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【発明の名称】 電波吸収体の製造方法
【発明者】 【氏名】三上 洋史

【要約】 【課題】曲率を有する複雑な形状の電波吸収体であっても、その電波反射層を均一の厚さに形成する。

【解決手段】電波吸収層1の裏面1aに金属製の電波反射層2を形成する際に、その電波反射層2を金属溶射により形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電波吸収層の裏面に金属製の電波反射層を形成する際に、該金属製の電波反射層を溶射により形成する電波吸収体の製造方法。
【請求項2】 前記電波反射層を形成した後、その露出面に樹脂コーティングを施す請求項1に記載の電波吸収体の製造方法。
【請求項3】 前記金属製の電波反射層がアルミニウムまたは銅からなる請求項1または2に記載の電波吸収体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電波吸収体の製造方法に関し、更に詳しくは、曲率を有する複雑な形状であっても、金属製の電波反射層の厚さを均一に形成することができるようにした整合型の電波吸収体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電波の反射を防止するため、鉄塔、船舶、航空機などに広く用いられている整合型の電波吸収体は、一般に電波吸収層の裏面に金属箔などの電波反射層を設けた構成になっており、電波吸収層に接着剤を介して電波反射層を貼り付けて製造するようにしている。
【0003】このように製造される電波吸収体は、平板状のものを製造する場合には問題ないが、曲率を有する複雑な形状の吸収体を製造する場合には、電波反射層を均一の厚さにして接着することが難しく、良好な電波吸収性能を得ることができないという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、曲率を有する複雑な形状であっても電波反射層を均一の厚さに形成することが可能な電波吸収体の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発明は、電波吸収層の裏面に金属製の電波反射層を形成する際に、該金属製の電波反射層を溶射により形成することを特徴とする。このように金属溶射により電波反射層を形成するため、曲率を有する複雑な形状を有する電波吸収体であっても、肉厚を均一にした均質な電波反射層を容易に形成することができる。
【0006】
【発明の実施形態】以下、本発明を添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の方法により製造した電波吸収体の一例を示し、Xは電波吸収体X、1は繊維強化樹脂からなる電波吸収層、2は金属製の電波反射層、3は電波反射層2の錆を防止する樹脂製のカバー層である。この電波吸収体Xは、電波吸収層1の裏面1aに電波反射層2が配設され、その電波反射層2の裏面の露出面2aにカバー層3が設けられた曲面形状になっている。
【0007】上記のような曲率を有する複雑な形状の電波吸収体Xの製造は、以下のようにして行う。まず、強化繊維に樹脂を含浸させたプリプレグを複数枚積層して型に入れ、オーブン中で加熱硬化させた(オートクレーブ硬化)後脱型し、図2(a)に示す電波吸収層1を形成する。次いで、電波吸収層1の裏面1aをサンドブラスト処理した後、図2(b)に示すように、その裏面1aに電波反射層2を溶射により形成する。即ち、スプレーガン4内のガス炎中へ電波反射層2を形成する不図示の金属の針金を送り、そこで溶融した粒子を電波吸収層裏面1aにスプレーガン4から吹き付けるのである。吹き付けられた金属は、融点が高いため、裏面1aに付着すると瞬時に凝固する。吹き付け時間を管理することにより、曲面状の電波吸収層裏面1aに均一な肉厚を有する電波反射層2が形成される。
【0008】電波反射層2形成後、図2(c)に示すように、露出面2aに刷毛5などにより樹脂コーティングを施してカバー層3を形成し、図1に示す電波吸収体Xを得ることができる。このように本発明では、電波吸収層1の裏面1aに金属製の電波反射層2を形成する際に、電波反射層2を溶射により形成するので、曲率を有する複雑な形状の電波吸収体Xであっても、その金属からなる電波反射層2を均一の厚さに形成することが可能になる。
【0009】本発明において、電波吸収層1を構成するマトリス樹脂としては、従来公知のものが使用可能であり、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂や、ナイロンなどの熱可塑性樹脂を好ましく使用することができる。また、マトリス樹脂に埋設される強化繊維も、従来公知のものが使用でき、例えば、炭化けい素繊維を好ましく挙げることができる。この炭化けい素繊維の配列構造は、織布状、マット状、フェルト状、あるいは一方向配列などにすることができる。
【0010】電波吸収層2を構成する金属としては、従来の吸収体の反射層に用いられる金属であり、かつ溶射可能であればいずれの金属であってよく、例えば、アルミニウム、銅などを好ましく用いることができる。望ましくは、溶射が容易なアルミニウムがよい。本発明では、上述した電波吸収体Xのように、電波反射層2の裏面にカバー層3を設けるようにして製造するのが電波反射層2の錆を防止する上で好ましいが、カバー層3がないものであってもよい。
【0011】また、上記実施形態では、曲面状に形成された電波吸収体Xについて説明したが、本発明は、それよりも複雑な形状は勿論のこと、更にシンプルな平板状の電波吸収体を製造するのにも好ましく使用することができることは言うまでもない。
【0012】
【発明の効果】上述したように本発明は、電波吸収層の裏面に金属製の電波反射層を形成する際に、その電波反射層を金属溶射により形成するので、曲率を有する複雑な形状を有する電波吸収体であっても、その電波反射層の肉圧を均一に形成することができる。
【出願人】 【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
【出願日】 平成10年(1998)1月9日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一 (外2名)
【公開番号】 特開平11−204981
【公開日】 平成11年(1999)7月30日
【出願番号】 特願平10−2977