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【発明の名称】 静電荷現像用トナー
【発明者】 【氏名】浅井 滋記

【氏名】佐藤 和弘

【氏名】中村 公彦

【氏名】宮本 篤生

【要約】 【課題】低温定着性、保存安定性が良好で、長寿命かつ高画質な静電荷現像用トナーを提供すること。

【解決手段】酸価が5〜30mgKOH/gのポリエステル樹脂、着色剤例えばカーボンブラック、電荷制御剤例えばクロム系金属錯塩、離型剤例えば天然ガス系フィッシャートロプシュワックスを含有し、180℃、1Hzにおける損失弾性率G″が500〜1500Paである静電荷現像用トナー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 酸価が5〜30mgKOH/gのポリエステル樹脂、着色剤、電荷制御剤及び離型剤を含有し、180℃、1Hzにおける損失弾性率G″が500〜1500Paであることを特徴とする静電荷現像用トナー。
【請求項2】 180℃、1Hzにおける貯蔵弾性率G′が500〜2000Paであることを特徴とする請求項1記載の静電荷現像用トナー。
【請求項3】 180℃、1Hzにおける損失正接tanδが0.7〜1.0であることを特徴とする請求項1記載の静電荷現像用トナー。
【請求項4】 電荷制御剤がクロム系金属錯塩であることを特徴とする請求項1記載の静電荷現像用トナー。
【請求項5】 離型剤が天然ガス系フィッシャートロプシュワックスであることを特徴とする請求項1記載の静電荷現像用トナー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法において使用される静電荷現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真法、静電記録法、静電印刷法等においては、支持体(記録層)上に形成された静電荷像は結着樹脂と着色剤を主成分とするトナー粒子によって可視化される。この可視像は支持体上にそのまま定着されるか、あるいは紙等の被着体に転写された後定着される。そのため、静電荷現像用トナーは現像性はもちろんのこと、良好な転写性および定着性が要求される。さらに近年、電子写真方式を用いた複写機およびプリンターはオフィスのほか一般家庭へも普及しつつある。また、デジタル化技術が進み、アナログ複写機からデジタル複写機への進展、低速プリンターの高速化等の高画質化かつ高速化が進みつつある。また、限られたオフィススペースから、多機能化への動きもあり、複写機、プリンター、FAXの複合化かつ小型化も進みつつある。機械の小型化が進む中、現像剤寿命を長くするため機械内部温度を下げる必要が生じ、定着温度の低温化が望まれ、省エネルギーと相まって低温定着可能なトナーの要求が高まっている。
【0003】低温定着を目指すため、トナーのガラス転移温度を下げる試みがなされてきたが、トナーが凝集し易く保存安定性と両立させることができなかった。また、トナーの溶融粘度を下げて低定着温度でのアンカー効果を持たせると、文字のつぶれが激しくなり画質が低下する。また、長寿命化を図るためトナーの軟化点を高くすると定着温度が高くなり、消費電力の削減、低エネルギー定着化要求とはかけ離れたものであった。一方、カルナバワックス、フィッシャートロプシュワックス、合成エステルワックス等の低分子量結晶性材料を使用することでトナーの僅かな低温定着化が可能となったが、トナーの流動性が低下する等の問題を抱えるため添加量に制限があり低温定着性はまだ十分なものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記問題点に鑑み、低温定着性、保存安定性が良好で、長寿命かつ高画質な静電荷現像用トナーを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、酸価が5〜30mgKOH/gのポリエステル樹脂、着色剤、電荷制御剤及び離型剤を含有し、180℃、1Hzにおける損失弾性率G″が500〜1500Paであることを特徴とする静電荷現像用トナーである。
【0006】本発明の静電荷現像用トナーに使用される酸価が5〜30mgKOH/gのポリエステル樹脂は、多価アルコールと多価カルボン酸から重縮合反応によって合成さる。該ポリエステル樹脂は酸価が5〜30mgKOH/gであることが必要である。酸価が5mgKOH/g未満では、顔料分散が悪化し、トナーの帯電性が不良になり、黒ベタ部の均一性が悪くなり画質が低下する。また、酸価が30mgKOH/gより大きいと環境依存性が悪くなる。
【0007】本発明に使用するポリエステル樹脂を構成する多価カルボン酸としては、フマール酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸、イタコン酸、グルタコン酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マロン酸、アルケニルコハク酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸等が挙げられる。また、多価アルコールとしては、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2,0)−ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
【0008】また、ポリエステル樹脂の中でも特にウレタン変性ポリエステル樹脂が、低温定着性、耐高温オフセット性が優れているため好ましい。ウレタン変性ポリエステル樹脂が、低温定着性及び高温オフセット性が優れている理由は明らかではないが、離型剤がポリエステル樹脂中に均一に分散できるためと考えられる。ウレタン変性ポリエステル樹脂は多価アルコールと多価カルボン酸から重縮合反応によって合成されたポリエステル樹脂に、イソシアネート化合物を添加し反応させることにより得られる。例えばポリエステル樹脂の粉体物を反応器に仕込み、イソシアネート化合物を添加して160〜220℃で2分から1時間反応させ、更に110〜150℃で10分から5時間反応させることにより得られる。上記のイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0009】トナーに添加される着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコオイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオクサレートランプブラック、ローダミン−B、キナクリドン、ローズベンガル及びこれらの混合物等が挙げられる。これらの着色剤は、十分な濃度の可視像が形成されるに十分な割合で含有されることが必要であり、通常は結着樹脂100重量部に対して1〜20重量部である。
【0010】離型剤としては、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス等の天然ワックス、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、フィッシャートロプッシュワックス等の合成炭化水素ワックス、合成エステルワックス等が挙げられる。特に低温定着性及び離型性に優れている天然ガス系フィッシャートロプッシワックスが好ましい。天然ガス系フィッシャートロプシュワックスを含有するトナーは、キャリア及び感光体表面上への融着が少ないので長寿命の現像剤を得ることができる。電荷制御剤としては、ニグロシン染料、四級アンモニウム塩、トリフェニルメタン系、樹脂系、ピリジニウム塩、アジン等の正電荷制御剤、クロム系または鉄系金属錯塩、樹脂系等の負電荷制御剤が挙げられる。電荷制御剤の含有量は、通常結着樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部である。特にクロム系金属錯塩が好ましい。クロム系金属錯塩は分散性が劣るが、1Hzにおける損失弾性率G″が500〜1500Paの範囲とすることにより分散性が向上する。
【0011】本発明の静電荷現像用トナーには、必要に応じて磁性剤、外添剤等を添加してもよい。磁性剤としては、酸価鉄、フェライト、マグネタイト等の他、コバルト、ニッケル等の強磁性を示す合金等が挙げられる。磁性体は平均粒径1μm以下のものが好ましい。磁性剤はトナーに磁性を付与して磁性トナーとするとともに、着色作用、研磨作用も有する。磁性剤の使用量は現像システムにより異なるが、通常はトナー中に0.01〜90重量%である。外添剤としては、シリカ、酸化チタン、アルミナ等の無機微粒子、樹脂微粒子、磁性粉が挙げられる。平均粒径1μm以下、特に0.1μm以下の微粒子が好ましい。シリカ、アルミナ、酸化チタン等の無機微粒子は、表面に疎水化処理を施したものが好ましい。外添剤は、流動性及び保存安定性の向上、研磨作用を気体して使用され、その添加量はトナー100重量部に対して0.01〜3重量部である。
【0012】本発明の静電荷現像用トナーは、180℃、1Hzにおける損失弾性率G″が500〜1500Paであることが必要であり、700〜1200Paの範囲が好ましい。損失弾性率G″が500Pa未満では、定着時の高温オフセットと画質が悪化し、1500Paより大きいと低温定着性が悪化する。また、損失弾性率G″が500〜1500Paのトナーは、キャリア及び感光体表面への融着が少ないので長寿命の現像剤を得ることができる。また、180℃、1Hzにおける貯蔵弾性率G′が500〜2000Pa、特に700〜1500Paであることが好ましい。貯蔵弾性率G′が500Pa未満では、定着時の高温オフセットが悪化し、1500Paより大きいと低温定着性が悪化する。さらに損失正接tanδが0.7〜1.0であることが好ましい。損失正接tanδが0.7より小さいと低温定着性が悪化し、1.0より大きいと高温オフセットが発生しやすく、キャリア及び感光体表面へトナーが融着しやすい。
【0013】なお、損失弾性率G″はある温度において角周波数ωとの関数でトナーサンプルを測定した際、そのトナーサンプルの粘弾性関数の粘性項として表され、その温度におけるそのトナー(樹脂)の粘性の度合いを意味するものである。また、貯蔵弾性率G′はある温度において角周波数ωとの関数でトナーサンプルを測定した際、そのトナーサンプルの粘弾性関数の弾性項として表され、その温度におけるそのトナー(樹脂)の弾性の度合いを意味するものである。損失正接tanδは損失弾性率G″/貯蔵弾性率G′である。本発明は損失弾性率G″及び貯蔵弾性率G′を混練時に制御して、前記トナー特性を改善するものである。
【0014】本発明の静電荷現像用トナーは、結着樹脂、着色剤、電荷制御剤、離型剤及びその他の成分を混合したのち、混練・粉砕・分級することにより得られる。トナー粒子の平均粒径は5〜20μmであり、高画質の複写物を得るには5〜10μmの範囲が好ましい。本発明の静電荷現像用トナーは、鉄粉、フェライト、造粒マグネタイト、磁性粉を含有せしめた樹脂粒子等からなるキャリアと混合して二成分現像剤あるいはキャリアと混合しない一成分現像剤として使用される。キャリアは一般に平均粒径30〜200μmのものが使用される。アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等で表面をコート処理を施したキャリアは耐スペント性が向上するため好ましい。
【0015】本発明におけるトナーの損失弾性率、貯蔵弾性率の測定は、キャリメ社製CSLレオメーターを使用した。
測定条件;プレート:パラレルプレート(直径2cm)、ギャップ:1mm、温度:200〜120℃、周波数:1Hz。
【0016】
【実施例】下記例中の「部」は「重量部」を意味する。
実施例1 ウレタン変性ポリエステル樹脂(酸化20mgKOH/g)100部 カーボンブラック(三菱化学社製:MA−100) 5部 クロム含金染料(オリエント化学工業社製:ボントロンS34)1部 天然ガス系フィッシャートロプシュワックス 2部 (シェルMDS社製:FT−100)
上記の材料をヘンシェルミキサー(三井三池工業社製)で混合した。この混合物を二軸混練機で設定温度100℃で溶融混練した後、ジェット粉砕・気流分級して平均粒径9.5μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に対して疎水性シリカ(キャボット社製:キャボシルTS−530)0.3部を加え、ヘンシェルミキサーで混合して本発明の静電荷現像用トナーを得た。このトナーのG″は912Pa、G′は1150Pa、tanδは0.79であった。なお、ウレタン変性ポリエステル樹脂としては、ビスフェノールA−EO付加物〔ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〕及びイソフタル酸からなるポリエステル樹脂とビスフェノールA−EO付加物、ネオペンチルグリコール及びイソフタル酸からなるポリエステル樹脂との混合物にトリレンジイソシアネートを添加してウレタン変性したものを使用した。
【0017】
実施例2 ポリエステル樹脂(酸化21mgKOH/g) 100部 カーボンブラック(三菱化学社製:MA−100) 5部 クロム含金染料(オリエント化学工業社製:ボントロンS34)1部 天然ガス系フィッシャートロプシュワックス 2部 (シェルMDS社製:FT−100)
上記の材料を実施例1と同様に処理して本発明の静電荷現像用トナーを得た。このトナーのG″は722Pa、G′は890Pa、tanδは0.81であった。なお、ポリエステル樹脂としては、ビスフェノールA−EO付加物、テレフタル酸及びトリメリット酸から得られたものを使用した。
【0018】
実施例3 ポリエステル樹脂(酸化27mgKOH/g) 100部 カーボンブラック(三菱化学社製:MA−100) 5部 クロム含金染料(オリエント化学工業社製:ボントロンS34)1部 天然ガス系フィッシャートロプシュワックス 2部 (シェルMDS社製:FT−100)
上記の材料を実施例1と同様に処理して本発明の静電荷現像用トナーを得た。このトナーのG″は1050Pa、G′は1280Pa、tanδは0.82であった。なお、ポリエステル樹脂としては、ビスフェノールA−EO付加物、テレフタル酸及びトリメリット酸から得られたものを使用した。
【0019】
実施例4 ポリエステル樹脂(酸化22mgKOH/g) 100部 カーボンブラック(三菱化学社製:MA−100) 5部 クロム含金染料(オリエント化学工業社製:ボントロンS34)1部 天然ガス系フィッシャートロプシュワックス 2部 (シェルMDS社製:FT−100)
上記の材料を実施例1と同様に処理して本発明の静電荷現像用トナーを得た。このトナーのG″は1300Pa、G′は1800Pa、tanδは0.72であった。なお、ポリエステル樹脂としては、ビスフェノールA−PO付加物〔ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〕、テレフタル酸、フマル酸及びトリメリット酸から得られたものを使用した。
【0020】
比較例1 ポリエステル樹脂(酸化3mgKOH/g) 100部 カーボンブラック(三菱化学社製:MA−100) 5部 クロム含金染料(オリエント化学工業社製:ボントロンS34)1部 天然ガス系フィッシャートロプシュワックス 2部 (シェルMDS社製:FT−100)
上記の材料をヘンシェルミキサー(三井三池工業社製)で混合した。この混合物を二軸混練機で設定温度130℃で溶融混練した後、ジェット粉砕・気流分級して平均粒径9.5μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に対して疎水性シリカ(キャボット社製:キャボシルTS−530)0.3部を加え、ヘンシェルミキサーで混合して静電荷現像用トナーを得た。このトナーのG″は1720Pa、G′は3090Pa、tanδは0.56であった。なお、ポリエステル樹脂としては、ビスフェノールA−EO付加物、テレフタル酸及びトリメリット酸から得られたものを使用した。
【0021】
比較例2 ポリエステル樹脂(酸化35mgKOH/g) 100部 カーボンブラック(三菱化学社製:MA−100) 5部 クロム含金染料(オリエント化学工業社製:ボントロンS34)1部 天然ガス系フィッシャートロプシュワックス 2部 (シェルMDS社製:FT−100)
上記の材料をヘンシェルミキサー(三井三池工業社製)で混合した。この混合物を二軸混練機で設定温度130℃で溶融混練した後、ジェット粉砕・気流分級して平均粒径9.5μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に対して疎水性シリカ(キャボット社製:キャボシルTS−530)0.3部を加え、ヘンシェルミキサーで混合して静電荷現像用トナーを得た。このトナーのG″は380Pa、G′は350Pa、tanδは1.09であった。なお、ポリエステル樹脂としては、ビスフェノールA−EO付加物、テレフタル酸及びフマル酸から得られたものを使用した。
【0022】
比較例3 ポリエステル樹脂(酸化10mgKOH/g) 100部 カーボンブラック(三菱化学社製:MA−100) 5部 樹脂系電荷制御剤(藤倉化成社製:FCA1001N) 2部 ポリプロピレンワックス(三洋化成社製:ビスコール550P)2部上記の材料をヘンシェルミキサー(三井三池工業社製)で混合した。この混合物を二軸混練機で設定温度130℃で溶融混練した後、ジェット粉砕・気流分級して平均粒径9.5μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に対して疎水性シリカ(キャボット社製:キャボシルTS−530)0.3部を加え、ヘンシェルミキサーで混合して静電荷現像用トナーを得た。このトナーのG″は1520Pa、G′は2200Pa、tanδは0.69であった。なお、ポリエステル樹脂としては、ビスフェノールA−EO付加物、テレフタル酸及びフマル酸から得られたものを使用した。
【0023】比較例4実施例1の樹脂の代わりにスチレン/アクリル系共重合体(Mw25万、Mn8000、酸価16mgKOH/g)を使用し、その他は実施例1と同様にして静電荷現像用トナーを得た。このトナーのG″は1050Pa、G′は1200Pa、tanδは0.88であった。
【0024】実施例1〜4及び比較例1〜4で得られたトナー5部とフェライトキャリア(パウダーテック社製:FL−1020)95部を混合して二成分現像剤を得た。この現像剤を使用して下記の試験を行った。
【0025】(低温定着性の評価)上記の二成分現像剤を市販の複写機(東芝社製:BD−3810)でA4転写紙に未定着画像を複数枚作成した。次にシャープ社製複写機SF−9800の熱ロール式(上:テフロン樹脂ロール、下:シリコーンゴムローラー)定着装置を、ローラー温度と紙送り速度が自由に設定できるように改造した外部定着機を用い、紙送り速度200mm/秒になるように設定し、ローラー温度を段階的に変化させて各温度において未定着画像を定着させた。このとき余白部に画像が再転写するオフセット現象を観察し、画像が再転写しない温度を非オフセット温度とし表1に示す。形成された定着画像(150℃)の画像濃度をマクベス社製の反射濃度計(RD−914)により測定した。その後、定着画像に対して砂消ゴムによる摺擦を行い、摺擦後の画像濃度を測定した後、下記式にて定着強度を算出して低エネルギー定着の指標とした。得られた定着強度を表1に示す。
【数1】定着強度=(摺擦後の画像濃度/摺擦前の画像濃度)×100【0026】
【表1】

【0027】(保存安定性の評価)実施例1〜4及び比較例1〜4のトナー20gをポリエチレン瓶に入れ、45℃で7日間保管した。放冷後、瓶から取り出し目視にて凝集の程度を判定した。塊があるときは指で軽く触れたとき、塊がほぐれ実用上問題のない場合は○、硬さを感じる場合は×と判定した。その結果、実施例1〜4のトナー及び比較例2と3のトナーは○、比較例1と4のトナーは×であった。
【0028】次に実施例1〜4及び比較例1〜4のトナーをシリコーン樹脂コートキャリアと混合(トナー濃度4%)して二成分現像剤を調製した。この現像剤を用いて3種類の環境条件下で複写を行い、得られた複写物の画像濃度、画質及び高温高湿でのPCBGを下記の方法で調べた。複写機は熱ロール定着方式のデジタル複写機(シャープ社製:AR−5130)を使用し、常温常湿(25℃、60%RH)、低温低湿環境(10℃、20%RH)、高温高湿環境(35℃、85%RH)にて5000枚連続撮像した。その結果を表2に示す。
画像濃度:マクベス社製のマクベス反射濃度計(RD−914)でベタ画像濃度を測定した。
PCBG(感光体のかぶり):白紙を現像し、感光体表面上にトナーが現像された状態で感光体を取り出す。次に感光体表面上のトナーをメンディングテープに付着させる。そして、メンディングテープを白紙に貼り付け、マクベス反射濃度計でメンディングテープの画像濃度を測定する。一方、トナーが付着していないメンディングテープを白紙に貼り付け、マクベス反射濃度計でベタ画像濃度を測定し、トナーが付着した場合の画像濃度との差を表2に示す。
画質:ベタ画像が均一で、且つ文字の回りに飛び散りが生じていないものを○、ベタ画像が不均一か、或いは文字の回りに飛び散りが生じているものを×とした。
【0029】
【表2】

【0030】次に実施例1のトナーをシリコーン樹脂コートキャリアと混合(トナー濃度4%)して二成分現像剤を調製した。この現像剤を用いて常温常湿(25℃、60%RH)の環境条件下で複写を行い、得られた複写物の画像濃度、かぶり、画質、T/D及びQ/Mを調べた。複写機は熱ロール定着方式のデジタル複写機(シャープ社製:AR−5130)を使用し、50000枚連続撮像した。その結果を表3に示す。なお、T/Dはトナー重量/(トナー重量+キャリア重量)、Q/Mはトナーの摩擦帯電量(東芝ケミカル社製のブローオフ摩擦帯電量測定装置で測定)である。画像濃度および画質は前記の方法での測定値、かぶりは日本電色社製の色差計(ZE2000)による非画像部の測定値である。
【0031】
【表3】

【0032】
【発明の効果】本発明の静電荷現像用トナーは、保存安定性が良好で、低温定着性、耐オフセット性に優れ、長寿命であり、かつ高画質な複写物を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000153591
【氏名又は名称】株式会社巴川製紙所
【出願日】 平成9年(1997)9月1日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 淳一
【公開番号】 特開平11−84716
【公開日】 平成11年(1999)3月30日
【出願番号】 特願平9−250104