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【発明の名称】 トナー
【発明者】 【氏名】廣田 典昭

【氏名】湯浅 安仁

【氏名】前田 正寿

【要約】 【課題】トナー組成バラツキが少なく、長期にわたり感光体、中間転写体へのトナーフィルミングを防止でき、高定着性で、高濃度低地カブリの高画質を実現するトナーを提供することを目的とする。

【解決手段】物性を特定した植物系ワックスを結着樹脂溶剤中に添加後、脱溶剤したものを主成分とし、分級微粉とのガラス転移点の差を特定したトナーを用いる構成。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも結着樹脂、着色剤、内添剤、及び外添剤とから構成されるトナーであって、前記結着樹脂が、結着樹脂溶液中に植物系ワックスを添加して、脱溶剤したものを主成分とし、前記植物系ワックスのDSCによる吸熱ピークが65〜90℃に存在し、220℃での加熱減量が5重量%以下であることを特徴とするトナー。
【請求項2】 トナー製造工程における微粉分級工程で分離される分級微粉のガラス転移点Tg1と前記トナーのガラス転移点Tg2との差の絶対値が2℃以下であることを特徴とするトナー。
【請求項3】 少なくとも結着樹脂、着色剤、内添剤、及び外添剤とから構成されるトナーであって、前記結着樹脂が、結着樹脂溶液中に植物系ワックスを添加して、脱溶剤したものを主成分とし、前記植物系ワックスのDSCによる吸熱ピークが65〜90℃に存在し、220℃での加熱減量が5重量%以下であり、トナー製造工程における微粉分級工程で発生する分級微粉のガラス転移点Tg1と前記トナーのガラス転移点Tg2との差の絶対値が2℃以下であることを特徴とするトナー。
【請求項4】 すくなくとも予備混合工程と混練工程と微粉砕工程と微粉分級工程と、前記微粉分級工程で分離される分級微粉の一部または全部を再度前記予備混合工程あるいは前記混練工程に戻して再使用する工程と外添工程とによって製造されるトナーであって、トナーが少なくとも結着樹脂、着色剤、内添剤及び外添剤とから構成され、DSCによる吸熱ピークが65〜90℃に存在し、220℃での加熱減量が5重量%以下である植物系ワックスを結着樹脂溶液中に添加して、脱溶剤したものを主成分とするトナー。
【請求項5】 すくなくとも予備混合工程と混練工程と微粉砕工程と微粉分級工程と、前記微粉分級工程で分離される分級微粉の一部または全部を再度前記予備混合工程あるいは前記混練工程に戻して再使用する工程と外添工程とによって製造されるトナーであって、トナーが少なくとも結着樹脂、着色剤、内添剤及び外添剤とから構成され、前記微粉分級工程で分離される分級微粉のガラス転移点Tg1と前記トナーのガラス転移点Tg2との差の絶対値が2℃以下であるトナー。
【請求項6】 すくなくとも予備混合工程と混練工程と微粉砕工程と微粉分級工程と、前記微粉分級工程で分離される分級微粉の一部または全部を再度前記予備混合工程あるいは前記混練工程に戻して再使用する工程と外添工程とによって製造されるトナーであって、トナーが少なくとも結着樹脂、着色剤、内添剤及び外添剤とから構成され、DSCによる吸熱ピークが65〜90℃に存在し、220℃での加熱減量が5重量%以下である植物系ワックスを結着樹脂溶液中に添加して、脱溶剤したものを主成分とし、前記微粉分級工程で分離される分級微粉のガラス転移点Tg1と前記トナーのガラス転移点Tg2との差の絶対値が2℃以下であるトナー。
【請求項7】 トナーが少なくとも結着樹脂、着色剤、内添剤及び外添剤とから構成され、前記結着樹脂が、結着樹脂溶液中に植物系ワックスを添加して、脱溶剤したものを主成分とし、前記植物系ワックスのDSCによる吸熱ピークが65〜90℃に存在し、220℃での加熱減量が5重量%以下であり、かつ前記トナーのガラス転移点が40〜50℃であることを特徴とするトナー。
【請求項8】 トナーにより感光体上の静電潜像を可視像化する現像工程と、前記感光体上の可視像化した前記トナーを転写紙に移す転写工程と、前記転写工程時に一部前記感光体に残留する前記トナーを前記感光体から除去するクリーニング工程と、前記クリーニング工程で除去された廃トナーを再度現像工程に戻し再利用する廃トナーリサイクル工程とを少なくとも有する電子写真方法に使用されることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載のトナー。
【請求項9】 像担持体上に形成した静電潜像をトナーにより顕像化する現像工程と、前記トナーを前記像担持体に当接した無端状の中間転写体に1次転写する工程と、前記1次転写の工程を複数回動作させて転写トナー重複像を形成する工程と、前記中間転写体上に形成した前記転写トナー重複像を給紙側から搬送される受像紙に一括して2次転写する工程とを少なくとも有する電子写真方法に使用されることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載のトナー。
【請求項10】 内添剤がすくなくともポリオレフィンから構成されることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載のトナー。
【請求項11】 植物系ワックスが、結着樹脂溶液中の固形分100重量部あたり0.1〜10重量部添加されることを特徴とする請求項1、3、4、6、7いずれかに記載のトナー。
【請求項12】 植物系ワックスが、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、水素添加ホホバ油、またはライスワックスのうち少なくとも1種類からなることを特徴とする請求項1、3、4、6、7いずれかに記載のトナー。
【請求項13】 内添剤がポリオレフィンワックスであり、前記ポリオレフィンワックスの添加量が結着樹脂100重量部あたり0.5〜6重量部であることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載のトナー。
【請求項14】 内添剤がポリオレフィンワックスであり、前記ポリオレフィンワックスが、すくなくとも熱分解法により作成されたポリエチレンワックスから構成され、25℃のトルエンで1時間洗浄した場合の回収率が95%以上であり、前記ポリエチレンワックスの軟化点が80〜140℃、25℃での針入度が8以下であることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載のトナー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は複写機、プリンタやファクシミリに用いられるトナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真方式の複写機やプリンターでは次のプロセスによって印字が行われている。先ず、画像形成のために感光体(以下、感光体と称す)を帯電する。帯電方法としては、従来から用いられているコロナ帯電器を使用するもの、また、近年ではオゾン発生量の低減を狙って導電性ローラを感光体に直接押圧した接触型の帯電方法等によって感光体表面を均一に帯電する手段が実用化されている。感光体を帯電した後、複写機であれば、複写原稿に光を照射して反射光をレンズ系を通じて感光体に照射する。また、プリンターであれば露光光源としての発光ダイオードやレーザーダイオードに画像信号を送り、光のON−OFFによって感光体に潜像を形成する。感光体に潜像(表面電位の高低)が形成されると、感光体は、予め帯電された着色粉体であるであるトナー(直径が5μm〜15μm程度)によって顕像化される。トナーは感光体の表面電位の高低に従って感光体表面に付着し、その後、複写用紙に電気的に転写される。即ち、トナーは予め正または負に帯電しており複写用紙の背面からトナー極性と反対の極性の電荷を付与して電気的に吸引する。これまで、この電荷付与方式としては、帯電方法と同じくコロナ放電器が広く用いられてきたが、オゾン発生量低減のため近年では導電性ローラを用いた転写装置が実用化されている。転写時には感光体上の全てのトナーが複写用紙に移るのではなく、一部は感光体上に残留する。この残留トナーはクリーニング部でクリーニングブレード等で掻き落とされ廃トナーとなる。従来、電子写真方法では、廃トナーは再利用されず廃棄されていた。環境保護面からも不用意な廃棄は避けるべきであり、廃トナーの再利用は重要課題である。
【0003】カラー複写機では、感光体を、帯電チャージャーによるコロナ放電で帯電させ、その後各色の潜像を光信号として感光体に照射し、静電潜像を形成し、第1色、例えばイエロートナーで現像し、潜像を顕像化する。
【0004】その後感光体に、イエロートナーの帯電と逆極性に帯電され、転写材を当接し、感光体上に形成されたイエロートナー像を転写する。感光体は転写時に残留したトナーをクリーニングしたのち除電され、第1のカラートナーの現像、転写を終える。
【0005】その後マゼンタ、シアン等のトナーに対してもイエロートナーと同様な操作を繰り返し、各色のトナー像を転写材上で重ね合わせてカラー像を形成する方法が取られている。そしてこれらの重畳したトナー像はトナーと逆極性に帯電した転写紙に転写された後、定着され複写が終了する。
【0006】このカラー像形成方法としては、単一の感光体上に順次各色のトナー像を形成し、転写ドラムに巻き付けた転写材を回転させて繰り返しこの感光体に対向させ、そこで順次形成される各色のトナー像を重ねて転写していく転写ドラム方式と、複数の像形成部を並べて配置し、ベルトで搬送される転写材にそれぞれの像形成部を通過させて順次各色のトナー像を転写し、カラー像を重ね合わす連続重ね方式が一般的である。
【0007】前記の転写ドラム方式を用いたものに、特開平1−252982号公報に示されるカラー画像形成装置がある。図2はこの従来例の全体構成の概要を示すもので、以下その構成と動作を簡単に説明する。
【0008】図2において、501は感光体で、これに対向して帯電器502と、現像部503と、転写ドラム504、クリーナ505が設けられている。現像部503は、イエロ色のトナー像をつくるためのY現像器506、マゼンタ色のM現像器507、シアン色のC現像器508、黒色のBk現像器509とで構成され、現像器群全体が回転して各々の現像器が順次感光体501に対向し現像可能の状態になる。転写ドラム512と感光体は動作中は対向しながらそれぞれ矢印方向に一定速度で回転している。
【0009】像形成動作が開始すると感光体501が矢印方向に回転するとともに、その表面が帯電器502によって一様に帯電される。その後感光体表面には、1色目のイエロの像を形成するための信号で変調されたレーザビーム510を照射されて、潜像が形成される。次にこの潜像は最初に感光体に対向しているY現像器506により現像され、イエロのトナー像が形成される。感光体上に形成されたイエロのトナー像が転写ドラム504に対向する位置に移動するまでに、すでに転写ドラム504の外周には給紙部511から送られた転写材としての1枚の用紙が先端を爪部512でつかまれて巻き付けられており、その用紙の所定の位置に感光体上のイエロのトナー像が対向して出会うようにタイミングがとられている。
【0010】感光体上のイエロのトナー像が転写帯電器513の作用により用紙に転写された後、感光体表面はクリーナ505により清掃されて、次色の像形成が準備される。続いてマゼンタ、シアン、黒のトナー像も同様に形成されるが、そのとき現像部503は色に応じて用いる各現像器を感光体に対向させて現像可能の状態にする。転写ドラムの径は最長の用紙が巻き付けられかつ各色の像間で現像器の交換が間に合うように充分の大きさを持っている。
【0011】各色の像形成のためのレーザビーム510の照射は、回転につれて感光体上の各色のトナー像と転写ドラム上の用紙に既に転写されたトナー像とが位置的に合致されて対向するようにタイミングがとられて実行される。この様にして4色のトナー像が転写ドラム504上で用紙に重ねて転写されて、用紙上にカラー像が形成される。全ての色のトナー像が転写された後、用紙は剥離爪514により転写ドラム504から剥されて、搬送部515を経て定着器516によりトナー像が定着され、装置外へ排出される。
【0012】一方、連続転写方式を用いたカラー画像形成装置の例として、特開平1−250970号公報がある。この従来例では4色の像形成のためにそれぞれが感光体、光走査手段などを含んだ4つの像形成ステーションが並び、ベルトに搬送された用紙がそれぞれの感光体の下部を通過してカラートナー像が重ね合わされる。
【0013】さらにまた、転写材上に異なる色のトナー像を重ねてカラー像を形成する他の方法として、感光体上に順次形成される各色トナー像を中間転写材上に一旦重ねて、最後にこの中間転写材上のトナー像を一括して転写紙に移す方法が特開平2−212867号公報で開示されている。
【0014】複写用紙に転写されたトナーを用紙上に永久定着させるために用いられる定着方法として、熱ロール法、加圧ロール法、フラッシュ定着法、薬剤を用いた方法等が知られている。そのなかで、接触状態でトナーを溶融し用紙上に定着させる熱ロール法がエネルギー効率、安全性、印字品質の面から一般的である。
【0015】周知のように、これらの現像法に使用される静電荷現像用のトナ−は、一般的に結着樹脂成分、顔料または染料からなる着色剤及び可塑剤や電荷制御剤、さらに必要に応じて磁性体、離型剤等の内添剤と外添剤によって構成されている。結着樹脂成分には、天然または合成樹脂が単独あるいは適時混合して使用される。
【0016】そして上記結着樹脂成分と添加成分を適当な割合で予備混合し、熱溶融によって熱混練し、その後微粉砕、必要に応じて微粉分級を行い、外添剤を外添処理してトナーが得られる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記構成では、印字を繰り返している内に、トナーが感光体表面やキャリア表面、トナー担持体表面に固着する、いわゆるトナーフィルミング現象が生じる場合がある。これは、トナー結着樹脂やワックス等が凝集性を持ち、軟化した場合に、除去されにくく、その部分にトナーが固着するために起こるものと考えられる。トナーの凝集は、温度の上昇、外部からのストレスなどによって発生する。感光体表面にトナーが固着すると、画像パターンに応じて露光する際に光が遮断され、静電潜像が形成されず、正転現像では黒点が発生し、反転現像においては白抜けとなり画像欠陥となる。
【0018】キャリア表面にトナーが固着すると、トナーに必要な電荷量がキャリアから与えられず帯電量が低下し、画像品質が著しく劣化する。
【0019】トナー担持体表面にトナーが固着すると、その部分のみトナーが搬送されず印字不良が発生する。
【0020】近年コスト、生産性の面から1種類のトナーを低速機から高速機に対応させる試みが行われているが、このトナーフィルミング現象は、印字スピードの増加とともに顕著となる。
【0021】つまり、印字スピードの増加に対応して定着スピードも増加させる必要があるため、単位時間当たりにトナーが与えられる熱量が減少する。このため少ない熱量でも定着可能なように、トナーの結着樹脂を低粘度化することが行われる。複写用紙中に浸入することで定着性に寄与する低分子量成分が、低粘度化によって増加するからである。しかし、低粘度化によって結着樹脂自体の強度が低下し、凝集性が増すため固着が激しくなってしまう。そして、このトナーを定着スピードの遅い低速機に適用した場合には、結着樹脂の粘弾性が不足するため、定着時に複写用紙上のトナーが定着ローラに付着し、ローラの回転とともに複写用紙に再転写する、いわゆるホットオフセット現象が発生する。そこで、これらを防止する手段として、特開昭51−143333号、同57−148752号、同58−97056号、同60−247250号公報等では、種々の離型剤の添加が提案されている。
【0022】また、少ない熱量でも定着可能なように、トナーの結着樹脂のガラス転移点を低下させることが行われる。結着樹脂のガラス転移点を低下させることにより、トナーの軟化温度が低下することから定着性向上に対しては有効な手段である。しかし、トナーの保管・輸送時における貯蔵安定性、いわゆる耐ブロッキング性や耐ケーキング性は悪化する。
【0023】結着樹脂の分子量分布を2ピークとして、高分子量領域、低分子量領域各々に機能分離する方法が行われている。つまり、高分子量領域には樹脂強度を活かして耐ホットオフセット性を持たせ、低分子量領域には複写用紙に対する定着性を担わせるのである。しかし、この方法では、定着スピード幅が狭い場合には対応できるものの低速機から高速機といった幅広い要求には、裕度が狭く、定着性、耐ホットオフセット性、耐フィルミング性の両立が図れない。
【0024】また、定着時に同一熱量を与えるため定着温度を上昇させることは、消費電力の増大ウオームアップ時間の増加といった面から好ましくない。また、定着ローラの保温性を高め、連続印字時の温度低下を抑制することが行われるが、機内温度の上昇を招き、トナーの凝集を引き起こす。
【0025】定着性改善のために植物系ワックスや低分子量ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス等のポリオレフィンワックスを添加することは、特開平3−91764号、同7−43940号、同8−166686号公報に示されている。
【0026】植物系ワックスはそれ自身の融点が低く、低温ですばやく溶融し複写用紙中に浸入することで定着性向上に寄与する。
【0027】ポリプロピレンワックスは、離型作用を持つためホットオフセット現象の改善には効果的であるものの、高速定着における定着性改善には効果が少ない。ポリエチレンワックスは、それ自身摩擦低減効果を持つため、複写用紙中に浸入することで、定着性に寄与する低分子量成分が同量であっても、定着性向上には効果的である。つまり、ポリエチレンワックスの定着性向上作用は、複写用紙とトナーとの結合を強化するのではなく、外部からの力を逃がす効果によるものである。
【0028】しかし、植物系ワックスは融点が低い故に、トナー製造工程における予備混合工程で、凝集を発生させる。これは、予備混合工程での温度上昇や衝撃ストレスにより植物系ワックスを核として着色剤や電荷制御剤等が凝集するものである。凝集が発生すると以降の混練工程に於いても着色剤や電荷制御剤等の内添剤の分散性は改善されず、組成不均一のトナーが発生し画像不良の原因となる。
【0029】また、より広い定着範囲と定着強度を実現するために、植物系ワックスとポリオレフィンワックスを併用した場合、植物系ワックスを核としたポリオレフィンワックスの凝集が発生する。この場合、現像特性が悪化するだけでなく、ポリオレフィンワックスが感光体上にフィルミングする。この現象は、低沸点成分を多く含む低圧重合法にて作成したポリオレフィンワックスに顕著である。低沸点成分はトルエンによって除去可能であるが、除去後の乾燥工程を有することなど、実用的ではない。逆にトルエン洗浄によって回収率が高いポリオレフィンワックスは低沸点成分が少ないと言える。
【0030】ワックスのトナー中での偏在は、ワックス成分とトナー母体を構成する結着樹脂成分との低相容性や、トナー製造工程における分散能力不足、あるいは予備混合工程におけるワックスを核とした凝集の発生に起因する。
【0031】結着樹脂とワックスとの相溶性が低く相分離した状態では、トナー製造工程での微粉砕工程においてワックスと結着樹脂との界面で粉砕が行われ易いため、表面にワックスが露出しトナー流動性の低下を招く。これはトナー流動時にワックス部が塑性変形するためであると考えられる。さらにトナー表面に存在するワックスにより、温度が上昇するとトナー凝集が発生する。
【0032】また微粉砕工程時に遊離したワックスは、一部はトナー表面に付着し、大部分はトナー製造工程における微粉分級工程で、分級微粉として分離される。このため遊離したワックスが多い場合は、トナー中に存在するワックス量と分級微粉中のワックス量が大きく異なる。
【0033】トナーの生産性を向上させるために、トナー製造工程における微粉分級工程で分離された分級微粉を再度予備混合工程あるいは混練工程へ戻して使用する、いわゆる微粉戻しは従来からおこなわれてきた。しかしワックスを添加したトナーの場合、微粉戻しをおこなうとワックスの分散状態が変化し、劣悪な画像となってしまう。
【0034】また、本発明に係るトナーが用いられる電子写真方法は、クリーニング工程で除去された廃トナーを再度現像工程に戻し再利用する廃トナーリサイクルを行う構成である。
【0035】クリーニング工程で除去され再度現像工程に戻される廃トナーは、初期のトナーと特性が大きく変化しており、画像に悪影響を与える。これは、クリーニング部でトナーがストレスを受けたり、廃トナーを現像工程に戻す輸送管内での温度上昇により、流動性が低下したりトナー凝集が発生してしまうことに起因している。初期トナーの組成にバラツキが大きいと、廃トナーになるトナー量が増加するだけでなく、廃トナーリサイクルによる特性変化も増大する。
【0036】また、本発明に係るトナーを用いる電子写真方法では、中間転写体を用いる構成である。
【0037】転写ドラム方式では、異なる色のトナー像の位置を合わせて重ねるために転写ドラムを用いる。この転写ドラムを感光体に対して同速度で回転させ、さらに像の先端のタイミングを合わせることによって、カラー像を形成する場合の各色トナー像の相互位置を合致させる。しかしながら上記のような構成では、転写ドラムに用紙を巻き付ける必要があるため、転写ドラムの径が一定の大きさ以上必要であり、またその構造が非常に複雑で高精度が要求されるため、装置が大がかりで高価なものとなっていた。また葉書や厚紙など腰の強い用紙は、転写ドラムに巻き付けることができないため使用できなかった。
【0038】一方、連続転写方式は、色数に対応した像形成位置を有しており、そこに用紙を次々と通過させればよいため、このような転写ドラムは不要であるが、この方式では感光体上に潜像を形成するためのレーザ光学系などの潜像形成手段が色の数に対応して複数個必要であり、構造が非常に複雑で高価であった。さらにまた、像形成位置が複数箇所あるため、各色の像形成部の相対的な位置ずれ、回転軸の偏心、各部の平行度のずれなどが直接色ずれに影響し高画質を安定に得ることが困難であった。特に潜像形成手段による潜像の各色間の位置合わせを正確に行う必要があり、特開平1−250970号公報にも示されているように、潜像形成手段である像露光系に相当の工夫と複雑な構成が必要であるという問題点があった。
【0039】さらに、中間転写材を用いる特開平2−212867号公報の例では、各色のトナー像を同一の感光体上に形成するために、複数の現像器を単一の感光体の周辺に配置しなければならず、必然的に感光体の形状が大きくなり、また感光体が取り扱いにくいベルト形状になった。また、各現像器をメンテナンス時に交換すると感光体の特性とのマッチング調整が必要であったり、感光体の交換時には各現像器との間での位置調整が必要であったため、各色現像器や感光体のメンテナンスも困難であった。
【0040】しかし中間転写方式は、複雑な光学系を必要としなく、また葉書や厚紙などの腰の強い用紙にも使用でき、また中間転写ベルトを使用するとフレキシブルなため、転写ドラム方式、連続転写方式に比べて、装置自体の小型化を可能に出来るメリットがある。
【0041】しかし、トナーは転写時に全て転写されるのが理想であるが、一部転写残りが生じる。いわゆる転写効率は100%でなく、一般的には75〜90%程度である。この転写残りのトナーは感光体クリーニングの工程でクリーニングブレード等で掻き落とされて廃トナーとなる。
【0042】中間転写体を使用する構成では、トナーは感光体から中間転写体へ、さらに中間転写体から受像紙へと、少なくとも2回以上の転写工程を経ることになり、通常の1回転写の複写機では、例えば85%の転写効率があっても、2回の転写により、転写効率は72%にまで低下する。さらに1回転写で75%の転写効率であるものは56%と約半分のトナーが廃トナーとなってしまい、トナーのコストアップや、廃トナーボックスの容積をより大きなものとせねばならず、これでは装置の小型化が出来ない。転写効率の低下は分散不良による逆極性の地かぶりや転写抜けが要因と考えられる。
【0043】またカラー現像の場合は、中間転写体上で4色のトナー画像を重ねるためトナー層が厚くなり、トナー層がない、あるいは、薄いところとの圧力差が生じやすい。このため、トナーの凝集効果によって画像の一部が転写されずに穴となる”中抜け”現象が発生し易い。さらに、受像紙が詰まった場合のクリーニングを確実に行うために、中間転写体にトナーの離型効果の高い材料を用いると、中抜けは顕著に現れ、画像の品位を著しく低下させてしまう。さらに、文字やライン等ではエッジ現像となっており、トナーがより多くのり、加圧によるトナー同士の凝集を起こし、中抜けがより顕著になる。特に高湿高温の環境下でより顕著に現れる。
【0044】本発明は、上記課題に鑑み、トナー組成バラツキが少なく、長期にわたり感光体、中間転写体へのトナーフィルミングを防止でき、高定着性で、高濃度低地カブリの高画質を実現するトナーを提供することを目的とする。
【0045】トナー製造工程における微粉分級工程で分離された分級微粉を再度予備混合工程あるいは混練工程へ戻して使用するトナー製造方法に於いても、トナー組成バラツキがなく生産性の向上に寄与することを目的としている。
【0046】クリーニング工程で除去された廃トナーを現像工程に戻し再利用する廃トナーリサイクルを行う構成で、フィルミングの発生や感光体上の傷の発生、トナー輸送管内でのトナー凝集を防止すること、トナー組成の変化を抑制することによって、高画像濃度、低地カブリの高画質を長期にわたって実現するトナーを提供することを目的としている。
【0047】また中間転写体を用いた電子写真方法で転写時の中抜けや飛び散りを防止し、高転写効率が得られるトナーを提供することにある。
【0048】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明のトナーは、以下のような構成である。
【0049】少なくとも結着樹脂、着色剤、内添剤、及び外添剤とから構成されるトナーであって、結着樹脂が、結着樹脂溶液中に植物系ワックスを添加して、脱溶剤したものを主成分とし、植物系ワックスのDSCによる吸熱ピークが65〜90℃に存在し、220℃での加熱減量が5重量%以下であることを特徴とするトナーである。
【0050】また本発明は、トナー製造工程における微粉分級工程で分離される分級微粉のガラス転移点Tg1とトナーのガラス転移点Tg2との差の絶対値が2℃以下であることを特徴とするトナーである。
【0051】また本発明は、少なくとも結着樹脂、着色剤、内添剤、及び外添剤とから構成されるトナーであって、結着樹脂が、結着樹脂溶液中に植物系ワックスを添加して、脱溶剤したものを主成分とし、植物系ワックスのDSCによる吸熱ピークが65〜90℃に存在し、220℃での加熱減量が5重量%以下であり、トナー製造工程における微粉分級工程で発生する分級微粉のガラス転移点Tg1とトナーのガラス転移点Tg2との差の絶対値が2℃以下であることを特徴とするトナーである。
【0052】また本発明は、すくなくとも予備混合工程と混練工程と微粉砕工程と微粉分級工程と、微粉分級工程で分離される分級微粉の一部または全部を再度予備混合工程あるいは混練工程に戻して再使用する工程と外添工程とによって製造されるトナーであって、トナーが少なくとも結着樹脂、着色剤、内添剤及び外添剤とから構成され、DSCによる吸熱ピークが65〜90℃に存在し、220℃での加熱減量が5重量%以下である植物系ワックスを結着樹脂溶液中に添加して、脱溶剤したものを主成分とするトナーである。
【0053】また本発明は、すくなくとも予備混合工程と混練工程と微粉砕工程と微粉分級工程と、微粉分級工程で分離される分級微粉の一部または全部を再度予備混合工程あるいは混練工程に戻して再使用する工程と外添工程とによって製造されるトナーであって、トナーが少なくとも結着樹脂、着色剤、内添剤及び外添剤とから構成され、微粉分級工程で分離される分級微粉のガラス転移点Tg1とトナーのガラス転移点Tg2との差の絶対値が2℃以下であるトナーである。
【0054】また本発明は、すくなくとも予備混合工程と混練工程と微粉砕工程と微粉分級工程と、微粉分級工程で分離される分級微粉の一部または全部を再度予備混合工程あるいは混練工程に戻して再使用する工程と外添工程とによって製造されるトナーであって、トナーが少なくとも結着樹脂、着色剤、内添剤及び外添剤とから構成され、DSCによる吸熱ピークが65〜90℃に存在し、220℃での加熱減量が5重量%以下である植物系ワックスを結着樹脂溶液中に添加して、脱溶剤したものを主成分とし、微粉分級工程で分離される分級微粉のガラス転移点Tg1とトナーのガラス転移点Tg2との差の絶対値が2℃以下であるトナーである。
【0055】また本発明は、トナーが少なくとも結着樹脂、着色剤、内添剤及び外添剤とから構成され、結着樹脂が、結着樹脂溶液中に植物系ワックスを添加して、脱溶剤したものを主成分とし、植物系ワックスのDSCによる吸熱ピークが65〜90℃に存在し、220℃での加熱減量が5重量%以下であり、かつトナーのガラス転移点が40〜50℃であることを特徴とするトナーである。
【0056】さらに本発明は、トナーにより感光体上の静電潜像を可視像化するた現像工程と、感光体上の可視像化したトナーを転写紙に移す転写工程と、転写工程時に一部感光体に残留するトナーを感光体から除去するクリーニング工程と、クリーニング工程で除去された廃トナーを再度現像工程に戻し再利用する廃トナーリサイクル工程とを少なくとも有する電子写真方法に使用されることを特徴とするトナーである。
【0057】さらに本発明は、像担持体上に形成した静電潜像をトナーにより顕像化する現像工程と、トナーを像担持体に当接した無端状の中間転写体に1次転写する工程と、1次転写の工程を複数回動作させて転写トナー重複像を形成する工程と、中間転写体上に形成した転写トナー重複像を給紙側から搬送される受像紙に一括して2次転写する工程とを少なくとも有する電子写真方法に使用されることを特徴とするトナーである。
【0058】さらに本発明は、内添剤がすくなくともポリオレフィンから構成されることを特徴とするトナーである。
【0059】さらに本発明は、植物系ワックスが、結着樹脂溶液中の固形分100重量部あたり0.1〜10重量部添加されることを特徴とするトナーである。
【0060】さらに本発明は、植物系ワックスが、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、水素添加ホホバ油、またはライスワックスのうち少なくとも1種類からなることを特徴とするトナーである。
【0061】さらに本発明は、ポリオレフィンワックスの添加量が結着樹脂100重量部あたり0.5〜6重量部であることを特徴とするトナーである。
【0062】さらに本発明は、ポリオレフィンワックスが、すくなくとも熱分解法により作成されたポリエチレンワックスから構成され、25℃のトルエンで1時間洗浄した場合の回収率が95%以上であり、ポリエチレンワックスの軟化点が80〜140℃、25℃での針入度が8以下であることを特徴とするトナーである。
【0063】
【発明の実施の形態】本発明のトナーの結着樹脂には、スチレンと、アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステル等のビニル系単量体を重合または共重合したビニル系重合体が使用できる。この結着樹脂を構成する単量体のスチレンとしては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、P−クロルスチレン等のスチレン及びその置換体があり、アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシルがあり、また、メタクリル酸アルキルエステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ヘキシルなどの二重結合を有するモノカルボン酸及びその置換体等がある。
【0064】この共重合体を用いるときは、スチレン系成分を50〜95重量%含むことが好ましい。スチレンの割合が50重量%未満であると、トナーの溶融特性が劣り、トナーの定着性が不十分になるし、粉砕性が悪化する。
【0065】これらの共重合体の製造には、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの公知の重合法が用いられる。
【0066】また、結着樹脂には、このような主要成分以外に、必要に応じて、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂等、他の公知の重合体あるいは共重合体を使用することもできる。
【0067】結着樹脂の、溶融時の粘性を示すメルトインデックス値は、150℃で4〜40g/10minであることが好ましい。結着樹脂のメルトインデックスが4g/10min以下ではトナー製造時の粉砕性が悪く、生産性が悪化する。40g/10min以上では結着樹脂が溶融時に粘度低下し、混練力が作用しないためワックス成分を分散できず、キャリア表面、トナー担持体表面に樹脂成分が固着し、トナー帯電量が低下する。
【0068】また結着樹脂は、紙への浸透力を高め、耐高温オフセット性を維持するため、そして、混練工程時のワックスや内添剤の分散性を向上させるため、軟化点、重量平均分子量、数平均分子量と、低分子量成分及び高分子量成分の組成比率を特定することが必要である。
【0069】重量平均分子量Mwが10万以上、数平均分子量Mnは2000以上2万以下が好ましい。重量平均分子量が10万より小さいと、耐高温オフセット性が悪化する。さらに、混練工程において十分な混練ストレスが加わらないため、結着樹脂中におけるワックスや内添剤の分散性が悪化し、逆極性に帯電するトナーが増加する。また、結着樹脂強度が低下するため粉砕工程時に過粉砕されやすく、分級工程時に分離される分級微粉が増加する。結着樹脂中での分散性が不十分であるため、この時分離された分級微粉は、トナーと組成やガラス転移点等の特性が大幅に異なる。
【0070】数平均分子量が2000以下では、トナーは十分な強度を持たず、感光体上にフィルミングする。2万より大きいと、定着性が劣る。
【0071】高分子量成分と低分子量成分の組成比(HP/LP比)は10:90〜50:50が好ましい。結着樹脂の軟化点は110〜160℃で、好ましくは110〜150℃、より好ましくは115〜140℃である。110℃以下であると結着樹脂の強度が弱くなる。160℃以上では定着性が悪化する。
【0072】本発明の結着樹脂溶液は、上記の結着樹脂を次に示すような溶剤に溶解したものである。溶剤としては、ベンゼン、トリオール、キシロール、シクロヘキサン、ソルベントナフサ等の炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、iso-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、iso-ブチルアルコール、アミルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、n-酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール等のエーテル系溶剤等が挙げられる。
【0073】本発明の脱溶剤とは、結着樹脂溶液を120〜250℃で常圧脱溶剤あるいは減圧脱溶剤する工程をいう。結着樹脂やワックスの熱劣化の防止、脱溶剤の効率の観点から、150〜220℃で減圧脱溶剤をおこなうことが好ましい。
【0074】結着樹脂溶液中に植物系ワックスを添加し脱溶剤することによって、結着樹脂と植物系ワックスとの相分離が抑制され相溶性が向上する。また、予備混合工程で発生する植物系ワックスが核とした凝集が起こらないため、植物系ワックスの分散性が向上するとともに、着色剤や他の内添剤の分散性も向上する。
【0075】結着樹脂溶液中に添加する植物系ワックスは、DSCによる吸熱ピークが80〜86℃のカルナウバワックス、68〜72℃のキャンデリラワックス、66〜71℃の水素添加ホホバ油、または79〜83℃のライスワックスのうち少なくとも1種類から構成される。
【0076】さらに、植物系ワックスの220℃における加熱減量は5重量%以下である。加熱減量が5重量%より大きい場合、結着樹脂溶液の脱溶剤工程において脱溶剤が十分におこなわれず結着樹脂中に残留する。このため結着樹脂のガラス転移点を大きく低下させ、トナーの貯蔵安定性を損なう。
【0077】植物系ワックスは、精製処理、脱色処理、脱臭処理等をおこなってもよい。植物系ワックスは、結着樹脂溶液中の固形分100重量部あたり0.1〜10重量部添加される。0.1重量部以下では定着性の改善が行えない。10重量部以上では結着樹脂溶液中で植物系ワックスを良好に分散させることが困難である。
【0078】植物系ワックスは、トナーへの添加量の全量を結着樹脂溶液中に添加してもよいし、一部を予備混合工程で加えてもよい。結着樹脂溶液中にあらかじめ添加した植物系ワックスにより、後で植物系ワックスを添加し混練をおこなっても、呼び水効果によりワックスが均一に分散する。
【0079】着色剤に用いる顔料または染料としては、カーボンブラック、鉄黒、グラファイト、ニグロシン、アゾ染料の金属錯体、フタロシアニンブルー、デュポンオイルレッド、アニリンブルー、ベンジンイエロー、ローズベンガルやこれら等の混合物を使用することができる。
【0080】内添剤としては、ポリエチレンワックスや、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリヘキセン等のポリオレフィンワックスを単体または混合して使用できる。
【0081】ポリオレフィンワックスの添加量は結着樹脂100重量部あたり0.5〜6重量部である。0.5重量部以下では添加効果が現れない。6重量部以上では、感光体上にフィルミングし、高湿環境下で感光体表面抵抗が低下し静電潜像が保持できず、異常画像が発生する。
【0082】ポリオレフィンワックスは、すくなくとも熱分解法により作成されたポリエチレンワックスから構成され、25℃のトルエンで1時間で洗浄した場合の回収率が95%以上であり、軟化点が80〜140℃、25℃での針入度が8以下であるものが好ましい。これは、低軟化点特性によりワックスの溶融開始温度が低いため、定着画像表面にしみ出るワックス量が多く、トナー定着性を改善する効果が高いことと、低沸点成分含有量が少ないことによる耐感光体フィルミング特性とを併せ持つ。ポリエチレンワックス作成時に熱分解反応を利用するため、低沸点成分は気化し、ポリエチレンワックス中には含有されづらいためである。トルエンに溶融し除去される物質は、ポリエチレンワックス中の低沸点成分が大部分であると考えられるため、トルエン洗浄後の回収率が高いポリエチレンワックスは、低沸点成分含有量が少ないと言える。
【0083】ポリエチレンワックスの軟化点が80℃以下ではトナーの保存性が低下する。また、キャリア表面、トナー担持体表面にワックス成分が固着する。140℃以上ではトナー定着時に定着画像表面にしみ出さず、定着性改善効果が小さい。
【0084】ポリエチレンワックスの25℃での針入度が8以上であると、トナーの流動性を低下させ、均一帯電が行えない。
【0085】また必要に応じて内添剤として磁性粉を添加することもできる。磁性粉には、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト等の金属粉末や鉄、マンガン、ニッケル、コバルト、亜鉛等のフェライト粉末等を用いる。粉末の平均粒径は1μm以下、特に0.6μm以下であることが好ましい。
【0086】外添剤には、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、フェライト、マグネタイト等の金属酸化物微粉末、タングステンカーバイドなどの炭化物、その他窒化物、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム等のチタン酸塩、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウム等のジルコン酸塩あるいはこれらの混合物が用いられる。外添剤は必要に応じて疎水化処理等の表面処理を施しても良い。
【0087】本発明のトナーは、さらに必要に応じて内添剤や外添剤として離型剤や、有機材料の微粉末等の流動性補助剤、帯電補助剤、クリーニング補助剤を含めることができる。
【0088】本発明のトナーは以下の方法で製造される。トナーは予備混合、混練、微粉砕、微粉分級、外添の各工程を経て製造される。
【0089】予備混合工程は、結着樹脂と着色剤、内添剤とを撹拌羽根を具備したミキサー等により均一分散する処理であり、公知の処理方法が用いられる。
【0090】実施例では、ヘンシュルミキサーFM−20B(三井三池化工機社製)で混合処理を行っている。
【0091】混練工程は、混合処理された材料を加熱して、せん断力により結着樹脂に内添剤を分散させるもので、この混練には、三本ロール型、一軸スクリュウー型、二軸スクリュウー型、バンバリーミキサー型等の混練物を加熱してせん断力をかけて練る公知の加熱混練機を用いることが出来る。実施例では、二軸混練機PCM−30(池貝鉄工社製)を用いて混合物を加熱混練している。
【0092】次いで、混練処理によって得られた塊をカッターミル等で粗粉砕した後、微粉砕する。この微粉砕工程には、ジェットミル粉砕機に代表される気流式粉砕機やロータ式に代表される機械式粉砕機が使用できる。
【0093】更に分級機を用いて分級処理し、微粉粒子を分離して、所望の粒度分布を得る。微粉分級には、回転するロータの遠心力を利用して分級する機械式分級方法を使用することもできる。実施例では、混練物をジェットミル粉砕機IDS−2型(日本ニューマチック工業社製)で微粉砕し、次いで微粉砕物を気流分級機DS−2型(日本ニューマチック工業社製)を用いて分級し、分級微粉を分離して、体積平均粒径8μmのトナー粒子を得た。この段階で得られたものを完成品トナーと区別するために、トナー母体と呼ぶこととする。
【0094】外添処理は、トナー母体に外添剤を加え、混合する処理である。混合機は公知のミキサーが使用できる。
【0095】微粉分級工程で分離される分級微粉の一部または全部を予備混合工程あるいは混練工程に戻して使用することができる。分級微粉は予備混合性を向上させるためにペレット状に固化してもよい。固化にはローラコンパクタ等が使用できる。
【0096】本発明の実施例に用いられるキャリアは、フェライト粒子表面に樹脂被覆層を設けることにより作成される。フェライトは、Fe23を主原料に、NiO、CuO、CoO、MgO、ZnO、MnCO3、BaCO3、SrCO3を混合して原料に用いる。
【0097】フェライト粒子は、湿式法、乾式法どちらの方法で作成してもよいが、乾式法が一般的である。乾式法では、原料を混合後仮焼成し、水中にてボールミル等で微粉砕し、さらに結着剤としてPVA(ポリビニルアルコール)、消泡剤、分散剤を加え造粒用スラリーとする。このスラリーを噴霧乾燥機で加熱乾燥しながら造粒し顆粒とし、本焼成する。本焼成は、900〜1400℃で10〜30時間おこない、その後、解砕、分級してフェライト粒子を得る。
【0098】樹脂被覆層は、スプレー法、ディッピング法等公知の方法が用いられる。被覆量は、キャリア粒子重量の0.3〜1.2wt%である。
【0099】樹脂被覆層に用いる樹脂は、フッ素系樹脂またはシリコーン系樹脂が用いられる。樹脂被覆層に含有させるカーボンブラックは、種々の製法のカーボンブラックが用いられるが、オイルファーネスカーボンやアセチレンブラックが好ましい。またカーボンブラック表面をグラフト化して用いたり、酸化処理して用いてもよい。
【0100】(実施の形態1)本発明に係るトナーは、結着樹脂が、結着樹脂溶液中に植物系ワックスを添加して、脱溶剤したものを主成分とし、植物系ワックスのDSCによる吸熱ピークが65〜90℃に存在し、220℃での加熱減量が5重量%以下である構成である。
【0101】DSCによる吸熱ピークが65〜90℃に存在する植物系ワックスは、低融点であるためトナーの定着性向上に大きく寄与する。しかし、トナーの製造工程における予備混合工程で、結着樹脂や着色剤、その他の内添剤と同時に混合をおこなうと、植物系ワックスを核とした凝集が発生しトナーの組成不均一が発生する。この凝集はその後の混練工程においても解消することができない。よって、植物系ワックスを使用する構成では、混練工程以前の組成を均一化することが要求される。
【0102】本構成では、植物系ワックスを結着樹脂溶液中で分散させ、その後脱溶剤するため、植物系ワックスが結着樹脂中に均一に分散する。このため、植物系ワックスを核とした凝集が発生せず、内添剤や着色剤の分散不良に起因するトナーの帯電ムラが抑制できる。
【0103】植物系ワックスのDSCによる吸熱ピークが65℃以下の場合、トナーの熱的安定性が低下し貯蔵安定性が悪化する。また90℃以上では、トナーの定着性改善効果が小さい。
【0104】220℃での加熱減量が5重量%より大きい場合、結着樹脂溶液からの脱溶剤工程において、十分な脱溶剤が行えず、結着樹脂中に溶剤が残留する。このためトナーの環境安定性が低下し、高温高湿下で異常画像が発生する。
【0105】(実施の形態2)本発明に係るトナーは、トナー製造工程における微粉分級工程で分離される分級微粉のガラス転移点Tg1とトナーのガラス転移点Tg2との差の絶対値が2℃以下の構成である。
【0106】微粉分級工程で分離される分級微粉は、微粉砕工程時に粉砕された微粉末のうち、体積平均粒径が小さいものから構成される。微粉分級の目的は、トナー流動性の低下やトナー飛散を誘引する微小粒子の除去である。
【0107】トナー微粉砕時には、混練工程において結着樹脂に熱溶融混練された着色剤や内添剤と結着樹脂との界面で粉砕がおこなわれる場合と結着樹脂の内部で粉砕がおこなわれる場合があると考えられる。
【0108】結着樹脂の重量平均分子量が10万より小さく混練工程で十分なストレスがかからない場合や、結着樹脂に架橋成分を40重量%以上含有させた場合、あるいは予備混合工程での予備混合物の温度が結着樹脂のガラス転移点以上になった場合は、着色剤、内添剤と結着樹脂との界面での密着性が良好でない。結着樹脂中の架橋成分は高温域においても弾性を持つため、耐高温オフセット性を向上させるためには有効であるが、濡れ性が悪い。
【0109】密着性が悪い場合や結着樹脂自身の組成不均一などによって微粉砕工程においてトナーが粉砕される部分は変化し、その結果トナーと分級微粉の組成差が発生する。
【0110】トナーのガラス転移点は、結着樹脂組成や内添剤の添加量に影響される。つまり、分級微粉のガラス転移点とトナーのガラス転移点との差は、トナーの組成均一性を示しているといえる。
【0111】分級微粉のガラス転移点Tg1とトナーのガラス転移点Tg2との差の絶対値が2℃より大きい場合、トナーの組成不均一のため逆極性に帯電したトナーが多く、地カブリが多い劣悪な画像となってしまう。
【0112】(実施の形態3)本発明に係るトナーは、結着樹脂が、結着樹脂溶液中に植物系ワックスを添加して脱溶剤したものを主成分とし、植物系ワックスのDSCによる吸熱ピークが65〜90℃に存在し、220℃での加熱減量が5重量%以下であり、トナー製造工程における微粉分級工程で発生する分級微粉のガラス転移点Tg1とトナーのガラス転移点Tg2との差の絶対値が2℃以下である構成である。
【0113】DSCによる吸熱ピークが65〜90℃に存在する植物系ワックスは、低融点であるためトナーの定着性向上に大きく寄与する。また、低融点の植物系ワックスは結着樹脂との相溶性が比較的高く、結着樹脂のガラス転移点に影響する。
【0114】本構成では、植物系ワックスを結着樹脂溶液中で分散させ、その後脱溶剤するため、植物系ワックスが結着樹脂中に均一に分散する。このため、植物系ワックスを核とした凝集が発生せず、内添剤や着色剤の分散不良に起因するトナーの帯電ムラが抑制できる。
【0115】さらに、本構成はトナー製造工程における微粉分級工程で分離される分級微粉のガラス転移点Tg1とトナーのガラス転移点Tg2との差の絶対値が2℃以下の構成である。このため、トナー微粉砕工程においてもトナーの組成ムラが発生することなしに微粉砕がおこなわれ、均一な組成のトナーを得ることができる。
【0116】植物系ワックスのDSCによる吸熱ピークが65℃以下の場合、トナーの熱的安定性が低下し貯蔵安定性が悪化する。また90℃以上では、トナーの定着性改善効果が小さい。
【0117】220℃での加熱減量が5重量%より大きい場合、結着樹脂溶液からの脱溶剤工程において、十分な脱溶剤が行えず、結着樹脂中に溶剤が残留する。このためトナーの環境安定性が低下し、高温高湿下で異常画像が発生する。
【0118】分級微粉のガラス転移点Tg1とトナーのガラス転移点Tg2との差の絶対値が2℃より大きい場合、植物系ワックスがトナー中に不均一に分布するため、感光体上にフィルミングが発生し、さらに逆極性に帯電したトナーが多く、地カブリが多い劣悪な画像となってしまう。
【0119】(実施の形態4)本発明に係るトナーは、すくなくとも予備混合工程と混練工程と微粉砕工程と微粉分級工程と、微粉分級工程で分離される分級微粉の一部または全部を再度予備混合工程あるいは混練工程に戻して再使用する工程と外添工程とによって製造され、少なくとも結着樹脂、着色剤、内添剤及び外添剤とから構成され、DSCによる吸熱ピークが65〜90℃に存在し、220℃での加熱減量が5重量%以下である植物系ワックスを結着樹脂溶液中に添加して、脱溶剤したものを主成分とする構成である。
【0120】分級微粉は、トナーと組成や分散性が異なっている。予備混合工程において植物系ワックスを核とした凝集が発生しやすいため、この分散が異なる傾向は植物系ワックスを添加した構成において顕著である。そのため、再度予備混合工程あるいは混練工程に戻して使用すると、当初設定した組成と異なったトナーが製造されるため、十分な特性が発揮されない。
【0121】本発明のトナーは、結着樹脂が結着樹脂溶液中に植物系ワックスを添加して脱溶剤したものを主成分としているため、予備混合工程における植物系ワックスを核とした凝集が発生せず、分級微粉の組成や分散性はトナーとほぼ同一である。このため、分級微粉を再度予備混合工程あるいは混練工程に戻して使用しても、トナーの組成や分散性は変化しない。
【0122】植物系ワックスのDSCによる吸熱ピークが65℃以下では、結着樹脂に結着樹脂溶液中に植物系ワックスを添加して脱溶剤したものを主成分としてもちいても、結着樹脂中における分散性が悪く、分級微粉を再度戻した際のトナー分散性が低下する。90℃以上では、定着性の改善効果が見られない。
【0123】220℃での加熱減量が5重量%より大きい場合も、結着樹脂中における分散性が悪く、分級微粉を再度戻した際のトナー分散性が低下する。
【0124】(実施の形態5)本発明に係るトナーは、すくなくとも予備混合工程と混練工程と微粉砕工程と微粉分級工程と、微粉分級工程で分離される分級微粉の一部または全部を再度予備混合工程あるいは混練工程に戻して再使用する工程と外添工程とによって製造されるトナーであって、トナーが少なくとも結着樹脂、着色剤、内添剤及び外添剤とから構成され、微粉分級工程で分離される分級微粉のガラス転移点Tg1とトナーのガラス転移点Tg2との差の絶対値が2℃以下である構成である。
【0125】トナーや分級微粉のガラス転移点は、組成や内添剤の分散に影響される。ガラス転移点差が大きい分級微粉を再度予備混合工程あるいは混練工程に戻して使用すると、トナーの組成や内添剤の分散状態が変化し、逆極性に帯電したトナーが増加する。
【0126】本発明のトナーは、分級微粉のガラス転移点Tg1とトナーのガラス転移点Tg2との差の絶対値が2℃以下であるため、トナーと分級微粉の組成や内添剤の分散状態がほぼ同一である。このため、分級微粉を再度予備混合工程あるいは混練工程に戻して使用しても、トナーの組成や内添剤の分散状態は変化せず、逆極性トナーの増加もない。
【0127】(実施の形態6)本発明に係るトナーは、すくなくとも予備混合工程と混練工程と微粉砕工程と微粉分級工程と、微粉分級工程で分離される分級微粉の一部または全部を再度予備混合工程あるいは混練工程に戻して再使用する工程と外添工程とによって製造されるトナーであって、トナーが少なくとも結着樹脂、着色剤、内添剤及び外添剤とから構成され、DSCによる吸熱ピークが65〜90℃に存在し、220℃での加熱減量が5重量%以下である植物系ワックスを結着樹脂溶液中に添加して、脱溶剤したものを主成分とし、微粉分級工程で分離される分級微粉のガラス転移点Tg1とトナーのガラス転移点Tg2との差の絶対値が2℃以下である構成である。
【0128】DSCによる吸熱ピークが65〜90℃に存在する植物系ワックスは、低融点であるためトナーの定着性向上に大きく寄与する。また、低融点の植物系ワックスは結着樹脂との相溶性が比較的高く、結着樹脂のガラス転移点に影響する。このため、分散性が悪いと分級微粉のガラス転移点がトナーと大きく異なり、再度予備混合工程あるいは混練工程に戻した場合、トナー中での植物系ワックスの分散状態が悪化する。
【0129】本構成では、植物系ワックスを結着樹脂溶液中で分散させ、その後脱溶剤するため、植物系ワックスが結着樹脂中に均一に分散する。このため、植物系ワックスを核とした凝集が発生せず、内添剤や着色剤の分散不良に起因するトナーの帯電ムラが抑制できる。
【0130】さらに、本構成はトナー製造工程における微粉分級工程で分離される分級微粉のガラス転移点Tg1とトナーのガラス転移点Tg2との差の絶対値が2℃以下の構成である。このため、トナー微粉砕工程においてもトナーの組成ムラが発生することなしに微粉砕がおこなわれ、均一な組成のトナーを得ることができる。
【0131】植物系ワックスのDSCによる吸熱ピークが65℃以下の場合、トナーの熱的安定性が低下し貯蔵安定性が悪化する。また90℃以上では、トナーの定着性改善効果が小さい。
【0132】220℃での加熱減量が5重量%より大きい場合、結着樹脂溶液からの脱溶剤工程において、十分な脱溶剤が行えず、結着樹脂中に溶剤が残留する。このためトナーの環境安定性が低下し、高温高湿下で異常画像が発生する。
【0133】分級微粉のガラス転移点Tg1とトナーのガラス転移点Tg2との差の絶対値が2℃より大きい場合、分級微粉中での植物系ワックスの分散状態が不均一なため、再度使用すると、予備混合工程や混練工程において不均一に分布した植物系ワックスを核とした凝集が発生する。このため感光体上にフィルミングが発生し、さらに逆極性に帯電したトナーが多く、地カブリが多い劣悪な画像となってしまう。
【0134】(実施の形態7)本発明に係るトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、内添剤及び外添剤とから構成され、結着樹脂が、結着樹脂溶液中に植物系ワックスを添加して、脱溶剤したものを主成分とし、植物系ワックスのDSCによる吸熱ピークが65〜90℃に存在し、220℃での加熱減量が5重量%以下であり、トナーのガラス転移点が40〜50℃である構成である。
【0135】トナーの定着性を向上させるために結着樹脂のガラス転移点を低下させて、トナーのガラス転移点を低下させることは従来からおこなわれてきた。しかし、トナーのガラス転移点が50℃以下では、トナーの貯蔵安定性を満たすことは困難であった。
【0136】本構成では、植物系ワックスのDSCによる吸熱ピークが65〜90℃に存在する。このため、植物系ワックスが結着樹脂中に相溶し、トナーのガラス転移点を低下させトナー定着性が向上する。この場合、結着樹脂のガラス転移点自体は変化させないため、定着性と貯蔵安定性の両立が可能となる。
【0137】また、結着樹脂が、結着樹脂溶液中に植物系ワックスを添加して、脱溶剤したものを主成分とするため、植物系ワックスが均一に結着樹脂中に相溶する。よってトナーの組成バラツキがなく、遊離した植物系ワックスに起因する貯蔵安定性が悪化することもない。
【0138】トナーのガラス転移点が40℃以下では、貯蔵安定性が悪化する。50℃以上では定着性の改善効果が見られない。
【0139】(実施の形態8)本発明に係るトナーが用いられる電子写真方法は、トナーにより感光体上の静電潜像を可視像化する現像工程と、感光体上の可視像化したトナーを静電力で転写紙に移す転写工程と、転写工程時に一部感光体に残留するトナーを感光体から除去するクリーニング工程と、クリーニング工程で除去された廃トナーを再度現像工程に戻し再利用する廃トナーリサイクル工程とを、少なくとも有する構成である。
【0140】そのため、リサイクルによってトナーが変質せず、帯電量や流動性が変化しないことが要求される。
【0141】本発明のトナーは、植物系ワックスや内添剤が均一に分散しているため、逆極性に帯電するトナーが少なく、本質的に廃トナーが少ない。さらに、廃トナーを再度現像工程に戻し再利用する廃トナーリサイクルをおこなってもトナーの組成変化がなく、良好な画質を維持できる。
【0142】また、植物系ワックスや内添剤が均一に分散しているため、廃トナーリサイクル工程において、ワックスや内添剤のトナーからの遊離がなく、流動性低下がなく感光体へのフィルミングも回避できる。
【0143】(実施の形態9)本発明のトナーが用いられる電子写真方法は、像担持体上に形成した静電潜像をトナーにより顕像化する現像工程と、トナーを像担持体に当接した無端状の中間転写体に1次転写する工程と、1次転写の工程を複数回動作させて転写トナー重複像を形成する工程と、中間転写体上に形成した転写トナー重複像を給紙側から搬送される受像紙に一括して2次転写する工程とから構成される。
【0144】中間転写体を使用する構成では、トナー流動性が高く安定していることが要求される。本発明のトナーは、植物系ワックスや内添剤が均一にトナー中に分散しているため、使用中にトナーから遊離する事がない。このため、流動性が低下せず転写効率が向上する。特にトナーの凝集効果によって画像の一部が転写されずに穴となる”中抜け”現象が減少する。遊離したトナー成分を核としたトナーの凝集が緩和されたためと推察できる。
【0145】
【実施例】
(実施例1)本発明のトナーが用いられる電子写真方法の一実施例の電子写真装置は、市販の複写機(FP−4080、松下電器産業(株))の改造機を用いて行った。本実施例では、現像方式に二成分現像方式を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、一成分現像方式も用いることが出来る。
【0146】実施例では、(表1)に示す結着樹脂、(表2)に示すワックス、(表3)に示す材料を用いトナーを試作した。
【0147】
【表1】

【0148】
【表2】

【0149】
【表3】

【0150】なお、(表3)において、添加量は重量部を表している。また、外添剤添加量はトナー母体100重量部に対する値である。
【0151】結着樹脂の軟化点は、島津製作所のフローテスタ(CFT−500)により、1cm3の試料を昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジャーにより20kg/cm2の荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルを押し出すようにする。このプランジャーの降下量と昇温温度特性との関係から、その特性線の1/2に対する温度を軟化点としている。
【0152】樹脂の分子量重量平均分子量は、数種の単分散ポリスチレンを標準サンプルとするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定した値を用いる。温度25℃においてテトラヒドロフランを溶媒として毎分1mlの流速で流し、これに濃度0.5g/dlのテトラヒドロフラン試料溶液を、試料重量で10mg注入して測定する。測定条件として対象試料の分子量分布が、数種の単分散ポリスチレン標準試料により得られる検量線における分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される条件を選択する。また、HP/LP比は、結着樹脂の分子量分布曲線において、高分子量側のピークを有する山と、低分子量側のピークを有する山との間の谷を境にしてHP側/LP側を区別し決定する。
【0153】メルトインデックス値は、一定荷重、一定温度下で一定時間にオリフィスから流出した結着樹脂重量を示している。実験ではメルトインデクサーを用い、150℃、2160gの荷重下で10分間に流出したものをメルトインデックス値として、JIS K 6760に準拠して測定した。メルトインデックスが大きいということは、当該温度において樹脂が流れやすいことを示しており、定着性の一指標といえる。
【0154】ガラス転移温度(Tg)とDSC吸熱ピーク温度は示差走査熱量計(DSC−50、島津製作所製)を用い、一度150℃まで昇温し、7.5℃/minで冷却する際のDSC曲線から測定した。
【0155】220℃での加熱減量は、熱天秤(TA−50、島津製作所製)を用い、試料を10℃/minで220℃まで昇温し、60min保持した際の質量変化から測定した。
【0156】ワックスの軟化点は、ワックスが溶融状態になる温度の指標として、JISK 2207−6.4−93に準拠して測定した。
【0157】針入度は、ワックスの常温での硬さを示す指標としてJIS K 2235−6.3−93に準拠して25℃にて測定した。
【0158】トルエン洗浄での回収率は、以下のようにして測定した。25℃のトルエン1000ml中にワックスを100g投入し、1時間攪拌した後、全量を濾紙で濾過した。濾紙上の抽出残分は室温で十分乾燥させ、洗浄前後の重量を測定し回収率を計算した。
【0159】(表4)に(表3)の各トナーの物性値を示す。
【0160】
【表4】

【0161】なお、(表4)において、静かさ密度は、トナーの流動性を定義するものであり、この値が大きいことは流動性が高いことを表している。静かさ密度の測定は、ホソカワミクロン社製パウダーテスタPT−E型を使用した。
【0162】また、帯電量はブローオフ法で測定した。測定サンプルは、キャリアにDBP吸油量360ml/100g、比表面積800m2/g、PH8のカーボンブラックを含有したシリコーン樹脂で被覆した平均粒径80μmで体積抵抗3×108ΩcmのCu−Zn−Fe23粒子を使用し、トナー濃度が3.5%となるようにトナーを混合し、100mlのポリエチレンボトルに入れ、回転数60rpmで10min間撹拌したものを使用した。
【0163】DBP吸油量は、150℃±1℃で1時間乾燥した試料20gをアブソープトメータ(Brabender社製、スプリング張力2.68kg/cm)の混合室に投入し、予めリミットスイッチを最大トルクの約70%に設定した後、混合機を回転する。同時に、自動ビューレットからDBP(比重1.045〜1.050g/cm3)を4ml/minの割合で添加する。終点近くになるとトルクが急速に増加してリミットスイッチが切れる。それまでに添加したDBP量と試料重量から試料100gあたりのDBP吸油量が求められる。
【0164】PHは、試量10gに蒸留水100mlを加え、ホットプレート上で10分間煮沸し、室温まで冷却した後、上澄みを除去分離し、泥状物のPHをガラス電極PHメーターで測定した。
【0165】キャリアの体積抵抗は、大きさ2×1cmの電極を間隔2mmで対向させた間に、サンプルキャリアを0.2g投入し、電極の外側で対向させた磁石により電極間でブリッジを形成させ、電極に1000Vを印可し測定した。
【0166】保存性は、トナーを50℃、50%RH環境下に24時間放置し、その前後でのトナー凝集性を官能評価した。
【0167】各種のトナーを用いて、複写テストを実施し、複写画像を評価した。(表5)に(表3)の各トナーの画像評価結果、定着性を示す。
【0168】
【表5】

【0169】画像濃度は反射濃度計(マクベス社)で測定し、評価を行なった。トナー定着性は、画像濃度1.0の定着サンプル画像をFP−4080改造機(プロセススピード350mm/s)で連続5枚出力し、こすり試験を行うことによって、定量化した。こすり試験は、平滑なガラス板上に測定画像サンプルを置き、70g/cm2の荷重を印加した不織布(商品名ベンコット、旭化成製)で10往復擦過することによって行い、擦過前後の画像濃度維持率を定着性とした。
【0170】トナーA1、A2、A3を用いた場合は、初期の複写画像には横線の乱れやトナーの飛び散りなどがなく、画像濃度1.4以上の高濃度のベタ黒画像が均一に得られた。非画像部の地カブリは発生していない。150k枚の連続印字試験においても初期画像品質を維持した。しかしトナーサンプルB1では分散不良に起因すると思われる地かぶりが増大した。トナーサンプルB2ではトナー流動性が低く、感光体フィルミングが発生した。
【0171】(実施例2)本発明のトナーが用いられる電子写真方法の一実施例の電子写真装置は、市販の複写機(FP−4080、松下電器産業(株))に廃トナーリサイクル機構を付加した改造機を用いて行った。現像剤は、キャリアにシリコーン樹脂コートした平均粒径80μmのCu−Zn−Fe23粒子を使用し、トナー濃度が3.5%となるようにトナーを混合し、ポリエチレンボトルに入れ、回転数60rpmで20min間撹拌したものを使用した。
【0172】トナーA1、A2、A3を用いた場合は、初期の複写画像には横線の乱れやトナーの飛び散りなどがなく、画像濃度1.4以上の高濃度のベタ黒画像が均一に得られた。非画像部の地カブリは発生していない。廃トナーリサイクルを行った150k枚の連続印字試験においても、安定したリサイクルが行え初期画像品質を維持した。
【0173】(実施例3)(表3)に示したトナーの製造工程における微粉分級工程で分離された分級微粉を、予備混合工程に戻し、その後の工程は(実施例1)と同様にしてトナーを試作した。戻し量は、結着樹脂100重量部あたり30重量部とした。
【0174】トナーA1、A2、A3については、分級微粉を戻して試作したトナーもほぼ同等の特性を示し、横線の乱れやトナーの飛び散りなどがなく、画像濃度1.4以上の高濃度のベタ黒画像が均一に得られた。非画像部の地カブリは発生していない。さらに廃トナーリサイクルを行った150k枚の連続印字試験においても、安定したリサイクルが行え初期画像品質を維持した。
【0175】しかし、トナーB1、B2は分級微粉を戻して試作したトナーの帯電量が低く、非画像部の地カブリが非常に多い劣悪な画像が得られた。
【0176】(実施例4)本発明のトナーが用いられる電子写真方法の一実施例の電子写真装置は、市販の複写機(PD−3018、松下電器産業(株))の改造機を用いて行った。本実施例では、現像方式に二成分現像方式を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、一成分現像方式も用いることが出来る。
【0177】実施例では、(表1)に示す結着樹脂、(表2)に示すワックス、(表6)に示す材料を用いトナーを試作した。
【0178】
【表6】

【0179】なお、(表6)において、添加量は重量部を表している。なお、外添剤添加量はトナー母体100重量部に対する値である。
【0180】(表7)、(表8)に(表6)の各トナーの物性値、画像評価結果、定着性を示す。
【0181】
【表7】

【0182】
【表8】

【0183】トナーA4、A5、A6を用いた場合は、初期の複写画像には横線の乱れやトナーの飛び散りなどがなく、高解像度な画像と画像濃度1.35以上の高濃度のベタ黒画像が均一に得られた。非画像部の地カブリは発生していない。150k枚の連続印字試験においてもトナー飛散や機内汚れの発生なしに初期画像品質を維持した。
【0184】(実施例5)図1に本発明の電子写真方法の一実施例の電子写真装置の断面図を示す。
【0185】カラー像形成時の動作を説明する。201はカラー電子写真プリンタの外装筐であり、図面右端面側が前面である。201Aはプリンタ前面板であり、該前面板はプリンタ外装筐201に対して下辺側のヒンジ軸201Bを中心に点線表示のように倒し開き操作、実線表示のように起こし閉じ操作自由である。プリンタ内に対する中間転写ベルトユニット202の着脱操作や紙詰まり時などのプリンタ内部点検保守等は前面板201Aを倒し開いてプリンタ内部を大きく解放することにより行われる。この中間転写ベルトユニット202の着脱動作は、感光体の回転軸母線方向に対し垂直方向になるように設計されている。
【0186】中間転写ベルトユニット202の構成を図3に示す。中間転写ベルトユニット202はユニットハウジング202aに、転写ベルト203、導電性弾性体よりなる第1転写ローラ204、アルミローラよりなる第2転写ローラ205、転写ベルトの張力を調整するテンションローラ206、転写ベルト上に残ったトナー像をクリーニングするベルトクリーナローラ207、クリーナローラ207上に回収したトナーをかきおとすスクレーパ208、回収したトナーを溜おく廃トナー溜め209aおよび209b、転写ベルトの位置を検出する位置検出器210を内包している。この中間転写ベルトユニット202は、図1においてプリンタ前面板201Aを点線のように倒し開いてプリンタ外装筐201内の所定の収納部に対して着脱自在である。
【0187】中間転写ベルト203は、絶縁性樹脂中に導電性のフィラーを混練して押出機にてフィルム化して用いる。本実施例では、絶縁性樹脂としてポリカーボネート樹脂(例えば三菱ガス化学製ユーピロンZ300)95部に、導電性カーボン(例えばケッチェンブラック)5部を加えてフィルム化したものを用いた。表面に弗素樹脂をコートした。フィルムの厚みは約350μm、抵抗は約107〜108Ω・cmであった。
【0188】この転写ベルトを、厚さ100μmのエンドレスベルト状の半導電性のウレタンを基材としたフィルムよりなり、周囲に107Ω・cmの抵抗を有するように低抵抗処理をしたウレタンフォームを成形した第1転写ローラ204、第2転写ローラ205およびテンションローラ206に巻回し、矢印方向に移動可能に構成される。ここで、転写ベルトの周長は、最大用紙サイズであるA4用紙の長手方向の長さ(298mm)に、後述する感光体ドラム(直径30mm)の周長の半分より若干長い長さ(62mm)を足した360mmに設定している。
【0189】中間転写ベルトユニット202がプリンタ本体に装着されたときには、第1転写ローラ204は、中間転写ベルト203を介して感光体211(図3に図示)に約1.0kgの力で圧接され、また、第2転写ローラ205は、中間転写ベルト203を介して上記の第1転写ローラ204と同様の構成の第3転写ローラ212(図3に図示)に圧接される。この第3転写ローラは中間転写ベルト203に従動回転可能に構成している。
【0190】クリーナローラ207は、中間転写ベルト203を清掃するベルトクリーナ部のローラである。これは、金属性のローラにトナーを静電的に吸引する交流電圧を印加する構成である。なお、このクリーナローラ7はゴムブレードや電圧を印加した導電性ファーブラシであってもよい。
【0191】再び、図1に戻る。プリンタ中央には黒、シアン、マゼンタ、イエロの各色用の4組の扇型をした像形成ユニット217Bk、217Y、217M、217Cが像形成ユニット群218を構成し、図のように円環状に配置されている。各像形成ユニットは、図1のプリンタ上面板201Cをヒンジ軸201Dを中心に開いて像形成ユニット群218の所定の位置に着脱自在である。像形成ユニット217はプリンタ内に正規に装着されることにより、像形成ユニット側とプリンタ側の両者側の機械的駆動系統・電気回路系統が相互カップリング部材(不図示)を介して結合して機械的・電気的に一体化する。
【0192】円環状に配置されている像形成ユニット217Bk、217C、217M、217Yは支持体(図示せず)に支持されており、全体として移動手段である移動モータ219に駆動され、固定されて回転しない円筒状の軸220の周りに回転移動可能に構成されている。各像形成ユニットは、回転移動によって順次前述の中間転写ベルト203を支持する第2転写ローラ204に対向した像形成位置221に位置することができる。像形成位置221は信号光222による露光位置でもある。
【0193】各像形成ユニットは、中に入れた現像剤を除きそれぞれ同じ構成部材よりなるので、説明を簡略化するため黒用の像形成ユニット217Bkについて説明し、他色については省略する。なお、各色用について、同じ部分には同じ符号を付し、各色の構成の区別をつける必要がある場合は、符号に各色を示す文字を付す。
【0194】現像は二成分現像剤で、キャリアはシリコーン樹脂コートしたCu−Zn−Fe23粒子を使用した。
【0195】再び図1に戻り説明する。235はプリンタ外装筐1内の下側に配設したレーザビームスキャナ部であり、半導体レーザ、スキャナモータ235a、ポリゴンミラー235b、レンズ系235c等から構成されている。該スキャナ部235からの画像情報の時系列電気画素信号に対応した画素レーザ信号光222は図1の像形成ユニット217Bkと217Yの間に構成された光路窓口236を通って、軸220の一部に開けられた窓237を通して軸220内の固定されたミラー238に入射し、反射されて像形成位置221にある像形成ユニット217Bkの露光窓225から像形成ユニット217Bk内にほぼ水平に進入し、像形成ユニット内に上下に配設されている現像剤溜め226とクリーナ234との間の通路を通って感光体ドラム211の左側面の露光部に入射し母線方向に走査露光される。
【0196】ここで光路窓口236からミラー238までの光路は両隣の像形成ユニット217Bkと217Yとのユニット間の隙間を利用しているため、像形成ユニット群218には無駄になる空間がほとんど無い。また、ミラー238は像形成ユニット群218の中央部に設けられているため、固定された単一のミラーで構成することができ、シンプルでかつ位置合わせ等が容易な構成である。
【0197】212はプリンタ前面板201Aの内側で給送ローラ239の上方に配設した第3転写ローラであり、中間転写ベルト203と第3転写ローラ212との圧接されたニップ部には、プリンタ前面板201Aの下部に設けた紙給送ローラ239により用紙が送られてくるように用紙搬送路が形成されている。
【0198】240はプリンタ前面板201Aの下辺側に外方に突出させて設けた給紙カセットであり、複数の紙Sを同時にセットできる。241aと241bとは紙搬送タイミングローラ、242a・242bはプリンタの内側上部に設けた定着ローラ対、243は第3転写ローラ212と定着ローラ対242a・242b間に設けた紙ガイド板、244a・244bは定着ローラ対242a・242bの紙出口側に配設した紙排出ローラ対、245は定着ローラ242aに供給するシリコーンオイル246を溜める定着オイル溜め、247はシリコーンオイル246を定着ローラ242aに塗布するオイル供給ローラである。以上が本発明の電子写真装置の主要構成の説明である。
【0199】本発明のトナーが用いられる電子写真装置では、各像形成ユニット、中間転写ベルトユニットには、廃トナー溜めを設けている。本発明のトナーを用いれば高効率の転写率のため、ほとんど廃トナーは生じないため、その容積は非常に小さくできる。
【0200】最初、像形成ユニット群218は図1に示す位置にあり、黒の像形成ユニット217Bkが図示のように像形成位置221にある。このとき感光体211は中間転写ベルト203を介して第1転写ローラ204に対向接触している。
【0201】像形成工程により、レーザ露光装置235により黒の信号光が像形成ユニット217Bkに入力され、黒トナーによる像形成が行われる。この時像形成ユニット217Bkの像形成の速度(感光体の周速に等しい60mm/s)と中間転写ベルト203の移動速度は同一になるように設定されており、像形成と同時に第1転写ローラ204の作用で、黒トナー像が中間転写ベルト203に転写される。このとき第1転写ローラには+1kVの直流電圧を印加した。黒のトナー像がすべて転写し終わった直後に、像形成ユニット217Bk、217C、217M、217Yは像形成ユニット群218として全体が移動モータ219に駆動されて図1矢印方向に回転移動し、ちょうど90度回転して像形成ユニット217Cが像形成位置221に達した位置で止まる。この間、像形成ユニットの感光体以外のトナーホッパ226やクリーナ234の部分は感光体211先端の回転円弧より内側に位置しているので、中間転写ベルト203が像形成ユニットに接触することはない。
【0202】像形成ユニット217Cが像形成位置221に到着後、前と同様に今度はシアンの信号でレーザ露光装置235が像形成ユニット217Cに信号光を入力しシアンのトナー像の形成と転写が行われる。このときまでに中間転写ベルト203は一回転し、前に転写された黒のトナー像に次のシアンのトナー像が位置的に合致するように、シアンの信号光の書き込みタイミングが制御される。この間、第3転写ローラ212とクリーナローラ207とは中間転写ベルト203から少し離れており、転写ベルト上のトナー像を乱さないように構成されている。
【0203】以上と同様の動作を、マゼンタ、イエロについても行い、中間転写ベルト203上には4色のトナー像が位置的に合致して重ね合わされカラー像が形成された。最後のイエロトナー像の転写後、4色のトナー像はタイミングを合わせて給紙カセット240から送られる用紙に、第3転写ローラ212の作用で一括転写された。このとき第2転写ローラ205は接地し、第3転写ローラ212には+1.5kVの直流電圧を印加した。用紙に転写されたトナー像は定着ローラ対242a・242bにより定着された。用紙はその後排出ローラ対244a・244bを経て装置外に排出された。中間転写ベルト203上に残った転写残りのトナーは、クリーナローラ207の作用で清掃され次の像形成に備えた。
【0204】次に単色モード時の動作を説明する。単色モード時は、まず所定の色の像形成ユニットが像形成位置に移動する。次に前と同様に所定の色の像形成と中間転写ベルト203への転写を行い、今度は転写後そのまま続けて、次の第3転写ローラ212により給紙カセット240から送られてくる用紙に転写をし、そのまま定着した。
【0205】なお以上の実施例では、像形成ユニットの構造として特定のものを用いたが、他にコンベンショナルな現像法を用いた構造の像形成ユニットの場合でも、本発明の本質と作用効果は変わることがない。
【0206】トナーのイエロー着色剤としては、ベンジジン系黄色顔料、フォロンイエロー、アセト酢酸アニリド系不溶性アゾ顔料、モノアゾ染料等がある。
【0207】マゼンタ着色剤としては、2,9−ジメチルキナクリドン、ナフトール系不溶性アゾ顔料、アントラキノン系染料、ナフロール系不溶性アゾ顔料等がある。
【0208】(表9)に本実施例で使用したカラートナーの組成を示す。
【0209】
【表9】

【0210】結着樹脂は(表1)で示した樹脂r−2を使用した。電荷制御剤として酸価20のポリエステル樹脂を20重量部添加した。酸価は5〜40が好ましい。添加量は結着樹脂100重量部に対して5〜45重量部が好ましい。
【0211】トナー帯電量は、各トナーとも−15〜−18μC/gであった。また、分級微粉とトナーのガラス転移点の差は0.5〜0.7℃であった。
【0212】図1示した電子写真装置を用いて、本発明のトナーで複写テストを行った。その結果、横線の乱れやトナーの飛び散り、文字の中抜けなどがなくベタ黒画像が均一で濃度が1.4の16本/mmの画線をも再現した極めて高解像度高画質の画像が得られた。画像濃度1.4以上の高濃度の画像が得られた。非画像部の地かぶりは発生していない。
【0213】また1万枚の長期耐久テストに於いても、流動性、画像濃度とも変化が少なく安定した特性を示している。また転写においても中抜けは実用上問題ないレベルであり転写効率は90%であった。感光体、中間転写ベルトへのトナーのフィルミングの発生は実用上問題ないレベルであった。
【0214】
【発明の効果】以上のように本発明は、物性を特定した植物系ワックスを結着樹脂溶剤中に添加後、脱溶剤したものを主成分とし、分級微粉とのガラス転移点の差を特定したトナーと、さらに、廃トナーをリサイクルする工程を有する電子写真方法、さらに中間転写体を使用した電子写真方法との組み合わせにより、優れた定着性、現像性、転写効率が得られ、さらに転写時の中抜け、感光体、中間転写媒体へのトナーのフィルミングを防止することが可能となる。
【0215】さらに、分級微粉の一部または全部を再度予備混合工程あるいは混練工程に戻して使用するトナーにおいても、良好な特性を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月11日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】滝本 智之 (外1名)
【公開番号】 特開平11−84711
【公開日】 平成11年(1999)3月30日
【出願番号】 特願平9−246378