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【発明の名称】 プラントの組立方法
【発明者】 【氏名】伊 藤 新
【氏名】廣 野 秀 治
【氏名】佐 藤 仁
【氏名】京 田 茂
【氏名】木 村 元比古
【課題】大型プラントの建設工事期間または検査期間を短縮する、プラントの組立方法の提供。

【解決手段】この発明は、大型プラントの組立方法、特に工期短縮のための組立方法に関する。クレーン操作室6とプラント建設作業現場1の現場作業者8とがそれぞれ映像入出力装置9,115および音声入出力装置117を装備し、クレーン操作者と現場作業者8とが映像入出力装置の映像情報および音声入出力装置の音声情報を共有しながらプラントの組立作業を行う。プラント建設現場1に近い現場遠隔管理室2と上位の中央管理センター3との間を無線伝送路を介して接続し、現場作業者8、クレーン操作室6、現場遠隔管理室2、および中央管理センター3が相互に自他の所有する映像情報および音声情報を共有しながらプラントの組立を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】クレーン操作室内のクレーン操作者とプラント建設現場の現場作業者とがそれぞれ映像入出力装置および音声入出力装置を装備し、前記クレーン操作者と前記現場作業者とが前記映像入出力装置の映像情報および前記音声入出力装置の音声情報を共有しながらプラントの組立作業を行うと共に、前記プラント建設現場に近い現場遠隔管理室と上位の中央管理センターとの間を無線伝送路を介して接続し、前記現場作業者、前記クレーン操作室、前記現場遠隔管理室および前記中央管理センターが相互に自他の所有する映像情報および音声情報を共有しながらプラントの組立を行う、プラントの組立方法。
【請求項2】請求項1に記載のプラントの組立方法において、前記クレーン操作者と前記現場作業者の頭部にそれぞれ前記映像入出力装置としてテレビカメラおよび目線検出器を装着すると共に前記音声入出力装置を装着し、作業用クレーンにもテレビカメラを取付けて組立対象のユニットを上方から撮影し、この作業用クレーンに取付けたテレビカメラによって撮影した映像に前記現場作業者の撮影した映像に、前記クレーン操作者および現場作業者の目線位置表示を合成し、合成された映像情報を相互に共有し、音声と目線位置情報を用いて組立作業を行う、プラントの組立方法。
【請求項3】請求項2に記載のプラントの組立方法において、前記クレーン操作者および前記現場作業者がそれぞれヘルメットを着用すると共に、前記テレビカメラおよび目線検出器を含む音声入出力装置、並びにマイクロフォンおよびヘッドフォンを含む音声入出力装置をそれぞれ前記ヘルメットに装着して組み立て作業を行う、プラントの組立方法。
【請求項4】請求項2に記載のプラントの組立方法において、前記クレーンに取付けたテレビカメラの撮影映像に前記現場作業者の撮影映像を合成して得られた合成映像を、無線式現場情報中継装置を介して、前記クレーン操作室のモニターテレビと前記現場作業者の利き腕と反対側の腕に装着した携帯式モニターテレビとの間で共有して組立作業を行う、プラントの組立方法。
【請求項5】請求項2に記載のプラントの組立方法において、前記合成された映像情報を、前記現場作業者の頭部に取付けたテレビカメラで撮影した映像が前記クレーンに取付けたテレビカメラで撮影した映像を中心に本来は現場作業者が映る位置に、立体を三角図法で展開して表示するのと同様な配置の合成映像として表示する、プラントの組立方法。
【請求項6】請求項5に記載のプラントの組立方法において、前記合成映像の中に映っている現場作業者に前記クレーンの操作者が追尾表示を付けて追尾を行い得る状態にし、前記現場作業者に付けている識別表示を読み取って映像中の作業者の同定を行う、プラントの組立方法。
【請求項7】請求項5に記載のプラントの組立方法において、前記現場作業者の撮影した映像から一定範囲内の映像を追尾状態に設定し、追尾状態範囲の映像を前記クレーンに取付けたテレビカメラで撮影した映像に合成する、プラントの組立方法。
【請求項8】請求項2に記載のプラントの組立方法において、前記クレーンに取付けたテレビカメラで撮影した映像を中心として前記現場作業者の撮影した映像を配置する合成映像を対象として、前記現場作業者の撮影した映像の変更を一定間隔あるいは変更指示により行い、前記現場作業者および前記クレーン操作者の目線位置表示の合成映像上での移動が滑らかに実施される、プラントの組立方法。
【請求項9】請求項2に記載のプラントの組立方法において、前記クレーンに取付けたテレビカメラで撮影した映像を中心として前記現場作業者の撮影した映像を配置する合成映像を対象として、前記クレーンが据付ユニットを据付けようとしている映像の映写範囲が一定に固定されるように前記クレーンに取付けたテレビカメラで撮影した映像から切出した範囲の映像とする、プラントの組立方法。
【請求項10】請求項2に記載のプラントの組立方法において、前記合成した映像情報中の、現場作業者の頭部に取付けたテレビカメラで撮影した映像部分に、前記現場作業者の名前あるいは記号を合成する、プラントの組立方法。
【請求項11】請求項2に記載のプラントの組立方法において、前記合成した映像情報中の現場作業者の映像にその現場作業者の名前あるいは記号を合成する、プラントの組立方法。
【請求項12】請求項2に記載のプラントの組立方法において、合成した映像情報中の、前記現場作業者の頭部に取付けたテレビカメラで撮影した映像から据付け中のユニットの固定側と移動側の間の距離および平面内の平行移動ズレ量および回転ズレ量を算出し、その算出量を前記クレーンの操作に利用できるようにするための表示、および前記クレーンの自動制御の少なくとも一方に利用する、プラントの組立方法。
【請求項13】請求項1に記載のプラントの組立方法において、前記現場遠隔管理室の管理者および前記中央管理センターの管理者のそれぞれの目線位置を検出する目線検出器を備え、両目線検出器によって検出された目線位置を前記プラント建設現場の合成映像上に合成表示すると共に、前記中央管理センターから送出される設計データ上に前記目線位置を合成表示する、プラントの組立方法。
【請求項14】請求項13に記載のプラントの組立方法において、クレーンに取付けたテレビカメラで撮影した映像を中心として前記現場作業者の撮影した映像を配置する合成映像を対象として、前記現場作業者の撮影した映像の変更を一定間隔あるいは変更指示により行い、前記現場作業者、前記クレーン操作者および前記管理者の目線位置表示の合成映像上での移動が滑らかに実施される、プラントの組立方法。
【請求項15】請求項1に記載のプラントの組立方法において、前記現場作業者が自己位置計測装置を携帯し、前記映像情報および音声情報と共に前記現場作業者の自己位置情報を共有しながらプラントの組立を行う、プラントの組立方法。
【請求項16】請求項1に記載のプラントの組立方法において、クレーンで取扱われる据付ユニットに自己位置計測装置を取り付けると共に、前記現場作業者が自己位置計測装置を携帯し、両自己位置計測装置によって得られた自己位置情報を用いて、前記クレーンに取付けたテレビカメラで撮影した映像を中心として前記現場作業者の撮影した映像を合成表示する、プラントの組立方法。
【請求項17】請求項16に記載のプラントの組立方法において、前記現場作業者の撮影した映像から一定範囲内の映像を追尾状態に設定し、追尾状態範囲の映像を、クレーンに取付けたテレビカメラで撮影した映像に合成表示する、プラントの組立方法。
【請求項18】プラント建設現場の溶接作業者が映像入出力装置、音声入出力装置および自己位置計測装置を装備し、前記溶接作業者と前記プラント建設現場に近い現場遠隔管理室とが前記映像入出力装置の映像情報、前記音声入出力装置の音声情報、及び前記自己位置計測装置からの自己位置計測情報を共有しながら前記プラント建設現場での溶接作業を行うと共に、前記プラント建設現場に近い現場遠隔管理室と上位の中央管理センターとの間を無線伝送路を介して接続し、前記溶接作業者、前記現場遠隔管理室および前記中央管理センターが相互に自他の所有する映像情報および音声情報を共有しながらプラント建設現場での溶接作業を行う、プラントの組立方法。
【請求項19】締付け工具を用いて共同で組立作業を行う複数の現場作業者がそれぞれ映像入出力装置、音声入出力装置および自己位置計測装置を装備し、前記現場作業者と前記プラント建設現場に近い現場遠隔管理室とが前記映像入出力装置の映像情報、前記音声入出力装置の音声情報、前記自己位置計測装置からの自己位置計測情報、および前記締付け工具の締付けトルク計測情報を共有しながら前記プラント建設現場での組立作業を行うと共に、前記プラント建設現場に近い現場遠隔管理室と上位の中央管理センターとの間を無線伝送路を介して接続し、前記現場作業者、前記現場遠隔管理室および前記中央管理センターが相互に自他の所有する映像情報および音声情報を共有しながらプラント建設現場での組立作業を行う、プラントの組立方法。
【請求項20】プラント敷地上へのプラント建屋の建設、前記プラント建屋内への機器据付、および前記プラント建屋内におけるプラント敷地の掘削工事を並行作業で行うために、ケーソンの上にベースを構築し、このベースの上に前記プラント建屋を構築しながら前記ケーソンの下を掘削し、掘削の進行に従い前記ケーソンを沈降させ、現場作業者、天井クレーン操作者、および搬送装置運転者が工事現場の映像情報を共有しながら残土搬出作業を共同して行う、プラントの組立方法。
【請求項21】請求項20に記載のプラントの組立方法において、前記プラント建屋として原子炉建屋およびタービン建屋を建設する、プラントの組立方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、本発明は、軽水冷却型原子力発電プラントのように、高度な技術を要し、建設費の高いプラントの建設工事期間を短縮するための、あるいは供用期間中のプラントの定期検査期間を短縮するための、プラントの組立方法に関する。
【0002】
【従来の技術】軽水冷却型原子力発電プラントの建設においては、まず岩盤までの掘削作業を行い、その上に中央マットおよび外周マットを敷設する工事を行い、各マットの上にコンクリート製原子炉格納容器(RCCV)および建屋外周部の設置工事を行い、引き続き原子炉格納容器内への原子炉圧力容器(RPV)の据付および配管系据付工事、建屋外周部への機器の据付および配管系据付工事を行う。これ等の工事が終了すると、系統試験、燃料装荷、および起動試験を経て営業運転を開始する。このような原子力発電プラントの着工から営業運転開始までの工事期間は60ヶ月(=5年)にも達する。
【0003】これに対して、ガスタービン・コンバインド発電プラントの建設期間は36ヶ月(=3年)程度であり、原子力発電プラントの60ヶ月の建設期間に対して24ヶ月程度短い。さらに原子力発電プラントは、システムが複雑で資材量が多いため、建設費が高くなっている。しかも原子力発電プラントは、地震対策として基礎が岩盤に直接載る構造を採用しているため、掘削工事期間が長くなる傾向がある。そのため、建設期間が長いために生じる建設費に対する利息、および営業運転を行うことにより得られたであろう利益の喪失等のために、原子力発電プラントの建設は経済的に不利になる。大きな初期投下資金を調達できない電力供給事業者は、原子力発電プラントの建設後の運転経費が比較的安いために、トータルでは電力製造費用を安くすることができるとしても、当初の建設費用が高いため原子力発電プラントの建設を選択しない傾向がある。そこで建設期間を短くすることができれば、たとえ大きな初期投下資金をかけても早期に回収することができるため、原子力発電プラントに対する建設意欲がでてくるものと思われる。
【0004】最近の高層ビルの建築においても、地下建築物の大型化・大深度化に伴い、地上工事と地下工事を並行して施工することによって工期短縮を図る工法を採用しつつある。
【0005】労働人口の減少化傾向に照らして、今後、未熟練労働者や、高年齢者、女性の労働者による工事施工の需要が増えるものと予想される。その場合、例えば自動車の組立てにベルトコンベア式の流れ作業方式を取り入れて未熟練労働者を雇用して大量生産を可能にするような建設システムを導入したり、筋肉労働的な部分を減少して従事しやすい工事環境にしたりする必要がある。
【0006】現在、軽水冷却型原子力発電プラントの定期検査期間を短縮して稼動率の向上を図ることを目指した技術開発が行われていて、従来60日(=2ヶ月)以上かかっていた定期検査期間が20日程度になろうとしている。原子力発電プラントの原子炉系の定期検査期間で主要なクリティカルパスを構成するのは燃料取扱作業および制御棒駆動機構取扱作業である。これ等の作業期間を短縮するために並行作業化や、予備品との交換による定期検査期間外作業化、取扱作業機の高速化等を行うことにより、大幅な定期検査期間の短縮化を達成している。また、従来は1日単位の作業工程管理であったのを時間単位で管理する方式に変更したり、3交替24時間作業方式を採用したり作業待ち時間を解消したりすることによって、作業時間の短縮化を達成しつつある。今後は、現場作業管理者や現場作業者とクレーンの操作者とによる共同作業の効率を向上させることが重要な技術課題になりつつある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】燃料取扱作業や制御棒駆動機構取扱作業の高速化を図ろうとする場合、複数の作業が組み合わさって1つの作業を構成しているため、作業の高速化を行うのに従来時間単位で時間管理していた作業を、分単位あるいは秒単位で時間管理を行う必要が生じてくる。この複数の作業の組合せの間に作業者の判断と情報伝送の作業が介在し、分単位あるいは秒単位の時間管理では作業者の判断と情報伝送の時間の短縮が重要な問題になる。燃料取扱作業および制御棒駆動機構取扱作業以外の原子炉系の定期検査の作業項目の中では、作業機器の据付および撤去のための準備作業が主要な構成項目になっている。この準備作業において作業者間の情報伝送と判断の時間短縮が重要な問題になっている。分単位あるいは秒単位の時間管理を行って定期検査期間を短縮する場合、作業者の能力に係わる部分を支援して短縮を行う必要がある。
【0008】したがって、本発明は、軽水冷却型原子力発電プラントのような大型プラントの建設工事期間または検査期間を短縮し得る、プラントの組立方法を提供することを目的とする。
【0009】さらに本発明は、多数の管理者や作業者が共同して作業を進める大型プラントの建設工事または検査を総合的に管理し、大型プラントの建設工事期間または検査期間を短縮し得る、プラントの組立方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】これらの目的を達成するために、本発明によるプラントの組立方法によれば、クレーン操作室内のクレーン操作者とプラント建設現場の現場作業者とがそれぞれ映像入出力装置および音声入出力装置を装備し、クレーン操作者と現場作業者とが映像入出力装置の映像情報および音声入出力装置の音声情報を共有しながらプラントの組立作業を行うと共に、プラント建設現場に近い現場遠隔管理室と上位の中央管理センターとの間を無線伝送路を介して接続し、現場作業者、クレーン操作室、現場遠隔管理室および中央管理センターが相互に自他の所有する映像情報および音声情報を共有しながらプラントの組立を行う。
【0011】クレーン操作者と現場作業者が現場の映像情報を共有することにより、クレーン操作者は、プラント建設現場の詳細を現場作業者の撮影した映像から知ることができ、クレーンの操作を適切かつ速やかに行い、プラントの組立期間を短縮することができる。
【0012】さらに本発明によれば、プラント建設現場の溶接作業者が映像入出力装置、音声入出力装置および自己位置計測装置を装備し、溶接作業者とプラント建設現場に近い現場遠隔管理室とが映像入出力装置の映像情報、音声入出力装置の音声情報、及び自己位置計測装置からの自己位置計測情報を共有しながらプラント建設現場での溶接作業を行うと共に、プラント建設現場に近い現場遠隔管理室と上位の中央管理センターとの間を無線伝送路を介して接続し、溶接作業者、現場遠隔管理室および中央管理センターが相互に自他の所有する映像情報および音声情報を共有しながらプラント建設現場での溶接作業を行う。
【0013】さらにまた本発明によれば、締付け工具を用いて共同で組立作業を行う複数の現場作業者がそれぞれ映像入出力装置、音声入出力装置および自己位置計測装置を装備し、現場作業者とプラント建設現場に近い現場遠隔管理室とが映像入出力装置の映像情報、音声入出力装置の音声情報、自己位置計測装置からの自己位置計測情報、および締付け工具の締付けトルク計測情報を共有しながらプラント建設現場での組立作業を行うと共に、プラント建設現場に近い現場遠隔管理室と上位の中央管理センターとの間を無線伝送路を介して接続し、現場作業者、現場遠隔管理室および中央管理センターが相互に自他の所有する映像情報および音声情報を共有しながらプラント建設現場での組立作業を行う。
【0014】さらに本発明によれば、プラント敷地上へのプラント建屋の建設、プラント建屋内への機器据付、およびプラント建屋内におけるプラント敷地の掘削工事を並行作業で行うために、ケーソンの上にベースを構築し、このベースの上にプラント建屋を構築しながらケーソンの下を掘削し、掘削の進行に従いケーソンを沈降させ、現場作業者、天井クレーン操作者、および搬送装置運転者が工事現場の映像情報を共有しながら残土搬出作業を共同して行う。
【0015】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)(請求項1〜17対応)
以下、図面を参照して第1の実施の形態について説明する。
【0016】図1は、映像情報を共有して行う本発明の作業方法を説明するためのシステム構成を示すものである。ここには、プラント建設サイトのクレーン利用の作業現場1と、現場遠隔管理室2と、中央管理センター3とが示されている。現場遠隔管理室2と中央管理センター3とは通信衛星4を介して情報交換を行うことができる。作業現場1には、操作室6を有する天井クレーン5が設けられており、この天井クレーン5により据付けユニット7の据付作業が行われる。据付現場には複数の現場作業者8が配置されている。操作室6には天井クレーン5を操作する操作者(図示せず)が配置される。現場作業者8は、後述のごとく、テレビカメラおよび目線検出器を備えたヘルメットを着用し、また携帯式モニターテレビを携帯している。ヘルメットには、作業者名あるいはそれに代わる固有の標識が取付けられるか、自己位置計測器を携帯する。据付けユニット7には、電池式のCMOSセンサ利用のテレビカメラ10および自己位置計測装置が取付けられ、テレビカメラ10からの映像情報および自己位置計測装置からの自己位置情報を、天井クレーン5に取り付けられたアンテナ67に無線で伝送する。天井クレーン5には据付けユニット7を撮影するテレビカメラ9が取付けられている。
【0017】現場作業者8のテレビカメラによって得られた映像情報および目線検出器によって得られた目線位置情報は、作業現場周辺に設置された可搬式の現場情報中継装置42(図示せず)に無線で伝送され、現場情報中継装置42からさらにアンテナ67に無線で伝送され、アンテナ67から天井クレーン5の操作室6に設置された映像処理装置(図示せず)に送られる。テレビカメラ9、10で撮影された映像は映像処理装置で操作室6の操作者に関する目線位置情報と合成されて目線位置情報付きの合成映像が作られる。この合成映像はアンテナ67から現場情報中継装置42を介して現場作業者8の携帯式モニターテレビに伝送される。
【0018】また、合成映像は、伝送ライン139を介して現場遠隔管理室2にも伝送される。現場遠隔管理室2には、大型マルチスクリーン11、コンピュータシステム68、および操作テーブル13が設置されている。操作テーブル13に配置された管理者12が大型マルチスクリーン11上の映像を見ながら、作業現場1での据付け作業の管理および支援用の設計データの送信と機材等の搬送のスケジュールの管理を行う。管理者12は目線検出器を装着しているものとする。大型マルチスクリーン11には作業現場1からの合成映像が映写され、また操作テーブル13に配置される管理者12の目線検出器の検出情報をも合成して表示する。管理者12の目線位置情報は、天井クレーン5の操作室6に設置される映像処理装置に送られ、合成映像に追加合成される。大型マルチスクリーン11に映写される合成映像には中央管理センター3の管理者15の目線位置の検出結果も合成して表示される。管理者15の目線位置情報は、天井クレーン5の操作室6に設置される映像処理装置にも送られ、そこの合成映像に追加合成され表示される。
【0019】中央管理センター3には、大型マルチスクリーン14、コンピュータシステム71、および操作テーブル16が設置されている。操作テーブル16に配置された管理者15が、大型マルチスクリーン14に映写された作業現場1の合成映像を見ながら、作業現場1の作業状態を設計仕様と比較評価して、設計の手直しおよび機材手配の見直しを行う。操作テーブル16に配置される管理者15の目線検出器の情報は大型マルチスクリーン14に合成表示される。現場遠隔管理室2内の管理者12の目線位置情報は、同室内の大型マルチスクリーン11および天井クレーン5の操作室6に設置される映像処理装置に送られ、合成映像に追加合成される。
【0020】図2は、原子炉圧力容器据付け作業と掘削工事を並行して行う状況を示したものである。ここでは大型組立てユニットの据付け例としてクローラクレーン19を用いて原子炉圧力容器20を原子炉建屋17のペデスタル21に据付ける状況を示す。原子炉圧力容器20の下方には無線で撮影映像を伝送する電池式テレビカメラ26および自己位置測定装置(図示せず)が取付けられ、クローラクレーン19には、吊り下げた原子炉圧力容器20を上方から撮影するテレビカメラ27、無線で伝送される映像情報および音声情報を送受信するためのアンテナ74が取付けられている。アンテナ74で受信された映像信号はクローラクレーン19の操作室28に設置される映像画像処理装置(図示せず)に伝送される。
【0021】ペデスタル21の上端の周辺にはテレビカメラ(CMOSセンサ利用テレビカメラまたはCCDカメラ)および目線検出器を備えたヘルメットを着用している現場作業者(図示せず)が待機している。現場作業者の撮影によって得られた映像信号および目線検出器からの目線位置情報はアンテナ74を介してクローラクレーン19の操作室28に設置される映像画像処理装置に伝送される。この映像画像処理装置によってテレビカメラ26,27からの映像と現場作業者によって得られた映像信号および目線位置情報、並びにクローラレーン19の操縦者の目線位置情報を合成した合成映像が生成され、その合成映像はクローラクレーン19の操作室28のモニターテレビおよび現場作業者の携帯式モニターテレビに伝送される。この合成映像は、現場遠隔管理室2および中央管理センター3にも伝送され、管理者12,15の目線位置情報も必要に応じて合成映像に追加合成される。
【0022】建屋建設、機器据付け、および掘削工事を並行して進める作業の一例として、ケーソン29の上にベース72,73を構築し、これらのベース上に原子炉建屋17およびタービン建屋18を構築しながらケーソン29の下を掘削し、さらに掘削の進行に従いケーソン29を沈降させる場合の工法を示す。ケーソン29の下の掘削に天井走行式掘削装置30やクローラ式掘削装置(図示せず)を用いて掘削し、その掘削残土を残土搬送容器31に入れて、ケーソン29に取付けられている搬出入装置35,36を経由して天井クレーン32,33によって地上面まで吊り上げて搬送装置34に搭載し、残土置場に搬出する。残土搬送容器31が搬出入装置35,36を通過する時、周辺にはテレビカメラおよび目線検出器を装着したヘルメットを着用している現場作業者が天井クレーン32,33の玉掛け作業を行い、搬送装置34に残土搬送容器31を搭載する時には搬送装置34のテレビカメラおよび目線検出器を装着したヘルメットを着用している操作者が天井クレーン32,33の玉掛け作業を行う。天井クレーン32,33の操縦室に天井クレーン32,33に取付けられたテレビカメラ78,79の映像、残土搬送容器31に取付けられたテレビカメラ80,81の映像、および現場作業者および操作者が撮影した映像は目線位置情報とを合成処理して合成映像を生成する映像情報処理装置が設置され、この合成映像を天井クレーン32,33の操縦室に設置されたモニターテレビおよび現場作業者および操作者の携帯式モニターテレビに伝送し、操作者はモニターテレビを見ながら残土搬送容器31の搬送作業を行う。
【0023】図3は、映像情報を共有して重量物を据付ける現場の状態を示すものである。テレビカメラおよび目線検出器を装着したヘルメットを着用している現場作業者(A,B)40,41が、第1の据付けユニット38を、既に固定されている第2の据付けユニット39に対しクレーン32を用いて据付けている様子を監視している状態を示している。テレビカメラ53,54で撮影した据付けユニット38と据付けユニット39の映像は図中に映像43,44で示されている。映像43,44に係る映像情報と現場作業者の目線位置情報が、51,52を介して据付現場情報中継装置42に無線で伝送され、据付現場情報中継装置42からさらに、クレーン32に取付けられているアンテナ(図示せず)に無線で伝送され、クレーンの操縦室に設置された映像情報処理装置でクレーンに取付けられたテレビカメラによって撮影された映像と合成される。その合成映像は、クレーンの操縦室のモニターテレビと現場作業者40,41の携帯式テレビカメラに逆の経路で伝送される。現場作業者40,41のヘルメット49,50にはアンテナ51,52が取付けられている。アンテナ51,52の先端またはヘルメット表面には固有の識別標識が付けられ、クレーン32に取付けられているテレビカメラの映像でこれらの標識をクレーンの操作者が認識することによって合成映像に写る作業者の同定を行う。場合によっては現場作業者40,41が自己位置計測装置を携帯し、据付けユニットにも自己位置計測装置取付け、据付けユニットの映像に作業者の撮影映像を合成するのに自己位置情報を用いて行うこともできる。
【0024】図4は、現場作業者およびクレーン操作者が、一対の立体視用のテレビカメラ115L,115R、目線検出器116、ヘッドフォン117、およびマイクロフォン118付きヘルメット114を着用している状態を示す正面図であり、図5はそのVーV線方向から見た側面図である。テレビカメラ115L,115R、目線検出器116、ヘッドフォン117およびマイクロフォン118は、図示していない信号線および動力線を介して結合され、ヘッドフォン117部に取付けられたアンテナ119により外部との信号授受を行う。目線検出器116から近赤外線を照射し、近赤外線を透過および反射するような表面処理をした半透明ミラー120により近赤外線を透過および反射させて、作業者または操作者の眼球に当て、その角膜内部に虚像を結像させる。半透明ミラー120は、可視光を通すため、現場作業者およびクレーン操作者は対象物を直視することができる。
【0025】図6は、クレーン操作室内のモニターテレビの画面例を示す。クレーンに取付けられたテレビカメラにより、クレーンに吊り下げて据付作業中の据付けユニット59の映像を中心に、その周辺に待機する作業者63,64のヘルメットに装着したテレビカメラで撮影された映像61,62をそれぞれ撮影した作業者の映像がある位置に据付けユニット部を三角図法で展開した状態で合成した様子を示す。作業者63,64もテレビカメラを装着したヘルメットを着用しているが、それぞれが撮影した映像を合成していない状態で作業者の映像を示している。作業者が据付けユニット59の周辺で移動すると、作業者が撮影している映像を合成する位置も一緒に移動させる。作業者が撮影した映像には作業者の名前を表示し、クレーンに取付けたテレビカメラで撮影した映像に写っている作業者の映像にも写っている作業者の名前を表示する。
【0026】クレーンの操作者は、クレーンに取付けたテレビカメラで撮影した映像に写っている作業者のヘルメット位置に追尾用の標識を付加し、ヘルメットに記載されている標識を読み取って作業者の識別を行い、作業者の映像に追尾機能付き名前を付加する。あるいは、現場作業者が携帯する自己位置計測装置、据付けユニット59に取付けた自己位置計測装置の自己位置情報を用いて据付けユニットの映像に作業者の撮影映像を合成する。
【0027】作業者(A)40および作業者(B)41を撮影した映像61、62を用いて据付けユニット38と据付けユニット39との間の距離を、設計データと撮影した据付けユニット38の映像から求め、距離および回転ズレ角度の値を映像61,62の部分にそれぞれ重ねて表示する。
【0028】図7は、本発明による映像情報共有据付工事における情報伝送系を示すブロック図である。この図は、大型ユニットの据付け作業を、クレーン82を用いて行う場合を示す場合を示すものであって、据付ユニット90、据付現場86、クレーン82、および現場遠隔管理室2の相互間で情報伝送を行う。クレーン操作者84はクレーン82に設けられているクレーン操作室83に配置され、現場作業者87はヘルメット88を装着し、据付現場86に配置されている。
【0029】クレーン82には据付けユニット90撮影用のテレビカメラ92が取り付けられ、クレーン操作室83には、モニターテレビ93、画像処理装置94、および無線送受信装置95が配置されている。テレビカメラ92の撮像信号は有線で画像処理装置94に伝送される。無線送受信装置95は据付ユニット90および据付現場86との間で無線送受信を行うのに用いられる。クレーン操作者84のヘルメット85に取付けられているテレビカメラ99および目線検出器100からの画像信号は画像処理装置103を介して、またマイクロフォン101およびヘッドフォン102からの音声信号は音声処理装置104を介して、それぞれ無線送受信装置98に導かれ、これとクレーン操作室83の無線送受信装置95との間で情報の無線送受信を行う。現場作業者87のヘルメット88にも、クレーン操作者84のヘルメット85と同様に、テレビカメラ105および目線検出器106からの画像信号は画像処理装置109を介して、またマイクロフォン107およびヘッドフォン108からの音声信号は音声処理装置110を介して、それぞれ無線送受信装置111に導かれ、これと現場情報中継装置92の無線送受信装置97との間で情報の無線送受信を行う。なお、無線送受信装置111には、利き腕とは反対側の腕112に取り付けられた携帯式モニターテレビ113、および腰部127に取り付けられた自己位置計測装置122も接続されている。据付ユニット90に備えられたテレビカメラ91および自己位置計測装置122は無線送信装置96に接続されており、無線送信装置96からゥレーン操作室83の無線送受信装置95に対して送信することができる。無線送受信装置95を介してクレーン操作室83に収集された各種情報は画像処理装置94を介して現場遠隔管理室2に伝送されると共に、送信元をなす無線送受信装置97,98に返送される。
【0030】図8は、ユニット据付現場86の作業状況に関する合成映像の作成手順を示すものである。ユニット据付現場合成映像の作成ステップが開始される(ステップ801)と、クレーン82に取付けたテレビカメラ92でユニット据付現場86の撮影を開始すると共に、クレーン操作者84が据付現場作業者87の認識を行い、据付現場作業者87の映像に追跡用識別マーク(例えば、名前やID番号)を付加する(ステップ802)。この識別マークに基づいて現場作業者87の追跡を行い(803)、現場作業者名をヘルメット88に付した記号に基づき画像処理技術に従って認識する(ステップ804)。現場作業者87の撮影映像を作業者位置に映写し、現場作業者撮影映像と据付ユニット映像の向きを揃え、据付ユニット90を中心に現場作業者撮影映像を三角図法に従い展開表示し(ステップ805)、ユニット据付現場86の合成映像の完成となる(ステップ806)。
【0031】図9は、自己位置計測装置利用してユニット据付現場86の作業状況に関する合成映像の作成手順を示すものである。ユニット据付現場合成映像の作成ステップが開始される(ステップ901)と、クレーン82に取付けたテレに関するビカメラ92でユニット据付現場86の撮影を開始し(ステップ902)、据付ユニット90に取り付けた自己位置計測装置121、現場作業者87が携帯している自己位置計測装置122の測定結果をユニット据付現場撮影映像に現場作業者87の名前を付加して表示する(ステップ903)。さらに現場作業者87の撮影映像を作業者位置と合わせて合成する(ステップ904)。クレーン操作者84が現場作業者87の撮影した映像の向きを変え、据付ユニット90を中心に現場作業者撮影映像を所定の作図法に従い展開表示し(ステップ905)、ユニット据付現場86の合成映像の完成となる(ステップ906)。
【0032】図10は、現場作業の映像情報を共有して共同作業を行うプラント建設工法において得られた合成映像および音声情報を、プラント建設現場を遠隔管理する現場遠隔管理室2と中央管理センター3にも伝送して共同作業を行う情報伝送ブロック図である。現場遠隔管理室2および中央管理センター3の管理者12,15の目線位置情報および音声情報もユニット据付現場の合成映像および音声情報に追加してそれぞれの場所に伝送される。現場遠隔管理室2と中央管理センター3との間の情報伝送は、通信衛星4を経由して行われる。作業現場1、現場遠隔管理室2、および中央管理センター3の各内部構成は、すでに述べたものと変わりがない。
【0033】以上述べた図1〜10を参照して本発明の作用をさらに詳細に説明する。
【0034】一般にプラントの建設においては、周辺からプラント建設現場に向かって物流が集中し、中心に近づくほど作業速度を上げることにより最短工期で建設を行うことができる。プラントの建設期間を短縮するために、周辺の加工段階で各種専用機械を利用し、作業環境の良好な工場で大型ユニットの段階まで組立て工事を行うほど、中心のプラント建設現場での作業量を減らすことができ、それだけ作業時間を短縮することができる。その上に作業者の能力を支援する方策を導入することにより、作業効率を一層向上させることができる。例えば、プラント建設現場ではクレーンを用いた大型ユニットの移動・据付と現場作業者との共同作業の効率を向上させることが重要な課題となる。
【0035】クレーンを用いた作業者との共同作業による据付け工事の最小単位は、現場作業者の1人がクレーンを操縦しながら、もう1人の現場作業者と共同で据付け作業を行う方法によるものである。次に大きな単位としては、クレーンを操作する専任の操作者と、2人以上の現場据付け作業者とで構成するものである。これまでの作業方法においては、実際に作業を行う人数に作業管理者および予備の作業者が加えられていた。本発明は、専任の作業管理者を無くし、作業者が現場管理者を兼ねるものとし、予備の作業者を最少限度にするか、全く置かないで共同作業を行い、省力化と同時に作業効率も向上させようとするものである。
【0036】プラント建設現場は、複数の箇所で行うクレーン利用の作業現場1と現場遠隔管理室2とで構成され、両者の間での情報交換は恒久配線か無線の手段を用いて行う。一般に、プラント建設現場は中央管理センター3とは地理的に離れた場所に立地している。また中央管理センター3と複数のプラント建設現場との間で行われる情報交換は通信衛星4を用いて行う方がインフラの整備されていない所で大量の映像情報を取扱う場合には効率的なシステムである。
【0037】大型組立てユニットの一例として800トンを超える重量を有する原子炉圧力容器20を原子炉建屋17のペデスタル21にクローラクレーン19を用いて据付ける作業を、映像情報を共有した作業者で行う場合を考える。原子炉圧力容器20の下方にテレビカメラ26を取付けて原子炉圧力容器20が据付けられる場所、およびその周辺の現場作業者を撮影し、撮影した映像をクレーン操作室83に無線で伝送する。クローラクレーン19の上端に取り付けられたテレビカメラ27はクレーン19に吊り下げた原子炉圧力容器20を上方から撮影する。現場作業者87によって得られた映像信号および音声信号、並びに原子炉圧力容器20の下方に取付けられたテレビカメラ26で得られた映像信号を、それぞれクローラクレーン19の上端に取付けられたアンテナ74に向けて無線で伝送し(図2)、映像信号および音声信号は有線でクローラクレーン19の操作室28内に設置される画像処理装置(図示せず)に伝送する。
【0038】原子炉圧力容器20が原子炉建屋17の屋根開口部24を通過してペデスタル21上端の上方で作業者の身長より高いレベル位置に吊り降されるまでは操作室28のモニターテレビに映写される、テレビカメラ26,27で撮影した据付場所と据付けユニットの映像を操作者が見ながら原子炉圧力容器20の降下操作を行う。また操作者は、この間にテレビカメラ27で撮影された圧力容器20の上面と現場作業者の映像の中の作業者にマークを付けて作業者の動きに追従してマークが移動するようにする。マークを付けた作業者のヘルメット部をズームアップして、ヘルメットに記載されている記号を読み取って作業者の名前を認識し、その認識に従ってマークを作業者名に変更して同様に作業者に追従して移動するようにする。原子炉圧力容器20すなわち据付ユニット90には自己位置計測装置121が付けられ、作業者87も自己位置計測装置122を携帯している場合(図7)は、送信されてきた自己位置情報を用いてテレビカメラ27で撮影した据付けユニットの上面と現場作業者映像のなかで、作業者の映像に作業者名の表示を付け、作業者映像に追従するように設定する。
【0039】ペデスタル21上端の上方で現場作業者の身長よりも高いレベル位置まで原子炉圧力容器20が降下(現場作業者87の手による合図、または現場作業者87のテレビカメラ105で撮影した映像により判定、さらに据付けユニット90に取付けた自己位置計測装置121の自己位置情報による判定で認識)すると、ペデスタル21の周辺に待機する作業者のヘルメット88に装着したテレビカメラ105で撮影した映像とテレビカメラ27の映像を合成する。合成の方法は、クローラクレーン19の上端に取付けたテレビカメラ27で吊り下げた原子炉圧力容器20を上方から撮影した映像を中心にペデスタル21の周辺に待機する現場作業者87のヘルメット88に装着したテレビカメラ105で撮影した映像を作業者名を付けて合成し表示する。この合成映像は、現場作業者87の動きに追随して移動する。また、原子炉圧力容器20の映像とは重ならないように原子炉圧力容器20の映像には合成禁止の枠を設ける。
【0040】クローラクレーン19の操作者は、現場作業者が撮影した映像から、着目している一定範囲の部分の映像の切出しを行い、テレビカメラ27で撮影した映像に張付けを行う。また、三角図法で立体を展開表示したように映像を合成するために切出した映像を回転させて張付ける操作を行う。切出しを行う映像範囲を現場作業者の撮影する映像のなかで追従状態に設定する。現場作業者の位置が一定範囲以上移動したことが自己位置計測装置122で計測されると、切出し映像を張付ける位置を新しい現場作業者の映像位置に移動させる。現場作業者の撮影する映像の切替えは一定の間隔で行うようにし、目線位置表示は滑らかに移動するように映像の切替えを行う。
【0041】張り付けた映像には撮影した作業者の名前を表示する。現場作業者が撮影した映像は、必要に応じて張り付けを行う。張り付けた映像には撮影した現場作業者の目線位置の表示を行う。中心のペデスタル21の映像あるいは張り付けた映像にクローラクレーン19の操作者の目線位置の表示を行う。クローラクレーン19の操作者は、原子炉圧力容器20を撮影した映像を中心に現場作業者の撮影した映像を合成した映像を見ながら原子炉圧力容器20の降下据付け作業を行う。操作者は、目線位置および音声を用いて現場作業者に撮影場所の変更等の指示を行う。現場作業者は、利き腕と反対側の腕112に装着した携帯式モニターテレビ113に合成映像を映写し、これを見ながら操作者の指示を受ける。利き腕は道具を使っての据付け補助作業を行うのに用いる。現場作業者の撮影した映像と設計仕様データとを比較して、据付ユニットの相対距離を算出し、合成映像にその数値を表示させる。この数値を参考にしながら許容最大速度で原子炉圧力容器20の降下を着床するまで続ける。この据付作業現場の合成映像は、現場遠隔管理室2および中央管理センター3にも伝送され、現場遠隔管理室2の管理者12および中央管理センター3の管理者15の目線位置情報もクローラクレーン19の操作室6に伝送され、その情報は必要に応じて合成映像に追加合成され、それぞれの管理者12,15からの指示の伝達を行うのに用いられる。
【0042】次に、上記とは異なる例として、建屋建設、機器据付け、および掘削工事の作業を並行して進めるために、ケーソン29の上にベース72,73を構築し、このベース72,73の上に原子炉建屋17およびタービン建屋18を構築しながらケーソン29の下を掘削し、掘削の進行に従ってケーソン29を沈降させる工法の下で、映像情報を共有した現場作業者とクレーン操作者とで共同作業を行う場合を考える。しかも、ケーソン29の下の掘削に天井走行式掘削装置30やクローラ式掘削装置(図示せず)を用い、掘削残土を残土搬送容器31に入れてケーソン29に取付けられている搬出入装置35,36を経由して天井クレーン32,33で地上面77の上まで吊り上げ、さらに搬送装置34に搭載して残土置場に搬出する、掘削と残土搬出を行うシステムと、掘削の進行に従い支持柱37の間隔を拡げるケーソン29の沈降を行うが、原子炉建屋17およびタービン建屋18の1階床面75,76を地表面77に揃える建設工法を採用する場合を考える。
【0043】残土搬送容器31が搬出入装置35,36を通過する時、周辺にはテレビカメラおよび目線検出器を装着したヘルメットを着用している現場作業者が天井クレーン32,33の玉掛け作業を行い、搬送装置34に残土搬送容器31を搭載する時にはテレビカメラおよび目線検出器を装着したヘルメットを着用している搬送装置34の運転者が天井クレーン32,33の玉掛け作業を行い、天井クレーン32,33の操作室に天井クレーン32,33に取付けられたテレビカメラ78,79で撮影した映像と、残土搬送容器31に取付けたテレビカメラ80,81で撮影した映像と、現場作業者および搬送装置34の運転者が撮影した映像と、天井クレーン操作者、現場作業者、および搬送装置運転者の目線位置情報とを処理して合成映像を得る映像情報処理装置を設置し、ここで得られた合成映像を天井クレーン32,33の操作室に設置されたモニターテレビ、並びに現場作業者および搬送装置運転者の携帯式モニターテレビに伝送し、天井クレーン操作者は操作室のモニターテレビを見ながら残土搬送容器31の搬送作業を行う。
【0044】残土搬送容器31および搬送装置34には自己位置計測装置123が取付けられ、現場作業者、搬送装置運転者も自己位置計測装置124を携帯し、これ等の自己位置計測装置123,124からの自己位置情報が天井クレーン操作室に送られ、合成映像を製作するときに利用する。また、設計仕様を示す図面にそれぞれの自己位置を追尾状態で表示し、搬送装置や、残土搬送容器、天井クレーン等の残土搬出作業に関わる機器の現在位置を明確にし、それに従って天井クレーン操作者は関係者への作業指示を行う。
【0045】以上述べた実施の形態によれば、クレーンを用いて複数の現場作業者と機器操作者、管理者が共同作業を行って大型ユニットを組立ててゆく作業において、各映像情報および音声情報を駆使して、現場作業者を作業対象物に対して最適な場所に円滑に移動させて、操作者の意図の伝達を速やかに行い、その結果、クレーンの動作速度を最大限に上げて操作することができるようになり、クレーンを用いた据付け作業の時間を大幅に短縮することができる。したがって、この種のプラントの建設期間を短縮することができる。
【0046】(実施の形態2)(請求項18対応)
次に、第2の実施の形態について図11を参照して説明する。図11は、プラント建設現場の現場遠隔管理室2とユニット溶接現場125との間で映像情報を共有して協同作業で溶接を行い大型ユニットを固定する場合の情報伝送系のブロック図を示すものである。
【0047】ユニット溶接現場125に配置される現場作業者87のヘルメット88には、テレビカメラ105、目線検出器106、マイクロフォン107、ヘッドフォン108、画像処理装置109、音声処理装置110、および無線送受信装置111が装着されている。また、現場作業者87は、利き腕と反対の腕112に携帯式モニターテレビ113を装着し、腰部127に自己位置計測装置122を装着している。溶接現場に仮設される可搬式の現場情報中継装置92の無線送受信装置97はヘルメット88の無線送受信装置111との間で無線送受信を行うと共に、固定配置の現場情報中継装置126の無線送受信装置136との間で無線送受信を行う。なお、トルク測定装置138については後述する。
【0048】プラント建設現場に設けられた現場遠隔管理室2に配置される管理者12は、マイクロフォン128、ヘッドフォン129、音声処理装置130および無線送受信装置131を装着する。現場遠隔管理室2には、操作テーブル13、大型マルチスクリーン11、無線送受信装置132、およびコンピュータ68を備えている。操作テーブル13は、テレビカメラ133、目線検出器134、および画像処理装置135を備えている。なお、現場遠隔管理室2内で両無線送受信装置131,132は相互に無線送受信を行う。コンピュータ68は現場遠隔管理室2内にあって管理室12内の総合的なデータ処理機能を司り、かつ、外部機器との間の入出力インターフェイスとして機能する。コンピュータ68は、作業現場に配置される現場情報中継装置126にケーブルで接続される。
【0049】例えば原子力発電プラントにおけるユニットを既設の構造物に溶接によって結合する作業では、クレーンによるユニットの移動と位置合わせのために、現場作業者とクレーン操作者との共同作業が必要であり、また、位置合わせが終了した後の固定作業は複数の溶接作業者が並行して作業を行うことになる。複数の作業者が並行して溶接作業を行う場合、溶接による熱歪みが固定対象物の周囲で一様に発生するように、同時に溶接する場所が対象物の周辺に均等に位置させ、かつ、溶接の品質を確保するために溶接部の監視を行う必要がある。
【0050】大型クローラクレーンを用いて据付けられたユニットを既設の構造物に固定作業において、現場作業者87はテレビカメラ105、目線検出器106、マイクロフォン107およびヘッドフォン108を装着したヘルメット88を着用し、自己位置計測装置122を腰部127に装備し、利き腕と反対の腕112に携帯式モニターテレビ113を装着し、利き腕側に図示していない溶接装置を持って溶接作業を行う。作業者87の映像情報、音声情報および自己位置情報は、無線送受信装置111から可搬式現場情報中継装置126を介して現場遠隔管理室2のコンピュータ68に伝送される。このコンピュータ68で溶接部の映像情報を分析して溶接作業の品質管理を行い、また作業者87の自己位置情報や、テレビカメラ105の撮影情報、CADデータから現場作業者87の位置を求め、その位置の表示をCADデータ上に付加し、それにさらに現場作業者87の撮影した溶接部映像を合成した映像を大型マルチスクリーン11に映写して現場遠隔管理室2の管理者12は溶接作業状況を管理する。溶接作業が終了した箇所と溶接状況の分析結果は、コンピュータ68にデータベースとして保存し、CADデータ上に溶接の終了した箇所の表示と次に溶接を行う箇所の表示を追加した映像を作成し、大型マルチスクリーン11上に映写する。これ等の映写は、複数台の大型マルチスクリーンを使用して広範囲の映像を空間的に分割し同時に映写するか、空間的に分割した画面を1つまたは複数のスクリーン上に順次時間的に切替えて表示する。
【0051】次に溶接を行う場所を表示した合成映像に現場遠隔管理室2の管理者12の目線映像情報を付加合成した合成映像と音声指示情報をユニット溶接現場125に送る。現場作業者87はモニターテレビ113の映像とヘッドフォン108の音声指示に従い溶接作業を行う。
【0052】現場作業者87の位置を示すCADデータに、現場作業者87の撮影した溶接部映像を合成した映像と、CADデータ上に溶接の終了した箇所の表示と、次に溶接を行う箇所の表示とを追加した映像は、現場遠隔管理室2のコンピュータ68から中央管理センター3のコンピュータ71に通信衛星4を介して伝送される(図10参照)。そのとき同時に現場作業者87および現場遠隔管理室2内の管理者12の目線情報および音声情報も同時に伝送される。
【0053】上記のCADデータを中心とした合成映像に中央管理センター3の管理者15の目線位置の情報を追加合成し、現場遠隔管理室2および中央管理センター3の大型マルチスクリーン11,14、および現場作業者87のモニターテレビ113にこの合成映像を伝送し、中央管理センター3の管理者15の指示を速やかに現場作業者87およびプラント建設現場の管理者12に徹底する。また、CADデータを中心とした合成映像あるいは現場遠隔管理室2の対応状態を中央管理センター3の大型マルチスクリーン14に映写して作業状況を監視することにより設計データベースの溶接工程と比較し、必要な機材の手配、設計データベースの溶接手順法あるいは操作手順法等の評価を実施し、実際の状況に対応した設計の手直し、機材手配の見直しを設計部門に指示し、プラント全体の設計変更を伴う見直しを行う。
【0054】以上のように、複数の溶接作業者がそれぞれテレビカメラを装着したヘルメットを着用し、溶接部の映像をプラント建設現場の遠隔管理室に伝送して溶接部の品質管理を映像情報により個別にオンラインで行うことにより、品質の高い溶接作業を並行して行うことができる。さらに、CADデータ上での溶接作業終了箇所を遠隔地の中央管理センターで知ることができ、次に溶接を行うべき場所の指示を各作業者に対し個別に与え、溶接作業を共同作業化して全体の作業効率を高め、建設工程の短縮に寄与することができる。
【0055】(実施の形態3)(請求項19対応)
図11に示す装置において、ユニット固定のための溶接の代わりに、専用締付け工具を用いてボルト締めを行う場合の作業方法に関するものである。ボルト締めの際の締付けトルクを測定するためにトルク測定装置138が設けられ、専用締付け工具の締付けトルクに関する情報が無線送信装置137を介して可搬式の現場情報中継装置92の無線送受信装置97に伝送され、ここからさらに固定配置の現場情報中継装置126を介して現場遠隔管理室2のコンピュータ68に伝送される。この実施の形態では、複数の現場作業者が溶接機で溶接作業を行う代わりに、専用締付け工具を用いて締付け作業を行う。その場合、ボルトの締付けトルクをトルク測定装置138で測定し、締付けトルクの管理を通して品質管理を行う。
【0056】現場作業者87がテレビカメラ105を装着したヘルメット88を着用し、専用締付け工具を用いて締付け作業現場の映像およびトルク計測値をプラント建設現場の現場遠隔管理室2に伝送して締付け作業の品質管理をオンラインで行うことにより、品質の高い締付け作業を並行作業で行うことができ、プラント全体の作業効率を高めることができ、建設工程の短縮に寄与することができる。また、現場作業者87が装着したテレビカメラ105や、携帯式モニターテレビ113および自己位置計測装置122による専用締付け工具を用いて締付け作業を行う現場の映像および自己位置情報を用い、CADデータ上での締付け作業終了箇所を遠隔の中央管理センター3で知ることができ、次に締付け作業を行う場所の指示を各現場作業者に個別に指示することができ、並行して行う締付け作業を共同作業化して全体の作業効率を高め、建設工期の短期化に寄与することができる。
【0057】(実施の形態4)(請求項20)
図2において、ケーソン29の上にベース72,73を構築し、これらのベース上に原子炉建屋17およびタービン建屋18を構築しながらケーソン29の下を掘削し、掘削の進行に従いケーソン29を沈降させ、支持柱37の間隔を拡げることにより、ケーソン29のさらなる沈降を行う。支持柱37の間隔を拡げる際、その間隔を所定値に調整するために間隔調整工具(図示せず)を用いる。その場合、所定の間隔値に対する実際間隔の過不足は間隔調整工具の指示トルクに基づいて判断する。
【0058】ケーソン29を沈降させる時は、間隔を拡げるための支持柱37毎に、それぞれテレビカメラ105および目線検出器106を取り付けたヘルメット88を着用し、かつ自己位置計測装置122を携帯している現場作業者87が待機する。現場作業者87が撮影した支持柱37の間隔調整部の映像と現場作業者87の目線位置情報および自己位置情報、間隔調整工具のトルク量、および間隔測定量を現場遠隔管理室2のコンピュータ68に伝送してCADデータとこれ等の情報の合成映像を作成し、この合成映像を現場遠隔管理室2のマルチスクリーン11と作業者87自身のモニターテレビ113に伝送して映写する。
【0059】現場遠隔管理室2の管理者12は、音声と目線位置・数値表示を合成映像に付加して支持柱37の間隔を広げる操作の指示を現場作業者87のヘッドフォン108、および利き腕と反対側の腕112に装着したモニターテレビ113への表示を通して行い、現場作業者87はモニターテレビ113を見ながら利き腕で間隔調整用道具を操作して支持柱37の間隔調整作業を行う。天井クレーンの操作者は合成映像上で目線位置表示を移動させて対象物に対する操作者の関心位置を示すと同時に音声指示を行い、現場作業者を残土搬送容器31に対して最適な場所に移動させて、欲しい映像を撮影させることにより操作者の意図の伝達を速やかに行えるようにする。このようにして、天井クレーンの動作速度を最大限に発揮して操作することが可能になり、天井クレーンを用いての残土搬送容器31の積み替え時間を短縮することができる。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、現場作業者とクレーン操作者が映像情報および音声情報を共有しながら作業を進めることにより、両者の意志疎通を円滑にして効率的なプラント組立作業を遂行することができる。
【0061】さらに、映像情報および音声情報の共有を、中央管理センター、現場遠隔管理室にも拡大することにより、より合理的な作業管理をすることができる。
【0062】かくして本発明によれば、プラントの建設工事期間または検査期間を短縮することができ、ひいては、多数の管理者や作業者が共同して作業を進める大型プラントの建設工事または検査を総合的に管理し、大型プラントの建設工事期間または検査期間を短縮することができる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成10年(1998)8月11日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 一雄 (外3名)
【公開番号】 特開平11−118979
【公開日】 平成11年(1999)4月30日
【出願番号】 特願平10−227206