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【発明の名称】 |
半導体レーザ励起固体レーザ |
| 【発明者】 |
【氏名】内藤 健太 |
【課題】Nd3+を活性イオンとする半導体レーザ励起固体レーザの励起エネルギーの利用効率を高めること。
【解決手段】Nd3+活性イオンとする半導体レーザ励起固体レーザにおいて、前記Nd3+の4I9/2準位から4F3/2準位への光学遷移に対応する波長で発振する半導体レーザを励起光源とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 Nd3+を活性イオンとする固体レーザと前記固体レーザを励起する半導体レーザとを備えてなる半導体レーザ励起固体レーザにおいて、前記半導体レーザが発振する前記固体レーザのNd3+の4I9/2準位から4F3/2準位へ光学遷移させる波長で前記固体レーザを励起してなることを特徴とする半導体レーザ励起固体レーザ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、半導体レーザを励起光源とする半導体レーザ励起固体レーザに関するものである。 【0002】 【従来の技術】実用的固体レーザとしてはNd3+を活性イオンとしたものが主流で、その代表的なものとしてYAGレーザ、ガラスレーザが知られている。このような固体レーザを励起する光源としては、かつてはランプが用いられていたが、高効率化と、コンパクト化を得るために最近では半導体レーザ(LD)を用いたものが開発されている。 【0003】図2は、従来のNd3+を活性イオンとし、半導体レーザを励起光源とした半導体レーザ励起固体レーザの励起/発光プロセスを示す、Nd3+(固体結晶場中)のエネルギー準位図である。 【0004】従来、固体レーザを励起する半導体レーザの発振波長は、固体レーザのNd3+の4I9/2準位(基底準位)から4F5/2準位および2H9/2準位への光学遷移に対応する波長、例えばYAGレーザでは808nm付近の波長、ガラスレーザでは803nm付近の波長が用いられている。この波長の光では、Nd3+は基底準位から一旦4F3/2(レーザ上準位)よりもエネルギー的には高い準位まで励起され(図示a)、非輻射遷移による緩和過程でレーザ上準位に移行する(図示b)。 【0005】レーザ上準位のNd3+はレーザ遷移により4I11/2準位(レーザ下準位)に遷移し(図示c)、この過程でレーザ光Yが得られ、その後4I11/2(レーザ下準位)から非輻射遷移によって基底準位まで緩和される(図示d)。 【0006】なお、図2は、4F3/2準位から4I11/2準位のレーザ遷移させる場合のものについて示しているが、4F3/2準位から4I13/2準位のレーザ遷移、4F3/2準位から4I9/2準位のレーザ遷移させるものについても同様の励起プロセスである。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】このように4F5/2準位および2H9/2準位を励起する方式では、励起光子1個から取り出すことが出来るレーザ光子(4F3/2準位から4I11/2準位)は最大で1個である。励起光子のエネルギーは約1.6eVであるのに対してレーザ光子のエネルギーは、(1)レーザ上準位から4I9/2準位間のレーザ遷移の場合約1.4eV(2)レーザ上準位から4I11/2準位間のレーザ遷移の場合約1.2eV(3)レーザ上準位から4I13/2準位間のレーザ遷移の場合約0.9eVである。 【0008】したがって、励起エネルギーの利用効率(レーザ光子エネルギー/励起エネルギー)としては、(1)レーザ上準位から4I9/2準位間のレーザ遷移の場合約88%(2)レーザ上準位から4I11/2準位間のレーザ遷移の場合約75%(3)レーザ上準位から4I13/2準位間のレーザ遷移の場合約56%となり、原理的にこれ以上の励起エネルギー利用効率は得られないという問題がある。 【0009】また、4F5/2準位及び2H9/2準位に励起されたNd3+は、必ずしも全てが緩和過程(図2のb)によりレーザ上準位に移行するとは限らず、励起光による光学遷移で励起された準位からレーザ上準位への移行確率(量子効率)は、一般的には100%には満たないという問題があった。 【0010】本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、Nd3+を活性イオンとする半導体レーザ励起固体レーザの励起エネルギーの利用効率を高めることを目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明は、Nd3+を活性イオンとする固体レーザと前記固体レーザを励起する半導体レーザとを備えてなる半導体レーザ励起固体レーザにおいて、前記半導体レーザが発振する前記固体レーザのNd3+の4I9/2準位から4F3/2準位へ光学遷移させる波長で前記固体レーザを励起してなることを特徴とする。 【0012】本発明では、半導体レーザによりNd3+は非輻射遷移を伴う緩和プロセスなしに光学遷移で基底準位からレーザ上準位に直接励起されるので、量子効率は100%となるとともに、レーザ上準位を1つ形成するために必要な励起光子のエネルギーも小さく済み励起エネルギーの利用効率の向上が可能となる。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態のNd3+を活性イオンとし、半導体レーザを励起光源とした半導体レーザ励起固体レーザの励起/発光プロセスを示す、Nd3+(固体結晶場中)のエネルギー準位図である。 【0014】この実施の形態は、Nd3+の4F3/2準位(レーザ上準位)から4I11/2準位(レーザ下準位)のレーザ遷移させる場合で、固体レーザを励起する半導体レーザの発振波長を、固体レーザのNd3+の4I9/2準位(基底準位)からレーザ上準位への光学遷移に対応する波長としている。 【0015】この波長の光では、Nd3+は基底準位からレーザ上準位まで励起され(図示A)、非輻射遷移による緩和過程を経ることなく、レーザ上準位のNd3+はレーザ遷移によりレーザ下準位に遷移し(図示C)、この過程でレーザ光Yが得られ、その後レーザ下準位から非輻射遷移によって基底準位まで緩和される(図示D)。なお、この図では4I11/2準位をレーザ下準位とする場合のものについて示しているが、4I13/2準位、4I9/2準位をレーザ下準位とするものについても同様の励起プロセスとなる。 【0016】YAGレーザの場合、従来利用されている波長808nm付近の吸収バンドよりも波長870nm付近と波長885nm付近に比較的に強い吸収を示す吸収バンドがあり、この吸収バンドがNd3+の基底準位からレーザ上準位への光学遷移に対応している。したがって、波長870nmもしくは波長885nm付近で発振できる半導体レーザで励起すれば良い。このような波長のレーザを発振する半導体レーザとしてはGaAlAs系もしくはInGaAs系がある。 【0017】この実施の形態では、レーザ下準位を4I11/2準位とする場合、YAGレーザのレーザ遷移波長は1064nmであるので、励起エネルギーの利用効率は82〜83%程度となり、従来の励起エネルギーの利用効率76%よりも高めることができる。 【0018】ガラスレーザの場合では、従来利用されている波長803nm付近の吸収バンドよりも波長875nm付近にピークをもったブロードな吸収バンドがあり、この吸収バンドがNd3+の基底準位からレーザ上準位への光学遷移に対応している。したがって、波長875nm付近で発振できる半導体レーザで励起すれば良い。この場合の半導体レーザとしてはGaAlAs系もしくはInGaAs系がある。 【0019】この実施の形態では、レーザ下準位を4I11/2準位とする場合、ガラスレーザのレーザ遷移波長は1053nmであるので、励起エネルギーの利用効率は83%程度となり、従来の励起エネルギーの利用効率76%よりも高めることができる。 【0020】上記実施の形態では、レーザ上準位から4I11/2準位間のレーザ遷移を利用するものであるが、レーザ上準位から4I9/2準位間、レーザ上準位から4I13/2準位間のレーザ遷移を利用しても良い。この場合の励起エネルギーの利用効率は、レーザ上準位から4I9/2準位間のレーザ遷移にあっては約100%、レーザ上準位から4I13/2準位間のレーザ遷移にあっては約75%が可能となる。 【0021】なお、上記はYAGレーザ、ガラスレーザを例にしているが、本発明は、Nd3+を活性イオンとする全ての半導体レーザ励起固体レーザに適用できる。 【0022】 【発明の効果】以上のように、本発明によれば固体レーザのNd3+の4I9/2準位から4F3/2準位へ光学遷移させる波長を発振する半導体レーザを励起光源として固体レーザを励起するので、励起エネルギーの利用効率は向上し、また、量子効率も100%が可能となり、Nd3+を活性イオンとする半導体レーザ励起固体レーザ全体の効率の向上が可能となる。この効率の向上は、固体レーザ媒質への熱負荷の低減につながり、半導体レーザ励起固体レーザの冷却に対する要請も緩和される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003942 【氏名又は名称】日新電機株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)8月29日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】川崎 勝弘 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−74589 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月16日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−273218 |
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