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【発明の名称】 電磁波制御板
【発明者】 【氏名】小野 裕司

【氏名】▲吉▼田 栄▲吉▼

【氏名】大宮司 実

【氏名】佐藤 由郎

【要約】 【課題】電磁波の偏波に依存しない周波数選択性を備えた電磁波制御板を提供すること。

【解決手段】可視光に対して透過性を有する基材である板硝子1と,前記基材の表面に設けられた導電性材料からなる複数のループアンテナ素子2とを備えた電磁シールド板10を備え,所望する周波数の電磁波を増幅及び減衰できるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 可視光に対して透過性を有する基材と,前記基材の表面に設けられた導電性材料からなる複数のループアンテナ素子とを備えた電磁波制御基体を備え,所望する周波数の電磁波を増幅又は減衰できるように構成されていることを特徴とする電磁波制御板。
【請求項2】 請求項1記載の電磁波制御板において,前記ループアンテナ素子の給電点が短絡されていることを特徴とする電磁波制御板。
【請求項3】 請求項1又は2記載の電磁波制御板において,前記ループアンテナ素子が円形乃至多角形の形状を有していることを特徴とする電磁波制御板。
【請求項4】 請求項1乃至3の内のいずれかに記載の電磁波制御板において,追加的に半径の異なるループアンテナ素子群を略同心円状に,あるいはさらに各素子間に所定の間隔で配置し,同一平面上において寸法の異なる複数のループアンテナ素子群を有することを特徴とする電磁波制御板。
【請求項5】 請求項1乃至4の内のいずれかに記載の電磁波制御板において,前記電磁波制御基体を複数積層してなり,構成するアンテナ素子の寸法が,積層する各々の電磁波制御基体間で異なることを特徴とする電磁波制御板。
【請求項6】 可視光に対して透過性を有する基材の表面に,導電性材料からなる線状アンテナ素子が複数設けられてなる電磁波制御基体を,少なくとも3枚積層してなる電磁波制御板であって,前記少なくとも3枚の電磁波制御基体の線状アンテナ素子の偏波角度が,積層する各々の電磁波制御基体間で互いに異なり,目的に応じて所定の周波の電磁波を増幅又は減衰できるように構成されていることを特徴とする電磁波制御板。
【請求項7】 請求項6記載の電磁波制御板において,構成するアンテナ素子の寸法が,積層する各々の電磁波制御基体間で異なることを特徴とする電磁波制御板。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,目的に応じて所定の周波数の電磁波を増幅させたり,減衰させたりする電磁波制御板に関し,詳しくは,特定の周波数を有する電磁波を偏波面に依存せずに増幅あるいは減衰させることができ,且つ可視光を透過できるガラス等を基材とする光透過性の電磁波制御板とそれを積層した積層型電磁波制御板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の急速な移動体通信機器の普及により,建築物内部での各種移動体通信機器間の相互干渉による通信障害や,高周波EMC問題がクローズアップされてきている。このような高周波ノイズ障害の対策として,建築物の内外間あるいは壁面等で間仕切られた部屋間に電磁波シールド材を施工したり,または受信感度の悪い場合には導波器を設置する等の対策が有効であるが,採光するために設けられた窓や扉に用いられているガラス板や透明樹脂板に対して前記高周波ノイズをシールドしたり,または必要な電磁波を導波できる機能を付与することは,技術的にもコスト的にも容易ではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って,可視光の透過性をあまり犠牲にすることなく安価に高周波ノイズをシールドできる技術および板材の開発が強く望まれていた。
【0004】一方,採光のための窓ガラス等も含めて建築物全体あるいは部屋全体をシールドしてしまうと,空間を伝搬する電磁波を用いた外部との情報伝達が不能になつてしまうため,少なくとも建築物あるいは部屋の一部に,不要な電磁波のみをシールドし,それ以外の電磁波を透過する事のできる周波数選択性を有する電磁波シールド材を用いる必要があった。
【0005】ここで,電磁波シールド材に,このような周波数選択性を付与する手段として,ダイポールアンテナのような特定周波数にて共振するアンテナ素子を同一平面上に特定の間隔で配置した周波数選択性の電磁波シールド材が提案されている。
【0006】しかしながら,移動体通信機器等から放射される電磁波は,偏波面が固定されていないため,偏波依存型のアンテナであるダイポールアンテナでは,十分満足のゆくシールド特性を得る事は困難であった。
【0007】そこで,かかる現状に鑑み,本発明の技術的課題は,電磁波の偏波に依存しない周波数選択性を備えた電磁波制御板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち,本発明は,アンテナ素子として偏波の方向に依存しないループアンテナを用いて従前のダイボールアンテナを用いた電磁波シールド材の偏波依存性を解消する技術を提供するものであり,あるいは互いに偏波角度の異なる電磁波シールド板を積層して実質的に偏波依存性を解消する技術を提供するものである。
【0009】本発明によれば,可視光に対して透過性を有する基材と,前記基材の表面に設けられた導電性材料からなる複数のループアンテナ素子とを備えた電磁波制御基体を備え,所望する周波数の電磁波を増幅又は減衰できるように構成されていることを特徴とする電磁波制御板が得られる。
【0010】また,本発明によれば,前記電磁波制御板において,前記ループアンテナ素子の給電点が短絡されていることを特徴とする電磁波制御板が得られる。
【0011】また,本発明によれば,前記いずれかの電磁波制御板において,前記ループアンテナ素子が円形乃至多角形の形状を有していることを特徴とする電磁波制御板が得られる。
【0012】また,本発明によれば,前記いずれかの電磁波制御板において,追加的に半径の異なるループアンテナ素子群を略同心円状に,あるいはさらに各素子間に所定の間隔で配置し,同一平面上において寸法の異なる複数のループアンテナ素子群を有することを特徴とする電磁波制御板が得られる。
【0013】また,本発明によれば,前記いずれかの電磁波制御板において,前記電磁波制御基体を複数積層してなり,構成するアンテナ素子の寸法が,積層する各々の電磁波制御基体間で異なることを特徴とする電磁波制御板が得られる。
【0014】また,本発明によれば,可視光に対して透過性を有する基材の表面に,導電性材料からなる線状アンテナ素子が複数設けられてなる電磁波制御基体を,少なくとも3枚積層してなる電磁波制御板であって,前記少なくとも3枚の電磁波制御基体の線状アンテナ素子の偏波角度が,積層する各々の電磁波制御基体間で互いに異なり,目的に応じて所定の周波の電磁波を増幅又は減衰できるように構成されていることを特徴とする電磁波制御板が得られる。
【0015】また,本発明によれば,前記電磁波制御板において,構成するアンテナ素子の寸法が,積層する各々の電磁波制御基体間で異なることを特徴とする電磁波制御板が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下,本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】まず,本発明の電磁波制御板の動作原理について説明する。
【0018】本発明の電磁波制御板において用いる特定の周波数(波長:λ)において動作するアンテナ素子の大きさは,次の数1式により求めることができる。
【0019】
【数1】

【0020】ここで,εreは導体部と基材を含むアンテナの等価比誘電率である。なお,本発明の導波器として用いる場合は,上記数1式で得られた値よりもやや小さめな値を用いるとよい。また,本発明において同一平面上に配置される複数のアンテナ素子間の間隔により動作帯域幅を制御することができる。
【0021】本発明において用いるアンテナ素子の素材は,純抵抗成分の小さいものが望ましく,この値が大きいと特性が劣化するので好ましくない。
【0022】次に,本発明の電磁波制御板の具体例について説明する。
【0023】図1は本発明の第1の実施の形態による電磁波制御板を示す平面図である。図1を参照すると,電磁波制御板10は,板硝子1上に,ループアンテナ素子2を複数配置することで構成されている。
【0024】第1の実施の形態による電磁波制御板10は,具体的には,次の通り製造されている。厚さが1(mm)で一辺の長さが300(mm)の正方形状の板硝子1上に,給電点が短絡された半径が16(mm)で幅が0.5(mm)の銅箔からなるループアンテナ素子2を配置し,電磁波制御基体一枚のみからなる電磁波制御板の試料(以下,第1の試料と呼ぶ)を得た。
【0025】図2(a)及び(b)は本発明の第2の実施の形態による電磁波制御板を示す平面図である。図2(a)を参照すると,3枚の板硝子1上に,線状アンテナ素子3a,3b,3cを夫々複数配置し,夫々電磁波シールド板4a,4b,4cを構成している。次に,図2(b)に示すように,電磁波制御板20は,電磁波制御基体である各電磁波シールド板4a,4b,4cの線状アンテナ素子3a,3b,3cの偏波面が互いに60度異なる様に積層することで構成されている。
【0026】第2の実施の形態による電磁波制御板20は,具体的には,次の通り製造されている。
【0027】厚さが1(mm)で一辺の長さが300(mm)の正方形状の板硝子1を3枚用意し,この板硝子1上に長さが85(mm)で幅が1(mm)の銅箔からなる線状アンテナ素子3a,3b,3cを図2(a)示すように配置し,これら3枚の電磁波シールド板4a,4b,4cをアンテナ素子の偏波面が互いに60度異なる様に積層し,積層型電磁波制御板の試料(以下,第2の試料と呼ぶ)を得た。
【0028】図3(a)及び(b)は本発明の第3の実施の形態による電磁波制御板を示す平面図である。図3(a)を参照すると,2枚の板硝子1上に,一つには複数のループアンテナ素子5aを,もう一つには,ループアンテナ素子5aよりも径の大きなループアンテナ素子5bを複数夫々配置し,夫々電磁波制御基体である電磁波シールド板6a,6bを構成している。次に,図3(b)に示すように,電磁波制御板30は,各電磁波シールド板6a,6bを積層することで構成されている。
【0029】第3の実施の形態による電磁波制御板30は,具体的には,次の通り製造されている。
【0030】厚さが1(mm)で一辺の長さが300(mm)の正方形状の板硝子1を2枚用意し,1枚には,給電点が短絡された半径が16(mm)で幅が0.5(mm)の銅箔からなるループアンテナ素子5aを,もう1枚には,半径を25(mm)としたループアンテナ素子5bを図3(a)及び(b)に示すように配置して,電磁波シールド板6a,6bとしこれらを積層して電磁波制御板30の試料(以下,第3の試料と呼ぶ)を得た。
【0031】以上のように第1乃至第3の実施の形態において,得られた各試料の電磁波制御特性を,図4に示す測定系を用いて測定した。図4に示すように,各電磁波制御板試料7は,ネットワークアナライザ11に接続された送信アンテナ8及び受信アンテナ9間に配置して測定した。
【0032】図5及び図6は,代表的な周波数特性を示す図である。図5は,送受信アンテナ直結をリファレンスとして,第1の試料を間に入れたときの電界受信強度の周波数特性をみたものである。この図によれば,3[dB]程度の増加がみられる領域Aと30[dB]以上の減衰がみられる領域Bが確認できる。また,これは偏波面を変えても同じ特性を示す。
【0033】図6は,図5の場合と同様に,第3の試料を置いたときの周波数特性であり,2つの周波数において減衰していることがわかる。この場合も特性は偏波面によらない。
【0034】以上の測定結果より,本発明の第1乃至第3の実施の形態による電磁波制御板は,照射される電磁波の偏波面に依らず優れた周波数選択的な電磁波制御特性が得られることがわかる。
【0035】図7は本発明の第4の実施の形態による電磁波制御板を示す平面図であり,第1の実施の形態によるものの変形例を示している。図7に示すように,電磁波制御板40は,一枚の板硝子1の同一平面上において寸法の異なる2種のループアンテナ素子12,13群を有する電磁波制御板40である。このような構成の電磁波制御板においても同様な第1乃至第3の実施の形態で示したものと同様の効果を得ることができる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように,本発明によれば,可視光に対して透過性を有する基材の表面に,導電性材料からなるループアンテナ素子を複数設けることによって,偏波面に依存せず且つ周波数選択性を有する電磁波制御板を提供することができる。
【0037】また,本発明によれば,可視光に対して透過性を有する基材の表面に,導電性材料からなる線状アンテナ素子が複数設けられてなる電磁波制御板を,積層する各々の電磁波制御板間で線状アンテナ素子の偏波面が互いに異なるように配置,積層させることによって偏波面に依存せず且つ周波数選択性を有する電磁波制御板を提供することができる。
【0038】また,本発明によれば,異なる周波数にて動作する複数の電磁波制御板を積層することにより偏波面に依存せず且つ同時に複数の周波数選択性を有する電磁波制御板を提供することができる。
【0039】更に,本発明によれば,同一平面上において寸法の異なる複数のループアンテナ素子群を設けることにより,偏波面に依存せず且つ同時に複数の周波数選択性を有する電磁波制御板を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000134257
【氏名又は名称】株式会社トーキン
【出願日】 平成9年(1997)11月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 洋介 (外2名)
【公開番号】 特開平11−163585
【公開日】 平成11年(1999)6月18日
【出願番号】 特願平9−326109