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【発明の名称】 ノイズ吸収装置
【発明者】 【氏名】竹内 保市

【要約】 【課題】ケーブルにおけるノイズを吸収除去するための筒型をしたフェライトコアをケーブルに対して固定支持ための操作を容易化するとともに、安価に製造することが可能とする。

【解決手段】ケーブルCに挿通される筒状のフェライトコア1と、このフェライトコア1を覆うとともにケーブルCに固定支持するための筒状のケース2とを備える。ケース2は半筒状をした一対の分割ケースで構成され、一方の分割ケース2Aは、その内面にケーブルの径方向に対向される複数の挟持片208,209,210が筒軸方向に沿って交互に配設され、各挟持片間でケーブルCを長さ方向に湾曲した状態で挟持する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ケーブルに挿通される筒状のフェライトコアと、前記フェライトコアを覆うとともに、前記フェライトコアを前記ケーブルに固定支持する筒状のケースとを備え、前記ケースは半筒状に形成された一対の分割ケースで構成され、前記分割ケースは、その内面に前記ケーブルの径方向に対向される複数の挟持片が筒軸方向に沿って交互に配設され、前記各挟持片間に前記ケーブルを長さ方向に湾曲した状態で挟持する構成としたことを特徴とするノイズ吸収装置。
【請求項2】 前記複数の挟持片は前記ケーブルを径方向に挟む前記分割ケースの一側内面において筒軸方向に所要の間隔で配置された第1及び第3の挟持片と、前記第1及び第3の挟持片の間の筒軸位置において前記分割ケースの他側内面に配置された第2の挟持片とで構成され、前記第1及び第3の挟持片の対向側の端部と前記第2の挟持片の対向側の端部との間の筒軸に垂直な方向の間隔寸法が前記ケーブルの径寸法よりも小さく設定されている請求項1に記載のノイズ吸収装置。
【請求項3】 前記各挟持片の前記対向側の端部は、前記ケーブルの湾曲に沿って傾斜されたテーパ面として形成されている請求項2に記載のノイズ吸収装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はケーブルを伝送される信号に重畳されるノイズを吸収するためのノイズ吸収装置に関し、特にケーブルを挿通するフェライトコアを覆うとともにケーブルに固定支持するためのケースを改良したノイズ吸収装置に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータ等のデジタル信号を取り扱う電子機器では、ケーブルを通して伝送される信号にノイズが重畳されて機器内に侵入されると、機器の誤動作を生じる原因となる。このため、近年ではフェライトコアを用いたノイズ吸収装置が提案されている。この種のノイズ吸収装置としては、円筒状に形成されたフェライトコアにケーブルを挿通するとともに、フェライトコアをケースで覆うものがある。ここで、前記ケースはフェライトコアをケーブルに固定するとともに、フェライトコアが衝撃等によって破損されることを防止し、あるいは外観上の見栄えを高めるために用いられる。このようなノイズ吸収装置では、ノイズ吸収装置をケーブルに固定支持するために、締結バンドを利用してフェライトコアをケーブルの長さ方向の両側から挟むように、あるいはケースをケーブルの外周に緊縛するように、締結バンド等を利用した固定構造がとられている。また、他の構造として、ケーブルを挿通したフェライトコアを、樹脂成形によってケーブルと共に一体的に樹脂で封止する構造もある。
【0003】しかしながら、前者の構造では、フェライトコアをケーブルに固定する際に締結バンドを締結する作業が必要であり、組み付け性が悪いという問題がある。また、後者の構造では、樹脂成形用の金型にフェライトを挿通したケーブルをセットして樹脂成形を行う必要があるため、大量に製造する場合には有利であるが、個々のケーブルにノイズ吸収装置を配設する場合には適用できないという問題がある。そこで、このような問題に対し、近年ではフェライトコアを2分割するとともに、各分割コアを同様に2分割した分割ケースにそれぞれ内装し、分割ケースをケーブルの両側から合わせるようにして嵌合させ、かつその際の嵌合力を利用してケースをケーブルに固定する構造が提案されている。このようなノイズ吸収装置では、分割ケースを嵌合する作業でノイズ吸収装置をケーブルに固定することができるため、作業性を改善する上で有利なものとなる。このため、近年ではこの構造のノイズ吸収装置が種々提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この分割型のノイズ吸収装置では、2分割されたフェライトコア、すなわち半円筒状に形成された2つの分割コアを、その分割面において当接させた状態でケーブルに取着しているため、分割面の面精度が低いと両分割コアの分割面での密接性が低下される。周知のように、フェライトコアはケーブルの周囲に環状の磁路を形成してケーブル中のノイズ信号を減衰するものであるため、分割コアの密接性が低いとノイズ吸収効率が低いものとなる。したがって、従来では、分割コアの分割面の面精度の高い分割コアを用いる必要があり、分割面の加工作業が煩雑になり、分割コアが高価格になる要因となっている。また、分割コアの密接性を高めるためには、分割コアが当接される分割面に対して押圧力を付与する必要があり、そのために従来では分割ケースに弾性を付与し、あるいは分割ケース内に弾性材を内装する必要があり、これにより分割ケースの構造が複雑になり、あるいは部品点数が増加して、ノイズ吸収装置が高価格になる別の要因ともなっている。
【0005】本発明の目的は、フェライトコアの固定支持操作を容易に行うとともに、ノイズ吸収効率を高め、またその一方で安価に製造することが可能なノイズ吸収装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のノイズ吸収装置は、ケーブルに挿通される筒状のフェライトコアと、前記フェライトコアを覆うとともに、前記フェライトコアを前記ケーブルに固定支持する筒状のケースとを備えており、前記ケースは半筒状に形成された一対の分割ケースで構成され、前記分割ケースは、その内面に前記ケーブルの径方向に対向される複数の挟持片が筒軸方向に沿って交互に配設され、前記各挟持片間で前記ケーブルを長さ方向に湾曲した状態で挟持する構成としている。例えば、前記複数の挟持片は前記ケーブルを径方向に挟む前記分割ケースの一側内面において筒軸方向に所要の間隔で配置された第1及び第3の挟持片と、前記第1及び第3の挟持片の間の筒軸位置において前記分割ケースの他側内面に配置された第2の挟持片とで構成され、前記第1及び第3の挟持片の対向側の端部と前記第2の挟持片の対向側の端部との筒軸に垂直な方向の間隔が前記ケーブルの径寸法よりも小さく設定されている構成とされる。また、この場合、前記各挟持片の前記対向側の端部は、前記ケーブルの湾曲に沿って傾斜されるテーパ面として形成されることが好ましい。
【0007】本発明のノイズ吸収装置では、ケーブルが挿通されたフェライトコアを覆うようにケースを被着すると同時に、ケーブルの一部を複数の挟持片の各対向側の端部間に湾曲した状態で内挿することにより、ケーブルと挟持片との間の挟持力によってケースをケーブルに対して強固に固定することができ、これによりフェライトコアをケーブルに対して強固に固定支持することが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明のノイズ吸収装置の実施形態の外観斜視図、図2はその組み付け前の状態の分解斜視図である。ノイズ吸収装置は円筒状に形成されたフェライトコア1と、このフェライトコアを覆う円筒状のケース2とで構成されており、特に前記ケースは径方向に2分割された半円筒状の分割ケース2A,2Bとして構成されている。そして、詳細は後述するが、前記フェライトコア1はその軸穴11にケーブルCが挿通され、かつ前記ケーブルの長さ方向の所望の位置に位置した上で、前記ケース2がフェライトコア1の外側から被せられ、分割ケース2A,2Bが互いに径方向に合わせられて両者が嵌合されることにより、フェライトコア1が被覆され、かつフェライトコア1がケース2と共にケーブルに固定支持される構成とされている。なお、この実施形態では、前記フェライトコア1は両端部の内周縁部及び外周縁部を面取りし、あるいは曲面に形成しており、これらの縁部が直角の場合に生じ易い割れや欠けを防止している。
【0009】前記ケース2は、図3に平面図を、図4(a),(b)にそれぞれA1−A1,A2−A2線の各断面図を、図5(a),(b)にそれぞれB1−B1,B2−B2線の各断面図を示すように、一端部位が円錐台形状とされた2つの半円筒状の分割ケース2A,2Bで構成されており、各分割ケースはそれぞれの一側縁において筒軸方向に所要の間隔をおいた2箇所に形成された可撓性のある連結片201によって連結されている。また、一方の分割ケース2Aの他側縁には、筒軸方向の2箇所にフック202が形成され、これに対応する他方の分割ケース2Bの他側縁の2箇所には枠部203が形成されており、前記連結片201を曲げながら両分割コア2A,2Bの各他側縁を合わせることにより、前記フック202と枠部203とが嵌合され、この嵌合によって前記分割ケース2A,2Bが円筒状に組み立てられる。また、前記各分割ケース2A,2Bの両端面には半円状の切り欠き204が形成されており、前記したように両分割ケース2A,2Bを組み立てたときには、前記各切り欠き204によって円形のケーブル挿通穴200(図1参照)が構成される。
【0010】さらに、前記ケース2には、前記フェライトコア1を覆った状態のときに、フェライトコア1をケース2内に抱持するための構成が設けられる。すなわち、前記一方の分割ケース2Aには、筒軸方向に対峙される一対のリブ片205,206が内底面の径方向に立設されている。これらのリブ片205,206は前記フェライドコア1の軸長さに等しい間隔で配置されるとともに、筒軸方向に薄肉に形成されることによって筒軸方向に弾性変形可能とされており、後述するようにフェライトコア1を抱持した際にこれらリブ片205,206でフェライトコア1を筒軸方向に挟持することが可能とされている。また、その一方で、他方の分割ケース2Bには、前記リブ片のうち他端部に設けられているリブ片205とほぼ同じ筒軸位置にまで突出された固定リブ207が一体的に形成されており、この固定リブ207は前記フェライトコア1の他端部に当接して固定的に支持することが可能とされている。
【0011】また、前記ケース2には、前記フェライトコア1を挿通されたケーブルCに対してケース2ないしフェライトコア1を固定的に支持させるための構成が設けられる。すなわち、前記一方の分割ケース2Aの円錐台形状とされた一端部内には、筒軸方向に微小間隔をおいて配列された3つの挟持片208,209,210が立設されている。図6に拡大図示されるように、これら3つの挟持片208,209,210は、分割ケース2Aの一端側から第1、第2、第3の挟持片と称すると、第1及び第3の挟持片208,210と第2の挟持片209とは径方向に対向するように交互に配置されている。そして、これらの挟持片208,209,210は、それぞれ対向する側の内縁部S1,S2,S3が先端側に向けてテーパ状ないし曲面状に開いた形状として形成されるとともに、第1と第2の挟持片208,209の内端部S1,S2、及び第2と第3の挟持片209,210の内端部S2,S3をそれぞれ直線的に結んだときの長さ寸法が前記ケーブルCの径寸法よりも若干長くなるように設定されている。その一方で、前記分割ケース2Aを筒軸方向から透視したときには前記第1及び第3の挟持片208,210の内端部S1,S3と、第2の挟持片209の内端部S2との間に臨まれる間隔寸法は前記ケーブルCの径寸法よりも小さくなるように設定される。さらに、前記第1及び第3の挟持片208,210の内端部S1,S3は、平面方向から見た端面形状が、内側に向けて傾斜されたテーパ状とされ、また第2の挟持片209の内端部S2は同じ平面方向から見た端面形状が三角凸状に形成されている。一方、前記他方の分割ケース2Bの一端部の内底面には、前記第1ないし第3の挟持片208,209,210の各内縁部の対向間隔に向けて径方向に突出される押圧片211が内底面から立設されている。この押圧片211は筒軸方向に沿った板状に形成されており、その先端部が前記分割ケース2Bの前記切り欠204きの円周位置にほぼ近い位置となる高さに形成されている。
【0012】この構成のノイズ吸収装置を組み立てるには、図7(a),(b)に平面図と正面図を示すように、ケーブルCを予めフェライトコア1の軸穴に挿通し、ケーブルCの長さ方向の所望の位置にまで移動位置させる。ついで、このフェライトコア1を覆うようにケース2を被着する。その際の手順としては、最初に一方の分割コア2Aをフェライトコア1に被着するが、このとき、分割コア2Aの一対のリブ片205,206の間にフェライトコア1の両端部を内挿する。これにより、フェライトコア1は各リブ片205,206が筒軸方向に弾性変形されるため、その弾性復帰力によってフェライトコア1が両端面において両リブ片205,206によって筒軸方向に挟持されることになり、かつこの挟持力によって分割ケース2A自身がフェライトコア1に対して一体的に被着されることになる。
【0013】また、これと前後して、一方の分割ケース2Aの一端部においてケーブルCを3つの挟持片間に内挿する。すなわち、図6に拡大図示したように、フェライトコア1から挿通された直後位置のケーブルCを曲げ変形させながら第3と第2の挟持片210,209の間に挿入し、さらにその隣接位置で今度は逆方向に変形させながら第2と第1の挟持片209,208の間に挿入する。このとき、第3の挟持片210と第1の挟持片208の各内端部S3,S1はケーブルCの湾曲に沿うテーパ状の端面形状とされているため、内挿するケーブルCがこれらテーパ状の内端面に沿って滑りながら挿入されることになり、前記したケーブルCの内挿作業を容易に行うことが可能となる。これにより、ケーブルCは各挟持片208,209,210の間で蛇行状態に湾曲され、各挟持片208,209,210の内端部S1,S2,S3の間で挟持されることになる。
【0014】しかる上で、連結片201を曲げながら他方の分割ケース2Bを一方の分割ケース2Aに合わせた上で両者を押圧することで、枠部203が弾性変形しながらフック202に嵌合し、両分割ケース2A,2Bが円筒状に一体化され、フェライトコア1を完全に覆う図1に示した状態となる。このとき、図8に図1の垂直断面図を示すように、他方の分割ケース2Bの固定リブ207がフェライトコア1の他端側の端部に当接されるため、フェライトコア1の筒軸方向の位置は強固に位置決めされる。また、同時に押圧片211がケーブルCの外周面に当接してこれを一方の分割ケース2A側に向けて押圧するため、前記した一方の分割ケース2Aに対するケーブルCの内挿工程でケーブルCが3つの挟持片208,209,210の間に充分に内挿されていない場合でも、ケーブルCをこれら挟持片208,209,210の間に押し込み、内挿を完成させる。
【0015】このようにして組み立てられたノイズ吸収装置では、ケース2に外力が加えられた場合、特にケース2をケーブルCに沿って移動させようとする外力が生じた場合には、ケース2とケーブルCとの長さ方向の相対力によってケーブルCに張力が生じるため、この張力によってケーブルCが3つの挟持片208,209,210の間で真直方向に伸びようとする。しかしながら、ケーブルCが伸びるとケーブルの外被に対して各挟持片208,209,210の内端部S1,S2,S3がそれぞれ当接される状態となり、特に内端部が三角状に尖って形成されている第2の挟持片209の内端部S2がケーブルCの外被に食い込む状態となるため、ケーブルCに対する挟持片208,209,210の挟持力が高められることになり、ケース2はより強固にケーブルCに固定され、結果としてフェライトコア1、さらに言えばノイズ吸収装置をケーブルに対して安定に固定支持することが可能となる。また、ケーブルCが外部から引っ張られたような場合においても同様であり、前記した3つの挟持片によるケーブルの挟持力がいっそう顕著なもとなる。また、このように、3つの挟持片208,209,210を利用してケーブルCを湾曲した状態で挟持しているために、ケーブルの外形寸法に誤差が生じている場合、あるいは径寸法が異なるケーブルに対してノイズ吸収装置を取着する場合においても、ケーブルの湾曲程度を相違させれば、いずれの場合においても好適な固定支持状態での取着が可能となる。
【0016】なお、前記実施形態では、ケースの一端部にのみ挟持片を設けてケーブルに対する挟持を行っているが、より強固な固定支持を行う場合には、ケースの両端部に挟持片を配設するようにしてもよい。また、分割ケースは必ずしも連結片によって連結されていなくともよく、両分割ケースの嵌め合いによって一体化するようにしてもよい。この場合、各分割ケースを筒軸方向に対称な形状とし、各分割ケースの一端部にのみ挟持片を設けておき、両分割ケースを互いに逆向きに嵌合させるようにすれば、両ケースを同一金型を用いて同一形状に形成できる一方で、ケースの両端部のそれぞれにおいて挟持片によるケーブルの挟持が実現でき、支持強度の向上と共に、金型価格の低減が実現できる。さらに、本発明にかかるケースは角筒状に形成されてもよい。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、筒状のフェライトコアを覆いかつケーブルに固定支持するためのケースが半筒状に形成された一対の分割ケースで構成され、かつ分割ケースは、その内面にケーブルの径方向に対向される複数の挟持片が筒軸方向に沿って交互に配設されており、これらの挟持片間でケーブルを長さ方向に湾曲した状態で挟持する構成としているので、筒型のフェライトコアを用いた場合でもワンタッチ操作でフェライトコアをケーブルで覆うとともに、フェライトコアをケーブルに固定支持することができ、フェライトコアの固定支持を迅速かつ容易に行うことが可能となる。また、フェライトコアあるいはケースをケーブルに固定支持するための締結バンドやその他の部品が不要となり、部品点数が削減できるため、低価格に形成することができるという利点もある。
【出願人】 【識別番号】592077121
【氏名又は名称】竹内工業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)1月8日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 章夫
【公開番号】 特開平11−204982
【公開日】 平成11年(1999)7月30日
【出願番号】 特願平10−2145