しやすいが、熱可塑性樹脂を添加した熱硬化性樹脂、あるいは熱可塑性樹脂のみからなる層間樹脂絶縁層によれば、靱性が高く、クラックを確実に抑制することができるからである。
(7) (バイアホールの直径)/(層間樹脂絶縁層の厚み)=1〜4であることがより望ましい構成である。この理由は、ファインパターンが形成しやすいからである。
【0014】
【発明の実施の形態】導体回路と層間樹脂絶縁層とが交互に積層された本発明の多層プリント配線板は、前記導体回路は、その厚さがバイアホール径の1/2未満でかつ25μm未満であり、前記層間樹脂絶縁層には、開口部が設けられ、その開口部にめっきが充填されてバイアホールが形成されている点に特徴がある。
【0015】このような本発明の構成によれば、バイアホールがめっきで充填されているので、開口がめっき膜で被覆されたものに比べて、めっきの析出不良やヒートサイクルに起因する断線不良が発生しにくくなる。
【0016】また、本発明では、導体回路となるめっき膜がバイアホール径の1/2未満でかつ25μm未満であるので、めっきレジストの厚さを薄くしてその解像度を向上させることができ、エッチングによる導体回路の形成を容易にし、パターンの微細化を図ることができる。
【0017】さらに、導体回路の厚さをバイアホール径の1/2未満でかつ25μm未満と薄くすると、導体回路側面と層間樹脂との接触面積が少なくなり、導体回路が粗化されていても剥離が発生しやすくなる。この点、本発明では、バイアホールの表面中央部に窪みを設け、その表面を粗化することにより、剥離の際に働く力の方向と粗面の方向が角度を持つことになり、剥離の際に働く応力が分散して剥離を抑制することができる。
【0018】このような本発明の多層プリント配線板において、充填バイアホールと下層導体回路(内層パッド)とは、密着性を改善するために、下層導体回路の表面に設けた粗化層を介して電気的に接続されていることが好ましい。また、上層の層間樹脂絶縁層との密着性を改善するため、充填バイアホールおよび導体回路の表面は粗化処理されていることが望ましい。
【0019】なお、前記導体回路の側面にも粗化層が形成されていると、導体回路側面と層間樹脂絶縁層との密着不足によりこれらの界面を起点として層間樹脂絶縁層に向けて垂直に発生するクラックを抑制することができる点で有利である。
【0020】このような導体回路の表面に形成される粗化層の厚さは、1〜10μmがよい。この理由は、厚すぎると層間ショートの原因となり、薄すぎると被着体との密着力が低くなるからである。この粗化層を形成する粗化処理としては、導体回路の表面を、酸化(黒化)−還元処理するか、有機酸と第二銅錯体の混合水溶液でスプレー処理するか、あるいは銅−ニッケル−リン針状合金めっきで処理する方法がよい。
【0021】これらの処理のうち、酸化(黒化)−還元処理による方法では、NaOH(20g/l)、NaClO2(50g/l)、Na3PO4(15.0g/l)を酸化浴(黒化浴)、NaOH(2.7g/l)、NaBH4 (1.0g/l)を還元浴とする。
【0022】また、有機酸−第二銅錯体の混合水溶液を用いた処理では、スプレーやバブリングなどの酸素共存条件下で次のように作用し、下層導体回路である銅などの金属箔を溶解させる。
Cu+Cu(II)An →2Cu(I)An/2 2Cu(I)An/2 +n/4O2 +nAH (エアレーション)
→2Cu(II)An +n/2H2 Aは錯化剤(キレート剤として作用)、nは配位数である。
【0023】この処理で用いられる第二銅錯体は、アゾール類の第二銅錯体がよい。このアゾール類の第二銅錯体は、金属銅などを酸化するための酸化剤として作用する。アゾール類としては、ジアゾール、トリアゾール、テトラゾールがよい。なかでもイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾールなどがよい。このアゾール類の第二銅錯体の含有量は、1〜15重量%がよい。この範囲内にあれば、溶解性および安定性に優れるからである。
【0024】また、有機酸は、酸化銅を溶解させるために配合させるものである。具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、アクリル酸、クロトン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、安息香酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、スルファミン酸から選ばれるいずれか少なくとも1種がよい。この有機酸の含有量は、 0.1〜30重量%がよい。酸化された銅の溶解性を維持し、かつ溶解安定性を確保するためである。なお、発生した第一銅錯体は、酸の作用で溶解し、酸素と結合して第二銅錯体となって、再び銅の酸化に寄与する。
【0025】この有機酸−第二銅錯体からなるエッチング液には、銅の溶解やアゾール類の酸化作用を補助するために、ハロゲンイオン、例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオンなどを加えてもよい。このハロゲンイオンは、塩酸、塩化ナトリウムなどを添加して供給できる。ハロゲンイオン量は、0.01〜20重量%がよい。この範囲内にあれば、形成された粗化層は層間樹脂絶縁層との密着性に優れるからである。
【0026】この有機酸−第二銅錯体からなるエッチング液は、アゾール類の第二銅錯体および有機酸(必要に応じてハロゲンイオン)を、水に溶解して調製する。
【0027】また、銅−ニッケル−リンからなる針状合金のめっき処理では、硫酸銅1〜40g/l、硫酸ニッケル 0.1〜6.0 g/l、クエン酸10〜20g/l、次亜リン酸塩10〜100 g/l、ホウ酸10〜40g/l、界面活性剤0.01〜10g/lからなる液組成のめっき浴を用いることが望ましい。
【0028】本発明の多層プリント配線板は、充填バイアホール上に、さらに他のバイアホールが形成されていることが好ましい。これにより、バイアホール直上に他のバイアホールを形成することができるので、バイアホールによる配線のデッドスペースなどを無くして配線の高密度化を実現することができる。
【0029】本発明において、層間樹脂絶縁層の開口内壁面には、粗化面が形成されていることが好ましい。この理由は、充填めっきからなるバイアホールと層間樹脂絶縁層との密着性を向上させるためである。
【0030】本発明において、層間樹脂絶縁層としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、あるいは熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の複合体を用いることができる。特に本発明では、バイアホールが形成される層間樹脂絶縁層として、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の複合体、もしくは熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性ポリフェニレンエーテル(PPE)などが使用できる。熱可塑性樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、熱可塑型ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフォン(PPES)、4フッ化エチレン6フッ化プロピレン共重合体(FEP)、4フッ化エチレンパーフロロアルコキシ共重合体(PFA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリオレフィン系樹脂などが使用できる。熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の複合体としては、エポキシ樹脂−PES、エポキシ樹脂−PSF、エポキシ樹脂−PPS、エポキシ樹脂−PPESなどが使用できる。
【0031】また本発明では、層間樹脂絶縁層として、フッ素樹脂繊維の布とその布の空隙に充填された熱硬化性樹脂とからなる複合体を用いることが望ましい。かかる複合体は、低誘電率であり、形状安定性に優れるからである。この場合、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂から選ばれるいずれか少なくとも1種以上を用いることが望ましい。フッ素樹脂繊維の布としては、その繊維を織った布や不織布などを用いることが望ましい。不織布は、フッ素樹脂繊維の短繊維または長繊維をバインダーとともに抄造してシートを作り、このシートを加熱して繊維同士を融着させて製造する。
【0032】また本発明において、層間樹脂絶縁層としては、無電解めっき用接着剤を用いることができる。この無電解めっき用接着剤としては、硬化処理された酸あるいは酸化剤に可溶性の耐熱性樹脂粒子が、硬化処理によって酸あるいは酸化剤に難溶性となる未硬化の耐熱性樹脂中に分散されてなるものが最適である。この理由は、酸や酸化剤で処理することにより、耐熱性樹脂粒子が溶解除去されて、表面に蛸つぼ状のアンカーからなる粗化面を形成できるからである。
【0033】上記無電解めっき用接着剤において、特に硬化処理された前記耐熱性樹脂粒子としては、■平均粒径が10μm以下の耐熱性樹脂粉末、■平均粒径が2μm以下の耐熱性樹脂粉末を凝集させた凝集粒子、■平均粒径が2〜10μmの耐熱性樹脂粉末と平均粒径が2μm以下の耐熱性樹脂粉末との混合物、■平均粒径が2〜10μmの耐熱性樹脂粉末の表面に平均粒径が2μm以下の耐熱性樹脂粉末または無機粉末のいずれか少なくとも1種を付着させてなる疑似粒子、■平均粒径が 0.1〜0.8 μmの耐熱性樹脂粉末と平均粒径が 0.8μmを超え2μm未満の耐熱性樹脂粉末との混合物、■平均粒径が 0.1〜1.0 μmの耐熱性樹脂粉末、から選ばれるいずれか少なくとも1種を用いることが望ましい。これらは、より複雑なアンカーを形成できるからである。この無電解めっき用接着剤で使用される耐熱性樹脂は、前述の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の複合体を使用できる。特に本発明では、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の複合体、もしくは熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
【0034】次に、本発明の多層プリント配線板を製造する一方法について説明する。
(1) まず、コア基板の表面に内層銅パターンを形成した配線基板を作製する。このコア基板への銅パターンの形成は、銅張積層板をエッチングして行うか、あるいは、ガラスエポキシ基板やポリイミド基板、セラミック基板、金属基板などの基板に無電解めっき用接着剤層を形成し、この接着剤層表面を粗化して粗化面とし、ここに無電解めっきを施す方法、もしくはいわゆるセミアディティブ法(その粗化面全体に無電解めっきを施し、めっきレジストを形成し、めっきレジスト非形成部分に電解めっきを施した後、めっきレジストを除去し、エッチング処理して、電解めっき膜と無電解めっき膜とからなる導体回路を形成する方法)により形成される。
【0035】さらに必要に応じて、上記配線基板の銅パターン表面(下層導体回路の表面)に銅−ニッケル−リンからなる粗化層を形成する。この粗化層は、無電解めっきにより形成される。この無電解めっき水溶液の液組成は、銅イオン濃度、ニッケルイオン濃度、次亜リン酸イオン濃度が、それぞれ 2.2×10-2〜 4.1×10-2 mol/l、 2.2×10-3〜 4.1×10-3 mol/l、0.20〜0.25 mol/lであることが望ましい。この範囲で析出する被膜の結晶構造は針状構造になるため、アンカー効果に優れるからである。この無電解めっき水溶液には上記化合物に加えて錯化剤や添加剤を加えてもよい。粗化層の形成方法としては、前述したように、銅−ニッケル−リン針状合金めっきによる処理、酸化−還元処理、銅表面を粒界に沿ってエッチングする処理にて粗化面を形成する方法などがある。
【0036】なお、コア基板には、スルーホールが形成され、このスルーホールを介して表面と裏面の配線層を電気的に接続することができる。また、スルーホールおよびコア基板の導体回路間には樹脂が充填されて、平滑性を確保してもよい。
【0037】(2) 次に、前記(1) で作製した配線基板の上に、層間樹脂絶縁層を形成する。特に本発明では、バイアホールを形成する層間樹脂絶縁材として、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の複合体を樹脂マトリックスとした無電解めっき用接着剤を用いることが望ましい。
【0038】(3) 前記(2) で形成した無電解めっき用接着剤層を乾燥した後、バイアホール形成用開口を設ける。感光性樹脂の場合は、露光,現像してから熱硬化することにより、また、熱硬化性樹脂の場合は、熱硬化したのちレーザー加工することにより、前記接着剤層にバイアホール形成用の開口部を設ける。このとき、(バイアホールの直径)/(層間樹脂絶縁層の厚み)の比が1〜4であることが好ましい。この理由は、その比が1未満であると、開口部に電解めっき液が入らず、開口部にめっきが析出しないからであり、一方、その比が4を超えると、開口部のめっき充填の程度が悪くなるからである。
【0039】(4) 次に、硬化した前記接着剤層の表面に存在するエポキシ樹脂粒子を酸あるいは酸化剤によって分解または溶解して除去し、接着剤層表面を粗化処理する。ここで、上記酸としては、リン酸、塩酸、硫酸、あるいは蟻酸や酢酸などの有機酸があるが、特に有機酸を用いることが望ましい。粗化処理した場合に、バイアホールから露出する金属導体層を腐食させにくいからである。一方、上記酸化剤としては、クロム酸、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウムなど)を用いることが望ましい。
【0040】(5) 次に、接着剤層表面を粗化した配線基板に触媒核を付与する。触媒核の付与には、貴金属イオンや貴金属コロイドなどを用いることが望ましく、一般的には、塩化パラジウムやパラジウムコロイドを使用する。なお、触媒核を固定するために加熱処理を行うことが望ましい。このような触媒核としてはパラジウムがよい。
【0041】(6) 次に、無電解めっき用接着剤表面に無電解めっきを施し、粗化面全面に追従するように、無電解めっき膜を形成する。このとき、無電解めっき膜の厚みは、0.1〜5μm、より望ましくは 0.5〜3μmとする。つぎに、無電解めっき膜上にめっきレジストを形成する。めっきレジスト組成物としては、特にクレゾールノボラック型エポキシ樹脂やフェノールノボラック型エポキシ樹脂のアクリレートとイミダゾール硬化剤からなる組成物を用いることが望ましいが、他に市販品のドライフィルムを使用することもできる。
【0042】(7) 次に、めっきレジスト非形成部に電解めっきを施し、導体回路、ならびに開口部にめっきを充填したバイアホールを形成する。このとき、電解めっき膜の厚みは、5〜30μmが望ましく、導体回路としての厚みがバイアホール径の1/2未満となるようにする。本発明では、特に、めっき液組成、めっき温度、浸漬時間、攪拌条件を制御することにより、充填バイアホールとなるめっき膜の表面中央部に窪みを設ける。ここで、上記電解めっきとしては、銅めっきを用いることが望ましい。
【0043】(8) さらに、めっきレジストを除去した後、硫酸と過酸化水素の混合液や過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどのエッチング液でめっきレジスト下の無電解めっき膜を溶解除去して、独立した導体回路と充填バイアホールとする。
【0044】(9) 次に、導体回路の表面に粗化層を形成する。粗化層の形成方法としては、エッチング処理、研磨処理、酸化還元処理、めっき処理がある。これらの処理のうち酸化還元処理は、NaOH(20g/l)、NaClO2(50g/l)、Na3PO4(15.0g/l)を酸化浴(黒化浴)、NaOH(2.7g/l)、NaBH4 (1.0g/l)を還元浴とする。また、銅−ニッケル−リン合金層からなる粗化層は、無電解めっき処理による析出により形成される。この合金の無電解めっき液としては、硫酸銅1〜40g/l、硫酸ニッケル 0.1〜6.0 g/l、クエン酸10〜20g/l、次亜リン酸塩10〜100 g/l、ホウ酸10〜40g/l、界面活性剤0.01〜10g/lからなる液組成のめっき浴を用いることが望ましい。
【0045】さらに、この粗化層表面をイオン化傾向が銅より大きくチタン以下である金属もしくは貴金属の層にて被覆する。スズの場合は、ホウフッ化スズ−チオ尿素、塩化スズ−チオ尿素液を使用する。このとき、Cu−Snの置換反応により 0.1〜2μm程度のSn層が形成される。貴金属の場合は、スパッタや蒸着などの方法が採用できる。
【0046】(10)次に、この基板上に層間樹脂絶縁層として、無電解めっき用接着剤層を形成する。
(11)さらに、前記 (3)〜(8) の工程を繰り返してさらに上層の導体回路を設ける。この導体回路は、はんだパッドとして機能する導体パッドあるいはバイアホールである。
【0047】(12)次に、こうして得られた配線基板の表面に、ソルダーレジスト組成物を塗布し、その塗膜を乾燥した後、この塗膜に、開口部を描画したフォトマスクフィルムを載置して露光、現像処理することにより、導体回路のうちはんだパッド(導体パッド、バイアホールを含む)部分を露出させた開口部を形成する。ここで、前記開口部の開口径は、はんだパッドの径よりも大きくすることができ、はんだパッドを完全に露出させてもよい。また、逆に前記開口部の開口径は、はんだパッドの径よりも小さくすることができ、はんだパッドの縁周をソルダーレジスト層で被覆することができる。この場合、はんだパッドをソルダーレジスト層で抑えることができ、はんだパッドの剥離を防止できる。
【0048】(13)次に、前記開口部から露出した前記はんだパッド部上に「ニッケル−金」の金属層を形成する。ニッケル層は1〜7μmが望ましく、金層は0.01〜0.06μmがよい。この理由は、ニッケル層は、厚すぎると抵抗値の増大を招き、薄すぎると剥離しやすいからである。一方金層は、厚すぎるとコスト増になり、薄すぎるとはんだ体との密着効果が低下するからである。
【0049】(14)次に、前記開口部から露出した前記はんだパッド部上にはんだ体を供給する。はんだ体の供給方法としては、はんだ転写法や印刷法を用いることができる。ここで、はんだ転写法は、プリプレグにはんだ箔を貼合し、このはんだ箔を開口部分に相当する箇所のみを残してエッチングすることによりはんだパターンを形成してはんだキャリアフィルムとし、このはんだキャリアフィルムを、基板のソルダーレジスト開口部分にフラックスを塗布した後、はんだパターンがパッドに接触するように積層し、これを加熱して転写する方法である。一方、印刷法は、パッドに相当する箇所に貫通孔を設けたメタルマスクを基板に載置し、はんだペーストを印刷して加熱処理する方法である。
【0050】
【実施例】(実施例1)
(1) 下記■〜■で得た組成物を混合攪拌し無電解めっき用接着剤を調製した。
■.クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、分子量2500)の25%アクリル化物を35重量部(固形分80%)、感光性モノマー(東亜合成製、アロニックスM315 )4重量部、消泡剤(サンノプコ製 S−65)0.5 重量部、NMPを 3.6重量部を攪拌混合した。
■.ポリエーテルスルフォン(PES)8重量部、エポキシ樹脂粒子(三洋化成製、ポリマーポール)の平均粒径 0.5μmのものを 7.245重量部、を混合した後、さらにNMP20重量部を添加し攪拌混合した。
■.イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)2重量部、光開始剤(チバガイギー製、イルガキュア I−907 )2重量部、光増感剤(日本化薬製、DETX-S) 0.2重量部、NMP 1.5重量部を攪拌混合した。
【0051】(2) 表面に導体回路2を形成したビスマレイミドトリアジン(BT)樹脂基板1(図1(a) 参照)を、硫酸銅8g/l、硫酸ニッケル 0.6g、クエン酸15g/l、次亜リン酸ナトリウム29g/l、ホウ酸31g/l、界面活性剤 0.1g/lからなるpH=9の無電解めっき液に浸漬し、該導体回路2の表面に厚さ3μmの銅−ニッケル−リンからなる粗化層3を形成した。次いで、その基板を水洗いし、0.1mol/lホウふっ化スズ−1.0mol/lチオ尿素液からなる無電解スズ置換めっき浴に50℃で1時間浸漬し、前記粗化層3の表面に 0.3μmのスズ層を設けた(図1(b) 参照、但し、スズ層については図示しない)。
【0052】(3) 前記(1) で調製した無電解めっき用接着剤を前記 (2)の処理を施した基板に塗布し(図1(c) 参照)、乾燥させた後、フォトマスクフィルムを載置して、露光、現像処理し、さらに熱硬化処理することにより、直径60μm(底部61μm、上部67μm)の開口部(バイアホール用開口5)を有する厚さ20μmの層間樹脂絶縁層4を形成した(図1(d) 参照)。
【0053】(4) 層間樹脂絶縁層4を形成した基板をクロム酸に19分間浸漬して、その表面に深さ4μmの粗化面6を形成した(図1(e) 参照)。
(5) 粗化面6を形成した基板を無電解めっき液に浸漬し、粗面全体に厚さ 0.6μmの無電解銅めっき膜7を形成した(図1(f) 参照)。
(6) 厚さ15μm、L/S=25/25μmのめっきレジスト8を常法に従い形成した(図2(a) 参照)。
【0054】(7) 次に、以下の条件にて、めっきレジスト非形成部分に電解めっきを施し、厚さ15μmの電解めっき膜9を設けて導体回路を形成すると同時に、開口部内をめっきで充填してバイアホール10を形成した(図2(b) 参照)。
〔電解めっき水溶液〕
硫酸銅・5水和物 : 60 g/l レベリング剤(アトテック製、HL): 40 ml/l 硫酸 : 190 g/l 光沢剤(アトテック製、UV) : 0.5 ml/l 塩素イオン : 40 ppm 〔電解めっき条件〕
バブリング: 3.0 リットル/分 電流密度 : 0.5 A/dm2 設定電流値: 0.18 A めっき時間: 100 分【0055】(8) めっきレジスト8を剥離除去した後、硫酸と過酸化水素の混合液や過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどのエッチング液でめっきレジスト下の無電解めっき膜7を溶解除去して、無電解めっき膜7と電解銅めっき膜9からなる厚さ約15μmの導体回路11を形成した。このとき、バイアホール10の表面には、深さ5μm程度の窪みが見られた。なお、発明者らの知見によれば、層間樹脂絶縁層4の厚さが20μmの場合、バイアホール10の直径を25μm、40μm、60μm、80μmにすると、それぞれの充填に必要なめっき膜の厚さは、10.2μm、11.7μm、14.8μm、23.8μmである。
【0056】(9) この基板に前記(2) と同様にして粗化層3を形成し、さらに前記 (3)〜(8)の工程を繰り返して多層プリント配線板を製造した(図2(c) 参照)。
【0057】本実施例では、バイアホールの表面中央部に窪みを設けているので、薄膜化による導体の剥離を引き起こすことなく、L/S=25/25μmの微細パターンを確実に形成することができた。
【0058】(実施例2)
(1) W.L.ゴア社(W.L. Gore & Associates, Inc.)のゴアテックス(登録商標 GORE−TEX 延伸PTFE織物用繊維として入手できる延伸テトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)の繊維を用いて布を織ったものである。この布の構造は、長手方向2.54センチメートル当たり53本の 400デニールの繊維、および横方向2.54センチメートル当たり52本の 400デニールの繊維を有する)を、層間樹脂絶縁層を構成するフッ素樹脂繊維布として用いた。
【0059】(2) このフッ素樹脂繊維布を、15.24 センチメートル×15.24 センチメートルのシートに裁断し、同じくW.L.ゴア社のテトラエッチ(登録商標 TETRA−ETCH)として入手できるアルカリ金属−ナフタレン溶液中に浸漬した。この処理の後、布を温水で洗ってアセトンによりすすぎ洗いをした。このとき、繊維は、テトラエッチによって暗褐色になり、布は、長手方向および横方向に20%収縮した。そこで、この布を、縁を手でつかんで元の寸法に引延した。一方、上記フッ素樹脂繊維布に含浸させる熱硬化性樹脂として、ダウエポキシ樹脂 521−A80用のダウケミカル社製品カタログの♯296-396-783 のガイドラインに従って液状エポキシ樹脂を調製した。
【0060】(3) この液状エポキシ樹脂を前記(2) で得たフッ素樹脂繊維布に含浸させ、その樹脂含浸布を 160℃で加熱乾燥させてBステージのシートとした。このとき、シートの厚さは0.3556センチメートルであり、シート中の含浸樹脂量は5gであった。
【0061】(4) このBステージのシートを実施例1の(2) の基板に積層し、 175℃で80kg/cm2 の圧力でプレスして層間樹脂絶縁層を形成した。さらに、この層間樹脂絶縁層に波長 220nmの紫外線レーザを照射して直径60μmの開口(バイアホール形成用開口)を設けた。以後、実施例1の (4)〜(9) の工程に従って多層プリント配線板を製造した。
【0062】(比較例1)特開平2−188992号公報の実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。その結果、バイアホール用の開口部は、めっきにより充填されたが、L/S=25/25μmのパターンを形成しようとエッチングしたところ、オーバーエッチングにより断線してしまった。
【0063】(比較例2)特開平9−312472号公報に準じて多層プリント配線板を製造した。即ち、実施例1の (1)〜(5) までを実施し、次いで、硫酸銅0.05mol /リットル、ホルマリン0.3mol/リットル、水酸化ナトリウム0.35mol /リットル、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)0.35mol /リットルの水溶液からなる無電解めっき液に浸漬し、厚さ40μmのめっき膜を形成した。さらにドライフィルムを貼着し、露光、現像してL/S=25μm/25μmのエッチングレジストを形成し、硫酸と過酸化水素の混合液によりエッチングしたところ、導体回路がアンダーカットにより剥離してしまった。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、配線板の断線不良を確実に防止でき、しかもL/S=25/25μmの超ファインパターンを実現できる、フィルドビア構造を有する多層プリント配線板を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
【出願日】 平成10年(1998)2月26日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 順三 (外1名)
【公開番号】 特開平11−243278
【公開日】 平成11年(1999)9月7日
【出願番号】 特願平10−45398