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【発明の名称】 チョークコイル実装基板及びその製造方法
【発明者】 【氏名】石浜 和治

【要約】 【課題】チョークコイルを実装した基板全体を薄くできると共に、チョークコイルの電極と回路基板との半田付けの状態を容易に検査する。

【解決手段】基板1には、幅Lの開口部7が形成され、前記開口部7の両端に半田材料からなる半田ランド3が設けられている。チョークコイル4は、巻線部43の一端に設けられたLよりも大きい幅W1のフランジ部41と、巻線部の他端に設けられたフランジ部42とを有する。そして、フランジ部42の側方には、巻線部43に巻かれた巻線4aと接続されている電極4b、4cが設けられている。チョークコイル4を基板1に実装する場合、巻線部43を開口部7に挿入し、フランジ部41の両端を開口部7の端部に係止し、かつ電極4b、4cが半田ランド3に接した状態でリフロ加工する。これにより、半田ランド3から半田の這い上がりが形成されて、チョークコイル4が基板1に固定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】幅Lの開口部が形成され、前記開口部の両端に半田材料が付されている基板と、巻線部の一端に設けられたLよりも大きい幅W1の第1のフランジ部と、前記巻線部の他端に設けられた第2のフランジ部とを有し、前記第1のフランジ部の側方に前記巻線部に巻かれた巻線と接続された電極が設けられているチョークコイルと、を備え、前記チョークコイルは、前記巻線部を前記開口部に挿入し、前記第1のフランジ部の両端を前記開口部の端部に係止し、かつ前記電極が前記半田材料に接した状態でリフロ加工する工程を経ることによって前記基板に固定されていることを特徴とするチョークコイル実装基板。
【請求項2】前記開口部は、長さをD1とする閉領域からなり、前記第2のフランジ部の幅W2はLよりも、長さDはD1よりもそれぞれ小さく、前記チョークコイルは、前記第2のフランジ部から前記開口部に挿入することによって、前記リフロ加工する工程における状態とされることを特徴とする請求項1に記載のチョークコイル実装基板。
【請求項3】前記開口部は、前記基板の端部に形成されて一端を開放領域としており、前記第2のフランジ部の幅W2はLよりも大きく、前記巻線部の幅はLよりも小さく、前記チョークコイルは、前記巻線部を前記開口部にスライド挿入することによって、前記リフロ加工する工程における状態とされることを特徴とする請求項1に記載のチョークコイル実装基板。
【請求項4】前記基板は、前記チョークコイル以外の電子部品が片方の面のみに実装され、前記電子部品が実装された面の反対面側の前記開口部のうちの少なくとも前記両端が前記第1のフランジ部の幅W1よりも大きい幅でザグリ加工されており、前記半田材料は前記ザグリ加工された面に付されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のチョークコイル実装基板。
【請求項5】幅Lの開口部が形成され、前記開口部の両端に半田材料が付されている基板を準備するステップと、前記半田材料に半田ペーストを塗布するステップと、前記半田ペーストの塗布後、巻線部の一端に設けられたLよりも大きい幅W1の第1のフランジ部と、前記巻線部の他端に設けられた第2のフランジ部とを有し、前記第1のフランジ部の側方に前記巻線部に巻かれた巻線と接続された電極が設けられているチョークコイルを、前記巻線部が前記開口部に挿入され、前記第1のフランジ部の両端が前記開口部の端部に係止され、かつ前記電極が前記半田材料に接した状態となるように前記基板に搭載するステップと、前記半田材料をリフロ加工して半田の這い上がりを形成し、前記チョークコイルを前記基板に固定するステップと、を含むことを特徴とするチョークコイル実装基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チョークコイル実装基板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子回路基板に実装されるチョークコイルは、一般に、図7に示すように、コイル巻回部の両端にフランジ部23、24を有するコアと、巻線26とからなり、一方のフランジ部23の側面には、巻線26と接続された電極2aが設けられている。そして、このチョークコイルは、図7に示すように、基板21に載置された状態で、電極2aを半田付けすることによって基板に固定されていた。
【0003】しかしながら、チョークコイルは、一般に他の電子部品よりも厚いため、このような実装方法では、電子部品を実装した基板全体が厚くなるという問題点があった。
【0004】そこで、チョークコイルを含む電子部品を実装した基板全体を薄型化する技術として、実開平7−14618号公報に記載された電磁装置(チョークコイル)の実装構造がある。
【0005】図8は、この電磁装置の実装構造を示す断面図である。図示するように、この実装構造は、コイル巻回部の軸方向両端に互いに異なる大きさの径をもつフランジ部33、34を有するコアとコイル(巻線)36とからなる電磁装置31と、フランジ部33、34の中間の径を有する開口38を備える回路基板37とからなる。
【0006】電磁装置31の実装状態においては、大径のフランジ部33が開口38の周端の回路基板37に係止され、小径のフランジ部34が開口38を介して回路基板37の裏面に突出する。これにより、実装状態の電磁装置31のうち、回路基板37から突出する部分の厚さが小さくなり、電子部品を実装した基板全体を薄くすることが可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記電磁装置31の実装構造では、コイル36と接続されている電極がフランジ部33のフランジ部34との対向面に設けなければならない。すなわち、電磁装置31には、図7に示すような汎用のチョークコイルを用いることができなかった。また、このような位置に電極があるために、電極を回路基板37に半田付けしたときに、半田付けの状態を目視によって検査するのが困難であり、検査工程に手間がかかっていた。
【0008】本発明は、上記従来例の問題点を解消するためになされたものであり、チョークコイルを実装した基板全体を薄くできると共に、チョークコイルの電極と回路基板との半田付けの状態を容易に検査することができ、しかも汎用のチョークコイルを用いることができるチョークコイル実装基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかるチョークコイル実装基板は、幅Lの開口部が形成され、前記開口部の両端に半田材料が付されている基板と、巻線部の一端に設けられたLよりも大きい幅W1の第1のフランジ部と、前記巻線部の他端に設けられた第2のフランジ部とを有し、前記第1のフランジ部の側方に前記巻線部に巻かれた巻線と接続された電極が設けられているチョークコイルと、を備え、前記チョークコイルは、前記巻線部を前記開口部に挿入し、前記第1のフランジ部の両端を前記開口部の端部に係止し、かつ前記電極が前記半田材料に接した状態でリフロ加工する工程を経ることによって前記基板に固定されていることを特徴とする。
【0010】上記チョークコイル実装基板では、チョークコイルを基板に実装した時に、他の部品の厚さが比較的薄くても、基板全体としての厚さが最大でもチョークコイルの厚さとしかならないため、基板全体を薄く形成することができる。しかも、チョークコイルには汎用のものを用いることができる。さらに、半田はチョークコイルのフランジ部の側面にある電極の側方に這い上がり形成されるため、半田付けの状態を目視によって確認することも容易となる。
【0011】上記チョークコイル実装基板において、前記開口部は、例えば、長さをD1とする閉領域からなるものとすることができる。この場合、前記第2のフランジ部の幅W2はLよりも、長さDはD1よりもそれぞれ小さくする必要がある。そして、前記チョークコイルは、前記第2のフランジ部から前記開口部に挿入することによって、前記リフロ加工する工程における状態とされればよい。
【0012】上記チョークコイル実装基板において、前記開口部は、前記基板の端部に形成されて一端を開放領域としているものであってもよい。この場合、前記第2のフランジ部の幅W2はLよりも大きくてもよいが、前記巻線部の幅はLよりも小さくする必要がある。そして、前記チョークコイルは、前記巻線部を前記開口部にスライド挿入することによって、前記リフロ加工する工程における状態とされればよい。
【0013】上記チョークコイル実装基板において、前記基板は、前記チョークコイル以外の電子部品が片方の面のみに実装されるものであってもよい。この場合、前記基板は、前記電子部品が実装された面の反対面側の前記開口部のうちの少なくとも前記両端が前記第1のフランジ部の幅W1よりも大きい幅でザグリ加工され、前記半田材料は前記ザグリ加工された面に付されていることを好適とする。
【0014】上記目的を達成するため、本発明の第2の観点にかかるチョークコイル実装基板の製造方法は、幅Lの開口部が形成され、前記開口部の両端に半田材料が付されている基板を準備するステップと、前記半田材料に半田ペーストを塗布するステップと、前記半田ペーストの塗布後、巻線部の一端に設けられたLよりも大きい幅W1の第1のフランジ部と、前記巻線部の他端に設けられた第2のフランジ部とを有し、前記第1のフランジ部の側方に前記巻線部に巻かれた巻線と接続された電極が設けられているチョークコイルを、前記巻線部が前記開口部に挿入され、前記第1のフランジ部の両端が前記開口部の端部に係止され、かつ前記電極が前記半田材料に接した状態となるように前記基板に搭載するステップと、前記半田材料をリフロ加工して半田の這い上がりを形成し、前記チョークコイルを前記基板に固定するステップと、を含むことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0016】[第1の実施の形態]図1は、この実施の形態にかかるチョークコイルその他の電子部品を実装した実装基板の構造を示す平面図である。図2(a)は、図1のA−A線断面の一部を示す図、図2(b)は、図1のB−B線断面の一部を示す図である。
【0017】これらの図に示すように、基板1は、例えば、ガラスエポキシ基板からなり、その一部にチョークコイル4を実装するための開口部7が設けられている。基板1の両面には、チョークコイル4やその他のチップ部品5が実装されている。チョークコイル4は、開口部7の部分に実装されている。
【0018】開口部7は、実装すべきチョークコイル4に合わせてその大きさが決められており、図3に示すように、幅(図の上下方向)がL、長さ(図の左右方向)がD1に設定されている。開口部7の両端には、チョークコイル4の電極とプリント配線とを接続し、また、チョークコイル4を機械的に基板1に固定するための半田材料からなる半田ランド3が設けられている。半田ランド3は、図1に示すように、チョークコイル4を実装したときは後述するリフロ加工によって這い上がり整形されて半田3’となる。
【0019】チョークコイル4は、汎用のチョークコイルであり、図4(a)、図4(b)に示すように、巻線4aに軸方向両端に設けられたフランジ部41、42と巻線部43とからなるコアと、巻線4aと、フランジ部41の両端に設けられ、巻線4aと接続されている電極4b、4cとを備える。
【0020】チョークコイル4の大きさについて説明すると、フランジ部41の幅がW1、フランジ部42の幅がW2、フランジ部41、42の長さがDに設定されている。また、フランジ部41の高さはT1、巻線部43の高さはT2、フランジ部42の高さはT3であり、チョークコイル4全体としての高さは、Tとなっている。
【0021】基板1の厚さは、図2(a)に示すように、T4に設定されている。また、チップ部品5を両面に実装したときの、実装されたチップ部品5を含めた基板1の最大厚さ(基板全体の厚さ)は、図2(b)に示すように、X1に設定されている。
【0022】以上示した各寸法について、数式1に示すような関係がある。
【数1】
W1>L>W2D1>DT4>T2X1≧T【0023】以下、図1の実装基板の製造方法について、図5(a)及び図5(b)を参照して、説明する。まず、開口部7が形成され、開口部7の両端に半田ランド3が付された基板1を用意し、半田ランド3及び他の部品用の半田ランド(図示せず)と同一部分を開口したマスクを用いて、半田ランド3上に半田ペースト(図示せず)を塗布する。
【0024】次に、半田ランド3が付された面を上に向けて、半田ペーストの塗布を終了した基板1を電子部品の自動搭載機(図示せず)にセットする。
【0025】次に、チョークコイル4を、通常とは逆向きのフランジ部41が上を向くように保持し、フランジ部42から開口部7に挿入する。このとき、電極4b、4cが半田ランド3と接するような向きとなるように、チョークコイル4を挿入するときの向きを設定し、フランジ部41を開口部7の両端に係止させる。また、他のチップ部品5もこのとき基板1上に搭載される(以上、図5(a))。
【0026】次に、このような状態で、チョークコイル4及びチップ部品5が搭載された基板1にある半田ランド3の半田材料にリフロ加工を施す。これにより、半田材料が電極4b、4cの側面に這い上がり、チョークコイル4が基板1に固定される(以上、図5(b))。
【0027】以上説明したように、この実施の形態の実装基板は、基板全体の厚さX1をチョークコイル4の厚さT以下に抑えることができるので、基板全体を薄く形成することができる。
【0028】また、基板1上でチョークコイル4が実装される位置となる開口部7の側方に半田ランド3を設け、リフロ加工によって半田3’を這い上がり形成することによって、巻線4aと接続された電極4b、4cがフランジ部41の側方にある汎用のチョークコイル4を用いることができる。しかも、チョークコイル4の側方に半田付けされるため、半田付けの状態を目視によって容易に確認することができる。
【0029】[第2の実施の形態]上記の第1の実施の形態では、チップ部品5が基板1の両面に実装される両面実装の場合を例として説明したが、この実施の形態では、片面実装の場合を例として説明する。
【0030】図6は、この実施の形態にかかる実装基板の構造を示す断面図である。この実施の形態では、チョークコイル4以外のチップ部品5は、基板9の片面(図6の下面)のみに実装される。基板9の反対面(図6の上面)には、チョークコイル4を搭載するためのザグリ加工部10が設けられている。そして、ザグリ加工部に続いて、開口部11が設けられている。なお、チョークコイル4は、第1の実施の形態で説明したものと同一のものである。
【0031】ザグリ加工部10の幅は、フランジ部41の幅W1に1mmを加えた程度である。ザグリ加工部10の両端には、チョークコイル4の電極4b、4cの基板9への固定に用いられる半田材料からなる半田ランドが設けられ、リフロ加工工程を経ることによって、半田3’となる。
【0032】ザグリ加工部10の深さYは、基板9の厚さ、強度、或いはフランジ部41の厚さT1に従って設定されるが、基板9に十分な強度が得られる場合には、Y≧T1とするのを好適とする。チョークコイル4を実装したときの基板全体の厚さをX2とすると、X2≧Tとすることができる。また、開口部11の幅をLとすると、L>W2となる関係がある。
【0033】この実施の形態にかかる実装基板を製造する場合は、まず、チップ部品5を基板9の片面に搭載した後、基板9の上下の向きを変えてからチョークコイル4をザグリ加工部10が設けられた面の側から、第1の実施の形態と同様にして挿入して搭載する。或いは、その逆に、チョークコイル4、チップ部品5の順で基板9上に搭載する。そして、第1の実施の形態と同様のリフロ加工によって半田の這い上がりを形成してチョークコイル4を基板9に固定する。
【0034】以上説明したように、この実施の形態では、ザグリ加工部10を設けることによって基板9の片面からのチョークコイル4の突出を抑えることができるので、特に基板9が比較的厚い場合や、基板9の片面に実装されるチップ部品5に比較的厚いものがある場合に、基板全体の厚さを薄くすることが可能となる。
【0035】[実施の形態の変形]上記の第1の実施の形態では、チョークコイル4の厚さT2は、基板全体の厚さT4を越えないものとしていたが、チョークコイル4が比較的厚く、他のチップ部品5が比較的薄く、チョークコイル4の厚さT2が基板全体の厚さT4を越える場合であっても、基板全体の厚さが薄くなるという効果は得られる。
【0036】上記の第1、第2の実施の形態では、チョークコイル4のコア両端に設けられたフランジ部41、42の幅W1、W2と、開口部7の幅Lとの間には、W1>L>W2とする関係があった。しかしながら、本発明において、フランジ部の少なくとも一方の幅が開口部7の幅Lよりも大きければ、フランジ部の幅と開口部の幅との関係は任意である。
【0037】例えば、開口部を基板の端部に設け、その一端を開放することによって、チョークコイルの両方のフランジ部の幅が開口部の幅よりも大きくても、巻線部が開口部よりも狭ければ、チョークコイルを基板の側方からスライド挿入することで該チョークコイルを基板に実装することが可能となる。
【0038】上記の第1、第2の実施の形態では、基板1、9として、ガラスエポキシ基板を例に挙げたが、セラミック基板や金属ペース基板等の高熱伝導基板を基板1、9に適用することもできる。また、チョークコイル4の基板1、9への仮付けのため、半田ランド3に半田ペーストを塗布していたが、機械的な圧接によってチョークコイル4を基板1、9に仮付けしてもよい。また、半田材料のリフロ加工の工程を基板1、9の表裏2回に分けて行うこともできる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、チョークコイルを実装した基板全体を薄くすることができると共に、チョークコイルとして汎用のものを用いることができる。しかも、チョークコイルの基板への半田付けの状態を目視によって容易に確認することができる。
【出願人】 【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
【出願日】 平成10年(1998)2月24日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】古溝 聡 (外1名)
【公開番号】 特開平11−243269
【公開日】 平成11年(1999)9月7日
【出願番号】 特願平10−42265