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【発明の名称】 ICカード
【発明者】 【氏名】逸見 学

【氏名】小川 重男

【氏名】大藤 晋一

【氏名】海野 秀之

【氏名】前田 正彦

【氏名】竹田 忠雄

【氏名】丹野 雅明

【氏名】伴 弘司

【要約】 【課題】集積回路のメモリに格納された情報を第三者に読み出されるのを防止する。

【解決手段】ICチップ2には情報が格納されたメモリを含む集積回路5が搭載され、集積回路5は第1の電池3によって処理動作が行われる。メモリの情報を消去する第2の電池4にはメモリの情報を消去するための電気的エネルギーを蓄えるコンデンサ13が並列に接続されている。第1の電池3と集積回路5との間には、コンデンサ13と集積回路5との間のスイッチトランジスタ14bをオンさせる電圧検出回路14aが設けられている。第1および第2の電池3,4は薄膜型のリチウム電池によって形成され、第2の電池3とICチップ2とは、第1の電池3によって密閉状態で覆われている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 情報が格納された不揮発性メモリを含む集積回路が搭載されたICチップと、このICチップの一部と接続された第1の電池とを備えたICカードにおいて、前記不揮発性メモリに格納された情報を消去する電気エネルギーを蓄えるための第2の電池と、この第2の電池と不揮発性メモリとの間に介在するスイッチと、前記第1の電池の異常を検出し前記スイッチをオンにする電圧検出回路とを備え、前記第1および第2の電池を薄膜電池とするとともに、前記第1の電池を二つ折りしこの第1の電池によって前記集積回路および第2の電池を密閉状態として覆ったことを特徴とするICカード。
【請求項2】 請求項1記載のICカードにおいて、第1および第2の電池の一端を折り返し、これら折り返し部とICチップ上に形成した集積回路の電極とを接続したことを特徴とするICカード。
【請求項3】 請求項1記載のICカードにおいて、第1の電池と第2の電池の少なくともいずれか一方と集積回路の電極とを薄片状の接続片を介して接続したことを特徴とするICカード。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、暗号情報等によって読み出し可能な情報が格納された不揮発性メモリを備えたICカードに関する。
【0002】
【従来の技術】図9は従来のICカードの一例を示し、(a)はICカードに搭載されている集積回路のレイアウトを示す図、(b)はICカードの断面図である。これらの図において、6は不揮発性メモリである強誘電体メモリ、7は読み出し専用メモリ(ROM)、8は中央演算回路(CPU)、9は揮発性のランダムアクセスメモリ(RAM)であって、これらの素子6,7,8,9によって形成された集積回路5がシリコン基板上に搭載されICチップ2が形成され、ICチップ2には、電気信号を介して外部と交信するためのアルミニウムの電極10が設けられている。
【0003】同図(b)において、30は基体であって、この基体30上に設けられた金属パッド31とICチップ2の電極10とが金バンプ32を介して接続されることにより、ICチップ2は基体30上に固定されている。ICチップ2は、エポキシ樹脂やポリイミド等の樹脂によって形成された防御膜33によって覆われ、防御膜33と基体30との空間には、異方性伝導膜34が充填されている。このICチップ2において、セキュリティに不可欠なパスワードや、現金の金額等の重要な情報は、強誘電体メモリ6内に格納されており、外部からの電気信号の読み出しや書き込みは電気信号の暗号情報によって行うようにしている。したがって、ICチップ2が前後上下を基体30と防御膜33に覆われていることにより、暗号情報を知らない限り、強誘電体メモリ6内に格納されている情報を読み出すことは不可能になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来のICカードにおいては、防御膜33を機械的あるいは化学的に破壊することは困難なことではなく、破壊されることによって強誘電体メモリ6内の情報を読み出されるおそれがあった。
【0005】本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、集積回路のメモリに格納された情報を第三者に読み出されるのを防止したICカードを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために、本発明に係るICカードは、情報が格納された不揮発性メモリを含む集積回路が搭載されたICチップと、このICチップの一部に接続された第1の電池とを備えたICカードにおいて、前記不揮発性メモリに格納された情報を消去する電気エネルギーを蓄えるための第2の電池と、この第2の電池と不揮発性メモリとの間に介在するスイッチと、前記第1の電池の異常を検出し前記スイッチをオンにする電圧検出回路とを備え、前記第1および第2の電池を薄膜電池とするとともに、前記第1の電池を二つ折りしこの第1の電池によって前記集積回路および第2の電池を密閉状態として覆ったものである。したがって、第1の電池を破壊し、集積回路を露呈させようとすると、電圧検出回路によって検出され、第2の電池によって蓄えられた電気エネルギーによって不揮発性メモリに格納された情報が消去される。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1(a)は本発明に係るICカードを分解して示す斜視図、(b)は同じく組み付けた状態における底面図、図2(a)は図1(b)におけるII(a)-II(a) 線断面図、(b)は同じく等価回路図である。これらの図において、上述した図9に示す従来技術において説明した構成と同一もしくは同等の部材には同一の符号を付し詳細な説明は適宜省略する。
【0008】図1(a)において、全体を符号1で示すICカードは、ICチップ2と細長い長方形状に形成された薄膜型のリチウム電池としての第1および第2の電池3,4とによって構成されている。ICチップ2の左右両端部には、アルミニウムによって形成された二対の電極11a,11bおよび電極12a,12bが形成されており、コンデンサ13および後述する電圧検出回路14aとスイッチトランジスタ14bからなる電圧検出部14が設けられている。
【0009】第1の電池3は、表裏に正極部3aと負極部3bとがそれぞれ形成され、略中央部が二つ折りに折り畳まれているとともに、一端が折り返され折り返し部3cが形成されている。第2の電池4は、表裏に正極部4aと負極部4bとがそれぞれ形成され、一端が折り返され折り返し部4cが形成されている。
【0010】以下、このような構成のICカードの組立方法を説明する。まず、第2の電池4の負極部4bをICチップ2の電極12bに接続するとともに、折り返し部4cの正極部4aを電極12aに接続するようにして、第2の電池4をICチップ2の表面側(集積回路5の搭載側)に密着させて固定する。次に、二つ折りした第1の電池3によってICチップ2と第2の電池4を挟むようにして、第1の電池3の負極部3bをICチップ2の電極11bに接続するとともに、折り返し部3cの正極部3aを電極11aに接続し、第1の電池3をICチップ2と第2の電池4とに密着させて固定する。
【0011】このように組み立てられたICカード1においては、同図(b)に示すように、第2の電池4とICチップ2とは、電極10を除く領域が、第1の電池3によって密閉された状態で覆われる。また、図2(a)に示すように、二つ折りされた第1の電池3、第2の電池4、ICチップ2が積層状態に固定されているので、ICカード1の厚さL1は、第1の電池3の2枚分の厚みと、第2の電池4の2枚分の厚みと、ICチップ2の厚みを加算した値になる。
【0012】図2(b)において、14は電圧検出部であって、第1の電池3の電圧を監視する機能を有する電圧検出回路14aと、この電圧検出回路14aの異常検出によって閉じるスイッチ用トランジスタ14bとから構成されている。すなわち、第1の電池3は、電圧検出部14の電圧検出回路14aを介してICチップ2の一部に接続されており、電圧検出回路14aによって第1の電池3は常時監視されている。第2の電池4と並列にコンデンサ13が接続され、これら第2の電池およびコンデンサ13は、通常はオフ状態(ノーマリーオフ)のスイッチ用トランジスタ14bを介して集積回路5に接続されている。したがって、通常はスイッチ用トランジスタ14bはオフになっているので、コンデンサ13に電気エネルギーが蓄えられる。一方、第1の電池3に異常が発生した場合には、電圧検出回路14aによってその異常が検出され、スイッチ用トランジスタ14bをオンにするので、コンデンサ13に蓄えられた電気エネルギーにより強誘電体メモリ6内に格納されていた情報が消去される。
【0013】したがって、不正使用を目的としてICチップ2の素子領域(パターン面)を観察しようとして、第1の電池3の折り返し部3cにおいてICチップ2を露出させようとした場合、第1の電池3の正極部3aとICチップ2の電極11aとの電気的接続が断たれる。このため、電圧検出回路14aがこれを検出し、スイッチ用トランジスタ14bをオンとし、コンデンサ13に蓄えられた電気エネルギーにより強誘電体メモリ6内に格納されていた情報を消去する。また、単に、第1の電池3を破損させた場合にも、第1の電池3の電圧が降下するので、電圧検出回路14aがこれを検出し、強誘電体メモリ6内に格納されていた情報が消去される。このため、強誘電体メモリ6内に格納された情報が守られるので、機密保持が確実になるとともに、情報の改竄を防止することもできる。また、第1および第2の電池3,4の正極部3a,4aとICチップ2の電極11a,12aとの接続を両電池3,4の折り返し部3c,4cを介して行うようにしたので、接続部が外部から目視できない構造になっている。このため、第三者による不正を困難とし、機密保持がより確実になる。
【0014】図3および図4は、本発明の第2の実施の形態を示すもので、図3(a)はICチップと第2の電池を分解して示す斜視図、(b)はICカード全体を分解して示す斜視図、図4(a)はICカードの底面図、(b)は(a)におけるIV(b)-IV(b) 線断面図である。この第2の実施の形態が、上述した第1の実施の形態と異なる点は、第2の電池4の正極部4aとICチップ2の電極12aとの接続構造にある。すなわち、第2の電池4の一端4cを折り返すことなく、第2の電池4を平坦状に形成し、この一端4cとICチップ2の電極12aとを、薄片状の導電材によって側面視クランク状に形成した接続片20によって接続したものである。このように第2の電池4の一端4cを折り返すことないため、ICカード1の厚さL2を、上述したL1よりも電池4の略1枚分だけ薄く形成することが可能になる。なお、図示を省略しているが、接続片20と第1の電池3の負極部3bとの間に絶縁膜が形成されている。
【0015】図5および図6は、本発明の第3の実施の形態を示すもので、図5(a)はICチップと第2の電池を分解して示す斜視図、(b)はICカード全体を分解して示す斜視図、図6(a)はICカードの底面図、(b)は(a)におけるVI(b)-VI(b) 線断面図である。この第3の実施の形態が、上述した第2の実施の形態と異なる点は、第1の電池3の正極部3aとICチップ2の電極11aとの接続構造にある。すなわち、第1の電池3の一端3cを折り返すことなく、第1の電池3を平坦状に形成し、この第1の電池3の一端3cとICチップ2の電極11aとを、薄片状の導電材によって側面視クランク状に形成された接続片21によって接続したものである。このように構成したことにより、ICカード1の厚さL3を、上述した第2の実施の形態のL2と同様に、L1よりも電池4の略1枚分だけ薄く形成することが可能になる。
【0016】図7および図8は、本発明の第4の実施の形態を示すもので、図7(a)はICチップと第2の電池を分解して示す斜視図、(b)はICカード全体を分解して示す斜視図、図8(a)はICカードの底面図、(b)は(a)における VIII(b)-VIII(b)線断面図である。この第4の実施の形態においては、不揮発性メモリ6をフラッシュメモリとしたものであって、フラッシュメモリとした場合には、書き換えに必要な電圧が12〜15Vであるために、第2の電池4を4層としたものである。すなわち、第2の電池4に3個の電池41,42,43を、それぞれの正極部と負極部とを接続するように重ね合わせ、第2の電池4の正極部4aとICチップ2の電極12aとを接続片22を介して接続したものである。
【0017】また、この第4の実施の形態においては、第1の電池3を二つ折りすることなく、ICチップ2の集積回路の搭載側のみを覆うようにICチップ2に固定している。すなわち、第2の電池4と3個の電池41,42,43を覆うようにして、第1の電池3の一端側の正極部3aを、接続片23を介してICチップ2の電極11aに接続するとともに、他端側の負極部3bをICチップ2の電極11bに接続している。この第4の実施の形態のICカード1の厚さL4は、ICチップ2の厚みと、第2の電池4の4枚分の厚みと、第1の電池3の厚みと、接続片22の厚みを加算した値になる。
【0018】なお、この第4の実施の形態においては、第2の電池4に3個の電池41,42,43を重ね合わせたが、集積回路5内に昇圧回路を設ければ、第2の電池4を1個のみとしてもよい。その場合には、ICカード1の厚さL4は、ICチップ2の厚みと、第2の電池4の厚みと、第1の電池3の厚みと、接続片22の厚みを加算した値になる。
【0019】
【実施例】第1の電池3および第2の電池4の厚みを0.1mmとし、ICチップ2の厚みを0.05mmとしたことにより、第1の実施例におけるICカードの厚さL1は、0.45mm(L1=0.1mm×4+0.05mm)になる。第2の実施の形態においては、接続片20の厚みを0.01mmとし、接続片20と第1の電池3との間に0.01mmの厚みの絶縁膜を設けているため、L2は0.37mm(L2=0.1mm×3+0.05mm+0.02mm)になる。第3の実施の形態においては、L3は、0.37mm(L3=0.1mm×3+0.05mm+0.02mm)になる。
【0020】不揮発性メモリ6として強誘電体メモリを使用した第1ないし第3の実施の形態においては、書き換えに必要な電圧は、3〜5Vなので、第2の電池4の電圧3.0〜3.6Vをそのまま使ってもよいが、第2の電池4を2層にして、電圧を6.0〜7.2Vとして使ってもよく、その場合には、L1は0.55mm、L2,L3は0.47mmになる。
【0021】第4の実施の形態においては、L4は0.57mm(L4=0.1mm×5+0.05mm+0.02mm)になる。また、昇圧回路を設けて第2の電池4を1枚とした場合には、L4は0.27mmになる。上述した全ての実施例は、ICカードの厚さの規格値0.76mmの範囲内に収まっている。
【0022】1M(メガ)ビットの強誘電体メモリを消去するのに必要な電気量から算定すると、コンデンサ13の面積は1mm2 程度でよい。また、第1の電池3および第2の電池4は不正使用防止用のセキュリティ専用の電池であって、集積回路5の動作用としては容量に限度がある。このことを考慮して、第1の電池3および第2の電池4の容量(約1mAh/cm2) とすると、電池の面積は36〜100mm2 でも充分であるが、それ以上の面積であればさらに良い。また、第1の電池3および第2の電池4は、通常の集積回路5の動作用としては使われないため、消耗がきわめて少ない。また、コンデンサ13をMOS型キャパシタとし、絶縁膜を熱酸化膜(SiO2)としたことにより、コンデンサ13のリーク電流もきわめて小さく、コンデンサ13を充電した後、第2の電池4を外して放電特性を調査した結果、半年経過した段階でもコンデンサ13の電気エネルギーの90%以上が保持されていることが確認された。
【0023】なお、本実施の形態においては、第1の電池3の正極部3aと負極部3bとを全体的に露呈させたままの状態としたが、不都合な導通を回避するために、必要に応じて表面を絶縁膜によってコーティングし、被覆してもよい。また、電圧検出回路14aによって閉じるスイッチ14bをトランジスタとしたが、これに限定されず、厚みがきわめて薄く形成されたものであれば、機械的スイッチでもよい。また、第1および第2の電池3,4をリチウム電池としたが、これに限定されず、要は薄型でかつ折り畳み可能であれば他の電池でもよい。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の発明によれば、メモリ内に格納された情報が守られるので、機密保持が確実になるとともに、情報の改竄も防止される。
【0025】また、請求項2記載の発明によれば、電池と集積回路の電極との接続部が目視できないように折り返し部によって覆われるので、機密保持がより確実になる。
【0026】また、請求項3記載の発明によれば、ICカードの薄型化が図られる。
【出願人】 【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
【出願日】 平成10年(1998)5月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
【公開番号】 特開平11−328036
【公開日】 平成11年(1999)11月30日
【出願番号】 特願平10−138075