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【発明の名称】 薄膜形成方法、表示装置およびカラーフィルタ
【発明者】 【氏名】湯田坂 一夫

【要約】 【課題】親和性制御に要するコストを削減し、均一な膜厚で薄膜の多層化を可能とする。

【解決手段】薄膜材料液(130)に対し親和性を示す材料(SiO等の無機材料)で親和性バンク層(111-11n)を形成する工程と、薄膜材料液(130)に対し非親和性を示す材料(レジスト等の有機材料)で非親和性バンク層(121-12n)を形成する工程と、を一回以上繰り返すことにより、親和性バンク層と非親和性バンク層とが交互に積層されたバンク(110)を形成する。最後にインクジェット方式により薄膜材料液(130)をバンク間に充填し加熱処理をして薄膜層(131-13n)を順次積層していく。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 バンクで囲まれた領域に薄膜材料液を充填して薄膜層を形成する薄膜形成方法であって、バンク形成面に前記バンクを形成する工程と、前記バンクに前記薄膜材料液を充填する工程と、を備え、前記バンクを形成する工程は、前記薄膜材料液に対し親和性を示す材料で親和性バンク層を形成する工程と、前記親和性バンク層上に前記薄膜材料液に対し非親和性を示す材料で非親和性バンク層を形成する工程と、を一回以上繰り返すことにより、親和性バンク層と非親和性バンク層とが交互に積層された前記バンクを形成するものであることを特徴とする薄膜形成方法。
【請求項2】 前記バンクを形成する工程の後に、前記バンクおよびバンク形成面に対して所定の表面処理を行う工程をさらに備える請求項1に記載の薄膜形成方法。
【請求項3】 前記表面処理を行う工程は、前記非親和性バンク層が前記親和性バンク層に比べて前記薄膜材料液に対する非親和性の程度がより高くなるような一定条件下で表面処理を行う請求項2に記載の薄膜形成方法。
【請求項4】 前記表面処理を行う工程は、さらに前記親和性バンク層の前記薄膜材料液に対する親和性が前記バンクで囲まれる領域の前記薄膜材料液に対する親和性以下になるような一定条件下で表面処理を行う請求項3に記載の薄膜形成方法。
【請求項5】 前記表面処理は、導入ガスにフッ素またはフッ素化合物を含んだガスを使用し、酸素が含まれた雰囲気下でプラズマ照射をするプラズマ処理である請求項2に記載の薄膜形成方法。
【請求項6】 前記一定条件は、フッ素系化合物が酸素よりも多いことを条件とする請求項3に記載の薄膜形成方法。
【請求項7】 前記一定条件は、フッ素系化合物および酸素の総量に対するフッ素系化合物の含有量が60%以上に設定されている請求項6に記載の薄膜形成方法。
【請求項8】 前記フッ素を含んだガスはCF、SF、CHF等のハロゲンガスを用いる請求項5に記載の薄膜形成方法。
【請求項9】 前記親和性バンク層表面が前記薄膜材料液に対し接触角が30度以下になるように前記表面処理される請求項2に記載の薄膜形成方法。
【請求項10】 前記非親和性バンク層表面が前記薄膜材料液に対し接触角が40度以上になるように前記表面処理される請求項2に記載の薄膜形成方法。
【請求項11】 前記バンクを形成する工程では、前記親和性材料で親和性膜を形成する親和性バンク層形成工程と、前記親和性バンク層上で前記バンクの形成領域に合わせて非親和性材料で非親和性バンク層を形成する非親和性バンク層形成工程と、前記非親和性バンク層をマスクとして当該非親和性バンク層が設けられていない領域の前記親和性バンク層をエッチングして除去する除去工程と、により一組の親和性バンク層および非親和性バンク層を形成する請求項1に記載の薄膜形成方法。
【請求項12】 前記バンクを形成する工程は、前記親和性材料で親和性バンク層を形成する工程と、当該親和性バンク層を前記バンク下層の形成領域に合わせてエッチングする工程と、前記親和性バンク層を覆って非親和性材料で非親和性バンク層を形成する工程と、当該非親和性バンク層を前記バンク上層の形成領域に合わせてエッチングする工程と、により一組の非親和性バンク層および非親和性バンク層を形成する請求項1に記載の薄膜形成方法。
【請求項13】 前記非親和性バンク層を感光性材料で形成する請求項11または請求項12のいずれかに記載の薄膜形成方法。
【請求項14】 前記親和性材料は無機材料であり前記非親和性材料は有機材料である請求項1に記載の薄膜形成方法。
【請求項15】 前記非親和性材料は、ポリイミド、アモルファスシリコン、ポリシリコン、フッ素を有する有機化合物または絶縁有機化合物のいずれかである請求項1に記載の薄膜形成方法。
【請求項16】 前記親和性材料は、Al、Ta等の金属、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜のいずれかである請求項1に記載の薄膜形成方法。
【請求項17】 前記薄膜層は、その最下層の薄膜層が前記バンクの最下層の親和性バンク層と略同等の厚みに設定されている請求項1に記載の薄膜形成方法。
【請求項18】 前記薄膜層は、その最下層より上に積層される各薄膜層が前記バンクの対応する高さに積層されている親和性バンク層と非親和性バンク層のそれぞれの厚みの合計と略同等の厚みに設定されている請求項1に記載の薄膜形成方法。
【請求項19】 最上層にある前記非親和性バンク層の厚みは500nm以下に設定され、それ以外の前記非親和性バンク層の厚みは100nm以下に設定されている請求項1に記載の薄膜形成方法。
【請求項20】 前記非親和性バンク層を形成する工程および前記親和性バンク層を形成する工程は、溶剤に溶かされた所定の材料を塗布してそれぞれのバンク層を形成するものであり、前記親和性バンク層の材料を溶かしていた溶剤が除去される前に前記非親和性バンク層の材料を塗布することにより前記非親和性バンク層を形成する請求項1に記載の薄膜形成方法。
【請求項21】 バンクで囲まれた領域に薄膜材料液を充填して形成された薄膜層を積層して構成される表示装置であって、前記バンクは、前記薄膜材料液に対し親和性を示す親和性バンク層と、前記薄膜材料液に対し非親和性を示す非親和性バンク層とが交互に積層され、前記バンクで囲まれる領域にはITO等からなる画素電極が設けられ、薄膜発光素子を形成するための有機半導体材料により前記薄膜層が形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項22】 前記親和性バンク層または/および前記非親和性バンク層は、それぞれ親和性または非親和性を示すように表面処理されたものである請求項21に記載の表示装置。
【請求項23】 バンクで囲まれた領域に薄膜材料液を充填して形成された薄膜層を積層して構成されるカラーフィルタであって、前記バンクは、前記薄膜材料液に対し親和性を示す親和性バンク層と、前記薄膜材料液に対し非親和性を示す非親和性バンク層とが交互に積層され、バンク形成面は透明基板で形成され、前記バンクは画素領域を仕切る仕切部材であって、前記画素に色彩を付与するための着色樹脂材料により前記薄膜層が形成されていることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項24】 前記親和性バンク層または/および前記非親和性バンク層は、それぞれ親和性または非親和性を示すように表面処理されたものである請求項23に記載のカラーフィルタ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、EL(エレクトロルミネッセンス)素子またはLED(発光ダイオード)素子などを備えた表示装置やカラーフィルタの製造に適した薄膜形成技術に係わる。特に仕切部材間に多層の薄膜層を形成する際に有利な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット方式を使用して表示装置における有機半導体膜やカラーフィルタにおける着色樹脂等の材料を充填してカラー表示用液晶パネルを製造する技術が用いられてきた。インクジェット方式で材料を充填する場合、吐出された薄膜材料液が隣の画素に流出することを防止するためには、画素領域を仕切る仕切部材(以下「バンク」ともいう。また仕切部材を構成する層を「バンク層」という。)を設け、仕切部材に囲まれる領域に薄膜材料液を充填する必要がある。仕切部材で囲まれた画素領域には成膜後の体積に比べてはるかに大きい薄膜材料液が充填される。しかし表示装置は一般に薄いことが要求されるため、仕切部材をやたらに高く形成することができない。このことから仕切部材や仕切部材で囲まれた領域が、薄膜材料液に対してどのような濡れ性(親和性)を示すかで充填された薄膜材料液の挙動が異なる。
【0003】仕切部材が材料に対し親和性であると、図9(a)に示すように仕切部材の高さを超える量の材料を充填した場合に、仕切部材があっても材料は容易に隣接する画素領域に流出してしまう。逆に仕切部材が材料に対し非親和性であると、図9(b)に示すように仕切部材の高さを超える量の材料を充填しても材料の表面張力により隣の画素領域に材料が流れ出すことはない。しかしこの材料を加熱して溶媒を蒸発させると仕切部材の側壁で材料がはじかれるため、図9(c)に示すように成膜後の厚みが画素領域の中央部で厚く周辺部で薄くなる。これでは色むらが生じたり信頼性が低下したりする。また仕切部材を非親和性部材で構成すると、仕切部材と仕切部材の接地面との密着力が弱く、仕切部材が剥がれやすくなる。
【0004】このような問題を解決する従来の技術として、仕切部材の上部を非親和性にしそれ以外の部分が親和性になるよう表面加工する技術があった。例えば特開平9−203803号公報や特開平9−230129号公報には、仕切部材の上部を紫外線照射により撥インク性に加工し、仕切部材で囲まれた領域を親インク性に加工する技術が開示されている。前者は撥インク性(非親和性)を示す層を仕切部材の上部に塗布するものであり、後者はさらに紫外線照射により仕切部材で囲まれた凹部を親インク性(親和性)にするものである。その論理的考察については、International Display Research Conference 1997, pp 238-241に記載されている。この技術によれば、仕切部材を超える高さに材料を充填しても、図10(a)に示すように材料が非親和性の膜によってはじかれ隣の画素領域に流れ出すことがない。また仕切部材の側壁が親和性を備えるため、成膜後の厚みが画素領域の周辺で薄くなることもない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公知技術においても仕切部材の側壁における親和性をどのように設定するのかは明らかでなく、平坦な薄膜層を得ることが困難であった。特に特開平9−230129号公報には紫外線を表裏の両面から照射することで親和性の程度を制御する旨が規定されているが、非親和性と親和性との親和性の程度、すなわち薄膜材料液に対する接触角をそれぞれどのように設定するかについては不明であった。例えば非親和性が高すぎると図9(c)に示すように仕切部材に近い周辺部で薄膜層が薄くかつ中央部で厚くなる。逆に、親和性が高すぎると図10(b)に示すように仕切部材に近い周辺部で薄膜層が厚くかつ中央部で薄くなる。
【0006】また上記公知技術では薄膜層が一層であることを想定しているだけなので、薄膜層を多層化する場合一層ごとに平坦な薄膜層を形成可能な表面処理について全く不明であった。仮に一層ごとに上記公知技術を適用するならば、一層形成するたびに表面処理を要求され、非常に多数の工程が要求されることになる。
【0007】本願発明者はフッ素系のガスによりプラズマ処理をすると、酸素ガスとフッ素ガスとの混合比によって有機物と無機物との間でインクに対する接触角が大きく異なることを発見した。そして本願発明者は、親和性材料と非親和性材料とを交互に積層したバンクを設けること、およびプラズマ処理により親和性を制御することに想到した。
【0008】すなわち本発明の第1の課題は、異なる材料でバンクを積層することにより、薄膜を多層化することができる薄膜形成方法を提供することである。
【0009】また本発明の第2の課題は、表面処理を一定条件下で管理することにより、親和性制御のために多数の工程を経ることなく親和性を制御し、これにより親和性制御に要するコストを削減し、均一な膜厚で薄膜の多層化を可能とすることである。
【0010】本発明の第3の課題は、多層化を可能とする薄膜形成方法によって多層化された表示装置を提供することである。これにより、明るさや色にむらが生じない画像表示を行い、信頼性を向上させることである。
【0011】本発明の第4の課題は、多層化を可能とする薄膜形成方法によって多層化されたカラーフィルタを提供することである。これにより、明るさや色にむらが生じない画像表示を行うことである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記第1の課題を解決する発明は、バンクで囲まれた領域に薄膜材料液を充填して薄膜層を形成する薄膜形成方法であって、バンク形成面にバンクを形成する工程と、バンクに薄膜材料液を充填する工程と、を備える。そしてバンクを形成する工程は、親和性材料で親和性バンク層を形成する工程と、親和性バンク層上に非親和性材料で非親和性バンク層を形成する工程と、を一回以上繰り返すことにより、親和性バンク層と非親和性バンク層とを交互に積層されたバンクを形成するものである。
【0013】ここでバンクとは、例えば非親和性半導体薄膜素子を利用した表示装置の画素を仕切るために設けたり、カラーフィルタの画素領域を仕切るために設けたりする仕切部材のことをいう。バンクの積層構造は層ごとに非親和性材料や親和性材料の種類を変えて用いてもよい。各層の厚みは層ごとに変更して積層してもよい。バンク形成面とはこのバンクを設ける面のことで、表示装置等の駆動基板であってもカラーフィルタ等の透明基板等であってもよい。
【0014】ここで親和性であるか非親和性であるかは、充填する薄膜材料液がどのような性質を備えているかで決まる。例えば親水性のある薄膜材料液であれば、極性基を有する表面が親和性を示し、非極性基を有する表面が非親和性を示す。逆に親油性のある薄膜材料液であれば、極性基を有する表面が非親和性を示し、非極性基を有する表面が親和性を示す。薄膜材料液を何にするかは、製造対象によって種々に変更して適用することになる。薄膜材料液が一層ごとに親水性を示すか疎水性を示すかが変わる場合には、その薄膜材料液で形成される薄膜層に対応する位置に設けられる二層のバンク層のうち、この薄膜材料液に対して下層が非親和性を示し上層が親和性を示すように、層構造を変更して適用可能である。例えば薄膜材料液が親水性を有する場合に、親和性材料とは無機材料をいい非親和性材料とは有機材料をいう。薄膜材料液が疎水性を有する場合には、親和性材料とは有機材料をいい非親和性材料とは無機材料をいう。
【0015】例えば上記バンク層を材料の塗布により形成する方法が考えられる。すなわち、非親和性バンク層を形成する工程および前記親和性バンク層を形成する工程は、溶剤に溶かされた所定の材料を塗布してそれぞれのバンク層を形成するものである。そして親和性バンク層の材料を溶かしていた溶剤が除去される前に非親和性バンク層の材料を塗布することにより非親和性バンク層を形成する。
【0016】上記第2の課題を解決する発明は、上記バンクを形成する工程の後に、バンクおよびバンク形成面に対して所定の表面処理を行う工程をさらに備える。表面処理としては、例えば導入ガスにフッ素またはフッ素化合物を含んだガスを使用し、減圧雰囲気下や大気圧雰囲気下でプラズマ照射をする減圧プラズマ処理や大気圧プラズマ処理を行う。一定条件としては、フッ素系化合物および酸素を含んだガス中でプラズマ処理を行うことが挙げられる。この条件下では無機材料の表面にはプラズマ放電により未反応基が発生し、酸素により未反応基が酸化されてカルボニル基や水酸基等の極性基が発生する。極性基は水等の極性分子を含んだ流動体に対して親和性を示し、非極性分子を含んだ流動体に対し非親和性を示す。有機バンク層表面においても上記のような反応と並行してフッ素系化合物分子が有機材料表面に入り込む現象も生ずる。
【0017】特にフッ素系化合物が酸素よりも多い場合、例えばフッ素系化合物および酸素の総量に対するフッ素系化合物の含有量が60%以上に設定されていると、フッ素系化合物の量が過多のガス雰囲気化では酸素による酸化反応よりも、フッ素系化合物の混入化現象の方が盛んになるため、酸化反応による影響よりも混入化現象により表面が非極性化される。したがって有機材料をフッ素系化合物が過多の条件でプラズマ処理すると、極性分子を含んだ流動体に対して非親和性を示し、非極性分子を含んだ流動体に対して親和性を示すようになる。例えばフッ素を含んだガスはCF、SF、CHF等のハロゲンガスを用いる。この条件下で表面処理を施すと非親和性バンク層と親和性バンク層との間で薄膜材料液に対する接触角が大きく異なるようにその表面の親和性が調整される。これにより、例えば親和性バンク層表面が薄膜材料液に対し接触角が30度以下になるように表面処理される。また非親和性バンク層表面が薄膜材料液に対し接触角が40度以上になるように表面処理される。
【0018】上記表面処理を行う工程は、非親和性バンク層が親和性材料に比べて薄膜材料液に対する非親和性の程度がより高くなるような一定条件下で表面処理を行う。さらに表面処理を行う工程は、親和性バンク層の薄膜材料液に対する親和性がバンクで囲まれる領域の薄膜材料液に対する親和性以下になるような一定条件下で表面処理を行う。
【0019】上記バンクを形成する工程では、例えば、親和性材料で親和性膜を形成する親和性バンク層形成工程と、親和性バンク層上でバンクの形成領域に合わせて非親和性材料で非親和性バンク層を形成する非親和性バンク層形成工程と、非親和性バンク層をマスクとして当該非親和性バンク層が設けられていない領域の親和性バンク層をエッチングして除去する除去工程と、により一組の親和性バンク層および非親和性バンク層を形成する。また、バンクを形成する工程は、親和性材料で親和性バンク層を形成する工程と、当該親和性バンク層をバンク下層の形成領域に合わせてエッチングする工程と、親和性バンク層を覆って非親和性材料で非親和性バンク層を形成する工程と、当該非親和性バンク層をバンク上層の形成領域に合わせてエッチングする工程と、により一組の非親和性バンク層および非親和性バンク層を形成する。なお、バンク形状へのエッチングを毎回せずに総てあるいはほとんどの親和性バンク層と非親和性バンク層とを重ねた後、複数組の親和性バンク層および非親和性バンク層をまとめて一気にエッチングしてしまってもよい。
【0020】ここで、例えば非親和性材料は、ポリイミド、アモルファスシリコン、ポリシリコン、フッ素を有する有機化合物または絶縁有機化合物(感光性材料)のいずれかである。親和性材料は、Al,Ta等の金属、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜のいずれかである。
【0021】好ましくは、薄膜層はその最下層の薄膜層がバンクの最下層の親和性バンク層と略同等の厚みに設定されている。またその最下層より上に積層される各薄膜層がバンクの対応する高さに積層されている親和性バンク層と非親和性バンク層のそれぞれの厚みの合計と略同等の厚みに設定されている。充填された薄膜材料液はバンクの壁面の親和性によってその壁面と液面の接触形状が変わる。親和性バンク層との接触面では薄膜材料液が壁面と密着し薄膜の厚みが増加する傾向に、非親和性バンク層との接触面では薄膜材料液がはじかれるため薄膜の厚みが減少する傾向にある。多量に充填された薄膜材料液は加熱処理等により体積が減少していくが、加熱処理終了後の薄膜材料液の液面が非親和性バンク層と親和性バンク層との境界に位置するよう調整されていると、非親和性バンク層と親和性バンク層との性質が均衡し薄膜材料液の液面がバンク壁面に垂直になり、全体的に平坦になる。例えば最上層にある非親和性バンク層の厚みは500nm以下、それ以外の非親和性バンク層の厚みは100nm以下に設定されている。
【0022】上記第3の課題を解決する発明は、バンクで囲まれた領域に薄膜材料液を充填して形成された薄膜層を積層して構成される表示装置であって、前記バンクは、前記薄膜材料液に対し親和性を示す材料で形成された親和性バンク層と、前記薄膜材料液に対し非親和性を示す材料で形成された非親和性バンク層とが交互に積層され、前記バンクで囲まれる領域にはITO等からなる画素電極が設けられ、薄膜発光素子を形成するための有機半導体材料により前記薄膜層が形成されていることを特徴とする表示装置である。
【0023】上記第4の課題を解決する発明は、バンクで囲まれた領域に薄膜材料液を充填して形成された薄膜層を積層して構成されるカラーフィルタであって、前記バンクは、前記薄膜材料液に対し親和性を示す材料で形成された親和性バンク層と、前記薄膜材料液に対し非親和性を示す材料で形成された非親和性バンク層とが交互に積層され、バンク形成面は透明基板で形成され、前記バンクは画素領域を仕切る仕切部材であって、前記画素に色彩を付与するための着色樹脂材料により前記薄膜層が形成されていることを特徴とするカラーフィルタである。
【0024】なお上記表示装置やカラーフィルタにおいて、親和性バンク層または/および非親和性バンク層は、それぞれ親和性または非親和性を示すように表面処理されたものである。
【0025】
【発明の実施の形態】次に本発明の好適な実施の形態を、図面を参照して説明する。
(実施形態1)本発明の実施形態1はバンクを構成する複数種類の層のうち、一方の層を他方の層のマスクとして利用する薄膜形成方法に関する。図1に本発明の薄膜形成方法によって形成された薄膜積層構造の断面図を示す。この積層構造は多層化した薄膜を使用するあらゆる用途に使用可能である。例えば有機半導体薄膜を利用したEL素子やLED、カラーフィルタ等に使用可能である。図1の積層構造は、薄膜材料液として親水性があるものを使用する場合の構造である。親水性のある薄膜材料液では表面処理された無機材料に親和性が高く有機材料に親和性が低くなる(非親和性)。
【0026】図1に示すように本積層構造は、バンク形成面100にバンク110を設けて構成されている。バンク形成面は、表示装置に使用する薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が形成された駆動基板であってもカラーフィルタに使用する透明基板であっても何でもよい。仕切部材たるバンクで囲まれる領域に流動体を充填して薄膜を形成する目的であればバンク形成面の構造に限定はない。ただし、バンク110の最下層を形成する親和性バンク層111と密着性のよい材料であることが望ましい。特に無機材料で構成されていることが後の表面処理で好適な親和性を得るために好ましい。表示装置であれば透明電極であるITOやシリコンなど、カラーフィルタであればガラスや石英等で構成され、親和性バンク層との高い密着性を維持できる。
【0027】バンク110は、親和性バンク層111〜11n(nは自然数)および非親和性バンク層121〜12nを交互に積層して構成される。親和性バンク層111〜11nは、その層に対応する位置の薄膜層131〜13nを形成している薄膜材料液と一定の親和性を有するように表面処理されている。親和性バンク層111〜11nの材料としてはバンク形成面100や非親和性バンク層121〜12nと密着性のよい材料であることが好ましく、その材料が絶縁性、半導体としての性質、導電性のいずれを有していてもよい。例えば親和性バンク層111〜11nとして絶縁膜として一般的な、Al、Ta等の金属、シリコン酸化膜(SiO)やシリコン窒化膜(SiNx)等を利用することが可能である。各親和性バンク層には同じ材料を用いる必要はない。各親和性バンク層11x(xは任意の自然数)に対応して設けられる薄膜層13xの薄膜材料液と親和性がよい材料であればよく、親和性バンク層の総てを同一の材yろうに統一する必要はない。
【0028】非親和性バンク層121〜12nは、その層に対応する位置の薄膜層131〜13nを形成している薄膜材料液と非親和性を示するように表面処理されている。非親和性バンク層121〜12nの材料としては親和性バンク層111〜11nと密着性のよい材料であることが好ましく、その材料が絶縁性、半導体としての性質、導電性のいずれを有していてもよい。例えば非親和性バンク層121〜12nとして、ポリイミド、アモルファスシリコン、ポリシリコン、フッ素を有する有機化合物または絶縁有機化合物等を利用することが可能である。各非親和性バンク層には同じ材料を用いる必要はない。表面処理をした場合に各親和性バンク層11x(xは任意の自然数)に対応して設けられる薄膜層13xの薄膜材料液と親和性がよくなる材料であれば材料を変更して積層可能である。例えばカラーフィルタにこの積層構造を適用する場合、最上層12nをブラックマトリクスで構成して遮蔽機能を兼用させてもよい。遮蔽部材として形成するためにはクロム等の金属や酸化物や黒色レジスト材料を用いる。
【0029】各バンク層の厚みは次のように設定する。最下層が親和性バンク層131である場合には親和性バンク層131の厚みd0が、この層に対応して形成される薄膜層131の厚みに略同等になるように設定する。その上の層では、非親和性バンク層11x+1と親和性バンク層12xを加算した厚みdxがこれらの層に対応して形成される薄膜層13x+1の厚みに略同等になるように設定する。例えば、薄膜層132の厚みは、非親和性バンク層121と親和性バンク層112を合計した厚みd1に略等しい。薄膜層13nの厚みは、非親和性バンク層12n−1と親和性バンク層11nとを合計した厚みdnに略等しい。これらの設定は平坦な薄膜層を形成するために重要である。
【0030】なお上記した積層構造は薄膜材料液が極性基のある分子で構成される場合に適用されるものである。薄膜材料液が極性基のない分子で構成されている場合には、非親和性バンク層と親和性バンク層の材料を入れ替えて使用する。また、薄膜層が一層ごとに極性基のある分子で構成されていたり極性基のない分子で構成されていたりする場合には、各薄膜材料液が充填される位置にある二層のバンク層のうち下層がこの薄膜材料液に対し非親和性を示し上層が親和性を示すようにバンク層の材料を選択すればよい。
【0031】薄膜層131〜13nは、それぞれが目的とする性質を備えた材料で構成されている。例えば表示装置に本積層構造を適用する場合、各薄膜層に任意の有機半導体薄膜材料液が充填されて形成される。各薄膜層ごとに、原色を発光する有機半導体薄膜材料液を複数積層したり、必要に応じて正孔輸送層や電子輸送層の材料を充填して積層する。例えばカラーフィルタに本積層構造を適用する場合、各薄膜層に屈折率の異なる樹脂を充填して積層する。このような積層薄膜構造は光学的な干渉フィルターとなり特定波長の光のみが透過され、選択性のよい色彩を提供可能な構成になる。バンクの最上層にはブラックマトリクスを適用してもよい。すなわく酸化クロムや黒色レジスト等を塗布する。この層は非親和性層と兼用であっても非親和性層とは別個に設けられるものでもよい。各薄膜層131〜13nの厚みは上述したように、その薄膜層に対応する位置に形成されている非親和性バンク層と親和性バンク層とを合計した厚みに略等しく設定されている。
【0032】(積層構造の作用)上記バンクの層構造によれば、各層の厚みが均一な薄膜層を積層した装置を提供可能である。バンク110を上記構成に製造してあると、薄膜層の厚みが平坦化される。つまり薄膜材料液を充填していくと、バンクの壁面の親和性によってその壁面に対する薄膜材料液の液面の接触形状が変わる。親和性バンク層との接触面では薄膜材料液が壁面と密着し薄膜の厚みが増加する傾向に、非親和性バンク層との接触面では薄膜材料液がはじかれるため薄膜の厚みが減少する傾向になる。多量に充填された薄膜材料液は加熱処理等により体積が減少していくが、加熱処理終了後の薄膜材料液の液面が非親和性バンク層と親和性バンク層との境界に位置するよう調整されていると、非親和性バンク層と親和性バンク層との性質が均衡し薄膜材料液の液面がバンク壁面に垂直になり、全体的に平坦になるのである。
【0033】この積層構造を使用した装置では薄膜層が平坦であることから一定の効果を奏する。各薄膜層の厚みが均一であると、電極間に電流を流して発光型表示素子に形成する場合には、電極間の電流密度が一定になって発光の均一性が向上でき、特定箇所への電流集中を回避できるため信頼性が向上する。また電極間に電圧が印加される素子では薄い箇所に電界がかかることが無いので、信頼性が向上し寿命を延ばすことができる。さらに色や明るさが均一化される。またカラーフィルタに適用する場合、色の均一性を向上させ、色抜け等の障害を防止することができる。
【0034】(製造方法)次に本積層構造を得るための薄膜形成方法を、図2および図3の製造工程断面図を参照して説明する。
バンク形成工程(図2(a)〜(d)): バンク形成工程は、バンク形成面100に親和性バンク層111〜11nおよび非親和性バンク層121〜12nを積層してバンク110を形成する工程である。まず親和性バンク層111をバンク形成面100一面に形成する(図2(a))。形成方法は材料によって異なるが、PECVD(Plasma Enhanced ChemicalVapor Deposition)法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、蒸着法、スパッタ法や各種のコート方法(スピンコート、スプレーコード、ロールコート、ダイコート、ディップコート)がある。例えば本実施形態ではSOG(Spin onGlass)によるSiO膜をスピンコート法で形成する。最下層の親和性バンク層111の厚みは薄膜層131の厚みに合わせる。次いでバンク形状に合わせて非親和性バンク層121を形成する(図2(b))。非親和性バンク層の形成方法はまず一面に有機材料を上記方法で形成する。通常のフォトリソグラフィ法を使用する場合にはバンク形状に合わせてマスクを施しレジストを露光・現像・除去し、最後にエッチングしてマスク以外の部分の有機材料を除去する。印刷法を使用する場合は、凹版、平版、凸版等任意の方法でバンク形状に有機材料を直接塗布する。非親和性バンク層121の厚みは後に充填される薄膜材料液をはじく機能を十分奏する程度の厚みにする。ただしこの層に重ねる次の親和性バンク層112と合わせた厚みが薄膜層132に略同等になるような範囲で調整する。次いで非親和性バンク層121をレジストマスクとして無機材料膜をエッチングする(図2(c))。非親和性バンク層は有機材料でありレジストマスクとして作用可能だからである。次いで再度図2(a)と同様に無機材料としてSOGを一面に塗布する(図2(d))。無機材料の厚みは後に充填される薄膜材料液と密着する機能を十分奏する程度の厚みにする。ただしこの層の下に重ねられている非親和性バンク層121と合わせた厚みが薄膜層132に略同等になるような範囲で調整する。以降は図2(b)〜(d)の工程を繰り返しながらバンクを重ねていく。最上層は非親和性バンク層12nが配置されるように積層する。最上層が非親和性を有していないとすれば、充填された薄膜材料液がバンク110を乗り越えて流出してしまうからである。
【0035】上記工程により図2(e)に示すようなバンク110とバンクで囲まれた凹部101からなる構造が形成される。この構造により、親和性を示す層と非親和性を示す層が交互に積層された多層構造のバンクが形成される。この後に図3(b)に示すように、凹部101に薄膜材料液を順次充填していく工程に移行すればよい。ただし、ここでは以下に示すようにバンク形成面100とバンク110の各層との薄膜材料液に対する親和性の程度を調整する表面処理を施すことにする。
【0036】表面処理工程(図3(a)): 表面処理工程は一定条件下でプラズマ処理を行ってバンク形成面100とバンク110の各層との薄膜材料液に対する親和性を調整する工程である。本発明のプラズマ処理では、導入ガスとしてフッ素を含むガスを用いる。減圧雰囲気下での減圧プラズマ処理であっても大気圧雰囲気下での大気圧プラズマ処理であってもよい。反応ガス中に一定量の酸素が含まれることが好ましい。フッ素系化合物としてはCF、SF、CHF等のハロゲンガス等を用いる。
【0037】薄膜材料液等の任意の流動体に対して表面が濡れやすいや濡れ難いか、すなわち親和性を示すか非親和性を示すかは、材料表面の流動体に対する接触角を測定することで知ることができる。図4に、有機材料と無機材料とをプラズマ処理した際に、フッ素化合物と酸素との混合比によって接触角がどのようにして変わるかを測定した図を示す。接触角は水系インク(水で薄めることのできるインク)に対する接触角である。この図は、フッ素系化合物としてCFを使用し、有機材料としてポリイミド、無機材料としてSiOとITO(Indium-Tin- Oxide)を例示してある。他の材料についてもそれが有機であるか無機であるかに応じて類似する傾向が見られると考えられる。図4に示すように酸素が過多の雰囲気下では、有機材料、無機材料とも接触角の程度に大きな差異がない。ところがフッ素系化合物が過多にすると有機材料の接触角が大きくなる(薄膜材料液が親和性である場合、非親和性になる)。これに対し無機材料の接触角の変化は小さい。酸素が反応ガスに含まれると酸素による酸化作用により無機材料および有機材料ともに極性基が発生する。しかしフッ素系化合物が過多であると有機材料中にフッ素化合物分子が入り込むようになるため、極性基の影響が相対的に少なくなると考えられる。したがってフッ素系化合物が酸素に比べ過多の条件で制御しながらプラズマ処理することにより、バンク110およびバンク形成面100表面を図4に従って所望の接触角(親和性)に設定することができる。特に図4の最良混合比(CF/CF+O=75%〜90%)を使用することは両者の接触角の差が最大とするために好ましい。ただし、重要な点は、ポリイミドとSOGやITOとの間における接触角の差が大きく設定することにあり、この目的を達成するためには図4によればCFが約70%以上あれば十分であると考えられる。例えば親和性バンク層表面が薄膜材料液に対し接触角が30度以下になるように表面処理される。また非親和性バンク層表面が薄膜材料液に対し接触角が40度以上になるように表面処理される。
【0038】以上の事実より本実施形態ではフッ素系化合物を導入ガスとし一定の割合で酸素が混合されるように減圧プラズマ処理または大気圧プラズマ処理を行う。例えば容量結合型のプラズマ処理では上記ガスを反応室に流し一方の電極上にバンク形成面100を有する基板を載置し、電源から電界を加える。反応室へのエネルギーの加え方には公知の方法、例えば直流法、高周波法、誘導結合形、容量結合形、マイクロ波法、電界と磁界とを供に加える方法等を種々に適用可能である。
【0039】例えばバンク形成面100(凹部101の底面)をITO等の透明電極、親和性バンク層をSiO2、非親和性バンク層をポリイミドで形成した場合、上記表面処理により、薄膜材料液130に対する親和度はバンク形成面>=親和性バンク層>非親和性バンク層という順番になるように表面処理される。
【0040】薄膜形成工程(図3(b)〜(d)): 薄膜形成工程はバンク110で囲まれた凹部101に薄膜材料液を順次充填して薄膜層を積層していく工程である。薄膜材料液130としては、表示装置に適用する場合、有機半導体材料、正孔輸送層として正孔供給元素をドーピングした材料、電子輸送層として電子供給元素をドーピングした材料等を使用する。カラーフィルタに適用する場合には、着色樹脂等を適用する。
【0041】各薄膜材料液を充填する量は、当該薄膜層に対応する位置に形成されている層の厚みにより調整する。最下層の薄膜層131では、加熱処理により薄膜材料液から溶媒成分が蒸発した後の厚みが親和性バンク層111と略同等になるような量に調整される(図3(b)の破線)。それより上の薄膜層132〜13nでは、加熱処理により薄膜材料液から溶媒成分が蒸発した後の厚みが、対応する位置に設けられている非親和性バンク層12xと親和性バンク層11x+1との合わせた厚みに略同等になるように調整される(図3(c)(d))。
【0042】薄膜材料液を充填する方法としてはインクジェット方式によることが好ましい。インクジェット方式によれば任意の位置に任意の量で流動体を充填することができ、家庭用プリンタに使用されるような小型の装置で充填が可能だからである。インクジェット方式で薄膜材料液を充填したら、薄膜材料液を加熱して溶媒成分を除去する。インクジェット式記録ヘッドから吐出させるには通常粘度が数pc以下であることを要する。このため最終的な必要な薄膜層の厚みに比べて吐出量は多い。吐出直後では、薄膜材料液は最終的な厚みより上に配置されている親和性バンク層と接する。加熱処理により溶媒成分が蒸発し体積が減少するに連れて、薄膜材料液はバンク壁面に液面が引かれながらもその液面を下げてくる。この液面が非親和性バンク層にかかると薄膜材料液がはじかれるため、薄膜材料液と壁面との接触点が一段下の親和性バンク層に移る。このようにして液面が段階的に下がっていき最終的な薄膜層の厚み近くまで薄膜材料液の体積が減少すると、薄膜材料液の液面と壁面との接触点がその薄膜材料液と接しているバンク層の中で最も下に位置する親和性バンク層とその直上の非親和性バンク層との境界にまで移動する。薄膜材料液の充填量は、加熱処理後における薄膜材料液の体積が、その薄膜材料液を充填した中で最も下に位置する非親和性バンク層および親和性バンク層とを合計した高さまでの嵩と略等しく設定されている。このため、最も下に位置する親和性バンク層とその直上の非親和性バンク層との境界に液面が移動した後は、それ以上液面が下がることがない。体積減少により薄膜材料液の中央部の厚みが徐々に下がり、バンク壁面との接触部分から中央部までの総ての部分おいて等しい厚みになった段階で、薄膜層が固形化され完成するのである。
【0043】例えば、最下層の薄膜層131では、図3(b)に示すようにインクジェット式記録ヘッド102から薄膜材料液130をバンク110で囲まれた凹部101に破線の位置まで吐出する。そして加熱処理をして平坦な薄膜層131にする。その上の薄膜層132では、図3(c)に示すようにインクジェット式記録ヘッド102から薄膜材料液130を薄膜層131上に破線の位置まで吐出する。そして加熱処理をして平坦な薄膜層132にする。これらの処理を薄膜層13nが形成されるまで繰り返す。
【0044】なおインクジェット方式としてはピエゾジェット方式でも熱による気泡発生による吐出する方法であってもよい。ピエゾジェット方式では圧力室にノズルと圧電体素子とが備えられて構成されている。圧力室に流動体が充填されている圧電体素子に電圧を印加すると圧力室に体積変化が生じノズルから流動体の液滴が吐出される。気泡発生により吐出する方式では、ノズルに通ずる圧力室に発熱体が設けられている。発熱体を発熱させてノズル近辺の流動体を沸騰させ気泡を発生させてその体積膨張により流動体を吐出するものである。加熱による流動体の変質が無い点でピエゾジェット方式が好ましい。
【0045】上記したように本実施形態1によれば、各薄膜層を平坦に形成することができる。またフッ素系化合物に酸素が混入している条件でプラズマ処理を行うことにより、薄膜材料液に対し有機材料でできたバンク表面の非親和性と、無機材料でできたバンク表面およびバンク形成面の親和性を調整することができる。しかも図4に示すような特性にしたがって親和性の度合いを示す接触角を容易に設定できる。すなわち、バンク自体はバンク形成面との高い密着性を保ちながら、親和性制御のために従来のように多数の工程を経ることなくバンクとバンク形成面との親和性を確実に制御することができる。これにより、薄膜材料液がバンクを超えて流れ出ることを防止し、歩留まりを向上させ、製造コストを減少させることができる。
【0046】(実施形態2)本発明の実施形態2は上記実施形態と異なる方法でバンクを積層するものである。図5に本実施形態の製造工程断面図を示す。本実施形態は上記実施形態1と同様に、バンク形成面に任意の形状でバンクを設け、バンクで仕切られた領域に所定の流動体を充填するようなあらゆる用途に適用されるものである。例えば有機半導体薄膜素子を利用した表示素子で有機半導体材料を画素領域に充填する場合やカラーフィルタで着色樹脂を画素領域に充填する場合に適用可能である。
【0047】下層膜形成工程(図5(a)〜(c)): 下層膜形成工程は、バンク形成面100に親和性バンク層111を形成する工程である。まず上記実施形態1と同様の方法により無機材料を塗布する(図5(a))。次いで無機材料層上にバンク形状に合わせてマスク140を設ける(図5(b))。次いで無機材料層をエッチングし、マスク140が載置された領域を残して無機材料を除去する(図5(c))。エッチング方法は、材料の性質に合わせて選択する。SiO2等の無機材料の場合、ドライエッチングの他にフッ酸(HF)等のエッチング液を使用したウェットエッチングが適用できる。以上で最下層の親和性バンク層111が形成される。次に上記実施形態と同様の方法により有機材料を塗布する(図5(d))。次いで有機材料層上にバンク形状に合わせてマスク142を設ける(図5(e))。次いで有機材料層をエッチングし、マスク141が載置された領域を残して有機材料を除去する(図5(f))。エッチング方法は、材料の性質に合わせて選択する。ポリイミド等の有機材料の場合、ドライエッチングの他に(NMP(N−メチルピロリドン))等のエッチング液を使用したウェットエッチングが適用できる。以上で非親和性バンク層121が形成される。本実施形態では上記実施形態1のように非親和性バンク層をマスクとして親和性バンク層をエッチングするものではなく各上層を独立してエッチング可能なため、親和性バンク層におけるバンク形状と非親和性バンク層におけるバンク形状とを異ならせることが可能である。例えば、下層から上層にいくに従ってバンクの幅を狭くしていき、階段形状や擬似的なテーパ形状に形成することができる。このようにバンクを形成すれば、薄膜層となる薄膜材料液の充填が容易とすることができ、またバンクを乗り越えて配線パターンを形成する場合にその配線の断線を防止することができる。このバンク下層の形状を適当なものに選ぶことにより、薄膜層を好適に設けることができるようになる。以上の工程(図5(a)〜(f)を必要な積層回数(例えばn回)繰り返して、バンク110が図5(g)のように形成される。表面処理工程および薄膜層形成工程については上記実施形態1と同様なので説明を省略する。
【0048】上記したように本実施形態2によれば、実施形態1と同様の効果を奏する他、バンクの各層の形状を異ならせることができるので、適用デバイスに応じて最適な薄膜層の形状を設定できる。
【0049】
【実施例】上記実施形態を適用した実施例の層構造を示す。図6は本発明をカラーフィルタに適用した実施例の層構造断面図である。図6に示すように、本カラーフィルタは、基板200に仕切部材210を例えば平面からみて格子状に形成し、仕切部材210で囲まれる画素領域201に着色樹脂231〜233を充填して構成されている。基板200は本発明のバンク形成面に相当し、着色樹脂と密着性がよい透明な材料、ガラスや石英、樹脂等で構成されている。仕切部材210は本発明のバンクに相当し、親和性バンク層として樹脂層(または無機絶縁膜層)211、非親和性バンク層としてブラックマトリクス層221が形成されている。樹脂層(または絶縁膜層)211は樹脂をバンク形状に整形して構成される。ブラックマトリクス層221は無機材料やカーボンを含有した有機絶縁材料を塗布して構成されている。着色樹脂層231(赤)、232(緑)、233(青)は本発明の薄膜層に相当し、画素領域201ごとに赤、緑、青等の原色の染料を混ぜた樹脂を充填して構成されている。
【0050】上記構成によれば、樹脂層(または絶縁膜層)211が着色樹脂と親和性があるように表面処理されブラックマトリクス層221が着色樹脂と非親和性を示すように表面加工されている。このためインクジェット方式により着色樹脂を充填し加熱処理すると着色樹脂層231〜233が平坦に形成される。このため、明るさや色にむらが生じない画像表示を行うことができる。
【0051】図7は本発明を表示装置の有機半導体発光素子に適用した実施例の層構造断面図である。図7に示すように、本有機半導体発光素子は、駆動基板300に透明電極341さらにバンク310を形成し、バンク310で囲まれた凹部301に有機半導体層331を形成して構成されている。全体を覆って金属電極351が形成されている。駆動基板300はTFT、配線、絶縁膜等が多層に積層され、透明電極341と金属電極351間に電圧を印加可能に構成されている。透明電極341はITO等を0.05μm〜0.2μm程度積層して構成され、有機半導体層331からの光および金属電極351による反射光を透過可能に構成されている。バンク310は下層311と上層321とにより構成されている。下層311は有機半導体材料に親和性のある無機材料で構成され、CVD法やスパッタ法または各種コート法等で形成される酸化シリコンや窒化シリコン等により構成される。上層321は有機半導体材料に非親和性を示す有機材料で構成され、ポリイミド、アモルファスシリコン、ポリシリコン、フッ素を有する有機化合物または絶縁有機化合物等により構成される。有機半導体層331は、電界の印加により発光する材料、例えばポリフェニレンビニレン(PPV)等、公知の材料を0.05μm〜0.2μm程度積層して構成される。金属電極351はアルミニウムリチウム(Al−Li)を0.1μm〜1.0μm程度積層して構成される。
【0052】上記構成によれば、下層311が有機半導体層331と親和性があるように表面処理され上層321が有機半導体層331と非親和性を示すように表面加工されているので、インクジェット方式で有機半導体材料を充填し加熱処理すると、有機半導体層331が平坦に形成される。このため、明るさや色にむらや色抜けが生じない画像表示が行える。また電極短絡を防止し、表示装置全体の信頼性を向上させ、寿命を延ばすことができる。
【0053】図8は本発明を表示装置の有機半導体発光素子に適用した他の実施例の層構造断面図である。図8に示すように、本有機半導体発光素子は、駆動基板400に透明電極441さらにバンク410を形成し、バンク410で囲まれた凹部401に正孔輸送層431、有機半導体層432を積層して構成されている。全体を覆って金属電極451が形成されている。駆動基板400、透明電極441、有機半導体層432、金属電極451間に関しては上記図7の実施例と同様である。バンク410は親和性層411、412と非親和性層421、422とを交互に積層して構成されている。親和性層411は正孔輸送材料や有機半導体材料に親和性のある無機材料で構成され、CVD法やスパッタ法または各種コート法等で形成される酸化シリコンや窒化シリコン等により構成される。非親和性層421は有機半導体材料に非親和性を示す有機材料で構成され、ポリイミドまたはアモルファスシリコン、ポリシリコン、フッ素を有する有機化合物または絶縁有機化合物等により構成される。正孔輸送層431は正孔を陽極である透明電極441から有機半導体層432まで運ぶことが可能な材料、例えば正孔供給元素を混入させたITOにより構成されている。
【0054】上記構成によれば、親和性層411が正孔輸送層431と親和性があるように表面処理され、親和性層412が有機半導体層432と親和性があるように表面処理されている。また非親和性層421が正孔輸送層431や有機半導体層432と非親和性を示すように表面加工されている。このため正孔輸送層431および有機半導体層432をインクジェット方式により充填し加熱処理すると、それぞれが平坦に形成される。このため、明るさや色にむらや色抜けが生じない画像表示が行える。また電極短絡を防止し、表示装置全体の信頼性を向上させ、寿命を延ばすことができる。
【0055】なおカラーフィルタや有機電界発光素子の構造は上記に限らず種々に変更可能である。例えば有機電界発光素子ではさらに電子輸送層や他の有機半導体層を積層させてもよい。
【0056】(その他の変形例)本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の趣旨の範囲で種々に変更して適用することが可能である。親和性材料や非親和性材料およびそれらを用いたバンクの形成方法は上記によらず種々に変形可能である。本発明の主旨は親和性の程度の異なる層を交互に配置することにより、薄膜層を歪み無く形成する点にある。例えば厚膜化が可能なバンク形成用の材料でバンクを形成する他、親和性を示す材料や非親和性を示す材料をバンク表面に塗布することで本発明のバンクを形成してもよい。例えば、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(COCHCHCHOCHCHOCH)や2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート(FCFCHCHOOOCH=CH)は、それ自体で極性基分子を有する薄膜材料液に対して非親和性を示す。
【0057】また、上記表面処理はプラズマ処理に限られるものではなく、図4に示すように同一の表面処理条件下で異なる親和性に加工できる表面処理方法であれば適用が可能である。本発明の主旨は表面加工により親和性を調整する点にあるからである。したがって親和性を設定する材料は無機材料と有機材料との間に限られるものではなく、特定の材料間において図4に示す親和性の特性を示すものであれば、その特定材料間において本発明の表面処理を適用可能である。
【0058】また、上記バンクは親和性のある材料と非親和性を示す材料を積層するにと留まらない。例えば、本発明の構成は、単一の部材で構成した後、薄膜材料液に対し親和性を示す領域と非親和性を示す領域とが交互になるように形成することでも達成できる。例えばバンク材料を親和性材料で構成し、縞状に非親和性材料を塗布することが考えられる。非親和性材料には上記具体例の他、パラフィン等が挙げられる。またバンク材料を非親和性材料で構成し縞状に紫外線照射して親和性のある領域を作ったり、縞状に脱チャージして電荷を利用して親和性材料を塗布したりが考えられる。さらにバンク材料全体に金属薄膜を形成し、親和性のある置換基を持った硫黄化合物と非親和性を示す置換基を持った硫黄化合物とに下層から順に浸漬していけば、単分子集合化膜により縞状に親和性領域と非親和性領域が形成できる。
【0059】
【発明の効果】本発明の薄膜形成方法によれば、異なる材料でバンクを積層することで、形成される薄膜層を歪み無く形成することができる。これによりデバイスの性能や信頼性を大幅に向上させることができる。また本発明の薄膜形成方法によれば、表面処理を一定条件下で行うことにより、親和性制御のために多数の工程を経ることなく薄膜を多層化可能に親和性を制御することができる。これにより、親和性制御に要するコストを削減し、均一な膜厚で薄膜の多層化を可能とすることができる。本発明の表示装置によれば、多層化を可能とする薄膜形成方法によって多層化されているので、均一な厚みの薄膜層を積層可能である。これにより、明るさや色にむらや色抜けが生じない画像表示が行える。また電極短絡を防止し、信頼性を向上させ、寿命を延ばすことができる。本発明のカラーフィルタによれば、多層化を可能とする薄膜形成方法によって多層化されているので、均一な厚みの薄膜層を積層可能である。これにより、明るさや色にむらが生じない画像表示を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月18日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 喜三郎 (外2名)
【公開番号】 特開平11−271753
【公開日】 平成11年(1999)10月8日
【出願番号】 特願平10−69146