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【発明の名称】 文字詰め方法
【発明者】 【氏名】▲高▼澤 通

【要約】 【課題】コンピュータを利用した文字詰め処理において、文字列全体でのバランスを考慮した詰め組みを行うことができる文字詰め方法を提供する。

【解決手段】指定文字列カーニングテーブル30には、指定された各指定文字列について、文字列全体のバランスを考慮した文字詰め量の情報が記憶されている。指定文字列取得部222は、指定文字列カーニングテーブル30から指定文字列及びその文字詰め量の情報を取り出す。検索・詰め量設定部224は、取り出された指定文字列を、文書メモリ10に保持された組版対象文書から検索し、検索された指定文字列に対し、指定文字列カーニングテーブル30に登録された文字詰め量を設定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 3以上の文字からなる指定文字列に対する文字詰め量情報を記憶するテーブルを準備し、文字詰め処理の対象となる文書を入力し、その文書に含まれる指定文字列を検索して抽出し、その指定文字列に対して前記テーブルに記憶された文字詰め量情報から求めた文字詰め量を設定する文字詰め方法。
【請求項2】 文字詰め対象の前記指定文字列を指定し、当該指定文字列の字間の調整により文字詰め量情報を抽出し、指定された前記指定文字列及び抽出された前記文字詰め量情報を前記テーブルに登録することによって、前記テーブルを準備する請求項1に記載の文字詰め方法。
【請求項3】 2文字の間の文字詰め量情報を記憶する一般テーブルに加えて、特に指定する2以上の文字からなる指定文字列に対する文字詰め量情報を記憶する特別テーブルを準備し、文字詰め処理の対象となる文書を入力し、その文書に含まれる指定文字列については前記特別テーブルに記憶された文字詰め量情報から求めた文字詰め量を設定し、一方、指定文字列に相当しない2文字の間の文字詰め量については、一般テーブルを参照して文字詰め量を設定する文字詰め方法。
【請求項4】 文字詰め対象の前記指定文字列を指定し、当該指定文字列の字間の調整により文字詰め量情報を抽出し、指定された前記指定文字列及び抽出された前記文字詰め量情報を前記特別テーブルに登録することによって、前記特別テーブルを準備する請求項3に記載の文字詰め方法。
【請求項5】 文字詰め対象となる文書を入力する手順と、3以上の文字からなる指定文字列に対する文字詰め量情報を記憶するテーブルから指定文字列を取り出す手順と、取り出した指定文字列を文字詰め処理の対象となる文書から検索する手順と、前記文書から検索した指定文字列に対し、前記テーブルに記憶された文字詰め量情報から求めた文字詰め量を設定する手順と、をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項6】 文字詰め対象の前記指定文字列を指定する手順と、当該指定文字列の字間の調整により文字詰め量情報を抽出する手順と、指定された前記指定文字列及び抽出された前記文字詰め量情報を前記テーブルに登録する手順と、をコンピュータに実行させるためのプログラムをさらに記録した請求項5に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項7】 文字詰め対象となる文書を入力する手順と、2文字の間の文字詰め量情報を記憶する一般テーブルを参照して前記文書の各2文字の間の文字詰め量を設定する手順と、特に指定する2以上の文字からなる指定文字列に対する文字詰め量情報を記憶する特別テーブルを参照して前記文書から指定文字列を検索し、検索した指定文字列に対しては前記特別テーブルに記憶された文字詰め量情報から求めた文字詰め量を設定する手順と、をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項8】 文字詰め対象の前記指定文字列を指定する手順と、当該指定文字列の字間の調整により文字詰め量情報を抽出する手順と、指定された前記指定文字列及び抽出された前記文字詰め量情報を前記特別テーブルに登録する手順と、をコンピュータに実行させるためのプログラムをさらに記録した請求項7に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、文字組版装置に関し、特に文字列の各文字の間を詰める詰め組み処理のための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータを利用した文字組版処理において、各文字の形状に応じて適切な詰め組み(カーニング)を行う手法として、ペアカーニングテーブルを用いる方法が知られている。この方法で用いられるペアカーニングテーブルには、詰め組み対象となる各2文字の組合せごとに、それら2文字の字形の関係を考慮した適切な詰め量が登録されている。この方法では、組版装置は、文字詰め対象の文書が入力されると、隣り合う各2文字ごとに、その組合せを検索キーとしてペアカーニングテーブルを検索し、この結果求められた詰め量を用いて詰め組みを行っていた。
【0003】この手法によれば、組版対象の文書に詰め組み対象の2文字の組合せが含まれる場合には、それを自動的に検出して適切な詰め量で組版することができた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ペアカーニングテーブルは、2文字の組合せのみに基づきその2文字の間の文字詰め量を規定するものであり、その2文字の前後の文字などまでは考慮の外にある。したがって、ペアカーニングテーブルを用いる文字詰め処理では、2文字間での文字間隔のバランスは考慮されているが、その2文字を含むより大きな単位、例えば単語などの文字列全体における文字間隔のバランスは考慮されない。
【0005】例えば、文字列『ABC』と文字列『ABD』とは、同じ部分列「AB」を含んでいる。文字列全体のバランスを考えた場合、各々の場合で「AB」間の文字詰め量を変えた方が良い場合がある。ところが、ペアカーニングテーブルを用いた処理では、両者の「AB」が同じ文字詰め量で詰め組みされてしまう。
【0006】このようにペアカーニングテーブルを用いる方法では、テーブルに登録されている2文字は、その2文字が含まれる文字列の内容にかかわりなく、常に同じ文字詰め量で詰め組みされてしまうので、それら2文字の含まれる文字列全体のバランスを考慮した詰め組みができないという問題があった。
【0007】本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、コンピュータを利用した文字詰め処理において、文字列全体でのバランスを考慮した詰め組みを行うことができる文字詰め方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明に係る文字詰め方法は、3以上の文字からなる指定文字列に対する文字詰め量情報を記憶するテーブルを準備し、文字詰め処理の対象となる文書を入力し、その文書に含まれる指定文字列を検索して抽出し、その指定文字列に対して前記テーブルに記憶された文字詰め量情報から求めた文字詰め量を設定する。
【0009】この方法では、文字列全体のバランスを考慮した文字詰めをしたい文字列を指定文字列とし、この指定文字列に対して適切な文字詰め量を定めてテーブルに記憶させておく。そして、このテーブルを用い、文書内に含まれる指定文字列を検索・抽出し、抽出した指定文字列に対応する文字詰め量をテーブルから求めて設定する。この構成によれば、特に指定した指定文字列について、文字列全体のバランスを考慮した文字詰め量で文字詰めを行うことができる。
【0010】この場合、文字詰め対象の指定文字列を指定し、当該指定文字列の字間の調整により文字詰め量情報を抽出し、指定された指定文字列及び抽出された文字詰め量情報をテーブルに登録することによって、テーブルを準備するのが好ましい。
【0011】また、本発明は、2文字の間の文字詰め量情報を記憶する一般テーブルに加えて、特に指定する2以上の文字からなる指定文字列に対する文字詰め量情報を記憶する特別テーブルを準備し、文字詰め処理の対象となる文書を入力し、その文書に含まれる指定文字列については前記特別テーブルに記憶された文字詰め量情報から求めた文字詰め量を設定し、一方、指定文字列に相当しない2文字の間の文字詰め量については、一般テーブルを参照して文字詰め量を設定する。
【0012】この方法において、一般テーブルは例えば組版装置に標準的に設けられるペアカーニングテーブルであるのに対し、特別テーブルは、一般テーブルで規定された文字詰め量とは異なる文字詰め量で文字詰めしたい文字列(すなわち指定文字列)についての文字詰め量を規定したテーブルである。特別テーブルに登録されている指定文字列の各2文字の間については、一般テーブルに記憶された文字詰め量に優先して、特別テーブルに記憶された当該指定文字列の文字詰め量が適用される。この構成によれば、文書の種類等の個々の事情に依存しない汎用の一般テーブルと、個々の事情に応じて作成した特別テーブルとを適宜組み合わせて利用することにより、ユーザの意図により適合した文字詰めを行うことができる。
【0013】この場合、文字詰め対象の指定文字列を指定し、当該指定文字列の字間の調整により文字詰め量情報を抽出し、指定された指定文字列及び抽出された文字詰め量情報を特別テーブルに登録することによって、特別テーブルを準備するのが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
【0015】実施形態1.図1は、本発明に係る文字詰め方法を実行する文字組版装置の概略構成を示す図である。文字組版装置は、組版対象の文書のデータを保持する文書メモリ10、文書メモリ10上の文書に対し文字詰め(カーニング)を含む組版処理を行う自動組版部20、及び各指定文字列の文字詰め量の情報を記憶した指定文字列カーニングテーブル30を含む。ここで、指定文字列とは、文字列全体のバランスを考慮して文字詰めしたい文字列のことである。自動組版部20は、組版処理に含まれる様々な処理のうち文字詰め処理を行う指定文字列カーニング処理部22を含む。指定文字列カーニング処理部22において、指定文字列取得部222は、指定文字列カーニングテーブル30から指定文字列及びその文字詰め量の情報を順に取り出す。検索・詰め量設定部224は、取り出された指定文字列を組版対象文書から検索し、組版対象文書から検索された指定文字列に対し、指定文字列カーニングテーブル30に登録された文字詰め量を設定する。
【0016】この文字組版装置は、コンピュータ上に構築することができる。この場合、文書メモリ10としては、コンピュータのメインメモリを利用することができる。自動組版部20及びそれに含まれる指定文字列カーニング処理部22は、コンピュータ上でプログラムを実行することにより実現することができる。また、指定文字列カーニングテーブル30は、例えばコンピュータに付属するハードディスク等に格納しておき、使用するときにメインメモリ上にロードすればよい。
【0017】図2は、指定文字列カーニングテーブル30のデータ内容の一例を示す図である。指定文字列カーニングテーブル30では、各指定文字列ごとに文字詰め量情報が登録されている。文字詰め量情報は、指定文字列における各字間の詰め量の配列である。例えば、文字列「ファイル」には字間が3つあるので、文字詰め量情報として、それら3つの字間の文字詰め量Am1,Am2,Am3が順に記憶されている。同じ文字列でも、書体が異なれば文字のバランスが変わってくるので、適切な文字詰め量も書体によって変わる。そこで、本実施形態では、指定文字列カーニングテーブル30へは、書体ごとに文字詰め量情報を登録している。したがって、指定文字列カーニングテーブル30における指定文字列の特定は、文字列(すなわち文字コードの配列)と書体とにより行う。
【0018】また、この実施形態では、指定文字列カーニングテーブル30に登録される文字詰め量の値Am1等は文字の仮想ボディの幅に対する比率で表されているので、様々なサイズのフォントに対して利用することができる。
【0019】指定文字列カーニングテーブル30は、対象文書のカーニングを行うに当たって、予めユーザの側で準備する。指定文字列カーニングテーブル30は、例えば、ユーザが、詰め組みしたい文字列とその文字列の各字間の文字詰め量を決定して作成する。また、指定文字列カーニングテーブル30は、フォントベンダ等が提供するようにしてもよい。
【0020】次に、図3を参照して、本実施形態におけるカーニング処理の手順を説明する。まず、ユーザが組版対象の文書を指定すると、その文書が磁気ディスク等から文書メモリ10に読み込まれる(S10)。この文書に対してカーニング処理を実行する際には、指定文字列カーニング処理部22が起動される。すると、指定文字列取得部222が指定文字列カーニングテーブル30から、先頭の指定文字列の情報(すなわち「文字列」「書体」「文字詰め量情報」)を取り出す(S12)。取り出された情報は、検索・詰め量設定部224に渡される。検索・詰め量設定部224は、文書メモリ10に記憶された文書を調べてその指定文字列と一致する文字列を検索し、検索した文字列の各字間に対して、その指定文字列の文字詰め量情報に応じて文字詰め量の設定を行う(S14)。文書中に指定文字列と一致する文字列が複数存在する場合は、それら全ての文字列に対して文字詰め量の設定を行う。ここで、指定文字列の検索は、「文字列」及び「書体」の両方の一致により行う。また、文字詰め量の設定は、指定文字列の文字詰め量情報に表される各字間の文字詰め量を、当該文書の文字サイズについての値に換算して行う。文字詰め量の情報は、例えば各文字に対する属性情報として文書メモリ10に記憶される。
【0021】S14において、文書の末尾まで検索・詰め量設定の処理が完了すると、指定文字列取得部222は、指定文字列カーニングテーブル30に未処理(すなわち未だ検索していない)指定文字列があるか否かを検査し(S16)、未処理の指定文字列が残っていればそのテーブルから次の指定文字列を取り出し(S12)、検索・詰め量設定の処理を繰り返す(S14)。このようにして、指定文字列カーニングテーブル30に登録されたすべての指定文字列について、S14の検索・詰め量設定処理を繰り返す。
【0022】このような処理によれば、組版対象の文書中に指定文字列と一致する文字列が含まれる場合は、その文字列をその指定文字列に対して予め決められている適切なバランスで文字詰めすることができる。したがって、この実施形態によれば、文字列全体のバランスを考慮してカーニングしたい文字列があれば、その文字列についてバランスの良い文字詰め量を予め求め、それを指定文字列カーニングテーブル30に登録しておくことにより、組版対象の文書中のその文字列をバランスよく詰め組みすることができる。
【0023】なお、本実施形態では、ある指定文字列が別の指定文字列の一部に含まれる場合が起こりうる。例えば、図2に示した指定文字列「ファイル」は、別の指定文字列「ファイルアクセス」の一部に含まれる。ここで、文字列全体のバランスを考慮した場合、指定文字列「ファイルアクセス」の中の「ファイル」の部分の文字詰め量が、指定文字列「ファイル」の文字詰め量と異なったものとなる場合も考えられる。この場合、組版対象の文書中に「・・・ファイルアクセス・・・」なる箇所があった場合、「ファイル」の部分には指定文字列「ファイル」及び「ファイルアクセス」のいずれの文字詰め量を適用するかが問題となる。この問題に対しては、本実施形態では、長い方の指定文字列の文字詰め量を適用することとする。これを実現するには、例えば指定文字列カーニングテーブル30に指定文字列を短い順に登録しておき、組版対象の文書において短い指定文字列から順に検索・詰め量設定の処理を行っていけばよい。この場合、いったん詰め量が設定された文字列であっても、後で出てくる別の指定文字列に該当する場合は、その指定文字列の文字詰め量をいわばオーバライト方式で設定し直す。例えば、前述の「・・・ファイルアクセス・・・」なる箇所については、まず指定文字列「ファイル」が検出されてその「ファイル」の文字詰め量が設定されるが、その後で指定文字列「ファイルアクセス」が検出され、結局は「ファイルアクセス」についての文字詰め量が設定されることとなる。このような構成により、文書中に含まれる文字列が、より長い単位でバランスよく詰め組みされる。
【0024】この他にも、例えば、指定文字列カーニングテーブル30において優先度が高い指定文字列ほど順序が後になるように指定文字列を登録しておき、優先度の低いものから順に検索・詰め量設定を行い、順に詰め量の値をオーバーライトしていく方法が考えられる。この方法では、優先度が高い指定文字列ほど、その指定文字列自体の文字詰め量で詰め組みすることができる。
【0025】実施形態2.以下では、従来のペアカーニングテーブルを用いた文字詰め処理と本発明の文字詰め処理を併用した実施形態について説明する。図4は、本実施形態の方法を実行する文字組版装置の概略構成を示す機能ブロック図である。図4において、図1と同様の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0026】本実施形態では、実施形態1と同様指定文字列カーニングテーブル30を設け、ユーザが特に指定する文字列についてはその指定文字列カーニングテーブル30に予め文字詰め量を設定しておく。そして、組版対象の文書の文字詰め処理においては、指定文字列については指定文字列カーニングテーブル30に登録された文字詰め量で文字詰めを行い、指定文字列に該当しない部分については、ペアカーニングテーブル40を用いて従来と同様の詰め処理を行う。
【0027】図4において、ペアカーニングテーブル40は、2文字の組合せごとにそれに対応する文字詰め量を登録したテーブルであり、従来より公知のものである。ペアカーニング処理部24は、文書中の各2文字の間の詰め量を、このペアカーニングテーブル40を参照して求め、文字詰めを行う。このペアカーニング処理部24の処理は従来知られているものと同様でよい。また、入力装置50及び文字列指定取得部26は、ユーザからの指定文字列の入力を受け付けるための機構であり、これについては後で詳しく説明する。また、表示部52は、文書メモリ10に保持された文書をディスプレイ装置54に表示するためのソフトウエア及びハードウエアの機構である。
【0028】図5は、本実施形態で用いる指定文字列カーニングテーブル30のデータ内容の一例を示す図である。図5に示すように、本実施形態では、指定文字列の文字詰め量は、文字のサイズごとに個別に定められ、登録されている。上記実施形態1では、文字のサイズによらず同じ比率で文字詰めを行っていたのに対し、本実施形態では、文字のサイズに合った適切な文字詰めができる。
【0029】指定文字列カーニング処理部22による文字詰め処理の手順は、実施形態1と同様である(図3参照)。指定文字列取得部222は、指定文字列カーニングテーブル30から、配列順に指定文字列の情報を取り出していく。検索・詰め量設定部224は、取り出された指定文字列を文書メモリ10上の文書から検索し、検索した文字列に対し適切な文字詰め量を設定する。この検索処理においては、文字列、書体及び文字のサイズのすべてが一致するもののみを検出する。
【0030】本実施形態では、指定文字列カーニングテーブル30において同じ文字列を含む指定文字列は長い方から順に配列し、一度検索され文字詰め量が設定された文字列はそれ以降検索の対象から外す。したがって、本実施形態では、実施形態1のようなオーバライト方式とは異なり、いったん設定された文字詰め量は変更されない。このような方式でも、実施形態1と同様、長い指定文字列の文字詰め量を優先的に適用することができる。本実施形態では、この方式を実現するために、組版対象の文書の各文字の属性データの一つとして検索済みを表すフラグを設けている。検索・詰め量設定部224は、文書中からある指定文字列に一致する文字列を検索したときは、その文字列の各文字についてそのフラグをセットする。検索の際には、そのフラグがセットされている文字は検索対象から外される。
【0031】次に、本実施形態における文字詰め処理の基本的な流れについて図6を参照して説明する。なお、ここでは、指定文字列カーニングテーブル30が予め準備されているものとする。
【0032】まず、組版対象の文書が文書メモリ10に読み込まれる(S10)。すると、次に、指定文字列カーニング処理部22が、この文書に含まれる指定文字列を検出し、適切な文字詰め量を設定していく(S20)。このS20の処理は、実施形態1において説明した図3の手順と同様である。この処理が終わると、文書中の指定文字列に該当した各文字には、前述の検索済みのフラグがセットされている。このようにして指定文字列についての文字詰めが完了すると、次にペアカーニング処理部24が、隣接する各2文字の間について、ペアカーニングテーブル40を参照して文字詰め処理を行う(S22)。ただし、S22においては、指定文字列内の各字間は、処理対象から外される。すなわち、ペアカーニング処理部24は、各文字の検索済みフラグを参照し、文書中の隣接する各2文字の組合せのうち、両方の文字が共に検索済みであるものについては、文字詰め処理を行わない。
【0033】このような処理により、組版対象の文書に含まれる指定文字列について当該文字列について定められた適切なバランスで詰め組みを行うことができると共に、指定文字列以外の部分についても、ペアカーニングテーブル40に基づき詰め組みを行うことができる。
【0034】なお、以上のような処理手順の代わりに、ペアカーニング処理部24による文字詰め処理を先に行い、その後で指定文字列カーニング処理部22により指定文字列について適切な文字詰め量をオーバーライトするという処理手順も可能である。
【0035】本実施形態の方法は、フォントベンダ等から供給された既存のペアカーニングテーブル40をベースにしつつも、特定の文字列だけはそのペアカーニングテーブル40の文字詰め量とは別の文字詰め量で詰め組みしたい場合等に有効である。すなわち、ペアカーニングテーブル40は様々な文書に対して汎用的に用いられることが多いので、ペアカーニングテーブル40を用いた詰め処理では、個々の文書の事情に即した十分な品質の文字詰め結果を得ることができない場合があり得る。極端な場合、2文字の文字列を、ペアカーニングテーブル40に登録されている文字詰め量とは異なる文字詰め量で文字詰めしたい場合も考えられる。このような場合に、本実施形態では、個々の文書の事情に応じ、特にきれいに文字詰めしたい文字列を指定文字列に指定し、適切な文字詰め量を求め、これを指定文字列カーニングテーブル30に登録しておけばよい。これにより、指定文字列については、ペアカーニングテーブル40よりも適切な文字詰め量で文字詰めを行うことができる。
【0036】以上、予め作成された指定文字列カーニングテーブル30を利用して文字詰めを行う例について説明したが、図4に示した文字組版装置は、この他に、ユーザから対話的に指定文字列の指定を受け、文字詰めを行うこともできる。この場合の処理の流れを図7を参照して説明する。
【0037】図4において、ディスプレイ装置54には、文書メモリ10に保持されている文書が表示されている。ユーザは、この文書表示を見ながら、マウスなどの入力装置50を用いて、その文書中で特にきれいに文字詰めしたい文字列を指定する(S30)。この文字列の指定を受け付けた文字列指定取得部26は、ディスプレイ装置54上に文字詰め量設定のためのダイアログボックスを表示し、そこに指定された文字列を表示する。ユーザが、入力装置50を操作して、そのダイアログボックス上でその文字列の各文字を移動させて字間の調整を行い、文字詰め量の設定を行う(S32)。この調整が終わると、文字列指定取得部26は、その調整結果から各字間の文字詰め量の情報を抽出する。この文字列及び文字詰め量の情報は、指定文字列及びこれに対応する文字詰め量情報として、検索・詰め量設定部224に渡される。検索・詰め量設定部224は、文書メモリ10の文書においてその指定文字列に一致する文字列を検索し、検索された文字列に、当該指定文字列の文字詰め量を設定する(S34)。すなわち、これは、文字列指定取得部26にて取得された指定文字列とその文字詰め量の情報とのペアを、いわばエントリが一つの指定文字列カーニングテーブルとみなして処理を行っているものと見ることができる。
【0038】また、本実施形態では、このようにして対話的に入力した指定文字列及びその文字詰め量の情報を指定文字列カーニングテーブル30に追加登録することができる。すなわち、例えば上記ダイアログボックスにおいて、ユーザがその指定文字列を指定文字列カーニングテーブル30に登録することを選択した場合(S36)、その指定文字列及び文字詰め量を指定文字列カーニングテーブル30に追加登録する(S38)。この構成によれば、ある文書を対話的に文字詰めしながら指定文字列カーニングテーブルを作成し、完成した指定文字列カーニングテーブルを別の文書の文字詰めのために利用するといった運用も可能である。
【0039】なお、図7に示した指定文字列及び文字詰め量情報をテーブルに登録する処理は、前述の実施形態1においても実施可能である。
【0040】以上、本発明の好適な実施形態について説明した。上記各実施形態では、組版対象の文書から指定文字列を検出するに当たり、指定文字列カーニングテーブル30中の指定文字列を文書中から検索したが、これとは逆に、文書内の文字列に一致する指定文字列を指定文字列カーニングテーブル30から探し出すという方式を用いても良い。この場合、自然言語処理の分野で知られている最長一致法を用いれば、文書内に含まれる指定文字列を順に探し出すことができる。
【0041】なお、上記各実施形態において説明した文字詰め方法は、その手順を記述したプログラムをコンピュータで実行させることにより実現することができる。この場合、そのプログラムをコンピュータで読み取り可能な記録媒体の形でユーザに提供することもできる。したがって、このような記録媒体も本発明の範囲に含まれる。記録媒体としては、例えば、フロッピーディスク、CD−ROM(コンパクトディスク−リード・オンリー・メモリ)、ハードディスク、ROM(リード・オンリー・メモリ)などが挙げられる。記録媒体に記録されたプログラムは、コンピュータのメインメモリ上にロードされ、CPU(中央処理装置)にて実行されることにより、上記の機能を実現する。なお、プログラムを通信媒体を経由して、コンピュータに付属した固定ディスク装置にインストール又はメインメモリにロードして実行するような形態も本発明の態様に含まれる。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、テーブルに記憶された指定文字列について、文字列全体のバランスを考慮した文字詰め量で文字詰めを行うことができる。また、本発明によれば、汎用の一般テーブルをベースに文字詰め処理を行いつつも、特にユーザが所望する文字列についてはその一般テーブルとは異なる文字詰め量で文字詰めすることができ、個々の文書の事情に応じた文字詰めを行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000207551
【氏名又は名称】大日本スクリーン製造株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月8日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
【公開番号】 特開平11−85730
【公開日】 平成11年(1999)3月30日
【出願番号】 特願平9−243175