トップ :: H 電気 :: H05 他に分類されない電気技術




【発明の名称】 配線基板
【発明者】 【氏名】山口 雄一朗

【要約】 【課題】絶縁基板に設けたスルーホール内壁へのスルーホール導体の付き廻りが悪く、スルーホール導体に断線や導通不良が発生する。

【解決手段】厚み方向にスルーホール7を有する絶縁基板1と、該絶縁基板1の表面に薄膜形成技術により形成された薄膜配線導体層2と、前記スルーホール7の内壁に被着され、前記薄膜配線導体層2と電気的に接続する薄膜形成技術により形成されたスルーホール導体3とからなる配線基板であって、前記絶縁基板1に形成したスルーホール7はその径が長さ方向の中央域から両開口端に向かって順次広がっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】厚み方向にスルーホールを有する絶縁基板と、該絶縁基板の表面に薄膜形成技術により形成された薄膜配線導体層と、前記スルーホールの内壁に被着され、前記薄膜配線導体層と電気的に接続する薄膜形成技術により形成されたスルーホール導体とからなる配線基板であって、前記絶縁基板に形成したスルーホールはその径が長さ方向の中央域から両開口端に向かって順次広がっていることを特徴とする配線基板。
【請求項2】厚み方向にスルーホールを有する絶縁基板と、該絶縁基板の表面に薄膜形成技術により形成された薄膜配線導体層と、前記スルーホールの内壁に被着され、前記薄膜配線導体層と電気的に接続する薄膜形成技術により形成されたるスルーホール導体とからなる配線基板であって、前記絶縁基板に形成したスルーホールはその径が一方の開口端から他方の開口端に向かって順次広がっていることを特徴とする配線基板。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、配線基板に関し、より詳細には混成集積回路装置や半導体素子を収容する半導体素子収納用パッケージ等に使用される配線導体が高密度に形成された配線基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、半導体素子等の能動部品や容量素子、抵抗器等の受動部品を多数搭載し、所定の電子回路を構成するようになした混成集積回路装置は、通常、酸化アルミニウム質焼結体からなり、厚み方向にスルーホールを有する絶縁基板と、該絶縁基板の上面及びスルーホール内壁面に被着されているタングステン、、モリブデン、マンガン等の金属材料よりなる配線導体及びスルーホール導体とで構成される配線基板を準備し、該配線基板の絶縁基板上面に半導体素子や容量素子、抵抗器等を搭載取着するとともに該半導体素子等の電極を前記配線導体に電気的に接続することによって形成されている。
【0003】かかる混成集積回路装置は、配線基板の絶縁基板下面に導出するスルーホール導体の一端を外部電気回路に接合させることによって外部電気回路に電気的に接続される。
【0004】また前記混成集積回路装置に使用される配線基板は、一般にセラミックの積層技術及びスクリーン印刷等の厚膜形成技術を採用することによって製作されており、具体的には以下の方法によって製作される。
【0005】即ち、(1)まず、酸化アルミニウム(Al2 3 )、酸化珪素(SiO2 )、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)等からなるセラミックス原料粉末に有機溶剤、溶媒を添加混合して泥漿物を作り、次にこれを従来周知のドクターブレード法やカレンダロール法等によりシート状に成形して複数枚のセラミックグリーンシート( セラミック生シート) を得る。そして各セラミックグリーンシートに打ち抜き加工法及び孔あけ加工法を施し、所定位置にスルーホールとなる貫通孔を形成するとともに所定形状に加工する。
【0006】(2)次に前記セラミックグリーンシートの表面及び貫通孔内に、タングステンやモリブデン粉末に有機溶剤、溶媒を添加混合して得た金属ペーストをスクリーン印刷法により所定パターンに印刷塗布する。
【0007】(3)そして最後に前記金属ペーストを印刷塗布した各セラミックグリーンシートを上下に積層するとともに還元雰囲気中、約1600℃の温度で焼成し、セラミックグリーンシートと金属ペーストとを焼結一体化することによって絶縁基体の内部及び表面に所定パターンの配線導体を、またスルーホール内にスルーホール導体を有する配線基板が完成する。
【0008】しかしながら、この従来の配線基板においては、配線導体及びスルーホール導体の全てが金属ペーストをスクリーン印刷することによって形成されており、スクリーン印刷による配線導体及びスルーホール導体の形成は微細化が困難で、配線導体及びスルーホール導体を高密度に形成することができないという欠点を有していた。
【0009】そこで上記欠点を解消すために配線導体及びスルーホール導体を従来周知のスクリーン印刷等の厚膜形成技術を用いて形成するのに変え、微細化が可能な薄膜形成技術を用いて配線導体及びスルーホール導体を形成することが提案されている。
【0010】かかる配線導体及びスルーホール導体を薄膜形成技術により形成した配線基板は、酸化アルミニウム質焼結体等の電気絶縁材料から成り、厚み方向にスルーホールを有する絶縁基板の表面及びスルーホール内に、例えば、チタンから成る接着層と、金から成る主導体層とをイオンプレーティング法やスパッタリング法、蒸着法等の薄膜形成技術により被着し、しかる後、これらの層をフォトリソグラフィー技術を採用し、所定パターンに加工して配線導体及びスルーホール導体とすることによって形成されている。
【0011】なお、前記チタンから成る接着層は配線導体及びスルーホール導体を絶縁基板の表面及びスルーホール内壁に強固に接着させる作用をなし、また金から成る主導体層は電気信号を伝搬させるための伝搬路として作用する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の配線導体及びスルーホール導体を薄膜形成技術により形成した配線基板においては、絶縁基板に設けたスルーホールの径が小さくなり、アスペクト比(スルーホールの径/絶縁基板の厚さ)が1/2以下となってきていること及びスルーホール内壁が絶縁基板の上下面に対し垂直方向に直線状に形成されていること等からスルーホール内壁へのスルーホール導体の付き廻りが悪く、スルーホール内壁全面にスルーホール導体を均一厚みに被着させることができなくなってスルーホール導体中に断線や導通不良が発生するという欠点を有していた。
【0013】本発明は、上記欠点に鑑み案出されたもので、その目的は、絶縁基板の表面及びスルーホール内壁に薄膜形成技術により配線導体及びスルーホール導体を所定厚みに強固に被着させた断線や導通不良のない高信頼性の配線基板を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、厚み方向にスルーホールを有する絶縁基板と、該絶縁基板の表面に薄膜形成技術により形成された薄膜配線導体層と、前記スルーホールの内壁に被着され、前記薄膜配線導体層と電気的に接続する薄膜形成技術により形成されたスルーホール導体とからなる配線基板であって、前記絶縁基板に形成したスルーホールはその径が長さ方向の中央域から両開口端に向かって順次広がっていることを特徴とするものである。
【0015】また本発明は、厚み方向にスルーホールを有する絶縁基板と、該絶縁基板の表面に薄膜形成技術により形成された薄膜配線導体層と、前記スルーホールの内壁に被着され、前記薄膜配線導体層と電気的に接続する薄膜形成技術により形成されたるスルーホール導体とからなる配線基板であって、前記絶縁基板に形成したスルーホールはその径が一方の開口端から他方の開口端に向かって順次広がっていることを特徴とするものである。
【0016】本発明の配線基板によれば、絶縁基板に形成したスルーホールの径を長さ方向の中央域から両開口端に向かって順次広くし、即ち、スルーホール内壁の中央部を開口端よりも内側に突出させた凸状にした、あるいはスルーホールの径を一方の開口端から他方の開口端に向かって順次広くし、スルーホールの内壁に傾斜を持たせたことから絶縁基板の上下両面、あるいは他方の面側からスルーホールに対し、イオンプレーティング法やスパッタリング法、蒸着法等の薄膜形成技術を採用してスルーホール導体を被着させると該スルーホール導体のスルーホール内壁への付き廻りが良くなってスルーホール内壁全面にスルーホール導体を均一厚みに被着させることができ、その結果、スルーホール導体中に断線や導通不良が発生するのが有効に防止され、高信頼性の配線基板を得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】次に本発明を添付図面に基づき詳細に説明する。図1及び図2は本発明の配線基板の一実施例を示し、1は絶縁基板、2は薄膜配線導体層、3はスルーホール導体である。
【0018】前記絶縁基板1はその上面に薄膜配線導体層2が所定パターンに被着形成されており、絶縁基板1は薄膜配線導体層2を支持する支持部材として作用する。
【0019】前記絶縁基板1は、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、炭化珪素質焼結体、ガラスセラミックス焼結体等のセラミック焼結体によって形成されており、例えば、酸化アルミニウム質焼結体で形成されている場合には、酸化アルミニウム(Al2 3 )、酸化珪素(SiO2 )、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)等の原料粉末に適当な有機溶剤、溶媒を添加混合して泥漿状となすとともにこれをドクターブレード法やカレンダーロール法を採用することによってセラミックグリーンシート(セラミック生シート)を形成し、しかる後、前記セラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施し、所定形状となすとともに高温で焼成することによって製作される。
【0020】また前記絶縁基板1の上面には所定パターンの複数個の薄膜配線導体層2が被着されており、該薄膜配線導体層2は、例えば、図2に示すように接着層4とバリア層5と主導体層6の3層構造を有している。
【0021】前記薄膜配線導体層2の接着層4はチタン(Ti)やクロム(Cr)、ニッケルークロム(NiーCr)等から成り、蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法等の薄膜形成技術及びフォトリソグラフィー技術を採用することによって絶縁基板1上面の所定位置に所定パターンに被着形成される。
【0022】前記接着層4は絶縁基板1と薄膜配線導体層2との接合強度を上げる作用をなし、その厚みは0.05μm未満であると薄膜配線導体層2を絶縁基板1に強固に接合させることが困難となり、また0.5μmを超えると接着層4を薄膜形成技術により形成する際に大きな応力が発生するとともにこれが内部に内在、該内在応力によって絶縁基板1と薄膜配線導体層2との接合強度が低下してしまう傾向にある。従って、チタンやクロム、ニッケルークロム等から成る接着層4はその厚みを0.05μm〜0.5μmの範囲としておくことが好ましく、好適には0.1μm〜0.3μmの範囲とするのがよい。
【0023】また前記接着層4の上面にはバリア層5が被着されており、該バリア層5は接着層4と主導体層6とを強固に接合させるとともに接着層4と主導体層6との相互拡散を防止する作用をなす。
【0024】前記バリア層5はパラジウム(Pd)やニッケル(Ni)、ニッケルークロム(Ni Cr)等から成り、蒸着法やイオンプレーティング法、スパッタリング法等の薄膜形成技術及びフォトリソグラフィー技術を採用することによって接着層4の上面に被着される。
【0025】前記バリア層5はその厚みが0.05μm未満であると接着層4と主導体層6との相互拡散を有効に防止することができなくなる傾向にあり、また1.0μmを超えるとバリア層5を薄膜形成技術により形成する際に大きな応力が発生するとともにこれが内部に内在、該内在応力によって接着層4とバリア層5との接合強度が低下してしまう傾向にある。従って、パラジウムやニッケル、ニッケルークロム等から成るバリア層5はその厚みを0.05μm〜1.0μmの範囲としておくことが好ましく、好適には0.1μm〜0.8μmの範囲とするのがよい。
【0026】更に前記バリア層5の上面には主導体層6が蒸着法やイオンプレーティング法、スパッタリング法等の薄膜形成技術及びフォトリソグラフィー技術を採用することによって被着されており、該主導体層6は主として電気信号を通す通路として用する。
【0027】前記主導体層6は導通抵抗が極めて低い、例えば、金(Au)が使用され、その厚みは2.0μm未満であると薄膜配線導体層2の導通抵抗が高くなって配線基板としては不向きとなる傾向にある。従って、金から成る主導体層6はその厚みを2.0μm以上とすることが好ましく、コストの点も考慮すると3.0μm〜7.0μmの範囲が好適である。
【0028】前記絶縁基板1の上面にチタン等から成る接着層4とパラジウム等から成るバリア層5と金等から成る主導体層6の3層構造を有する薄膜配線導体層2を設けた配線基板は薄膜配線導体層2を形成する接着層4、バリア層5及び主導体層6の各々が薄膜形成技術を採用することによって形成されていることから薄膜配線導体層2を極めて微細に形成すことが可能となり、これによって絶縁基板1の上面に薄膜配線導体層2を高密度に形成することができる。
【0029】また前記薄膜配線導体層2はチタン等から成る接着層4と金等から成る主導体層6の間に両者に対し接合性が良いパラジウム等から成るバリア層5を配したことから接着層4と主導体層6とは強固に接合し、同時に薄膜配線導体層2に半導体素子や容量素子、抵抗器等の電子部品を半田を介して接続させた場合、半田を溶融させる熱が薄膜配線導体層2に印加され、接着層4と主導体層6との間に相互拡散が起ころうとしてもその相互拡散は前記バリア層5によって有効に防止され、薄膜配線導体層2の絶縁基板1への接合を強固となすこともできる。
【0030】なお、前記上面に薄膜配線導体層2が被着形成される配線基板1はセラミック焼結体で形成する場合、該セラミック焼結体の結晶粒径が0.3乃至5μmの範囲としておくと絶縁基板1の表面が凹凸の小さい平滑なものとなって、絶縁基板1表面に微細パターンの薄膜配線導体層2を断線等を招来することなく形成することが可能となる。従って、前記配線基板1はセラミック焼結体で形成する場合、焼結体の結晶粒径を0.3乃至5μmの範囲としておくことが好ましい。
【0031】また前記上面に薄膜配線導体層2を形成した絶縁基板1は更にその所定位置に厚さ方向に貫通するスルーホール7が形成されている。
【0032】前記スルーホール7は絶縁基板1の上面に被着形成されている薄膜配線導体層2を絶縁基板1の下面に引き出すためのスルーホール導体3の形成孔として作用し、該スルーホール7の内壁にはスルーホール導体3が被着されている。
【0033】前記スルーホール7は絶縁基板1の上下両面より絶縁基板1に対しレーザーやドリル等による孔開け加工を施す、或いは焼成によって絶縁基板1となるセラミックグリーンシートに予めプレス孔開け加工を施し、セラミックグリーンシートに貫通孔を形成することによって絶縁基板1の所定位置に所定形状に形成される。
【0034】更に前記スルーホール7はその径が長さ方向の中央域から両開口端に向かって順次広くなっている、即ち、スルーホール7内壁の中央部が開口端よりも内側に突出した凸状となっている。そのため後述するスルーホール7の内壁にスルーホール導体3を被着形成する際、スルーホール7内壁へのスルーホール導体3の付き廻りが良くなり、スルーホール導体3に断線や導通不良を発生するのが有効に防止される。
【0035】前記スルーホール7の径を長さ方向の中央域から両開口端に向かって順次広くなるようにする、即ち、スルーホール7内壁の中央部が開口端よりも内側に突出した凸状となすには絶縁基板1の上下両面より断面三角形状のドリルを用いて孔開け加工したり、絶縁基板1の上下両面よりレーザー光を照射するとともに該レーザー光の径を徐々に可変したり、微細なアルミナ粉を噴射して削る、所謂、サンドブラスト法を採用したり、或いは絶縁基板1となるセラミックグリーンシートにプレス孔開け加工を施す際、孔開けピンの挿入、引き出しスピードを適宜コントロールし、孔開けピンのグリーンシートへの入出の際のグリーンシート外表面と内部とで抵抗の差を発生させることによってスルーホールの外側から内部にかけて順次孔径を小さくすることができる。
【0036】また前記スルーホール7はその内壁にスルーホール導体3がその一部を前記薄膜配線導体層2に電気的に接続させた状態で被着されており、該スルーホール導体3は絶縁基板1の上面に形成した薄膜配線導体層2を絶縁基板1の下面に導出する、或いは絶縁基板1の上下両面に薄膜配線導体層2が形成されている場合には上下の薄膜配線導体層2同士を相互に電気的に接続する作用をなす。
【0037】前記スルーホール導体3は薄膜配線導体層2と実質的に同じ材料から成り、薄膜配線層2と同様の薄膜形成技術によって絶縁基板1に設けたスルーホール7の内壁に被着形成される。この場合、スルーホール7は両端の開口径が内径より広い、即ち、スルーホール7内壁の中央部が開口端よりも内側に突出した凸状となっていることから絶縁基板1の上下両面よりスルーホール7に対し、イオンプレーティング法やスパッタリング法、蒸着法等の薄膜形成技術を採用してスルーホール導体3を被着させる際、スルーホール導体3のスルーホール7内壁への付き廻りが良くなってスルーホール7の内壁全面にスルーホール導体3を均一厚みに被着させることができ、その結果、スルーホール導体3中に断線や導通不良が発生するのが有効に防止され、高信頼性の配線基板を得ることができる。
【0038】特に、アスペクト比(スルーホール7の径/絶縁基板1の厚み)が1/2〜1/20であるスルーホール7の径が絶縁基板1の厚みに対し極めて小さい場合の配線基板において、スルーホール7の径を上述するように長さ方向の中央域から両開口端に向かって順次広くし、即ち、スルーホール内壁の中央部を開口端よりも内側に突出させた凸状としておけば、スルーホール7の内壁にスルーホール導体3を確実に、かつ均一厚みに被着形成することができる。
【0039】かくして上述の配線基板によれば、絶縁基板1上に半導体素子等の能動部品や容量素子、抵抗器等の受動部品を多数搭載し、各々の部品の電極を所定の薄膜配線導体層2に電気的に接続させることによって所定の電子回路が構成され、混成集積回路装置等として使用されることとなる。
【0040】次に本発明の他の実施例を図3に基づき説明する。なお、図中、図1と同一箇所には同一符号が付してある。
【0041】図3に示す配線基板は上面に薄膜配線導体層2を被着形成した絶縁基板1に、径が下面の開口端から上面の開口端に向かって順次広がるスルーホール8を形成した場合の例を示し、該スルーホール8の内壁にはスルーホール導体3が一部を薄膜配線導体層2に電気的に接続させた状態で被着形成されている。
【0042】この場合、スルーホール8はその径が下面の開口端から上面の開口端に向かって順次広がっていることから絶縁基板1の上面よりスルーホール8の内壁に対し、イオンプレーティング法やスパッタリング法、蒸着法等の薄膜形成技術を採用してスルーホール導体3を被着させる際、スルーホール導体3のスルーホール8内壁への付き廻りが良くなってスルーホール8の内壁全面にスルーホール導体3を均一厚みに被着させることができ、その結果、スルーホール導体3中に断線や導通不良が発生するのが有効に防止される。
【0043】かかる配線基板においても、アスペクト比(スルーホール7の径/絶縁基板1の厚み)が1/2〜1/20となり、スルーホール8の径が絶縁基板1の厚みに対し極めて小さくなったとしても、スルーホール8の径を上述するように下面の開口端から上面の開口端に向かって順次広がくしておくことによってスルーホール8の内壁にスルーホール導体3を確実に、かつ均一厚みに被着形成することができる。
【0044】なお、前記スルーホール8は、例えば、絶縁基板1の上面より下面に向かって断面三角形状のドリルを用いて孔開け加工したり、絶縁基板1の上面より下面にレーザー光を照射するとともに該レーザー光の径を徐々に可変することによって絶縁基板1の所定位置に所定形状に形成される。
【0045】また前記絶縁基板1、薄膜配線導体層2及びスルーホール導体3はそのいずれもが、例えば、前述の図1及び図2に示す配線基板に使用した材料、方法をもちいることによって形成される。
【0046】かくしてかかる配線基板は、前述の図1に示す配線基板と同様、絶縁基板1上に半導体素子等の能動部品や容量素子、抵抗器等の受動部品を多数搭載し、各々の部品の電極を所定の薄膜配線導体層2に電気的に接続させることによって所定の電子回路が構成され、混成集積回路装置等として使用されることとなる。
【0047】なお、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能であり、例えば、上述の実施例では薄膜配線導体層2を絶縁基板1の上面側にのみ形成した場合について説明したが、薄膜配線導体層2を絶縁基板1の下面側に設けても、また絶縁基板1の上下両面に設けてもよい。
【0048】また上述の実施例では、薄膜配線導体層2及びスルーホール導体3を薄膜形成技術により形成され接着層4とバリア層5と主導体層6の3層構造で形成したが、必ずしも3層構造のものに限定されるものではなく、1層や2層であっても、或いは4層以上であってもよい。
【0049】更に上述の実施例では、スルーホール導体3を蒸着法やスバッタリング法等の薄膜形成技術のみで形成した場合の例で説明したが、薄膜形成技術を採用することによって形成したスルーホール導体3の表面に更にメッキ法によって金等の良導電性材料から成るメッキ被膜を被着させておくと該メッキ被膜によってスルーホール導体3に発生しようとする導通不良や断線等を完全に防止するこができる。従って、前記スルーホール導体3の表面には金等の良導電性材料から成るメッキ被膜を形成しておくことが好ましい。
【0050】
【発明の効果】本発明の配線基板によれば、絶縁基板に形成したスルーホールの径を長さ方向の中央域から両開口端に向かって順次広くし、即ち、スルーホール内壁の中央部を開口端よりも内側に突出させた凸状にした、あるいはスルーホールの径を一方の開口端から他方の開口端に向かって順次広くし、スルーホールの内壁に傾斜を持たせたことから絶縁基板の上下両面、あるいは他方の面側からスルーホールに対し、イオンプレーティング法やスパッタリング法、蒸着法等の薄膜形成技術を採用してスルーホール導体を被着させると該スルーホール導体のスルーホール内壁への付き廻りが良くなってスルーホール内壁全面にスルーホール導体を均一厚みに被着させることができ、その結果、スルーホール導体中に断線や導通不良が発生するのが有効に防止され、高信頼性の配線基板を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
【出願日】 平成10年(1998)2月25日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−243267
【公開日】 平成11年(1999)9月7日
【出願番号】 特願平10−43986