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【発明の名称】 プリント配線基板及びその製造方法
【発明者】 【氏名】平林 崇之

【要約】 【課題】本発明は、半導体チップを信頼性高くフリップチップ実装することができるプリント配線基板及びその製造方法を提供することを目的とする。

【解決手段】プリント配線基板10の絶縁基板12上に導電性に優れたCu電極14が形成され、各Cu電極14はNi層16によって被覆され、このNi層16は更にAu層18によって被覆されている。このような非酸化性金属層としてのAu層18による被覆により、Cu電極14やNi層16が酸化されて絶縁性の酸化膜が形成されることが防止される。また、高硬度金属層としてのNi層16が介在していることにより、半導体チップをフリップチップ実装する際、半導体チップの各突起電極がプリント配線基板10のNi層16によって被覆されている各Cu電極14に沈み込まずに、Ni層16によって被覆されている各Cu電極14が絶縁基板12に適度に沈み込むことになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 半導体チップをフリップチップ実装するプリント配線基板であって、前記半導体チップの突起電極に対応する前記プリント配線基板の電極が、良導電性材料からなり、前記良導電性材料からなる電極が、前記良導電性材料よりも硬い高硬度金属によって被覆されていることを特徴とするプリント配線基板。
【請求項2】 請求項1記載のプリント配線基板において、前記良導電性材料からなる電極を被覆している前記高硬度金属層が、非酸化性金属層によって被覆されていることを特徴とするプリント配線基板。
【請求項3】 請求項1記載のプリント配線基板において、前記良導電性材料からなる電極が、銅電極であることを特徴とするプリント配線基板。
【請求項4】 請求項1記載のプリント配線基板において、前記高硬度金属層が、チタン層、タングステン層、タンタル層、モリブデン層、又はニッケル層であることを特徴とするプリント配線基板。
【請求項5】 請求項2記載のプリント配線基板において、前記非酸化性金属層が、金層であることを特徴とするプリント配線基板。
【請求項6】 半導体チップをフリップチップ実装するプリント配線基板の製造方法であって、絶縁基板上に、前記半導体チップの突起電極に対応して、良導電性材料からなる電極を形成する第1の工程と、前記絶縁基板上の前記良導電性材料からなる電極を、前記良導電性材料よりも硬い高硬度金属によって被覆する第2の工程とを有することを特徴とするプリン卜配線基板の製造方法。
【請求項7】 請求項6記載のプリント配線基板において、前記良導電性材料からなる電極を被覆している前記高硬度金属層を、非酸化性金属層によって被覆する第3の工程を有することを特徴とするプリン卜配線基板の製造方法。
【請求項8】 請求項6記載のプリント配線基板において、前記第2の工程が、前記良導電性材料からなる電極が形成されている前記絶縁基板上に、真空蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法、又はめっき法を用いて、前記良導電性材料よりも硬い高硬度金属層を被着した後、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、又はイオンミリング法を用いて、前記高硬度金属層を加工する工程であることを特徴とするプリント配線基板の製造方法。
【請求項9】 請求項7記載のプリント配線基板において、前記第3の工程が、前記高硬度金属層によって被覆された前記良導電性材料からなる電極が形成されている前記絶縁基板上に、真空蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法、又はめっき法を用いて、非酸化性金属層を被着した後、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、又はイオンミリング法を用いて、前記非酸化性金属層を加工する工程であることを特徴とするプリント配線基板の製造方法。
【請求項10】 請求項7記載のプリント配線基板において、前記第2及び第3の工程が、無電解めっき法を用いて、前記良導電性材料からなる電極上に、前記良導電性材料よりも硬い高硬度金属層を被着し、続いて、前記高硬度金属層上に、非酸化性金属層を被着する工程であることを特徴とするプリント配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリン卜配線基板及びその製造方法に係り、特に半導体チップをフリップチップ実装(flip chip bonding )するプリント配線基板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、エレクトロニクス機器は軽薄短小化傾向を強め、高機能集積化及び信号処理の高速化が進んできている。そして、これに伴い半導体チップの電極間ピッチも100μm以下となることが要求されるようになってきている。この場合、このような電極間ピッチの狭い半導体チップをはんだを用いてプリント配線基板上に実装することは技術的に極めて困難であり、また耐環境性が全世界的に重要視されてきていることから、はんだを用いることなく半導体チップをプリント配線板上にフリップチップ実装する方法が最近盛んに検討され始めている。
【0003】このようなはんだを用いないフリップチップ実装方法のうち、代表的なものとして、ACF(異方性導電膜)を用いる方法がある。この場合、図15に示されるように、プリント配線基板50としては、例えばガラスエポキシ、紙フェノ一ル、又はセラミック等の絶縁材からなる絶縁基板52上に、導電性に優れたCu(銅)を電極材料とする電極、即ちCu電極54が形成されているものを用いる。そして、図16に示されるように、このプリント配線基板50に半導体チップをフリップチップ実装するのに用いるACF56は、絶縁性樹脂材からなるベースフィルム58内に例えば直径5μm程度のニッケル粒子等からなる導電粒子60が複数散りばめられているものである。
【0004】このようなACF56を用いる従来のフリップチップ実装は、図17に示されるように、プリント配線基板50の実装領域上にACF56を配置し、続いて、このACF56を介してプリント配線基板50上方に半導体チップ62の位置決めを行い、半導体チップ62の半導体基板64上に形成された各突起電極66がプリント配線基板50の絶縁基板52上の各Cu電極54に対応するようにした後、この位置決めをした半導体チップ62をACF56を介してプリント配線基板50上に圧着することにより行われる。
【0005】従って、このフリップチップ実装方法によれば、プリント配線基板50と半導体チップ62との間にACF56のベースフィルム58が介在することにより、半導体チップ62をプリント配線基板50上に固定保持することができる。また、半導体チップ62の各突起電極66とプリント配線基板50の対応する各Cu電極54との間にACF56の導電粒子60が挟まれることにより、このACF56の導電粒子60を介して半導体チップ62の突起電極66とこれと対応するプリント配線基板50のCu電極54との導通をとることができる。
【0006】また、はんだを用いることなく半導体チップをプリント配線基板上にフリップチップ実装する方法としては、上記ACFを用いる方法の他に、光収縮性樹脂を用いる方法がある。この光収縮性樹脂を用いる従来のフリップチップ実装は、図18に示されるように、プリント配線基板50に対応させて半導体チップ62の位置決めを行い、半導体チップ62の半導体基板64上に形成された各突起電極66がプリント配線基板50の絶縁基板52上の各Cu電極54に対応するようにした後、この位置決めをした半導体チップ62をプリント配線基板50上にマウン卜し、続いて半導体チップ62とプリント配線基板50との間隙に光収縮性樹脂68を充填し、光照射することにより行われる。
【0007】従って、このフリップチップ実装方法によれば、半導体チップ62とプリント配線基板50との間隙に充填した光収縮性樹脂68が感光したときに生じる収縮力によって半導体チップ62をプリント配線基板50上に固定保持することができる。また、半導体チップ62の各突起電極66とプリント配線基板50の対応する各Cu電極54とが直接に接触していることにより、半導体チップ62の各突起電極66とこれと対応するプリント配線基板50の各Cu電極54との導通をとることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の半導体チップ62をフリップチップ実装するプリント配線基板50においては、上記図15に示されるように、その電極材料として導電性に優れた金属であるCuを用いるのが一般的であるが、このCuは酸化によってその表面に絶縁性のCuO(酸化銅)が形成され易い金属である。従って、このような状況のもとで上記従来のACFを用いた半導体チップのフリップチップ実装方法を採用すると、上記図17に示されるように、プリント配線基板50のCu電極54表面に絶縁性のCuO膜70が形成され、この絶縁性のCuO膜70と半導体チップ62の突起電極66との間にACF56の導電粒子60の一部が挟まれることになるため、これらの一部の導電粒子60はプリント配線基板50のCu電極54と半導体チップ62の突起電極66との導通に寄与しなくなり、結果としてCu電極54と突起電極66との間の接続抵抗が上昇してしまう。
【0009】また、上記従来の光収縮性樹脂68を用いた半導体チップ62のフリップチップ実装方法においても、上記図18に示されるように、プリント配線基板50のCu電極54表面に絶縁性のCuO膜70が形成されることから、この絶縁性のCuO膜70によってプリント配線基板50のCu電極54と半導体チップ62の突起電極66との十分な接触が阻害され、結果としてCu電極54と突起電極66との間の接続抵抗が上昇してしまう。
【0010】更に、CuOは一般には水分子を吸着し易いため、図19及び図20に示されるように、プリント配線基板50のCu電極54表面のCuO膜70と半導体チップ62の突起電極66との接触部に水分子72が侵入して吸着する場合があり、こうした状況において低温環境におかれると、この水分子72が凍結して体積膨張を起こし、半導体チップ62の突起電極66とプリント配線基板50のCu電極54との接触を引き離す方向に力が働き、結果として半導体チップ62の突起電極66とプリント配線基板50のCu電極54との間の接続オープン不良が生じるなど、実装の信頼性の低下を引き起こす危険がある。
【0011】こうしたことから、ACF56を用いてフリップチップ実装した場合における、図15のプリント配線基板50の各Cu電極54と半導体チップ62の各突起電極66との接続抵抗の温度サイクルに対する変動を測定すると、図21のグラフに示されるような結果となる。即ち、この図21のグラフ中の上方に振幅の大きい線で示される−25℃から+125℃の範囲で周期的に変化する温度サイクルに対し、下方の振幅の小さい線で示されるプリント配線基板50のCu電極54と半導体チップ62の突起電極66との接続抵抗は、この温度サイクルに応じた変動を生じるが、この変動が不規則な波形を示している。また、この接触抵抗が経時的に増大していく傾向を示している。(図21において、上方の振幅の大きい線は温度サイクルを示し、下方の振幅の小さい線はこの温度サイクルに対するプリント配線基板50の各Cu電極54と半導体チップの各突起電極との接続抵抗の変化を示す。)
【0012】このことは、プリント配線基板50のCu電極54表面への絶縁性のCuO膜70の形成や、このCuO膜70に吸着された水分子の体積膨張などによって、ACF56の導電粒子60を介した半導体チップ62の突起電極66とプリント配線基板50のCu電極54との接続が良好かつ安定に維持されていないことを意味する。
【0013】なお、このプリント配線基板50のCu電極54表面に絶縁性のCuO膜70が形成されたり、このCuO膜70に吸着された水分子が体積膨張したりする問題に対し、その対策として、図22に示されるように、プリント配線基板50のCu電極54を非酸化性の金属であるAu(金)層74によって被覆することが考えられる。
【0014】しかし、従来のプリント配線基板50においては、そのCu電極54表面に絶縁性のCuO膜70が形成されるという問題以外に、更にもうーつ問題がある。即ち、ACF56を用いるフリップチップ実装方法及び光収縮性樹脂68を用いるフリップチップ実装方法のいずれも、基本的に熱圧着法であるため、その圧着の際にプリン卜配線基板50のCu電極54が絶縁基板52に適度に沈み込んだ状態で半導体チップ62の突起電極66とプリント配線基板50のCu電極54の接続がなされることが望ましい。これは、Cu電極54を絶縁基板52に適度に沈み込ませることにより、沈み込んだ絶縁基板52がその沈められた方向と逆方向に反発し、Cu電極54を押し戻そうとする力が働き、結果としてCu電極54と突起電極66との良好な接続を維持する効果があると考えられるからである。
【0015】ところが、前述のように一般的なプリント配線基板50においては電極材料としてCuを用いるが、Cuは比較的やわらかい金属であることから、上記図17及び図18に示したように半導体チップ62をプリント配線基板50上に圧着する際に、半導体チップ62の突起電極66がプリント配線基板50のCu電極54に沈み込んでしまう。このため、結果としてCu電極54の絶縁基板52への沈み込みが減少してしまうことから、Cu電極54と突起電極66との良好な接続を維持する効果が妨げられてしまう。従って、実装の信頼性の低下を引き起こすという問題を生じる。
【0016】また、上記図22に示されるように、プリント配線基板50のCu電極54表面を非酸化性のAu層74によって被覆した場合であっても、Auも比較的やわらかい金属であることから、Au層によって被覆されていないCu電極54のみの場合と同様に、半導体チップ62をプリント配線基板50上に圧着する際に、半導体チップ62の突起電極66がプリント配線基板50のAu層74によって被覆されているCu電極54に沈み込んでしまうため、Cu電極54の絶縁基板52への沈み込みが減少してしまい、Cu電極54と突起電極66との良好な接続を維持する効果が減少してしまう。従って、この場合も、実装の信頼性の低下を引き起こすという問題を生じる。
【0017】そこで本発明は、上記問題点を考慮してなされたものであり、半導体チップを信頼性高くフリップチップ実装することができるプリント配線基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題は、以下の本発明に係るプリント配線基板及びその製造方法によって達成される。即ち、請求項1に係るプリント配線基板は、半導体チップをフリップチップ実装するプリント配線基板であって、半導体チップの突起電極に対応するプリント配線基板の電極が良導電性材料からなり、この良導電性材料からなる電極がこの良導電性材料よりも硬い高硬度金属によって被覆されていることを特徴とする。
【0019】このように、請求項1に係るプリント配線基板においては、良導電性材料からなる電極が高硬度金属によって被覆されていることにより、このプリント基板上にACF又は光収縮性樹脂を用いて半導体チップをフリップチップ実装する際に、半導体チップの突起電極がプリント配線基板の電極に沈みこんでプリン卜配線基板の電極の絶縁基板への沈み込みが減少してしまうこともなくなるため、半導体チップの突起電極とプリント配線基板の電極とが良好かつ安定に接続され、実装の信頼性が向上する。
【0020】また、請求項2に係るプリント配線基板は、上記請求項1に係るプリント配線基板において、良導電性材料からなる電極を被覆している高硬度金属層が非酸化性金属層によって被覆されている構成とすることにより、この電極表面に良導電性材料の酸化膜が形成されることが防止されるため、プリント基板上にACF又は光収縮性樹脂を用いて半導体チップをフリップチップ実装する際に、半導体チップの突起電極とプリント配線基板の電極の接続が電極表面の酸化膜によって阻害されることがなくなり、半導体チップの突起電極とプリント配線基板の電極とが良好かつ安定に接続され、実装の信頼性が向上する。
【0021】なお、ここで、良導電性材料からなる電極としてはCu電極が好適である。但し、必ずしもCu電極に限定されるものではなく、例えばAg(銀)電極など、良導電性材料を電極材料とするものであればよい。また、高硬度金属層としてはNi(ニッケル)層、Ti(チタン)層、W(タングステン)層、Ta(タンタル)層、又はMo(モリブデン)層などが好適である。但し、必ずしもこれらの金属層に限定されるものではなく、例えばこれらの合金層など、Cu電極よりも硬度の高い金属層であればよい。また、非酸化性金属層としては、Au層が好適である。但し、必ずしもAu層に限定されるものではなく、例えばPt(白金)層など、通常の信頼性試験における諸条件の下で酸化し難い金属層であればよい。
【0022】更に、請求項6に係るプリント配線基板の製造方法は、半導体チップをフリップチップ実装するプリント配線基板の製造方法であって、絶縁基板上に、半導体チップの突起電極に対応して良導電性材料からなる電極を形成する第1の工程と、この絶縁基板上の良導電性材料からなる電極を、この良導電性材料よりも硬い高硬度金属によって被覆する第2の工程とを有することを特徴とする。
【0023】このように請求項6に係るプリント配線基板の製造方法においては、絶縁基板上に良導電性材料からなる電極を形成し、この電極を高硬度金属によって被覆することにより、上記請求項1に係るプリント配線基板を容易に作製することができる。従って、このプリント基板上にACF又は光収縮性樹脂を用いて半導体チップをフリップチップ実装する際に、半導体チップの突起電極がプリント配線基板の電極に沈みこんでプリン卜配線基板の電極の絶縁基板への沈み込みが減少してしまうこともなくなるため、半導体チップの突起電極とプリント配線基板の電極とが良好かつ安定に接続され、実装の信頼性が向上する。
【0024】また、請求項7に係るプリント配線基板の製造方法は、上記請求項6に係るプリント配線基板において、良導電性材料からなる電極を被覆している高硬度金属層を非酸化性金属層によって被覆する第3の工程を有する構成とすることにより、上記請求項2に係るプリント配線基板を容易に作製することができる。従って、このプリント基板上にACF又は光収縮性樹脂を用いて半導体チップをフリップチップ実装する際に、半導体チップの突起電極とプリント配線基板の電極の接続が電極表面の酸化膜によって阻害されることがなくなるため、半導体チップの突起電極とプリント配線基板の電極とが良好かつ安定に接続され、実装の信頼性が向上する。
【0025】なお、ここで、絶縁基板上の良導電性材料からなる電極を高硬度金属によって被覆する第2の工程においては、良導電性材料からなる電極が形成されている絶縁基板上に、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD(化学的気相成長)法、又はめっき法を用いて、良導電性材料よりも硬い高硬度金属層を被着した後、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、又はイオンミリング法を用いて、高硬度金属層を加工することが好適である。
【0026】また、良導電性材料からなる電極を被覆している高硬度金属層を非酸化性金属層によって被覆する第3の工程においては、高硬度金属層によって被覆された良導電性材料からなる電極が形成されている絶縁基板上に、真空蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法、又はめっき法を用いて、非酸化性金属層を被着した後、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、又はイオンミリング法を用いて、前記非酸化性金属層を加工することが好適である。
【0027】或いはまた、前記第2及び第3の工程においては、無電解めっき法を用いて、良導電性材料からなる電極上にこの良導電性材料よりも硬い高硬度金属層を被着し、続いて、この記高硬度金属層上に非酸化性金属層を被着することが好適である。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るプリント配線基板を示す断面図である。図1に示されるように、本実施形態に係るプリント配線基板10においては、通常のプリント配線基板の絶縁基板の素材として用いられるガラスエポキシ、紙フェノ一ル、又はセラミック等の絶縁材からなる絶縁基板12上に、導電性に優れたCuを電極材料とするCu電極14が形成されている。なお、これらのCu電極14は、プリント配線基板10上にフリップチップ実装する半導体チップの各突起電極の配置に対応して配置されている。
【0029】また、これらのCu電極14は、その表面をCu電極14よりも硬い高硬度金属層としてのNi層16によって被覆されている。更に、このCu電極14を被覆しているNi層16は、その表面を非酸化性金属層としてのAu層18によって被覆されている。なお、ここで、Ni層16の代わりに、高硬度金属層として例えばTi層、W層、Ta層、Mo層などを用いてもよい。因みに、これらの金属の硬度を図2に示す。即ち、Cuの硬度が40HR Bであるのに対して、Niの硬度は60HVであり、Tiの硬度は60HV であり、Wの硬度は360HV であり、Moの硬度は160HV である。
【0030】次に、図1に示すプリント配線基板10の製造方法を、図3〜図11を用いて説明する。ここで、図3〜図11はそれぞれ図1のプリント配線基板10の製造方法を説明するための工程断面図である。なお、図1のプリント配線基板10の構成要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0031】先ず、図3に示されるように、例えば無電解Cuめっき法を用いて、絶縁基板12上の全面に亘ってCu層14aを10〜20μm程度の厚さに形成する。続いて、このCu層14a上の全面に亘って感光性フィルムを貼り付け、この感光性フイルムを所望する配線パターンに応じて紫外線により露光し、現像する。こうして、図4に示されるように、所望する配線パターンの感光性フィルム20を形成すると共に、感光性フイルムが除去されてCu層14aが露出する開口部22を形成する。
【0032】次いで、この配線パターンの感光性フィルム20をマスクとして、各開口部22から露出するCu層14aをエッチングにより除去した後、感光性フィルム20を剥離する。こうして、図5に示されるように、所望する配線パターンに残存するCu層からなる各Cu電極14を形成する。
【0033】次いで、図6に示されるように、例えばスパッタリング法を用いて、Cu電極14が形成された絶縁基板12上に、露出している絶縁基板12表面及び各Cu電極14表面を一体に覆うように、高硬度金属層としてのNi層16aを5μm程度の厚さに被着する。なお、このNi層16aを被着する際に、スパッタリング法の代わりに、例えば真空蒸着法、CVD法、又はめっき法などを用いてもよい。また、Ni層16aの代わりに、同様の高硬度金属層として例えばTi層、W層、Ta層、Mo層などを被着してもよい。
【0034】次いで、このNi層16a上の全面に亘って感光性フィルムを貼り付けた後、この感光性フイルムを所望する配線パターンに応じて紫外線により露光し、現像する。こうして、図7に示されるように、所望する配線パターンの感光性フィルム24を形成すると共に、感光性フイルムが除去されてNi層16aが露出する開口部26を形成する。
【0035】次いで、例えばドライエッチング法を用い、配線パターンの感光性フィルム24をマスクとして、各開口部26から露出するNi層16aをエッチング除去した後、感光性フィルム24を剥離する。こうして、図8に示されるように、所望する配線パターンに残存するNi層16を形成し、このNi層16によって覆われた各Cu電極14が得られる。なお、配線パターンの感光性フィルム24をマスクとして露出するNi層16aをエッチング除去する際、ドライエッチング法の代わりに、例えばウェットエッチング法又はイオンミリング法などを用いてもよい。
【0036】次いで、図9に示されるように、例えばスパッタリング法を用いて、Ni層16によって覆われたCu電極14が形成された絶縁基板12上に、露出している絶縁基板12表面及び各Cu電極14を被覆しているNi層16表面を一体に覆うように、非酸化性金属層としてのAu層18aを厚さ0.1μm程度に被着する。なお、このAu層18aを被着する際、スパッタリング法の代わりに、例えば真空蒸着法、CVD法、又はめっき法などを用いてもよい。
【0037】次いで、このAu層18a上の全面に亘って感光性フィルムを貼り付けた後、この感光性フイルムを所望する配線パターンに応じて紫外線により露光し、現像する。こうして、図10に示されるように、所望する配線パターンの感光性フィルム28を形成すると共に、感光性フイルムが除去されてAu層18aが露出する開口部30を形成する。
【0038】次いで、例えばドライエッチング法を用い、配線パターンの感光性フィルム28をマスクとして、各開口部30から露出するAu層18aをエッチング除去した後、感光性フィルム28を剥離する。こうして、図11に示されるように、所望する配線パターンに残存するAu層18を形成し、このAu層18及びNi層16によって覆われた各Cu電極14が得られる。なお、配線パターンの感光性フィルム28をマスクとして露出するAu層18aをエッチング除去する際、ドライエッチング法の代わりに、例えばウェットエッチング法又はイオンミリング法などを用いてもよい。
【0039】このようにして、上記図1に示されるような、絶縁基板12上に導電性に優れたCu電極14が形成され、これらのCu電極14表面が高硬度金属層としてのNi層16によって被覆され、更に、このCu電極14を被覆しているNi層16が非酸化性金属層としてのAu層18によって被覆されている、即ちCu電極14表面が順に積層されたNi層16及びAu層18によって被覆されているプリント配線基板10が作製される。
【0040】次に、図1に示すプリント配線基板10上にACFを用いて半導体チップをフリップフロップ実装する方法を、図12の断面図を用いて説明する。なお、図12において、図1のプリント配線基板10の構成要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】図1に示すプリント配線基板10の実装領域上にACF32を配置する。なお、このACF32は、絶縁性樹脂材からなるベースフィルム34内に例えば直径5μm程度のニッケル粒子等からなる導電粒子36が複数散りばめられているものである。
【0042】続いて、プリント配線基板10上方において、ACF32を介した半導体チップ38の位置決めを行う。即ち、半導体チップ38の半導体基板40上に形成された各突起電極42が、プリント配線基板10の絶縁基板12上に形成され、Ni層16及びAu層18によって被覆されている各Cu電極14に対応するようにする。そして、この位置決めをした半導体チップ38を、ACF32を介してプリント配線基板10上に圧着する。こうして、図12に示されるように、プリント配線基板10と半導体チップ38との間にはACF32のベースフイルム34が介在することにより、半導体チップ38はプリント配線基板10上に固定保持される。また、半導体チップ38の各突起電極42とプリント配線基板10の対応する各Cu電極14を被覆しているAu層18との間にACF32の導電粒子36が挟まれることにより、このACF32の導電粒子36を介して半導体チップ38の各突起電極42とこれに対応するプリント配線基板10のNi層16及びAu層18によって被覆されている各Cu電極14との導通がとられる。
【0043】次に、図1に示すプリント配線基板10上に光収縮性樹脂を用いて半導体チップをフリップフロップ実装する方法を、図13の断面図を用いて説明する。なお、図13において、図1のプリント配線基板10の構成要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】図1に示すプリント配線基板10上方において、半導体チップ38の位置決めを行う。即ち、半導体チップ38の半導体基板40上に形成された各突起電極42が、プリント配線基板10の絶縁基板12上に形成され、Ni層16及びAu層18によって被覆されている各Cu電極14に対応するようにする。そして、このような位置決めをした半導体チップ38をプリント配線基板10上にマウン卜した後、半導体チップ38とプリント配線基板10との間隙に光収縮性樹脂44を充填し、光照射する。
【0045】こうして、図13に示されるように、半導体チップ38とプリント配線基板10との間隙に充填した光収縮性樹脂44が感光したときに生じる収縮力により、半導体チップ38はプリント配線基板10上に固定保持される。また、半導体チップ38の各突起電極42とプリント配線基板10の対応する各Cu電極14を被覆しているAu層18とが直接に接触していると共に、半導体チップ38とプリント配線基板10との間隙に充填した光収縮性樹脂44の収縮が加わることにより、半導体チップ38の各突起電極42とこれに対応するプリント配線基板10のNi層16及びAu層18によって被覆されている各Cu電極14との導通がとられる。
【0046】次に、ACFを用いて半導体チップをフリップチップ実装した場合における、図1のプリント配線基板10のNi層16及びAu層18によって被覆されているCu電極14と半導体チップの突起電極との接続抵抗の温度サイクルに対する変動を、図14のグラフを用いて説明する。なお、この図14のグラフにおいて、上方の振幅の大きい線は温度サイクルを示しており、下方の振幅の小さい線はこの温度サイクルに対するプリント配線基板10のNi層16及びAu層18によって被覆されているCu電極14と半導体チップの突起電極との接続抵抗の変化を示している。
【0047】この図14のグラフに示されるように、プリント配線基板10のNi層16及びAu層18によって被覆されている各Cu電極14と半導体チップの各突起電極との接続抵抗は、−25℃から+125℃の範囲で変化する温度サイクルに対応して変動しているが、この変動は規則的な波形を示している。また、この接続抵抗の経時的な変動は観測されなかった。このことは、ACF32の導電粒子36を介した半導体チップ38の突起電極42とプリント配線基板10のNi層16及びAu層18によって被覆されているCu電極14との良好な接続が、その接触抵抗を経時的に増大させることなく、安定して維持されていることを意味する。
【0048】以上のように、本実施形態によれば、プリント配線基板10のCu電極14がNi層16によって被覆され、更にこのNi層16がAu層18によって被覆されていることにより、即ち、Cu電極14を被覆しているNi層16が非酸化性金属層としてのAu層18によって被覆されていることにより、Cu電極14やNi層16が酸化されてこれらの表面に絶縁性の酸化膜、例えばCuO膜やNiO(酸化ニッケル)膜が形成されることを防止することが可能となる。
【0049】このため、例えば上記図12に示すようにACF32を用いて半導体チップ38をフリップチップ実装する場合において、半導体チップ38の各突起電極42とプリント配線基板10の対応する各Cu電極14を被覆しているAu層18との間に挟まれているACF32の導電粒子36を介して、半導体チップ38の各突起電極42とこれに対応するプリント配線基板10のNi層16及びAu層18によって被覆されている各Cu電極14との導通をとる際に、Cu電極14表面やNi層16表面の絶縁性の酸化膜によってこの導通が阻害されたり、接続抵抗が上昇したりすることを防止することができる。また、これらCu電極14表面やNi層16表面の酸化膜自体が形成されないため、酸化膜に吸着された水分子が体積膨張することによる接続オープン不良の発生も当然に防止することができる。
【0050】従って、半導体チップ38の各突起電極42とプリント配線基板10のNi層16及びAu層18によって被覆されている各Cu電極14とのACF32の導電粒子36を介した良好かつ安定な接続を維持することが可能となり、ACF32を用いたフリップチップ実装の信頼性を向上させることができる。
【0051】同様に、例えば上記図13に示すように光収縮性樹脂44を用いて半導体チップ38をフリップチップ実装する場合においても、半導体チップ38の各突起電極42とプリント配線基板10の対応する各Cu電極14を被覆しているAu層18とを直接に接触させ、更に半導体チップ38とプリント配線基板10との間の光収縮性樹脂44を収縮させて、半導体チップ38の各突起電極42とこれに対応するプリント配線基板10のNi層16及びAu層18によって被覆されている各Cu電極14との導通をとる際に、この導通がCu電極14表面やNi層16表面の絶縁性の酸化膜によって阻害されたり、その接続抵抗が上昇したりすることを防止することができる。また、これらCu電極14表面やNi層16表面の酸化膜に吸着された水分子の体積膨張による接続オープン不良の発生も当然に防止することができる。
【0052】従って、半導体チップ38の各突起電極42とプリント配線基板10のNi層16及びAu層18によって被覆されている各Cu電極14との直接接触による良好かつ安定な接続を維持することが可能となり、光収縮性樹脂44を用いたフリップチップ実装の信頼性を向上させることができる。
【0053】更に、本実施形態によれば、プリント配線基板10のCu電極14がNi層16によって被覆され、更にこのNi層16がAu層18によって被覆されていることにより、即ちCu電極14とAu層18との間に高硬度金属層としてのNi層16が介在していることにより、例えば上記図12に示すようにACF32を用いて半導体チップ38をフリップチップ実装する場合や上記図13に示すように光収縮性樹脂44を用いて半導体チップ38をフリップチップ実装する場合のいずれにおいても、半導体チップ38の各突起電極42はプリント配線基板10のNi層16によって被覆されている各Cu電極14に沈み込まず、Ni層16によって被覆されている各Cu電極14が絶縁基板12に適度に沈み込むようになる。従って、適度に沈み込んだ絶縁基板12がその沈められた方向と逆方向に反発し、Cu電極14を押し戻そうとする力が働くため、半導体チップ38の各突起電極42とプリント配線基板10のNi層16及びAu層18によって被覆されている各Cu電極14との良好かつ安定な接続を維持することが可能となり、ACF32や光収縮性樹脂44を用いたフリップチップ実装の信頼性を向上させることができる。
【0054】なお、上記実施形態においては、上記図6〜図10に示されるように、Cu電極14が形成された絶縁基板12上に例えばスパッタリング法を用いてNi層16aを被着した後、例えばドライエッチング法を用いてこのNi層16aを所望する配線パターンにエッチングして各Cu電極14を覆うNi層16を形成し、続いて、このNi層16によって覆われたCu電極14が形成された絶縁基板12上に例えばスパッタリング法を用いてAu層18aを被着した後、例えばドライエッチング法を用いてこのAu層18aを所望する配線パターンにエッチングして各Cu電極14を覆うNi層16を更に覆うAu層18を形成しているが、この製造方法の限定されるものではない。例えばこの製造方法の代わりに、スパッタリング法、真空蒸着法、又はCVD法などを用いて、Cu電極14が形成された絶縁基板12上にNi層及びAu層を連続して被着した後、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、又はイオンミリング法などを用いて、これらのAu層及びNi層を所望する配線パターンに連続的にエッチングして、各Cu電極14を覆うNi層及びAu層を形成してもよい。或いはまた、絶縁基板12上に各Cu電極14を形成した後、例えば無電解めっき法を用いて、各Cu電極14上にのみ選択的にNi層及びAu層を連続して形成し、各Cu電極14を覆うNi層及びAu層を形成してもよい。
【0055】
【発明の効果】以上、詳細に説明した通り、本発明に係るプリント配線基板及びその製造方法によれば、次のような効果を奏することができる。即ち、請求項1に係るプリント配線基板によれば、良導電性材料からなる電極が高硬度金属によって被覆されていることにより、このプリント基板上にACF又は光収縮性樹脂を用いて半導体チップをフリップチップ実装する際に、半導体チップの突起電極がプリント配線基板の高硬度金属によって被覆されている電極に沈み込まず、このプリン卜配線基板の電極が絶縁基板に適度に沈み込むようにすることが可能になるため、半導体チップの突起電極とプリント配線基板の電極とを良好かつ安定に接続することが可能になり、半導体チップのフリップチップ実装の信頼性を向上させることができる。
【0056】また、請求項2に係るプリント配線基板によれば、良導電性材料からなる電極を被覆している高硬度金属層が更に非酸化性金属層によって被覆されていることにより、上記請求項1の場合と同じく半導体チップの突起電極がプリント配線基板の高硬度金属によって被覆されている電極に沈み込まずにプリン卜配線基板の電極が絶縁基板に適度に沈み込むようにすることが可能になると共に、プリン卜配線基板の電極表面に良導電性材料の酸化膜が形成されることが防止されるため、このプリント基板上にACF又は光収縮性樹脂を用いて半導体チップをフリップチップ実装する際に、半導体チップの突起電極とプリント配線基板の電極の接続が電極表面や高硬度金属層表面の酸化膜によって阻害されることがなくなることから、半導体チップの突起電極とプリント配線基板の電極とを良好かつ安定に接続することが可能になり、半導体チップのフリップチップ実装の信頼性を向上させることができる。
【0057】更に、請求項6に係るプリント配線基板の製造方法によれば、絶縁基板上に良導電性材料からなる電極を形成する第1の工程と、この絶縁基板上の良導電性材料からなる電極を、この良導電性材料よりも硬い高硬度金属によって被覆する第2の工程とを有することにより、上記請求項1に係るプリント配線基板を容易に作製することができる。従って、このプリント基板上にACF又は光収縮性樹脂を用いて半導体チップをフリップチップ実装する際に、半導体チップの突起電極がプリント配線基板の高硬度金属によって被覆されている電極に沈み込まず、このプリン卜配線基板の電極が絶縁基板に適度に沈み込むようにすることが可能になるため、半導体チップの突起電極とプリント配線基板の電極とを良好かつ安定に接続することが可能になり、半導体チップのフリップチップ実装の信頼性を向上させることができる。
【0058】また、請求項7に係るプリント配線基板の製造方法は、上記請求項6に係るプリント配線基板において、良導電性材料からなる電極を被覆している高硬度金属層を非酸化性金属層によって被覆する第3の工程を有することにより、上記請求項2に係るプリント配線基板を容易に作製することができる。従って、このプリント基板上にACF又は光収縮性樹脂を用いて半導体チップをフリップチップ実装する際に、半導体チップの突起電極がプリント配線基板の高硬度金属によって被覆されている電極に沈み込まず、このプリン卜配線基板の電極が絶縁基板に適度に沈み込むようにすることが可能になると共に、半導体チップの突起電極とプリント配線基板の電極の接続が電極表面や高硬度金属層表面の酸化膜によって阻害されることがなくなるため、半導体チップの突起電極とプリント配線基板の電極とを良好かつ安定に接続することが可能になり、半導体チップのフリップチップ実装の信頼性を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月12日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−4065
【公開日】 平成11年(1999)1月6日
【出願番号】 特願平9−155545