| 【発明の名称】 |
電波吸収壁 |
| 【発明者】 |
【氏名】森山 義幸
【氏名】谷口 直延
【氏名】玉飼 俊之
|
| 【要約】 |
【課題】外装タイルの十分な付着強度を得、射入射電波に対応した電波吸収壁を得る。
【解決手段】到来電波の電界方向への幅が狭く且つ到来電波の磁界方向に延びる柱形状のフェライト磁性体を、前記電界方向に所定間隔を開けて配置した構造であり、前記外装材の前記鉄筋コンクリ−ト及びフェライト磁性体との接触面積のうち、前記フェライト磁性体との接触面積を8〜26%に設定した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 外壁の躯体を構成する鉄筋コンクリ−トと外壁面を構成する外装材とを有する壁の内部にフェライト磁性体を配設する電波吸収壁において、到来電波の電界方向への幅が4〜12.5mm、壁の厚さ方向の幅が20〜40mmであり、且つ到来電波の磁界方向に延びる柱形状のフェライト磁性体を、前記電界方向に所定間隔を開けて配置したことを特徴とする電波吸収壁。 【請求項2】 外壁の躯体を構成する鉄筋コンクリ−トと外壁面を構成する外装材とを有する壁の内部にフェライト磁性体を配設する電波吸収壁において、到来電波の電界方向への幅が狭く且つ到来電波の磁界方向に延びる柱形状のフェライト磁性体を、前記電界方向に所定間隔を開けて配置した構造であり、前記外装材の前記鉄筋コンクリ−ト及びフェライト磁性体との接触面積のうち、前記フェライト磁性体との接触面積を8〜26%に設定したことを特徴とする電波吸収壁。 【請求項3】 外壁の躯体を構成する鉄筋コンクリ−トと外壁面を構成する外装材とを有する壁の内部にフェライト磁性体を配設する電波吸収壁において、到来電波の電界方向への幅が4〜12.5mm、壁の厚さ方向の幅が20〜40mmであり、且つ到来電波の磁界方向に延びる柱形状のフェライト磁性体を、前記電界方向に所定間隔を開けて配置した構造であり、前記外装材の前記鉄筋コンクリ−ト及びフェライト磁性体との接触面積のうち、前記フェライト磁性体との接触面積を8〜26%に設定したことを特徴とする電波吸収壁。 【請求項4】 到来電波の入射角が30〜60度であることを特徴とする請求項1〜3に記載された電波吸収壁。 【請求項5】 前記柱形状のフエライト磁性体に電界方向に貫通する穴又は溝を付けたことを特徴とする請求項1〜3に記載された電波吸収壁。 【請求項6】 前記柱形状のフエライト磁性体の前記外装材との接合端面の綾部にカット又はアールを付けたことを特徴とする請求項1〜3に記載された電波吸収壁。 【請求項7】 前記柱形状のフエライト磁性体の前記カット又はアール部分と前記外装材との間に樹脂モルタル等を充填する構造としたことを特徴とする請求項6に記載された電波吸収壁。 【請求項8】 前記コンクリ−トは、強化繊維等入り軽量コンクリ−トとし、前記コンクリ−トの誘電率(100MHz測定)が4.5以下であることを特徴とする請求項1〜3に記載された電波吸収壁。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、高層建築物等の外壁に適用され、到来したテレビ電波の不要反射波を防止する電波吸収壁に関するものである。 【0002】 【従来の技術】最近、高層建築物による不要反射電波がテレビ放送の障害となり、テレビ画面にゴ−ストを生じさせる等の電波公害が問題となっている。この対策として、高層建築物の外壁に電波吸収体を埋め込む方法があり、これらフエライト等磁性体を埋め込んだ電波吸収壁については種々提案されている。 【0003】従来の電波吸収壁の一例を図6に示す。この電波吸収壁は、表面に外装タイル51が配置され、その裏面にフェライト板52が配置され、鉄筋53とともにコンクリート54で打設されている。この電波吸収壁は、PC工法でユニット化して製造され、それを壁に装着して高層ビル等の壁となる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】従来の電波吸収壁は、外装タイル51とコンクリート54との間に平板状のフェライト板52が挟まれる構造である。しかも、このフェライト板52により外装タイル51とコンクリート54の接触面積がかなり減少する。このため、フェライト板52の内蔵されない壁に対し、外装タイル51の付着強度が劣る。この外装タイル51の付着強度が劣ると、外装タイルが剥離する危険性が生じる。この外装タイル51の剥離は、人身事故にもつながる、非常に危険なものである。このため、外装タイル51を強固に固定するために、例えば図7に示すように、外装タイル51にばね部材55を装着し、それをコンクリート54で一体化することにより、付着強度を上げることが提案されている。(実開平6−86398号公報) 【0005】また別の従来例の断面図を図8に示す。この従来例では、外装タイル56の裏面に凹凸を形成し、外装タイル56とコンクリート59との接触面積を増加させ、固着強度を向上させている。この従来例では、57はフェライト板であり、58は鉄筋である。また、外装タイル56の裏面の凹部にフェライト板57を挿入させる構成とし、フェライト板の位置決めを行っている。 【0006】しかし、これらの従来例では、外装タイルの厚さが厚くなり、また特殊な形状となるため乾式プレスでは困難となり、押し出し又は射出成形となり、製造コストが高価となるという問題点がある。 【0007】また、外装タイルとして縦45mm、横95mmの小口タイルを使用する場合、フェライト板が目地部分を覆ってしまい、目地部分にコンクリート等が流れ難くなる。そのため、後で目地処理が必要となり、又は特殊な流動化コンクリート等を使用することが必要となるといった問題点がある。 【0008】また、従来の電波吸収壁は、壁面に対し垂直に入射する電波を吸収することを目的として設計されることが多く、壁面に対し斜めに入射する電波の吸収に関しては検討されることが少なかった。 【0009】本発明は、上記の問題点を鑑みて、外装材として特別な形状を必要とせず、十分な付着強度を得ることができる電波吸収壁を得ること、又はその外装材として小口タイルを用いること、又は射入射電波に対応した電波吸収壁を得ることを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明の第1の発明は、外壁の躯体を構成する鉄筋コンクリ−トと外壁面を構成する外装材とを有する壁の内部にフェライト磁性体を配設する電波吸収壁において、到来電波の電界方向への幅が4〜12.5mm、壁の厚さ方向の幅が20〜40mmであり、且つ到来電波の磁界方向に延びる柱形状のフェライト磁性体を、前記電界方向に所定間隔を開けて配置した電波吸収壁である。 【0011】本発明の第2の発明は、外壁の躯体を構成する鉄筋コンクリ−トと外壁面を構成する外装材とを有する壁の内部にフェライト磁性体を配設する電波吸収壁において、到来電波の電界方向への幅が狭く且つ到来電波の磁界方向に延びる柱形状のフェライト磁性体を、前記電界方向に所定間隔を開けて配置した構造であり、前記外装材の前記鉄筋コンクリ−ト及びフェライト磁性体との接触面積のうち、前記フェライト磁性体との接触面積を8〜26%に設定した電波吸収壁である。 【0012】本発明の第3の発明は、外壁の躯体を構成する鉄筋コンクリ−トと外壁面を構成する外装材とを有する壁の内部にフェライト磁性体を配設する電波吸収壁において、到来電波の電界方向への幅が4〜12.5mm、壁の厚さ方向の幅が20〜40mmであり、且つ到来電波の磁界方向に延びる柱形状のフェライト磁性体を、前記電界方向に所定間隔を開けて配置した構造であり、前記外装材の前記鉄筋コンクリ−ト及びフェライト磁性体との接触面積のうち、前記フェライト磁性体との接触面積を8〜26%に設定した電波吸収壁である。 【0013】また本発明の第4の発明は、第1〜第3の発明において、到来電波の入射角が30〜60度の場合に対し、十分な電波吸収特性を有する電波吸収壁である。 【0014】また本発明の第5の発明は、第1〜第3の発明において、前記柱形状のフエライト磁性体に電界方向に貫通する穴又は溝を付けたものである。この穴又は溝を設けることにより、フェライト磁性体をコンクリートに強固に付着させるものである。 【0015】また本発明の第6の発明は、第1〜第3の発明において、前記柱形状のフエライト磁性体の前記外装材との接合端面の綾部にカット又はアールを付けたものである。これにより、フェライト磁性体のコンクリートへの付着を強固にするとともに、外装材の固着強を向上させるものである。 【0016】また本発明の第7の発明は、第6の発明において、前記柱形状のフエライト磁性体の前記カット又はアール部分と前記外装材との間に樹脂モルタル等を充填する構造としたものである。これにより、外装材の固着強度を向上させることができる。 【0017】また本発明の第8の発明は、第1〜第3の発明において、前記コンクリ−トは、強化繊維等入り軽量コンクリ−トとし、前記コンクリ−トの誘電率(100MHz測定)が4.5以下である電波吸収壁である。また、外装材をモルタル等で付着させる場合は、樹脂入りモルタルとし、そのモルタルの誘電率(100MHz測定)は4.5以下とすることが好ましい。 【0018】 【発明の実施の形態】本発明は、外装材(外装タイル)へのフェライト磁性体の接触面積を小さくすること、つまり外装材とフェライト磁性体との接触面積を8〜26%に設定すること、またフェライト磁性体の外装材と接触する幅を4〜12.5mmとすることにより、外装材とコンクリ−トの接触面積を大きくし、外装材の固着強度を向上させ、外装材の剥離を防止している。また、これにより目地部分にコンクリ−ト等が流れやすくなり、後目地処理の必要が無くなり、作業性が向上する。またこれにより、外装材として小口の外装タイルでも十分に使用出来る。フェライト磁性体の外装材と接触する幅を4〜12.5mmとした場合、電波吸収特性を確保するため、厚みは25〜40mmとした。 【0019】また本発明は、壁面に対し斜めに入射する電波を吸収する特性を有している。この入射角としては、30〜60度に対応し、フェライト磁性体の形状、配列もこれに対応している。また、コンクリ−ト等の誘電率を4.5以下とした理由も、電界ギャップ率が75%から92%の範囲では、誘電率4.5以下でないと要求特性を満足させることが出来ないからである。 【0020】 【実施例】本発明に係る一実施例の電波吸収壁の構造を示す斜視図を図1に示す。またこの実施例の水平方向の断面図を図2に、図2のA−A断面図を図3に示す。この実施例は、外装材として縦45mm、巾95mm、厚さ8mmの磁器タイル2を用いた電波吸収壁であり、この磁器タイル2の裏面に幅(m)が8mm、厚み(n)が30mmの角柱フエライト磁性体1を到来電波の磁界方向に連続に、電界方向は等間隔で配置し、42mmのギャップ(G)をあけ配列したものである。この時の磁器タイル2へのフエライト磁性体1の接触面積は約16%である。このフェライト磁性体1の後方には、鉄筋3が配置され、繊維強化コンクリ−ト4で一体的に固着されている。 【0021】この実施例の磁器タイル2の裏面には、約1mm程度の溝5が形成されている。この磁器タイル2の構造は、通常のものであり、特別な形状の磁器タイルを用いる必要はなかった。また、目地部分へのコンクリートの流れ込みは良好であり、後目地処理の必要は生じなかった。この実施例の磁器タイルの付着強度を測定した結果、平均13kg/cm2が得られた。一般的な磁器タイルの付着強度は、8kg/cm2以上必要とされているが、本実施例のようにフエライト磁性体1といった異種材料を間に介入させている場合には、磁器タイルの付着強度として10kg/cm2以上は必要とされている。しかし、本実施例による磁器タイル2の付着強度は、上述のように、平均13kg/cm2の強度を有し、十分な付着強度を得ていることが分かる。つまり、本実施例では、外装材を金物等でコンクリ−トにアンカ−させる必要はない。 【0022】また、本実施例の電波吸収壁の電波吸収性能を電波の入射角45度で測定評価した結果、100MHzで18dB、200MHzで20dB、500MHzで16dBとなり、電波吸収壁として十分な反射損失が得られた。特に500MHzでの特性では約10dBの向上が得られた。即ち、本実施例の電波吸収壁は、要求される電波吸収性能を満足させることができる。 【0023】上記実施例のコンクリ−トの誘電率は4.5であるが、この誘電率を変更させた場合の電波吸収特性を表1に示す。この誘電率が4.5以下であれば、良好な電波吸収特性を示すが、誘電率が4.5を超えると200MHz、又は500MHzでの電波吸収性能が悪くなり、実用的でなくなる。尚、この表1は、電波の入射角は45度である。 【0024】 【表1】
【0025】上記実施例と同様構造の電波吸収壁において、角柱フェライト磁性体1の寸法を幅(m)4mm、厚み(n)20mmとし、電界方向に等間隔で46mmのギャップ(G)をあけ配列した。この時の磁器タイル2へのフェライト磁性体1の接触面積は約8.5%である。このフェライト磁性体1の斜視図を図4に示す。この図4の下側が外装材に接触する面であり、上側が鉄筋側である。このフェライト磁性体1には、溝6が形成されている。この溝6により、フェライト磁性体1はコンクリートに強固に付着される。なお、この溝6の形状は、この実施例の形状に限定されるものではなく、適宜設定可能である。また、このフェライト磁性体1の外装材と当接する面の角に面取り(カット)8が施されている。 【0026】この実施例の繊維強化コンクリートは、フェライト磁性体の背面の反射筋より5〜10mm位置まで充填し、その後軽量コンクリ−トで充填されている。この実施例の磁器タイルの付着強度を測定した結果、平均13.8kg/cm2が得られた。また、本実施例の電波吸収壁性能を電波の入射角60度で評価した結果、100MHzで17dB、200MHzで19dB、500MHzで12dBとなり、一般に要求される電波吸収性能を得ることができた。 【0027】上記実施例と同様構造の電波吸収壁であって、角柱フェライト磁性体として、幅(m)12.5mm、厚み(n)40mmの角柱フエライト磁性体1を用い、到来電波の磁界方向に連続に、電界方向は等間隔で配置し、37.5mmのギャップ(G)をあけ配列した。この時の磁器タイル2へのフェライト磁性体1の接触面積は約26%である。このフェライト磁性体1の斜視図を図5に示す。この図5の下側が外装材に接触する面であり、上側が鉄筋側である。このフェライト磁性体1には、穴7が形成されている。この穴7は、フェライト磁性体1を貫通し、到来電波の電界方向と同じ方向に形成されている。この穴7により、フェライト磁性体1はコンクリート4に強固に付着される。なお、この穴7の形状は、この実施例の形状に限定されるものではなく、適宜設定可能である。また、このフェライト磁性体1の外装材と当接する面の角にアールR9が施されている。 【0028】この実施例の磁器タイルの付着強度を測定した結果、平均で12.8kg/cm2が得られた。また、本実施例の電波吸収壁の電波吸収性能を電波の入射角30度で測定した結果、100MHzで20dB、200MHzで18dB、500MHzで14dBとなり、一般に要求される電波吸収性能を得ることができた。 【0029】なお、上記実施の形態においては、フエライト磁性体は角柱形状に成形した例で説明しているが、これに限定されるものではない。このフェライト磁性体は楕円柱状等に成形されてもよい。要は、外装材への接触面積を小さく、フェライト磁性体と充填するコンクリ−トとの付着強度を保ち、且つ所定の電波吸収性能を得ることができる形状であれば良い。 【0030】上記実施例において、フェライト磁性体の外装材との接触する面の角に面取り(カット)又はアールを付けているが、このカット又はアールの部分に樹脂モルタル等を充填して、外装材の付着強度を向上させることができる。 【0031】上記実施例によれば、フェライト磁性体とコンクリ−トの付着強度を保証し、小口タイルといった安価な外装材を使用する事が出来、十分な電波吸収性能を有するものである。また、建築面では、外装材が長期間の外部環境に対して脱落等の問題が一番重要であり、これらの品質保証が保たれる構造であり要求特性を満足する電波吸収壁である。 【0032】 【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の電波吸収壁を採用すると、一般的な外装材を使用しても、要求される電波吸収性能を確保しつつ、かつ外装材の十分な付着強度を得ることができる。このため、外装材を金物等でアンカ−を施す作業及び後目地処理を不要とすることができ、施工の作業性が向上する効果がある。また、外装材として比較的小型な外装タイルを使用しても、確実に、要求される機械的性能と電波吸収性能を確保でき安価な電波吸収壁が可能となる。また、入射角が30〜60度の斜めに入射する電波に対しても十分な電波吸収効果を発揮するものであり、ビル等の設計の自由度を向上させることができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000005083 【氏名又は名称】日立金属株式会社
|
| 【出願日】 |
平成10年(1998)2月12日 |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開平11−233989 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)8月27日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−30268 |
|