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【発明の名称】 電気接続箱へのワイヤーハーネスの固定構造
【発明者】 【氏名】岡野 高明

【要約】 【課題】構造が簡単で、特別な設置スペースを必要とせず、しかも異物の侵入の虞れがない電気接続箱へのワイヤーハーネスの固定構造を提供すること。

【解決手段】電気接続箱のケース10に貫通孔13を設け、該貫通孔の一方開口にバスバー15の端子を臨ませて配設して、その一方開口にネジ20を締結して電源線端子19を連結するとともに、前記貫通孔の他方の開口にワイヤーハーネス保持用クリップ16を挿入係止している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電気接続箱のケースに貫通孔を設け、該貫通孔の一方の開口にバスバーの端子を臨ませて配設し、その一方の開口にネジを締結して電源線端子を連結するとともに、前記貫通孔の他方の開口にワイヤーハーネス保持用クリップを挿入係止したことを特徴とする電気接続箱へのワイヤーハーネスの固定構造。
【請求項2】 前記貫通孔にインサートナットを挿着させたことを特徴とする請求項1に記載の電気接続箱へのワイヤーハーネスの固定構造。
【請求項3】 前記インサートナットのワイヤーハーネス保持用クリップ側開口部に内方へ突出するフランジを形成し、該フランジに前記ワイヤーハーネス保持用クリップを挿通させて係止したことを特徴とする請求項2に記載の電気接続箱へのワイヤーハーネスの固定構造。
【請求項4】 前記インサートナットの一端にワイヤーハーネス保持用クリップを一体に形成したことを特徴とする請求項2に記載の電気接続箱へのワイヤーハーネスの固定構造。
【請求項5】 前記インサートナットを前記ケースの貫通孔内に挿嵌させ、該インサートナットを前記ネジによってケースに固定したことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の電気接続箱へのワイヤーハーネスの固定構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電気接続箱へのワイヤーハーネスの固定構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図5は、従来の電気接続箱を示したもので、この電気接続箱には、ケース1の上面にヒューズ装着部2が形成され、このヒューズ装着部2に隣接して、コネクタ嵌合部3が形成されている。ケース1は、ロアカバー1aとメインカバー1bとからなり、ロアカバー1a内には、図6に示したように、バスバー4で形成される分岐回路5が内蔵されている。
【0003】この電気接続箱では、ケース1のメインカバー1bに、ヒューズ装着部2に隣接して孔6が形成されており、該孔6にワイヤーハーネス7を取り付けるためのクリップ8が係止される。孔6は図5に示すように長孔状に形成されており、ケース1の内部にクリップ8の挿入空間9が形成されている。一方、クリップ8は、平板状で両側部にばね片部8aが形成された基部の一側にバンド状のワイヤーハーネス取付部8bが形成され、他側に係止頭部8cが形成されている。係止頭部8cの先端には、碇状に張出形成された一対の弾性係止片8dを備えている。
【0004】そして、このような電気接続箱では、ワイヤーハーネス取付部8b内にワイヤーハーネス7を挿通させて集束させることにより、ワイヤーハーネス7にクリップ8を取り付ける。次いで、図6に示すように、クリップ8の係止頭部8cを係止孔6内に挿入し、係止孔6を画成するメインカバー1bの開口縁部1cを弾性係止片部8dとばね片部8aとの間で弾性挟持することにより、クリップ8を係止孔6に係合させる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した電気接続箱では、ワイヤーハーネス7をケース1に取り付けるために、ケース1にそのための係止孔6を形成し、ケース1の内部にそのための挿入空間9を画成している。したがって、ケース1の成形型が複雑になるばかりでなく、挿入空間9を確保しなくてはならず、それだけ電気接続箱が大型化してしまう。また、この電気接続箱では、クリップ8を取り付けていない状態では係止孔6が露出しているので、係止孔6から挿入空間9に異物が侵入し易い。そして、係止孔6から挿入空間9内に異物が侵入すると、電気接続箱内での接触不良を招き、また異物を取り出す作業も極めて煩雑である。
【0006】そこで、本発明の目的は、構造が簡単で、特別な設置スペースを必要とせず、しかも異物の侵入の虞れがない電気接続箱へのワイヤーハーネスの固定構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
■ 電気接続箱のケースに貫通孔を設け、該貫通孔の一方の開口にバスバーの端子を臨ませて配設し、その一方の開口にネジを締結して電源線端子を連結するとともに、前記貫通孔の他方の開口にワイヤーハーネス保持用クリップを挿入係止したことを特徴とする電気接続箱へのワイヤーハーネスの固定構造。
■ 前記貫通孔にインサートナットを挿着させたことを特徴とする前記■に記載の電気接続箱へのワイヤーハーネスの固定構造。
■ 前記インサートナットのワイヤーハーネス保持用クリップ側開口部に内方へ突出するフランジを形成し、該フランジに前記ワイヤーハーネス保持用クリップを挿通させて係止したことを特徴とする前記■に記載の電気接続箱へのワイヤーハーネスの固定構造。
■ 前記インサートナットの一端にワイヤーハーネス保持用クリップを一体に形成したことを特徴とする前記■に記載の電気接続箱へのワイヤーハーネスの固定構造。
■ 前記インサートナットを前記ケースの貫通孔内に挿嵌させ、該インサートナットを前記ネジによってケースに固定したことを特徴とする前記■〜■のいずれかに記載の電気接続箱へのワイヤーハーネスの固定構造。
【0008】この発明の電気接続箱へのワイヤーハーネスの固定構造では、電源線端子連結用の貫通孔を利用してワイヤーハーネス保持用クリップを係止させている。したがって、ワイヤーハーネス保持用クリップを係止させるための特別のスペースを必要としない。また、貫通孔をケースに設けているので、貫通孔内に異物が留まる恐れもなく、貫通孔内に異物が侵入しても突き出せばよいので、その作業は容易である。更に、電源線端子連結およびワイヤーハーネス保持用クリップ係止のための形状は貫通孔を設けるだけなので、極めて簡単であり、成形型が単純で済む。
【0009】更に、本発明の電気接続箱へのワイヤーハーネスの固定構造では、前記貫通孔にインサートナットを挿着させることによって、雌ねじ加工が容易になり、またインサートナットのワイヤーハーネス保持用クリップ側開口部に内方へ突出するフランジを形成し、該フランジに前記ワイヤーハーネス保持用クリップを挿通させて係止させることによって、ワイヤーハーネス保持用クリップの係止が確実になる。更に、前記インサートナットの一端にワイヤーハーネス保持用クリップを一体に形成することによって、部品点数の削減が図れる。更に、前記インサートナットを前記貫通孔内に挿嵌させ、該インサートナットを前記ネジによってケースに固定することによって、インサートナットの固定作業が容易になる。
【0010】
【発明の実施の形態】図1〜図3は、本発明に係る電気接続箱の一実施の形態を示したものである。この電気接続箱には、ケース10の上面にヒューズ装着部11が形成され、このヒューズ装着部11に隣接して、コネクタ嵌合部12が形成されている。ケース10は、メインカバー10aとロアカバー10bとから成っている。該ロアカバー10bにおけるヒューズ装着部11に隣接した部位には、ボス10cが突設され、該ボス10cの先端をメインカバー10aに係合させて、メインカバー10aとロアカバー10bとが互いに連結される。メインカバー10aとロアカバー10bとの連結は、相互に設けた係止部材やねじ等による。そして、ボス10cには貫通孔13が設けられている。貫通孔13には、金属、硬質プラスチック等によって構成されたインサートナット14が圧入されており、メインカバー10a側端部には分岐回路を構成するバスバー15の一端部が配設されており、その一端部には、上記インサートナット14の雌ねじ孔14aよりも少し大きな径の孔15aが形成されている。
【0011】一方、この電気接続箱は、ワイヤーハーネス保持用クリップ16を備えている。クリップ16は、図1に示したように、軸の一端部に周囲に複数本の略レ字状の溝17aを有するツリー形状の膨形部17を備え、他端部に二股の片18aを有するワイヤーハーネス保持部18を備えている。
【0012】そして、この電気接続箱では、バスバー15の一端部に、電源線端子19が重ね合わされ、該電源線端子19の孔19aに挿通されたネジ20をインサートナット14の雌ねじ孔14aに螺合させることによって電源線端子19をケース10のバスバー15の一端部に締結する。また、クリップ16の一対の片18aでワイヤーハーネス21を挟持して、クリップ16をワイヤーハーネス21に取り付け、該クリップ16の膨形部17をインサートナット14の雌ねじ孔14aに圧入する。すると、膨形部17の溝17aがインサートナット14の雌ねじ孔14aに噛み合って、クリップ16がインサートナット14に係合され、それによってワイヤーハーネス21がケース10に保持される。膨出部17はツリー形状であるので、一旦雌ねじ孔14aに噛み合うと抜けにくくなり、クリップ16の脱落を防止することができる。
【0013】なお、上記実施の形態では、クリップ16の膨形部17をインサートナット14の雌ねじ孔14aに係合させているが、図4に示したように、インサートナット14の端部に内方に突出するフランジ14bを形成し、該フランジ14bから内部へクリップ16の膨形部17を臨ませ、該膨形部17をフランジ14bに係合させることもできる。
【0014】また、上記実施の形態では、インサートナット14を使用しているが、インサートナット14を使用せずに、ボス10cの貫通孔13に直接雌ねじ孔14aを形成してもよい。また、上記実施の形態では、膨形部17に溝17aを形成し、該溝17aをインサートナット14の雌ねじ孔14aに噛み合わせることによってクリップ16をインサートナット14に確実に係止しているが、比較的弾力性を有する材料によって形成したクリップ16を採用すれば、膨形部17の表面が雌ねじ孔14aに食い込むので、クリップ16の溝17aは無くてもよい。また、溝17aを雄ねじによって形成することもできる。
【0015】更に、上記実施の形態では、インサートナット14をボス10cの貫通孔13に圧入させることによって固定しているが、インサートナット14の外径をボス10cの貫通孔13の外径よりも少し小さく形成し、該貫通孔13にインサートナット14を遊嵌させ、ネジ20によってバスバー15の一端部及びケース10にインサートナット14を締結することもできる。また、インサートナット14とクリップ16をプラスチック等によって一体に構成し、インサートナット14をケース10に係止するとともに、同時にクリップ16をケース10に取り付けるようにすることもできる。
【0016】
【発明の効果】上記したように、本発明の電気接続箱へのワイヤーハーネスの固定構造によれば、電源端子連結用の貫通孔を利用してワイヤーハーネス保持用クリップを係止させている。したがって、ワイヤーハーネス保持用クリップを係止させるための特別のスペースを必要としない。また、貫通孔を設けたので、貫通孔内に異物が留まる恐れもなく、貫通孔内に異物が侵入しても突き出せばよいので、その作業は容易である。更に、電源端子連結およびワイヤーハーネス保持用クリップ係止のためのケース形状は貫通孔を設けるだけなので、極めて簡単であり、成形型が単純で済む。
【0017】更に、本発明の電気接続箱へのワイヤーハーネスの固定構造によれば、ケースの前記貫通孔にインサートナットを挿着させるので、雌ねじ加工が容易になり、また、インサートナットのワイヤーハーネス保持用クリップ側開口部に内方へ突出するフランジを形成し、該フランジに前記ワイヤーハーネス保持用クリップを挿通させて係止させることによって、ワイヤーハーネス保持用クリップの係止が確実になり、また、インサートナットの一端にワイヤーハーネス保持用クリップを一体に形成するので、部品点数の削減が図れ、更にまた、インサートナットをケースの貫通孔内に挿嵌させ、該インサートナットを電源端子連結用ネジによってケースに固定するので、インサートナットの固定作業が容易になる。
【出願人】 【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)1月9日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】萩野 平 (外4名)
【公開番号】 特開平11−204955
【公開日】 平成11年(1999)7月30日
【出願番号】 特願平10−3285