| 【発明の名称】 |
電磁波・磁気シールド材および電磁波・磁気シールド工法 |
| 【発明者】 |
【氏名】広田 敏夫
【氏名】二瀬川 英昭
|
| 【要約】 |
【課題】広幅で剛性を有する磁気シールド材または電磁波・磁気シールド材の提供、およびそれを用いる磁気または電磁波・磁気シールド工法の提供。
【解決手段】アモルファス合金箔の表面を熱可塑性樹脂で被覆してなる被覆アモルファス合金箔を用い、該被覆アモルファス合金箔の複数枚を、互いの端部を突き合せ隣同士の端部が一部重なり合うように接合させてなる磁気シールド材、この磁気シールド材を主要構成材とする多層磁気シールド材、電磁波・磁気シールド材、ならびに磁気シールド材、あるいは多層磁気シールド材を用いる磁気シールド工法、電磁波・磁気シールド材を用いる電磁波・磁気シールド工法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】アモルファス合金箔の表面を熱可塑性樹脂で被覆してなる被覆アモルファス合金箔を用い、該被覆アモルファス合金箔の複数枚を、互いの端部を突き合せ隣同士の端部が一部重なり合うように接合させてなる磁気シールド材。 【請求項2】請求項1の磁気シールド材を複数枚積層してなる多層磁気シールド材。 【請求項3】複数枚の磁気シールド材が、上下に重なりあう磁気シールド材のそれぞれを構成する複数枚の被覆アモルファス合金箔の接合部が重ならないように積層されてなる請求項2に記載の多層磁気シールド材。 【請求項4】請求項1の磁気シールド材の少なくとも片面に導電性金属層を有してなる電磁波・磁気シールド材。 【請求項5】請求項2または3の多層磁気シールド材の少なくとも片面に導電性金属層を有してなる電磁波・磁気シールド材。 【請求項6】請求項4の電磁波・磁気シールド材において、導電性金属層が熱可塑性樹脂で被覆されている電磁波・磁気シールド材。 【請求項7】請求項5の電磁波・磁気シールド材において、導電性金属層が熱可塑性樹脂で被覆されている電磁波・磁気シールド材。 【請求項8】請求項1の磁気シールド材の少なくとも片面に導電性金属箔又は熱可塑性樹脂で被覆された導電性金属箔を接着する工程を含む電磁波・磁気シールド材の製造方法。 【請求項9】請求項2または3の多層磁気シールド材の少なくとも片面に導電性金属箔又は熱可塑性樹脂で被覆された導電性金属箔を接着する工程を含む電磁波・磁気シールド材の製造方法。 【請求項10】請求項1の磁気シールド材、あるいは請求項2または3の多層磁気シールド材のいずれかを施工現場で所要枚数重ね、溶着して積層体を形成することを特徴とする磁気シールド工法。 【請求項11】請求項6の電磁波・磁気シールド材、あるいは請求項7の電磁波・磁気シールド材のいずれかを施行現場で所要枚数重ね、これを溶着することを特徴とする電磁波・磁気シールド工法。 【請求項12】アモルファス合金箔の表面を被覆する熱可塑性樹脂がマレイン化変性されたポリプロピレン樹脂である請求項9記載の磁気シールド材。 【請求項13】請求項1の磁気シールド材、あるいは請求項2または3の多層磁気シールド材のいずれかを施工現場で所要枚数重ね、その片面または両面に導電性金属箔を積層し、これを溶着することを特徴とする電磁波・磁気シールド工法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、磁気シールド材、電磁波・磁気シールド材、ならびに磁気シールド工法および電磁波・磁気シールド工法に関する。 【0002】 【従来の技術】最近、電気・電子機器の急激な利用拡大に伴って、これらの機器の周囲に放射される電磁波および磁気の量が増大し、またこれらの機器はその高性能化によって外部からの電磁波や磁気に対して鋭敏となり誤作動するなどの障害が発生している。そこで、シールド材で電気・電子機器を被包して外部の電磁波および磁気から遮蔽したり、外部に電磁波または磁気を放射しないようにする必要が生じたり、場合によっては、部屋全体あるいは建築物全体をシールド材で覆う必要が生じてきている。 【0003】このようなシールド材として、磁性体であり他の材料に比べて群を抜いて高い透磁率を備えたアモルファス合金箔と、これに銅、アルミニウム等の導電性金属箔を組み合わせた複合材が使用されるようになってきている。しかし、アモルファス合金箔は現在のところ幅が170mmのものが最大で近い将来213mmのものが供給されることが期待されているが、その程度の細幅では、建築物の外壁等広い面積にわたってシールド材を貼付ける際、作業性に劣ることはもとより、間隙を生じるおそれがあり、電磁波・磁気のシールド効果をあげることは困難である。 【0004】そこで、アモルファス合金箔からなる広幅のシールド材を製造する方法として、例えば、■アモルファス合金箔の少なくとも片面に銅やアルミニウム箔を接着剤で接合しこれをハンダ付けして広幅にする方法(特開昭63−4699号)、■アモルファス合金箔の表面に銅、ニッケル、亜鉛などの金属メッキを施しこの端部をハンダ付けして広幅にする方法(特開昭61−265900)などが提案されている。 【0005】また、一般にシールド材の電磁波、磁気のシールド効果は、シールド材を構成する金属板の厚みが厚い程大きいといわれている。アモルファス合金箔は厚さが20〜30μmと薄いものであり、これをシールド材として使用するためには、1枚ではシールド効果が十分でなく、数枚重ねる必要がある。また、1枚では剛性に劣るため複数枚を重ねることにより、剛性が増しパネル材として使用することが可能になってくる。そこで、■アモルファス合金箔と熱可塑性樹脂を熱で積層したもの(特公昭61−37113)が提案されている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかし、従来、アモルファス合金箔を使った電磁波・磁気シールド材は、広幅を可能にしたものはあるが、広幅でかつ数枚を積層して1枚のパネル材として使用できるものはない。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するために、アモルファス合金箔の表面を熱可塑性樹脂で被覆してなる被覆アモルファス合金箔を用い、該被覆アモルファス合金箔の複数枚を、互いの端部を突き合せ隣同士の端部が一部重なり合うように接合させてなる磁気シールド材を提供するものである。本発明は、また、この磁気シールド材を複数枚積層してなる多層磁気シールド材を提供するものである。前記多層磁気シールド材が、複数枚の磁気シールド材が、上下に重なりあう磁気シールド材のそれぞれを構成する複数枚の被覆アモルファス合金箔の接合部が重ならないように積層されてなるものであると、好ましい。 【0008】また、本発明は、前記の磁気シールド材の少なくとも片面に導電性金属層を有してなる電磁波・磁気シールド材を提供するものである。 【0009】また、本発明は、前記の多層磁気シールド材の少なくとも片面に導電性金属層を有してなる電磁波・磁気シールド材をも提供するものである。さらに、本発明は、前記の磁気シールド材を、施工現場で所要枚数重ね、溶着して積層体を形成することを特徴とする磁気シールド工法を提供するものである。 【0010】また、前記の磁気シールド材、あるいは多層磁気シールド材のいずれかを施工現場で所要枚数重ね、その片面または両面に導電性金属箔を積層し、これを溶着することを特徴とする電磁波・磁気シールド工法を提供するものである。 【0011】以下、本発明について詳細に説明する。 【0012】本発明の磁気シールド材または電磁波・磁気シールド材に用いられるアモルファス合金箔としては、磁気および電磁波をシールドすることができるものであればよく、特に限定されない。例えば、鉄を主成分とするアモルファス合金箔、コバルトを主成分とするアモルファス合金箔等が挙げられる。 【0013】鉄を主成分とするアモルファス合金の具体例として、Fe・B・Si系のアモルファス合金、Fe・B・Si・C系のアモルファス合金、Fe・B・Si・Co系のアモルファス合金、Fe・Ni・Mo・B系のアモルファス合金などが挙げられる。 【0014】コバルトを主成分とするアモルファス合金の具体例として、Co・Fe・Ni・B・Si系のアモルファス合金、Co・Fe・Ni・Mo・B・Si系のアモルファス合金などが挙げられる。また、これらのアモルファス合金箔は、磁気シールド特性を向上させるために、あらかじめ焼鈍処理を施したものでもよい。 【0015】本発明の磁気シールド材における複数の磁気シールド層は、これらのアモルファス合金箔の1種単独のみから構成されていてもよいし、それぞれの磁気シールド層が異種のアモルファス合金箔から構成されていてもよい。 【0016】本発明の磁気シールド材または電磁波・磁気シールド材に用いられる熱可塑性樹脂は、アモルファス合金箔の表面に薄膜を形成し、お互いに熱融着し、金属と熱接着性があるものであればよく、特に限定されない。例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリプロピレン変性樹脂などが挙げられ、これらの中でも、アモルファス合金箔表面への薄膜形成性、薄膜剥離強度等が良好である点で、ポリプロピレン変性樹脂が好ましい。この中でもマレイン化変性したポリプロピレン変性樹脂が好ましく、マレイン化率は通常0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜1重量%のものが使用される。 【0017】また、アモルファス合金箔は高温で徐徐に結晶化し、その好ましい特性を失う傾向があり、また結晶化温度よりかなり低い温度でも脆化することがある。この点で、成膜温度及び融点が250℃以下であるポリプロピレン変性樹脂が好ましい。 【0018】この熱可塑性樹脂は、通常、アモルファス合金箔の表面を被覆する時の作業性と樹脂同士の融着強度が良好となる点で、1〜10μm程度、さらに3〜5μm程度が好ましい。 【0019】また、熱可塑性樹脂でアモルファス合金箔を被覆することにより、特にFe系のアモルファス合金箔を使用した場合には、腐食防止の役目を果たすことができる。 【0020】本発明の磁気シールド材は、前記のアモルファス合金箔の表面を上記の熱可塑性樹脂で被覆してなる被覆アモルファス合金箔を用い、該被覆アモルファス合金箔の複数枚を、互いの端部を突き合せ隣同士の端部が一部重なり合うように接合させてなるものである。 【0021】前記被覆アモルファス合金箔の製造は、例えば、アモルファス合金箔の表面に適当な溶媒に溶解した熱可塑性樹脂溶液を塗布して乾燥、あるいは該熱可塑性樹脂を融着させる方法などのいずれの方法によって行なってもよい。 【0022】本発明の磁気シールド材の製造は、例えば、前記被覆アモルファス合金箔を用い、複数枚の該被覆アモルファス合金箔を互いの端部を突合わせ隣同士の端部が一部重なり合うように並べ、熱可塑性樹脂の融点以上でかつアモルファス合金箔の結晶化温度以下の温度で加熱して熱可塑性樹脂を溶融せしめて複数枚の被覆アモルファス合金箔を接合する工程を含む磁気シールド材の製造方法によって行なうことができる。 【0023】この方法を図1〜2に示す実施態様に基づいて以下に説明する。まず、図1に示すように、アモルファス合金箔1の表面を熱可塑性樹脂層2で被覆して被覆アモルファス合金箔3を製造する。 【0024】アモルファス合金箔1を熱可塑性樹脂2で被覆する方法として、例えば、前記熱可塑性樹脂を適当な溶媒に溶解または分散してなる溶液または分散液を、アモルファス合金箔に常法に従って塗布し、乾燥後、熱可塑性樹脂の融点以上に加熱し焼付する方法などが挙げられる。具体的には、熱可塑性樹脂として、前記のポリプロピレン変性樹脂を使用して、これをトルエンエマルジョンとして塗布、乾燥後、焼付すればよい。 【0025】焼付温度は、熱可塑性樹脂の融点以上でアモルファス合金箔の結晶化温度以下の温度であるのが好ましい。 【0026】熱可塑性樹脂は、アモルファス合金箔の両面を被覆してもよいし、また片面のみを被覆してもよい。 【0027】次に、図2に示すように、複数枚の被覆アモルファス合金箔31、32、33および34を所定の長さに切り揃え、その端部41aと42b、42aと43b、43aと44bをそれぞれ重ね合わせて重ね合せ部512、523および534を形成しながら、所定の幅になるように必要枚数並べ、その重ね合せ部512、523および534を加熱して、熱可塑性樹脂を融解させて各被覆アモルファス合金箔を接合させ、広幅の磁気シールド材6を作製する。このとき、得られる広幅の磁気シールド材の幅が、所望の幅になるように、必要に応じて、幅の異る被覆アモルファス合金箔を使用してもよい。例えば、長さ方向に切断して所要の幅に調製した被覆アモルファス合金箔を使用してもよい。 【0028】重ね合せ部の加熱は、該重ね合せ部の一部の複数個所に亘って加熱して行なってもよいし、また全面に亘って加熱して行なってもよい。加熱する方法は、ハンダゴテ、ヒートシーラー等の加熱源を当接して行なう方法、あるいはホットエアーガン等のように加熱された空気を吹き付けて加熱する方法などのいずれの方法によってもよい。 【0029】加熱の温度は、熱可塑性樹脂の融点以上でアモルファス合金箔の結晶化温度以下の温度であるのが好ましい。加熱する箇所、数は広幅の磁気シールド材の寸法に応じ手に持った時崩れない程度に適宜選択すればよい。 【0030】また、隣同士の被覆アモルファス合金箔の端部の重なりは、通常、3〜20mm程度、 好ましくは5〜15mm程度にすると、望ましい。 【0031】この磁気シールド材を、所要の磁気シールド性能、剛性が得られるように複数枚積層して多層磁気シールド材が得られる。 【0032】この多層磁気シールド材の製造は、例えば、前記の磁気シールド材を複数枚重ね、熱可塑性樹脂の融点以上でかつアモルファス合金箔の結晶化温度以下の温度で加熱して複数枚の磁気シールド材を接着する工程を含む方法によって行なうことができる。磁気シールド材を重ね接着するための加熱温度等は、前記の磁気シールド材の製造の場合と同様である。 【0033】次に、図3〜4に示す実施態様に基づいて、この多層磁気シールド材の製造方法を説明する。まず、前記のようにして、所定の寸法の磁気シールド材6を複数枚作製する。このとき、後段の工程において、各広幅の磁気シールド材を重ねたときに、上下の磁気シールド材における被覆アモルファス合金箔の重ね合せ部が重ならないように、各広幅の磁気シールド材の作製の際に、それぞれの重ね合せ部の位置をずらすように調整しておけばよい。 【0034】次に、このようにして得られた複数枚の広幅シート61、62、63および64を重ね接着する。重ね合せる方法は、各磁気シールド材の重ね合せ部が同じ方向になるように積み重ねてもよいし、上下の磁気シールド材において互いに直交する方向になるように積み重ねてもよい。 【0035】広幅の磁気シールド材の積層枚数は、シールドする磁気発生源の強さ、周波数等にもよるが、通常、2〜30枚程度、さらに好ましくは7〜20枚がよい。 【0036】以上のようにして得られた複数枚の広幅の磁気シールド材の積層品を片面または両面から加熱して熱可塑性樹脂を融解させて、複数枚の広幅の磁気シールド材を接着して、多層磁気シールド材7を得ることができる。加熱の方法および温度は、前記広幅の磁気シールド材の作製のときと同様である。このとき、加熱部を取り除くと同時に金属製の棒などで上から加圧すると各部の接着性が更に向上するので好ましい。 【0037】さらに、本発明は、上記の磁気シールド材または多層磁気シールド材の少なくとも片面に導電性金属層を有する電磁波・磁気シールド材をも提供するものである。 【0038】この電磁波・磁気シールド材の導電性金属層は、導電性を有する金属であれば、いずれの金属から構成されていてもよく、特に制限されない。例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、鉄などの箔が挙げられる。これらのなかでも安価で容易に入手できる点で、銅箔が好ましい。 【0039】導電性金属層は、磁気シールド材または多層磁気シールド材の片面にのみ形成されていてもよいし、両面に形成されていてもよい。 【0040】導電性金属層の厚みは、得られる電磁波・磁気シールド材が十分な剛性を持つ点で、15〜50μmが好ましい。 【0041】この電磁波・磁気シールド材は、前記のようにして得られた磁気シールド材の少なくとも片面の熱可塑性樹脂層の表面に導電性金属箔を重ね、熱可塑性樹脂の融点以上でかつアモルファス合金箔の結晶化温度以下の温度で加熱して接着することにより製造することができる。例えば、多層磁気シールド材の両面に導電性金属層を有する電磁波・磁気シールド材の製造を例に取ると、図5に示すように、前記の多層磁気シールド材7の両面に導電性金属箔81および82を重ね、これを接着して、図6に示す電磁波・磁気シールド材9を得ることができる。 【0042】磁気シールド材または多層磁気シールド材と導電性金属箔の接着は、磁気シールド材または多層磁気シールド材の片面から接合したい個所に熱可塑性樹脂の融点以上の温度に加熱した熱源を当て樹脂を融解させて接着する。このとき、あらかじめ端部を揃えて置くとよい。 【0043】加熱融着する方法は、磁気シールド材または多層磁気シールド材の製造における重ね合わせ部の接合の時と同じ方法、即ち、ハンダゴテ、ヒートシーラー等のような加熱源を押し当てて加熱部の熱可塑性樹脂を融解する方法、あるいは、ホットエヤーガンのように加熱された空気を吹き付けて熱可塑性樹脂を融解する方法のいずれでもよいが、加熱に際しては、最上部から最下部まで熱が通り、熱可塑性樹脂が融解するようにすればよい。このなかでは、先端部を平たくした大型のハンダゴテを当てて接着する方法が好ましい。 【0044】磁気シールド材または多層磁気シールド材と導電性金属箔の接着は全面を接着する必要はなく、部分接着がよい。加熱接着する箇所は、最低4角の4箇所は必要であるが、積層体の大きさ、取扱い性の点から、適宜決めればよい。また、接着に際して加熱体を取り除くと同時に金属製の棒などで上から押さえつけると接着性が更に向上するので好ましい。 【0045】さらに、本発明は、前記の磁気シールド材を、磁気シールドを施す施工現場に所要枚数を準備し、これを施工現場に合せて重ね、溶着して積層体を形成することを特徴とする磁気シールド工法を提供するものである。この方法によれば、施工の形態、状況等に応じて、好適な磁気シールドを構成することができる。 【0046】また、本発明は、前記の磁気シールド材、あるいは前記の多層磁気シールド材のいずれかを施工現場で所要枚数重ね、その片面または両面に導電性金属箔を積層し、これを溶着することを特徴とする電磁波・磁気シールド工法を提供するものである。この方法によれば、施工の形態、状況等に応じて、好適な電磁波・磁気シールドを構成することができる。 【0047】 【実施例】以下、本発明を実施例に従って具体的に説明する。 【0048】(実施例1)幅170mm、厚み25μmのFe系アモルファス合金箔(商品名 METGLAS2605S-2 Fe・ B ・ Si系:アライド社製)の全表面に、マレイン化変性したポリプロピレン変性樹脂(マレイン化率0.55重量%)のトルエンエマルジョンを5μmの厚さにコーティングした後、910mmの長さに切断して、素材シートを複数枚作製した。次いで、この素材シートを、幅が170mmのものを5枚と幅が60mmに切ったものを1枚、それぞれの端部を重ね合わせて幅方向に並べ、重ね合わせ部の数カ所を、先端部が平たいハンダゴテを押し当てて加熱接合させて910×910mmの広幅の磁気シールド材を作製した。 【0049】同様な方法で幅が910mmで重ね合わせ部の位置がそれぞれ異なる10枚の広幅の磁気シールド材を作製した。10枚の広幅磁気シールド材を重ね合せ、上下の磁気シールド材の重ね合わせ部が相互に重なっていない構造の多層磁気シールド材を得た。 【0050】得られた多層磁気シールド材の磁気シールド性能を、シールドボックス法によって測定したところ、直流の磁気に対し5ガウスが1.2ガウスに10ガウスが3ガウスに減衰、交流の磁気に対し200ミリガウスが30ミリガウスに300ミリガウスが50ミリガウスに減衰、地磁気の0.5ガウスが0.09ガウスに減衰した。 【0051】(実施例2)実施例1で得られた磁気シールド材の上に910×910mmの寸法に切断した厚さ35μmの電解銅箔をのせ、先端部を平たくしたハンダゴテを数カ所に押し当てて加熱接合して電磁波・磁気シールド材を得た。得られた電磁波・磁気シールド材の電磁波シールド性能を、シールドボックス法によって測定したところ、1MHz〜700MHzの電磁波で100dBに減衰した。 【0052】(実施例3、参考例1〜3)薄膜剥離性及び腐食防止性について以下のように試験を行った。鉄系アモルファス合金箔の全表面にマレイン化変性したポリプロピレン変性樹脂(マレイン化率0.55重量%)のトルエンエマルジョンを塗布し、乾燥後200℃のオーブン中で融着し、5μの厚さに被覆して試験サンプルを作成した。 【0053】薄膜剥離性試験は碁盤目セロハンテープ剥離法によって行った。また、腐食防止性試験は水道水中に48時間浸漬し、アモルファス合金箔の発錆性を目視により判定した。結果を表−1に示す。 【0054】参考例1、2および3として低密度ポリエチレン樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂のそれぞれの水性分散液を鉄系アモルファス合金箔の全表面に塗布し、乾燥後、150℃のオーブン中で融着被覆して試験サンプルを作成し、実施例3と同様の試験を行った。結果を表−1に示す。 【0055】
【0056】薄膜剥離性試験試験片の上の塗膜を貫通して、試験片の生地面に到達するまでの切傷を、 JISG4401に規定する鋭利な刃で試験片のほぼ中央に、直交する縦横11本ずつの平行線を1mmの間隔で引いて1cm2 の中に100個のます目ができるように碁盤目状の切り傷をつける。切り傷をつけた試験片に、セロハンテープを貼りつけ、すり棒でタテ、ヨコ往復10回こすった後、セロハンテープを剥がす。剥離性は剥がれた個数/100で判定する。 【0057】 【発明の効果】本発明の磁気シールド材は、高透磁率を有するアモルファス合金箔からなる磁気シールド層を有し、かつ広幅で剛性を有するものであり、磁気シールパネル材、磁気シールドルーム、電磁シールドルーム、医療室、各種計測室、コンピューター室の磁気シールドまたは電磁波・磁気シールドに用いるシールド材等の広範囲の用途に好適に用いることができる。 【0058】また、本発明の電磁波・磁気シールド材は、高透磁率を有する細幅のアモルファス合金箔からなる磁気シールド層と、高導電率を有する導電性金属箔からなる導電性金属層とを有することにより広幅で剛性のある積層体の電磁波、磁気シールド材を得ることができる。 【0059】したがって、本発明の磁気シールド材および電磁波・磁気シールド材は、広幅でかつ剛性を有するため、建築物の外壁等広い範囲にわたってシールド材が必要な時に1枚のパネルとして取り扱うことが可能になり作業性が大幅に向上する。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000005887 【氏名又は名称】三井化学株式会社
|
| 【出願日】 |
平成2年(1990)4月27日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】渡辺 望稔 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開平11−220288 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)8月10日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−317212 |
|