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【発明の名称】 プリント配線板
【発明者】 【氏名】森本 倫弘

【氏名】小林 剛

【要約】 【課題】電磁波ノイズの放射を防止するプリント配線板を提供する。

【解決手段】電子部品9a、9bに電源を供給するための電源パターン4を配線した電源層5と電子部品9a、9bの動作により電流が流れる信号パターン2を配線した信号層3を、複数のグラウンド層7、8で挟むように配設し、グラウンド層7、8同士を複数箇所で接続する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電子部品に電源を供給するための電源パターンを配線した電源層と電子部品の動作により電流が流れる信号パターンを配線した信号層、およびグラウンドパターンを配線したグラウンド層とを有するプリント配線板において、前記グラウンド層を複数設けて前記電源層および前記信号層を複数のグラウンド層で挟むように配設し、グラウンド層同士を複数箇所で接続したことを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】 プリント配線板の表裏の表層がグラウンド層である請求項1記載のプリント配線板。
【請求項3】 グラウンド層同士の接続は電子部品により行われる請求項1記載のプリント配線板。
【請求項4】 グラウンド層同士の接続は、プリント配線板全体に亘って密にした請求項1記載のプリント配線板。
【請求項5】 グラウンド層同士は外形の形状が同一である請求項1記載のプリント配線板。
【請求項6】 グラウンド層同士の接続はプリント配線板の周縁部に行われる請求項1記載のプリント配線板。
【請求項7】 複数のグラウンド層が挟む前記電源層または前記信号層の周縁部にグラウンド層を設けた請求項1記載のプリント配線板。
【請求項8】 電子部品に電源を供給するための電源パターンを配線した電源層と電子部品の動作により電流が流れる信号パターンを配線した信号層、およびグラウンドパターンを配線したグラウンド層とを有するプリント配線板において、前記電源層と前記グラウンド層とで前記信号層を挟むように配設し、前記電源層と前記グラウンド層とをコンデンサを介して接続したことを特徴とするプリント配線板。
【請求項9】 前記電源層と前記グラウンド層のコンデンサによる接続は、プリント配線板全体に亘って密にした請求項8記載のプリント配線板。
【請求項10】 前記電源層と前記グラウンド層は外形の形状が同一である請求項8記載のプリント配線板。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、集積回路(IC)や大規模集積回路(LSI)等の電子部品を搭載するプリント配線板に関し、とくに電磁波ノイズの低減を図ったプリント配線板に関する。
【0002】
【従来の技術】プリント配線板は、ICやLSI等の電子部品を搭載し、電子回路を構成するものである。プリント配線板には、電子部品への電源供給のために面状の電源パターンを配線した電源層と面状のグラウンドパターンが配線されたグラウンド層が配設されており、さらに搭載された電子部品同士を接続して電子回路を構成するための信号パターンが配線される信号層が配設されている。電源層、グラウンド層、信号層の各層の間は絶縁体により電気的に絶縁されている。信号層同士の接続、また電子部品の電源層およびグラウンド層との接続は、スルーホールやビアにより行われる。
【0003】電子回路が動作すると、信号層内の信号パターンや電源層とグラウンド層の間から電磁波ノイズが発生する。この電磁波ノイズに対しては、従来、プリント配線板全体を金属の筐体で囲んで電磁波ノイズをシールドしたり、また電磁波ノイズを抑制するための専用の部品をあらたにプリント配線板に搭載したりして、その低減を図っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来の技術においては、プリント配線板から放射される電磁波ノイズを金属の筐体でシールドする場合、この金属筐体が大きいのでプリント配線板を使用する電子機器が大型化するという問題と、金属筐体があらたなアンテナとなって電磁波ノイズを放射するという問題があり、また電磁波ノイズを抑制するための専用の対策部品を新たにプリント配線板に搭載する場合には、コストが上昇するという問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明は、電子部品に電源を供給するための電源パターンを配線した電源層と電子部品の動作により電流が流れる信号パターンを配線した信号層、およびグラウンドパターンを配線したグラウンド層とを有するプリント配線板において、前記グラウンド層を複数設けて前記電源層および前記信号層を複数のグラウンド層で挟むように配設し、グラウンド層同士を複数箇所で接続したことを特徴とする。
【0006】上記構成の本発明によれば、電子部品が動作すると、信号パターンや電源層の電源パターンに電流が流れ、この電流によって電磁波ノイズが発生する。しかし、電源層および信号層をグランド層で挟み込み、グランド層同士を複数箇所で接続したことにより、グランド層のグランドパターンに電源層の電源パターンや信号パターンに流れる電流とは逆方向に同じ大きさのリターン電流が流れる。このリターン電流により電磁波ノイズが打ち消される。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面に共通する要素には同一の符号を付す。図1は本発明に係る第1の実施の形態のプリント配線板を示す概略断面図である。
【0008】図1において、プリント配線板1は、信号パターン2が配線された信号層3と電源パターン4が配線された電源層5を中層に配設している。信号層3と電源層5は絶縁体6の中に埋設されている。プリント配線板1の表面(上面)および裏面(下面)にはグラウンドパターン7、8が配設されている。グラウンドパターン7、8はそれぞれグラウンド層を構成する。表面のグラウンドパターン7上には電子部品9a、9bが搭載されている。電子部品9a、9bは電源が供給される電子部品で、電源パターン4と表裏のグラウンドパターン7に接続されている。電源パターン4には電子部品9a、9bの電源供給側が接続され、グラウンドパターン7には電子部品9a、9bのグラウンド側が接続されている。
【0009】表側のグラウンドパターン7と裏側のグラウンドパターン8はスルーホール10により接続されている。スルーホール10とグラウンドパターン7との接続位置と、スルーホール10とグラウンドパターン8との接続位置は、プリント配線板1の水平方向に対して線対称の位置(座標的に同じ位置)になっている。またプリント配線板1にはスルーホール11が形成され、このスルーホール11により表側のグラウンドパターン7と裏側のグラウンドパターン8が接続されている。スルーホール11のグラウンドパターン7、8との接続位置も線対称の位置になっている。
【0010】図2はグラウンドパターン7、8を示す斜視図である。図2において、表側のグラウンドパターン7と裏側のグラウンドパターン8は、ともに板状に形成され、外形が同じ形状になっている。グラウンドパターン7、8の各所には、両グラウンドパターン7、8を接続するためのスルーホールまたは電子部品を接続するためのスルーホール用の穴12が形成されている。
【0011】図1、2において、電源が供給される電子部品9a、9bのグラウンド側に設けられるスルーホール10とスルーホール11は表側のグラウンドパターン7と裏側のグラウンドパターン8を接続する接続部を形成するが、この接続部はプリント配線板1の全体に亘って密に、例えば約10mm四方の間隔で設けられている。この10mm四方の間隔は、厳密に設定しなければならないものではなく、概略設定すればよいが、例えば1GHzまでの電磁波ノイズを抑えるためには少なくとも20mm四方に1個は接続部を設けるようにする。接続部としては、プリント配線板1全体に亘って専用のスルーホール11を設けなくても、図1に示すような電源が供給される電子部品9が搭載されていれば、その電子部品9用のスルーホールを利用して両グラウンドパターン7、8を接続するようにしてもよいのである。
【0012】次に実施の形態における電磁波ノイズを低減する動作について説明する。図1において、電子部品9aまたは9bが動作すると、信号パターン2および電源パターン4に電流が流れ、信号パターン2および電源パターン4から電磁波ノイズNが発生する。このとき、電源層5が両グラウンドパターン7、8に挟まれるように配設され、かつ両グラウンドパターン7、8が接続部により完全に接続されているので、信号パターン2および電源層5に電流が流れることによってグラウンドパターン7、8に逆方向のリターン電流が流れる。即ち、ある瞬間において電源パターン4にaで示す方向の電流が流れたとすると、両グラウンドパターン7、8にはbで示す方向のリターン電流が流れる。
【0013】グラウンドパターン7、8にリターン電流が流れると、電磁波ノイズNとは逆方向の電磁波が発生し、電磁波ノイズNを打ち消す。
【0014】電源層5および信号層3の上下にグラウンドパターン7、8が設けられておらず、また接続部で接続されていない場合には、電源層5および信号層3とグラウンドパターンとの電気的結合が完全ではないので、プリント配線板が具備される電子機器の金属筐体や大地等の他の導電体にリターン電流が流れ、信号パターンや電源パターンに流れる電流とリターン電流との距離が遠くなる。この結果、電磁波ノイズNを十分に打ち消すことができず、プリント配線板から電磁波ノイズNを放射することになる。
【0015】本実施の形態では、表裏のグラウンドパターン7、8で信号層3および電源層5を挟み、しかも密に設けた接続部により両グラウンドパターン7、8を完全に接続したので、電子部品9が動作した場合に流れるリターン電流を両グラウンドパターン7、8のみに流れるようにでき、電磁波ノイズNを打ち消すのに十分な電磁波を発生させることができる。また本実施の形態では、図2に示すように、両グラウンドパターン7、8の外形形状を同じにしているので、リターン電流はよく流れるようになっている。
【0016】なお上記実施の形態では表裏のグラウンドパターン7、8をスルーホール10、11により接続しているが、他の導電部材で接続するようにしてもよい。
【0017】図3、図4は第1の実施の形態のプリント配線板1の電磁波ノイズを計測した実験結果を示す説明図であり、図3は水平偏波を示し、図4は垂直偏波を示す。また図5、図6は従来のプリント配線板の電磁波ノイズを計測した実験結果を示す説明図であり、同様に図5は水平偏波を示し、図6は垂直偏波を示す。各図において横軸はプリント配線板から放射される電磁波の周波数(単位はMHz)を示し、縦軸はプリント配線板から放射される電磁波ノイズの強度(単位はdBμV)を示す。これらの図から分かるように、実験結果から見ても実施の形態のプリント配線板1では従来のプリント配線板に較べて放射される電磁波ノイズが大幅に抑制されている。
【0018】上述した実施の形態では4層のプリント配線板を例にして説明したが、本発明は3層以上の多層プリント配線板であれば適用可能である。図7は6層のプリント配線板に適用した例を示し、図8は8層のプリント配線板に適用した例を示す。図7、図8に示す例はともに上記実施の形態のものと同様に、表層と裏層にグラウンドパターン7、8を配設したもので、両グラウンドパターン7、8により中層の信号パターン2および電源層5を挟み、両グラウンドパターン7、8は多数箇所で互いにスルーホール10およびスルーホール11で接続されている。この例では上述の実施の形態に較べて信号層3の数が多くなっており、中層の層構成が異なるが、電磁波ノイズの抑制の効果は変わらない。
【0019】図9乃至図12に示す変形例は、2つのグラウンドパターンの少なくとも一方が中層になっている例である。これらの各変形例において、グラウンドパターン7、8の両方またはいずれか一方が中層として配設されている。両グラウンドパターン7、8の間には、電源層5だけか、または電源層5と電磁波ノイズの発生に関係する信号層3とともに配設されている。グラウンドパターン7または8の外側には電磁波ノイズを気にする必要のない信号層14が配設されている。これらの変形例において、両グラウンドパターン7、8は密に接続されていることに変わりはない。このような変形例においても電磁波ノイズの抑制の効果が得られる。
【0020】図13は本発明の第2の実施の形態のプリント配線板の信号層を示す平面図、図14は第2の実施の形態の電源層を示す平面図である。図13、図14において、第2の実施の形態のプリント配線板においては、信号パターン21が配線された信号層22の周囲に環状のグラウンドパターン23が配設されている。また電源層24の周囲にも環状のグラウンドパターン25が配設されている。ここでは図示していないが、この実施の形態においても前記実施の形態と同様に、複数のグラウンド層により信号層22と電源層24を挟むように構成されており、信号層22と電源層24を挟むグラウンド層の外形はグラウンドパターン23の外形と同一の形状をしている。
【0021】環状のグラウンドパターン23、25にはほぼ均等の間隔でスルーホール用の穴26が全面に亘って形成されており、この穴26を使用して環状のグラウンドパターン23、25は、信号層22と電源層24を挟むグラウンドパターンと接続する。
【0022】信号パターン21がプリント配線板の端部に配線されている場合、信号パターン21はプリント配線板のグラウンドパターン以外にも電気的に結合しやすくなり、信号パターン21に対するリターン電流はプリント配線板のグラウンドパターン以外にも流れやすくなるので、電磁波ノイズが若干放射される。第2の実施の形態では、環状のグラウンドパターン23、25を信号層22および電源層24の周囲に設けたので、端部の信号パターン21からの電磁波ノイズの放射を防止することができる。
【0023】とくに本実施の形態では、信号層22と電源層24を上下から挟むだけではなく、信号パターン21もしくは電源パターンと同一平面上にグラウンドパターンを設けたことにより、信号パターン21または電源パターンを遮蔽箱(シールドボックス)に入れたのと同じ状態になり、電磁波ノイズの放射をより一層防止することができる。
【0024】第2の実施に形態においても、プリント配線板の周囲だけではなく、その内側の部分でも信号層22と電源層24を挟むグラウンドパターンが互いに密に接続されているものとする。なお第2の実施の形態の変形例として、環状のグラウンドパターンを設けることなく、信号層22と電源層24を挟むグラウンドパターン同士の接続部を環状に設けることでも第1の実施の形態よりも電磁波ノイズの放射を防止する効果が上がることはいうまでもない。
【0025】上記第1、第2の実施の形態では、複数のグラウンド層を設けて電源層と信号層を挟んでいるが、電源層とグラウンド層で信号層を挟み、電源層とグラウンド層間をコンデンサを介して接続しても電磁波ノイズの放射を防止する効果がある。このような構成の第3の実施の形態を図15に示す。
【0026】図15において、第3の実施の形態のプリント配線板30においては、電源層31とグラウンド層32とで信号層33を挟む構成になっており、電源層31とグラウンド層32はコンデンサ34およびスルーホール35を介して接続されている。コンデンサ34は前記実施の形態と同様にプリント配線板30全体に亘って万遍無く密に配置されるが、例えば1GHzまでの電磁波ノイズを抑えるためには20mm四方に1個程度の割合でコンデンサ34を設けて電源層31とグラウンド層32を接続するようにする。なお電源層31とグラウンド層32との接続は、できるだけ座標的に同じ位置で行うようにし、電源層31の外形形状とグラウンド層32の外形形状はほぼ同一になっている。
【0027】この第3の実施の形態においても、3層以上のプリント配線板に対して実施可能であり、電磁波ノイズを抑制したり信号層を電源層とグラウンド層とで挟むようにし、電源層とグラウンド層とをコンデンサを介して接続することにより、電磁波ノイズの放射を防止することができる。
【0028】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明は、グラウンド層を複数設けて電源層および信号層をこれらの複数のグラウンド層で挟むように配設し、グラウンド層同士を複数箇所で接続したことにより、電磁波ノイズの放射を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)1月29日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】大西 健治
【公開番号】 特開平11−220263
【公開日】 平成11年(1999)8月10日
【出願番号】 特願平10−17401