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【発明の名称】 |
多孔性電極及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】伊藤 潤二 |
【課題】特に、電解液と導電性微粒子との良好な接触状態を確保し、より優れた静電容量を発揮できる電極材料を提供することを主な目的とする。
【解決手段】導電性微粒子が多孔質ゴム中に分散していることを特徴とする多孔性電極、及び導電性微粒子と溶剤中にゴムが溶解したゴム溶液とを含む混合物を調製し、次いで当該混合物からなる被膜を導電性基材上に形成し、乾燥することを特徴とする多孔性電極の製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】導電性微粒子が多孔質ゴム中に分散していることを特徴とする多孔性電極。 【請求項2】多孔質ゴムの一部又は全部が、ブチルゴム及びエチレンプロピレンジエンゴムの少なくとも1種である請求項1記載の多孔性電極。 【請求項3】導電性微粒子が、炭素系粉末、導電性高分子粉末及び金属粉末の少なくとも1種を含む請求項1記載の多孔性電極。 【請求項4】導電性微粒子が、活性炭、カーボンブラック、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリアニリン、アルミニウム、タンタル、チタン、ニッケル、酸化バナジウム、酸化ルテニウム、窒化チタン及び過マンガン酸リチウムの粉末の少なくとも1種を含む請求項1記載の多孔性電極。 【請求項5】導電性微粒子と、溶剤中にゴムが溶解したゴム溶液とを含む混合物を調製し、次いで当該混合物からなる被膜を導電性基材上に形成し、乾燥することを特徴とする多孔性電極の製造方法。 【請求項6】乾燥に先立って、導電性基材上に塗布された混合物からなる被膜を、当該被膜中のゴム成分を析出できる溶媒に接触させる請求項5記載の製造方法。 【請求項7】混合物中にさらに架橋剤を添加し、当該混合物からなる被膜を導電性基材上に形成し、次いで加熱乾燥し又は乾燥後に熱処理する請求項5又は6に記載の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電気二重層コンデンサ、電解コンデンサ、リチウムイオン二次電池用炭素電極等として用いられる新規な多孔性電極及びその製造方法に関する。 【0002】 【従来技術】一般に、電気二重層コンデンサの陽極・負極、リチウムイオン二次電池の陰極等としては、活性炭等を用いた炭素電極が幅広く使用されている。この炭素電極は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のディスパージョンをバインダーとして用い、これに活性炭、カーボンブラックあるいは導電性高分子を配合したものをアルミニウム箔等の基材上に塗布し、乾燥することによって製造されている。 【0003】ところで、電気二重層コンデンサ、リチウムイオン二次電池用炭素電極等における静電容量は、電極箔の単位投影面積当たりの導電性微粒子と電解液との接触面積(実効面積)に依存する。すなわち、静電容量は、導電性微粒子自体の比表面積、電極箔の単位投影面積当たりの導電性微粒子の充填密度等と密接な関係がある。 【0004】しかし、導電性微粒子の比表面積を増大させるには限界があり、比表面積の改良による静電容量の飛躍的な増大はほとんど期待できない。従って、導電性微粒子をいかに効率良く電極箔上に充填するかが大きな課題となる。 【0005】前記炭素電極においてバインダーとして用いられるPTFEは接着性に乏しいことから、導電性微粒子の充填性、導電性微粒子と基材の密着性等に劣る。また、接着性の低さから、導電性微粒子が基材から剥離しやすく、振動等に弱いという欠点もある。これらの問題は、バインダーを多量に添加すれば改善することも可能であるが、多量に添加すればそれだけ抵抗値が増大してしまい、いずれにしても十分な実用性を有する電極を得ることはできない。 【0006】一方、導電性微粒子の充填率を向上するために、PTFE以外のバインダーとしてスチレンブタジエンゴム及びアクリロニトリルブタジエンゴムの少なくとも1種を用い、これに活性炭、カーボンブラック等を練り混み、これをシート状に成形する方法も提案されている(特開平8-250380号)。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記技術では、溶剤を蒸発させて得られた混合物をシート状に成形するので、例えば図1(a)に示すように、バインダーが導電性微粒子のまわりを完全に覆ってしまったり、あるいは導電性微粒子の微細孔をも塞いでしまう。その結果、電解液と導電性微粒子(電極)との十分な接触状態を確保することができないだけでなく、これに伴い抵抗値も上昇してしまうので、十分満足できる静電容量が得られなくなる。 【0008】しかも、上記の技術で用いられるバインダーは、電解液の溶媒として用いられる炭酸プロピレン系の有機溶剤に対して膨潤性を示す(すなわち、耐溶剤性が低い)。このため、経時的にバインダーが変質するおそれがあり、その安定性・信頼性にも問題がある。 【0009】このように、上記技術においてさらに静電容量を高めるためには、特に電解液と導電性微粒子との接触状態という点においてなお改善すべき余地がある。 【0010】従って、本発明は、特に、電解液と導電性微粒子との良好な接触状態を確保し、より優れた静電容量を発揮できる電極材料を提供することを主な目的とする。さらに、本発明は、優れた接着性、耐溶剤性、耐振動性等にも優れた電極材料を提供することをも目的とする。 【0011】 【問題を解決するための手段】本発明者は、従来技術の問題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、従来とは異なる材料をバインダーとして用い、特定の方法によって製造することにより、特異な構造を有する電極材料が得られることを見出し、ついに本発明を完成するに至った。 【0012】すなわち、本発明は、下記に示す新規な多孔性電極及びその製造方法に係るものである。 【0013】1 導電性微粒子が多孔質ゴム中に分散していることを特徴とする多孔性電極。 【0014】2 導電性微粒子と、溶剤中にゴムが溶解したゴム溶液とを含む混合物を調製し、次いで当該混合物からなる被膜を導電性基材上に形成し、乾燥することを特徴とする多孔性電極の製造方法。 【0015】 【発明の実施の形態】本発明の多孔性電極は、導電性微粒子が多孔質ゴム中に分散していることを特徴とする。この多孔質ゴムは、例えば電極構造を示す図1(b)のように、間隙が多数形成されている(白い部分)。この間隙は、例えば本発明電極表面(架橋によりゴム分子を収縮させて多孔質化ほ促進したもの)の走査型電子顕微鏡(100倍)による観察結果を示す図2のように、主として三次元網状に形成された連続気孔から構成されている。その多孔化度(多孔質性)は、最終製品の用途、用いるゴム(バインダー)の種類等に応じて適宜調整すれば良い。 【0016】多孔質ゴム(バインダーともいう)の種類としては、上記のような多孔質化が実現できるものであれば特に制限されず、公知のゴムの中から採用することができる。例えば、ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴム、フッ化シリコンゴム等の各種合成ゴムのほか、天然ゴムも用いることができる。これらゴムは、単独で又は2種以上で用いることができる。 【0017】ただし、用いる電解液とゴムとの組み合わせによってはゴムが膨潤する場合があり、このような場合には膨潤によってゴムの多孔質性が損なわれる。従って、本発明では、用いる電解液(溶媒)の種類等に応じて、実質的に電解液により膨潤しないゴムを適宜選択することが必要である。すなわち、電解液に対して耐溶剤性を有するゴムを用いることが好ましい。特に、電解液の溶媒の少なくとも一部として炭酸プロピレンを用いる場合には、この溶媒に対する耐溶剤性に優れているブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム等を選択することが好ましい。これらは炭酸プロピレンによって膨潤しないので、その多孔質ゴムを用いても優れた多孔質性を安定して維持することができる結果、電解液と導電性微粒子との良好な接触状態を確保でき、より優れた静電容量を発揮する電極材料を与えることができる。 【0018】導電性微粒子としては、公知の炭素電極等で用いられるものと同様のものを使用できる。例えば、炭素系粉末、導電性高分子粉末及び金属粉末の少なくとも1種の導電性微粉末を使用することができる。具体的には、活性炭、カーボンブラック(例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック)等の炭素系粉末、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子粉末、ニッケル、アルミニウム、タンタル、チタン、酸化ルテニウム、酸化バナジウム、過マンガン酸リチウム等の金属粉末を使用できる。これらも1種又は2種以上で使用できる。 【0019】導電性微粒子の平均粒径は、その種類等によって適宜調整すれば良い。例えば、導電性微粒子が炭素系粉末であれば通常0.5〜20μm程度、好ましくは1〜15μmとし、導電性高分子粉末であれば通常0.05〜10μm程度、好ましくは0.1〜3μmとし、金属粉末であれば通常0.01〜10μm程度、好ましくは0.05〜1μmとすれば良い。 【0020】これらの両成分(ゴム・導電性微粒子)のほか、本発明の効果を損なわない範囲内で他の成分が含まれていても良い。例えば、ゴム架橋剤、ゴム架橋促進剤、接着増強剤、ゴム劣化防止剤等の各種添加剤が含有されていても良い。 【0021】本発明の多孔性電極は、溶剤中にゴムが溶解したゴム溶液と導電性微粒子を含む混合物を調製し、次いで当該混合物からなる被膜を導電性基材上に形成し、乾燥することによって製造することができる。 【0022】ゴムの種類は、前記で説明したものと同様のものを本発明の製造方法で用いることができる。溶剤としては、用いるゴムを溶解できるものであれば特に制限されず、多孔質化するゴムの種類等に応じて公知の溶剤の中から適宜選択して使用すれば良い。例えば、ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム等の場合にはトルエン、天然ゴム、ニトリルゴム等の場合にはシクロヘキサン、シリコーンゴム、フッ化シリコンゴム等の場合にはジメチルシロキサンをそれぞれ溶剤として用いることができる。 【0023】ゴム溶液におけるゴム濃度(固形分)は、混合物のゴム量を後記の所定量とすれば特に制限されず、用いるゴムの種類、溶剤の種類等に応じて適宜設定すれば良い。通常は5〜30重量%程度とすれば良い。 【0024】次いで、上記ゴム溶液と導電性微粒子とを混合し、両成分を含む混合物を調製する。ここで用いる導電性微粒子も、前記で示したものと同様のものを採用することができる。バインダーの割合(固形分)は、最終製品の用途、バインダーの種類等に応じて適宜設定できるが、通常は導電性微粒子100重量部に対して2〜50重量部程度、好ましくは5〜20重量部となるようにすれば良い。2重量部未満の場合にはバインダーが導電性微粒子を十分保持することができない。また、50重量部を超える場合には、バインダーが電極である導電性微粒子のまわりを覆いはじめるため、十分な静電容量が得られない。 【0025】上記ゴム溶液には、さらに必要に応じて、接着増強剤、ゴム劣化防止剤、ゴム架橋剤、ゴム架橋促進剤等の各種添加剤を配合しても良い。これらは公知のものを使用できる。例えば、接着増強剤としてステアリン酸、ポリアクリル酸、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール等、ゴム劣化防止剤としてt−ブチルヘキサクロリド(BHT)等、ゴム架橋剤として樹脂架橋剤、S架橋剤等を使用することができる。 【0026】特に、本発明では、架橋剤を添加してゴムを架橋させることによって、ゴム分子を収縮させ、ゴムの多孔質化を促進することができる。同時に、架橋剤の添加により、炭酸プロピレン系の溶媒に対する安定性もさらに高めることができる。架橋剤の添加量は、架橋剤の種類等によっても異なるが、通常はゴム量に対して1〜10重量%程度とすれば良い。10重量%を超える量を添加しても、それに見合う特性の向上は得られないので経済上好ましくないが、場合によっては10重量%を超えても良い。 【0027】混合方法は、各成分を均一に混合できる限りいずれの方法であっても良く、例えばニーダー、ミキサー、ホモジナイザー等の公知の攪拌機で均一に混合してスラリー化すれば良い。 【0028】次いで、得られた混合物を用いて、その被膜を導電性基材上に形成し、乾燥する。導電性基材としては、公知の炭素電極等で集電体として用いられているものと同様のものが使用できる。例えば、銅、アルミニウム、チタン、タンタル、ニッケル等の導電性金属の表面を腐食処理されたエッチド箔又は網を用いることができる。本発明では、導電性金属の表面を予めシランカップリング剤、チタンカップリング剤等で処理することによって、被膜との密着性をより高めることもできる。 【0029】被膜の形成方法は、特に制限されず、例えば塗布(刷毛塗り、スプレー、ローラー等)、ドクターブレード法、ディッピング(浸漬)等の方法を適宜採用することができる。形成する被膜の厚さは、最終製品の用途、導電性基材の種類等に応じて適宜設定すれば良いが、通常は25〜1000μm程度、好ましくは100〜500μmとすれば良い。 【0030】本発明では、必要に応じて、被膜形成後に乾燥に先立って、導電性基材上に形成された被膜をさらにゴム成分を析出できる溶媒に接触させて、被膜中のゴム成分を析出させることもできる。 【0031】基本的には、本発明においてゴムを多孔質化するためには、ゴムをいったん溶剤に溶かしてゴム溶液をつくり、最終的にその被膜を乾燥すれば良い。これに対し、ゴム溶液で用いた溶剤と異なる溶解度(パラメータ)を有する溶媒で置換することによって、ゴムの多孔質化をさらに促進することができる。この場合、導電性基材上に形成された被膜が完全に乾燥するまでに上記溶媒と接触させることが好ましい。 【0032】上記で使用する溶媒としては、ゴム溶液で用いた溶剤と異なる溶解度を有し、ゴム成分を析出できるものであれば特に制限されず、ゴム溶液中の溶剤の種類等に応じて公知の溶剤の中から適宜選択すれば良い。例えば、トルエンにブチルゴムを溶解して得たゴム溶液を用いる場合には、被膜を形成した後にさらにメタノール等の溶媒を接触させることにより、多孔質化の促進を図ることができる。接触させる方法としては、特に限定されず、例えばディッピング、スプレー塗布等により実施することができる。 【0033】また、本発明では、混合物からなる被膜を導電性基材上に形成した後、必要に応じて、さらに導電性微粒子と電解液との接触性を極端に損なわない限りにおいて被膜に加圧処理を施しても良い。例えば、プレスローラー、油圧プレス等によって加圧することができる。被膜を加圧することによって、導電性微粒子の充填性等を向上させることができる。 【0034】最後に、形成された被膜の乾燥を行う。すなわち、溶剤を蒸発させることによってゴムの多孔質化を図る。乾燥方法は、自然乾燥、加熱乾燥、熱風乾燥等のいずれの公知の方法であっても良いが、多孔質化を図るためにできるだけ急速に乾燥することが好ましい。 【0035】なお、混合物中に架橋剤を添加して架橋させる場合には、加熱乾燥したり、あるいはいったん乾燥した後に熱処理すれば良い。架橋させる場合の熱処理温度は、通常125〜145℃程度とすれば良い。加熱時間は、加熱温度等に応じて適宜定めれば良い。 【0036】また、本発明では、ゴム溶液と導電性微粒子とを含む混合物中に予め発泡剤を添加し、上記の乾燥時又は架橋時の加熱処理によって自己発泡させることもできる。これにより、さらなる多孔質化を図ることができる。発泡剤としては、公知の樹脂等に配合されているものが使用でき、例えばベンゼンスルホニルヒドラジド、パラトルエンスルホニルヒドラジド等が挙げられる。発泡剤の添加量は、通常3重量%を超えない範囲(好ましくは0.1〜3重量%)とすれば良い。3重量%を超える場合には、厚みの制御等が困難になるので好ましくない。 【0037】 【作用】本発明の多孔性電極は、そのバインダー自身が多孔質構造を有するため、バインダーが電極である導電性微粒子のまわりを覆ってしまうことなく、電解液が導電性微粒子と十分接触できることから、優れた静電容量と低い抵抗性とを達成できる。さらには、接着性、あるいは耐振動性、耐溶剤性等にも優れ、また従来技術では得られなかった柔軟性をも発揮することができる。 【0038】従来技術のように、ゴムに活性炭とカーボンブラックを混合し、溶剤を蒸発させて得られた混合物をシート状に成形したのでは、図1(a)に示すように、電極材料が導電性微粒子のまわりをゴムが覆う構造となり、十分な静電容量を達成することができない。 【0039】これに対し、本発明のように、ゴムをいったん溶媒に溶かし、導電性微粒子を混合した後、そのまま混合物を用いて被膜形成し、さらに被膜に対して必要に応じてゴムを析出できる溶媒に接触させた後に、被膜を乾燥することによって、図1(b)あるいは図2に示すように多孔質化を有効に進行させることができる。さらには、ゴムを架橋させることによって、ゴム分子を収縮させれば、電解液が浸透する領域(導電性微粒子との接触面積)をさらに拡大することもできる。 【0040】このように、本発明では、電極材料のバインダー部分を、三次元網状に形成された連続気孔を有する多孔質構造とすることにより、電解液と電極である導電性微粒子との良好な接触状態を実現できる結果、優れた静電容量と低い抵抗性とを一挙に達成することができる。それに加えて、かかる多孔質ゴムは、接着性等にも優れることから、従来技術では困難とされていた静電容量の向上と導電性微粒子の充填性、耐溶剤性、耐振動性等の向上とを同時に達成することもできる。 【0041】 【発明の効果】本発明の多孔性電極は、多孔質ゴムに導電性微粒子を分散させているという特異な構造を有するため、電解液と導電性微粒子との良好な接触状態を達成することができる。 【0042】しかも、この多孔質ゴムは、接着性に優れるため、電極となる導電性微粒子の充填性、耐振動性等にも優れている。また、ゴムを架橋することによって、多孔質化を促進すると同時に、耐溶剤性を高めることもでき、広範な種類の溶剤(特に電解液で使用する溶媒)に対して優れた安定性を得ることができる。 【0043】さらには、電解液との組み合わせで耐溶剤性を示すゴムを選択すれば、より一層優れた効果を得ることができる。特に、炭酸プロピレンを溶媒として含む電解液において、その溶媒に対して優れた耐溶剤性を発現するブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム等を使用すれば、多孔質性を安定して維持できるので、より優れた上記接触状態を確保でき、安定性・信頼性に優れた電極を得ることができる。 【0044】さらに、本発明では、PTFEを採用する場合とは異なり、接着増強剤、ゴム安定化剤、電解液の安定化剤、界面活性剤等の様々な添加剤を容易に使用することができるので、バインダーの分散性を高めたり、混合物を調合した後のポットライフを長くする等の種々の特性を付与することが可能である。 【0045】このような本発明の多孔性電極は、電気二重層コンデンサ、アルミニウム電解コンデンサ、タンタル電解コンデンサ、チタン電解コンデンサ、リチウムイオン二次電池用電極等の様々な用途に幅広く利用することができる。 【0046】 【実施例】以下に実施例及び比較例を示し、本発明に係る多孔性電極の特徴とするところをより明確にする。 【0047】実施例1ブチルゴムをトルエンに溶解してゴム溶液(固形分濃度:約10重量%)を調製した。次いで、このゴム溶液に対し、フェノール樹脂を賦活化して得た活性炭(BET比表面積2000m2/g、平均粒径10μm)及びアセチレンブラック(平均粒径0.8μm)を表1に示す割合(固形分)で混合し、スラリーとした。このスラリーに網状のアルミニウム基材をディッピングした後、速乾し、電極箔を得た。 【0048】実施例2実施例1と同様にして、活性炭、アセチレンブラック及びBHTを表1の割合で混合してスラリーを調製し、このスラリーに網状のアルミニウム基材をディッピングした後に速乾し、電極箔を得た。 【0049】実施例3実施例1と同様にして、活性炭、アセチレンブラック、アルミニウム粉末及びBHTを表1の割合で混合してスラリーを調製し、このスラリーに網状のアルミニウム基材をディッピングした後に速乾し、電極箔を得た。 【0050】実施例4実施例3の導電性微粒子スラリーに、網状のアルミニウム基材をディッピング後、140℃で10分間焼成し、電極箔を得た。 【0051】実施例5実施例3の導電性微粒子スラリーに、網状のアルミニウム基材をディッピング後、素早くメタノールに浸し、多孔質化を促進した。メタノールを乾燥後、140℃で10分間熱処理し、電極箔を得た。 実施例6ブチルゴムの代わりにエチレンプロピレンジエンゴムを原料に用いた以外は、実施例5と同様にして電極箔を得た。 【0052】比較例1表1に示す割合で、活性炭微粒子及びアセチレンブラック及びポリテトラフルオロエチレンディスパージョンを配合し、ミキサーで混合後スラリーとした。これをアルミニウム箔上に塗布し、105℃のヒーターで60分乾燥させた。 【0053】 【表1】
試験例1各実施例及び比較例で得られた電極箔に粘着テープを貼り、ゆっくりと垂直に引き剥がし、その時の剥離の状態により機械的強度を評価した。その結果を表2に示す。また、図3に示すように、これら電極箔を2cm×5cmに切り抜き、テトラエチルアンモニウム過塩素酸塩0.8モル/リットルの炭酸プロピレン溶液を染み込ませた紙を間に挟み、さらにガラス板で両側から挟んで固定し、試験用の電気二重層コンデンサセルとした。このセルに2.8Vの直流電流をかけて5分間充電し、100Ωの抵抗を介して放電させ、流れた電流値と時間から容量を算出した。その結果を表2に示す。 【0054】なお、比較のため、上記のように電解液の溶媒として用いた炭酸プロピレンに対して耐溶剤性のないゴムを用いて同様の試験を行った。ブチルゴムの代わりにSBRを原料に用いたほかは実施例5と同様に作製した電極箔(比較例2)、及びブチルゴムの代わりにNBRを原料に用いたほかは実施例5と同様に作製した電極箔(比較例3)の結果も表2に併せて示す。 【0055】一方、電気二重層コンデンサセルをポリプロピレンの袋に入れ、これを湯煎で100℃に1時間保持後の静電容量を測定し、耐溶剤性を評価した。さらに、家庭用電気あんま機に電気二重層 コンデンサセルを取り付け、3時間振動後の静電容量を測定し、耐振動性を評価した。これらの結果も併せて表2に示す。 【0056】 【表2】
表2の結果からも明らかなように、本発明の多孔性電極は、静電容量が4F/cm2以上と高く、直流放電抵抗も40mΩ以下と低く、しかも機械的強度、耐溶剤性、耐振動性等にも優れていることがわかる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】597161469 【氏名又は名称】伊藤 潤二
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)10月31日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】三枝 英二 (外10名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−135379 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)5月21日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−315871 |
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