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【発明の名称】 半導体装置
【発明者】 【氏名】小池 智礼

【氏名】板橋 徹

【氏名】真田 一也

【氏名】瀧川 能史

【要約】 【課題】マザーボードにおける配線パターン設計の自由度を損なうことなく、組立完了状態における歪みの発生をなくし電気的な接続の信頼性を向上すること。

【解決手段】放熱フィン40を介してマザーボード60とケース70とをねじ止めする際、放熱フィン40の傾斜面41が対向するケース70の傾斜面76に接触状態となるまで相対的に移動させ、その位置にて最終的な組立完了とされる。このため、マザーボード60とケース70との距離間隔が、放熱フィン40の傾斜面41とケース70の傾斜面76とを介して適切に設定できる。これにより、放熱フィン40やケース70等の製造上の寸法公差を吸収して、マザーボード60に過剰な応力が及ぶことが防止でき、マザーボード面上の配線パターン自身や実装されている電子部品等の電気的な接続の信頼性を向上することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 発熱性を有する電子部品を含む複数の電子部品を実装する基板と、前記基板を接合し、前記電子部品からの熱を吸収・発散する放熱部材と、前記基板を略垂直方向に電気的に接続すると共に、前記基板と一体的な前記放熱部材を固定するマザーボードと、前記マザーボードを収容する筐体とを具備し、前記放熱部材の前記マザーボードとの反対面に傾斜面を形成すると共に、前記放熱部材の傾斜面に対向する前記筐体の対向面に同じ傾きからなる傾斜面を形成し、前記両傾斜面を介して前記放熱部材と前記筐体とを接合することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】 更に、前記放熱部材の傾斜面には前記筐体をねじ止めするねじ穴部と、前記筐体には前記放熱部材のねじ穴部に対応し前記筐体の傾斜面の傾き方向に穿設した長穴とを具備することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】 更に、前記筐体には前記マザーボードをねじ止めするねじ穴部と、前記マザーボードには前記筐体のねじ穴部に対応し前記筐体の傾斜面の傾き方向に穿設した長穴とを具備することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】 更に、前記マザーボードには前記筐体にねじ止めする近傍に前記マザーボードの板幅を狭くまたは板厚を薄く形成したくびれ部を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の電子部品を実装する基板をマザーボードに実装してなる半導体装置に関するもので、特に、パワー素子からの熱を効率良く放熱できる半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、図6に示すように、ケース170内に収容され、基板160に実装されたパワー素子即ち、発熱性を有する電子部品121が接合された放熱フィン(ヒートシンク)140をビス149によって固定し、電子部品121からの熱を吸収・発散するようにした半導体装置の構造が知られている。なお、150は半導体装置を外部配線と接続するためのコネクタである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ここで、前述の放熱フィン140を、更にアルミニウム材料等で形成された熱容量の大きなケース170の側壁面や上部壁面に接触または接合することで、電子部品121からの熱の吸収・発散を増大するような構造が考えられる。
【0004】例えば、図7に示すように、基板160にビス149によって接合された放熱フィン140をケース170の周辺の側壁面171にビス148を用いたねじ止め等にて固定する構造では、その固定位置が側壁面171に限定されることで、基板160面上における配線パターン設計に支障をきたすという不具合が生じる。
【0005】また、図8に示すように、放熱フィン140をケース170の上部壁面172にビス178を用いたねじ止め等にて固定する構造では、基板160とケース170とをビス179を用いたねじ止め等にて固定する組立完了状態において、放熱フィン140やケース170等の製造上の寸法公差によっては、電子部品121が実装された基板160に対して、上または下に凸となる歪みの発生が起こることとなる。このような歪みの発生により基板160面上の配線パターン自身やその配線パターンと電子部品121からのリード端子等との電気的な接続の信頼性を損なうという不具合があった。
【0006】そこで、この発明はかかる不具合を解決するためになされたもので、マザーボードにおける配線パターン設計の自由度を損なうことなく、組立完了状態におけるマザーボードの歪みの発生をなくし電気的な接続の信頼性を向上することが可能な半導体装置の提供を課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の半導体装置によれば、放熱部材を介してマザーボードと筐体とを接合する際、放熱部材の傾斜面が対向する筐体の傾斜面に接触状態となるまで相対的に移動させ、その位置にて最終的な接合完了とされる。つまり、マザーボードと筐体との距離間隔が、放熱部材の傾斜面と筐体の傾斜面とを介して適切に設定できる。このため、放熱部材や筐体等の製造上の寸法公差が吸収でき、マザーボードに過剰な応力が及ぶことを防止できる。これにより、マザーボードの歪みの発生がなくなりマザーボード面上の配線パターン自身や実装されている電子部品等の電気的な接続の信頼性を向上することができる。また、放熱部材と接合された基板の配置やマザーボードの配線パターンに対する設計上の自由度を損なうことなく、放熱部材を介して複数の電子部品からの熱を効率良く吸収・発散させることができる。
【0008】請求項2の半導体装置では、放熱部材の傾斜面に設けられたねじ穴部に対して筐体の傾斜面に穿設された長穴の範囲内で放熱部材と筐体とのねじ止めによる接合が自由にできることとなる。これにより、放熱部材と筐体とを一旦、仮止め状態とし両者を相対的に移動させ適切な位置にて接合完了状態とするような組立手順が設定可能となる。即ち、放熱部材を介してマザーボードと筐体との距離間隔を微調整できマザーボードに対する過剰な応力を取除くことができる。
【0009】請求項3の半導体装置では、筐体に設けられたねじ穴部に対してマザーボードに穿設された長穴の範囲内で筐体とマザーボードとのねじ止めによる接合が自由にできることとなる。これにより、筐体とマザーボードとの相対的な接合位置を微調整できマザーボードに対する過剰な応力を取除くことができる。
【0010】請求項4の半導体装置では、マザーボードと筐体とをねじ止め接合する際、何らかの要因でマザーボードに過剰な応力が及ぶことがあっても、ねじ止め近傍に形成されたくびれ部の変位によって吸収することができる。これにより、マザーボードの歪みの発生が除去され配線パターン自身や実装されている電子部品等の電気的な接続の信頼性を向上することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
【0012】図1は本発明の実施の形態の一実施例にかかる半導体装置の全体構成を示す分解斜視図である。また、図2(a)は図1における放熱フィンの寸法が大きいときのケースとマザーボードとの組立完了状態を示す部分断面図であり、図3(a)は図1における放熱フィンの寸法が小さいときのケースとマザーボードとの組立完了状態を示す部分断面図である。ここで、図2(b)、図3(b)はそれぞれ図2(a)、図3(a)のマザーボードに穿設された長穴形状部分を示す底面図である。なお、以下の図中、同様の構成または相当部分からなるものについては同一符号及び同一記号を付し、その重複する説明を省略する。
【0013】図1、図2及び図3において、本実施例の半導体装置100では、厚膜用基板として放熱性が高い複数のセラミック基板10が用いられている。これら複数のセラミック基板10には、発熱性を有するパワー素子としての駆動トランジスタ(パワートランジスタ)21やその他の電子部品22が実装されている。また、複数のセラミック基板10は、更に駆動トランジスタ21で発生する熱を吸収・発散させるためアルミニウム材料等で形成された1つの放熱フィン40の所望の位置に熱伝導性が良好な例えば、シリコン系の接合剤を介して接合されている。そして、放熱フィン40はマザーボード60にビス49を用いて固定されていると共に、セラミック基板10からのリード端子31はマザーボード60に穿設された所定の穴60aに挿入されはんだ付けされている。
【0014】更に、マザーボード60の1辺の周縁近傍には、外部配線と接続するためのコネクタ50がビス59を用いて固定されていると共に、コネクタ50のリード端子51がはんだ付けされ電気的に接続されている。また、マザーボード60上で略垂直方向となるように電気的に接続されたセラミック基板10が接合された放熱フィン40には、マザーボード60との反対面に傾斜面41が形成され、この放熱フィン40の傾斜面41にはねじ穴部42が設けられている。
【0015】このように構成されたマザーボード60は、図1に示すような、熱伝導性が高い例えば、アルミニウム材料等で形成されたケース70内に収容されたのち、図示しないアルミニウム材料等で形成されたカバーが被せられ、ねじ止めされることで半導体装置100が構成される。ここで、放熱フィン40の傾斜面41に対向するケース70の対向面には、放熱フィン40の傾斜面41と同じ傾きからなる傾斜面76が形成されている(図2及び図3参照)。また、ケース70の傾斜面76には放熱フィン40のねじ穴部42に対応してケース70の傾斜面76の傾き方向(最大傾斜線方向)にビス78を用いてねじ止め固定するための長穴77が穿設されている。更に、マザーボード60には、ケース70の傾斜面76に穿設された長穴77と同じ方向でケース70側にビス79を用いてケース70の側壁74等に設けられているねじ穴部75にねじ止め固定するための長穴65が穿設されている。
【0016】次に、半導体装置100におけるマザーボード60とケース70との組立において、放熱フィン40の寸法公差にばらつきがあり寸法が異なる図2及び図3を参照して説明する。
【0017】図2及び図3において、マザーボード60とケース70との組立に際し、まず、セラミック基板10が接合された放熱フィン40、コネクタ50が固定されたマザーボード60がケース70内におおまかに収容される。つまり、放熱フィン40の傾斜面41とケース70の傾斜面76とが当接しない位置で組合わせられる。そして、放熱フィン40の傾斜面41に形成されたねじ穴部42に対応しケース70の傾斜面76に穿設された長穴77を利用しビス78にてマザーボード60に前工程で固定されている放熱フィン40がケース70側に仮止めされる。また、ケース70の側壁74等に形成されたねじ穴部75に対応しマザーボード60に穿設された長穴65を利用しビス79にてマザーボード60がケース70側に仮止めされる。
【0018】次に、マザーボード60に穿設された長穴65とケース70に穿設された長穴77とを利用しマザーボード60とケース70とが仮止め状態で相対的に移動され、放熱フィン40の傾斜面41が対向するケース70の傾斜面76に寄せられ接触状態となった位置で移動が停止される。そして、ケース70と放熱フィン40とがビス78により、また、マザーボード60とケース70とがビス79によって組立完了状態とされる。なお、ビス78、79等の締付け順序は特に限定されるものではない。
【0019】上述のように、マザーボード60とケース70とを相対的に移動させ、放熱フィン40の傾斜面41をケース70の傾斜面76に接触させることで放熱フィン40やケース70等に製造上における寸法公差にばらつきがあっても吸収させることができる。即ち、図2に示すように、放熱フィン40の寸法が大きいときには放熱フィン40の傾斜面41を対向するケース70の傾斜面76に寄せていくと、相対的な移動が少なく早めに接触状態となる。これに対して、図3に示すように、放熱フィン40の寸法が小さいときには放熱フィン40の傾斜面41を対向するケース70の傾斜面76に寄せていくと、相対的な移動がある程度あって接触状態となる。
【0020】このため、図2及び図3に示すねじ止めによる組立完了状態において、マザーボード60側が放熱フィン40を介してケース70側から応力を受けることがなく、駆動トランジスタ21等からの熱がセラミック基板10及び放熱フィン40を介して熱容量の大きなケース70側へ効率良く吸収・発散される。
【0021】このように、本実施例の半導体装置100は、発熱性を有する電子部品としての駆動トランジスタ21を含む複数の電子部品21,22を実装するセラミック基板10と、セラミック基板10を接合し、電子部品21,22からの熱を吸収・発散する放熱部材としての放熱フィン40と、セラミック基板10を略垂直方向に電気的に接続すると共に、セラミック基板10と一体的な放熱フィン40を固定するマザーボード60と、マザーボード60を収容する筐体としてのケース70とを具備し、放熱フィン40のマザーボード60との反対面に傾斜面41を形成すると共に、放熱フィン40の傾斜面41に対向するケース70の対向面に同じ傾きからなる傾斜面76を形成し、両傾斜面41,76を介して放熱フィン40とケース70とを接合するものである。
【0022】つまり、放熱フィン40を介してマザーボード60とケース70とを接合する際、放熱フィン40の傾斜面41が対向するケース70の傾斜面76に接触状態となるまで相対的に移動させ、その位置にて最終的な接合完了とされる。このような接合によれば、マザーボード60とケース70との距離間隔が、放熱フィン40の傾斜面41とケース70の傾斜面76とを介して適切に設定できる。このため、放熱フィン40やケース70等の製造上の寸法公差が吸収でき、マザーボード60に過剰な応力が及ぶことを防止できる。これにより、マザーボード60の歪みの発生がなくなりマザーボード60面上の配線パターン自身や実装されている電子部品等の電気的な接続の信頼性を向上することができる。また、放熱フィン40と接合されたセラミック基板10の配置やマザーボード60の配線パターンに対する設計上の自由度を損なうことなく、放熱フィン40を介して電子部品21,22からの熱を効率良く吸収・発散させることができる。
【0023】また、本実施例の半導体装置100は、更に、放熱部材としての放熱フィン40の傾斜面41に筐体としてのケース70をねじ止めするねじ穴部42と、ケース70に放熱フィン40のねじ穴部42に対応しケース70の傾斜面76の傾き方向に穿設した長穴77とを具備するものである。したがって、放熱フィン40の傾斜面41に設けられたねじ穴部42に対してケース70の傾斜面76に穿設された長穴77の範囲内で放熱フィン40とケース70とのねじ止めによる接合が自由にできることとなる。これにより、放熱フィン40とケース70とを一旦、仮止め状態とし両者を相対的に移動させ適切な位置にて接合完了状態とするような組立手順が設定可能となる。即ち、放熱フィン40を介してマザーボード60とケース70との距離間隔を微調整できマザーボード60に対する過剰な応力を取除くことができる。
【0024】そして、本実施例の半導体装置100は、更に、筐体としてのケース70にマザーボード60をねじ止めするねじ穴部75と、マザーボード60にケース70のねじ穴部75に対応しケース70の傾斜面76の傾き方向に穿設した長穴65とを具備するものである。したがって、ケース70に設けられたねじ穴部75に対してマザーボード60に穿設された長穴65の範囲内でケース70とマザーボード60とのねじ止めによる接合が自由にできることとなる。これにより、ケース70とマザーボード60との相対的な接合位置を微調整できマザーボード60に対する過剰な応力を取除くことができる。
【0025】次に、本発明の実施の形態の一実施例にかかる半導体装置におけるマザーボードの変形例を示す図4及びこのマザーボードを用いた半導体装置の組立完了状態を示す図5を参照して説明する。ここで、図4(a)はマザーボードの変形例における要部構成を分かり易く示す斜視図、図4(b)は図4(a)に示す矢印方向から見た部分平面図、図4(c)は図4(b)のA−A線に沿う断面図である。なお、図4に示すマザーボードでは、例えば、電子部品を実装するための穴等については省略されている。
【0026】図4(a),(b),(c)に示すように、本変形例のマザーボード60′の4隅にはケース側にねじ止めするための長穴65が穿設されている。これら長穴65の近傍には、長穴65を取囲むように切込61a及びU溝61bからなるくびれ部61が形成されている。このくびれ部61の形状としては、切込61aまたはU溝61bのみで形成することもでき、更に、マザーボード60′の板厚に対して両側からのU溝やV溝等にて形成することもできる。
【0027】本変形例のマザーボード60′を用いた半導体装置100′においても、上述の実施例と同様、図5に示すように、放熱フィン40を介しマザーボード60′をケース70にねじ止め固定する際、放熱フィン40の傾斜面41とケース70の傾斜面76とを利用することで、放熱フィン40やケース70等の製造上の寸法公差を吸収するものである。
【0028】ところで、組立完了状態でマザーボード60′に僅かな歪みが残っていることが考えられる。このような、僅かな歪みは組立時に取除くことが極めて難しいものであり、この僅かな歪みを完全に取除くことは、組立工数を増加させコストアップの要因となる。ここで、本変形例のマザーボード60′を用いた半導体装置100′においては、放熱フィン40を介したマザーボード60′とケース70との組立完了状態でマザーボード60′に残った僅かな歪みをくびれ部61が変形することによって吸収することが可能となるのである。
【0029】このように、本変形例の半導体装置100′は、更に、マザーボード60′にケース70にねじ止めする近傍にマザーボード60′の板幅を狭くまたは板厚を薄く形成したくびれ部61を具備するものである。このため、マザーボード60′とケース70とをねじ止め接合する際、何らかの要因でマザーボード60′に過剰な応力が及ぶことがあっても、ねじ止めの近傍に形成されたくびれ部61の変位によって吸収することができる。これにより、マザーボード60′の歪みの発生が除去されマザーボード60′面上の配線パターン自身や実装されている電子部品等の電気的な接続の信頼性を向上することができる。
【0030】ところで、上記実施例では、複数の電子部品を実装する基板として厚膜用基板の主流である放熱性に優れたセラミック基板10を用いているが、本発明を実施する場合には、これに限定されるものではなく、金属基板やエポキシ系のプリント基板等を用いて構成することもできる。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成10年(1998)1月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 武尚
【公開番号】 特開平11−204967
【公開日】 平成11年(1999)7月30日
【出願番号】 特願平10−8429