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【発明の名称】 部品の取付構造およびそれを用いた電子装置
【発明者】 【氏名】竹中 美志樹

【要約】 【課題】部品を被取付物に取り付けやすく、しかも部品と被取付物とのがたつきの少ない部品の取付構造を提供する。

【解決手段】取付穴12の、取付脚4の係合部4bと接触する外側の縁部12aに切欠部13を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 取付脚を有する部品と、該部品の前記取付脚を挿入する取付穴を形成した板状の被取付物からなり、前記取付穴の縁部に切欠部を設けたことを特徴とする部品の取付構造。
【請求項2】 前記部品は金属端子を樹脂ベースで保持したコネクタで構成され、前記被取付物はシャーシで構成され、請求項1に記載の部品の取付構造を用いたことを特徴とする電子装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、部品の取付構造およびそれを用いた電子装置、特に電子チューナー用の金属端子を樹脂ベースで保持したコネクタを、電子チューナーのシャーシに固定するための部品の取付構造およびそれを用いた電子装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、電子チューナーには多数の入出力用の金属端子を必要とするが、金属製のシャーシから多数の金属端子を出す構造として、板状の樹脂(樹脂ベース)に金属端子を固定、保持し、これに取付脚を設け、これをシャーシに形成した取付穴に挿入して固定するという構造を採用することが多い。
【0003】図5に、チューナーにおける従来の取付脚を設けた部品であるコネクタと取付穴を形成したシャーシを示す。図5において、コネクタ1は樹脂ベース2と樹脂ベース2で保持した複数の金属端子3、および樹脂ベース2の両端に設けられた取付脚4から構成される。また、シャーシ5にはコネクタ1の金属端子3に対応して、金属端子3よりも直径を大きくした端子穴6が金属端子3の数だけ形成され、その両側にはコネクタ1の取付脚4に対応して2つの取付穴7が形成されている。
【0004】ここで、図6に、図5に示したコネクタ1の取付脚4の拡大図を示す。図6に示すように、取付脚4は樹脂ベース2に固定された脚部4aと、脚部4aの側面に突設された、係合部4bからなっている。係合部4bは樹脂ベース2の方に向かってその厚みを増す形状となっており、脚部4aに対して傾斜を有する傾斜部4cと、脚部4aに対して垂直な係止部4dが形成されている。そして、係止部4dと樹脂ベース2との間には一定のギャップ4eが形成されている。
【0005】また、図5に戻って、シャーシ5の取付穴7を形成した部分の厚みは、コネクタ1の取付脚4の係止部4dと樹脂ベース2との間のギャップ4eよりわずかに薄く設定されている。
【0006】ここで図7および図8に、図5に示したコネクタ1とシャーシ5を上から見た状態を示す。図7に示すように、シャーシ5の2つの取付穴7の外側の縁部7a同士の間隔d1は、コネクタ1の2つの取付脚4の係合部4b同士の最大間隔d2より狭く設定されている。
【0007】このように取付脚4を設けたコネクタ1をシャーシ5に取り付ける場合、このままではコネクタ1の取付脚4はシャーシ5の取付穴7に挿入できない。そこで、図8に示すように、コネクタ1の樹脂ベース2をくの字状に弾性変形させて、コネクタ1の2つの取付脚4の係合部4b同士の最大間隔d3をシャーシ5の2つの取付穴7の外側の縁部7a同士の間隔d1にほぼ一致させる。これによって2つの取付脚4を2つの取付穴7に同時に挿入できるようになる。
【0008】次に図9に、取付脚4を取付穴7に挿入する過程を示す。図9は、取付穴7の位置でシャーシ5を切断した一部断面図で、取付脚4の取付穴7への挿入の過程を示しており、図5と同一の部分には同じ記号を付している。
【0009】まず、図9(a)に示すように、コネクタ1の取付脚4を、シャーシ5の取付穴7に、シャーシ5の外側から挿入する。取付脚4を取付穴7に挿入するとき、取付脚4の2つの係合部4b同士の最大間隔は2つの取付穴7の外側の縁部7a同士の間隔より大きいため、図9(b)に示すように、樹脂ベース2を弾性変形させて取付脚4の2つの係合部4b同士の最大間隔を2つの取付穴7の外側の縁部7a同士の間隔に合わせて挿入する。このとき、取付脚4の係合部4bの傾斜部4cと取付穴7の外側の縁部7aが接触して摩擦抵抗が発生するが、そのまま挿入する。取付脚4の係合部4bを突設した部分が取付穴7に完全に挿入された後で、図9(c)に示すように、弾性変形されていた樹脂ベース2を元に戻すと、係合部4bの係止部4dがシャーシ5の係合穴7の外側の縁部7aに係止し、取付脚4が取付穴7から抜けないようになる。その一方、シャーシ5の取付穴7を形成した部分の厚みは、コネクタ1の取付脚4の係止部4dと樹脂ベース2との間のギャップ4eよりわずかに薄く設定されているため、樹脂ベース2がシャーシ5に当接し、取付脚4がそれ以上シャーシ5の中に入り込むことはない。このようにして、コネクタ1がシャーシ5に固定される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、部品であるコネクタ1を被取付物であるシャーシ5に安定に固定させるためには、取付脚4の係合部4bの高さを高くして抜けにくくしたり、脚部4aおよび係合部4bの幅を広くしてがたつきにくくしたりする必要がある。
【0011】しかしながら、係合部4bの幅を広くすると、取付脚4をシャーシ5の取付穴7に挿入するときに、係合部4bの傾斜部4cと取付穴7の外側の縁部7aとの接触長さが長くなって摩擦抵抗が大きくなるために、大きな力が必要となり、コネクタ1の取り付けが困難となる。逆に、係合部4bの幅を狭くしたり、係合部4bの高さを低くしたりすると、コネクタ1の取り付けは容易になるが、コネクタ1とシャーシ5とのがたつきが大きくなったり、金属端子3とシャーシ5とが接触したり、最悪の場合はコネクタ1がシャーシ5から外れてしまう可能性もある。
【0012】そこで、本発明は、部品を被取付物に取り付けやすく、しかも部品と被取付物とのがたつきの少ない部品の取付構造およびそれを用いた電子部品を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するために、本発明の部品の取付構造は、取付脚を有する部品と、該部品の前記取付脚を挿入する取付穴を形成した板状の被取付物からなり、前記取付穴の縁部に切欠部を設けたことを特徴とする。
【0014】また、本発明の電子装置は、前記部品を金属端子を樹脂ベースで保持したコネクタで構成し、前記被取付物をシャーシで構成して、上記の部品の取付構造を用いたことを特徴とする。
【0015】このように構成することにより、本発明の部品の取付構造によれば、部品の取付脚を被取付物の取付穴に挿入しやすく、しかも挿入後の取付脚と取付穴とのがたつきを少なくすることができ、部品が被取付物に対してがたついたり、部品が被取付物から外れたりするのを防止することができる。
【0016】また、本発明の電子装置によれば、シャーシに対するコネクタのがたつきを少なくすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】図1に、本発明の部品の取付構造の一実施例を示す。図1で、図5と同一もしくは同等の部分には同じ記号を付し、その説明は省略する。
【0018】図1において、被取付物であるシャーシ10にはコネクタ1の金属端子3に対応して、金属端子3よりも直径を大きくした端子穴11が金属端子3の数だけ形成され、その両側にはコネクタ1の取付脚4に対応して2つの取付穴12が形成されている。さらに、取付穴12の縁部のうち取付脚4の係合部4bと接触する外側の縁部12aには1つの半円形の切欠部13が形成されている。
【0019】このように構成されたコネクタ1のシャーシ10への取付の基本的な取付方法は図7および図8に示した方法と同じであり、その説明はここでは省略する。
【0020】次に図2に、取付脚4を取付穴12に挿入する過程を示す。図2は、取付穴12の位置でシャーシ10を切断した一部断面図で、取付脚4の取付穴12への挿入の過程を示しており、図1と同一の部分には同じ記号を付している。
【0021】まず、図2(a)に示すように、コネクタ1の取付脚4を、シャーシ10の取付穴12に、シャーシ10の外側から挿入する。取付脚4を取付穴12に挿入するとき、取付脚4の2つの係合部4b同士の最大間隔は2つの取付穴12の外側の縁部12a同士の間隔より大きいため、図2(b)に示すように、樹脂ベース2を弾性変形させて取付脚4の2つの係合部4b同士の最大間隔を2つの取付穴12の外側の縁部12a同士の間隔に合わせて挿入する。このとき、取付脚4の係合部4bの傾斜部4cと取付穴12の外側の縁部12aが接触して摩擦抵抗が発生するが、取付穴12の外側の縁部12aに切欠部13が形成されているために、切欠部13がない場合に比べれば係合部4bの傾斜部4cと取付穴12の外側の縁部12aとの接触長さが短く、その分だけ摩擦抵抗が小さくなり、挿入しやすくなっている。取付脚4の係合部4bを突設した部分が取付穴12に完全に挿入された後で、図2(c)に示すように、弾性変形されていた樹脂ベース2を元に戻すと、係合部4bの係止部4dがシャーシ10の係合穴12の外側の縁部12aに係止し、取付脚4が取付穴12から抜けないようになる。その一方、シャーシ10の取付穴12を形成した部分の厚みは、コネクタ1の取付脚4の係止部4dと樹脂ベース2との間のギャップ4eよりわずかに薄く設定されているため、樹脂ベース2がシャーシ10に当接し、取付脚4がそれ以上シャーシ10の中に入り込むことはない。このようにして、コネクタ1がシャーシ10に固定される。
【0022】ここで、図3に、本願発明者が行った取付穴に対する取付脚の挿入圧力の比較の結果を示す。図3は、横軸に取付脚の移動距離、縦軸に挿入圧力を取ったグラフで、x1が切欠部のない場合を、x2が切欠部を形成した場合を示している。使用した取付脚のうち、切欠部が無い方の係合部の幅(すなわち係合部と取付穴の外側の縁部との接触長さ)は1.965mmとなっているのに対して、切欠部を形成した方は同じ長さで切り欠きの幅が1.048mmであるため係合部と取付穴の外側の縁部との接触長さは0.917mmで、切欠部が無い場合の約47%となっている。このグラフより分かるように、切欠部のない場合の挿入圧力の最大値が0.213kgであるのに対して、切欠部を形成した場合には挿入圧力の最大値は0.097kgとなり、切欠部を形成した方が約46%の圧力で挿入できることが分かる。
【0023】図1に戻って、このように取付穴12に切欠部13を設けることにより、係合部4bの全体的な幅を保ったまま、取付穴12への挿入時に取付穴12の外側の縁部12aとの接触による摩擦抵抗の主な原因となるの係合部4bの実質的な幅を、切欠部13の幅の分だけ狭くすることができる。これによって、取付脚4を取付穴12に挿入するときに、摩擦抵抗が小さくなって挿入しやすくなるにもかかわらず、係合部4bの高さは変わらず、全体的な幅にも変化がなく広いままなので、コネクタ1がシャーシ10に対してがたついたりコネクタ1がシャーシ10から外れたりすることなく、安定に固定できるようになる。さらには、コネクタ1に設けた金属端子3の位置が確実に固定されるため、金属端子とシャーシに取り付けられるたとえば回路基板の電極との接続を確実にすることができる。
【0024】図4に、本発明の部品の取付構造の別の実施例を示す。図4で、図1と同一もしくは同等の部分には同じ記号を付し、その説明は省略する。
【0025】図4において、被取付物であるシャーシ20にはコネクタ1の金属端子3に対応して、金属端子3よりも直径を大きくした端子穴21が金属端子3の数だけ形成され、その両側にはコネクタ1の取付脚4に対応して2つの取付穴22が形成されている。さらに、取付穴22の縁部のうち取付脚4の係合部4bと接触する外側の縁部22aには2つの矩形の切欠部23が形成されている。
【0026】このように、取付穴22の縁部に2つの切欠部23を形成することにより、係合部4bと取付穴22の外側の縁部22aとの接触長さが切欠部が1つの場合に比べてさらに短くなり、図1の実施例よりもさらに取付脚4を取付穴22に挿入しやすくなる。
【0027】なお、上記の実施例においては、取付穴の外側の縁部に1つあるいは2つの切欠部を設けたものについて説明したが、切欠部の数は1つあるいは2つに限るものではなく、1つ以上の切欠部を形成したものであれば同様の作用・効果を示すことができる。また、上記の各実施例においては半円形や矩形の切欠部を示したが、これも三角形など別の形状であっても構わないものである。
【0028】また、上記の実施例においてはチューナーのシャーシにコネクタを取り付ける場合における部品の取付構造について説明したが、本発明の部品の取付構造はチューナーのシャーシとコネクタに限るものではなく、取付脚を取付穴を有する板状のものに取り付けられるどのような場合にも適用することができる。
【0029】
【発明の効果】本発明の部品の取付構造によれば、被取付物の取付穴に切欠部を形成することによって、部品の取付脚を被取付物の取付穴に挿入しやすくなって作業性が良くなるとともに、挿入後の部品と被取付物とのがたつきが少なく、部品を被取付物に安定に固定することができるようになる。
【0030】また、本発明の電子装置によれば、コネクタがシャーシに対してがたつかず、コネクタに設けた金属端子の位置が確実に固定されるために、金属端子とシャーシに取り付けられるたとえば回路基板の電極との接続を確実にすることができる。
【出願人】 【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
【出願日】 平成10年(1998)2月3日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−220273
【公開日】 平成11年(1999)8月10日
【出願番号】 特願平10−22253