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【発明の名称】 電磁波シールド性光透過窓材
【発明者】 【氏名】森村 泰大

【氏名】小山 春雄

【氏名】杉町 正登

【氏名】吉川 雅人

【要約】 【課題】透明導電性膜フィルムと導電性印刷膜とを2枚の透明基板間に介在させて積層することで、モアレ現象を防止すると共に、光透過性、電磁波シールド性、熱線(近赤外線)カット性がいずれも極めて良好な電磁波シールド性光透過窓材とする。また、窓材の組み立て、筐体への組み込みが容易で、筐体に対して、均一かつ低抵抗の導通を図ることができる電磁波シールド性光透過窓材を提供する。

【解決手段】透明導電性フィルム4を有する透明基板2Bと透明基板2Aと印刷フィルム5を介して接合一体化してなる電磁波シールド性光透過窓材1。透明導電性フィルム4及び印刷フィルム5の縁部から透明基板2Bの端面を経てその表面の縁部にまで達するように導電性粘着テープ7A,7Bを貼り付ける。印刷フィルム5は、導電性インキを透明板に線幅200μm以下、開口率75%以上の目の粗い格子状にパターン印刷したもの。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1の透明基板と、一方の板面に透明導電性膜を有する第2の透明基板とを、該透明導電性膜が接合面側となるように導電性印刷膜を介在させて透明接着剤により接合一体化してなる電磁波シールド性光透過窓材であって、該導電性印刷膜は、導電性インキを、線幅200μm以下、開口率75%以上の格子状に透明板の表面にパターン印刷してなるものであり、該透明導電性膜の縁部から該第2の透明基板の端面を経て該第2の透明基板の他方の板面の縁部にまで達するように第1の導電性粘着テープを貼り付け、該導電性印刷膜の縁部から該第2の透明基板の端面を経て該第2の透明基板の他方の板面の縁部にまで達するように第2の導電性粘着テープを貼り付けたことを特徴とする電磁波シールド性光透過窓材。
【請求項2】 請求項1において、前記第1及び第2の透明基板の端面から第1の透明基板の非接合面側の板面の縁部と第2の透明基板の他方の板面の縁部とに回り込んで第3の導電性粘着テープが貼り付けられていることを特徴とする電磁波シールド性光透過窓材。
【請求項3】 請求項1又は2において、該導電性粘着テープが架橋型導電性粘着テープであることを特徴とする電磁波シールド性光透過窓材。
【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項において、透明接着剤がエチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂を主成分とし、架橋剤を含有する熱架橋型接着剤であることを特徴とする電磁波シールド性光透過窓材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はPDP(プラズマディスプレーパネル)の前面フィルタ等として有用な電磁波シールド性光透過窓材に係り、特に、OA機器等の筐体に容易に組み込むことができ、しかも、筐体に対して良好な導通を図ることができる電磁波シールド性光透過窓材に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、OA機器や通信機器等の普及にともない、これらの機器から発生する電磁波が問題視されるようになっている。即ち、電磁波の人体への影響が懸念され、また、電磁波による精密機器の誤作動等が問題となっている。
【0003】そこで、従来、OA機器のPDPの前面フィルタとして、電磁波シールド性を有し、かつ光透過性の窓材が開発され、実用に供されている。このような窓材はまた、携帯電話等の電磁波から精密機器を保護するために、病院や研究室等の精密機器設置場所の窓材としても利用されている。
【0004】従来の電磁波シールド性光透過窓材は、主に、金網のような導電性メッシュ材又は透明導電性フィルムをアクリル板等の透明基板の間に介在させて一体化した構成とされている。
【0005】従来の電磁波シールド性光透過窓材に用いられている導電性メッシュは、一般に線径10〜500μmで5〜500メッシュ程度のものであり、開口率は75%未満である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来用いられている導電性メッシュは、一般に、メッシュを構成する導電性繊維の線径が太いものは目が粗く、線径が細くなると目が細かくなっている。これは、線径の太い繊維であれば、目の粗いメッシュとすることは可能であるが、線径の細い繊維で目の粗いメッシュを形成することは非常に困難であることによる。
【0007】このため、このような導電性メッシュを用いた従来の電磁波シールド性光透過窓材では、光透過率の良いものでも、高々70%程度であり、良好な光透過性を得ることができないという欠点があった。
【0008】また、従来の導電性メッシュでは、電磁波シールド性光透過窓材を取り付ける発光パネルの画素ピッチとの関係で、モアレ(干渉縞)が発生し易いという問題もあった。
【0009】透明導電性フィルムを併用することで光透過性と電磁波シールド性とを両立させることが考えられるが、透明導電性フィルムは、筐体との導通をとることが容易ではないという不具合がある。
【0010】即ち、導電性メッシュであれば、上述の如く、導電性メッシュの周縁部を透明基板周縁部からはみ出させ、このはみ出し部分を折り曲げ、この折り曲げた部分から筐体との導通を図ることができるが、透明導電性フィルムでは、その周縁部を透明基板周縁部からはみ出させて折り曲げると、この折り目部分でフィルムが裂けてしまい、筐体との導通をとることができない。
【0011】また、透明導電性フィルムの代りに、一方の透明基板の接着面に透明導電性膜を直接成膜することも考えられるが、この場合には、透明導電性膜が他方の透明基板で覆われてしまい、透明導電性膜から筐体への導通を図ることができない。
【0012】従って、透明導電性膜フィルムを用いる場合には、例えば、透明基板に貫通孔を形成して透明導電性フィルムとの導通路を設けるなどの設計変更が必要となり、電磁波シールド性光透過窓材の組み立てや筐体への組み込み作業が複雑となる。
【0013】本発明は上記従来の問題点を解決し、モアレ現象を防止すると共に、光透過性、電磁波シールド性、熱線(近赤外線)カット性がいずれも極めて良好な電磁波シールド性光透過窓材とするために、導電性印刷膜と導電性メッシュとを2枚の透明基板間に介在させて積層した電磁波シールド性光透過窓材であって、窓材の組み立て、筐体への組み込みが容易で、筐体に対して、均一かつ低抵抗の導通を図ることができる電磁波シールド性光透過窓材を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の電磁波シールド性光透過窓材は、第1の透明基板と、一方の板面に透明導電性膜を有する第2の透明基板とを、該透明導電性膜が接合面側となるように導電性印刷膜を介在させて透明接着剤により接合一体化してなる電磁波シールド性光透過窓材であって、該導電性印刷膜は、導電性インキを、線幅200μm以下、開口率75%以上の格子状に透明板の表面にパターン印刷してなるものであり、該透明導電性膜の縁部から該第2の透明基板の端面を経て該第2の透明基板の他方の板面の縁部にまで達するように第1の導電性粘着テープを貼り付け、該導電性印刷膜の縁部から該第2の透明基板の端面を経て該第2の透明基板の他方の板面の縁部にまで達するように第2の導電性粘着テープを貼り付けたことを特徴とする。
【0015】パターン印刷によれば、所望のパターン形状の導電層を形成することができることから、線幅や間隔、網目形状の自由度は導電性メッシュに比べて格段に大きく、線幅200μm以下、開口率75%以上という細線で開口率の高い格子状の導電層であっても容易に形成可能である。
【0016】しかして、このような細線で目の粗い導電層を形成した導電性印刷膜であれば、良好な光透過性を得ることができると共に、モアレ現象を防止することができる。
【0017】なお、本発明において、開口率とはメッシュの線幅と1インチ幅に存在する線の数から計算で求めたものである。
【0018】本発明ではこのような導電性印刷膜と透明導電性膜とを併用することで、モアレ現象のない高光透過性の設計とした導電性印刷膜では不足する電磁波シールド性を透明導電性膜で補うことにより、モアレ現象を防止して良好な光透過性、電磁波シールド性、熱線(近赤外)カット性を得る。
【0019】本発明によれば、透明導電性膜及び導電性印刷膜の縁部にそれぞれ第1、第2の導電性粘着テープを貼り、この第1及び第2の導電性粘着テープとを第2の透明基板の端面を回り込ませることにより、窓材の設計変更を行うことなく、容易に導通部を引き出すことができる。このため、電磁波シールド性光透過窓材を容易に組み立てることができ、また、筐体に容易に組み込むことができるようになり、導電性粘着テープを介して電磁波シールド性光透過窓材の透明導電性膜及び導電性印刷膜と筐体との間に良好な導通を得ることができる。
【0020】本発明では、第1、第2の導電性粘着テープとは別に、更に、第1及び第2の透明基板の端面から、第1の透明基板の表面の縁部と第2の透明基板の表面の縁部とに回り込んで第3の架橋型導電性粘着テープを貼り付けるのが好ましく、これにより、電磁波シールド性光透過窓材の接合強度が向上して、取り扱い性が良くなり、より一層筐体への組み込みが容易になると共に、均一かつ安定な導通を図ることができるようになる。
【0021】ところで、従来の導電性接着テープでは、前述の如く、仮り止め、貼り直しができないために作業性が悪く、接着部の耐久性や接着強度が十分でないといった不具合が生じる。
【0022】そこで、導電性粘着テープとしては特に架橋型導電性粘着テープを用いるのが好ましい。
【0023】この架橋型導電性粘着テープ、特に、エチレン−酢酸ビニル系共重合体とその架橋剤を含む後架橋型接着層よりなる粘着層を有する架橋型導電性粘着テープであれば、次のような特長を有し、効率的な組み立てを行える。
【0024】(i) 優れた粘着性を有し、被貼着対象に容易に、かつ適度な粘着力で仮り止めすることができる。
(ii) 架橋前の粘着力は仮り止めには十分であるが、さほど強くないため、貼り直しが可能であり、修整作業を容易に行える。
(iii) 架橋硬化させた後の接着力は極めて強固であるため、高い接着強度を得ることができる。
(iv) 耐湿・耐熱性が高く、長期耐久性に優れる。
(v) 熱架橋の場合でも、一般に、130℃以下の温度で架橋硬化可能であり、また、光架橋性とすることもでき、比較的低温で架橋硬化できるため、接着作業が容易である。
【0025】本発明において、透明接着剤としてはエチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂を主成分とし、架橋剤を含有する熱架橋型接着剤が好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の電磁波シールド性光透過窓材の実施の形態を詳細に説明する。
【0027】図1(a)は本発明の電磁波シールド性光透過窓材の実施の形態を示す模式的な断面図であり、図1(b)は架橋型導電性粘着テープを貼り付けた透明導電性フィルム又は印刷フィルムを示す平面図である。
【0028】この電磁波シールド性光透過窓材1は、透明基板(第1の透明基板)2Aと、一方の板面に透明導電性フィルム4を接着用樹脂フィルム3Cで接着した透明基板(第2の透明基板)2Bとを、透明板5Aの表面に導電層5Bを印刷した導電性印刷膜(以下、「印刷フィルム」と称す。)5を介して接着用樹脂フィルム3A,3Bを用いて、接着一体化したものであり、透明基板2Bの透明導電性フィルム4の4側辺の縁部から当該透明基板2Bの端面を経て他方の板面の縁部にまで達するように、第1の架橋型導電性粘着テープaを貼り付けてある。また、印刷フィルム5の導電層5B側の4側辺の縁部から透明基板2Bの端面を経て該他方の板面の縁部にまで達するように第2の架橋型導電性粘着テープbを貼り付けてある。更に、透明基板2A,2B及び印刷フィルム5、透明導電性フィルム4の積層体の全周において、端面の全体に付着すると共に、この積層体の表裏の角縁を回り込み、一方の透明基板2Aの表面の端縁部と他方の透明基板2Bの表面の端縁部の双方に付着するように、更に第3の架橋型導電性粘着テープ7Cが設けられている。
【0029】本発明で用いる架橋型導電性粘着テープ7A,7B,7Cとしては、図示の如く、金属箔aの一方の面に、導電性粒子を分散させた粘着層bを設けたものであって、この粘着層bが、エチレン−酢酸ビニル系共重合体を主成分とするポリマーとその架橋剤とを含む後架橋型接着層であるものが好ましい。
【0030】粘着層bに分散させる導電性粒子としては、電気的に良好な導体であれば良く、種々のものを使用することができる。例えば、銅、銀、ニッケル等の金属粉体、このような金属で被覆された樹脂又はセラミック粉体等を使用することができる。また、その形状についても特に制限はなく、りん片状、樹枝状、粒状、ペレット状等の任意の形状をとることができる。
【0031】この導電性粒子の配合量は、粘着層bを構成する後述のポリマーに対し0.1〜15容量%であることが好ましく、また、その平均粒径は0.1〜100μmであることが好ましい。このように、配合量及び粒径を規定することにより、導電性粒子の凝縮を防止して、良好な導電性を得ることができるようになる。
【0032】粘着層bを構成するポリマーは、下記(I)〜(III )から選ばれる、エチレン−酢酸ビニル系共重合体を主成分とし、メルトインデックス(MFR)が1〜3000、特に1〜1000、とりわけ1〜800であるものが好ましい。
【0033】このようにMFRが1〜3000で、かつ酢酸ビニル含有率が2〜80重量%の下記(I)〜(III )の共重合体を使用することにより、架橋前の粘着性が上がり、作業性が向上すると共に、架橋後の硬化物は3次元架橋密度が高くなり、強固な接着力を発現し、耐湿・耐熱性も向上する。
【0034】(I)酢酸ビニル含有率が20〜80重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(II)酢酸ビニル含有率が20〜80重量%であり、アクリレート系及び/又はメタクリレート系モノマーの含有率が0.01〜10重量%であるエチレンと酢酸ビニルとアクリレート系及び/又はメタクリレート系モノマーとの共重合体(III)酢酸ビニル含有率が20〜80重量%であり、マレイン酸及び/又は無水マレイン酸の含有率が0.01〜10重量%であるエチレンと酢酸ビニルとマレイン酸及び/又は無水マレイン酸との共重合体上記(I)〜(III)のエチレン−酢酸ビニル系共重合体において、エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有率は20〜80重量%であり、好ましくは20〜60重量%である。酢酸ビニル含有率が20重量%より低いと高温時に架橋硬化させる場合に十分な架橋度が得られず、一方、80重量%を超えると、(I),(II)のエチレン−酢酸ビニル系共重合体では樹脂の軟化温度が低くなり、貯蔵が困難となり、実用上問題であり、(III )のエチレン−酢酸ビニル系共重合体では接着層強度や耐久性が著しく低下してしまう傾向がある。
【0035】また、(II)のエチレンと酢酸ビニルとアクリレート系及び/又はメタクリレート系モノマーとの共重合体において、アクリレート系及び/又はメタクリレート系モノマーの含有率は0.01〜10重量%であり、好ましくは0.05〜5重量%である。このモノマーの含有率が0.01重量%より低いと接着力の改善効果が低下し、一方、10重量%を超えると加工性が低下してしまう場合がある。なお、アクリレート系及び/又はメタクリレート系モノマーとしては、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル系モノマーの中から選ばれるモノマーが挙げられ、アクリル酸又はメタクリル酸と炭素数1〜20、特に〜18の非置換又はエポキシ基等の置換基を有する置換脂肪族アルコールとのエステルが好ましく、例えばアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸グリシジル等が挙げられる。
【0036】また、(III)のエチレンと酢酸ビニルとマレイン酸及び/又は無水マレイン酸との共重合体において、マレイン酸及び/又は無水マレイン酸の含有率は0.01〜10重量%であり、好ましくは0.05〜5重量%である。この含有率が0.01重量%より低いと接着力の改善効果が低下し、一方、10重量%を超えると加工性が低下してしまう場合がある。
【0037】本発明に係るポリマーは、上記(I)〜(III)のエチレン−酢酸ビニル系共重合体を40重量%以上、特に60重量%以上含むこと、とりわけ上記(I)〜(III)のエチレン−酢酸ビニル系共重合体のみから構成されることが好ましい。ポリマーがエチレン−酢酸ビニル系共重合体以外のポリマーを含む場合、エチレン−酢酸ビニル系共重合体以外のポリマーとしては、主鎖中に20モル%以上のエチレン及び/又はプロピレンを含有するオレフィン系ポリマー、ポリ塩化ビニル、アセタール樹脂等が挙げられる。
【0038】このポリマーの架橋剤としては、熱硬化型接着層を形成するためには熱架橋剤としての有機過酸化物が、また、光硬化型接着層を形成するためには光架橋剤としての光増感剤を用いることができる。
【0039】ここで、有機過酸化物としては、70℃以上の温度で分解してラジカルを発生するものであればいずれも使用可能であるが、半減期10時間の分解温度が50℃以上のものが好ましく、粘着剤の塗工温度、調製条件、貯蔵安定性、硬化(接着)温度、被貼着対象の耐熱性等を考慮して選択される。
【0040】使用可能な有機過酸化物としては、例えば2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4’−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート、ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ヒドロキシヘプチルパーオキサイド、クロロヘキサノンパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クミルパーオキシオクトエート、サクシニックアシッドパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルバーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、m−トルオイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。有機過酸化物としては、これらのうちの少なくとも1種が単独で又は混合して用いられ、通常前記ポリマーに対し0.1〜10重量%が添加される。
【0041】一方、光増感剤(光重合開始剤)としては、ラジカル光重合開始剤が好適に用いられる。ラジカル光重合開始剤のうち、水素引き抜き型開始剤としてはベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、4−(ジエチルアミノ)安息香酸エチル等が使用可能である。また、ラジカル光重合開始剤のうち、分子内開裂型開始剤として、ベンゾインエーテル、ベンゾイルプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシアルキルフェノン型として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アルキルフェニルグリオキシレート、ジエトキシアセトフェノンが、また、α−アミノアルキルフェノン型として、2−メチル−1− [4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1が、またアシルフォスフィンオキサイド等が用いられる。光増感剤としては、これらのうちの少なくとも1種が単独で又は混合して用いられ、通常前記ポリマーに対し0.1〜10重量%が添加される。
【0042】本発明に係る粘着層は、接着促進剤としてシランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等の1種又は2種以上の混合物が用いられる。これらのシランカップリング剤は、前記ポリマーに対し、通常0.01〜5重量%程度用いられる。
【0043】更に接着促進剤としてはエポキシ基含有化合物を配合しても良く、この場合、エポキシ基含有化合物としては、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノール(EO)5グリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、ブチルグリシジルエーテル等が挙げられる。また、エポキシ基を含有するポリマーをアロイ化することによっても同様の効果を得ることができる。これらのエポキシ基含有化合物は、1種又は2種以上の混合物として、前記ポリマーに対し、通常0.1〜20重量%程度用いられる。
【0044】粘着層ないし接着層の物性(機械的強度、接着性、光学的特性、耐熱性、耐湿性、耐候性、架橋速度等)の改良や調節のために、粘着層には、アクリロキシ基、メタクリロキシ基又はアリル基を有する化合物を配合することもできる。
【0045】この目的で用いられる化合物としては、アクリル酸又はメタクリル酸誘導体、例えばそのエステル及びアミドが最も一般的であり、エステル残基としてはメチル、エチル、ドデシル、ステアリル、ラウリルのようなアルキル基のほかに、シクロヘキシル基、テトラヒドロフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。また、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコールとのエステルも同様に用いられる。アミドとしては、ダイアセトンアクリルアミドが代表的である。多官能架橋助剤としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等のアクリル酸又はメタクリル酸エステル、アリル基を有する化合物としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等が挙げられる。これらの化合物は1種又は2種以上の混合物として、前記ポリマーに対し、通常0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜30重量%添加使用される。この添加量が50重量%を超えると粘着剤の調製時の作業性や塗工性を低下させることがある。
【0046】更に、加工性や貼り合わせ等の向上の目的で炭化水素樹脂を粘着層中に添加することができる。この場合、添加される炭化水素樹脂は天然樹脂系、合成樹脂系のいずれでもよい。天然樹脂系としてはロジン、ロジン誘導体、テルペン系樹脂が好適に用いられる。ロジンではガム系樹脂、トール油系樹脂、ウッド系樹脂を用いることができる。ロジン誘導体としてはロジンをそれぞれ水素化、不均一化、重合、エステル化、金属塩化したものを用いることができる。テルペン系樹脂としてはα−ピネン、β−ピネン等のテルペン系樹脂の他、テルペンフェノール樹脂を用いることができる。また、その他の天然樹脂としてダンマル、コーバル、シェラックを用いてもよい。一方、合成樹脂系では石油系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂が好適に用いられる。石油系樹脂では脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、水素化石油樹脂、純モノマー系石油樹脂、クマロンインデン樹脂を用いることができる。フェノール系樹脂ではアルキルフェノール樹脂、変性フェノール樹脂を用いることができる。キシレン系樹脂ではキシレン樹脂、変性キシレン樹脂を用いることができる。これら炭化水素樹脂の添加量は適宜選択されるが、ポリマーに対して1〜200重量%が好ましく、更に好ましくは5〜150重量%である。
【0047】以上の添加剤のほか、本発明においては、老化防止剤、紫外線吸収剤、染料、加工助剤等を本発明の目的に支承をきたさない範囲で粘着層中に配合してもよい。
【0048】本発明の架橋型導電性粘着テープ7A〜7Cの基材となる金属箔aとしては、銅、銀、ニッケル、アルミニウム、ステンレス等の箔を用いることができ、その厚さは通常の場合、1〜100μm程度とされる。
【0049】粘着層bは、この金属箔aに、前記エチレン−酢酸ビニル系共重合体、架橋剤及び必要に応じてその他の添加剤と導電性粒子とを所定の割合で均一に混合したものをロールコーター、ダイコーター、ナイフコーター、マイカバーコーター、フローコーター、スプレーコーター等により塗工することにより容易に形成することができる。
【0050】この粘着層bの厚さは通常の場合5〜100μm程度とされる。
【0051】本発明において、透明基板2A,2Bの構成材料としては、ガラス、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、アクリル板、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、トリアセテートフィルム、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、金属イオン架橋エチレン−メタアクリル酸共重合体、ポリウレタン、セロファン等、好ましくは、ガラス、PET、PC、PMMAが挙げられる。
【0052】透明基板2A,2Bの厚さは得られる窓材の用途による要求特性(例えば、強度、軽量性)等によって適宜決定されるが、通常の場合、0.1〜10mmの範囲とされる。
【0053】透明基板2A,2Bは、必ずしも同材質である必要はなく、例えば、PDP前面フィルタのように、表面側のみに耐傷付性や耐久性等が要求される場合には、この表面側となる透明基板2Aを厚さ0.1〜10mm程度のガラス板とし、裏面側(電磁波発生源側)の透明基板2Bを厚さ1μm〜10mm程度のPETフィルム又はPET板、アクリルフィルム又はアクリル板、ポリカーボネートフィルム又はポリカーボネート板等とすることもできる。
【0054】本実施例の電磁波シールド性光透過窓材1では、裏面側となる透明基板2Bの周縁部にアクリル樹脂をベースとする黒枠塗装6が設けられている。
【0055】また、本実施例の電磁波シールド性光透過窓材1では、表面側となる透明基板2Aの表面に反射防止膜8が形成されている。この透明基板2Aの表面側に形成される反射防止膜8としては、下記(1)の単層膜、或いは、高屈折率透明膜と低屈折率透明膜との積層膜、例えば、下記(2)〜(5)のような積層構造の積層膜が挙げられる。
【0056】(1) 透明基板よりも屈折率の低い透明膜を一層積層したもの(2) 高屈折率透明膜と低屈折率透明膜を1層ずつ合計2層に積層したもの(3) 高屈折率透明膜と低屈折率透明膜を2層ずつ交互に合計4層積層したもの(4) 中屈折率透明膜/高屈折率透明膜/低屈折率透明膜の順で1層ずつ、合計3層に積層したもの(5) 高屈折率透明膜/低屈折率透明膜の順で各層を交互に3層ずつ、合計6層に積層したもの高屈折率透明膜としては、ITO(スズインジウム酸化物)又はZnO、AlをドープしたZnO、TiO2、SnO2、ZrO等の屈折率1.8以上の薄膜、好ましくは透明導電性の薄膜を形成することができる。また、低屈折率透明膜としてはSiO2、MgF2、Al23等の屈折率が1.6以下の低屈折率材料よりなる薄膜を形成することができる。これらの膜厚は光の干渉で可視光領域での反射率を下げるため、膜構成、膜種、中心波長により異なってくるが4層構造の場合、透明基板側の第1層(高屈折率透明膜)が5〜50nm、第2層(低屈折率透明膜)が5〜50nm、第3層(高屈折率透明膜)が50〜100nm、第4層(低屈折率透明膜)が50〜150nm程度の膜厚で形成される。
【0057】また、このような反射防止膜8の上に更に汚染防止膜を形成して、表面の耐汚染性を高めるようにしても良い。この場合、汚染防止膜としては、フッ素系薄膜、シリコン系薄膜等よりなる膜厚1〜1000nm程度の薄膜が好ましい。
【0058】本発明の電磁波シールド性光透過窓材では、表面側となる透明基板2Aには、更に、シリコン系材料等によるハードコート処理、或いはハードコート層内に光散乱材料を練り込んだアンチグレア加工等を施しても良い。また、裏面側となる透明基板2Bには、金属薄膜又は透明導電性膜等の熱線反射コート等を施して機能性を高めることができる。透明導電性膜は表面側の透明基板2Aに形成することもできる。
【0059】透明基板2Bに接着する透明導電性フィルム4としては、導電性粒子を分散させた樹脂フィルムを用いることができ、この導電性粒子としては、導電性を有するものであれば良く特に制限はないが、例えば、次のようなものが挙げられる。
【0060】(i) カーボン粒子ないし粉末(ii) ニッケル、インジウム、クロム、金、バナジウム、すず、カドミウム、銀、プラチナ、アルミ、銅、チタン、コバルト、鉛等の金属又は合金或いはこれらの導電性酸化物の粒子ないし粉末(iii) ポリスチレン、ポリエチレン等のプラスチック粒子の表面に上記(i), (ii) の導電性材料のコーティング層を形成したものこれらの導電性粒子の粒径は、過度に大きいと光透過性や透明導電性フィルム4の厚さに影響を及ぼすことから、0.5mm以下であることが好ましい。好ましい導電性粒子の粒径は0.01〜0.5mmである。
【0061】また、透明導電性フィルム4中の導電性粒子の混合割合は、過度に多いと光透過性が損なわれ、過度に少ないと電磁波シールド性が不足するため、透明導電性フィルム4の樹脂に対する重量割合で0.1〜50重量%、特に0.1〜20重量%、とりわけ0.5〜20重量%程度とするのが好ましい。
【0062】導電性粒子の色、光沢は、目的に応じ適宜選択されるが、ディスプレーフィルタの場合は、黒、茶等の暗色で無光沢のものが好ましい。この場合は、導電性粒子がフィルタの光線透過率を適度に調整することで、画面が見やすくなるという効果もある。
【0063】なお、透明導電性フィルムのマトリックス樹脂としては、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリル板、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、トリアセテートフィルム、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、金属イオン架橋エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリウレタン、セロファン等、好ましくは、PET、PC、PMMAが挙げられる。
【0064】このような透明導電性フィルム4の厚さは、電磁波シールド性光透過窓材の用途等によっても異なるが、通常の場合1μm〜5mm程度とされる。この透明導電性フィルム4の導電性層の厚さが0.01μm未満では、電磁波シールドのための導電性層の厚さが薄過ぎ、十分な電磁波シールド性を得ることができず、5μmを超えると光透過性が損なわれる恐れがある。
【0065】本発明において、このような透明基板2A,2Bに介在させる印刷フィルム5は、透明板5Aの表面に、次のような導電性インキを用い、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、静電印刷法等により格子状の導電層5Bをパターン印刷したものである。
■ 粒径100μm以下のカーボンブラック粒子、或いは銀、銅、アルミニウム、ニッケル等の金属又は合金の粒子等の導電性材料の粒子を50〜90重量%濃度にPMMA、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂等のバインダ樹脂に分散させたもの。このインクは、トルエン、キシレン、塩化メチレン、水等の溶媒に適当な濃度に希釈または分散させて透明基板の板面に印刷により塗布し、その後必要に応じ室温〜120℃で乾燥させ透明板上に塗着させる。
■ 上記と同様の導電性材料の粒子をバインダ樹脂で覆った粒子を静電印刷法により直接塗布し熱等で固着させる。
【0066】このようにして形成される導電層5Bの厚さは、薄過ぎると電磁波シールド性能が不足するので好ましくなく、厚過ぎると得られる電磁波シールド性光透過窓材の厚さに影響を及ぼすことから、0.5〜100μm程度とするのが好ましい。
【0067】このようなパターン印刷によれば、パターンの自由度が大きく、任意の線幅、間隔及び開口形状の導電層5Bを形成することができ、従って、モアレ現象がなく、所望の電磁波シールド性と光透過性を有する電磁波シールド性光透過窓材を容易に形成することができる。
【0068】本発明においては、この導電層5Bを、線幅200μm以下、開口率75%以上の目の粗い細線の格子状に形成する。この格子の線幅が200μmを超えたり、開口率が75%よりも小さいと光透過率の低減やモアレの発生を引き起こす。しかし、線幅が過度に小さく、目開きが過度に大きいと、電磁波シールド性が低下してくるため、格子の線幅が10μm程度の場合300メッシュ以下、20μm程度の場合165メッシュ以下、30μm程度の場合100メッシュ以下、40μm程度の場合80メッシュ以下、50μm程度の場合60メッシュ以下、100μm程度の場合30メッシュ以下、200μm程度の場合15メッシュ以下であることが好ましい。
【0069】なお、本発明において、導電層5Bのパターン印刷は上記線幅及び目開きを有するものであれば、その格子の開口部の形状には特に制限はなく、四角形の他、円形、六角形、三角形又は楕円形等であってもよい。また、開口部は規則的に並んだものに限らず、ランダムパターンとしても良い。
【0070】なお、導電層5Bを形成する透明板5Aとしては、透明基板の構成材料として例示したものを用いることができ、その厚さは、通常の場合1μm〜5mm程度とされる。
【0071】本発明において、透明基板2A,2Bを印刷フィルム5を介して接着する接着樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、金属イオン架橋エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、部分鹸化エチレン−酢酸ビニル共重合体、カルボキシルエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル−(メタ)アクリレート共重合体等のエチレン系共重合体が挙げられる(なお、「(メタ)アクリル」は「アクリル又はメタクリル」を示す。)。その他、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等も用いることができるが、性能面で最もバランスがとれ、使い易いのはエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)である。また、耐衝撃性、耐貫通性、接着性、透明性等の点から自動車用合せガラスで用いられているPVB樹脂も好適である。
【0072】PVB樹脂は、ポリビニルアセタール単位が70〜95重量%、ポリ酢酸ビニル単位が1〜15重量%で、平均重合度が200〜3000、好ましくは300〜2500であるものが好ましく、PVB樹脂は可塑剤を含む樹脂組成物として使用される。
【0073】PVB樹脂組成物の可塑剤としては、一塩基酸エステル、多塩基酸エステル等の有機系可塑剤や燐酸系可塑剤が挙げられる。
【0074】一塩基酸エステルとしては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプタン酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、ペラルゴン酸(n−ノニル酸)、デシル酸等の有機酸とトリエチレングリコールとの反応によって得られるエステルが好ましく、より好ましくは、トリエチレン−ジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキソエート、トリエチレングリコール−ジ−カプロネート、トリエチレングリコール−ジ−n−オクトエート等である。なお、上記有機酸とテトラエチレングリコール又はトリプロピレングリコールとのエステルも使用可能である。
【0075】多塩基酸エステル系可塑剤としては、例えば、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸等の有機酸と炭素数4〜8の直鎖状又は分岐状アルコールとのエステルが好ましく、より好ましくは、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート等が挙げられる。
【0076】燐酸系可塑剤としては、トリブトキシエチルフォスフェート、イソデシルフェニルフォスフェート、トリイソプロピルフォスフェート等が挙げられる。
【0077】PVB樹脂組成物において、可塑剤の量が少ないと製膜性が低下し、多いと耐熱時の耐久性等が損なわれるため、ポリビニルブチラール樹脂100重量部に対して可塑剤を5〜50重量部、好ましくは10〜40重量部とする。
【0078】PVB樹脂組成物には、更に劣化防止のために、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤が添加されていても良い。
【0079】なお、透明導電性フィルム4及び印刷フィルム5と接着樹脂とで形成される接着層の厚さは、電磁波シールド性光透過窓材の用途等によっても異なるが、通常の場合2μm〜2mm程度とされる。従って、接着用樹脂フィルム3A〜3Cは、このような厚さの接着層が得られるような厚さに成形される。
【0080】以下に、樹脂としてEVAを用いた場合を例示して本発明に係る接着層についてより詳細に説明する。
【0081】EVAとしては酢酸ビニル含有量が5〜50重量%、好ましくは15〜40重量%のものが使用される。酢酸ビニル含有量が5重量%より少ないと耐候性及び透明性に問題があり、また40重量%を超すと機械的性質が著しく低下する上に、成膜が困難となり、フィルム相互のブロッキングが生ずる。
【0082】架橋剤としては加熱架橋する場合は、有機過酸化物が適当であり、シート加工温度、架橋温度、貯蔵安定性等を考慮して選ばれる。使用可能な過酸化物としては、例えば2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3;ジーt−ブチルパーオキサイド;t−ブチルクミルパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン;ジクミルパーオキサイド;α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート;2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;t−ブチルパーオキシベンゾエート;ベンゾイルパーオキサイド;第3ブチルパーオキシアセテート;2,5−ジメチル−2,5−ビス(第3ブチルパーオキシ)ヘキシン−3;1,1−ビス(第3ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;1,1−ビス(第3ブチルパーオキシ)シクロヘキサン;メチルエチルケトンパーオキサイド;2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート;第3ブチルハイドロパーオキサイド;p−メンタンハイドロパーオキサイド;p−クロルベンゾイルパーオキサイド;第3ブチルパーオキシイソブチレート;ヒドロキシヘプチルパーオキサイド;クロルヘキサノンパーオキサイドなどが挙げられる。これらの過酸化物は1種を単独で又は2種以上を混合して、通常EVA100重量部に対して、10重量部以下、好ましくは0.1〜10重量部の割合で使用される。
【0083】有機過酸化物は通常EVAに対し押出機、ロールミル等で混練されるが、有機溶媒、可塑剤、ビニルモノマー等に溶解し、EVAのフィルムに含浸法により添加しても良い。
【0084】なお、EVAの物性(機械的強度、光学的特性、接着性、耐候性、耐白化性、架橋速度など)改良のために、各種アクリロキシ基又はメタクリロキシ基及びアリル基含有化合物を添加することができる。この目的で用いられる化合物としてはアクリル酸又はメタクリル酸誘導体、例えばそのエステル及びアミドが最も一般的であり、エステル残基としてはメチル、エチル、ドデシル、ステアリル、ラウリル等のアルキル基の他、シクロヘキシル基、テトラヒドロフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル基などが挙げられる。また、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコールとのエステルを用いることもできる。アミドとしてはダイアセトンアクリルアミドが代表的である。
【0085】より具体的には、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等のアクリル又はメタクリル酸エステル等の多官能エステルや、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等のアリル基含有化合物が挙げられ、これらは1種を単独で、或いは2種以上を混合して、通常EVA100重量部に対して0.1〜2重量部、好ましくは0.5〜5重量部用いられる。
【0086】EVAを光により架橋する場合、上記過酸化物の代りに光増感剤が通常EVA100重量部に対して10重量部以下、好ましくは0.1〜10重量部使用される。
【0087】この場合、使用可能な光増感剤としては、例えばベンゾイン、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ジベンジル、5−ニトロアセナフテン、ヘキサクロロシクロペンタジエン、p−ニトロジフェニル、p−ニトロアニリン、2,4,6−トリニトロアニリン、1,2−ベンズアントラキノン、3−メチル−1,3−ジアザ−1,9−ベンズアンスロンなどが挙げられ、これらは1種を単独で或いは2種以上を混合して用いることができる。
【0088】また、この場合、促進剤としてシランカップリング剤が併用される。このシランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0089】これらのシランカップリング剤は通常EVA100重量部に対して0.001〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部の割合で1種又は2種以上が混合使用される。
【0090】なお、本発明に係る接着用樹脂フィルムには、その他、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、老化防止剤、塗料加工助剤を少量含んでいてもよく、また、フィルター自体の色合いを調整するために染料、顔料などの着色剤、カーボンブラック、疎水性シリカ、炭酸カルシウム等の充填剤を適量配合してもよい。
【0091】また、接着性改良の手段として、シート化された接着用樹脂フィルム面へのコロナ放電処理、低温プラズマ処理、電子線照射、紫外光照射などの手段も有効である。
【0092】本発明に係る接着用樹脂フィルムは、EVA又はPVB等の接着樹脂と上述の添加剤とを混合し、押出機、ロール等で混練した後カレンダー、ロール、Tダイ押出、インフレーション等の成膜法により所定の形状にシート成形することにより製造される。成膜に際してはブロッキング防止、透明基板との圧着時の脱気を容易にするためエンボスが付与される。
【0093】図1に示す電磁波シールド性光透過窓材1を製造するには、反射防止膜8を形成した透明基板2Aと、黒枠塗装6を設けた透明基板2Bと透明導電性フィルム4及び印刷フィルム5と接着用樹脂フィルム3A,3B,3C及び架橋型導電性粘着テープ7A,7B,7Cを準備し、まず、透明導電性フィルム4の周辺に架橋型導電性粘着テープaを貼り付け、ヒートシーラー等で加熱加圧して架橋しながらフィルムと架橋型導電性粘着テープaの間に導通を持たせる。次に接着用樹脂フィルム3Cを介して透明基板2Bと積層して架橋型導電性粘着テープaを回り込ませて接着する。また、印刷フィルム5の周辺に架橋型導電性粘着テープbを貼り付け、同様に導通を持たせる。次に、接着用樹脂フィルム3Bを介して透明基板2Bと積層し、架橋型導電性粘着テープbを回り込ませ接着する。その後、透明基板2Aと透明基板2Bの印刷フィルム5との間に接着用樹脂フィルム3Aを介して積層し、接着用樹脂フィルム3A〜3Cの硬化条件で加圧下、加熱又は光照射して一体化した後、更に、透明基板2Aの表面の縁部から透明基板2Bの表面の縁部に到るように第3の架橋型導電性粘着テープ7Cを貼り付ける。
【0094】架橋型導電性粘着テープ7A,7B,7Cの貼り付けに際しては、その粘着層bの粘着性を利用して積層体に貼り付け(この仮り止めは、必要に応じて、貼り直しが可能である。)、その後、必要に応じて圧力をかけながら加熱又は紫外線照射する。この紫外線照射時には併せて加熱を行っても良い。なお、この加熱又は光照射を局部的に行うことで、架橋型導電性粘着テープの一部分のみを接着させるようにすることもできる。
【0095】加熱接着は、一般的なヒートシーラーで容易に行うことができ、また、加圧加熱方法としては、架橋型導電性粘着テープを貼り付けた積層体を真空袋中に入れ脱気後加熱する方法でも良く、接着はきわめて容易に行える。
【0096】この接着条件としては、熱架橋の場合は、用いる架橋剤(有機過酸化物)の種類に依存するが、通常70〜150℃、好ましくは70〜130℃で、通常10秒〜120分、好ましくは20秒〜60分である。
【0097】また、光架橋の場合、光源としては紫外〜可視領域に発光する多くのものが採用でき、例えば超高圧、高圧、低圧水銀灯、ケミカルランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、マーキュリーハロゲンランプ、カーボンアーク灯、白熱灯、レーザー光等が挙げられる。照射時間は、ランプの種類、光源の強さによって一概には決められないが、通常数十秒〜数十分程度である。架橋促進のために、予め40〜120℃に加熱した後、これに紫外線を照射してもよい。
【0098】また、接着時の加圧力についても適宜選定され、通常5〜50kg/cm2、特に10〜30kg/cm2の加圧力とすることが好ましい。
【0099】なお、架橋型導電性粘着テープaの透明導電性フィルム4の縁部における貼り付け幅及び架橋型導電性粘着テープbの印刷フィルム5の縁部における貼り付け幅(図1(b)のW)は、電磁波シールド性光透過窓材1の面積によっても異なるが、通常の場合、3〜20mm程度とされる。
【0100】このようにして架橋型導電性粘着テープ7A,7B,7Cを取り付けた電磁波シールド性光透過窓材1は、筐体に単にはめ込むのみで極めて簡便かつ容易に筐体に組み込むことができ、同時に、架橋型導電性粘着テープ7A,7B,7Cを介して透明導電性フィルム4と印刷フィルム5の導電層5Bと筐体との良好な導通をその4側縁部において均一にとることができる。このため、良好な電磁波シールド効果が得られる。
【0101】なお、図1に示す電磁波シールド性光透過窓材は本発明の電磁波シールド性光透過窓材の一例であって、本発明は図示のものに限定されるものではない。例えば、架橋型導電性粘着テープ7A,7Bはそれぞれ透明導電性フィルム4及び印刷フィルム5の4側縁部に取り付ける他、対向する2側縁部においてのみ取り付けるようにしても良い。ただし、均一導通性の面からは、図示の如く、いずれも4側縁部において取り付けるのが好ましい。
【0102】また、本発明の電磁波シールド性光透過窓材は、図1に示す如く、第2の透明基板に接着用樹脂フィルムにより透明導電性フィルムを接着したものに限らず、第2の透明基板に直接透明導電性膜を形成したものであっても良い。このような電磁波シールド性光透過窓材としては、第2の透明基板に次のような透明導電性膜を形成したものが挙げられる。
【0103】■ 透明基板の板面に、フォトレジストのコーティング、パターン露光及びエッチングの工程により所定パターンにエッチングして形成した格子状又はパンチングメタル状の金属膜。
■ 透明基板の板面に導電性インキをパターン印刷して形成した格子状又はパンチングメタル状の印刷膜。
【0104】また、本発明の電磁波シールド性光透過窓材は、図1に示す電磁波シールド性光透過窓材において、透明導電性フィルムの代りに、パターンエッチングにより格子状又はパンチングメタル状とした金属箔を透明基板に接着したものであっても良く、この場合においても、折り返しにより切断し易い金属箔について、これを折り返すことなく、容易に導通を図ることができる。
【0105】このような本発明の電磁波シールド性光透過窓材は、PDPの前面フィルタとして、或いは、病院や研究室等の精密機器設置場所の窓材等としてきわめて好適である。
【0106】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の電磁波シールド性光透過窓材は、組み立てが容易で、また、設置対象の筐体に対して容易に組み込むことができ、しかも筐体に対して均一かつ低抵抗な導通を確実に得ることができるため、高い電磁波シールド性能を得ることができる。
【0107】しかも、本発明の電磁波シールド性光透過窓材にあっては、透明導電性膜と導電性印刷膜を併用することで、導電性印刷膜については、細線で目開きの大きい、高光透過性でモアレ現象のない格子設計とし、このような導電性印刷膜で不足する電磁波シールド性を透明導電性膜で補うことにより、高電磁波シールド性、高光透過性で鮮明な画像を得ることが可能となる。また、良好な熱線(近赤外線)カット性も得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【出願日】 平成10年(1998)1月13日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
【公開番号】 特開平11−204986
【公開日】 平成11年(1999)7月30日
【出願番号】 特願平10−4832