| 【発明の名称】 |
仮想現実感装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】石川 隆敏
【氏名】石橋 賢司
【氏名】小林 恭
【氏名】佐藤 彰
【氏名】谷尻 靖
【氏名】大澤 聡
【氏名】長田 英喜
|
| 【要約】 |
【課題】映像情報や音声情報のみを提示する装置より高い臨場感・現実感が得られる仮想現実空間を被提示者に提示する仮想現実感装置を提供することを目的とする。
【解決手段】仮想現実感装置において、温度に関する情報を生成する温度情報生成手段4と、該温度情報生成手段4により生成された情報に基づいて被提示者に温度を提示する温度提示手段6a、6b、6c、6dとを有する構成とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 温度に関する情報を生成する温度情報生成手段と、該温度情報生成手段により生成された情報に基づいて被提示者に温度を提示する温度提示手段とを有することを特徴とする仮想現実感装置。 【請求項2】 映像に関する情報を生成する映像情報生成手段と、該映像情報生成手段により生成された情報に基づいて被提示者に映像を提示する映像提示手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の仮想現実感装置。 【請求項3】 音声に関する情報を生成する音声情報生成手段と、該音声情報生成手段により生成された情報に基づいて被提示者に音声を提示する音響提示手段とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の仮想現実感装置。 【請求項4】 力覚に関する情報を生成する力覚情報生成手段と、該力覚情報生成手段により生成された情報に基づいて被提示者に力覚を提示する力覚提示手段とを有することを特徴とする請求項1乃至3に記載の仮想現実感装置。 【請求項5】 前記映像情報の画面輝度分布を計算する処理手段を有し、前記温度情報生成手段は前記処理手段の計算結果に基づいて温度に関する情報を生成することを特徴とする請求項2に記載の仮想現実感装置。 【請求項6】 前記映像情報生成手段は映像空間内の物体の放射温度、位置の情報を含む映像に関する情報を生成し、前記温度情報生成手段は前記映像情報生成手段により生成された情報に基づいて温度に関する情報を生成することを特徴とする請求項2に記載の仮想現実感装置。 【請求項7】 被提示者の仮想空間内の位置を検出する検出手段を有し、前記温度情報生成手段は前記検出手段の検出結果も加味して温度に関する情報を生成することを特徴とする請求項6に記載の仮想現実感装置。 【請求項8】 温度に関する情報を生成する温度情報生成手段を有する仮想現実感装置と、前記温度情報生成手段で生成された情報に基づいて温度を提示する温度提示装置とを備えることを特徴とする仮想現実実感システム。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、リラクゼーションシステム、シミュレーターなどの被提示者に仮想現実空間を提示する仮想現実感装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来の仮想現実感装置は、主として映像を提示することによる視覚効果を利用して被提示者に仮想現実空間を与える構成となっている。これらの装置においては、より臨場感・現実感などの心理効果を高める手段が模索されている。 【0003】図14〜図17に、従来の仮想現実感装置の簡単なブロック図を示す。尚、これらの仮想現実感装置以外にも公知のものはあるが、ここでは省略する。 【0004】〈従来例1〉図14の仮想現実感装置では、2D(2次元)映像信号生成手段100において生成された映像信号が映像提示手段(例えばCRT)101に与えられ、ここで2D映像が表示される。被提示者は、映像提示手段101に表示された映像を観察することにより仮想現実空間を体験することができる。テレビは、図14の仮想現実感装置の代表例である。 【0005】〈従来例2〉図15の仮想現実感装置では、3D(3次元)映像信号生成手段102において生成された映像信号が映像提示手段(例えばHMD)103に与えられ、ここで3D映像が表示される。映像提示手段103がHMDである場合は、被提示者は頭部に搭載したHMDのディスプレイに表示される映像を観察することにより仮想現実空間を体験することができる。 【0006】〈従来例3〉図16の仮想現実感装置では、VR空間生成手段104において3D映像情報と、被提示者の手や腕の動きに対して作用・反作用の感覚を与えるための力覚情報を生成する。生成された3D映像情報は、映像提示手段103に与えられここで3D映像が表示される。力覚情報は、力覚提示手段104に与えられる。力覚提示手段104では、与えられた力覚情報に基づいて例えば被提示者の手や腕に力を提示する。 【0007】〈従来例4〉図17の仮想現実感装置では、ヘッドトラックセンサー106によって観察者の頭部位置と方向を検出する。この検出結果はVR空間生成手段104に与えられる。VR空間生成手段104内では、3D映像生成手段102によって映像情報が生成される。 【0008】そして、矢印107で、3D映像生成手段102から出力された映像情報にヘッドトラックセンサー106の検出結果が加味され、この映像信号が映像提示手段103に与えられる。この装置では、被提示者が観察する映像は被提示者の観ている方向の映像に順次切り替えられることになる。被提示者はこのようにして与えられた映像を観察することにより、仮想現実空間を体験することができる。 【0009】上記仮想現実感装置の映像情報には、音声情報を含む場合もあり、例えば映像に合わせたステレオ音響で臨場感を増すように工夫した仮想現実感装置も開示されている。 【0010】その他特殊な例として、バイクのシミュレーターなどにおいて、速度に応じた映像を提示するとともに、扇風機やコンプレッサーなどにより前方から風を送り、その風圧を変化させることで運転者(被提示者)の仮想現実空間体験における心理効果を高めている。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】視覚効果を利用したVR装置において、現在の一般的な表示素子(LCD、CRT)における映像輝度は150cd/m2程度のため、太陽光や、炎などを含むまぶしいシーン、熱さ(暑さ)を感じさせるシーンなどは表示できず、現実感が損なわれる。輝度レンジの広い映像を視覚的に提示することは、レーザー光を2次元走査して網膜に直接描写することにより達成可能である。 【0012】しかし、例え映像観察装置によって自然な映像(解像度、網膜像の大きさ、視差情報、輝度、コントラストなど)の表示を達成できたとしても、可視光以外の光まで再現することはできない。現実の空間において自然光は、可視光以外の赤外光や紫外光を含む。現実の空間においては、赤外光の作用により例えば強い日差し、弱い日差しなどの異なる明るさ感覚を肌で感じたり(強い日差しの場合はその強さによっては痛みさえも感じる)、暖炉の前では肌で熱輻射を感じたりする。 【0013】これら肌で感じる赤外光の作用を仮想現実感装置で再現する事により、さらに臨場感を増すことができる。赤外光の作用の再現とは具体的には、観察者に対して温度感覚を与えることである。尚、温度感覚を与えることは、赤外光の作用を再現するだけでなく、人間の心理に与える影響が大きい。例えば、恐怖や驚きの感覚を与る場合、又はこれらの感覚を与える映像シーンを表示する場合、冷たさ・熱を一瞬提示することで心理効果が大きくなる。しかしながら、従来技術のVR装置において、温度感覚を与えることにより臨場感を増加させる技術はない。 【0014】本発明は、より高い臨場感・現実感が得られる仮想現実空間を被提示者に提示する仮想現実感装置を提供することを目的とする。 【0015】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1に記載の仮想現実感装置は、温度に関する情報を生成する温度情報生成手段と、該温度情報生成手段により生成された情報に基づいて被提示者に温度を提示する温度提示手段とを有する構成とする。 【0016】このような構成においては、被提示者に冷たさや暖かさなどの温度感覚を提示する手段を有する。人間は現実の空間において常に温度を感じているので、被提示者に温度感覚を提示することにより与える心理効果は大きい。例えば、夏は暑いと感じ冬は寒いと感じる。かき氷を食べたら冷たいと感じる。上記構成においては、これらの感覚を被提示者に提示することができるので、より臨場感の高い仮想現実空間を提示できる。 【0017】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の仮想現実感装置において、映像に関する情報を生成する映像情報生成手段と、該映像情報生成手段により生成された情報に基づいて被提示者に映像を提示する映像提示手段とを有する構成とする。 【0018】このような構成においては、仮想現実空間に関する情報として映像と温度が提示される。よって、例えば映像に合わせて顔面などに温度感覚を提示するように構成することで、視覚・温覚の複合的な心理効果が得られる空間を被提示者に提示でき、より臨場感・現実感の高い仮想現実空間を提示できる。太陽の映像を表示する場合は、顔面に熱いと感じる温度感覚を与えるなどの制御を行うようにする。 【0019】請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の仮想現実感装置において、音声に関する情報を生成する音声情報生成手段と、該音声情報生成手段により生成された情報に基づいて被提示者に音声を提示する音響提示手段とを有する構成とする。 【0020】このような構成においては、仮想現実空間に関する情報として音声と温度更には映像が提示される。音響提示手段により恐怖感を与えるような音声や、悲しい音楽を提示する場合は、温度提示手段で冷たい感覚を被提示者に提示したり、南国音楽や楽しいロックの音楽を提示する場合は、暖かさを提示したりすることで心理効果が高まる。 【0021】請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3に記載の仮想現実感装置において、力覚に関する情報を生成する力覚情報生成手段と、該力覚情報生成手段により生成された情報に基づいて被提示者に力覚を提示する力覚提示手段とを有する構成とする。 【0022】このような構成においては、仮想現実空間に関する情報として力覚とともに温度を被提示者に提示できる。被提示者が仮想現実空間の物体に触ったときに力覚提示手段により反作用を指や腕などに提示するとともに、その物体の冷たさや暖かさを温度提示手段により提示することで、現実感を増すことが可能である。例えば、冷たい金属棒に触れる場合と熱い金属棒に触れる場合で温度提示を変えることで心理効果を高められる。 【0023】請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の仮想現実感装置において、前記映像情報の画面輝度分布を計算する処理手段を有し、前記温度情報生成手段は前記処理手段の計算結果に基づいて温度に関する情報を生成する構成とする。 【0024】このような構成によると、処理手段は映像情報に含まれる輝度に関する信号と色に関する信号から一画面の輝度分布を求め、温度情報生成手段は前記輝度分布に応じた温度情報を生成する。温度提示手段では、前記温度情報に基づいて温度を提示する。例えば、映像画面の左に暖炉が表示される場合は、被提示者の顔面の左側に暖かさを提示する用に制御する。このような制御により、映像に対応させて領域毎に提示する温度を変えることができことになる。 【0025】請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の仮想現実感装置において、前記映像情報生成手段は映像空間内の物体の放射温度、位置の情報を含む映像に関する情報を生成し、前記温度情報生成手段は前記映像情報生成手段により生成された情報に基づいて温度に関する情報を生成する構成とする。 【0026】このような構成によると、映像空間内の物体の放射温度と位置に関する情報に基づいてその物体位置から被提示者が受ける熱量を算出し、算出量に対応する温度を温度提示手段によって被提示者に提示できる。また、ここでは被提示者の視野内(表示手段に表示される映像の領域)に限らず仮想現実空間の全天周から到達する温度を提示するように制御する。 【0027】請求項7に記載の発明においては、請求項6に記載の仮想現実感装置において、被提示者の仮想空間内の位置を検出する検出手段を有し、前記温度情報生成手段は前記検出手段の検出結果も加味して温度に関する情報を生成する構成とする。 【0028】このような構成によると、被提示者が仮想現実空間内を移動する場合にも、被提示者の位置に対応する映像を提示することと、温度を提示することができる。例えば、被提示者は仮想現実空間内で左から強い日差しが照りつける中で車を運転しているドライバーであるとする。ドライバーの視点で観察される映像を表示する場合に、画面によって知覚されない光(放射熱)を被提示者の左側側面に温度感覚として提示し、日陰を横切るときなどは温度提示を停止するなどとすることで臨場感・現実感の高い仮想現実空間を提示できる。 【0029】請求項8に記載の発明は、仮想現実実感システムにおいて、温度に関する情報を生成する温度情報生成手段を有する仮想現実感装置と、前記温度情報生成手段で生成された情報に基づいて温度を提示する温度提示装置とを備える構成とする。 【0030】このような構成においては、仮想現実空間において温度を提示する手段として、温度提示装置を備えている。暖かさや冷たさを提示する温度提示装置として、例えばエアコンなどを用いる。この場合、空間全体の温度を変化させることができるので、空間全体を仮想現実空間として提示することができ被提示者が得られる臨場感も高いものとなる。 【0031】その他、被提示者が仮想現実空間を体験する際に着席する椅子などを温度提示装置とすることも可能であり、この場合は被提示者に直接温度感覚が提示されることになる。尚、このような被提示者の近傍に備えられる温度提示装置と、空間全体に温度を提示するエアコンなどの温度提示装置を組み合わせることで、より高い臨場感を与えることができる仮想現実実感システムを構成することが可能である。 【0032】 【発明の実施の形態】 〈第1の実施形態〉図1に、被提示者2が本実施形態の仮想現実感装置を装着している様子を示すとともに本装置の基本構成を模式的に示す。1は、映像提示手段1aと音響提示手段1bを備える(映像音響提示手段)ヘッドマウントディスプレイ(HMD)である。映像提示手段1aは、温度提示手段6cにもなっている。音響提示手段1bはヘッドホンで構成されており、これも温度提示手段6dとなっている。尚、HMD1には頭部位置を検出するヘッドトラックセンサー(不図示)も構成されている。 【0033】7は、被提示者3がVR空間の物体を手で掴もうとする場合などに、指や手に反作用力を与える力覚提示手段である。8は、被提示者2の手の動きを検出する力覚センサーである。尚、力覚センサー8は被提示者2の手に温度感覚を与える温度提示手段6bにもなっている。 【0034】温度提示手段6bは、具体的には、本実施形態のように手の甲に接触するように構成してもよいし、指、腕、手の平に接触する構成又は手や腕の近傍に配される構成であればその他の構成でもよい。、映像音響提示手段1、力覚提示手段7、温度提示手段6a、6b、6c、6dを合わせてVR(仮想現実)空間提示手段という。VR空間提示手段で提示された情報により、被提示者2はVR空間を体験する。 【0035】4は、VR空間提示手段が提示する情報を生成するVR空間生成手段である。VR空間生成手段4はワークステーションで構成されている。尚、VR空間生成手段4の構成は本実施形態の構成に限らず、一つ以上のワークステーションやパソコンで構成することができる。VR空間生成手段4内の構成については後述する。 【0036】5は、本装置による仮想現実空間体験時に被提示者2が座る椅子である。椅子5の内部には温度提示手段6aが構成されており、これを介して椅子5に座った被提示者3に温度感覚が提示される。尚、温度提示手段6a、6b、6c、6dは具体的には暖かさや熱さを提示するための電熱線ヒーターやブラックランプ、冷たさを提示するためのペルチェ素子などで構成される。 【0037】図2は、HMD1のより詳細な外観図である。被提示者が頭部保持部材1cを耳にかけると、おおよそ映像提示手段1aの瞳(接眼系)1a´の位置に眼がくるように構成されている。また、被提示者の耳近傍に音声手段であるヘッドホン1bが配されるように構成されている。1dは、ヘッドトラックセンサーで観察者の頭部位置を検出する。映像提示手段1aの被提示者の眼に対向する面には温度提示手段6cが構成されている。ヘッドホン1bの耳に当たる部分にも温度提示手段6dが構成されている。 【0038】図3に、温度提示手段6cの具体的な構成を示す。温度提示手段6cは、接眼系1a´の両側と、中間の位置に構成されている。両側の温度提示手段6cL、6cRはそれぞれ3つの領域(イ、ロ、ハ又はイ´、ロ´、ハ´)に分かれている(拡大図参照)。仮に、観察者(被提示者)が図4に示すような映像を観察している場合を考える。この場合、画面の左上に輝度の高い太陽が表示され、右下には山の影が映し出されている。観察者は、顔の全面で太陽光を受けるが、左上から受ける熱さがより強くなる。 【0039】このような実空間での温度感覚をできる限り再現するために、本実施形態の温度提示手段6cLでは、イの領域で一番高い温度が提示され、ロ、ハと提示される温度が低くなるようにする。温度提示手段6cRにおいては、ハ´の領域で一番低い温度が提示されるようにする。このような制御は、VR空間生成手段4内で行われる。以下、VR空間生成手段4の詳細な構成について説明する。 【0040】本実施形態のVR空間生成手段4内には、映像情報生成手段、力覚情報生成手段、音声情報生成手段が構成されているとともに、前記三つのそれぞれの生成手段に対応する処理手段と制御手段が構成されている。それぞれの生成手段毎の関連手段を含むブロック図を示し、信号処理の流れを説明する。 【0041】図5に、VR空間生成手段4内に構成されている映像情報生成手段9と関連手段を含むブロック図を示す。映像情報生成手段9では、例えば3Dコンピューターグラフィックスなどの3D映像情報が生成され記憶される。この3D映像情報に、ヘッドトラックセンサー1dからの頭部位置検出結果を加味し映像提示手段1aへの映像情報を再生して処理手段10へ送る。 【0042】処理手段10では、送られてきた映像情報の画面輝度の分布を算出し、その分布信号に基づいて温度提示データを生成する。例えば、前述の図4中の左上の太陽の部分の輝度が高いので温度提示手段6cLのイ領域での提示温度を高くするというような温度提示データの生成は処理手段10で行われる。制御手段11では、温度提示データに基づく温度提示手段6cへの制御信号を出力するとともに、この制御信号の出力のタイミングと映像情報が映像提示手段1aへ送られるタイミングが同じになるように同期信号を出力する。 【0043】尚、処理手段10では映像情報に基づいて前述のように画面輝度分布を求めるだけでなく、例えば映像情報から画面内に映し出されている映像の季節に関する情報を入手する。そして、その情報に基づいて例えば夏なら全体的に暖かい温度が提示されるような温度提示データを生成する。本実施形態の制御手段11では、この提示データに基づいて椅子5内の温度提示手段6aを制御する。つまり、夏の映像が映し出されているときには、椅子5が暖かくなり、冬の映像が映し出されているときには冷たくなるようにすることで、観察者はより臨場感の高い仮想現実空間を体験できる。 【0044】図6に、VR空間生成手段4内に構成されている力覚情報生成手段14と関連手段を含むブロック図を示す。力覚情報生成手段14では、力覚センサー8からの情報に基づいて力覚情報を生成する。例えば、観察者がVR空間の物体を手で掴もうとした場合に力覚センサー8がこのことを検知し、この検知結果に基づいて力覚情報生成手段14では指や手に反作用力を与えるようにする力覚情報を生成する。この力覚情報は、力覚提示手段7に送られ実際に観察者に反作用力が与えられることになる。 【0045】処理手段15では、力覚情報に基づいて温度提示データを生成する。例えば、力覚情報より観察者が掴もうとしたVR空間内の物体が熱いものであると判定された場合には温度提示データを熱くする。制御手段16では、温度提示データに基づく制御信号を生成し、温度提示手段6b内に出力する。尚、制御手段16では、力覚提示手段7に力覚情報が送られるタイミングと温度提示手段6bに制御信号が送られるタイミングが同一となるように同期信号を出力する。 【0046】図7に、VR空間生成手段4内に構成されている音声情報生成手段17と関連手段を含むブロック図を示す。音声情報生成手段17では、音声情報が生成される。この音声情報は音響提示手段1bに与えられここで音声として出力される。 【0047】処理手段18では、音声情報に基づいて温度提示データを生成する。例えば、悲しい音楽や恐怖感を与える音が提示される場合には冷たい感覚を与える温度提示データとする。南国音楽や楽しいロックの歌では、暖かい感覚を与える温度提示データとする。制御手段19では、この温度提示データに基づいて駆動信号を生成し、温度提示手段6a、6dに出力する。また、音響手段1bに出力される音声情報に温度提示手段6a、6dの温度変化が対応するようにする同期信号を生成し出力する。 【0048】尚、図5〜図7に示した各ブロック図における制御手段が制御する温度提示手段は図に示した通りでなくても勿論本発明は達成される。例えば、音声情報に基づいて温度提示手段6cも制御されるように構成してもよい。 【0049】図8に、図5〜図7に示した装置をひとまとめにして簡略化して示す。つまり、本実施形態の仮想現実感装置の概略構成のブロック図を示す。本装置では、力覚情報生成手段14により生成された力覚情報に、矢印50で力覚センサー8からの情報が加味され、この力覚情報が力覚提示手段7に与えられる。また、力覚情報に基づいて温度提示手段6bが制御される。 【0050】矢印51では、映像・音声情報生成手段9、17により生成された映像・音声情報に、ヘッドトラックセンサー1dからの情報が加味され、この映像・音声情報が映像・音声提示手段1に与えられる。また、映像・音声情報に基づいて温度提示手段6a、6c、6dが制御される。このように、VR空間情報生成手段4内では、温度に関する情報も生成されるので、VR空間情報生成手段4は温度情報生成手段も兼ねることになる。 【0051】〈第2の実施形態〉図9に、第2の実施形態の仮想現実感装置の概略構成のブロック図を示す。本装置は、映像・音声情報生成手段9、17により生成されたVR空間情報がHMD1に出力される構成となっている。また、VR空間情報に基づいて温度提示手段6a、6c、6dを制御する。本装置は、第1の実施形態の装置から力覚手段7に関連する手段とヘッドトラックセンサー1dを除いた構成となっているだけなので詳細な説明は省略する。 【0052】〈第3の実施形態〉図10に、第3の実施形態の仮想現実感装置の概略構成のブロック図を示す。本装置は、第2の実施形態の装置にヘッドトラックセンサー1dを設けた構成となっており、映像・音声情報生成手段9、17で情報が生成される。そして、矢印52で、映像・音声情報生成手段9、17から出力された情報にヘッドトラックセンサー1dからの情報が加味され、映像・音声提示手段1に与えられる。また、VR空間情報に基づいて温度提示手段6a、6c、6dが制御される。その他の構成は第2の実施形態と同様である。 【0053】〈第4の実施形態〉図11に、第4の実施形態の仮想現実感装置の概略構成のブロック図を示す。本装置は、映像・音声・力覚情報生成手段9、14、17と、力覚提示手段7を備えている。情報生成手段9、14、17で生成された情報は、力覚提示手段7にも与えられる。その他の構成は第3の実施形態と同様である。 【0054】〈第5の実施形態〉本実施形態の仮想現実感装置の原理を図12を用いて説明する。図12は、被提示者2が本装置28を装着し、表示手段に表示される映像を観察している様子を示した図である。20は、被提示者2が観察している映像の画枠である。本装置28は、VR空間内(視野内に限定されない空間内)に存する仮想物体の放射熱による温度感覚を被提示者2に提示するように構成されている。 【0055】VR空間情報として、被提示者の周辺360゜における仮想物体の色、輝度、距離、方向、放射熱に関する情報が用意されている。仮想物体A、B、CがVR空間内に存するとしてこれらの物体を図12に図示した。 【0056】仮想物体Aは被提示者の頭部方向から角度θA、距離LAのVR空間内に存在し、放射熱Aを有する。その他の仮想物体B、Cに関しても距離、方向、放射熱等の情報が用意されている。本装置28では、これらの情報に基づいて被提示者2に与える温度を制御する。以下、本装置28の仮想物体の放射熱に基づく温度の提示方法を説明する。 【0057】図13に、本装置を装着している被提示者とVR空間内の仮想物体の頭上から見た様子を模式的に示す。尚、図13で被提示者は、図12と同じVR空間内の同じ位置にいるとする。頭部支持手段23により本装置が被提示者の頭部に支持され、かつ本装置の映像表示手段24が眼の前方に来るように固定される。21、22は本装置内に構成されている温度提示手段である。 【0058】20は、被提示者2が観察している映像の画枠である。温度提示の範囲と強さは放射熱の大小と距離の長短によって算出される条件に基づいて行われる。一般的には熱源から到達する熱量は、熱源からの距離の2乗に反比例して小さくなっていくので、本実施形態では仮想物体の距離と放射熱のデータから提示温度を算出するように制御する。また、仮想物体の存する方向も考慮して温度提示領域を制御する。この場合、仮想物体が視野内に存するか否かは関係ない。 【0059】上記制御により、仮想物体Aの放射熱による温度感覚が温度提示手段21の範囲25に提示される。同様に、仮想物体Cの放射熱による温度感覚が温度提示手段22の範囲26に提示される。仮想物体Bについては、距離が長く、放射熱も大きくないので温度提示は行われない。 【0060】このような制御により、被提示者の視野内にない物体からの放射熱による温度提示もされ、物体との距離に応じた自然な温度提示が行われる。尚、頭部が動いた場合は不図示のヘッドトラックセンサーによりこれを検出し、この検出結果を加味して提示温度を決定するようにする。 【0061】また、VR空間内を被提示者2が移動するなどして仮想物体の距離や方向が変わっても、随時温度提示データを計算し、最適な温度提示範囲に最適な温度を提示するように制御することが望ましい。上記のような温度提示は、特に距離情報を有する立体映像情報やCG画像に対して有効である。 【0062】上記第1〜第5の実施形態では、仮想現実感装置内に温度提示手段が構成されていたが、温度提示手段はこのような構成に限るものではない。例えば、エアコンなどを温度提示手段(装置)として用いてもよい。この場合、空間全体に温度が提示されることになる。 【0063】 【発明の効果】本発明によると、赤外光などから感じる温度感覚を被提示者に提示することができるので、可視光による視覚的な情報のみを提示した場合より高い臨場感・現実感の得られる仮想現実空間を提示することができる。 【0064】また、提示する温度情報を映像情報、聴覚情報、力覚情報に基づいて生成することで、各情報が高い関連性を有するので、自然な仮想現実空間を提示することができる。 【0065】請求項6の発明によると、表示画面上の映像からだけでなくVR空間全体から得られる仮想的な温度情報を被提示者に提示することができるので、より現実感の高い仮想現実空間を提示することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000006079 【氏名又は名称】ミノルタ株式会社
|
| 【出願日】 |
平成9年(1997)9月4日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】佐野 静夫
|
| 【公開番号】 |
特開平11−85725 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月30日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−239266 |
|