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【発明の名称】 磁性一成分カラートナー
【発明者】 【氏名】平本 廣幸

【氏名】野村 晋一

【氏名】宇井 和久

【要約】 【課題】従来の磁性一成分トナーは、該トナーの必須成分である磁性粉の本質的な色調が黒色であるため着色剤を添加してカラートナ−を得ても黒色の色調のものしか得られずカラートナーとすることが難しかった。また、カラートナー若しくはカラートナーに分散される粉体粒子同士が凝集し、取り扱い難いという問題があった。そこで、本発明は色度特性に優れた磁性一成分カラートナーを得ることおよび凝集を防止することを目的とする。

【解決手段】本発明では磁性体粒子等の表面を黒色以外の色調のコーティング層、特に黒色以外の色調のシリコン系重合膜にて被覆することで、上記した課題を解決するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくともバインダ樹脂、着色材料及び磁性体粒子を含有する静電荷現像用磁性一成分カラートナーにおいて、前記磁性体粒子の表面は黒色以外の色調のコーティング層にて被覆されていることを特徴とする磁性一成分カラートナー。
【請求項2】 前記磁性一成分カラートナーには、黒色以外の色調のコーティング層にて被覆されているカ−ボンブラック粒子が含有されていることを特徴とする請求項1記載の磁性一成分カラートナー。
【請求項3】 前記コーティング層が重合膜であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の磁性一成分カラートナー。
【請求項4】 少なくとも着色材料、バインダ樹脂及び磁性体粒子を含有する静電荷現像用磁性一成分トナーにおいて、前記磁性一成分カラートナーの表面が黒色以外の色調のプラズマ重合膜からなるコーティング層にて被覆されていることを特徴とする磁性一成分カラートナー。
【請求項5】 黒色以外の色調のコーティング層にて被覆されている磁性体粒子および又はカ−ボンブラック粒子を含有することを特徴とする請求項4記載の磁性一成分カラートナー。
【請求項6】 前記重合膜がシリコン系のプラズマ重合膜であることを特徴とする請求項3、請求項4又は請求項5のいずれか記載の磁性一成分カラートナー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法、静電記録法などに用いられる静電記録の画像を現像するトナーに関するもので、特に磁性一成分のカラートナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真法、静電記録法などに用いられる静電記録の画像に選択的に付着して、可視化する機能を持った乾式現像剤として一成分トナー及びキャリアを用いる二成分トナーが知られている。
【0003】一成分トナーを用いた場合の現像プロセスは、例えば図4に示したマグネダイナミック法による磁気ブラシ現像のように、磁気ロ−ラー62の外周に導電性スリーブ61を配置したマグネットロ−ラー60によりスリーブ61外周に沿って搬送された導電性磁性一成分トナー40が光導電層52を設けた導電性支持体51上に形成された静電潜像53に静電力により選択的に付着することにより行われる。
【0004】この例のように磁性キャリアを必要としない一成分トナーにトナー搬送のために磁性を付した磁性一成分トナー40は、図5に示したようにポリエステル系樹脂等からなるバインダ樹脂41の中に粒径0.1〜0.5ミクロン程度の磁性粉42を分散させることにより磁性を付与している。
【0005】また、該トナーを使用する現像システムに応じてトナー40の電気抵抗も調整され、導電性磁性一成分トナーの場合には磁性粉42の量比調整やカーボンブラック粒子43を内添するなどしてトナーの抵抗をE3(1000)〜E8Ωcmの低抵抗もしくはE8〜E12Ωcmの高抵抗のもの、またはE13Ωcm以上の高抵抗とした絶縁性トナ−とされ現像システムに応じた値とされている。
【0006】さらに、必要に応じてトナーには着色材料44や図示しない染料、離型剤、内添剤などが添加されていたり、外表面にカーボンブラックなどの外添層45が形成されていたりするものとされ、トナー粒子40の粒度をおよそ10ミクロン程度のものとしている。
【0007】一般に多用されているモノカラー用黒色トナーの場合にはファーネスブラック、チャネルブラック等のカーボンブラックをトナー内部に添加していたり、トナー表面に設けたカーボンブラック等の外添層が使用されていたりするのでこれを着色材料として使用すれば良いが、カラートナーの場合にはイエロー、マゼンタ、シアン等の着色が必要なので、着色材料44として所望の色の材料粒子を添加することが行われている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、磁性一成分トナーに用いられる磁性粉としてマグネタイト(四三酸化鉄)、フェライトなどの磁気特性を有する磁性体を用いることが不可欠であるが、マグネタイト及びフェライトは黒色着色顔料でもあるため黒色のモノカラー用トナーとしては好ましいが、カラートナーに用いた場合に磁性粉の本質的な色調である黒色が発現し好ましくないものとなる。また、他の磁性粉としてマグヘマイトもあるが、マグヘマイトは茶色を呈するものであるため、メグネタイトと同様に着色の問題を生じるものであり、所望のカラートナーの色に準じた本質的な色調を有する適当な磁性粉は存在しない。
【0009】さらに、導電性を調整するためにカーボンブラック粒子43を用いている場合には、カーボンブラック粒子43自体も黒色であるため、磁性粉及びカーボンブラックの本質的な色調である黒色がより一層濃度を増して表れるものとなり、例えば色純度の高いイエロー等の着色剤44を添加したとしても該カラートナーを用いて現像した画像が黒っぽいイエロー色となるという問題があり、色度特性に優れた磁性一成分のカラートナーを得ることは難しかった。
【0010】また、カラートナー40及びカラートナーに分散させる磁性粉42、カーボンブラック粒子43などの微粒子同士は凝集しやすく取り扱いが難しいという問題があった。
【0011】そこで、本発明は色度特性に優れた磁性一成分カラートナーを得る事を第1の目的とする。また、カラートナーもしくはカラートナーに分散させる微粒子が凝集しにくい磁性一成分カラートナーを得る事を第2の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は前記した課題を解決するための具体的な手段として、少なくともバインダ樹脂、着色材料及び磁性体粒子を含有する静電荷現像用磁性一成分カラートナーにおいて、前記磁性体粒子等の表面を黒色以外の色調のコーティング層、特に黒色以外の色調のシリコン系重合膜にて被覆することが提案される。
【0013】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施形態に基づいて説明する。図1は本発明により得られる磁性一成分カラートナーの1例である。
【0014】本発明により得られるトナー10は、バインダ樹脂1の中に磁性粉2及び着色剤4を分散させた磁性一成分カラートナー10としている点は従来と同一であり、この図の例ではトナー粒子の表面に外添層5を形成している。
【0015】しかしながら、本願発明においては磁性粉2を従来のようにマグネタイト(四三酸化鉄)、フェライトなどの磁気特性を有する磁性体の粉体をそのまま用いるのではなく、第2図(A)に示すように磁性材料2Aと該磁性材料2Aを覆うコーティング層2Bからなる被覆構造とした粉体を用いている。
【0016】マグネタイト(四三酸化鉄)、フェライトなどの磁気特性を有す磁性体の粉体からなる磁性材料2Aの表面をコーティング層2Bにて被覆することで、磁性粉による黒色着色が目立たなくなり、結果として現像した静電潜像への黒色着色が緩和されるものとなる。
【0017】特にコーティング層2Bを白色系もしくは着色剤4と同系統色に着色したものとしたり、外部光を散乱する散乱層とすることにより、着色剤4により表示するカラートナー10の色度特性を黒っぽい特性ではなく着色剤4の色純度に近い明瞭な色彩のものとすることができる。
【0018】以下図3に示した具体的な製造方法に沿って説明する。本願発明に使用する磁性粉2は例えば次のようにして製造される。図3にコーティング装置20の1例を示す。圧力調整可能な反応チャンバー21内に上側電極23及び下側電極24が適宜な距離を離れて平行に対向配置されており、チャンバー21内には原料供給口28よりコーティング原料22が導入されるようになっている。下側電極24は振動装置26により振動可能なものとなっており、上側電極23には電源25が接続されて電極間にてプラズマを発生可能なものとしている。電源として例えば13.56MHzの高周波電源を用いた場合には上部電極がRFカソード電極となり、アースに接続した下側電極がRFアノード電極となる。
【0019】まず始めに下側電極上に所望の粒径の粉体に加工した磁性材料2Aを容器27の中に厚みが1mm程度になるように薄く入れて配置し、その状態で反応チャンバー21内を減圧する。所定の圧力に調整してバルブ29を開けてヘキサメチルジシロキサン等のシリコン系化合物モノマーのコーティング原料22をガス状にして反応チャンバー21内に導入させ、電源25により電極間、即ちカソード電極とアノード電極間に高周波プラズマ放電を発生させる。このとき下側電極24は振動装置26により振動させられているので磁性材料2Aもプラズマ空間内で振動し、結果として磁性材料2Aの表面全面にヘキサメチルジシロキサン等のシリコン系化合物モノマーのプラズマ重合膜が形成されて磁性材料2Aの表面がコーティング層2Bで被覆された磁性粉2が得られる。例えば、電極径200mmの場合には高周波出力を500Wとして5〜10分程度の時間で磁性材料2Aの表面全面に白色コーティング層2Bが得られた。
【0020】磁性材料2Aは平均粒径0.1〜10ミクロン程度とされたマグネタイト、フェライト、マグヘマイト等の公知の磁性粉が用いられるが、特に1ミクロン以下、より好ましくは0.1〜0.5ミクロン程度とした磁性材料の粉体を用いるとトナー10のバインダ樹脂1内における分散性に優れ好ましいものとなる。コーティング層2Bは前記したヘキサメチルジシロキサンに限らず、トリメトキシシラン、テトラメチルシラン、テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ジエリルアミノトリメチルシラン、トリビニルシランなどの有機珪素のシリコン系モノマーや、アセチレン、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、シクロヘキセン、ベンゼン、トルエン等の不飽和炭化水素モノマー、テトラフルオロエチレン等のフルオロカーボンモノマー、スチレン、メタクリル酸メチル等のビニルモノマー等の各種モノマーや、これらの混合物のモノマーをコーティング原料22として用いることができる。
【0021】また、図示しないが、これらのコーティング原料22のみではなくアルゴン、酸素、窒素等のキャリアーガスもコーティング原料22と同時に反応チャンバー21内に導入させて電極間にプラズマ放電を発生させても良く、複数のコーティング原料及びキャリアーガスを混合しても良い。
【0022】磁性材料2Aを被覆する際のコーティンング原料、圧力、電力、原料供給速度、キャリアーガス等の条件を適宜選択することでコーティング層2Bのプラズマ重合膜の重合度や着色度を変更することができ、例えばヘキサメチルジシロキサンモノマーを用いた場合には条件を変えて重合度を変更することで透明から白色もしくは外部光を拡散する白濁した膜とすることができ、外見上白色とされた磁性粉2を得る事ができ好ましいものとなる。また、他のシリコン系モノマーを用いた場合も同様に成膜条件を適宜調整することで外見上白色などとした磁性粉2を得る事ができる。
【0023】このようにして作成した磁性粉2を無機顔料または有機顔料等からなる着色剤4と共にバインダ樹脂1中に分散させてカラートナー10を得ると、本質的に黒色系の磁性粉2が外見上白色のものとされているので、黒色が表面に表れることがなく着色剤4の色純度に優れたカラートナー10が得られるものとなる。
【0024】なお、コーティング装置は本実施例に限定されるものではなく、電源を他の周波数の電源としたり直流のものを用いたりしてもよく、電極も上下に水平対向配置した平行平板方式ではなく垂直に対向配置したものとしたり、誘導励起によりプラズマを発生させる外部誘導電極方式としてもよい。被コーティング材料である磁性材料2Aも下側基板の上に振動するように載置するのみでなく、キャリアガス等により乱流を起こして舞い上がるようにしたり、プラズマにより励起された長い空間をコーティングされながら搬送されるようにしたりするものであってもよい。
【0025】図3に示した実施例の装置を用いずに他の湿式方法によりコーティング層2Bを形成するものとすることもできる。但し、被コーティング材料である磁性材料2Aの粒径が小さいものであるので、湿式方法によるコーティングよりも、前述したプラズマ重合等の乾式方法によるコーティングが好ましく、また、コーティング層2Bを重合膜とすると容易に粒径の小さい磁性材料2A全表面をコーティング層2Bで被覆した構造を得る事ができ好ましいものとなるので、特に乾式で重合膜を形成できるプラズマ重合膜もしくは蒸着重合膜等の方法によりコーティング層2Bを形成することが優れている。
【0026】また磁性材料2Aにシリコン系のコーティング層2Bを形成した場合には磁性材料2Aのみの形態で用いた場合に比べて磁性粉2の凝集が抑止され、バインダ樹脂1内への分散性が向上するものとなった。さらに、シリコン系のコーティング層2Bは耐湿性を向上させると共に安定した帯電性を確保することのできる高抵抗、例えばヘキサメチルジシロキサン重合膜の場合にはE15〜E16Ωcmの膜とすることができ絶縁性磁性一成分トナーとしての利用も可能である。
【0027】図3の実施例では磁性粉2を磁性材料2Aとそれを被覆するコーティング層2Bからなる被覆構造としたものを使用したが、図3の実施例にて説明した方法と同様の方法で磁性材料2Aのみではなく電気抵抗の調整や着色を目的に添加するカーボンブラック粒子3にも、図2(B)に示したようにカーボンブラック材料3Aの表面をコーティング層3Bで被覆した被覆構造のカーボンブラック3とすることもできる。この場合にも、実施例1と同様に本質的には黒色系統の色のカーボンブラック材料3Aの着色が目立たなく成り、色純度に優れたカラートナーが得られるという先の実施例と同様の効果が得られるものとなる。
【0028】前述した実施例では図2(A)、(B)及び図3に示したようにカラートナー内部に分散する磁性粉2Aおよび又はカーボンブラック粒子3Aをコーティング層にて被覆した被覆構造としていた。本実施例ではカラートナー1自体にも実施例1と同様の方法にてプラズマ重合膜からなる外添層5を設けるものとしている。
【0029】即ち、図3の実施例では反応チャンバー21内の容器27に磁性体粉2Aを準備し、これにプラズマ重合膜のコーティング層2Bを形成するものとしていたが、磁性体粉2Aの代わりにバインダ樹脂1の中に着色剤4、磁性粉2等を分散させて所定の粒径、例えば10ミクロン程度の平均粒径としたものを準備し、これに被覆するものとすることで図1に示したような外添層5を有する磁性一成分カラートナー1が得られるものとなる。
【0030】また、このようにして得た磁性一成分カラートナー1の内部に分散されている磁性粉2、カーボンブラック粒子3を図2(A)、(B)に示したような被覆構造のものとしても良く、必要に応じて染料、離型剤などを加えるものとしても良い。
【0031】本実施例のようにカラートナーの表面に重合膜、特にシリコン系の重合膜を形成することにより、トナー同士の凝集防止と耐湿性を向上させることができる。また、Si−O結合は強いので成膜条件を調整することで重合膜の硬度を高める事もできる。従って、適宜コーティング条件を設定することでカラートナーの流動性、摩擦帯電量の調整、クリーニング性などの機能向上を図る事が可能となる。
【0032】
【発明の効果】以上に説明したように本発明により、使用する材料の本質上の色彩が黒色の磁性粉、カーボンブラックなどを外見上白色のものとすることができるので、黒色が表面に現れることが抑止され、カラートナーの色度特性を黒っぽい色度特性ではなく着色剤の色純度に近い明瞭な色彩のものとすることができる。また、磁性粉、カーボンブラック、カラートナーのいずれかの表面に重合膜、特にシリコン系のプラズマ重合膜を形成したことで、重合膜を形成した粉体同士の凝集防止と耐湿性が向上する。
【出願人】 【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月4日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−84720
【公開日】 平成11年(1999)3月30日
【出願番号】 特願平9−254127