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【発明の名称】 X線画像検出器およびその製造方法
【発明者】 【氏名】山本 敏義

【氏名】井野 芳浩

【氏名】大森 康以知

【要約】 【課題】CCD素子表面の歪みによる劣化を防止し、撮影画像の画質を向上させた、組立性がよく、信頼性の高いX線画像検出器を提供する。

【解決手段】蛍光体1をCCD素子2の受光面に接着するのでなく、弾性体5の押圧力を利用して押しつけて固定する構造とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 X線を可視光線に変換する蛍光体と、この蛍光体に受光面を対向させて配置したCCD素子と、前記蛍光体と前記CCD素子とを収納するセンサケースとを備え、前記センサケースの前記蛍光体側内面と前記蛍光体との間にX線透過性を有する弾性体を挿入し、この弾性体の弾力性により前記蛍光体を前記CCD素子の受光面上に密着して固定するX線画像検出器。
【請求項2】 弾性体の蛍光体側表面もしくはセンサケース側表面の少なくとも一方に粘着性を持たせた請求項1記載のX線画像検出器。
【請求項3】 センサケース内の弾性体固定位置に、前記弾性体を位置決めするための位置決め部を設けてなる請求項1記載のX線画像検出器。
【請求項4】 CCD素子と基板とを接続固定し、前記基板がセンサケースの開口部の少なくとも一部を覆うように構成した請求項1記載のX線画像検出器。
【請求項5】 センサケースの開口周縁部にCCD素子を接続固定した基板が嵌合する段差を設け、前記CCD素子を接続固定した基板がセンサケース内にはまりこむ構造とした請求項4記載のX線画像検出器。
【請求項6】 センサケース内に弾性体、蛍光体、CCD素子を重ねて押圧力をかけない状態で配置した時、前記CCD素子を接続固定した基板と前記センサケースの開口周縁部の段差との間に隙間が生じるように構成した請求項5記載のX線画像検出器。
【請求項7】 センサケース内に弾性体、蛍光体、CCD素子を収納し、基板にて前記センサケースの開口部の少なくとも一部を覆う第1のステップを、前記センサケースと前記弾性体と前記蛍光体と前記CCD素子と前記基板とに押圧力を加える第2のステップと、前記センサケースと前記基板とを接続する第3のステップとからなるX線画像検出器の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医科あるいは歯科などで行われるデジタルX線撮影において使用されるX線画像検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のX線画像検出器としては、図5および図6に示したように、CCD素子2の受光面上に板状の蛍光体1を接着剤11により直接固定したもの、あるいは可視光を導光するファイバー束12を介して接着剤11で固定したものなどが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来のX線画像検出器では、CCD素子2と蛍光体1あるいはファイバー束12などの熱膨張率の異なる異種材料を接着剤11により固定する構造であるため、保管時あるいは実使用時の温度変動により接着面に熱膨張率の違いによる繰り返し応力が発生することになる。この時、CCD素子2の表面は、微細な歪みを繰り返し加えられることになり、半導体で構成されているCCD素子2の劣化を促進し、X線画像検出器としての寿命を縮めるという問題があった。
【0004】また、上記いづれの場合もCCD素子2と蛍光体1あるいはファイバー束12の間に接着剤11の層が存在する構造であるため、蛍光体1で得られる可視光線が接着剤11の部分で散乱を起こし、結果としてCCD素子2により得られる画像の画質の低下につながっているという問題があった。
【0005】本発明は上記問題を解決するもので、CCD素子への蛍光体の固定を接着でなく、押圧によって行うことで温度変動によるCCD素子表面の歪みを防止し、また、接着剤の層をなくすことによって画質の向上を図ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するための本発明の第1のX線画像検出器は、センサセースの蛍光体側内面と蛍光体との間にX線透過性を有する弾性体を挿入し、この弾性体の弾力性により蛍光体をCCD素子の受光面上に密着して固定する構造としたものである。
【0007】また、本発明の第2のX線画像検出器は、弾性体の蛍光体側表面もしくはセンサケース側表面の少なくとも一方に粘着性を持たせたものである。
【0008】また、本発明の第3のX線画像検出器は、センサケース内の弾性体固定位置に、位置決めのための位置決め部を設けたものである。
【0009】また、本発明の第4のX線画像検出器は、CCD素子と基板とを接続固定し、前記基板がセンサケースの開口部の少なくとも一部を覆うように構成したものである。
【0010】さらに、本発明の第5のX線画像検出器は、センサケースの開口周縁部にCCD素子の基板が嵌合する段差を設け、前記CCD素子を接続固定した基板がセンサケース内にはまりこむ構造としたものである。
【0011】そして、本発明の第6のX線画像検出器は、センサケース内に弾性体、蛍光体、CCD素子を重ねて押圧力をかけない状態で配置した時、前記CCD素子を接続固定した基板と前記センサケースの開口周縁部の段差との間に隙間が生じるように構成したものである。
【0012】また、本発明のX線画像検出器の製造方法は、センサケース内に弾性体、蛍光体、CCD素子を収納し、基板にて前記センサケースの開口部の少なくとも一部を覆う第1のステップと、前記センサケースと前記弾性体と前記蛍光体と前記CCD素子と前記基板とに押圧力を加える第2のステップと、前記センサケースと前記基板とを接続する第3のステップとからなるものである。
【0013】
【発明の実施の形態】上記構成により本発明の第1のX線画像検出器は、蛍光体とCCD素子表面は接着固定されることなく押圧力だけで固定されることになり、接着面における熱膨張率の違いでCCD表面上に歪みが生じることがなくなり、また接着剤なしに、蛍光体を直接CCD素子表面に密着させたことで、可視光線の散乱もなくなり、CCD素子で得られる画像の画質を向上させることもできる。
【0014】また、本発明の第2のX線画像検出器は、弾性体に具備させた粘着性により前記弾性体をセンサケースや蛍光体に粘着固定させることができるようになり、センサケース内の所定の位置からずれることがなくなる。
【0015】また、本発明の第3のX線画像検出器は、センサケース内に弾性体を配置する際に、誤りなく所定の位置に取り付けることができる。
【0016】また、本発明の第4のX線画像検出器は、X線画像検出器を容易に構成することができる。
【0017】また、本発明の第5のX線画像検出器により、センサケースにCCD素子を取り付ける際に、位置ずれなく確実にCCD素子を取り付けることができる。
【0018】そして、本発明の第6のX線画像検出器は、CCD表面への蛍光体の押圧力を蛍光体、弾性体などの厚みのばらつきに関係なく一定に保つことができる。
【0019】また、本発明のX線画像検出器の製造方法は、上記のようなX線画像検出器を容易に製造することができる。
【0020】(実施の形態1)以下、本発明のX線画像検出器の第1の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0021】図1は本発明の第1の実施の形態に係るX線画像検出器の断面構造を示す図で、1はX線を可視光線に変換する板状の蛍光体で、2はこの蛍光体1によって得られる可視光線による画像を電気画像信号に変換するCCD素子、3はCCD素子を取付、固定する基板である。
【0022】4は箱状のセンサケースで一方に開口部を有し、前記蛍光体1およびCCD素子2を収納するものであり、その開口部は、CCD素子2を固定した基板3により全部または少なくとも一部が覆われX線以外の外光を遮断する構成となっている。
【0023】5は弾性体で、センサケース4の蛍光体1側内面と蛍光体1との間に挿入され、X線透過性のゴム系樹脂などからなり弾力性を有している。そして、この弾性体5の弾力性により蛍光体1をCCD素子2の受光面上に密着して押しつけ、固定する構造となっている。
【0024】6はCCD素子2の入出力信号を基板3に接続するためのボンディングワイヤ、7はX線の照射方向を示したものである。
【0025】次に、このX線画像検出器の動作を図1に基づいて説明する。図中、7で示した方向から照射されたX線は、センサケース4、弾性体5を透過して蛍光体1に達し、ここで可視光線に変換される。そして、蛍光体1で得られた可視光線はCCD素子2によって電気信号に変換され、ボンディングワイヤ6を介して取り出される。
【0026】この時、蛍光体1とCCD素子2の受光面は接着されておらず、弾性体5の弾性力によって押しつけられているだけであるので、保管時あるいは動作時に発生する温度変動による熱膨張率の違いによる歪みが生じることはなく、また接着剤の層もなく蛍光体1とCCD素子2の密着性を確保することができるので、接着層での可視光線の散乱も最小限に抑えることができ、従来のものに較べて大幅な画質向上が可能となる。
【0027】また、弾性体5の表面に粘着性を持たせれば、弾性体5とCCD素子2の間に挟まれた蛍光体1、あるいはセンサケース4と弾性体5の接触面が振動、衝撃などのショックでずれる心配もなくなる。
【0028】(実施の形態2)図2は本発明の第2の実施の形態に係わるX線画像検出器の断面構造を示す図で、8はセンサケース4の弾性体5の固定位置に設けた位置決め用の溝(位置決め部)である。このような構造にすることによって、弾性体5をセンサケース4に取りつけるときに、位置を誤ることなく固定することができるとともに、取りつけ後の弾性体のずれも防止することができる。
【0029】なお、本実施の形態においては、溝8の形状を弾性体5の平面形状と同様の形状としたが、スリット状の溝や穴形状の凹凸(本願においては、すべて溝と呼ぶ)としてもよい。また、この際には弾性体5の表面に、この溝に合致する形状を設けるとなお一層効果的である。
【0030】(実施の形態3)図3は本発明の第3の実施の形態に係わるX線画像検出器の断面構造を示すもので、図中、9はセンサケース4の開口周縁部に設けた段差である。
【0031】この段差9を設けることにより、CCD素子2を固定した基板3をセンサケース4にはめ込むように取りつけることができるので、CCD素子2とセンサケース4の相対位置がずれることなく正確に固定することが可能となる。
【0032】(実施の形態4)図4は本発明の第4の実施の形態に係わるX線画像検出器の断面構造を示す図で、10はCCD素子2の基板3と段差9との間に設けた隙間である。
【0033】この構造により、センサケース4内に弾性体5、蛍光体1、CCD素子2及び基板3を取りつける際に、まず、センサケース4内に弾性体5、蛍光体1、CCD素子2を収納してセンサケースの開口部の全部または一部を基板にて覆い、その後図中、基板3の上面におもりを乗せるなどの一定の押圧力をかけた状態で、基板3とセンサケース4を接合することができるので、蛍光体1とCCD素子2の受光面の間の押圧力を一定に保ちつつ固定することができるようになる。
【0034】以上、各実施の形態に示したX線画像検出器は、蛍光体1とCCD素子2の固定に接着を用いることなく、弾性体5による押圧力だけで固定する構造となっているので、接着時に熱膨張率の違いによって生じるCCD素子2表面の歪みを防止することができ、また接着層における可視光線の散乱に起因する画質の劣化を防止することができる。
【0035】さらに、弾性体5表面に粘着性を持たせることにより、センサケース4内の弾性体5、蛍光体1の位置ずれを防止し、X線画像検出器完成品の信頼性を高めることができる。
【0036】そして、センサケース4内に弾性体5固定用の位置決め溝8を設けたことにより、弾性体5を誤りなく所定の位置に取りつけることができるようになり、また、同様にセンサケース4の開口周縁部に嵌合用の段差9を設けたことで、CCD素子2を接続固定した基板3の組立時の位置ずれを防止することができ、X線画像検出器の組立性を飛躍的に高めることができる。
【0037】さらに、センサケース4の開口周縁部に設けた段差9とCCD素子2の基板3との間に隙間を設けることで、X線画像検出器の組立時に蛍光体1とCCD素子2との間の押圧力を一定に管理することができるようになり、製品の信頼性を高めることができるものである。
【0038】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明の第1のX線画像検出器は、蛍光体とCCD素子表面は接着固定されることなく、押圧力だけで固定されることになり、接着面における熱膨張率の違いでCCD表面上に歪みが生じることがなくなり、また接着剤なしに、蛍光体を直接CCD素子表面に密着させたことで、可視光線の散乱もなくなり、CCD素子で得られる画像の画質を向上させることもできる。
【0039】また、本発明の第2のX線画像検出器は、弾性体に具備させた粘着性により前記弾性体をセンサケースや蛍光体に粘着固定させることができるようになり、センサケース内の所定の位置からずれることがなくなる。
【0040】また、本発明の第3のX線画像検出器は、センサケース内に弾性体を配置する際に、誤りなく所定の位置に取り付けることができる。
【0041】また、本発明の第4のX線画像検出器は、X線画像検出器を容易に構成することができる。
【0042】また、本発明の第5のX線画像装置は、センサケースにCCD素子を取り付ける際に、位置ずれなく確実にCCD素子を取り付けることができる。
【0043】そして、本発明の第6のX線画像検出器は、CCD表面への蛍光体の押圧力を蛍光体、弾性体などの厚みのばらつきに関係なく一定に保つことができる。
【0044】また、本発明のX線画像検出器の製造方法は、上記のようなX線画像検出器を容易に製造することができる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)11月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】滝本 智之 (外1名)
【公開番号】 特開平11−160442
【公開日】 平成11年(1999)6月18日
【出願番号】 特願平9−325755