| 【発明の名称】 |
放熱装置及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】沖田 富晴
【氏名】秀野 晃
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| 【要約】 |
【課題】銅とアルミニウムの合せ板をベース板とし接合面の熱抵抗を小さくして放熱効果のよい放熱装置を提供する。
【解決手段】ベース部(1)は銅部材(1a)にAg層(1d)を介してアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材(1b)を合わせた部材で、ベース部(1)のアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材(1b)にアルミニウム及びアルミニウム合金のフィン(2)がはんだ付けまたはろう付け(3)で金属的接合がなされている放熱装置であり、ベース板の銅とアルミニウム若しくはアルミニウム合金の接合性が優れ、ベースとフィンの接合性が優れ、ヒートシンクの熱抵抗が小さく、ヒートシンクの温度サイクルに対して耐久性が有り、ヒートシンクの耐食性が優れているものである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 発熱部からの熱を伝達するベース部と発熱部からの熱を伝達するフィン部とで構成する放熱装置において、前記ベース部は銅部材にAg層を介してアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材を合わせた部材であり、フィン部はアルミニウム若しくはアルミニウム合金よりなるもので前記合わせ部材のアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材側に金属的接合させたものであることを特徴とする放熱装置。 【請求項2】 全面をAl、Cu、Ni、Cr、Ag、Au、それらの合金のいずれかの金属めっきを施したものであることを特徴とする請求項1に記載の放熱装置。 【請求項3】 銅露出部分を、Al、Ni、Cr、それらの合金のいずれかの金属めっきを施したものであることを特徴とする請求項1に記載の放熱装置。 【請求項4】 銅部材にAg層を介してアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材との合わせ部材を形成する工程、前記合わせ部材のアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材側にアルミニウム若しくはアルミニウム合金よりなるフィン部をろう付け若しくははんだ付けする工程からなることを特徴とする請求項1記載の放熱装置の製造方法。 【請求項5】 銅部材にAg層を介してアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材との合わせ部材を形成する工程、前記合わせ部材のアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材側にアルミニウム若しくはアルミニウム合金よりなるフィン部をろう付け若しくははんだ付けする工程、次いで銅露出部分又は全面にAl、Cu、Ni、Cr、Ag、Au、それらの合金のいずれかの金属のめっきを施す工程からなることを特徴とする請求項2または3記載の放熱装置の製造方法。 【請求項6】 銅部材にAg層を介してアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材との合わせ部材を形成する工程が、鋳ぐるみであることを特徴とする請求項4または5に記載の放熱装置の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は放熱装置及びその製造方法に係り、特に IGBT 等の電子機器が発熱する熱を放熱するための放熱装置及びその製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、放熱装置として銅をベースに用い、フィンにアルミニウムを用いたものが知られている(例えば特開平9−203595号公報)。この従来例は、図8(a)(b)に示すように、銅のベース(52)にアルミニウムのフィン(51)を接合したもので、その接合は、かしめ、接着剤、ろう付やはんだ付により行っている。これはベースに熱伝導性の良い銅を用い、またフィンに軽くて熱伝導性の良いアルミニウムを用いているものではあるが、ベース(52)とフィン(51)の接合をかしめ、接着剤で行ったものでは、その接合部の熱抵抗を少なくすることができず充分な放熱効果が得られない。 【0003】また図8(b)に接合部を拡大して示すように、銅のベース(52)にアルミニウムのフィン(51)をろう付やはんだ付(53)で接合したもので、接合面の強度が低く、加熱・冷却が繰り返されると銅(52)とアルミニウム(51)の熱膨張の違いから接合面に大きな応力が発生し、そこで割れや破断が発生する危険があり信頼性に欠ける。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】放熱効果のよい放熱装置とするには、熱伝導性の優れた銅をベースに用い、熱伝導性が多少劣るが軽量なアルミニウムをフィンに用いることが必要がある。そこで上記従来技術で述べたように銅のベースとアルミニウムのフィンの接合部の熱抵抗、接合面の強度、熱膨張の違いによる割れや破断についての問題を改善するために種々検討して、ベース板のフィンと接合する面をフィンと同じ系統のアルミニウム若しくはアルミニウム合金にして、はんだ付けやろう付けの接合性を改善することにした。即ちベース板を銅とアルミニウムの若しくはアルミニウム合金の合わせ部材としてベース板のアルミニウムとアルミニウムのフィンをはんだ付けやろう付けで接合することとした。 【0005】しかしながら、銅とアルミニウムを合わせてベース板とするには、フインの接合部でも述べたように、放熱効果のよい放熱装置とするには接合面の熱抵抗を小さいものにしなければならない。銅とアルミニウムは脆い合金層(θ相)を作るので、接合面の熱抵抗が大きくなり、また割れや接合不良が生ずる。これら問題について種々検討の結果、銅とアルミニウムの間に脆い層を形成させることなく銅とアルミニウムの合せ板をベース板とした放熱装置を提供するものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、発熱部からの熱を伝達するベース部と発熱部からの熱を伝達するフィン部とで構成する放熱装置において、前記ベース部は銅部材にAg層を介してアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材を合わせた部材であり、フィン部はアルミニウム若しくはアルミニウム合金よりなるもので前記合わせ部材のアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材側に金属的接合させたものであることを特徴とする放熱装置である。また、本発明は、放熱装置の全面をAl、Cu、Ni、Cr、Ag、Au、それらの合金のいずれかの金属めっきを施したものであることを特徴とするものである。また、本発明は、放熱装置の銅露出部分を、Al、Ni、Cr、それらの合金のいずれかの金属めっきを施したものであることを特徴とするものである。 【0007】また、本発明は、銅部材にAg層を介してアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材との合わせ部材を形成する工程、前記合わせ部材のアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材側にアルミニウム若しくはアルミニウム合金よりなるフィン部をろう付け若しくははんだ付けする工程からなることを特徴とする放熱装置の製造方法である。また、本発明は、銅部材にAg層を介してアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材との合わせ部材を形成する工程、前記合わせ部材のアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材側にアルミニウム若しくはアルミニウム合金よりなるフィン部をろう付け若しくははんだ付けする工程、次いで全面にAl、Cu、Ni、Cr、Ag、Au、それらの合金のいずれかの金属のめっきを施す工程からなることを特徴とする放熱装置の製造方法である。 【0008】また、本発明は、銅部材にAg層を介してアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材との合わせ部材を形成する工程、前記合わせ部材のアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材側にアルミニウム若しくはアルミニウム合金よりなるフィン部をろう付け若しくははんだ付けする工程、次いで銅露出部分にAl、Ni、Cr、それらの合金のいずれかの金属のめっきを施す工程からなることを特徴とする放熱装置の製造方法である。さらに、銅部材にAg層を介してアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材との合わせ部材を形成する工程が、鋳ぐるみであることを特徴とするものである。 【0009】 【作用】本発明の放熱装置は、ベース部が銅部材にAg層を介してアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材を合わせた部材であり、フィン部はアルミニウム若しくはアルミニウム合金のフィン部を合わせ部材のアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材側に金属的接合させているので、接合面の熱抵抗が小さく、また割れや接合不良が生ずることなく、放熱効果の優れたものである。 【0010】ベース部は、Ag層を介して銅部材とアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材を合わせているので、まずCuとAgは固溶域が大きく、脆い合金層を形成しないもので、またAlとAgは脆くないAl/Ag合金層を生成する。このように、Ag層を介して銅部材とアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材を合わせたベース部は、CuとAg及びAlとAgの接合面の熱抵抗が小さく、また割れや接合不良も生ずることがない。 【0011】アルミニウム若しくはアルミニウム合金のフィン部を、ベース部の合わせ部材のアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材側に接合させるので、この同種金属の接合は良好な接合面が得られ、接合部の熱抵抗は小さく、接合面の強度は大きく、熱膨張に違いがないので加熱・冷却が繰り返されても接合面に応力が生じないので割れや破断が発生することがない。 【0012】 【発明の実施の形態】本発明の放熱装置は、ベース部のIGBT等の発熱体が発生した熱を、ベースの銅板に伝わり分散され、またベース部の銅からベース部のアルミニウム及びアルミニウム合金に伝わり、さらにアルミニウム及びアルミニウム合金のフィンから放熱されるものである。具体的には、電気自動車用モーター、制御回路、内燃機関、電力制御機器、モーター、半導体デバイス等の電子機器部材の放熱装置に用いられるものである。 【0013】本発明において、ベース部の銅としては、例えばタフピッチ銅、無酸素銅、リン脱酸銅等の純銅の他、Sn、Ag、Zn、Fe等が少量添加された銅合金が用いられる。ベース部には純アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられる。ベース部の銅部材とアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材の間のAg層は純Ag、または2%以下のCd,Co,Cu,In,Ni,Pd,Znを添加したAg合金が用いられる。またAg層は箔、電解めっき、無電解めっき、気相めっき、スパッタリング等である。フィン部のアルミニウム若しくはアルミニウム合金は、特に限定するものではない。フィン部の金属的接合としては例えば、はんだ付け、ろう付けが挙げられる。またフィン部の形状としては例えば、櫛型のもの、格子型のものが挙げられる。 【0014】図1を参照して本発明の放熱装置を示すと、ベース部(1)は銅部材(1a)にAg層(1d)を介してアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材(1b)を合わせた部材であり、アルミニウム及びアルミニウム合金のフィン(2)が、はんだ付けまたはろう付け(3)で金属的接合がなされている。 【0015】また、図2(a)(b)(c)を参照して本発明の放熱装置を示す。図2(a)は、放熱装置で、ベース部(1)は銅部材(1a)にAg層(1d)を介してアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材(1b)を合わせた部材で、アルミニウム及びアルミニウム合金のフィン(2)がはんだ付けまたはろう付け(3)で金属的接合がなされている。IGBT等の発熱体(4)は、はんだまたは熱伝導性グリスの仲介層(5)を介してベース部(1)の銅部材(1a)に設けられている。 【0016】図2(b)(c)は発熱部からの熱を伝達の状況の例を示すもので、IGBT等の発熱体(4)で発生した熱は、はんだまたは熱伝導性グリスの仲介層(5)を通ってベース部(1)の銅部材(1a)に伝わり、その熱は熱伝導性の高い銅のベース部(1)によって、矢印(6)(7)(8)(9)等の方向に広がる。また矢印(10)(11)(12)(13)(14)(15)(16)のように銅部材(1a)から金属的に接合されたアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材(1b)を通り、アルミニウム若しくはアルミニウム合金のフィン(2)に熱が伝わる。この矢印(6)(7)(8)(9)熱の広がることをスプレッド性と称し、広がり易いことをスプレッド性がよいと表現する。銅はスプレッド性が優れているのでベース材としては優れている。 【0017】しかし、銅単体では、アルミニウム及びアルミニウム合金のフィン(2)との金属的接合性(はんだ付性、ブレージング性)が劣るので、ベース部(1)のフィン部(2)と接する面は、フィンと同じアルミニウム若しくはアルミニウム合金(1b)であることが必要であるので、ベース部(1)は、銅とアルミニウム若しくはアルミニウム合金との合わせ部材(1)とした。ベース部(1)は、銅とアルミニウム若しくはアルミニウム合金とを、直接接触する状態で、高圧鋳造、低圧鋳造で鋳ぐるむ方法で接合すると、AlとCuの接合面には、図3の模式図に示すように、銅(1a)とアルミニウム若しくはアルミニウム合金(1b)の接合界面に、合金層(1c)(θ相、Al2Cu)が生成する。この合金層(1c)は、融点が548.2℃と低く、脆いので、割れ易い。 【0018】そこで、銅部材にAg層を介してアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材(1b)を接合すると、Al−Agは固溶域が大きく、脆い合金層を形成せず、またCu−Agも固溶域が大きく、脆い合金層を形成しない。図4は接合部の断面組織の模式図で、銅部材にAg層としてAgめっき層を形成し、アルミニウム若しくはアルミニウム合金で高圧鋳造、低圧鋳造で鋳込んで合わせ部材とした場合、銅部材(1a)とAg層(1d)との間に脆くないCu−Ag合金層(1e)ができ、アルミニウム若しくはアルミニウム合金板(1b)とAg層(1d)との間に脆くないAl−Ag合金層(1f)が生成する。これらの金属及び合金層は熱抵抗も優れている。このように、Ag層を介してアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材と銅部材を金属結合したベース部材は接合部の熱伝導性が著しく優れている。 【0019】本発明の放熱装置の全面をAl、Cu、Ni、Cr、Ag、Au、それらの合金のいずれかの金属めっきを施すこと、または銅露出部分を、Al、Ni、Cr、それらの合金のいずれかの金属めっきを施すことについて説明する。本発明の放熱装置が大気中や腐食環境で使用される場合の電気腐食を避けるためである。銅とアルミニウム若しくはアルミニウム合金が接触し、腐食環境にあるときは、電池を形成し電気腐食が起こるので、放熱装置全面を、Al、Cu、Ag、Au及びそれらの合金でめっきする。これらの金属はそれ自体比較的耐食性が良い、また熱伝導性も優れている。Ni、Crは熱伝導性には多少劣るが耐食性が優れているので薄く付けるならば銅埋込みヒートシンクの全面のめっきに適用できる。これにより放熱装置は耐食性を有することになる。 【0020】また、放熱装置の銅が露出している部分を、Al、Ni、Cr及びそれらの合金でめっきして覆うと、めっき部分とアルミニウム若しくはアルミニウム合金の放熱装置部で電気腐食が起こり難くくなる。Alは、Al同志であるから電位差が発生せず電気腐食が発生しないのは当然であり、またNi、Crはアルミニウム若しくはアルミニウム合金と電位差が生じても、めっき表面が不動態であるため電気腐食が発生しにくい。これらの金属のめっき厚さは100μm以下が望ましいなお、放熱装置の銅が露出している部分をCu、Ag、Auめっきすることは電気腐食が起こるので望ましくない。 【0021】本発明の銅部材にAg層を介してアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材との合わせ部材を形成する工程について説明する。鋳ぐるみを高圧鋳造で行う場合について、図5を参照して説明する。高圧鋳造装置は、固定金型(19)に形成されたキャビティ部(21)、矢印(25)の方向へ移動する移動金型(20)、溶湯補給経路(24)、及び一定量の溶湯(1y)が注湯される射出スリーブ(22)、射出スリーブ内を摺動し溶湯をキャビティ内に充填、加圧するプランジャーチップ(23)とから成る。 【0022】この高圧鋳造において、予め銅板(1x)に、Agめっきを、電解めっき、無電解めっき、気相めっき、スパッタリング等で施す。Agは熱伝導性が優れ、熱伝導度は425W/m・℃である。Agの融点はアルミニウムより高く、960.8℃である。このAgめっきした銅板を、高圧鋳造でアルミニウム若しくはアルミニウム合金で鋳ぐるむものである。高圧鋳造は溶湯(約750℃)を鋳型に注入してから高圧(500〜1000kgf/cm2)で加圧し、速い冷却速度(10〜100℃/sec)で冷やすため、得られたものは結晶粒が細かく、内部欠陥が少なく、延性に富んだものとなる。 【0023】この高圧鋳造において、銅板(1x)のAgめっきの厚さは20μm以上が好ましい。Agめっきの厚さを20μm未満では、鋳造中に溶湯の温度と圧力及びエロージョンでAgめっきが全部無くなってしまい、銅板とアルミニウム若しくはアルミニウム合金と脆い合金相を形成し、割れたり、欠陥が生じたり、健全な結合ができない。又、高圧鋳造やフィンとのはんだ付けを行った後でも、Agめっき部が1μm以上残存していないと、その後の経時変化でAlとCuが拡散、合金化して脆い合金相を形成する。故に、ベース部材に施すAg層、例えばAgめっきの厚さは20μm以上が必要であり、はんだ付後の残存Agめっき厚さは1μm以上が必要である。なお、AgめっきはAg合金(例えば2%以下のCd,Co,Cu,In,Ni,Pd,Znを添加したもの)のめっきでも同様な効果が得られるものである。 【0024】鋳ぐるみを低圧鋳造で行う場合について、図6を参照して説明する。低圧鋳造装置は、矢印(35)の方向へ移動する移動金型(26)に形成されたキャビティ部(28)、固定金型(27)と溶湯補給経路になるストーク(33)、溶湯(31)を一定量保持する坩堝(30)と、坩堝内の溶湯の湯面にエアー(32)で加圧し、ストーク(33)を通って溶湯(34)がキャビティ(28)に充填できるようにそれらを密封する炉壁(29)から成る。 【0025】この低圧鋳造においても、予め銅板(1x)に、Agめっきを施す。Agめっきの厚さを50μm以上が好ましい。それは低圧鋳造の場合は、溶湯(約750℃)を鋳型に注入してから低圧(0.1〜0.5kgf/cm2)で加圧し、比較的遅い冷却速度(1〜20℃/sec)で冷やすため、50μm未満では、鋳造中に、Agめっきが溶湯と合金化及び拡散して全部無くなってしまうからである。 【0026】本発明の合わせ部材のアルミニウム若しくはアルミニウム合金部材側にアルミニウム若しくはアルミニウム合金よりなるフィン部をろう付け、またはんだ付けする工程について説明する。はんだ付けは、金属的にベース板とフィンと接合するため、比較的熱抵抗を低くできる。しかし、現在のはんだ、例えば、JISZ 3281「アルミニウム用はんだ」は全てアルミニウム若しくはアルミニウム合金より熱抵抗値が高いので、できるだけ薄いはんだ層(200μm以下)で接合することが望ましい。はんだ付けは、ベース板とフィンの接合面を予めはんだめっき(はんだを、摩擦はんだ付け、超音波はんだ付け等で付けておくこと)を施しておき、ジグで組み上げておいてリフロー炉ではんだ付けしたり、摩擦はんだ付け、超音波はんだ付け等で一体化するものである。 【0027】またろう付けは、ろう材としては例えばAl−Si系ろう材、Al−Si−Mg系のろう材が挙げられ、また非腐食性フラックスを用いて窒素雰囲気の炉でブレージングするもの、真空ブレージングを行うものである。具体的に例示すれば、非腐食性フラックス(KFとAlF3の共晶組成)、Al−Si系ろう(例えば、A4045、A4047等)を用いて、窒素ガス雰囲気でブレージングして組み立てるものである。ブレージング条件は、例えば温度:600±5℃で行うものである。 【0028】づきに本発明の放熱装置の具体的な態様を例示する。ベース板として予め銅板にAgめっきを厚さ20μm以上施した後、高圧鋳造で、純アルミニウム、Al−Mn系合金、Al−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金のいずれかで鋳ぐるんだ後、機械加工で、一方の面に銅が露出し、逆側の面に純アルミニウム若しくはアルミニウム合金が露出する様に切削して作製し、前記フィン材として純アルミニウム、Al−Mn系合金、Al−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金のいずれかを用い、ベース板の純アルミニウム若しくはアルミニウム合金側に、フィンをはんだで接合して、Agめっき部の厚さが1μm以上残存する状態に組み立てたるものである。その後必要により放熱器の全面をAl、Cu、Ni、Cr、Ag、Auのいずれかの金属でめっきするか、若しくは放熱器の銅露出部分を、Al、Ni、Crのいずれかの金属でめっきするものである。 【0029】また、ベース板として予め銅板にAgめっきを厚さ20μm以上施した後、高圧鋳造で、純アルミニウム、Al−Mn系合金のいずれかで鋳ぐるんだ後、機械加工で、一方の面に銅が露出し、逆側の面に純アルミニウム若しくはアルミニウム合金が露出する様に切削して作製し、フィン材として純アルミニウム、Al−Mn系合金のいずれかを用い、前記ベース板の純アルミニウム若しくはアルミニウム合金側に、前記フィンをAl−Si系ろう材と非腐食性フラックスを用いて窒素雰囲気の炉でブレージングで結合させて、Agめっき部の厚さが1μm以上残存する状態に組み立てたるものである。 【0030】また、ベース板として予め銅板にAgめっきを厚さ20μm以上施した後、高圧鋳造で、Al−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金のいずれかで鋳ぐるんだ後、機械加工で、一方の面に銅が露出し、逆側の面にAl−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金のいずれかが露出する様に切削して作製し、前記フィン材としてAl−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金のいずれかを用い、前記ベース板のAl−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金のいずれかの側に、前記フィンをAl−Si−Mg系のろう材を用いて真空ブレージングで結合させて、Agめっき部が1μm以上残存する状態に組み立てるものである。 【0031】また、ベース板として予め銅板にAgめっきを厚さ50μm以上施した後、低圧鋳造で、純アルミニウム、Al−Mn系合金、Al−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金のいずれかで鋳ぐるんだ後、機械加工で、一方の面に銅が露出し、逆側の面に純アルミニウム若しくはアルミニウム合金が露出する様に切削して作製し、前記フィン材として純アルミニウム、Al−Mn系合金、Al−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金のいずれかを用い、前記ベース板の純アルミニウム若しくはアルミニウム合金側に、フィンをはんだで接合して、Agめっき部の厚さが1μm以上残存する状態に組み立てるものである。 【0032】また、ベース板として予め銅板にAgめっきを厚さ50μm以上施した後、低圧鋳造で、純アルミニウム、Al−Mn系合金のいずれかで鋳ぐるんだ後、機械加工で、一方の面に銅が露出し、逆側の面に純アルミニウム若しくはアルミニウム合金が露出する様に切削して作製し、前記フィン材として純アルミニウム、Al−Mn系合金のいずれかを用い、前記ベース板の純アルミニウム若しくはアルミニウム合金側に、前記フィンをAl−Si系ろう材と非腐食性フラックスを用いて窒素雰囲気の炉でブレージングで結合させて、Agめっき部の厚さが1μm以上残存する状態に組み立てたるものである。 【0033】また、ベース板として予め銅板にAgめっきを厚さ50μm以上施した後、低圧鋳造で、Al−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金のいずれかで鋳ぐるんだ後、機械加工で、一方の面に銅が露出し、逆側の面にAl−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金のいずれかが露出する様に切削して作製し、前記フィン材としてAl−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金のいずれかを用い、前記ベース板のAl−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金のいずれかの側に、前記フィンをAl−Si−Mg系のろう材を用いて真空ブレージングで結合させて、Agめっき部が1μm以上残存する状態に組み立てるものである。 【0034】 【実施例】以下、本発明の実施例を表1〜表3を参照して説明する。 ○ベース板の作製銅板を鋳ぐるむ方法として、高圧鋳造と、低圧鋳造を行った。銅板は6mm(厚さ)×86mm×107mmの機械加工したものを用いた。銅板へのAgめっきは電解めっき、無電解めっきで行った。(比較材として、銅板にZnめっきを電解めっきで行ったものも作製した。)所定のめっきの厚さは、めっき条件をコントロールして得た。高圧鋳造は、図5の高圧鋳造装置を用いて行い、高圧鋳造は、20mm(厚さ)×150mm×200mmのキャビティ内容積の鋳型に図5のごとく、所定の厚さのAgめっきした銅板(1x)をセットし、銅板を400〜700℃に予熱して(Znめっき材は予熱せず)溶湯温度:750℃、射出速度:0.08m〜0.12m/sec、鋳造圧力:1000kgf/cm2(10kgf/mm2)で行った。 【0035】低圧鋳造は図6の低圧鋳造装置を用いて行い、低圧鋳造は、20mm(厚さ)×150mm×200mmのキャビティ内容積の鋳型に図6のごとく、所定の厚さのAgめっきした銅板(1x)をセットし、銅板を400〜700℃に予熱して、溶湯温度:750℃、鋳造圧力:0.5kgf/cm2で行った。(比較材として、銅板にZnめっきを電解めっきで行ったものも作製し、予熱せず、低圧鋳造で鋳込んだ。)鋳造上がりの銅埋込み材を、機械加工で、銅が表面に出る側を、銅が表面に表れてから1mm削り込んだ後、アルミニウム側の表面を切削し、上がり厚さを7mmとした。ベース板の横幅は114mm、長さは150mmとし、銅板が中央にくるように加工した。 【0036】○ベース板とフィンの接合方法・はんだ付け:はんだは、Zn−10%Al、及びSn−10%Znはんだを用いた。銅とアルミニウム若しくはアルミニウム合金の合板の、アルミニウム若しくはアルミニウム合金側の面、及び押出形材でできたフィンをジグで組み立てて、はんだ接合面を、予め、摩擦はんだ付け、若しくは超音波はんだ付けではんだめっきした。はんだめっきしたベース板とフィンを合わせて、摩擦はんだ付けで接合した。接合温度は、Zn−10%Alはんだの場合は450℃、Sn−10%Znはんだの場合は300℃とした。 【0037】窒素雰囲気ブレージングは、0.2mm厚さのA4047ろう材シートをベースと同じサイズに切断し、K2AlF5・H2Oを主成分とする非腐食性フラックスを全面に塗布し、乾燥させた後、ベース板のアルミニウム若しくはアルミニウム合金面とフィンの接合面の間に挟んで、ジグで固定し、密封タイプの炉で、乾燥した窒素ガスを導入して、露点−40℃以下、酸素分圧1000ppm以下に管理し、ろう付温度600±5℃で2時間加熱して接合した。従来方法として、ベース板をA3003の単一板を用い、フィンとしてA1070を用いたものを、前記のろう材、及び非腐食性フラックスを用いて窒素雰囲気ブレージングを行った。 【0038】真空ブレージングは、0.5mm厚さのAl−12%Si−2%Mgのろう材シートをベースと同じサイズに切断し、ベース板のアルミニウム若しくはアルミニウム合金面とフィンの接合面の間に挟んで、ジグで固定し、真空炉で、真空度:5×10−4〜5×10−5Torrに管理し、595±5℃で2時間加熱して接合した。また従来方法として、かしめ及び接着も行った。 【0039】○放熱装置の性能評価方法■ベース板の銅とアルミニウム若しくはアルミニウム合金の接合性:接合界面に割れ、未溶着等の内部欠陥が発生していないか。超音波探傷試験で欠陥の有無を調査する。 良好 :○欠陥発生:×■ベースとフィンの接合性:ベースとフィンが、割れ、未溶着等の欠陥が無く接合されているか目視で接合の良否を判別する。 良好 :○欠陥発生:×【0040】■放熱装置の熱抵抗:図7は、放熱装置の熱抵抗測定装置の概要である。(36)は放熱装置、(37)は発熱体、(38)は直流電源、(39)は直流電源を制御するスライダックトランスである。(40)は空気の温度を測定する熱電対、(41)は発熱体の温度を測定する熱電対、(42)はデータ収集システム、(43)はデータを取り込むパーソナルコンピューターである。(44)は発熱体の温度を保護する断熱材である。(45)は風洞、(46)は風速を測定するセンサーであり、(47)は風速計である。(48)は送風ファン、(49)は送風ファンの回転数を変えるスライダックトランスである。風は(50)方向から入って(51)方向に出るようにした。このようにすると短い距離で層流が得られるためである。 【0041】0.3mmφの熱電対を発熱体、及び放熱装置のベースに貼りつけ、発熱体は導電グリスで放熱装置に取り付けた。発熱体の入熱はスライダックトランスのダイヤルを回して100Wにコントロールし、風速はスライダックトランスを回して、風速が3m/minになるようにコントロールした。発熱体の温度及び空気温度は、熱電対で測定され、データはデータ収集システムでパーソナルコンピュータに記録された。100Wの入熱における発熱体と、空気の温度は温度が一定になったところの温度の平均値とした。そして、次式により熱抵抗を求めた。 熱抵抗=(発熱体の温度−空気温度)/入熱=(発熱体の温度−空気温度)/100W単位:℃/W熱抵抗の良否判別良好 :○ :0.40 ℃/W以下不良 :× :0.40 ℃/Wを越すもの【0042】■放熱装置の温度サイクル試験放熱装置を−40℃で1時間保持→昇温→125℃で1時間保持→降温→−40℃で1時間保持の温度サイクル試験を行い、500サイクルで熱抵抗が上昇しないかどうか測定する。 良好 :○ :熱抵抗0.02℃/W以下変化不良 :× :熱抵抗0.02℃/Wを超える上昇【0043】■腐食試験ヒートシンクを5%NaCl水溶液に1000時間浸漬し、腐食の程度を目視で観察する。 良好 :○ :腐食無し不良 :× :腐食発生【0044】○本発明放熱装置、比較放熱装置、従来の放熱装置の各種試験結果No.1〜No.16は本発明放熱装置であり、No.17〜No.36は比較放熱装置であり、No.37〜No.41は従来の放熱装置である。表1〜3は、各種放熱装置の各種試験結果である。本発明放熱装置は、ベース材の健全性、ベースとフィンの接合性、熱抵抗、ヒートサイクル試験、耐食性の全てにおいて○であり、総合評価も全て○であった。。それに対し、比較放熱装置及び従来の放熱装置は、×の評価が1個以上有り、総合評価は全て×であった。なお、表1〜3のベースとフィンの接合方法の欄中、SO:はんだ付け、NB:窒素雰囲気ブレージング、VB:真空ブレージング,AD:接着、CL:かしめ、である。 【表1】
【表2】
【表3】
【0045】 【発明の効果】以上に述べた様に、本発明の放熱装置は、発熱部から熱を伝達し、広範囲に前記熱を分散するベース部と、前記熱を空気に伝達するフィン部とで構成する放熱装置において、銅板にAg層を介してアルミニウム若しくはアルミニウム合金板を鋳ぐるみで合板を造り、それをベース板とし、フィン部に純アルミニウム若しくはアルミニウム合金を用い、前記ベース板の純アルミニウム若しくはアルミニウム合金側に、前記フィンを金属的に結合させる。また放熱器の全面をAl、Cu、Ni、Cr、Ag、Auのいずれかの金属でめっきするか、若しくは放熱器の銅露出部分を、Al、Ni、Crのいずれかの金属でめっきすることを特徴とした放熱装置であるため、■ベース板の銅とアルミニウム若しくはアルミニウム合金の接合性が優れ、■ベースとフィンの接合性が優れ、■ヒートシンクの熱抵抗が小さく、■ヒートシンクの温度サイクルに対して耐久性が有り■ヒートシンクの耐食性が優れている。 よって、本発明のヒートシンクは、電気自動車用モーター、制御回路、内燃機関、電力制御機器、モーター、半導体デバイス等の電子機器部材の冷却に用いて顕著な効果を有するものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005290 【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)1月14日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】煤孫 耕郎
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| 【公開番号】 |
特開平11−204968 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)7月30日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−17967 |
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