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【発明の名称】 微分干渉顕微鏡
【発明者】 【氏名】岩崎 豊

【要約】 【課題】小型で消費電力の小さい微分干渉顕微鏡を低コストで提供する。

【解決手段】光源からの光はノマルスキープリズムによって偏光成分の異なる2つの光に分割されたあと被検物体に照射され、被検物体からの反射光は再びノマルスキープリズムで合成されて偏光フィルターに入射する。偏光フィルターは入射光から2つの偏光成分を選択して二次元イメージセンサへと送る。二次元イメージセンサは、偏光フィルターで選択された一方の偏光成分を隣接する一対の画素の一方で受光し、選択された他方の偏光成分を一対の画素の他方で受光する。画像形成装置は、一対の画素から出力される画像信号に基づいて被検物体の微分干渉像を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 光源からの光を偏光成分の異なる2つの光に分割して被検物体に射出し、前記被検物体からの前記2つの光を合成する複屈折プリズムと、前記複屈折プリズムで合成された光から、第1の偏光成分と、前記第1の偏光成分と交差する第2の偏光成分とを選択する偏光板と、複数の画素で構成され、前記偏光板で選択された前記第1の偏光成分を、互いに隣接する画素の一方で受光し、前記偏光板で選択された前記第2の偏光成分を、前記互いに隣接する画素の他方で受光するセンサと、前記隣接する画素から出力されるそれぞれの画像信号に基づいて、前記被検物体の微分干渉像を形成する画像形成装置とを備えた微分干渉顕微鏡。
【請求項2】 前記第1の偏光成分と前記第2の偏光成分は、互いに直交する向きに偏光されている、請求項1に記載の微分干渉顕微鏡。
【請求項3】 さらに、前記複屈折プリズムと前記偏光板との間に配置され、前記被検物体の前記微分干渉像のコントラストを変化させるためのコントラスト変更器を備えた、請求項1または2に記載の微分干渉顕微鏡。
【請求項4】 光源からの光を偏光成分の異なる2つの光に分割して被検物体に射出するステップと、前記被検物体からの前記2つの光を合成するステップと、合成された前記2つの光から、第1の偏光成分と、前記第1の偏光成分と交差する第2の偏光成分とを選択するステップと、選択された前記第1の偏光成分を、複数の画素を有するセンサのなかの一対の画素の一方で受光し、選択された前記第2の偏光成分を前記一対の画素の他方で受光するステップと、前記一対の画素のそれぞれから出力される信号に基づいて、前記被検物体の微分干渉像を形成するステップとを含む画像形成方法。
【請求項5】 前記第1の偏光成分と前記第2の偏光成分は、互いに直交する向きに偏光されている、請求項4に記載の画像形成方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は微分干渉顕微鏡に関するものであり、特にICパターンや金属表面などの観察に適した微分干渉顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】ICパターンや金属表面上の微小構造や微小段差を観察する手段として、微分干渉顕微鏡が広く用いられている。本願の出願人は、差動型の微分干渉顕微鏡において検光子のアナライザ角を変化させることによって、被検物体の差動微分干渉像のコントラストを変化させることができるような微分干渉顕微鏡を既に出願しており、それは特開平9−15503で公開されている。また、本願の出願人によって出願された別の形態の微分干渉顕微鏡(あるいは段差測定装置)が特開平9−145329に開示されている。
【0003】まず、特開平9−15503の微分干渉顕微鏡について以下に説明する。図5は、特開平9−15503で開示されている微分干渉顕微鏡の概略構成図である。この微分干渉顕微鏡では、紙面に平行な偏光方向を有するレーザービームがレーザ光源51から出射され、出射されたレーザービームはコリメートレンズ52を介して平行光となり、ハーフミラー53に入射する。ハーフミラー53で下方に反射されたレーザービームは二次元走査装置54で空間的に偏向された後、ノマルスキープリズム55に入射する。複屈折プリズムの一種であるノマルスキープリズム55は、入射したレーザービームの偏光方向に対して45度で交差する光学軸を有しており、入射レーザービームを振動方向の異なる2つのレーザービームに分割する。ノマルスキープリズム55によって2つに分解されたレーザービームは、対物レンズ56を介して集光され、ステージ58上に配置された被検物体57上に2つのレーザースポットを形成する。これら2つのレーザースポットは、二次元走査装置54の二次元偏向作用により、被検物体57上を2次元的に走査する。
【0004】被検物体57によって反射された2つのレーザービームは、再び対物レンズ56を通過した後、ノマルスキープリズム55を介して合成される。ノマルスキープリズム55は、2つのレーザービームに対して、往復でπの整数倍の位相差を加えるように、光軸に対する挿入位置が規定されている。したがって、被検物体57が鏡面である場合、ノマルスキープリズム55を介した2つの反射レーザービームの位相差はπの整数倍となる。換言すれば、2つのレーザースポットに対応する被検物体57からの2つの反射レーザービームは、ノマルスキープリズム55を介して、図の紙面に平行な偏光方向を有する直線偏光レーザービームに合成される。
【0005】ノマルスキープリズム55によって合成された合成レーザービームは、二次元走査装置54を介して平行ビームとなって、ハーフミラー53に入射する。ハーフミラー53を透過した合成レーザービームは、ミラー59を介して1/4波長板60に入射する。1/4波長板60は、被検物体57が鏡面である場合に1/4波長板60に入射する合成直線偏光レーザービームの直線偏光方向に対して方位角π/4で位置決めされている。したがって、被検物体57が鏡面である場合、1/4波長板60を介したレーザービームは円偏光となって、1/2波長板61に入射する。1/2波長板61は、光軸を中心として回転できるように設置されている。
【0006】1/2波長板61を介したレーザービームは、偏光ビームスプリッタ62で透過光と反射光とに分離される。1/2波長板61は偏光回転角が可変の旋光子であるので、この回転可能な1/2波長板61と固定された偏光ビームスプリッタ62とによって、アナライザ角が可変の偏光ビームスプリッタが構成されている。偏光ビームスプリッタ62を透過した光は、光検出器63で検出され、そこで光電変換されて電気信号となる。一方、偏光ビームスプリッタ62で反射された光は、光検出器64で検出されて光電変換される。
【0007】光検出器63および光検出器64で光電変換された電気信号は、それぞれ差動回路65に供給される。差動回路65では、光検出器63からの信号と光検出器64からの信号とに基づいて差信号を求め、求めた差信号を同期装置66に供給する。同期装置66は、二次元走査装置54の作動に応じたレーザースポットの走査位置情報と作動回路65からの差信号とを同期させて画像表示装置67に供給する。
【0008】画像表示装置67では、レーザースポットの走査位置情報と差信号とに基づいて微分干渉像を形成して、形成した微分干渉像を表示する。画像表示装置67が表示する微分干渉像のコントラストは、1/2波長板61による偏光回転角に、ひいては、偏光ビームスプリッタ62のアナライザ角に依存して変化する。したがって、1/2波長板61を光軸を中心として適宜回転させることにより、得られた微分干渉像のコントラストを最大から最小まで自由に調節することができる。
【0009】一方、特開平9−145329の微分干渉顕微鏡は、図5に示した微分干渉顕微鏡の光源51に有限な大きさを有する光源を使用し、光検出器63と光検出器64の位置にそれぞれレンズと二次元イメージセンサを配置し、さらに二次元走査装置54を取り除いた結像型の微分干渉顕微鏡である。この微分干渉顕微鏡も、図5のものと同様に微分干渉像のコントラスト調整機能を備えているが、二次元イメージセンサを使用しているために、二次元走査装置のような可動部を必要とせず、高速な微分干渉像の形成が可能である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述のように、微分干渉顕微鏡の光検出器として2つの二次元イメージセンサを用いた場合、その2つの二次元イメージセンサ間で画素を正確に対応させなければならないなど、両者のアライメントが困難であった。また、2つの二次元イメージセンサを用いるために装置が大型化しコストがかかるといった問題もあった。また、さらに消費電力が大きいという問題もあり、これにより装置の発熱が大きくなり、光学精密機器である微分干渉顕微鏡の精度に影響を及ぼすという問題もあった。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、偏光ビームスプリッタや2つの二次元イメージセンサ等の光検出器を必要とせずに高画質の微分干渉像を形成することのできる、比較的小型で消費電力の少ない低コストの微分干渉顕微鏡を提供することが本発明の目的である。
【0012】上述の課題を解決するために、本発明による微分干渉顕微鏡は、光源からの光を偏光成分の異なる2つの光に分割して被検物体に射出し、前記被検物体からの前記2つの光を合成する複屈折プリズムと、前記複屈折プリズムで合成された前記2つの光から、第1の偏光成分と、前記第1の偏光成分と交差する第2の偏光成分とを選択する偏光板と、複数の画素で構成され、前記偏光板で選択された前記第1の偏光成分を、互いに隣接する画素の一方で受光し、前記偏光板で選択された前記第2の偏光成分を、前記互いに隣接する画素の他方で受光するセンサと、前記隣接する画素から出力されるそれぞれの画像信号に基づいて、前記被検物体の微分干渉像を形成する画像形成装置とを備えている。この微分干渉顕微鏡は、微分干渉像を形成するために2つのセンサを必要としないので、センサ間のアライメントの必要がなく、装置を小型、低コストで提供することができる。
【0013】前記第1の偏光成分と前記第2の偏光成分は、互いに直交する向きに偏光されていることが好ましい。また、本発明による微分干渉顕微鏡は、さらに、前記複屈折プリズムと前記偏光板との間に配置され、前記被検物体の前記微分干渉像のコントラストを変化させるためのコントラスト変更器を備えていてもよい。
【0014】また、本発明による画像形成方法は、光源からの光を偏光成分の異なる2つの光に分割して被検物体に射出するステップと、前記被検物体からの前記2つの光を合成するステップと、合成された前記2つの光から、第1の偏光成分と、前記第1の偏光成分と交差する第2の偏光成分とを選択するステップと、選択された前記第1の偏光成分を、複数の画素を有するセンサのなかの一対の画素の一方で受光し、選択された前記第2の偏光成分を前記一対の画素の他方で受光するステップと、前記一対の画素のそれぞれから出力される信号に基づいて、前記被検物体の微分干渉像を形成するステップとを含んでいる。前記第1の偏光成分と前記第2の偏光成分は、互いに直交する向きに偏光されていることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明による微分干渉顕微鏡の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は本発明の一例を示すものであり、本発明はこれに限られるものではない。
【0016】図1は、本発明による微分干渉顕微鏡の実施形態の構成を概略的に表した図である。この図に示すように、本実形態の微分干渉顕微鏡は、例えばタングステンランプ等による光源1を備えており、この光源1から射出された光はコリメートレンズ2を透過して平行光となった後、干渉フィルター3を透過して波長が選択される。なお、本実施形態では、この干渉フィルター3として550nm程度の波長を選択するものを用いている。
【0017】干渉フィルター3を透過した光は、偏光板4によって振動方向が限定されて、偏光方向が例えば紙面に平行であるような直線偏光となり、その後ハーフミラー5に入射する。ハーフミラー5によって被検物体方向(図の下方向)に反射された光は、複屈折プリズムであるノマルスキープリズム6に入射する。ノマルスキープリズム6は、入射光の偏光方向に対して45度で交差する光学軸を有しており、入射光を振動方向の異なる(このばあい振動面が直交する)2つの光に分割する。なお、ノマルスキープリズム6の代わりに、ウォラストンプリズム等を用いてもよい。
【0018】ノマルスキープリズム6によって2つに分解された光は、対物レンズ7を介して集光され、ステージ9上に配置された被検物体8上に2つの照明光を形成する。このようにして、被検物体8は、互いに振動面が直交しかつ中心がわずかに離れた2つの照明光によって照射されることになる。この被検物体8は、その表面に低段差が形成されている。
【0019】被検物体8を照射した2つの照明光は、被検物体8によって反射され、再び対物レンズ7を通過したあとノマルスキープリズム6に入射し、ノマルスキープリズム6によって合成される。ノマルスキープリズム6は、2つの照明光に対して往復でπの整数倍の位相差を与えるように、光軸に対する挿入位置が規定されている。したがって、被検物体8が鏡面のような平坦で反射率の変化がないような表面であった場合、ノマルスキープリズム6を介した2つの反射光の位相差はπの整数倍となる。よって、ノマルスキープリズム6から出射される合成光は、図の紙面に平行な偏光方向を有する直線に偏光された光となる。
【0020】ノマルスキープリズム6を出た合成光は再びハーフミラー5に入射し、ハーフミラー5を透過した合成光は1/4波長板10に入射する。1/4波長板10は、被検物体8が鏡面である場合に1/4波長板10に入射する合成光の直線偏光方向に対して方位角π/4で位置決めされている。したがって、被検物体8が鏡面である場合、1/4波長板10を介した合成光は円偏光となって、つぎに1/2波長板11に入射する。1/2波長板11は、光軸を中心として回転できるように設置されている。1/2波長板11を透過した光は、レンズ12によって集光され、偏光フィルター13を透過して複数の画素をもつ二次元イメージセンサ14上に結像する。
【0021】図2は、偏光フィルター13の一部分の構成を表している。この図の中の各四角形は偏光フィルター13の要素a〜p(画素ともよぶ)を表しており、四角形の中の線は各要素による偏光方向を表している。
【0022】偏光フィルター13の各要素a〜pは、それぞれが背後に配置された二次元イメージセンサ14の画素と1対1に対応するように配置された偏光板で構成され、偏光フィルター13の隣接した要素間では偏光方向が直交するように構成されている。したがって、偏光フィルター13は、レンズ12を出た光のなかの2つの偏光成分のみを選択的に透過して二次元イメージセンサ14に入射させ、二次元イメージセンサ14の任意の隣接する一対の画素は、それぞれ他方の画素とは異なる偏光成分の光を受光する。
【0023】二次元イメージセンサ14に結像した光は画素毎に光電変換され、画像処理装置15へと送られる。画像処理装置15は、二次元イメージセンサ14から受け取った信号を、二次元イメージセンサ14の水平方向に隣り合う2画素を一組として扱い、隣り合う2画素の出力の差を各組毎に求めて被検物体8の二次元画像(差動微分干渉像)を形成する。すなわち、偏光フィルター13のある列の要素(図2中の、例えばa、e、i、m)の背後の二次元イメージセンサ14の画素の各出力は、それぞれ偏光フィルター13の右隣の要素(b、f、j、n)の背後の画素の各出力と組み合わされ(偏光フィルター13の左側の要素で対応させると、aとb、eとf、iとj、mとnの組み合わせとなる)、組み合わせられた画素間の出力の差から二次元画像が形成される。したがって、画像処理装置15で形成された二次元画像の水平方向の画素数は、二次元イメージセンサ14の水平方向の画素数の半分になる。
【0024】画像処理装置15で形成された二次元画像は、CRTや液晶ディスプレイ等の画像出力装置16にて表示される。画像出力装置16に表示された画像は、本実施形態のような二次元イメージセンサを用いた場合であっても、従来技術で述べたような偏光ビームスプリッタの透過光と反射光との強度差に基づいて得られる像とほぼ等価な像となる。
【0025】上述の1/2波長板11と偏光フィルター13は、アナライザ角が可変な検光子を構成する。この検光子は、二次元イメージセンサ14のなかの隣接した画素ごとに、90度だけアナライザ角が異なった2種類の検光子から構成されていることになる。したがって、検光子を構成する1/2波長板11を光軸を中心として回転させることにより、画像表示装置15によって形成される被検物体8の微分干渉像のコントラストを調節することができる。なお、微分干渉像のコントラスト調整は、1/2波長板11を用いずに、偏光フィルター13と二次元イメージセンサ14とを同時に光軸を中心に回転させて行なってもよい。このように、微分干渉像のコントラストを調整する1/2波長板11等は、コントラスト調整器(あるいはコントラスト変更器)を構成する。
【0026】二次元イメージセンサ14には、例えばCCD等によるイメージセンサを用いている。二次元イメージセンサ14の画素間隔は、水平方向では対物レンズ7の最小分解能の1/4であることが好ましく、垂直方向では1/2以下であることが望ましい。
【0027】なお本実施形態では、画像処理装置15は差動微分干渉像を得るために、二次元イメージセンサ14の水平方向に隣接する2画素が出力する信号の差を求めたが、垂直方向に隣接する2画素の出力差を求めて差動微分干渉像を形成してもよく、また、隣接する4画素(2×2)を一組として、同じ偏光方向の光を受けた画素の出力の和をそれぞれ求めた上で、それらの差を求めて差動微分干渉像を形成してもよい。さらに、偏光フィルター13の要素とそれに対応する二次元イメージセンサ14の画素の形を、水平方向あるいは垂直方向に伸びる長方形にして、2つ一組で正方形となるような形にしてもよい。この場合、画像処理装置15によって形成される差動微分干渉像の画素に対応する二次元イメージセンサの一対の画素の形が正方形となるので、微分干渉像の分解能の点からみて非常に効率のよい画素配置となる。
【0028】また、本実施形態において、被検物体8として鏡面を観察した場合に照明光が1/4波長板10の直前で円偏光となるように、ノマルスキープリズム6の光軸に対する挿入位置等を適切に規定して光学系を調節しすれは、1/4波長板10を省略することができる。
【0029】上述の実施形態では、画像処理装置15は、二次元イメージセンサ14の一対の画素の出力信号の差によって、被検物体8の位相若しくは反射率の変化を表す差動微分干渉像を形成するものであったが、画像処理装置15は、二次元イメージセンサ14の一対の画素の出力信号の和によって画像を形成する装置であってもよい。この場合、形成される像は、被検物体8の反射率の違いを表す明視野像となる。また、画像処理装置15に、一対の画素の出力信号の差に基づいて差動微分干渉像を形成する機能と、その和に基づいて明視野像を形成する機能の両方をもたせてもよく、この場合、さらにその両機能を切り換えるための切替装置を追加してもよい。
【0030】以上、本発明による反射型の微分干渉顕微鏡について説明したが、次に、本発明を透過型の微分干渉顕微鏡に適用した場合の実施形態(第2実施形態)について説明する。
【0031】図3は、本発明による透過型微分干渉顕微鏡の実施形態を概略的に表した図である。なお、以下の説明において、図1の反射型微分干渉顕微鏡の構成要素と同一の要素には同じ参照番号を付け、その具体的説明を省略する。
【0032】図3に示すように、本実形態の透過型微分干渉顕微鏡はでは、光源1から射出された光はコリメートレンズ2を透過して平行光となった後、干渉フィルター3を透過して波長が選択される。干渉フィルター3を透過した光は、偏光板4によって振動方向が限定されて直線偏光となり、ノマルスキープリズム6に入射する。なお、この実施例では図1のハーフミラー5は用いられない。
【0033】ノマルスキープリズム6によって2つに分解された光は、対物レンズ7を介して集光され、透明ステージ19上に配置された被検物体8に2つの照明光として照射される。このようにして、被検物体8は、互いに振動面が直交しかつ中心がわずかに離れた2つの照明光によって照射されることになる。
【0034】被検物体8を照射した2つの照明光は、被検物体8を透過して、対物レンズ7'を通過したあとノマルスキープリズム6'に入射し、ノマルスキープリズム6'によって合成される。ノマルスキープリズム6'を出た合成光は1/4波長板10に入射する。1/4波長板10を介して円偏光となった合成光は、つぎに1/2波長板11に入射する。1/2波長板11は、光軸を中心として回転できるように設置されている。1/2波長板11を透過した光は、レンズ12によって集光され、偏光フィルター13を透過して二次元イメージセンサ14上に結像する。
【0035】二次元イメージセンサ14に結像した光は画素毎に光電変換され、画像処理装置15へと送られる。画像処理装置15は、二次元イメージセンサ14から受け取った信号を、二次元イメージセンサ14の水平方向に隣り合う2画素を一組として扱い、隣り合う2画素の出力の差を各組毎に求めて被検物体8の二次元画像(差動微分干渉像)を形成する。形成された二次元画像は、画像出力装置16にて表示される。なお、第1実施形態の微分干渉顕微鏡における変形例や追加機能はこの実施例においても適用されうる。
【0036】次に、本発明による第3の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、先に説明した従来技術と同じ機能を持つ構成要素には同じ参照番号を付け、その説明を省略する。
【0037】図4は、本発明による第3実施形態の微分干渉顕微鏡の概略構成図である。この微分干渉顕微鏡では、レーザ光源51から出射されたレーザビームは、コリメートレンズ52を介して平行光となり、ハーフミラー53に入射する。ハーフミラー53で下方に反射されたレーザービームは二次元走査装置54で空間的に偏向された後、ノマルスキープリズム55に入射する。ノマルスキープリズム55によって2つに分解されたレーザービームは、対物レンズ56を介して集光され、ステージ58上に配置された被検物体57上に2つのレーザースポットを形成する。これら2つのレーザースポットは、二次元走査装置54の二次元偏向作用により、被検物体57上を2次元的に走査する。
【0038】被検物体57によって反射された2つのレーザービームは、再び対物レンズ56を通過した後、ノマルスキープリズム55を介して合成される。ノマルスキープリズム55によって合成された合成レーザービームは、二次元走査装置54を介して平行ビームとなって、ハーフミラー53に入射する。ハーフミラー53を透過した合成レーザービームは、ミラー59を介して1/4波長板60に入射し、次に1/2波長板61に入射する。1/2波長板61を介したレーザービームは、偏光フィルター13を透過して複数の画素をもつ二次元イメージセンサ14上に結像する。偏光フィルター13は、1/2波長板11を出た光のなかの2つの偏光成分のみを選択的に透過して二次元イメージセンサ14に入射させ、二次元イメージセンサ14の任意の隣接する一対の画素は、それぞれ他方の画素とは異なる偏光成分の光を受光する。
【0039】二次元イメージセンサ14に結像した光は画素毎に光電変換され、画像処理装置26へと送られる。画像処理装置26は、二次元イメージセンサ14から受け取った信号を、二次元イメージセンサ14の隣り合う2画素を一組として扱い、隣り合う2画素の出力の差を求める。そして、二次元走査装置54から得たレーザースポットの走査位置情報と求めた差に基づいて微分干渉像を形成して、画像出力装置67に表示する。
【0040】偏光フィルター13と二次元イメージセンサ14の構成は第1実施形態で説明したものと同じであるが、二次元走査装置54によってレーザスポットの操作を行なっているので、一度に被検物体57全ての領域に対応する画素領域が必要とされることはない。したがって、画像表示装置26はレーザービームが入射している画素からの信号のみを処理すればよい。また、二次元走査装置の走査によってレーザースポットが被検物体57のすべての領域を照射する間、二次元イメージセンサ14に入射するレーザービームの入射領域が一定であるか、あるいはある範囲に限定される場合、二次元イメージセンサ14の画素領域の大きさはその一定の領域、あるいは限定された範囲をカバーするだけの大きさがあればよい。
【0041】また、二次元走査装置54によって走査されるレーザースポットの照射位置に応じてミラー59の角度を調節し、二次元イメージセンサ14に入射するレーザービームの入射位置がレーザースポットの照射位置と1対1に対応するようにしてもよい。このばあい、レーザービームが入射する二次元イメージセンサ14の画素は、レーザースポットが照射する被検物体57上の位置と1対1に対応するので、画像処理装置26は微分干渉像を形成するにあたって、画素の出力信号と二次元走査装置54による走査位置との同期をとる必要はない。なお、二次元イメージセンサ14に入射するレーザービームの位置調節は、ミラー59を調節するのではなく、二次元イメージセンサ14の前方にレーザービームの偏向器を設置して、その偏向器によって二次元イメージセンサ14へのレーザービームの入射位置をレーザースポットの走査位置と対応するように調節してもよい。
【0042】また、第1実施形態と同様に、画像処理装置26は画素出力の和を用いて明視野像を形成してもよいし、また明視野像と微分干渉像との形成を切り換えるようにしてもよい。その他、第1実施形態の微分干渉顕微鏡における変形例や追加機能はこの実施例においても適用されうる。尚、上述した微分干渉顕微鏡は、ICパターン等の欠陥検査や、半導体製造装置に用いられるマスク、ウエハの異物検査等にも大きな威力を発生する。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、偏光ビームスプリッタや2つの二次元イメージセンサ等の光検出器を使わずに、1つの二次元イメージセンサでコントラスト調整可能な高画質の微分干渉顕微鏡を構成することができるので、構成部材のアライメント負担が軽減し、より小型で消費電力の少ない低コストの微分干渉顕微鏡を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
【出願日】 平成10年(1998)3月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
【公開番号】 特開平11−271630
【公開日】 平成11年(1999)10月8日
【出願番号】 特願平10−77805