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【発明の名称】 パワーモジュール用端子接続具および端子接続方法
【発明者】 【氏名】祖父江 健一

【要約】 【課題】発熱による内部回路の損傷を防止するため一度の接続で両端子間に充分な接触面積が得られる接合を可能にするパワーモジュール用の端子接続具、およびそれを使用した端子接続方法の提供。

【解決手段】同じ2つのパワーモジュール1、1’を接続バー支持体7を挟んで並列に配置し、各々同じ端子同志を接続バー6で並列接続する。前記接続バー支持体7および設置基板8は熱伝導率の高いアルミ製となり、接続バー6をアルミブロック7および外部端子2に対してそれぞれ固定する支持体スクリュー9および外部端子スクリュー10、10’および、バネワッシャー11、11’、平ワッシャー12、12’およびナット(不図示)および熱伝導性絶縁シート13から構成され、外部端子スクリューの次にバネワッシャーの順で止められる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ネジ止めにより端子接続を行うパワーモジュール用の端子接続具において、導体でありパワーモジュール端子よりも高い剛性を有する接続バーと、前記接続バーをネジ止めしきった時点で、前記接続バーの前記パワーモジュール端子接続部における下平面が、正規の折り曲げ状態にある前記パワーモジュール端子の上平面と同じ高さとなるように接続バーを支持する形状を有する接続バー支持体と、前記接続バー支持体を、設置する基板に対して固定を行う接続バー支持体固定手段と、前記接続バーを前記パワーモジュール端子に接続固定させるネジ止め手段と、前記接続バーを前記接続バー支持体に固定させるネジ止め手段と、で構成されることを特徴とするパワーモジュール用端子接続具。
【請求項2】 前記バー支持体が熱伝導性金属であり、前記バー支持体固定手段が、前記基板と前記バー支持体の間に狭着させる熱伝導性絶縁部材を有することを特徴とする請求項1記載のパワーモジュール用端子接続具。
【請求項3】 請求項1記載の端子接続具を用いたパワーモジュール端子接続方法において、先に接続バーを接続バー支持体にネジ止めすることでパワーモジュール端子を押圧し、その後に前記接続バーを前記パワーモジュール端子にネジ止めすることを特徴とするパワーモジュール端子接続方法。
【請求項4】 ネジ止めにより端子接続を行うパワーモジュール用の端子接続具において、導体であり、パワーモジュール端子よりも高い剛性を有し、設置する基板にネジ止めにて固定しきった時点で、前記パワーモジュール端子接続部における下平面が、正規の折り曲げ状態にある前記パワーモジュール端子の上平面と同じ高さとなる形状を有する端子接続体と、前記端子接続体と設置する基板の間に狭着させる熱伝導性絶縁部材を有し、端子接続体を設置する基板に対して固定を行う端子接続体固定手段と、前記端子接続体を前記パワーモジュール端子に接続固定させるネジ止め手段と、で構成されることを特徴とするパワーモジュール用端子接続具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気駆動車両中のモータ・コントロール装置に使用されるパワーモジュールに係り、端子の接続不良による加熱を防止するためのパワーモジュール用端子接続具および端子接続方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、バッテリー・フォークリフト等の電気モータ駆動の車両に使用されるモータ・コントロール装置において、制御回路の最終段には走行用のメインモータに直接電力を供給するバッテリーのスイッチングデバイスとして、特に電気容量の大きいパワーモジュールが使用される。パワーモジュールは複数個のパワー半導体チップを1つの樹脂パッケージに組み込んだものであり、同じチップを単に並列に組み込んで電流容量を大きくしたもの、何種類かのチップで簡単な回路を構成したもの、パワーチップのドライブ回路を内蔵したものなど多様な内部構成のものがある。パッケージは普通プラスチックでできており、内部の半導体チップはセラミックなどで絶縁され、さらにパッケージ内部の空洞部分には下からゲル、およびエポキシ樹脂がチップ周辺回路の酸化防止用に充填されている。
【0003】またパワーモジュールは用途の性質上大電流を扱うため発熱が非常に大きく、そのため熱容量が大きく放熱効果の高い(熱伝導率の高い)基板上に設置され、パッケージ内の放熱基板から放熱が行われる構成となっている。
【0004】図4は電気駆動車両等に一般的に使用されるパワーモジュール1のパッケージの外観および外部端子2部分の構成を説明する図である。この図で示すようにモジュールパッケージ1はおよそ直方体の形状であり、一方外部端子2はモジュールパッケージ1の組立製作時において、その上面に穿設された端子口3から垂直に突出した端子が端子口3付近の根本から直角に折り曲げられ(矢印A)、接続バー6(図6参照)固定用のナット4およびスクリュー10で上下面を止められている形態となる。ここでナット4は、パッケージ1上面に同じ形で凹設された穴にただ遊嵌されているだけであるため、外部端子2自身には機構的な拘束は何もない状態となっている。
【0005】また、モータ・コントロール装置中の回路構成において、同じパワーモジュール1を複数個並列に接続することによって電流容量をより大きくする方法が多用されるため、導体である接続バー6を使用しての外部端子2間の並列接続がよく実施される。この場合、接続バー6は折り曲げられた外部端子2の上平面上に、大きい電流の導通を考慮して充分な面積で接触させた上でスクリュー止めにより接合される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述したモジュールパッケージ1の外部端子2の構成によると、組立製作時の外部端子2の折り曲げにおいて、どのようにうまく折り曲げても外部端子2自身の弾性により図5に示すようなある程度のはね戻りが生じる結果となっていた。
【0007】また前述した通りパワーモジュールのパッケージ1内には内部回路の酸化防止用にゲルおよびエポキシの樹脂が端子口3近くまで充填されているため、該内部回路からパッケージ1外部に延びている外部端子2はパッケージ1内の外部端子口3付近で強固に固定され、折り曲げ時にはほとんど遊びがなく曲げられることになる。
【0008】そしてこの状態のまま前述したようなスクリュー止めによる接続バー6の接合を実施した場合、外部端子2に図6の矢印Bで示すような「く」の字型の曲がりが生じ、設計規定上の充分な接触面積が得られないまま外部端子2と接続バー6が接合される状態となっていた。
【0009】しかしここで大型のバッテリー・フォークリフトでの使用を例に取ると、パワーモジュールに流れる走行モータの駆動電流は最大500A以上の大電流となり、上述した通り「く」の字型に曲げられて正規の折り曲げがなされていない外部端子は、接続バー6と設計上前記大電流の通過に耐えられるだけの充分な面積が得られないままの接続となるため、接触部において電気抵抗成分が生じ、それにより発熱が増加する結果となっていた。そしてこの(高い)発熱はパワーモジュール内部に蓄積され、そのため内部回路を損傷させる原因となっていた。
【0010】そのため従来よりこの外部端子の不適切な折り曲げから派生する損傷を防止するため、外部端子に接続バーを接続した後でこの折り曲げ部分を点検し、隙間が広く開いた場合は接続バーを一旦取り外して端子の曲げを修正した上で再接続を行うといった手間がかかっていた。しかしこの外部端子の折り曲げ修正やネジ止めによる再接続を繰り返した場合、固定ネジおよび両端子での多少の機械的損傷が避けられず、これによってまた両端子間の電気的接合に影響を与え、準じて発熱および回路の損傷の原因となっていた。
【0011】本発明は上記従来の問題点に鑑み、発熱による内部回路の損傷を防止するため、一度の接続で両端子間に充分な接触面積が得られる接合を可能にするパワーモジュール用の端子接続具、およびそれを使用した端子接続方法を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】以下に、本発明によるパワーモジュール用端子接続具と、それを利用したパワーモジュール端子接続方法の構成を述べる。
【0013】先ず、請求項1記載の発明は、ネジ止めにより端子接続を行うパワーモジュール用の端子接続具に関するものであり、前記接続バーをネジ止めしきった時点で、前記接続バーの前記パワーモジュール端子接続部における下平面が、正規の折り曲げ状態にある前記パワーモジュール端子の上平面と同じ高さとなるように接続バーを支持する形状を有する接続バー支持体と、前記接続バー支持体を設置する基板に対して固定を行う接続バー支持体固定手段と、前記接続バーを前記パワーモジュール端子に接続固定させるネジ止め手段と、前記接続バーを前記接続バー支持体に固定させるネジ止め手段とで構成される。
【0014】また次に、請求項3記載の発明は請求項1記載の端子接続具を用いたパワーモジュール端子接続方法に関するものであり、先に接続バーを接続バー支持体にネジ止めすることでパワーモジュール端子を押圧し、その後に前記接続バーを前記パワーモジュール端子にネジ止めするという手順による端子接続方法となる。
【0015】以上の2つの発明により、従来両端子間の充分な接触面積を確保するため、外部端子の曲がりを修正しながら繰り返し行っていた端子接続を一度で正確に行うことが可能となる。そしてこれにより両端子間の接触不良から生じていた加熱を防止できる端子接続が容易に実施可能となる。
【0016】また前記請求項1記載の発明において、例えば請求項2記載のように、前記バー支持体の材質が熱伝導率の高い金属(アルミニウム等)から構成され、前記バー支持体固定手段が、前記基板と前記バー支持体の間に狭着させる熱伝導性絶縁シートを有するよう構成される。これにより、大電流の導通による接続バーの発熱を、電気的な絶縁を維持しつつ接続バー支持体を介して熱容量の大きい設置基板(および該設置基板を設置する車体フレーム等)へ放熱することが可能となる。
【0017】また請求項4記載の発明は、ネジ止めにより端子接続を行うパワーモジュール用の端子接続具において、導体であり、パワーモジュール端子よりも高い剛性を有し、設置する基板にネジ止めにて固定しきった時点で、前記パワーモジュール端子接続部における下平面が、正規の折り曲げ状態にある前記パワーモジュール端子の上平面と同じ高さとなる形状を有する端子接続体と、前記端子接続体と設置する基板の間に狭着させる熱伝導性絶縁部材を有し、端子接続体を設置する基板に対して固定を行う端子接続体固定手段と、前記端子接続体を前記パワーモジュール端子に接続固定させるネジ止め手段とで構成される。
【0018】これにより前記請求項1および3記載の発明の構成とは別に、前記接続バーと前記接続バー支持体を一体的に形成することで、部品点数および施工時における工数が削減されるため、コストおよび施工ミスの低減が図られることになる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1は本発明によるパワーモジュール用端子接続具、およびそれを使用した端子接続方法の一実施の形態を説明する側面図である。尚、本実施例は同じ2つのパワーモジュール1、1’を接続バー支持体7を挟んで並列に配置し、各々同じ端子同志を接続バー6で並列接続する形態例について説明する。また、本実施の形態において、上述した接続バー支持体7はアルミブロックとなり、また設置基板8もアルミ板となり、接続バー6をアルミブロック7および外部端子2に対してそれぞれ固定する接続バーネジ止めスクリューは支持体スクリュー9および外部端子スクリュー10、10’となり、その他の接続バーネジ止め手段が、バネワッシャー11、11’、平ワッシャー12、12’およびナット(不図示)からなり、接続バー支持体固定手段は前記アルミブロック7を設置基板8に固定するスクリュー、ナット、絶縁スペーサ(以上3点は不図示)および熱伝導性絶縁シート13からなる。
【0020】先ず図2(a)は、接続バー6をパワーモジュールの外部端子2に接続する直前のパワーモジュール1、1’、接続バー6および本発明による接続バー支持体7の配置を説明する図であり、この図において、同じ2つのパワーモジュール1、1’が、その間にアルミブロック7を挟んで、設置基板8上に平行に設置されている。パワーモジュール1、1’はパッケージの両端でスクリュー5、5’により設置基板8上に直接固定され、一方アルミブロック7は設置基板8との間に熱伝導性絶縁シート13を狭着させた上で、(不図示の)スクリューおよびナットによってアルミブロック7および設置基板8が共に縦に貫通するよう強固に固定されている。そしてこの時点でアルミブロック7の上平面の高さはパワーモジュールの外部端子2が正規の平坦な折り曲げ状態にある時の上平面の高さと一致する構成となっている。またアルミブロック7を固定しているスクリューとアルミブロック7の間には絶縁スペーサが狭設されており、これにより同じくアルミ製の設置基板8に対しての電気的絶縁が取られている(不図示)。
【0021】また、パワーモジュール1、1’を設置基板8に固定するスクリュー5、5’と、接続バー6をアルミブロック7に固定するスクリュー9は、それぞれ設置基板8自身とアルミブロック7自身に切られた不図示の雌ネジに止められることになる。そして接続バー6が、パワーモジュール1、1’の前述したはね戻り状態にある外部端子2の上端に接した状態で、スクリュー9によりアルミブロック7に止められている。
【0022】そして、この図2(a)の状態より始める本発明の端子接続方法の要点としては、接続バー6とアルミブロック7をスクリュー9でゆっくりと止めることで同時にパワーモジュールの外部端子2の折り曲げを行うことにある。
【0023】この方法によると、外部端子2の折り曲げは直接スクリューによる締め付けによるものではないため、外部端子2はこの図での横方向に自由度がある状態となり、その上で接続バー6により上から無理なく押さえ込むよう(矢印F)折り曲げられる結果となる。
【0024】そして最終的に接続バー6がアルミブロック7上平面まで止めきられた時点で、外部端子2は設計上の大電流の導通に充分な接触面積が確保された正規の折り曲げ状態を得ることになり(図2(b))、このまま接続バー6と共にスクリュー10、10’で止められることになる(図2(c))。
【0025】ここで、本発明の接続方法に利用される接続バー6はパワーモジュールの外部端子2をこのようにして折り曲げるだけの高い剛性を有する必要がある。ここで高い剛性とは材質的な硬さと、部材としての厚さや幅等の大きさの組み合わせにより上記パワーモジュール端子の折り曲げを可能とする材料力学的能力をいう。また、バネワッシャー11、11’および平ワッシャー12、12’により外部端子スクリュー10、10’の接続バー6に対するネジ止め張力が維持され、同時にネジ止め応力の効率的な分散が図られるため、振動等の外的要因に対しても強い固定が可能となる。
【0026】また本実施例における接続バー支持体7は熱伝導率の高いアルミニウムを基材として構成されているため、これにより大電流導通時の外部端子2と接続バー6との接合部に発生する高い熱が、該アルミ性の接続バー支持体7および熱伝導性絶縁シート13を介してアルミ製の設置基板8へ放熱されることになる。しかし前述の絶縁スペーサおよび絶縁シート13により接続バー支持体7と設置基板8との間には電気的な絶縁が確保されている。また、接続バー支持体7は上記アルミブロックの形態に限定されず、他の金属または絶縁体を基材とした支柱形状の構成も可能となる。しかしこの絶縁支柱体を接続バー支持体7に使用した場合には、前述のアルミブロックの形態にあった放熱効果は期待できない。そして、この場合においても設置基板8上に設置し、さらに接続バーをネジ止めしきった時点で、前記接続バーの前記パワーモジュール端子接続部における下平面の高さが、前記パワーモジュールの外部端子2が正規の折り曲げ時にあるときの上平面の高さと一致するよう構成される。
【0027】また、本実施例においては、接続バー6は真っ直ぐな形状となっているが、必ずしもそのように限定する必要はなく、例えば図1においてアルミブロック7の高さをパワーモジュール1の高さよりも高く(低く)した場合であっても、それに合わせて接続バー6の中央部を凸状(凹状)に形成させておけば、目的となる作用が得られるため、そのような接続バー6とアルミブロック7の形状の組み合わせも可能となる。
【0028】また図3は本発明によるパワーモジュール用端子接続具の他の実施の形態を説明する図である。この図において、前記実施例との違いは前記接続バー6と前記接続バー支持体7が一体的に形成されて端子接続体14として構成されたものであり、接続バーと接続バー支持体固定用のネジおよびワッシャー類が不要となり、また接続バーを接続バー支持体にネジ止めするという工程もまた不要となる。つまり、前述したパワーモジュールの外部端子2の折り曲げが該端子接続体14の設置基板8上への固定設置と同時に行われることになる。
【0029】これにより前記実施例の構成とは別に、接続バー6と接続バー支持体7を一体的に形成することで、部品点数および施工時における工数が削減されるため、コストおよび施工ミスの低減が図られることになる。
【0030】また本実施例の形態は、同じ2つのパワーモジュールが1つの接続バー支持体を挟むように並列に配置され各々の同じ端子同士を接続バーで接続している構成となっているが、本発明はこの形態に限定するものではなく、1つのパワーモジュールに1つ接続バー支持体が設置されたり、また1つのパワーモジュールを2つの接続バー支持体で挟むように並列に設置されたり、またさらに電気容量をより大きくするため3つ以上のパワーモジュールを並列接続する構成も可能である。またこの場合においても接続バーのネジ止め順序は接続バー支持体に対するネジ止めを先に全て行う順序となる。
【0031】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によれば、従来より外部端子の折り曲げ修正を繰り返しながら行っていたパワーモジュールの施工が一度で容易に実施可能となり、またそれにより両端子の損傷による部品の廃棄を防止できるため施工コストの軽減が図れることになる。
【0032】また、両端子間に充分な接触面積を確保できることによって、高い電流を発熱を押さえて安定して扱える構成となり、パワーモジュール(内部回路)の性能の向上および延命、しいてはモータおよびバッテリーの性能向上や延命に効果を発揮するものである。
【出願人】 【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機製作所
【出願日】 平成9年(1997)12月9日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
【公開番号】 特開平11−177259
【公開日】 平成11年(1999)7月2日
【出願番号】 特願平9−338863