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【発明の名称】 静電荷像現像用トナー、該トナーを含む現像剤及びそれらを用いる画像形成方法
【発明者】 【氏名】井上 豊文

【氏名】内田 正博

【氏名】富永 悦夫

【氏名】藤井 隆寿

【氏名】鳥越 哲

【氏名】武田 智裕

【氏名】高木 慎平

【要約】 【課題】高温高湿下に放置されても画像の濃度ムラ等が発生せず、長期に亘り高画質の画像が安定して形成され、タルク含有量の多い紙を用いる高温高湿下においても画像流れが発生しない現像剤を提供する。

【解決手段】トナー粒子と外添剤とからなる静電荷像現像用トナーであって、その外添剤は、平均粒径が0.2〜0.6μmの範囲にあり、かつ、0.2μm未満の粒子が20個数%以下であり、1.0μm以上の粒子が5個数%以下である磁性粉を含有するものである。その外添剤は、トナー粒子100重量部に対して0.1〜2.0重量部の範囲で含むことが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トナー粒子と外添剤とからなる静電荷像現像用トナーにおいて、該外添剤は、平均粒径が0.2〜0.6μmの範囲にあり、かつ、0.2μm未満の粒子が20個数%以下であって、1.0μm以上の粒子が5個数%以下であり、その帯電量が+1〜+15μc/gである磁性粉を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【請求項2】 外添剤が、トナー粒子100重量部に対して0.1〜2.0重量部の範囲で含まれることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】 トナー粒子は、ワックスを含むものであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項4】 ワックスが、結着樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部含まれることを特徴とする請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項5】 トナー粒子は、磁性微粒子を内部に含むものであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項6】 トナー粒子内部の磁性微粒子は、平均粒径が0.05〜0.35μmの範囲のものであることを特徴とする請求項5に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項7】 結着樹脂は、軟化点が80〜150℃の範囲のものであり、かつ、ガラス転移温度が55〜75℃の範囲のものであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項8】 トナー粒子内部の磁性微粒子が、トナー全重量に対して30〜70重量%の範囲で含まれることを特徴とする請求項5に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項9】 磁性粉が、マグネタイトであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項10】 トナー粒子は、体積平均粒子径が4〜8μmの範囲のものであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項11】 トナーが負帯電性トナーであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項12】 磁性トナー粒子と外添剤とからなる磁性一成分現像剤において、該外添剤は、平均粒径が0.2〜0.6μmの範囲にあり、かつ、0.2μm未満の粒子が20個数%以下であって、1.0μm以上の粒子が5個数%以下であり、その帯電量が+1〜+15μc/gである磁性粉を含有することを特徴とする磁性一成分現像剤。
【請求項13】 静電潜像保持体上に静電潜像を形成する工程及び現像剤担持体上の現像剤層を用いて前記静電潜像を顕像化する工程を有する画像形成方法において、前記現像剤として、請求項1に記載の静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
【請求項14】 現像剤担持体が、中空円筒状基体上に、MoとOとHとを主な構成成分として含有する皮膜を設けたものであることを特徴とする請求項13に記載の画像形成方法。
【請求項15】 皮膜の膜厚が、0.8〜10μmの範囲であることを特徴とする請求項14に記載の画像形成方法。
【請求項16】 現像剤担持体は、表面粗さRaが0.1〜3.0の範囲のものであることを特徴とする請求項13に記載の画像形成方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法に用いられる静電荷像現像剤及びそれを用いる画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、静電複写方式における乾式現像方法が、プリンター、ファクシミリ等の個人向けのパーソナルコピー分野に使用され始めるに伴って、それらに使用される現像装置は、ますます小型化、軽量化が要求されるようになり、これらに対応させるための画像形成方法の改善が行われている。ところが、二成分現像方式は、最も広く実用化されている方式であるが、トナー粒子がキャリア表面に付着することにより現像剤が劣化し、また、トナーのみが消費されるために現像剤中のトナーの濃度割合が低下するので、キャリアとの混合割合を一定に保たなければならず、そのために現像装置が大型化するという欠点がある。
【0003】一方、一成分現像方式では、上記の欠点がなく装置の小型化等の利点を有することから現像方式の主流になりつつある。この一成分トナー現像方式には、非磁性一成分現像方式と磁性一成分現像方式とがある。前者は、カラー化に適するものの、現像剤担持体に担持する力が主として現像剤の帯電量に依存しているために、カブリや機内汚れ等の問題があり、白黒用静電複写方式の主流にはなり得ていないが、後者には、このような問題は発生しない。しかし、一成分現像方式には、共通の課題として二成分現像方式と比較して現像ゴーストが発生しやすいという問題がある。
【0004】この問題を改善するために種々の試みがなされており、例えば、特開平1−276174号公報には、現像剤担持体の表面にフェノール樹脂とカーボンからなる導電性と表面潤滑制を有する樹脂層を設けることにより、現像ゴーストの発生を抑制するという技術が開示され、また特開平7−281517号公報には、現像剤担持体の基体表面にMo、H及びOを有する皮膜を設ける方法が開示されている。これらの現像剤担持体を用いると、トナーのチャージアップを抑制して現像ゴーストの発生を防止できるものの、スリーブ自体の帯電付与能力が低いために、トナーが、特に高温高湿下に放置されると、トナーの帯電が低下して低画像濃度や画像濃度ムラの問題が発生する。
【0005】とりわけ、一成分現像剤を用いる小型機においては、機械本体の価格を低く抑える必要があり、そのために、例えば、未転写トナーや紙粉が付着すると、高温高湿度下においては画像流れが発生する。そこで、この問題に対応させるため、トナー表面にチタン酸ストロンチウム等の研磨剤を添加する方法が提案されているが、このトナーを用いてタルク含有量の多い紙に画像を形成させた場合には、画像流れの防止効果は不十分になり、かつ外添剤自体が感光体の表面に付着してしまったり、カブリを悪化させる等の問題が発生していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術における上記した実情に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、高温高湿下に放置されたトナーを用いても、画像濃度ムラ等の発生がなく、長期に亘り高画質の画像が安定して形成される現像剤を提供することにある。本発明の他の目的は、高温高湿下にタルク含有量の多い紙を用いて画像形成を行っても画像流れが発生せず、かつトナー凝集等による2次障害のない現像剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、現像剤の構成成分について鋭意研究を重ねた結果、トナー粒子の外添剤として、特定の粒径からなる磁性粉を用いることにより、上記の目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の静電荷像現像用トナーは、トナー粒子と外添剤とからなり、その外添剤は、平均粒径が0.2〜0.6μmの範囲にあり、かつ、0.2μm未満の粒子が20個数%以下であって、1.0μm以上の粒子が5個数%以下であり、その帯電量が+1〜+15μc/gである磁性粉を含有することを特徴とする。その外添剤は、トナー粒子100重量部に対して0.1〜2.0重量部を添加することが好ましい。また、そのトナー粒子は、磁性微粒子及び/又はワックスを含有することが好ましい。さらに、本発明の静電荷像現像用トナーは、負帯電性であることが好ましい。本発明の磁性一成分現像剤は、磁性トナー粒子と外添剤とからなり、その外添剤は、平均粒径が0.2〜0.6μmの範囲にあり、かつ、0.2μm未満の粒子が20個数%以下であって、1.0μm以上の粒子が5個数%以下であり、その帯電量が+1〜+15μc/gである磁性粉を含有することを特徴とする。
【0008】また、本発明の画像形成方法は、静電潜像保持体上に静電潜像を形成する工程及び現像剤担持体上の現像剤層を用いて前記静電潜像を顕像化する工程を有する画像形成方法であって、前記現像剤として、トナー粒子と、平均粒径が0.2〜0.6μmの範囲にあり、かつ0.2μm未満の粒子が20個数%以下であって、1.0μm以上の粒子が5個数%以下であり、その帯電量が+1〜+15μc/gである磁性粉を含有する外添剤とからなる静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とする。上記の現像剤担持体としては、中空円筒状基体上にMoとOとHとを主な構成成分として含有する皮膜を設けたもの及び/又は表面の粗さRaが0.1〜3.0の範囲のものを用いることが好ましい。また、その現像剤担持体に設ける皮膜の膜厚は0.8〜10μmの範囲にあることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。本発明の静電荷像現像用トナー又は磁性一成分現像剤(以下、これらを「本発明の現像剤」という。)には、外添剤として、特定の粒径と帯電量とを有する磁性粉が用いられるものである。本発明は、その磁性粉をトナー粒子の外添剤として用いることにより、高温高湿下に保管されたトナーであっても、画像濃度ムラが発生せず、また現像ゴーストも抑制できるという利点がある。これは、比較的粒径の大きい磁性粉を使用するために、その磁性粉がトナー粒子間のスペーサーとなり、従来より流動性向上等を目的として添加されるシリカ、酸化チタン等の主外添剤がトナー表面に埋め込まれることによるトナーの流動性低下を防止できること及び比較的電気抵抗の低い磁性粉がトナー粒子間の電荷交換を促進させることにより帯電の立ち上りが向上することによるものと想定される。また、特にトナーが負帯電性の場合には、磁性粉がある程度の粒径と帯電性を有しているため、トナーに適正な帯電性を付与できるものと想定される。
【0010】また、本発明の現像剤は、トナーの凝集等による2次障害を発生させることなく、感光体表面への紙粉の付着による画像流れの防止に有効であり、これは、本発明に用いる磁性粉が、特定の粒径分布を有しているから研磨効果を発揮できるとともに、外添剤の微粉成分が少なくなるために、更には、トナーが負帯電性の場合にはトナー粒子との静電的付着力によりトナー粒子表面からの脱離が少なくなり、外添剤自体の感光体への付着がなく、また、その中心粒径が0.2〜0.6μmと従来の磁性粉よりも大きいものであるから、トナー表面に一次粒子の形で分散し、凝集によるトナーの帯電障害を引き起こさないことによるものと考えられる。また、タルクは通常負帯電性であるため、本発明の磁性粉と静電的に引き付け合うためタルク除去が効果的に行われる。さらに、本発明においては、上記の現像剤と、現像剤担持体として中空円筒状基体上にモリブデン原子(Mo)、酸素原子(O)及び水素原子(H)を主な構成成分とする皮膜を備えた現像剤担持体とを併用すると、高温高湿下に保管されたトナーを用いて画像形成を行っても、画像の濃度ムラ及び現像ゴーストの発生等を削減できるという利点がある。
【0011】本発明において、外添剤として用いる磁性粉は、その平均粒径の範囲が0.2〜0.6μmの範囲のものであり、好ましくは0.35〜0.55μmの範囲のものである。その平均粒径が0.2μmより小さいと紙粉等の除去効果が小さく、他方、0.6μmより大きいと、感光体を磨耗させて感光体寿命を短縮させるようになる。その外添剤として従来のトナーの内部添加剤に使用されている0.2μm以下の粒子が20個数%を越える磁性粉を用いると、外添剤自体が感光体に付着し易くなり、また、1.0μm以上の粒子が5個数%を越えるものは、外添剤が帯電ブレードと現像剤の間に詰まって画像筋を発生させたり、感光体に傷を付け易くなる。また、磁性粉の帯電量は+1〜+15μc/g、好ましくは+2〜+10μc/gの範囲である。+1μc/gより小さい場合には、タルクのかきとり効果が小さくなり、画像濃度ムラが発生する。+15μc/gを越える場合には、トナーに過度の電荷を与えてしまうため、特に低温低湿下での現像ゴーストの発生や濃度ムラの発生を生じてしまう。なお、本発明における磁性粉の粒径分布は、以下の方法により測定した。すなわち、倍率5000倍の透過型電子顕微鏡写真を、さらに4倍に拡大コピーした後、250個の粒子の粒径(0.04μm)毎の個数を目視により数え、これを用いて統計的処理を行って求めた。また、磁性粉の帯電量の測定は、東芝ケミカル社製ブローオフ帯電量測定装置MODEL200を用い、磁性粉0.25g、キャリア4.75g(酸化鉄粉(パウダーテック社製TEFV=200/300))を25℃、60%RHの環境下にてペイントコンディショナーで30分振とう後測定した。
【0012】トナー粒子に対する磁性粉の添加量は、トナー粒子100重量部に0.1〜2.0重量%の範囲であり、好ましくは0.2〜1.0重量%である。その添加量が0.1重量%より少ないと、高温高湿下に保管して用いると形成される画像の濃度ムラ及び高温高湿下の連続プリント後の画像流れが悪化する。一方、添加量が2.0重量%より多いものでは、感光体を磨耗させて感光体寿命が短縮することになる。
【0013】本発明に用いる磁性粉の製造方法は、例えば、マグネタイトの場合、硫酸鉄水溶液と苛性ソーダ水溶液との反応により水酸化鉄を製造した後、これを酸化させた後、水洗、乾燥、脱気及び解砕工程を経ることにより、マグネタイト粒子が得られる。その粒径分布は、上記反応における温度、時間及び原料の投入量を適宜変えることによりコントロールすることができる。特に、本発明のように、従来の磁性粉より大きな粒径のものを作成するには、水酸化鉄を酸化させる際、例えば、使用するエアー量を削減して反応させる等により、核の生成を抑制して各々の核の成長を増大させる必要がある。また、磁性粉の帯電量の制御法は、得られた磁性粉を適宜表面処理すればよい。そのような表面処理剤としては、カップリング剤や樹脂を挙げることができる。特にアミノ基含有シランカップリング剤や、チタネートカップリング剤が好ましい。
【0014】本発明のトナーを非磁性トナーとして用いる際には、着色剤として種々の顔料及び染料を使用することができる。例えば、カーボンブラック、アニリンブルー、クロムイエロー、群青、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、ローダミン6Gレーキ等が用いられる。また、本発明のトナーを磁性一成分現像剤として用いる際、結着樹脂中に分散させる磁性微粒子としては、公知の磁性体、例えば、鉄、コバルト、ニツケル等の金属及びこれらの合金、FeSO4 、γ−Fe2 3 、コバルト添加酸化鉄等の金属酸化物、MnZnフェライト、NiZnフェライト等の各種フェライト、マグネタイト、ヘマタイト等の粉末が使用でき、更にそれらの表面をシランカップリング剤、チタネートカップリング剤等の表面処理剤で処理したもの、或いはポリマーコーティングしたもの等が用いられる。その磁性微粒子の混合割合は、トナー全重量に対して30〜70重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは35〜65重量%の範囲である。磁性微粒子が30重量%より少ないと、現像剤担持体のマグネットによるトナーの拘束力が低下してトナーが飛散したりカブリが発生し、一方、70重量%を越えると画像濃度が低下する。また、これらのトナーの内添に用いる磁性微粒子の平均粒径は、外添用の磁性粉とは異なり、結着樹脂への分散性の観点から0.05〜0.35μm程度のものを用いることが好ましい。本発明において、現像剤の帯電性を制御する手段としては、例えば、フッ素系界面活性剤、サリチル酸クロム錯体等のようなクロム系染料、マレイン酸を単量体成分として含む共重合体等のような高分子酸、第四級アンモニウム塩、ニグロシン等のアジン系染料、カーボンブラック等を添加する。
【0015】本発明におけるトナーの結着樹脂としては、従来公知の樹脂が使用でき、例えば、1又は2以上のビニルモノマーのホモポリマー又はコポリマーが用いられる。その代表的なビニルモノマーとしては、スチレン、p−クロルスチレン、ビニルナフタレン、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン系不飽和モノオレフィン類、例えば、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル、蟻酸ビニル、ステアリン酸ビニル、カプロン酸ビニル等のビニルエステル類、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、メチル−α−クロルアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のエチレン性モノカルボン酸及びそのエステル類、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のエチレン性モノカルボン酸置換体、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のエチレン性カルボン酸及びそのエステル類、例えば、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、例えば、ビニリデンクロリド、ビニリデンクロルフロリド等のビニリデンハロゲン化物、例えば、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物類が挙げられるが、トナーの定着特性及び保管安定性を考慮すると、スチレン−アクリル酸共重合体やポリエステル樹脂又はこれらの混合系を用いることが好ましい。
【0016】本発明のトナーには、耐オフセット性をより良好なものにするために離型剤を添加してもよい。その離型剤としては、炭素数8以上のパラフィン、ポリオレフィン等が好ましく、例えば、パラフィンワックス、パラフィンラテックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリプロピレン等が使用できる。また、トナーの流動性又は帯電性等の向上を目的として、本発明に用いられる磁性粉に、シリカ等の無機微粉末、脂肪酸又はその誘導体或いは金属塩等の有機微粉末、フッ素系樹脂微粉末等を併用することもできる。
【0017】本発明のトナー粒子は、公知の如何なる方法によっても製造できるが、特に粉砕方式により作製することが好ましい。すなわち、結着樹脂、磁性体微粉末、着色剤及び離型剤等を熱混練機を用いて溶融混練し、得られた混練物を冷却した後、粉砕し、分級して得る方法が好ましい。また、そのトナーの粒径は、近年のプリンター及び高解像度に対応できるとともに、トナーの枚当たりの消費量を低減できるように、ある程度小粒径にすることが好ましく、また、実用性等をも考慮すると、体積平均粒径で4〜8μm程度のものを用いることが好ましい。トナーの粒径を小径化することは、前記した高温保管性及びクリーニング性を共に低下させることになるが、本発明のものは、上記した磁性粉を外添させることにより、トナーが小粒径である程効果を発揮することができる。
【0018】本発明の画像形成方法は、静電潜像保持体上に形成された静電潜像を現像剤担持体上の現像剤層を用いて前記静電潜像を顕像化させるものであり、少なくとも静電潜像保持体上に静電潜像を形成する潜像形成工程、現像剤担持体上の現像剤(トナー)を用いてその潜像保持体上の潜像を現像する現像工程、潜像保持体上のトナー画像を転写体に転写する転写工程及び転写体上のトナー画像を熱定着する定着工程を有するものであって、そのトナーとして、上記した磁性粉を含有する外添剤を添加したトナーを用いるものである。
【0019】その静電潜像形成工程は、従来公知の方法を適用することができ、電子写真法または静電記録法によって、感光層または誘電体層の潜像保持体上に静電潜像を形成するものである。本発明に用いる静電潜像保持体としては、円筒状支持体上に感光層を形成した従来公知のものであり、その円筒状支持体としては、アルミニウム(Al)又はAl合金を押し出し成型後、表面加工する等の公知の製法により得られたものが用いられ、また、その感光層としては、有機系、アモルファスシリコン等の公知の材料により形成されたものが用いられる。
【0020】現像工程は、現像剤担持体(現像ロール)の回転円筒体上に、トナーを弾性ブレード等により薄層に形成し、それを現像部まで搬送し、現像ロールと静電潜像を保持する潜像保持体とを現像部において接触又は一定の間隙を設けて配置し、現像ロールと潜像保持体との間にバイアスを印加しながら静電潜像をトナーを用いて現像することが好ましい。
【0021】本発明における現像剤担持体としては、アルミニウム、ステンレス鋼等の公知の材質からなる円筒状基体が用いられる。具体的には、アルミニウム等を引き抜き成形して得た筒状物を、センタレス研磨とガラスビーズまたはサンドによるブラスト処理をし、その基体表面に凹凸加工する等の粗面化処理したもの等が用いられ、その表面にZn(亜鉛)からなる膜を備えたものであることが望ましく、例えば、化学メッキにより表面にZn膜を形成したAl管等が用いられる。特に、それらの基体上にMo、O及びHを含むMo系皮膜を設けたものが好ましい。
【0022】この基体上にMo系皮膜を形成させるには、モリブデン酸塩を含む溶液を用いた化成処理により行うことができ、その処理方法は陰極電界処理工程と乾燥工程に大別される。その陰極電界処理工程においては、基体上にMoとOとHを主成分とする複塩膠質の膜が形成され、次に、乾燥工程において、その膠質の膜の乾燥による硬質化が行われる。その処理時間を変えることにより得られるMo系皮膜の膜厚を適宜変更することが可能である。
【0023】現像剤担持体上の皮膜の膜厚は、現像ゴーストの発生を抑制するには0.8〜10μmの範囲が好ましく、特に0.3μm程度が望ましい。また、現像剤担持体上の皮膜のクラック幅を0.3μm以下にすると、現像ゴースト抑制効果を長く持続させることができる。このクラック幅は、乾燥工程の温度調節により抑制可能である。さらにまた、現像剤担持体の表面粗度は、Raで0.1〜3.0の範囲のものが好ましく、より好ましくは1.0〜2.5であり、特に好ましくは1.5〜2.0である。Raが0.1より小さいものでは、現像剤担持体上のトナー量が不足して適度な濃度のものが得られず、他方、3.0を越えるものではトナーの帯電不良が生じてカブリの発生原因となる。この表面粗度は、基体をセンタレス研磨及びガラスビーズ又はサンドブラスト処理等によって調整することができる。
【0024】転写工程は、潜像保持体上のトナー画像を転写体である紙に転写する。本発明における転写手段としては、潜像保持体に転写ローラーを圧接させる接触型のものと、コロトロンを用いる非接触型のもの等の公知のものが用いられるが、一般に装置の小型化を図るため接触型のものが使用される。クリーニング工程は、転写工程において転写されずに潜像保持体に残留したトナーを、クリーナーにより除去するものである。本発明におけるクリーニング手段としては、ブレードクリーニング又はローラークリーニング等の公知の装置が用いられる。そのブレードクリーニングには、シリコーンゴムやウレタンゴム等の弾性ゴムが用いられる。定着工程としては、転写体に転写されたトナー画像を定着器により定着させるものであり、その定着手段としては通常ヒートロールを用いた熱定着方式が使用される。
【0025】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、下記の説明において、トナーの粒径は、コールターカウンター社製粒度測定機TA−IIによりアパーチャー径100μmで測定した。外添剤として使用する磁性粉は、硫酸鉄水溶液と苛性ソーダ水溶液との反応により水酸化鉄を製造し、これを酸化させた後、水洗、乾燥、脱気及び解砕工程を経て得られたマグネタイト粒子を用いた。また、その粒径分布は、上記反応における温度、時間、原料の投入量及び酸化工程に導入する空気量を可変制御して作成した。また、表面処理は、液状の処理材と磁性粉とをミキサーにて混合し、乾燥解砕した。
【0026】
実施例1 結着樹脂:スチレン/n−ブチルアクリレート共重合体 50重量部 (共重合比:80/20、Mn:4,000、 Mw:200,000、MI:10、Tg:59℃)
マグネタイト(平均粒径:0.2μm) 45重量部 負帯電性帯電制御剤(Fe含有アゾ染料) 1.5重量部 ポリプロピレンワックス 2.5重量部 (商品名:660P、三洋化成社製)
上記組成の混合物をヘンシェルミキサーにより粉体混合し、これを設定温度140℃のエクストルーダーにより熱混練した。これを冷却した後、粗粉砕及び微粉砕を行って、50%体積径D50が6.6μmの粉砕物を得た。さらに、この粉砕物を分級し、D50が7.2μm、5μm以下のものが22%の分級品を得た。得られたトナー分級品100重量部に対して、平均粒径が0.42μmであり、0.2μm以下の粒子が5個数%、1.0μm以上の粒子が1個数%のイソステアロイル基含有チタネートカップリング剤1%で処理したマグネタイト(帯電量+5μc/g)0.5重量部及び粒径12nmのシリコーンオイル処理シリカ1.0重量部を、ヘンシェルミキサーを用いて外添させることによりトナーを得た。
【0027】得られたトナーを、それぞれ画像形成装置(net work printer 4312改造機(IBM社製)に用いるとともに、以下に示す条件により画像の形成を行ってトナーの評価を行った。
現像バイアス(AC):2.0kVp-p (周波数2.4kHz)
現像バイアス(DC):−290VVHigh:−400V、VLow :−50V静電潜像保持体と現像剤担持体との間隔:250μm操作環境:10℃で15%RH(低温低湿)と、30℃で85%RH(高温高湿)
トナーの保管環境:温度45℃及び湿度90%の室内に48時間放置現像剤担持体として、中空状Al円筒管に下地膜及びMo系皮膜が形成されたものを用いた。その中空状円筒管には、引き抜き成形した後、センタレス研磨とガラスビーズによるブラスト処理を施したAl管を用い、その下地膜にはZn膜が形成されたものを使用した。Zn膜の形成は、1リットル中にZnを約10g、NaOHを約100g含む水溶液を用いた無電解メッキにより行った。Mo系皮膜の形成は、陰極電界処理時にモリブデン酸イオン(MoO4 2-)を含む処理液(商品名:5C011、日本表面化学株式会社製)を用いて、基体を陰極として電解処理を行った。得られた現像剤担持体の表面粗度は、Raが1.8であり、その皮膜の膜厚は3.1であった。上記の画像形成によるトナーの評価は、初期画質及び5000枚複写後の画質について行った。画像濃度(SAD)は、X−rite濃度計によって測定した。ゴーストの評価は、非画像部と画像部の濃度差により判定した。画像流れについては、5000枚複写後のベタ画像について評価を行った。また、トナー保管後の濃度ムラについては、全面ベタ画像内の最大濃度と最小濃度の差により判定した。
【0028】実施例2実施例1において、現像剤担持体としてMo系皮膜を形成していないAl管を用いたこと以外は、実施例1と同様に画像形成を行ってトナーの評価を行った。
実施例3実施例1において、トナー粒子に外添させたイソステアロイル基含有チタネートカップリング剤処理マグネタイトに代えて、平均粒径が0.3μmであり、0.2μm以下の粒子が15個数%、1.0μm以上の粒子が0個数%のイソステアロイル基含有チタネートカップリング剤1%で処理したマグネタイト(帯電量+8μc/g)1.0重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてトナーの評価を行った。
【0029】実施例4実施例1において、トナー粒子に外添させたイソステアロイル基含有チタネートカップリング剤処理マグネタイトに代えて、平均粒径が0.55μmであり、0.2μm以下の粒子が3個数%、1.0μm以上の粒子が4個数%のγ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.5%マグネタイト(帯電量+3μc/g)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてトナーの評価を行った。
【0030】比較例1実施例1において、トナー粒子に外添させたイソステアロイル基含有チタネートカップリング剤処理マグネタイトに代えて、平均粒径が0.27μmであり、0.2μm以下の粒子が28個数%、1.0μm以上の粒子が0個数%のマグネタイト[市販のEPT−1000を実施例1におけると同様に処理したもの(帯電量+4μc/g)、戸田工業社製]を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてトナーの評価を行った。
比較例2実施例1において、トナー粒子に外添させたイソステアロイル基含有チタネートカップリング剤処理マグネタイトに代えて、平均粒径が0.65μmであり、0.2μm以下の粒子が3個数%、1.0μm以上の粒子が5個数%のイソステアロイル基含有チタネートカップリング剤処理マグネタイト(帯電量+6μc/g)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてトナーの評価を行った。
【0031】比較例3実施例1において、トナー粒子に外添させたイソステアロイル基含有チタネートカップリング剤処理マグネタイトに代えて、平均粒径が0.58μmであり、0.2μm以下の粒子が4個数%、1.0μm以上の粒子が8個数%のイソステアロイル基含有チタネートカップリング剤処理マグネタイト(帯電量+5μc/g)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてトナーの評価を行った。
比較例4実施例1において、トナー粒子に外添させたイソステアロイル基含有チタネートカップリング剤処理マグネタイトに代えて、平均粒径が0.15μmであり、0.2μm以下の粒子が18個数%、1.0μm以上の粒子が0個数%のイソステアロイル基含有チタネートカップリング剤処理マグネタイト(帯電量+7μc/g)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてトナーの評価を行った。
比較例5実施例1において、トナー粒子に外添させたイソステアロイル基含有チタネートカップリング剤処理マグネタイトを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてトナーの評価を行った。
【0032】比較例6実施例1において、イソステアロイル基含有チタネートカップリング剤処理マグネタイトの代わりに、処理を行わなかったマグネタイト(帯電量−3μc/g)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてトナーの評価を行った。
比較例7実施例1において、イソステアロイル基含有チタネートカップリング剤処理マグネタイトの代わりに、処理材の量を3%にした処理マグネタイト(帯電量+18μc/g)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてトナーの評価を行った。
【0033】上記の各実施例及び比較例により得られた結果を表1に示す。
【表1】

表中の評価基準は、次のとおりである。
「ゴーストの評価」
○:濃度差0.05未満、△:濃度差0.05〜0.1未満、×:濃度差0.1以上「トナー保管後の画像濃度ムラ」
○:濃度差0.1未満、△:濃度差0.1〜0.2未満、×:濃度差0.2以上「感光体磨耗」及び「感光体付着」
○:感光体上に目視で確認できないもの△:感光体上に目視で確認できるが、画像上は問題がないもの×:感光体上に目視で確認できて、画像上も問題があるもの「画像流れ」
○:発生しなかったもの△:用紙のエッジ部のみに発生したもの×:用紙の画像領域にも発生したもの【0034】
【発明の効果】本発明によれば、トナーの外添剤として特定の粒度分布を有する磁性粉を用いるから、そのトナーを用いて形成される画像には現像ゴーストの発生が少なく、そのトナーが高温高湿下に保管された場合でも、画像の濃度ムラの発生がなく感光体寿命を延長させることができるとともに、画像流れを発生させることなく長期に亘り優れた高画質の画像を形成することができ、また、タルク含量の多い用紙にも長期に亘り安定した高画質の画像が得られる。
【出願人】 【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月11日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 剛 (外1名)
【公開番号】 特開平11−84714
【公開日】 平成11年(1999)3月30日
【出願番号】 特願平9−246266