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【発明の名称】 熱定着型電子写真用現像材
【発明者】 【氏名】豊田 英雄

【氏名】酒井 英紀

【氏名】筒井 俊之

【氏名】森園 賢一

【要約】 【課題】離型性、特に低エネルギー定着時の離型性、耐ブロッキング性および定着性に優れ、さらにオフセット現象がなく、かつキャリア、感光体、加熱ローラー等を汚染することもなく、このため静電トナーとして好適に用いることができる熱定着型電子写真用現像材を提供する。

【解決手段】結着樹脂(A)と着色剤(B)と離型剤(C)とを含有する熱定着型電子写真用現像材において、離型剤(C)が、エチレンと芳香族ビニル化合物とからなるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体であって、メタロセン触媒(D)の存在下にエチレンと芳香族ビニル化合物とを共重合して得られるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体であるか、またはメタロセン触媒(D)の存在下に重合して得られたエチレンと芳香族ビニル化合物との共重合体を加熱減成して得られるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体である熱定着型電子写真用現像材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 結着樹脂(A)と着色剤(B)と離型剤(C)とを含有する熱定着型電子写真用現像材において、前記離型剤(C)が、エチレンと芳香族ビニル化合物とからなるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体であって、メタロセン触媒(D)の存在下にエチレンと芳香族ビニル化合物とを共重合して得られるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体であるか、またはメタロセン触媒(D)の存在下に重合して得られたエチレンと芳香族ビニル化合物との共重合体を加熱減成して得られるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体であることを特徴とする熱定着型電子写真用現像材。
【請求項2】 離型剤(C)として用いるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体が、エチレンから導かれる構造単位85〜99モル%、芳香族ビニル化合物から導かれる構造単位1〜15モル%を含有するエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体である請求項1記載の熱定着型電子写真用現像材。
【請求項3】 離型剤(C)として用いるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体の重量平均分子量(Mw)が500〜18000である請求項1または2記載の熱定着型電子写真用現像材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は静電トナーに好適に用いられる熱定着型電子写真用現像材に関し、さらに詳しくは熱定着時の離型性、耐ブロッキング性および定着性に優れるとともに、オフセット現象がなく、またキャリア、感光体、加熱ローラー等を汚染することがないトナーを得ることができる熱定着型電子写真用現像材に関する。
【0002】
【従来の技術】静電トナーは静電的電子写真において帯電露光により形成された潜像を現像し、可視画像を形成するために用いられる現像材料である。この静電トナーは、樹脂中にカーボンブラック、他の顔料等の着色剤を分散させてなる帯電性微粉末を現像材として含むものである。このような静電トナーは、上記帯電性微粉末を鉄粉、ガラス粒子等のキャリアと共に分散して用いられる乾式二成分系トナー、上記帯電性微粉末をイソパラフィン等の有機溶媒を用いて分散系とした湿式トナー、および上記磁性微粉末が気相に分散された乾式一成分系トナーに大別されている。
【0003】ところで静電トナーにより感光体上に現像されて得られた画像は、紙に転写された後に、また感光層を形成された紙において直接現像により得られた画像はそのままで、熱や溶媒蒸気によって定着される。これらの中でも、加熱ローラーによる定着は、接触型の定着法であるため、熱効率が高く、比較的低温の熱源によっても確実に画像を定着することができ、さらに高速複写に適しているなどの長所を有している。
【0004】特に近年、電子写真の利用範囲が広がり、従来よりも低エネルギーで静電トナーを定着させる必要性が増大している。例えば、家庭用機器への電子写真の進出が進むにつれて、加熱ローラー部の消費電力の低減が要求されている。また、コンピュータ等の高速機器の出力端末に使用されるトナーとしては、高速定着性の向上も要求されている。
【0005】しかし、加熱ローラー等の加熱体を接触させて画像を定着させる場合、従来の静電トナーを使用するとオフセット現象、すなわち加熱体に静電トナーの一部が付着して後続の画像部分に転写される現象が生ずることがある。特に、加熱ローラーの温度が低いと、静電トナーが十分に軟化せず、印字用紙やフィルムへの定着性が低下すると同時に、オフセット現象が生じ易い。また、高速で複写する場合、定着効果および定着速度を向上させるために加熱体を高温にすると、オフセット現象を生じる原因となりやすい。そのため、例えば加熱ローラーの表面にシリコーン油を含浸させたり、あるいはシリコーン油を加熱ローラー表面に供給する等の方法によってオフセット現象の解消が図られているが、逆に加熱ローラーの汚れの原因となる等の問題が生じることがある。
【0006】また、静電トナーの成分である結着樹脂として、各種の熱可塑性樹脂が用いられ、特に低分子量のスチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、帯電性が良好で、100℃前後の適度な軟化点を有するため定着が容易であり、また感光体の洗浄が容易で汚染が少なく、低吸湿性であるほか、着色剤としてのカーボンブラックとの混合性がよく、さらに粉砕し易い等の長所を有するため、広く使用されている。しかし、この低分子量のスチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体を結着樹脂として用いる従来の静電トナーも、低温の加熱ローラーによる定着、あるいは高速複写においては、オフセット現象を生じ易いなどの問題があった。
【0007】このような問題を解決するため、静電トナーにポリオレフィンワックスを離型剤として配合することが提案されている(特公昭52−3304号公報、同52−3305号公報、同57−52574号公報、同58−58664号公報、特開昭58−59455号公報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記のポリオレフィンワックスを離型剤として添加した静電トナーにおいても、近年の低エネルギー定着条件においては、良好な定着性が発揮されず、このためオフセット現象を防止するまでには至っていない。その他にも、例えばポリオレフィンワックスを添加したトナーは、耐ブロッキング性が低下し、トナーカートリッジ内でトナーのブロッキングが生じ、トナーカートリッジから感光体上へトナーが供給されなくなるという別の問題が生ずる場合もある。さらにフィルミング現象、すなわちポリオレフィンワックス中に含まれる低結晶性物質が、キャリア、感光体、加熱ローラー等の表面に付着する現象が起こり、感光体上への静電潜像の形成や、トナーの帯電に悪影響を及ぼし、得られる画像が著しく乱れるという問題が生ずることもある。
【0009】本発明の課題は、離型性、特に低エネルギー定着時の離型性に優れるとともに、耐ブロッキング性および定着性に優れ、さらにオフセット現象がなく、かつキャリア、感光体、加熱ローラー等を汚染することもなく、このため静電トナーに好適に用いることができる熱定着型電子写真用現像材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意研究の結果、静電トナー中に添加するワックスとして、メタロセン触媒を用いて得られる特定のエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体を使用することによって、上記課題を解決することができることを見出し、本発明に到達した。
【0011】すなわち、本発明は次の熱定着型電子写真用現像材である。
(1)結着樹脂(A)と着色剤(B)と離型剤(C)とを含有する熱定着型電子写真用現像材において、前記離型剤(C)が、エチレンと芳香族ビニル化合物とからなるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体であって、メタロセン触媒(D)の存在下にエチレンと芳香族ビニル化合物とを共重合して得られるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体であるか、またはメタロセン触媒(D)の存在下に重合して得られたエチレンと芳香族ビニル化合物との共重合体を加熱減成して得られるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体であることを特徴とする熱定着型電子写真用現像材。
(2)離型剤(C)として用いるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体が、エチレンから導かれる構造単位85〜99モル%、芳香族ビニル化合物から導かれる構造単位1〜15モル%を含有するエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体である上記(1)記載の熱定着型電子写真用現像材。
(3)離型剤(C)として用いるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体の重量平均分子量(Mw)が500〜18000である上記(1)または(2)記載の熱定着型電子写真用現像材。
【0012】本発明の熱定着型電子写真用現像材(以下、単に現像材という場合がある)の(A)成分である結着樹脂としては、着色剤(B)を紙やフィルムに定着させて、形成された画像を長期間維持できる樹脂であって、帯電性、定着性および着色剤(B)との混和性などが良好で、適当な軟化点(100℃前後)を有する樹脂であれば、いずれのものでも使用でき、特に制限されない。このような樹脂としては、従来よりこの種の熱定着型電子写真用現像材に用いられている熱可塑性樹脂、あるいはこれらとほぼ同等の特性を有する樹脂が使用できる。
【0013】結着樹脂(A)の具体的なものとしては、例えばスチレン系重合体、ケトン樹脂、マレイン酸樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、テルペン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン等の非晶性樹脂があげられる。これらの結着樹脂(A)は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組合せて使用することもできる。上記結着樹脂(A)の中では、100℃前後の適度の軟化点を有し、良好な定着性を示す点で、スチレン系重合体が好ましい。
【0014】上記スチレン系重合体としては、例えばスチレン系単量体のみからなる単独重合体または共重合体、あるいはスチレン系単量体と他のビニル系単量体との共重合体などがあげられる。スチレン系単量体としては、スチレン、p−クロルスチレン、ビニルナフタレン等があげられる。
【0015】上記他のビニル系単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のエチレン性不飽和モノオレフィン類;塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−クロル−エチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸のエステル類;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミド等のニトリル類またはアミド類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物などがあげられる。これらのビニル系単量体の中ではα−メチレン脂肪族モノカルボン酸のエステル類が好ましい。
【0016】前記スチレン系重合体としては、重量平均分子量(Mw)が2000以上のものが好ましく、特に重量平均分子量(Mw)が3000〜30000のものが好ましい。また前記スチレン系重合体は、スチレン含有量が25重量%以上であるものが好ましい。
【0017】本発明の現像材の(B)成分である着色剤としては、紙やフィルムに定着されて可視画像を形成し、長期間退色しない着色剤であれば特に制限されず、いずれのものでも使用でき、従来よりこの種の熱定着型電子写真用現像材に用いられている着色剤、あるいはこれらに類する着色剤が使用できる。
【0018】着色剤(B)の具体的なものとしては、例えばカーボンブラック、フタロシアニンブルー、アニリンブルー、アルコオイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、キノリンイエロー、ランプブラック、ローズベンガル、ジアゾイエロー、ローダミンBレーキ、カーミン6B、キナクリドン誘導体等の顔料または染料があげられる。これらは1種単独で使用することもできるし、2種以上を組合せて使用することもできる。
【0019】また着色剤(B)には、補色や荷電制御を目的として、アジン系ニグロシン、インジュリン、アゾ系染料、アントラキノン系染料、トリフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、フタロシアニン系染料等の油溶性染料を配合してもよい。
【0020】本発明で使用するエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(C)は、メタロセン触媒(D)を用いて得られるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体、すなわちエチレンと芳香族ビニル化合物とからなるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体であって、メタロセン触媒(D)の存在下にエチレンと芳香族ビニル化合物とを共重合して得られるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体であるか、またはメタロセン触媒(D)の存在下に重合して得られたエチレンと芳香族ビニル化合物との共重合体を加熱減成して得られるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体である。
【0021】エチレンと共重合する芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−ブチルスチレン、4−sec−ブチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−ヘキシルスチレン、4−ノニルスチレン、4−オクチルスチレン、4−フェニルスチレン、4−デシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4ークロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、2−メトキシスチレン、4−メトキシスチレン、4−エトキシスチレン等をあげることができる。これらは1種単独で使用することもできるし、2種以上を組合せて使用することもできる。
【0022】本発明で使用するエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(C)は、エチレンから導かれる構造単位85〜99モル%、好ましくは95〜99モル%、芳香族ビニル化合物から導かれる構造単位1〜15モル%、好ましくは1〜5モル%を含有するエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体であることが望ましい。
【0023】エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(C)の重量平均分子量(Mw)は500〜18000、好ましくは1000〜11000であるのが望ましい。本発明において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、単分散ポリスチレンを用いて予め作成した検量線を用いて、単分散ポリスチレン換算で求められる値である。
【0024】またエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(C)の融点は、通常60〜130℃程度、好ましくは90〜120℃であるのが望ましい。本発明において、融点は示差走査型熱量計(DSC)で測定される値である。
【0025】本発明では、エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(C)として、前記のようなエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体を芳香族ビニル化合物または不飽和カルボン酸化合物などの変性剤によりグラフト変性したグラフト変性物を使用することもできる。グラフト変性物に占める上記変性剤のグラフト量は3〜60重量%、好ましくは5〜40重量%であるのが望ましい。
【0026】上記グラフト変性用の芳香族ビニル化合物としては、前記エチレンと共重合する芳香族ビニル化合物と同様の芳香族ビニル化合物をあげることができる。
【0027】また上記グラフト変性用の不飽和カルボン酸化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸2−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸イソヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸2−クロロフェニル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸ジエチレングリコールエトキシレート、アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸2−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸2−クロロフェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル等のメタクリル酸エステル類;マレイン酸エチル、マレイン酸プロピル、マレイン酸ブチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類;フマル酸エチル、フマル酸ブチル、フマル酸ジブチル等のフマル酸エステル類;イタコン酸エチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ブチル等のイタコン酸エステル類などをあげることができる。
【0028】エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(C)の変性方法としては、公知の種々の方法を採用することができる。例えば、エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(C)と芳香族ビニル化合物または不飽和カルボン酸化合物とをラジカル開始剤の存在下で加熱・溶融混合して反応させる方法などが使用できる。その際の反応温度は125〜325℃の範囲が好ましく、また使用されるラジカル開始剤としては、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物などがあげられる。
【0029】メタロセン触媒(D)を用いてエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(C)を得るには、メタロセン触媒(D)の存在下にエチレンと芳香族ビニル化合物とを共重合する方法、またはメタロセン触媒(D)の存在下に重合して得られたエチレンと芳香族ビニル化合物との共重合体を加熱減成する方法などが採用できる。メタロセン触媒(D)、およびメタロセン触媒(D)存在下にエチレンと芳香族ビニル化合物とを共重合する方法については、後で詳しく述べる。
【0030】メタロセン触媒(D)の存在下に重合して得られたエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体を加熱減成する方法としては、例えば高分子量のエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体を、1軸または2軸以上の押出機に供給して溶融混練しながら押出す方法、また管型反応器、槽型反応器等に高分子量のエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体を直接供給して加熱減成する方法、あるいは高分子量のエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体を押出機に供給して溶融混練しながら連続して押出し、管型反応器に供給して加熱減成する方法等があげられる。押出機または反応器における加熱温度は300〜450℃、好ましくは350〜400℃である。これらの方法の中では、高分子量のエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体を押出機に供給して溶融混練しながら連続して押出し、管型反応器に供給して加熱減成する方法が好ましい。また、加熱減成は窒素等の不活性雰囲気下に行うのが好ましい。
【0031】本発明の現像材において、エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(C)は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組合せて使用することもできる。
【0032】次にメタロセン触媒(D)について説明する。本発明で使用するメタロセン触媒(D)としては、シングルサイト触媒として従来より用いられているメタロセン系触媒、ならびにこれらに類似するメタロセン系触媒が制限なく用いられるが、特に遷移金属のメタロセン化合物(遷移金属化合物)(E)と、有機アルミニウムオキシ化合物(F)および/またはイオン化イオン性化合物(G)とからなる触媒が好ましく用いられる。
【0033】メタロセン化合物(E)としては、周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物、具体的には下記一般式(1)で表されるメタロセン化合物があげられる。
MLx …(1)
式(1)中、Mは周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属であり、具体的にはジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、xは遷移金属の原子価である。
【0034】Lは遷移金属に配位する配位子であり、これらのうち少なくとも1個の配位子Lはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は置換基を有していてもよい。
【0035】シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては、例えば、シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n-またはi-プロピルシクロペンタジエニル基、n-、i-、sec-、t-、ブチルシクロペンタジエニル基、ヘキシルシクロペンタジエニル基、オクチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、トリメチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、メチルエチルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、メチルヘキシルシクロペンタジエニル基、メチルベンジルシクロペンタジエニル基、エチルブチルシクロペンタジエニル基、エチルヘキシルシクロペンタジエニル基、メチルシクロヘキシルシクロペンタジエニル基などのアルキルまたはシクロアルキル置換シクロペンタジエニル基、さらにインデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などがあげられる。
【0036】これらの基は、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。これらの中では、アルキル置換シクロペンタジエニル基が特に好ましい。
【0037】式(1)で示されるメタロセン化合物(E)が配位子Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有する基を2個以上有する場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する基同士は、エチレン、プロピレンなどのアルキレン基、イソプロピリデン、ジフェニルメチレンなどの置換アルキレン基、シリレン基またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基などの置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
【0038】シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLとしては、炭素数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(−SO31)、ハロゲン原子または水素原子(ここで、R1アルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アリール基またはハロゲン原子またはアルキル基で置換されたアリール基である。)などがあげられる。
【0039】炭素数1〜12の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などがあげられ、より具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基などのアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基、トリル基などのアリール基、ベンジル基、ネオフィル基などのアラルキル基があげられる。
【0040】また、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、t-ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、オクトキシ基などがあげられる。アリーロキシ基としては、フェノキシ基などがあげられる。
【0041】スルホン酸含有基(−SO31)としては、メタンスルホナト基、p-トルエンスルホナト基、トリフルオロメタンスルホナト基、p-クロルベンゼンスルホナト基などがあげられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素があげられる。
【0042】前記式(1)で表されるメタロセン化合物(E)は、例えば遷移金属の原子価が4である場合、より具体的には下記一般式(2)で表される。
2k3l4m5nM …(2)
【0043】式(2)中、Mは式(1)の遷移金属と同様の遷移金属、好ましくはジルコニウムまたはチタンであり、R2はシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であり、R3、R4およびR5はそれぞれ独立にシクロペンタジエニル骨格を有する基または前記一般式(1)中のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLと同様である。kは1以上の整数であり、k+l+m+n=4である。
【0044】以下に、Mがジルコニウムであり、かつシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも2個含むメタロセン化合物(E)を例示する。ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムフェノキシモノクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(p-トルエンスルホナト)、ビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1-メチル-3-エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1-メチル-3-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどを例示することができる。
【0045】また本発明では、上記の1,3−位置換シクロペンタジエニル基を1,2−位置換シクロペンタジエニル基に置換えたメタロセン化合物(E)を用いることもできる。また前記式(2)において、R2、R3、R4およびR5の少なくとも2個すなわちR2およびR3がシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であり、この少なくとも2個の基がアルキレン基、置換アルキレン基、シリレン基または置換シリレン基などを介して結合されているブリッジタイプのメタロセン化合物(E)を例示することもできる。このときR4およびR5はそれぞれ独立に式(1)中で説明したシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLと同様である。
【0046】このようなブリッジタイプのメタロセン化合物(E)としては、エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)イソプロピリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドなどがあげられる。
【0047】本発明では、ブリッジタイプのメタロセン化合物(E)として下記一般式(3)で示されるメタロセン化合物を用いることが望ましい。
【化1】

【0048】式(3)中、M1は周期律表第IVB、VB、VIB族の遷移金属原子を示し、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウムなどである。R6およびR7は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基を示し、具体的には、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子;メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシルなどのアルキル基、ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、ナフチル、メチルナフチルなどのアリール基などの炭素数1から20の炭化水素基;前記炭化水素基にハロゲン原子が置換したハロゲン化炭化水素基;
【0049】メチルシリル、フェニルシリルなどのモノ炭化水素置換シリル、ジメチルシリル、ジフェニルシリルなどのジ炭化水素置換シリル、トリメチルシリル、トリエチルシリルなどのトリ炭化水素置換シリル、トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルのシリルエーテル、トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基、トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基、などのケイ素含有基;ヒドロオキシ基、メトキシ、エトキシなどのアルコキシ基、フェノキシ、メチルフェノキシなどのアリロキシ基、フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基などの酸素含有基;前記酸素含有基の酸素がイオウに置換した置換基などのイオウ含有基;アミノ基、メチルアミノ、ジメチルアミノなどのアルキルアミノ基、フェニルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などの窒素含有基;ジメチルフォスフィノなどのフォスフィノ基などのリン含有基である。
【0050】これらの中では、R6は炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチル、プロピルの炭素数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。またR7は水素原子、炭化水素基であることが好ましく、特に水素原子、またはメチル、エチル、プロピルの炭素数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。
【0051】R8、R9、R10およびR11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基を示し、これらの中では水素原子、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基であることが好ましい。R8とR9、R9とR10、R10とR11のうち少なくとも1組は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、単環の芳香族環を形成していてもよい。
【0052】また芳香族環を形成する基以外の基は、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基が2種以上ある場合には、これらが互いに結合して環状になっていてもよい。なおR11が芳香族基以外の置換基である場合は、水素原子であることが好ましい。
【0053】ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基の具体的なものとしては、前記R6およびR7と同様のものが例示できる。
【0054】X1およびX2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示す。ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基の具体的なものとしては、前記R6およびR7と同様のものが例示できる。
【0055】またイオウ含有基としては、前記R6、R7と同様の基、およびメチルスルホネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p-トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p-クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基、メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンゼンスルフィネート、p-トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基が例示できる。
【0056】Y1は、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR12−、−P(R12)−、−P(O)(R12)−、−BR12−または−AlR12−(ただし、R12は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。
【0057】Y1の具体的なものとしては、メチレン、ジメチルメチレン、1,2-エチレン、ジメチル-1,2-エチレン、1,3-トリメチレン、1,4-テトラメチレン、1,2-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレンなどのアルキレン基、ジフェニルメチレン、ジフェニル-1,2-エチレンなどのアリールアルキレン基などの炭素数1から20の2価の炭化水素基;クロロメチレンなどの上記炭素数1から20の2価の炭化水素基をハロゲン化したハロゲン化炭化水素基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n-プロピル)シリレン、ジ(i-プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジ(p-トリル)シリレン、ジ(p-クロロフェニル)シリレンなどのアルキルシリレン、アルキルアリールシリレン、アリールシリレン基、テトラメチル-1,2-ジシリレン、テトラフェニル-1,2-ジシリレンなどのアルキルジシリレン、アルキルアリールジシリレン、アリールジシリレン基などの2価のケイ素含有基;上記2価のケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した2価のゲルマニウム含有基;上記2価のケイ素含有基のケイ素をスズに置換した2価のスズ含有基置換基などであり、R12は、前記R6、R7と同様のハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
【0058】これらの中では2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基であることが好ましく、さらに2価のケイ素含有基であることが好ましく、このうち特にアルキルシリレン、アルキルアリールシリレン、アリールシリレンであることが好ましい。
【0059】以下に前記式(3)で示されるメタロセン化合物(E)の具体的な例を示す。rac-エチレンビス(2-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルメチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルメチレンビス(2-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジフェニルメチレンビス(2-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレンビス(2-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレンビス(2-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジメチル、rac-ジメチルシリレン-ビス(4,7-ジメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,7-トリメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,6-トリメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(4-フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4−フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(α-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(β-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(1-アントラセニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリドなど。
【0060】また本発明では、メタロセン化合物(E)として下記一般式(4)で示されるメタロセン化合物を用いることもできる。
LaM22 ・・・(4)
(M2は、周期率表第IV族またはランタニド系列の金属であり、Laは、非局在化π結合基の誘導体であり、金属M2活性サイトに拘束幾何形状を付与しており、Zは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または20以下の炭素、ケイ素またはゲルマニウムを含有する炭化水素基、シリル基またはゲルミル基である。)
【0061】このような式(4)で示されるメタロセン化合物(E)の中では、下記一般式(4−1)で示されるメタロセン化合物が好ましい。
【化2】

【0062】式(4−1)中、M3はチタン、ジルコニウムまたはハフニウムであり、Zは上記と同様である。CpはM3にπ結合しており、かつ置換基Wを有する置換シクロペンタジエニル基またはその誘導体である。
【0063】Wは酸素、イオウ、ホウ素または周期率表第IVA族の元素であり、Vは窒素、リン、酸素またはイオウを含む配位子であり、WとVとで縮合環を形成してもよい。
【0064】式(4−1)で示されるメタロセン化合物(E)の具体的なものとしては、〔ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン〕チタンジクロリド、〔(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイル〕チタンジクロリド、〔ジベンジル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン〕チタンジクロリド、〔ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン〕ジベンジルチタン、〔ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン〕ジメチルチタンなどがあげられる。
【0065】その他にも上記メタロセン化合物(E)のチタンを、ジルコニウムまたはハフニウムに置換えたメタロセン化合物を例示することもできる。前記式(4)または(4−1)で示されるメタロセン化合物(E)としては、中心の金属原子がジルコニウムであり、少なくとも2個のシクロペンタジエニル骨格を含む配位子を有するジルコノセン化合物が好ましい。
【0066】また本発明では、メタロセン化合物(E)として下記のメタロセン化合物を用いることもできる。エチレン{2-メチル-4(9-フェナントリル)-1-インデニル}(9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン{2-メチル-4(9-フェナントリル)-1-インデニル}(2,7-ジメチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン{2-メチル-4(9-フェナントリル)-1-インデニル}(2,7-ジ-t-ブチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(2-メチル-4,5-ベンゾ-1-インデニル)(9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(2-メチル-4,5-ベンゾ-1-インデニル)(2,7-ジメチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(2-メチル-4,5-ベンゾ-1-インデニル)(2,7-ジ-t-ブチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(2-メチル-α-アセナフト-1-インデニル)(9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(2-メチル-α-アセナフト-1-インデニル)(2,7-ジメチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(2-メチル-α-アセナフト-1-インデニル)(2,7-ジ-t-ブチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン{2-メチル-4(9-フェナントリル)-1-インデニル}(9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリドなど。
【0067】その他にも、上記ジルコニウム化合物において、ジルコニウムをチタンまたはハフニウムに置換えた化合物を例示することもできる。
【0068】本発明で使用するメタロセン化合物(E)としては、これまで説明したメタロセン化合物(E)を単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。本発明で使用するメタロセン化合物(E)は、炭化水素またはハロゲン化炭化水素に希釈して用いてもよい。
【0069】次に、メタロセン触媒(D)を形成する際に用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(F)およびイオン化イオン性化合物(G)について説明する。
【0070】本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(F)は、従来公知のアルミノオキサン(F)であってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物(F)であってもよい。
【0071】このような従来公知のアルミノオキサン(F)は、具体的には下記一般式(5)または(6)で表される。
【化3】

〔上記一般式(5)または(6)において、R13はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル基、とくに好ましくはメチル基であり、mは2以上、好ましくは5〜40の整数である。〕
【0072】ここで、このアルミノオキサン(F)は式(OAl(R14))で表わされるアルキルオキシアルミニウム単位および式(OAl(R15))で表わされるアルキルオキシアルミニウム単位(ここで、R14およびR15はR13と同様の炭化水素基を例示することができ、R14およびR15は相異なる基を表わす)からなる混合アルキルオキシアルミニウム単位から形成されていてもよい。
【0073】アルミノオキサン(F)の調製の際に用いられる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分、および上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物、とりわけ塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒があげられる。これらの溶媒の中では、特に芳香族炭化水素が好ましい。
【0074】イオン化イオン性化合物(G)としては、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物、およびカルボラン化合物を例示することができる。これらのイオン化イオン性化合物(G)は、特表平1−501950号公報、特表平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、USP−5321106号公報などに記載されている。
【0075】イオン化イオン性化合物(G)として用いるルイス酸としては、BR3(ここで、Rは同一または相異なり、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物があげられ、例えばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロンなどがあげられる。
【0076】イオン化イオン性化合物(G)として用いるイオン性化合物は、カチオン性化合物とアニオン性化合物とからなる塩である。アニオンは前記メタロセン化合物(E)と反応することによりメタロセン化合物(E)をカチオン化し、イオン対を形成することにより遷移金属カチオン種を安定化させる働きがある。そのようなアニオンとしては、有機ホウ素化合物アニオン、有機ヒ素化合物アニオン、有機アルミニウム化合物アニオンなどがあり、比較的嵩高で遷移金属カチオン種を安定化させるものが好ましい。カチオンとしては、金属カチオン、有機金属カチオン、カルボニウムカチオン、トリピウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどがあげられる。さらに詳しくはトリフェニルカルベニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、N,N-ジメチルアンモニウムカチオン、フェロセニウムカチオンなどである。
【0077】これらのうち、アニオンとしてホウ素化合物を含有するイオン性化合物が好ましく、具体的にはイオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などをあげることができる。
【0078】上記トリアルキル置換アンモニウム塩としては、例えばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ホウ素などがあげられる。
【0079】前記N,N-ジアルキルアニリニウム塩としては、例えばN,N-ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素などがあげられる。
【0080】前記ジアルキルアンモニウム塩としては、例えばジ(n-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などがあげられる。
【0081】前記トリアリールホスフォニウム塩としては、例えばトリフェニルホスフォニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(メチルフェニル)ホスフォニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(ジメチルフェニル)ホスフォニウムテトラ(フェニル)ホウ素などがあげられる。
【0082】さらに前記イオン性化合物としては、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどをあげることもできる。
【0083】イオン化イオン性化合物(G)として用いるボラン化合物としては、下記のような化合物をあげることもできる。
デカボラン(14);ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカボレートなどのアニオンの塩;およびトリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などがあげられる。
【0084】イオン化イオン性化合物(G)として用いるカルボラン化合物としては、4-カルバノナボラン(14)、1,3-ジカルバノナボラン(13)などのアニオンの塩;およびトリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド-1,3-ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)などの金属カルボランアニオンの塩などがあげられる。上記のようなイオン化イオン性化合物(G)は、2種以上組合せて用いてもよい。
【0085】本発明で用いるメタロセン触媒(D)は、必要に応じて、前記各成分に加えてさらに下記有機アルミニウム化合物(H)を含んでいてもよい。本発明において必要に応じて用いられる有機アルミニウム化合物(H)としては、例えば下記一般式(7)で示される有機アルミニウム化合物をあげることができる。
【0086】(R16)nAlX3-n …(7)
式(7)中、R16は炭素数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子または水素原子であり、nは1〜3である。
【0087】このような炭素数1〜15の炭化水素基としては、例えばアルキル基、シクロアルキル基またはアリ−ル基があげられ、具体的には、メチル基、エチル基、n―プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基などがあげられる。
【0088】このような有機アルミニウム化合物としては、具体的には以下のような化合物があげられる。トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、一般式 (i-C49)xAly(C510)z(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)で表わされるイソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド、ジメチルアルミニウムメトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド、ジエチルアルミニウムフェノキシドなどのジアルキルアルミニウムアリーロキシドなどがあげられる。
【0089】また有機アルミニウム化合物(H)として、下記の式(8)で表わされる化合物を用いることもできる。
(R18)nAl(R17)3-n …(8)
(式中、R18は前記R16と同様であり、R17は−OR19基、−OSi(R20)3基、−OAl(R21)2基、−N(R22)2基、−Si(R23)3基または−N(R24)Al(R25)2基であり、nは1〜2であり、R19、R20、R21およびR25はメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、R22は水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基などであり、R23およびR24はメチル基、エチル基などである。)
【0090】このような有機アルミニウム化合物(H)としては、具体的には以下のような化合物があげられる。(C25)2Al(OSi(CH3)3)、(iso-C49)2Al(OSi(CH3)3)、(C25)2Al(OAl(C25)2)、(CH3)2Al(N(C25)2)、(C25)2Al(NH(CH3))、(iso-C49)2Al[N(Si(CH3)3)2]など。
【0091】本発明で使用するメタロセン触媒(D)は、上述した成分(E)、成分(F)、成分(G)および成分(H)のうち少なくとも1つの成分が微粒子状担体に担持されてなる固体状触媒であってもよい。
【0092】またメタロセン触媒(D)は、微粒子状担体、成分(E)、成分(F)(または成分(G))および予備重合により生成する重合体または共重合体と、必要に応じて成分(H)とからなる予備重合触媒であってもよい。
【0093】固体状触媒および予備重合触媒に用いられる微粒子状担体は、無機あるいは有機の化合物であって、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmの顆粒状ないしは微粒子状の固体である。
【0094】このうち無機担体としては多孔質酸化物が好ましく、具体的にはSiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2など、またはこれらの混合物、例えばSiO2-MgO、SiO2-Al23、SiO2-TiO2、SiO2-V25、SiO2-Cr23、SiO2-TiO2-MgOなどを例示することができる。これらの中でSiO2およびAl23からなる群から選ばれた少なくとも1種の成分を主成分とするものが好ましい。
【0095】なお、上記無機酸化物には少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO4)3、BaSO4、KNO3、Mg(NO3)2、Al(NO3)3、Na2O、K2O、Li2Oなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差しつかえない。
【0096】このような微粒子状担体はその種類および製法により性状は異なるが、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜700m2/gであり、細孔容積が0.3〜2.5cm3/gであることが望ましい。微粒子状担体は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃の温度で焼成して用いられる。
【0097】さらに微粒子状担体としては、粒径が10〜300μmである有機化合物の顆粒状ないしは微粒子状固体をあげることができる。このような有機化合物としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンなどの炭素数2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)重合体あるいはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される重合体もしくは共重合体を例示することができる。
【0098】本発明で使用するエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(C)をメタロセン触媒(D)を用いて製造するには、メタロセン触媒(D)の存在下にエチレンと芳香族ビニル化合物とを、通常液相で共重合させる。この際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、プロピレン等のα-オレフィンを溶媒として用いてもよい。
【0099】このような炭化水素溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素およびそのハロゲン誘導体、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素およびそのハロゲン誘導体、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素およびクロロベンゼンなどのハロゲン誘導体などが用いられる。これら溶媒は組合せて用いてもよい。
【0100】エチレンと芳香族ビニル化合物とは、バッチ法、あるいは連続法いずれの方法で共重合されてもよい。共重合を連続法で実施するに際しては、メタロセン触媒(D)は以下のような濃度で用いられる。
【0101】すなわち重合系内のメタロセン化合物(E)の濃度は、通常0.00005〜0.1ミリモル/liter(重合容積)、好ましくは0.0001〜0.05ミリモル/literである。また有機アルミニウムオキシ化合物(F)は、重合系内のメタロセン化合物(E)に対するアルミニウム原子の比(Al/遷移金属)で1〜10000、好ましくは10〜5000の量で供給される。
【0102】イオン化イオン性化合物(G)は、重合系内のメタロセン化合物(E)に対するイオン化イオン性化合物(G)のモル比(イオン化イオン性化合物(G)/メタロセン化合物(E))で0.5〜20、好ましくは1〜10の量で供給される。
【0103】また有機アルミニウム化合物(H)が用いられる場合には、通常約0〜5ミリモル/liter(重合容積)、好ましくは約0〜2ミリモル/literとなるような量で用いられる。
【0104】エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(C)を製造する際の共重合反応は、通常温度が−20〜+150℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは0〜100℃、圧力が0を超えて〜80Kg/cm2、好ましくは0を超えて〜50Kg/cm2の条件下に行われる。
【0105】また反応時間(共重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常5分間〜5時間、好ましくは10分間〜3時間である。
【0106】エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(C)を製造する際には、エチレンおよび芳香族ビニル化合物は、前記のような特定組成の共重合体が得られるような量で重合系に供給されるのが好ましい。さらに共重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
【0107】上記のようにしてエチレンおよび芳香族ビニル化合物を共重合させると、エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(C)は通常これを含む重合液として得られる。この重合液は常法により処理され、エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(C)が得られる。
【0108】このようにしてメタロセン触媒(D)を用いて得られるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(C)、または前記のように加熱減成して得られるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(C)は、次のような特徴を有している。
1)ポリエチレン主鎖にスチレンユニット等の芳香族ビニル化合物ユニットをランダムに導入することで、ポリエチレンワックスの結晶性が低下した共重合体である。
2)スチレンが分子レベルで微細に分散しているため、結着樹脂(A)との親和性が向上する。
【0109】従って、上記のような特徴を有するエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(C)を配合することにより、離型性、特に低エネルギー定着時の離型性に優れるとともに、耐ブロッキング性および定着性に優れ、さらにオフセット現象がなく、かつキャリア、感光体、加熱ローラー等を汚染することがない熱定着型電子写真用現像材が得られる。
【0110】本発明の現像材において、前記結着樹脂(A)、着色剤(B)およびエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(C)の配合割合は、通常結着樹脂(A)/着色剤(B)/エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(C)の比が、重量比で100/(1〜20)/(1〜20)程度であり、好ましくは100/(1〜10)/(1〜10)程度である。
【0111】また本発明の現像材には、結着樹脂(A)、着色剤(B)およびエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(C)の必須成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を配合してもよい。例えば、荷電制御材、可塑剤、他のワックス等の離型剤などの他の成分を適宜配合してもよい。
【0112】本発明の現像材は、二成分系静電トナー、一成分系静電トナー等のいずれの静電トナーとしても用いられる。
【0113】本発明の現像材を二成分系静電トナーとして用いる場合、この二成分系静電トナーを製造するには、まず前記結着樹脂(A)、着色剤(B)、エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(C)、および必要に応じて配合するその他の成分を、バンバリーミキサー等を用いて溶融混練するか、またはボールミル、アトライタ等を用いる公知の方法で混合したのち加熱二本ロール、加熱ニーダー、押出機等を用いて混練し、その後冷却固化する。次に得られた固化物を、ハンマーミル、クラッシャー等を用いて粗砕した後、あるいは粗砕することなく、ジェットミル、振動ミルで、あるいは水を加えてボールミル、アトライタ等で微粉砕して平均粒径5〜35μmにしたものに、キャリアを加えて二成分系として調製する方法などを採用することができる。上記キャリアとしては公知のものが特に制限されることなく使用でき、例えば粒径200〜700μmの硅砂、ガラスビーズ、鉄球、あるいは鉄、ニッケル、コバルト等の磁性材料粉末などがあげられる。
【0114】この二成分系静電トナーにおけるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(C)の配合量は、結着樹脂(A)を含めた熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部の割合となる量である。
【0115】また、本発明の現像材を一成分系静電トナーとして用いる場合、この一成分系静電トナーは、結着樹脂(A)、着色剤(B)、エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(C)、必要に応じて配合するその他の成分、他の熱可塑性樹脂および磁性材料粉末を、前記二成分系静電トナーの調製と同様の方法にしたがって処理し、キャリアを加えることなく一成分系として調製することができる。
【0116】この一成分系静電トナーにおけるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(C)の配合量は、結着樹脂(A)100重量部に対して1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部の量である。
【0117】また、この一成分系静電トナーに配合される磁性材料粉末としては、通常粒径1μm以下のマグタイト微粉末が用いられるが、コバルト、鉄、ニッケル等の金属、それらの合金、酸化物、フエライトおよびこれらの混合物等の粉末なども使用することができる。この一成分系静電トナーにおける磁性材料粉末の配合量は、得られる静電トナーの電気抵抗が下がることなく静電トナーの電荷保持性が良好で、画像が滲むことがなく、しかも軟化点が適度な範囲に保持されるため定着を好適に行うことができ、さらに所要の帯電値が得られ、飛散もし難い点で、通常結着樹脂(A)と磁性材料粉末の合計100重量部に対して磁性材料粉末40〜120重量部の割合となる量である。また、前記二成分系静電トナーまたは一成分系静電トナーには、必要に応じて公知の荷電制御剤を添加してもよい。
【0118】さらに、本発明で用いているエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(C)は、単独で、あるいは界面活性剤等の乳化剤を添加することにより、容易に微粒子水分散体とすることができるため、いわゆる重合トナーの一成分として好適に用いることができる。
【0119】
【発明の効果】本発明の熱定着型電子写真用現像材は、結着樹脂(A)と着色剤(B)と特定のエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体からなる離型剤(C)とを含有しているので、離型性、特に低エネルギー定着時の離型性に優れるとともに、耐ブロッキング性および定着性に優れ、さらにオフセット現象がなく、かつキャリア、感光体、加熱ローラー等を汚染することがない。このため本発明の熱定着型電子写真用現像材は静電トナーとして好適に用いることができる。
【0120】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。なお実施例において、エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体の重量平均分子量(Mw)、融点の測定、ならびにトナーの特性評価における二成分系静電トナーの定着性、耐ブロッキング性、オフセット現象、画像の乱れ、および感光体・加熱ローラーの汚染性の評価は、下記の方法に従って行った。
【0121】《重量平均分子量(Mw)》溶媒としてo−ジクロロベンゼンを用い、濃度0.1重量%のエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体の溶液試料を調製した。この試料を、カラムとして東ソー(株)製GMH−HT(60cm)とGMH−HTL(60cm)を連結したものを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置(ウォータース社製、GPC150C)によって、温度140℃、測定流量:1.0ml/minで測定した。単分散ポリスチレン標準試料を用いて予め作成しておいた検量線によって、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)を求めた。
《融点》示差走査型熱量計(DSC)を用い、昇温速度10℃/minで測定した。
【0122】《定着画像の定着性》二成分系静電現像材を用いて、電子写真法によりセレン感光体上にテスト画像の複写および現像を実施した。得られた画像を転写紙に転写し、表面をポリテトラフルオロエチレン(デュポン社製)で形成した定着ローラーと、表面をシリコンゴム(信越化学(株)製、KE−1300RTV)で形成した圧着ローラーとを用い、定着ローラーの温度を200℃に調整して画像を定着させた。次いで、得られた定着画像の表面を、500gの荷重を載せた底面が15mm×7.5mmの砂消しゴムで5回摩擦し、その前後でマクベス社の反射濃度計で表面の光学反射密度を測定し、下記式によって定義される画像残存率を求め、定着性の指標とした。
画像残存率(%)=(摩擦後の画像濃度)/(摩擦前の画像濃度)×100【0123】《トナーの耐ブロッキング性》二成分系静電現像材100gを、容量500mlのポリエチレン製容器に入れ、30分間震盪した後、60℃で50時間静置した。その後、室温に戻し、ブロッキングの状態を調べた。ブロッキングの状態を以下の評価基準によって目視判定し、耐ブロッキング性を評価した。
◎:全くブロッキングしていない。
○:簡単に手でほぐれる程度のブロッキングが少し生じている。
△:簡単に手でほぐれる程度のブロッキングがかなり多い。
×:手で完全にはほぐせない塊が多数存在する。
【0124】《オフセット現象、画像の乱れ、および感光体・定着ローラー汚染性》二成分系静電現像材を用いて、電子写真法によりセレン感光体上にテスト画像を複写、現像させた。得られた画像を転写紙に転写し、表面をポリテトラフルオロエチレン(デュポン社製)で形成した200℃の定着ローラーと、表面をシリコンゴム(信越化学(株)製、KE−1300RTV)で形成した圧着ローラーとを用い、画像を定着させる複写工程を繰り返し行った。5000回複写工程を繰り返した後に、オフセット現象の有無、画像の乱れの有無、および感光体・定着ローラーの表面の汚染性を目視で調べ、下記の基準で評価した。
【0125】〔オフセット現象、画像の乱れ〕
○:全くオフセット現象および画像の乱れがなかった。
△:ごくわずかオフセット現象および画像の乱れが生じた。
×:オフセット現象または画像の乱れがかなりひどい。
〔感光体・定着ローラーの表面の汚染性〕
◎:感光体および定着ローラーの表面が全く汚れていない。
○:感光体または定着ローラーの表面に非常にわずかな汚れしか見られない。
△:感光体または定着ローラーの表面に少し汚れが見られた。
×:感光体または定着ローラーの表面がかなり汚れている。
【0126】実施例1《エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(C)の製造》
1)触媒溶液の調製充分に窒素置換したガラス製フラスコにメタロセン化合物(E)として[ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン]チタンジクロリドを40.5mg加え、そこに有機アルミニウムオキシ化合物(F)であるメチルアルミノキサンのトルエン溶液(Witco社製メチルアルミノキサンを乾固し、トルエンに再溶解したもの、Al濃度として1.1モル/liter)50mlを添加することにより触媒溶液を得た。
【0127】2)重合充分に窒素置換した内容積1 literのガラス製オートクレーブにトルエン498mlおよびスチレン2mlを装入し、系内の温度を40℃に昇温した。引続きエチレンと水素との混合ガス(それぞれ100 liter/hr、4 liter/hr)を流通させながら、上記1)で調製した触媒溶液30ml(Tiとして0.06ミリモル)を添加することにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより常圧下、40℃で75分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンをパージした。得られたポリマー溶液を大過剰の塩酸/メタノール混合溶液中に投入することによりポリマーを回収し、100℃で減圧下に一晩乾燥した。
【0128】その結果、重量平均分子量(Mw)が3000、エチレン単位が99モル%、スチレン単位が1モル%であるエチレン・スチレン共重合体を29.5g得た。得られたエチレン・スチレン共重合体ワックスの重量平均分子量(Mw)、融点を測定した。結果を表1に示す。また得られたエチレン・スチレン共重合体約50mgを、5mmφの試験管中で0.5mlのヘキサクロロブタジエンに均一に溶解させ、さらに重水素化ベンゼン0.05mlを加えて13C−NMRスペクトル測定用試料溶液を調製し、測定温度120℃、測定周波数67.8MHz、45℃パルス、スキャン回数15000回の条件で13C−NMRスペクトルを測定した。その結果、スチレン−スチレンの連鎖ブロックに基づくピーク(40〜44.7ppm)は認められなかった。
【0129】《トナーの調製》スチレン・アクリル酸n−ブチル共重合体(三洋化成工業(株)製、ハイマーSEM−73F、商標)100重量部、前記で得たエチレン・スチレン共重合体ワックス4重量部、カーボンブラック(三菱化成工業製、ダイヤブラックSH、商標)9重量部、含金染料(BASF社製、ザボンファーストブラックB、商標)2重量部および帯電制御剤(オリエント化学工業社製、P−51、商標)2重量部を、バンバリーミキサーで溶融混練し、冷却後ジェットミルにより微粉砕し、分級機により分級を行って、平均粒径10〜15μmのトナー粒子を得た。
【0130】《キャリア》平均粒径50〜80μmのフェライトキャリアを用いた。
《現像材の調製》上記トナー粒子120重量部およびフェライトキャリア100重量部を混合して二成分系静電現像材を調製した。この二成分系静電現像材について、前記方法により定着画像の定着性、トナーの耐ブロッキング性、オフセット現象、画像の乱れ、および感光体・定着ローラーの汚染性を評価した。結果を表1に示す。
【0131】実施例2、3実施例1のエチレン・スチレン共重合体ワックスの代わりに、実施例1と同様にして得た表1に示すエチレン・スチレン共重合体ワックスを用いて、実施例1と同様にして現像材を調製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0132】実施例4公知の方法で合成したイソプロピリデン−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドに触媒を変更して実施例1と同様にしてエチレン・スチレン共重合体ワックスを合成し、実施例1と同様にして現像材を調整して評価を行った。結果を表2に示す。
【表1】

【表2】

【出願人】 【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月8日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】柳原 成
【公開番号】 特開平11−84721
【公開日】 平成11年(1999)3月30日
【出願番号】 特願平9−337342