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【発明の名称】 電波区画ビル
【発明者】 【氏名】石川敏行

【氏名】桜井 仁

【氏名】林 弘之

【要約】 【課題】防火区画を利用して効果的な電波制御を確立し、同一ゾーン内での電波利用効率の向上を図る。

【解決手段】電磁遮蔽材により構成される天井スラブ3、床スラブ4及びビル内を所定区画毎に区画する防火区画壁5と、天井スラブ3と天井ボード6間の二重天井7内に配設された無線中継器10とを備えた構成。
【特許請求の範囲】
【請求項1】電磁遮蔽材により構成される天井スラブ、床スラブ及びビル内を所定区画毎に区画する防火区画壁と、天井スラブと天井ボード間の二重天井内に配設された無線中継器とを備えたことを特徴とする電波区画ビル。
【請求項2】上記防火区画壁に電波吸収体を設けたことを特徴とする請求項1記載の電波区画ビル。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、周囲を電磁遮蔽材からなる電磁遮蔽層で覆ってビル内空間を外部からの独立した電磁遮蔽空間として構成する電波区画ビルに関する。
【0002】
【従来の技術】オフィスビルのOA化に伴い、LANその他の通信回線を使った情報通信処理システムが構築されるが、システムが大規模化することにより通信回線の確保が課題になる。通信情報の増大と共にケーブルの配線が複雑に錯綜すると、部屋や装置の配置替えの際に、配線変更の作業量が増大する。そこで、電波を使った無線通信方式の採用も1つの方法として注目されている。
【0003】ところが、電波を使った無線通信方式を採用する場合には、使用周波数帯域について電波法の規制が問題になる。そこで、このような電波法による規制を受けることなく、自由に使用周波数帯域を選択、設定して独自の無線による通信方式を採用するためには、ビル内の空間を外部から電磁的に遮蔽した電磁遮蔽ビルの構築が不可欠となる。既に出願人は、このような電磁遮蔽ビルに関し、例えば特公平6−99972号公報や特公平6−99973号公報、特公平7−16118号公報、特公平6−76706号公報に、ビルの躯体や外壁の遮蔽構造について提案し、特公平6−99971号公報や特公平6−33699号公報、特公平6−13822号公報に、ビルの出入口の遮蔽構造について、特公平6−63407号公報や特公平5−79790号公報、特公平3−58557号公報に、窓開口部の遮蔽構造について提案している。また、特公平3−62320号公報や特公平3−45972号公報、特公平3−62318号公報、特公平5−34159号公報に、天井や階層別の遮蔽構造について提案している。
【0004】図2は、本発明に係わる電磁遮蔽ビルの構成概要を示す図であり、壁は、例えば躯体の内壁に金属メッシュや金属箔(フイルム)を貼ったり、導電性塗料を塗って電磁遮蔽層を形成したもの、或いはこのような電磁遮蔽層を片面に形成したボードを用いたものである。天井、床も、壁と同様の施工を行い、或いは電磁遮蔽材を貼り合わせたパネルを用いたものである。窓は、窓ガラスの片面又は両面に上記と同様に電磁遮蔽材を用いて電磁遮蔽膜を形成し、この電磁遮蔽膜をサッシ枠に接続することにより、壁と窓の電磁遮蔽層を電気的に一体に接続したものである。扉は、電磁遮蔽材からなるパネルを用い、扉閉時に扉の周囲が壁に設けられた扉三方枠及び床と電気的に接続可能にしたものである。
【0005】上記のように、電磁遮蔽ビルは、躯体や壁構造体に電磁遮蔽材を用い、さらに窓や出入口等の開口部にも電磁遮蔽材を用いてビルの外壁に沿って全面を電磁遮蔽材で覆うようにすることにより、ビル内の空間を外部から独立した1つの電磁遮蔽空間として構成することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、最近、移動体通信の普及により、建物内部で例えばPHS(パーソナル・ハンディフォン・システム)を利用し業務の効率化を図ろうとする建物が計画されようとしている。しかしながら、現在利用されているPHSについて説明すると、公衆用PHSではキャリア番号1〜77により0.300MHzの刻みで1895.150〜1917.950MHzの周波数帯まで割り当てられ、そのうち事業所用PHSに割り当てられている電波は37キャリアであり、同一範囲、同一時刻ではチャンネルの制限から30〜50台程度が最大とされ、このことは通常のオフィスでは電話利用率15%を考慮すると、同一建物内では300台程度しか利用できないということになる。さらに、隣接する建物で使う同一システムの影響を考慮すると、上記台数は更に少なくなると想定される。
【0007】従って、建物内部での電波の伝搬を考慮した工夫が必要になると想定される。また、上記したPHSの開放されている周波数のチャンネルを考慮すると、1500m2程度の単位で電磁波区画を行うと周波数の有効利用を図ることができる。一方、一般の建物では、1500m2程度の単位で防火区画、500m2毎に排煙区画を設けることが義務付けられている。すなわち、防火区画と同様な面積で電磁波制御を行うことができれば、効率的に周波数を利用することが可能となる。
【0008】本発明は、上記課題を解決するものであって、防火区画を利用して効果的な電波制御を確立し、同一ゾーン内での電波利用効率の向上を図ることができる電波区画ビルを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明の電波区画ビルは、電磁遮蔽材により構成される天井スラブ、床スラブ及びビル内を所定区画毎に区画する防火区画壁と、天井スラブと天井ボード間の二重天井内に配設された無線中継器とを備えたことを特徴とする。また、上記防火区画壁に電波吸収体を設けたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の電波区画ビルの1実施形態を示す建物の断面図である。なお、本発明は、図2で説明したように、周囲を電磁遮蔽材からなる電磁遮蔽層で覆ってビル内空間を外部からの独立した電磁遮蔽空間として構成する電磁遮蔽ビルに適用されるものである。
【0011】図1において、電波区画ビル1は、デッキプレート2により構築された天井スラブ3及び床スラブ4と、防火区画壁5と、天井ボード6から構成され、天井スラブ3と天井ボード6間に二重天井7が形成されている。天井スラブ3、床スラブ4及び防火区画壁5は図2で説明した電磁遮蔽機能を有し、防火区画壁5は1500m2程度の単位で設けられている。
【0012】天井スラブ3には、電波区画ビル1内を500m2毎に区画する防煙用垂壁9が設けられている。そして、防煙用垂壁9で区画された二重天井7内には、PHSからの電波を受信、発信するための無線中継器10が設置されている。
【0013】上記構成からなる電波区画ビルにおいては、防火区画壁5による防火区画と電波区画を同一にすることができ、この電波区画において電波利用効率の向上を図ることができる。
【0014】なお、防火区画壁5に電波吸収体11を設けることにより、無線中継器10から直接室内に発信した電波と防火区画壁5にて反射した電波とにより発生する電波伝送上のエラーを防止することができる。
【0015】以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の変更が可能である。例えば、防煙用垂壁9にも電磁遮蔽機能をもたせれば、防火区画内での防煙区画毎に電波遮蔽区画を形成することもできる。
【0016】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、防火区画を利用して電波干渉を簡単、低コストで低減することにより効果的な電波制御を確立し、同一ゾーン内での電波利用効率の向上を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 良徳 (外8名)
【公開番号】 特開平11−17382
【公開日】 平成11年(1999)1月22日
【出願番号】 特願平9−164064