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【発明の名称】 基板保持装置
【発明者】 【氏名】狩野 良則

【氏名】臼井 克尚

【要約】 【課題】バックアップピンの一連の装着作業に手間がかかることがなく、かつ基板を水平かつ平坦に保持するための吸着を適切に行うことができる基板保持装置を提供することを目的とする。

【解決手段】基板導入台21a,21bに導入した基板Sに下側から当接し基板Sを水平かつ平坦に保持すると共に、吸引孔34を形成した複数本のバックアップピン23と、バックアップピン23を立設する多数の装着孔27を有すると共に、装着孔27に連通するチャンバー部25を有するバックアップベース22と、チャンバー部25に連通する真空吸引装置30とを備え、チャンバー部25の内面には、バックアップピン23の装着に伴って装着孔27を開放すると共に離脱に伴って装着孔27を閉塞する弁部材36が設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 左右一対の基板導入台に導入した基板に下側から当接し当該基板を水平かつ平坦に保持すると共に、軸心に吸引孔を形成した複数本のバックアップピンと、前記複数本のバックアップピンを着脱自在に立設する多数の装着孔を有すると共に、当該多数の装着孔に連通するチャンバー部を有するバックアップベースと、前記チャンバー部に連通する真空吸引手段とを備え、前記各装着孔に対応して前記チャンバー部の内面には、前記バックアップピンの装着に伴って前記装着孔を開放すると共に離脱に伴って前記装着孔を閉塞する弁部材が設けられていることを特徴とする基板保持装置。
【請求項2】 左右一対の基板導入台に導入した基板に下側から当接し当該基板を水平かつ平坦に保持すると共に、軸心に吸引孔を形成した複数本のバックアップピンと、前記複数本のバックアップピンを着脱自在に立設する多数の装着孔を有すると共に、当該多数の装着孔に連通するチャンバー部を有するバックアップベースと、前記チャンバー部に連通する真空吸引手段とを備え、前記各バックアップピンの上端には柔軟性を有する吸盤部材が設けられていることを特徴とする基板保持装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品装着装置などにおいて、基板導入台に導入した基板を水平かつ平坦に保持する基板保持装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の基板保持装置として、特開平7−79098号公報に記載のものが知られている。この基板保持装置は、左右一対の基板導入台に導入した基板に下側から当接し基板を水平かつ平坦に保持する複数本のバックアップピンと、複数本のバックアップピンを着脱自在に立設する多数の装着孔を形成したバックアップベースと、バックアップベースを昇降させる昇降装置とを備えている。バックアップベースの内部には、多数の装着孔に面してチャンバー部が形成されており、またチャンバー部には真空吸引装置が連通している。各バックアップピンは、バックアップベースの装着孔に摺動自在にかつ気密に挿入されており、その軸心には吸引孔が形成されると共に、その外周面の中間位置には、装着孔への挿入深さを規制する鍔部が形成されている。また、この鍔部とバックアップベースとの間にはコイルばねが介在しており、バックアップピンは装着孔に挿入した状態で上方に軽く付勢されている。なお、バックアップピンは、基板の形状に合わせ、かつ基板の裏面に電子部品が装着されている場合には電子部品を逃げるように、必要数立設される一方、バックアップピンを装着しない装着孔には、エアーのリークを防止すべく蓋部材が装着されている。
【0003】真空吸引装置を駆動した状態で、昇降装置によりバックアップベースを所定の位置まで上昇させると、予めバックアップベースに装着しておいた複数本のバックアップピンが基板の下側に当接し、基板を吸着する。バックアップピンが基板を吸着すると、チャンバー部の真空度が増し、バックアップピンはコイルばねに抗して、鍔部がバックアップベースの上面に当接する位置まで沈み込むように摺動する。このようにして、全てバックアップピンが沈み込むことで、基板が水平かつ平坦に保持される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の基板保持装置では、バックアップピンが装着された装着孔以外の装着孔を蓋部材で閉塞しておく必要がある。特に、基板が小さいくバックアップピンの装着数が少ない場合には、蓋部材の装着箇所が増え、蓋部材の装着作業に手間がかかる問題があった。すなわち、蓋部材の装着作業を含むバックアップピンの一連の装着作業に、手間がかかる問題があった。また、バックアップピンの先端と吸着した基板との間、およびバックアップピンの摺動部分では、エアーがリークし易く、吸着が適切に行われ難い問題があった。
【0005】本発明は、バックアップピンの一連の装着作業に手間がかかることがなく、かつ基板を水平かつ平坦に保持するための吸着を適切に行うことができる基板保持装置を提供することをその目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の基板保持装置は、左右一対の基板導入台に導入した基板に下側から当接し基板を水平かつ平坦に保持すると共に、軸心に吸引孔を形成した複数本のバックアップピンと、複数本のバックアップピンを着脱自在に立設する多数の装着孔を有すると共に、多数の装着孔に連通するチャンバー部を有するバックアップベースと、チャンバー部に連通する真空吸引手段とを備え、各装着孔に対応してチャンバー部の内面には、バックアップピンの装着に伴って装着孔を開放すると共に離脱に伴って装着孔を閉塞する弁部材が設けられていることを特徴とする。
【0007】この構成によれば、バックアップピンをバックアップベースの装着孔に装着すると、弁部材が開放し、バックアップピンの吸引孔とチャンバー部と真空吸引手段とが連通する。この状態で、真空吸引手段を駆動すると、基板の下側に当接したバックアップピンが基板を吸着し、基板が水平かつ平坦に保持される。一方、バックアップピンをバックアップベースの装着孔から離脱させると、装着孔が弁部材により自動的に閉塞される。すなわち、各装着孔に対応してチャンバー部の内面に設けた弁部材により、バックアップピンの着脱に伴って装着孔を自動的に開閉することができ、バックアップピンが装着されていない装着孔を常に閉塞しておくことができる。また、基板の吸引動作に伴って、回転或いは摺動する部位が無いため、吸引エアーのリークを極力少なくすることができる。
【0008】また、本発明の他の基板保持装置は、左右一対の基板導入台に導入した基板に下側から当接し基板を水平かつ平坦に保持すると共に、軸心に吸引孔を形成した複数本のバックアップピンと、複数本のバックアップピンを着脱自在に立設する多数の装着孔を有すると共に、多数の装着孔に連通するチャンバー部を有するバックアップベースと、チャンバー部に連通する真空吸引手段とを備え、各バックアップピンの上端には柔軟性を有する吸盤部材が設けられていることを特徴とする。
【0009】この構成によれば、バックアップピンをバックアップベースの装着孔に装着すると、バックアップピンの吸引孔とチャンバー部と真空吸引手段とが連通する。この状態で、真空吸引手段を駆動すると、基板の下側に当接したバックアップピンが基板を吸着し、基板が水平かつ平坦に保持される。この場合、バックアップピンによる基板の吸着は、先ずバックアップピンの上端に設けた吸盤部材が基板に接触してこれを吸着し、次いで吸引力の作用で吸盤部材が変形し、基板の下面がバックアップピンの上端に当接することで行われる。すなわち、基板が位置決めされた状態で、吸盤部材とバックアップピンの吸引孔との2重構造で吸着される。また、基板には、バックアップピンに先行して吸盤部材が接触することになるため、基板が上側に反っている場合でも、吸着に支障を生ずることがない。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係る基板保持装置を、電子部品装着装置(マウンタ)の基板供給部に適用した場合について説明する。図1は、いわゆる高速マウンタの基板供給部の斜視図あり、この基板供給部1は、電子部品の装着に際し、基板SをXY方向に移動させるXYテーブル2と、XYテーブル2に基板Sを搬入する基板搬入機構3と、XYテーブル2から基板Sを搬出する基板搬出機構4とを備えている。XYテーブル2には基板保持装置5が搭載されており、基板保持装置5は、基板搬入機構3および基板搬出機構4と共に基板Sの搬送路を構成すると共に、導入された基板Sを電子部品の装着の為に不動に保持する。
【0011】基板搬入機構3は、相互に平行に配設した固定搬入レール3aと可動搬入レール3bとを有しており、基板Sは、幅方向の両側部をこの両搬入レール3a,3bに支持された状態で搬送される。可動搬入レール3aは、固定搬入レール3bに対し平行移動可能に構成され、搬送する基板Sの幅に合わせて適宜、左右方向に移動する。同様に、基板搬出機構4は、相互に平行に配設した固定搬出レール4aと可動搬出レール4bとを有しており、基板Sは、幅方向の両側部をこの両搬出レール4a,4bに支持された状態で搬送される。可動搬出レール4aは、固定搬出レール4bに対し平行移動可能に構成され、搬送する基板Sの幅に合わせて適宜、左右方向に移動する。
【0012】図外の装置から基板搬入機構3に受け渡された基板Sは、基板搬入機構3により基板保持装置5の位置まで搬送される。基板保持装置5の近傍には、図示しないが移送装置が配設されており、移送装置は、基板Sを基板搬入機構3から受け取って基板保持装置5の所定の保持位置まで搬送する。これと並行して、電子部品の装着を完了した基板Sは、移送装置により保持位置から基板搬出機構4まで搬送され、更に基板搬出機構4に移送される。そして、基板搬出機構4は、基板Sを図外の装置まで搬送してこれに受け渡す。なお、一連の基板Sの搬送動作が終了し、所定の基板Sを基板保持装置5が不動に保持すると、XYテーブル2は全体として、基板搬入機構3および基板搬出機構4の位置からわずかに下降して、電子部品の装着動作に移行する。
【0013】XYテーブル2は、ベーステーブル11と、ベーステーブル11上に載置したXテーブル12と、Xテーブル12上に載置したYテーブル13とを有しており、このYテーブル13の上面に基板保持装置5が搭載されている。ベーステーブル11の上面には、Xテーブル12のX方向への移動を案内する一対のX方向レール14,14と、Xテーブル12をX方向に移動させるX方向ボールねじ15とが設けられ、またX方向ボールねじ15の端部にはX方向モータ16が取り付けられている。X方向モータ16によりX方向ボールねじ15が正逆回転すると、Xテーブル12は、Yテーブル13を載置したままX方向レール14に案内されてX方向に進退する。
【0014】同様に、Xテーブル12の上面には、Yテーブル13のY方向への移動を案内する一対のY方向レール17,17と、Yテーブル13をY方向に移動させるY方向ボールねじ18とが設けられ、またY方向ボールねじ18の端部にはY方向モータ19が取り付けられている。Y方向モータ19によりY方向ボールねじ18が正逆回転すると、Yテーブル13は、基板保持装置5を搭載したままY方向レール17に案内されてY方向に進退する。もちろん、電子部品の装着動作では、このX方向に進退とY方向に進退とが同時に行われる。
【0015】基板保持装置5は、上記の基板搬入機構3および基板搬出機構4に対応して、固定側基板導入台21aと可動側基板導入台21bとを有しており、また両基板導入台21a,21b間には、整列配置した4枚のバックアップベース22と、バックアップベース22上に立設した複数個のバックアップピン23とを有している。可動基板導入台21aは、Yテーブル13上において、固定基板導入台21bに対し平行移動可能に構成され、搬送する基板Sの幅に合わせて適宜、左右方向に移動する。固定基板導入台21aおよび可動基板導入台21bは、それぞれ基板Sを導入する際に、基板の側端部を案内するガイド溝24とを有し、このガイド溝24同士が相互に対向するように配設されている。
【0016】図2に示すように、各バックアップベース23は中空形状に形成され、中空内部にチャンバー部25が構成されている。また、バックアップベース23の上板部26には、バックアップピン23を着脱自在に装着する多数の装着孔27が形成され、この多数の装着孔27は、図3に示すようにマトリクス状に配設されている。バックアップベース22の一の隅部には吸引口28が形成され、吸引口28は、吸引ホース29を介して真空吸引装置30に接続されている。すなわち、多数の装着孔27はチャンバー部25に連通しており、チャンバー部25は、吸引口28および吸引ホース29を介して、真空吸引装置30に連通している。
【0017】各バックアップピン23は、図4に示すように、ピン本体31と、ピン本体31の上端部に装着した吸盤部材32と、ピン本体31の下端部に装着したシール部材33とで構成されている。ピン本体31の軸心には吸引孔34が形成され、バックアップピン23をバックアップベース22の装着孔27に装着すると、この吸引孔34がチャンバー部25に連通する。ピン本体31の下部外周面には鍔部35が突出形成され、バックアップピン23を装着孔27に挿入すると、この鍔部35がバックアップベース22に当接して、バックアップピン23の挿入深さが規制される。
【0018】吸盤部材32は、柔軟性を有する樹脂、例えばニトリルゴムやシリコンゴムなどで、上部を拡開したラッパ形状に形成されている。吸盤部材32の上端は、バックアップピン23の上端よりわずかに突出しており、基板Sを吸着する際には、先ず吸盤部材32の上端が基板Sの下面に気密に接触してこれを吸着する。また、この吸着動作に伴って、吸盤部材32の内部の真空度が増し、吸盤部材32は変形して基板Sを下方に引き寄せる。これにより、基板Sは、バックアップピン23の先端に当接すると同時に、バックアップピン23に吸着される。なお、バックアップピン23の先端のレベルが、基板Sを水平に且つ平坦に保持する基準レベルとなる。
【0019】同様に、シール部材33は、ニトリルゴムやシリコンゴムなどで幅を有するリング状に形成されている。シール部材33は、ピン本体31における装着孔27に挿入される部分である鍔部35の下側の部分に装着されている。このシール部材33により、装着孔27とこれに装着したバックアップピン23との間の気密性を保持され、吸引エアーのリークを極力押さえた状態で、バックアップピン23をバックアップベース22の装着孔27に適切に装着することができる。なお、吸盤部材32とシール部材33とを連続させて一体化し、ピン本体31をくるむようにこれに装着するようにしてもよい。
【0020】一方、チャンバー部25の内面には、各装着孔27を下側から閉塞するように弁部材36が設けられている。弁部材36は、例えば薄手の板ばねやばね性を有する厚手の樹脂フィルムなどで構成されており、常時は、装着孔27を下側から気密に閉塞している。すなわち、弁部材36のばね力は、自身が真空吸引装置30による吸引力よって開放動作しない強さを有している。なお、弁部材36の表面をゴム等でコーティングすれば、より一層、気密性を高めることができる。
【0021】装着孔27にバックアップピン23を挿入すると、バックアップピン23の下端部がチャンバー部25内にわずかに突出し、弁部材36を下側に押すようにして、装着孔27を開放する。すなわち、バックアップピン23をその鍔部35がバックアップベース22の上板部26に当接する位置まで完全に挿入すると、弁部材36が開放動作して、バックアップピン23の吸引孔34とチャンバー部25とが自動的に連通する。逆に、バックアップピン23を引き抜くと、弁部材36が閉塞動作して装着孔27を閉塞する。
【0022】ここで、図5を参照して、基板Sの吸着(保持)動作について簡単に説明する。バックアップピン23は基板Sの形状に応じて、また基板Sに裏面に電子部品が装着されている場合や基板Sに開口部がある場合にはこれを逃げて、適宜の本数がバックアップベース22の適宜の位置に装着される。バックアップピン23をバックアップベース22の装着孔27に装着すると、バックアップピン23の吸引孔34とチャンバー部25と真空吸引装置30とが連通する。また、バックアップピン23が装着されていない装着孔27は、弁部材36により閉塞されている。
【0023】この状態で、図外の装置により、バックアップベース22を所定の位置まで上昇させると共に真空吸引装置30を駆動すると(同図(a))、基板Sの下面に当接している各バックアップピン23の吸盤部材32が基板Sを吸着し、これを引き寄せる。吸盤部材32が基板Sを引き寄せると、基板Sの下面がバックアップピン23の上端に当接すると同時に、バックアップピン23の吸引孔34が基板Sを吸着する(同図(b))。このようにして基板Sは、複数のバックアップピン23の上端に水平かつ平坦に位置決めされ、且つその各吸引孔34と各吸盤部材32とにより、吸着保持される。
【0024】以上のように本実施形態の基板保持装置5によれば、弁部材36により、バックアップベース22の装着孔27を、バックアップピン23を装着したときのみ開放するようにしているので、バックアップピン23が装着されない装着孔27を、別途閉塞する必要がなく、バックアップピン23の一連の装着作業を簡単に行うことができる。また、基板Sは、バックアップピン23の吸引孔34と吸盤部材32とにより吸着されるため、強く吸着保持されると共に、この部分からの吸引エアーのリークを極力少なくすることができる。
【0025】なお、多数の装着孔に対応して設ける多数の弁部材を、例えば厚手の樹脂フィルムの該当箇所に、略「U」字状に切込みを入れることで、形成してもよい。すなわち、バックアップベースの上板部に対応する大きさの樹脂フィルムに、多数の弁部材を作り込むようにしてもよい。係る場合には、バックアップベースに多数の弁部材を簡単に組み込むことができる。
【0026】
【発明の効果】以上のように本発明の基板保持装置によれば、弁部材により、バックアップピンの着脱に伴って装着孔を自動的に開閉することができるため、バックアップピンの一連の装着作業を簡単に行うこととができると共に、基板を水平かつ平坦に安定に保持することができる。
【0027】また、本発明の他の基板保持装置によれば、基板が位置決めされた状態で、吸盤部材とバックアップピンの吸引孔との2重構造で吸着されるため、基板を水平かつ平坦に安定に保持することができると共に、吸引エアーのリークを極力少なくすることができる。
【出願人】 【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月30日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】落合 稔 (外1名)
【公開番号】 特開平11−112198
【公開日】 平成11年(1999)4月23日
【出願番号】 特願平9−284732