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【発明の名称】 ノイズ・フィルタ回路
【発明者】 【氏名】鎌田 修
【氏名】藤田 昌宏
【課題】アクロス・ザ・ライン・コンデンサやスナバ回路のコンデンサによる漏れ電流を低減し、ノイズに強い交流回路にする。

【解決手段】交流電源ACに接続されるノイズ・フィルタ回路において、アクロス・ザ・ライン・コンデンサC6と、そのコンデンサC6に接続されるツェナ・ダイオードZD3,ZD4からなる漏れ電流低減回路ARを備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 交流電源に接続されるノイズ・フィルタ回路において、アクロス・ザ・ライン・コンデンサと、該コンデンサに接続されるツェナ・ダイオードからなる漏れ電流低減回路を備えたことを特徴とするノイズ・フィルタ回路。
【請求項2】 交流電源に接続されるノイズ・フィルタ回路において、アクロス・ザ・ライン・コンデンサと、該コンデンサに接続される双方向サイリスタからなる漏れ電流低減回路を備えたことを特徴とするノイズ・フィルタ回路。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ノイズ・フィルタ回路、特に、交流回路における漏れ電流を低減するノイズ・フィルタ回路に関する。
【0002】
【従来の技術】配線器具の電子式スイッチ回路においては、無接点のスイッチング素子として、双方向サイリスタのトライアックが広く使われる。しかし、双方向サイリスタのトライアックのように制御利得が高く、一度ゲートがトリガされるとゲート信号が消滅してもオン状態を保持することができるデバイスは、それ故にノイズに対して弱く、誤動作してしまうことが少なくなかった。このノイズによるトライアックの誤動作には、ノイズが直接ゲートに飛び込んで誤導通をさせてしまうもの。或いは、誘導負荷やインバータなどによる急な立ち上がり電圧が発生するような場合に、その電圧上昇によってトライアックが誤導通してしまうものがある。
【0003】これらの誤動作防止回路としては、一般的に、ゲートに入ってきたノイズをバイバスさせるために、トライアックのG−T1間にコンデンサを接続する方法や、T2−T1間に発生する電圧上昇率dv/dtを減少せる効果のある、CRによるスナバ回路を設けることが広く行われている。また、ノーマル・モードやコモン・モード・ノイズに対しては、ライン・バイパス・コンデンサやコモン・モード・チョーク・トランスの使用も考えられる。しかし、寸法が限定される配線器具にあっては、せいぜいノーマル・モードのノイズ対策としてのアクロス・ザ・ライン・コンデンサやサージ・アブソーバの使用程度に限定されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これらのスナバ回路やアクロス・ザ・ライン・コンデンサを設けたトライアック制御方式の配線器具で、ノイズ防止用のコンデンサを備えた安定器方式の蛍光灯照明器具をオン・オフする場合、この蛍光灯のコンデンサと配線器具のアクロス・ザ・ライン・コンデンサやスナバ回路のコンデンサとで電圧の分圧が生じ、トライアックのT2−T1間電圧がAC100V電圧の場合で約50V程度まで下がる。すると、配線器具では、スイッチ動作のオフ状態を表示するために、T2−T1間にネオンランプNL1を接続しているものにあっては、このネオンランプNL1の放電開始電圧が大抵は75V程度なので、分圧のため50Vまで下がった電圧では、オフ状態を表示するネオンランプNL1が点灯しないなどの問題があった(図4参照)。合わせて、このアクロス・ザ・ライン・コンデンサやスナバ回路のコンデンサの漏れ電流で蛍光灯照明器具のグローランプが、うっすらと放電点灯するなどの問題があった。このように、負荷との組合せが特定できない配線器具にあっては、アクロス・ザ・ライン・コンデンサやスナバ回路を設けることができなく、それ故にノイズに弱く、ノイズで負荷を誤動作させる欠点があった。
【0005】本発明は、上記従来の問題および欠点を解消するためになされたものであって、アクロス・ザ・ライン・コンデンサやスナバ回路のコンデンサによる漏れ電流を低減し、ノイズに強い交流回路となるノイズ・フィルタ回路の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明では、交流電源に接続されるノイズ・フィルタ回路において、アクロス・ザ・ライン・コンデンサと、該コンデンサに接続されるツェナ・ダイオードからなる漏れ電流低減回路を備えたことを特徴とするノイズ・フィルタ回路を提供する。この構成によれば、ノイズ・フィルタ回路に、アクロス・ザ・ライン・コンデンサと、ツェナ・ダイオードからなる漏れ電流低減回路が備えられているため、通常の交流電源100Vでは、ツェナ・ダイオードを通過しない。したがって、通常時に、コンデンサの漏れ電流で、タイマ・スイッチのオフ表示のネオンランプが点灯したり、蛍光灯器具のグローランプの放電点灯することがなくなる。
【0007】
【発明の実施の形態】また、アクロス・ザ・ライン・コンデンサを設けることによって、ノイズに強い交流回路になる。前記目的を達成するため、本発明では、交流電源に接続されるノイズ・フィルタ回路において、アクロス・ザ・ライン・コンデンサと、該コンデンサに接続される双方向サイリスタからなる漏れ電流低減回路を備えたことを特徴とするノイズ・フィルタ回路を提供する。この構成によれば、ノイズ・フィルタ回路に、アクロス・ザ・ライン・コンデンサと、双方向サイリスタからなる漏れ電流低減回路が備えられているため、ブレーク・オーバ電圧を適切に選ぶことにより、前記同様に通常の交流電源100Vでは、双方向サイリスタを通過しない。したがって、通常時に、コンデンサの漏れ電流で、タイマ・スイッチのオフ表示のネオンランプが点灯したり、蛍光灯器具のグローランプの放電点灯することがなくなる。また、アクロス・ザ・ライン・コンデンサを設けることによって、ノイズに強い交流回路になる。
【0008】
【実施例】図1は、本発明に係るノイズ・フィルタ回路を備えた交流回路の一実施例のブロック図、図2は、図1の具体例の交流回路図、図3は、本発明に係るノイズ・フィルタ回路の他の具体例の回路図である。本発明のノイズ・フィルタ回路を備えた一例の交流回路は、交流電源AC(100V)に接続された負荷L(蛍光灯照明器具)と、これに接続されるタイマ・スイッチTSとを具備している。
【0009】タイマ・スイッチTSは、交流電源ACに直列に接続された漏れ電流低減回路AR及びスイッチ素子S1と、スイッチ素子S1に並列に接続された電源回路DCと、スイッチ素子S2と、スイッチ素子S1と電源回路DCとの間に接続されたトライアック駆動回路TCと、電源回路DCとスイッチ素子S2との間に接続された制御回路IC1と、ON,OFFをするスイッチSW1で構成されている。 漏れ電流低減回路ARは、アクロス・ザ・ライン・コンデンサC6とツェナ・ダイオードZD3,ZD4からなる。スイッチ素子S1は、トライアックQ1からなる。電源回路DCは、ブリッジ整流ダイオードD1と平滑コンデンサC3からなる。トライアック駆動回路TCは、抵抗R2,R3とフォトトライアック・カプラQ2,Q4とコンデンサC5とツェナ・ダイオードZD2とからなる。スイッチ素子S2は、フォトトライアック・カプラQ3からなる。制御回路IC1は、IC回路からなる。なお、IC2は制御回路IC1に接続するバッファ・ゲートのIC、C1〜C6はコンデンサ、R1〜R14は抵抗、L1はコイルである。
【0010】前記ノイズ・フィルタ回路に負荷Lとして蛍光灯Fを接続し、タイマ制御する場合の例を、以下に説明する。スイッチSW1をオンさせると、電流は、負荷Lからブリッジ整流ダイオードD1、平滑コンデンサC3、スイッチSW1と流れ、電源回路DCに直流電圧が発生する。そして、電源電圧が電源回路DCから制御回路IC1に供給され、抵抗R3を通してツェナ・ダイオードZD2のツェナ電圧に達すると、フォトトライアック・カプラQ2,Q4に電流が流れる。すると、抵抗R2、フォトトライアック・カプラQ2,Q4を通してスイッチ素子S1のトライアックQ1にゲート電流が流れ、トライアックQ1のT2−T1間をオンさせる。このとき、抵抗R2は、トライアックQ1のゲート電流を流す電流制限抵抗であると共に、コンデンサC5とでトライアックQ1のT2−T1間のスナバ回路を構成している。
【0011】同様に、逆の半波でも、ツェナ・ダイオードZD2に電流が流れ、トライアックQ1がオンすると、負荷Lの蛍光灯Fに電流が流れ、点灯を始める。この状態でノイズが電源に重畳してきても、抵抗R2とコンデンサC5からなるスナバ回路で吸収してしまう。次に、スイッチSW1をオフすると、電源のグランドに接続されているスイッチSW1は、制御回路IC1のタイマ動作を開始させるリセット端子に接続される。すると、制御回路IC1の出力端子は、ローレベルになり、ここに接続されているフォトトライアック・カプラQ3のダイオード部に抵抗R4を通して電流が流れ、トライアック部をオンさせる。したがって、スイッチSW1が回路電流をオフしたにもかかわらず、今度は、ブリッジ整流ダイオードD1、平滑コンデンサC3、フォトトライアック・カプラQ3と電流が流れ、制御回路IC1に今まで通りに電源が供給される。タイマ時間の設定は、制御回路IC1のコンデンサC1と抵抗R6との時定数で定まる周波数でパルスを発生させ、A,B,C,D端子に接続されたディジタル・ロータリー・スイッチSW2で選択された10進数の設定カウント数に達すると、制御回路IC1の出力端子は、ハイレベルになる。
【0012】すると、フォトトライアック・カプラQ3のダイオード部には、電流が流れなくなり、トライアック部もオフして電源回路DCの電流は、絶たれる。同様に、電源の供給が絶たれたフォトトライアック・カプラQ2,Q4もオフするので、ゲート電流のなくなったトライアックQ1がオフして、負荷Lの蛍光灯Fにも電流が流れなくなってタイマ・スイッチ動作は完了する。この状態で、電源にノイズが重畳してきても、フォトトライアック・カプラQ2とQ4がオフしているので、スナバ回路は、機能しない。しかし、フォトトライアック・カプラQ2をターンオンさせるほどのノイズになると、抵抗R2とコンデンサC5のスナバ回路がターンオンしたフォトトライアック・カプラQ2を通して構成されて、このノイズを吸収する。このスナバ回路が働くと、それ以上フォトトライアック・カプラQ4やトライアックQ1をターンオンすることができないので、負荷Lに電流を流して誤点灯させてしまうということもない。
【0013】一方、スイッチSW1がオフ時には、フォトトライアック・カプラQ2,Q4もオフしているので、スナバ回路のコンデンサC5の接続が絶たれている。したがって、このコンデンサC5の漏れ電流でタイマ・スイッチのオフ表示のネオンランプが消灯したり、蛍光灯器具のグローランプが放電点灯することもない。ノーマルモード・ノイズに対しては、アクロス・ザ・ライン・コンデンサC6が機能する。しかし、コンデンサC6には、ツェナ・ダイオードZD3,ZD4が直列に接続されている。もし、ツェナ・ダイオードZD3,ZD4が接続されてなくコンデンサC6だけであると、コンデンサの値にもよるが、約200〜800μAの電流が流れる。ツェナー電圧150V程度のツェナ・ダイオードを直列に接続すると、通常の交流電源AC(100V)では、ツェナ・ダイオードが導通しないので、コンデンサC6には、電流が流れない。厳密には、ダイオードにも、漏れ電流は流れるが、最大でも、10μA程度であり、実質的には無視できる電流値である。したがって、通常時にコンデンサC6の流れ電流で、タイマ・スイッチのオフ表示のネオンランプが消灯したり、蛍光灯Fのグローランプが放電点灯することもなくなる。もし、この状態でノイズが入ってきても、ピーク・ツー・ピークで150V以内なら、コンデンサC6は、機能しないが、トライアックQ1や他の回路に150Vを越えるノイズマージンを持たせていれば、誤動作などの問題はない。そして、150V以上のノイズが加わると、ツェナ・ダイオードZD3 ,ZD4が導通してコンデンサC6が、アクロス・ザ・ライン・コンデンサとして機能し、ノイズをバイパスしてしまう。
【0014】上記ツェナ・ダイオードに代えて、双方向2端子サイリスタ、例えばDIACなどでブレーク・オーバ電圧を適切に選べば、同様の効果を得ることができる。また、この交流回路は、コンデンサの漏れ電流が問題となる装置、例えばノイズ・フィルタ回路などのライン・バイパス・コンデンサにも応用できる(図3参照)。その理由は、このコンデンサC2,C3の容量をあまり大きくしてしまうと、グランドへの漏れ電流が増加して感電の危険性がある。それ故に、一般的には、安全基準として、漏れ電流は、1mA以下に収めるようになっており、ここに使用できるコンデンサの容量は、2200pFが限界となっていた。したがって、フィルタ効果を重視すると、大きなインダクタンスのコイルが必要になり、フィルタ回路が大型になるなどの問題があった。しかし、コンデンサとツェナ・ダイオードを直列に接続し、適切なツェナ電圧を選択することにより、大きなコンデンサ容量も使用することもできるので、インダクタンスL1が小型でもよくなり、フィルタ回路の小型化が可能となり、合わせてコンデンサの漏れ電流で感電の危険性もなくなる。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、アクロス・ザ・ライン・コンデンサは、直列に接続されたツェナ・ダイオードのツェナ電圧以上(この場合は、150V)のノイズは、導通して吸収してしまうが、通常のAC電源電圧では導通しないので、漏れ電流による配線器具のオフを表示するネオンランプが点灯しなかったり、蛍光灯のグローランプがうっすらと放電点灯することもなくなった。したがって、従来のノイズ・フィルタ回路にあっては、設けることができなかったアクロス・ザ・ライン・コンデンサが設けられるようになって、ノイズに強い交流回路になる。
【出願人】 【識別番号】390005038
【氏名又は名称】神保電器株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月12日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 克彦 (外2名)
【公開番号】 特開平11−88095
【公開日】 平成11年(1999)3月30日
【出願番号】 特願平9−267829