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【発明の名称】 放射線検出素子
【発明者】 【氏名】小倉 隆

【氏名】宮澤 良和

【要約】 【課題】高感度、高解像度で、耐久性及び機械的強度に優れた放射線検出素子を提供する。

【解決手段】複数画素からなる固体撮像素子3と、固体撮像素子3の前面に配置した蛍光体1と、固体撮像素子3と前記蛍光体1の間に、固体撮像素子3に入射する前記蛍光体の拡散光を低減させる光遮蔽体2を配置したことを特徴とする放射線検出素子。また、この光遮蔽体は、前記固体撮像素子3の受光のための開口部に対応した開口部を有することを特徴とする。また、前記蛍光体1は、透明単結晶であることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数画素からなる固体撮像素子と、該固体撮像素子の前面に配置した蛍光体と、前記固体撮像素子と前記蛍光体との間に、前記固体撮像素子の受光のための開口部に対応した開口部を有する光遮蔽体を配置したことを特徴とする放射線検出素子。
【請求項2】 前記光遮蔽体は、前記蛍光体から発生する光を透過する層と前記蛍光体から発生する光の一部を遮蔽する層を積層したことを特徴とする請求項1記載の放射線検出素子。
【請求項3】 前記光遮蔽体は、表面に遮光層を有する透明なガラス板を複数枚積層して構成し、前記遮光層は、前記固体撮像素子の受光のための開口部に対応した開口部を有することを特徴とする請求項2記載の放射線検出素子。
【請求項4】 前記遮光層の光学濃度が、0.7以上であることを特徴とする請求項2又は3記載の放射線検出素子。
【請求項5】 前記遮光層が、顔料及び/又は染料を含む樹脂より形成されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の放射線検出素子。
【請求項6】 前記光遮蔽体は、蛍光体から発生する光を遮蔽する物質の格子構造体であることを特徴とする請求項1記載の放射線検出素子。
【請求項7】 前記光遮蔽体は、前記固体撮像素子の受光面から前記蛍光体に向かって次第に広がる形状の開口部を有することを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項記載の放射線検出素子。
【請求項8】 前記光遮蔽体は、前記蛍光体と、屈折率が1.5から2.0の透明接着剤で接着されたことを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項記載の放射線検出素子。
【請求項9】 前記蛍光体は、透明であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の放射線検出素子。
【請求項10】 前記蛍光体は、該蛍光体が発する蛍光に対して透明であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の放射線検出素子。
【請求項11】 前記蛍光体は、透明単結晶であることを特徴とする請求項9記載の放射線検出素子。
【請求項12】 前記蛍光体は、CsI:Tl、CsI:Na、NaI:Tlのいずれかからなることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項記載の放射線検出素子。
【請求項13】 前記蛍光体は、100μmから1mmの厚さを有することを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項記載の放射線検出素子。
【請求項14】 前記蛍光体は、前記固体撮像素子の受光面と反対側の面を光反射層で覆っていることを特徴とする請求項9〜13のいずれか1項記載の放射線検出素子。
【請求項15】 前記固体撮像素子は、光電変換膜にa−Si:Hを用いたことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項記載の放射線検出素子。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療分野または非破壊検査分野において、被写体に放射線を照射し、この被写体を透過した被写体情報を取得する放射線検出素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の放射線検出装置を図7に示す。図7において、放射線源11から放射線を被写体Sに照射すると、放射線と被写体との相互作用(吸収、散乱等)により、被写体Sの内部構造に応じて放射線が強度変調かつ散乱され、放射線検出器13に到達し、放射線画像となる。放射線検出器13の前に配置するグリッド12は、散乱放射線を除去し、放射線画像のコントラストを改善する。
【0003】一般に、放射線検出器13は、照射放射線量に比例した強度の蛍光を発する増感紙(Gd22 Si:Tb等)と銀塩フィルムからなり、被写体は潜像としてフィルムに記録され、現像処理の後、蛍光量の対数に比例した濃度で表す可視画像として提示され、診断や検査等に使用される。
【0004】また、輝尽性蛍光を発するBaFBr:Eu蛍光体、およびBaF:Eu蛍光体を塗布したイメージングプレート(以下IP)を使用したコンピューテッドラジオグラフィ装置(以下CR装置)も使用され始めている。このCR装置は、被写体の放射線画像をIPに一旦記録し、その後、レーザ光等の励起光をこのIPに照射して輝尽性発光させ、この光を光電的に読取って画像信号を得、この信号に基づいて被写体の放射線画像を銀塩フィルムやCRTディスプレイに表示する装置である。
【0005】最近では、放射線検出器13に微小な固体撮像素子、スイッチング素子等からなる画素を格子状に配列した固体撮像素子と蛍光体を組み合わせたデジタル撮影装置が開発されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の、固体撮像素子の受光面に銀塩フィルムとともに用いる増感紙を密着した放射線検出器では、発光した蛍光が、蛍光体層内の蛍光体粒子自体や蛍光体粒子同士を接着しているバインダ等で吸収、散乱され、発光率や鮮鋭度の低下が生じるという問題が起こる場合がある。
【0007】また、ヨウ化セシウム(Csl)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、硫化亜鉛(ZnS)等の蛍光体を塗布、または真空蒸着した、従来の放射線検出器の内、CsI結晶を柱状化して成長させたもの等は、横方向の散乱が減少して鮮鋭度は高いものの、前者と同様、結晶内で散乱、吸収されて発光輝度が低下するという問題点が生じる場合がある。
【0008】また、この柱状CsI結晶は、特に湿気に弱く、柱状であるため強度的にも弱い。
【0009】更にまた、CsI結晶をa−Si:H膜に直接蒸着・焼成させて放射線検出器を形成する場合は、このCsI結晶の焼成プロセスにおいて、a−Si:H膜を熱によって劣化させてしまうという場合があることが、特開平05−180945号公報で報告されている。
【0010】また、従来例として、光ファイバプレートの上部に柱状CsI結晶等を形成し、光ファイバプレートを通った光を固体撮像素子で受光するものもある。
【0011】しかしながら、光ファイバプレートは、高価で、かつ大型化が困難であり、固体撮像素子の画素ピッチと光ファイバプレートのピッチを同程度にすることや画素と光ファイバのコアとの位置合わせが極めて難しく、さらに、発光光が光ファイバプレートを通過する際に反射吸収が起こり、固体撮像素子に入射する光量が低下するということがあることが、特開平07−027863号公報で報告されている。
【0012】[発明の目的]本発明の目的は、上記のような問題点を鑑み、蛍光体内での蛍光の拡散および吸収が少なく、かつ、拡散光が光電変換素子へ入射することがなく、耐湿性による劣化がなく、機械的強度の高い、高感度、高解像度の放射線検出素子を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明に係る放射線検出素子は、複数画素からなる固体撮像素子と、該固体撮像素子の前面に配置した蛍光体と、前記固体撮像素子と前記蛍光体との間に、前記固体撮像素子の受光のための開口部に対応した開口部を有する光遮蔽体を配置したことを特徴とする。
【0014】また、前記遮光層の光学濃度が、0.7以上であることを特徴とする放射線検出素子でもある。
【0015】また、前記遮光層が、顔料及び/又は染料を含む樹脂より形成されていることを特徴とする放射線検出素子でもある。
【0016】また、前記光遮蔽体は、蛍光体から発生する光を透過する層と蛍光体から発生する光の一部を遮蔽する層を積層したことを特徴とする。
【0017】また、前記光遮蔽体は、表面に遮光層を有する透明なガラス板を複数枚積層して構成し、前記遮光層は、前記固体撮像素子の受光のための開口部に対応した開口部を有することを特徴とする。
【0018】また、前記光遮蔽体は、蛍光体から発生する光を遮蔽する物質の格子構造体であることを特徴とする。
【0019】また、前記光遮蔽体の開口形状は、前記固体撮像素子の受光面から前記蛍光体に向かって次第に広がる形状であることを特徴とする。
【0020】また、前記光遮蔽体は、前記蛍光体と、屈折率が1.5から2.0の透明接着剤で接着されたことを特徴とする。
【0021】また、前記蛍光体は、透明であることを特徴とする。
【0022】また、前記蛍光体は、該蛍光体が発する蛍光に対して透明であることを特徴とする。
【0023】また、前記蛍光体は、透明単結晶であることを特徴とする。
【0024】また、前記蛍光体は、CsI:Tl、CsI:Na、NaI:Tlのいずれかからなることを特徴とする。
【0025】また、前記蛍光体は、100μmから1mmの厚さを有することを特徴とする。
【0026】また、前記蛍光体は、前記固体撮像素子の受光面と反対側の面を光反射層で覆っていることを特徴とする。
【0027】また、前記固体撮像素子は、光電変換膜にa−Si:Hを用いたことを特徴とする。
【0028】[作用]本発明によれば、従来の、拡散、吸収の大きい粒子状の蛍光体に代えて、透明な蛍光体を用いることにより、蛍光体内での拡散および吸収を少なくすることができる。
【0029】また、単結晶の蛍光体を用いることにより、耐湿性が良好で、硬度の高い蛍光体とすることができるため、耐久性及び機械的強度を高めることができる。
【0030】さらに、固体撮像素子と蛍光体との間に、固体撮像素子の受光のための開口部以外の領域を遮蔽する光遮蔽体を配置することにより、横方向の拡散光の入射を防止し、直接光のみを固体撮像素子に入射させることができる。
【0031】従って、本発明によれば、高感度、高解像度で、かつ耐久性と機械的強度を向上した放射線検出素子を提供することができる。
【0032】
【実施例】[実施例1]本発明の実施例を図1〜図4に基づいて詳細に説明する。
【0033】[概略構成]図1は、本発明の放射線検出素子の概略構成を示す模式的断面図である。
【0034】[蛍光体]図1において、1は、放射線を、蛍光体から発光する光に変換する蛍光体である。
【0035】本発明は、この蛍光体として、透明単結晶の蛍光体を用いることを特徴の一つとする。このような蛍光体としては、CsI:Tl、CsI:Na、又はNaI:Tlを用いることができる。
【0036】本実施例では、この蛍光体として、例えば、その大きさが430mm×430mmで、厚さが約500μm位の単結晶のCsI:Tlを用いた(結晶厚は、特に、この値にとらわれる必要はない)。
【0037】CsI:Tlの結晶は、厚さが厚ければ厚いほど、放射線の吸収率は高くなるが、固体撮像素子に到達する発光光は、厚ければ厚いほど結晶内で拡散、吸収して減衰する。よって、結晶の発光輝度は、結晶厚に対してピーク値が存在し、発明者が検討した結果によると、CsI:Tlの結晶は100μm〜1mmであることが好ましい。すなわち、100μmより薄くすると、発光量が低下し、1mmより厚くすると、解像力が低下し、好ましくない場合がある。
【0038】[光遮蔽体]2は、蛍光体1と固体撮像素子3との間に配置した光遮蔽体である。この光遮蔽体2は、固体撮像素子3に入射する単結晶の蛍光体1の拡散光を低減させ、固体撮像素子3に入射する全光に対する直接光の比率を高くする性質を有している。詳しくは、後述する。
【0039】また、この光遮蔽体は、前記蛍光体と、屈折率が1.5から2.0の透明接着剤で接着されている。透明接着剤は、蛍光体1で発光された光成分のうち、固体撮像素子で必要とする波長成分を充分に透過するものであってよく、いわゆる、透明体に必ずしも限定されるものではない。
【0040】[固体撮像素子]3は、単結晶の蛍光体1で発光した光を光電変換する複数画素からなる固体撮像素子であり、光電変換膜にa−Si:Hなどの薄膜半導体層を用いたものが好適に使用できる。
【0041】[光反射層]4は、蛍光体1の放射線の入射面側を覆った光反射層である。この光反射層4は、例えばアルミニウムまたはクロム等からなり、蛍光体1の発光光を、固体撮像素子3方向に反射し、蛍光体の発光輝度を高める。この光反射層4は、例えば、蛍光体1の一面に真空蒸着により直接形成する。
【0042】[回路構成]図5に、固体撮像素子3の等価回路の一例を示す。以下の例は、2次元a−Siセンサについて説明を加えていくが、検出素子は特に限定する必要はなく、例えばその他の固体撮像素子(電荷結合素子など)であってもよい。
【0043】ただし、a−SiセンサとCsI:Tlの組み合わせは、CsI:Tlの極大発光波長が565nmであり、a−Siセンサの感度ピークが580nmでほぼ一致するので変換効率が良い。
【0044】ここで一素子の構成について説明する。一素子の構成は、固体撮像素子21と電荷の蓄積および読み取りを制御するスイッチングTFT22とで構成され、一般には、ガラスの基板上に配されたa−Si:H膜で形成される。
【0045】固体撮像素子21中の21Cは、この例では単に寄生キャパシタンスを有した光ダイオードでもよいし、光ダイオード21Dと検出器のダイナミックレンジを改良するように追加コンデンサ21Cを並列に含んでいる光検出器と捉えても良い。ダイオード21DのアノードAは、共通電極であるバイアス配線Lbに接続され、カソードKは、コンデンサ21Cに蓄積された電荷を読み出すための制御自在なスイッチングTFT22に接続されている。この例では、スイッチングTFT22は、ダイオード21DのカソードKと電荷読み出し用増幅器25との間に接続された薄膜トランジスタである。
【0046】スイッチングTFT22と信号電荷はリセット用スイッチング素子24を操作してコンデンサ21Cをリセットした後に、放射線26を放射することにより、光ダイオード21Dで放射線量に応じた電荷が発生し、コンデンサ21Cに蓄積される。その後、再度、スイッチングTFT22と信号電荷は、リセット用スイッチング素子24を操作して容量素子23に電荷を転送する。そして、光ダイオード21Dにより蓄積された量を電位信号として読み出し用増幅器25によって読み出し、A/D変換を行うことにより入射放射線量を検出する。
【0047】図6は、2次元に配列した固体撮像素子を表した等価回路図である。図5で示された固体撮像素子を具体的に2次元に拡張して構成した場合における光電変換動作について述べる。
【0048】固体撮像素子3の画素は、2000×2000〜4000×4000程度の画素から構成され、センサ面積は、200mm×200mm〜500mm×500mm程度である。図6において、固体撮像素子3は4096×4096の画素から構成され、センサ面積は430mm×430mmである。よって、1画素のサイズは、約105×105μmである。1ブロック内の4096画素を横方向に配線し、4096ラインを順に縦に配置する事により各画素を2次元的に配置している。
【0049】前述の通り、1画素は、固体撮像素子21とスイッチングTFT22とで構成される。21−(1,1)〜21−(4096,4096)は前述の固体撮像素子21に対応するものであり、光検出ダイオードのカソード側をK、アノード側をAとして表している。22−(1,1)〜22(4096,4096)はスイッチングTFT22に対応するものである。
【0050】2次元a−Siセンサの各列の固体撮像素子21−(m,n)のK電極は、対応するスイッチングTFT22−(m,n)のソース、ドレイン導電路によりその列に対する共通の列信号線(Lc1〜4096)に接続されている。例えば、列1の固体撮像素子21−(1,1)〜(1,4096)は第1の列信号配線Lc1に接続されている。
【0051】各行の固体撮像素子21のA電極は、共通にバイアス配線Lbを通してバイアス電源31に接続されている。各行のTFT22のゲート電極は、行選択配線(Lr1〜4096)に接続されている。例えば、行1のTFT22−(1,1)〜(4096,1)は行選択配線Lr1に接続される。行選択配線Lrはラインセレクタ部32を通して制御部33に接続されている。ラインセレクタ部32は最も簡単に構成するならば、単に液晶ディスプレイなどに用いられているシフトレジスタによって構成することも可能である。
【0052】列信号配線Lcは、制御部33により制御される信号読み出し部34に接続されている。出力信号は順次図示しないA/D変換器へ出力されディジタル値に変換される。
【0053】[複数基板の貼り合わせによる大面積基板の作製]上記の例では、4096×4096画素の固体撮像素子3を1枚の基板で構成した例を示したが、4096×4096画素の固体撮像素子3を2048×2048個の画素を持つ4枚の光検出器で構成することもできる。2048×2048個の検出器を4枚で1つの固体撮像素子3を構成する場合は、分割して製作する事により歩留まりが向上するなどのメリットがある。
【0054】また、蛍光体も同様に、必ずしもCsI:Tlも430mm×430mmの1枚の単結晶である必要はなく、例えば、4枚を貼り合わせることで生産性を向上することができる。215mm×215mmの4枚の結晶は、端面を接着剤等で貼り合わせてもよいし、レーザ光等を用いて、結晶の一部を溶解して貼り合わせてもよい。
【0055】接着剤を用いる場合は、この接着剤は蛍光体から発生する光に対して透明で、その屈折率はCsI:Tl結晶と同等で、約1.8程度が好ましい。
【0056】[光遮蔽体の構成]次に、蛍光体1と固体撮像素子3の間に配置した光遮蔽体について説明する。
【0057】図2に、実施例1の光遮蔽体の構造を示す。図2に示すように、本実施例の光遮蔽体2は、蛍光体1と固体撮像素子3との間に配置され、蛍光体から発生する光を透過する層41と蛍光体から発生する光の一部を遮蔽する層42を積層した構成としてある。
【0058】蛍光体から発生する光を透過する層41は、例えばガラス板(?)からなり、本実施例では、このガラス板を3枚積層してある(ただし、積層枚数は何枚でもかまわないし、1枚だけでも、かまわない)。
【0059】また、蛍光体から発生する光遮蔽層42は、そのガラス板の表面に、蛍光体から発生する光に対して不透明な物質によって、蛍光体から発生する光の一部を遮光する形状に形成された層である。この光遮蔽層を形成する材料は、アルミニウムやクロムなどの金属膜あるいは金属酸化膜、顔料や染料などの着色剤を含有する樹脂である。
【0060】本実施例では、このような蛍光体から発生する光遮蔽層42をそれぞれ形成したガラス板を3枚、積層してある。また、この蛍光体から発生する光遮蔽層は、格子状に光電変換部(開口部)31以外の領域上に形成されており、かつ、固体撮像素子3に近付くにしたがって、遮光幅が大きくなるようにしてある。
【0061】図3は、この光遮蔽体の断面図を模式的に示した図である。図3において、単結晶蛍光体で発光した蛍光の内、直接光(実線)は固体撮像素子3の開口部5に導光し、その他の結晶内で拡散した拡散光(点線)は遮蔽層42が吸収するようになっている。例えば、最下層の遮蔽層42は固体撮像素子3の開口部5以外の部分、例えば、図5、図6で説明した、スイッチングTFT22や信号配線Lcや選択配線Lr等を覆うように形成され、上層の遮蔽層42ほどその面積が小さくなるようになっているのが好ましい。
【0062】ここでは、光遮蔽体としては、一枚の厚さが100〜500μm(未定??)のガラス板を3枚、積層して形成している。特に積層するガラスの厚さおよび積層枚数は、この例にとらわれる必要はなく、固体撮像素子の開口面積とCsI:Tl結晶の厚さに基づいて最適化されていればよい。
【0063】そして、放射線検出素子として感度を重視する場合は、この光遮蔽体を薄くして固体撮像素子へ多くの光量が到達するようにし、解像力を重視する場合は、逆に光遮蔽体を厚くして結晶内での拡散光を減少させるのが好ましい。
【0064】これにより、拡散光が固体撮像素子の光電変換部(開口部)に入射するのを減少させることができる。
【0065】[光遮蔽体の作製方法]蛍光体から発生する光の遮光層の材料としては、アルミニウムやクロムなどの金属膜あるいは金属酸化膜、カーボンブラックやチタンブラックなどの顔料又はアゾ系の黒色染料などが上げられる。
【0066】遮光層の光学濃度は、再帰反射を防止するために、0.7以上であることが必要である。
【0067】また、作製方法としては、オフセット印刷法、スクリーン印刷法などの印刷方法、またはフォトリソプロセスなどにより、容易に作製することができる。
【0068】また、このように、固体撮像素子の基板と同等の熱膨張率の物質(ガラス)で光遮蔽体を作製すれば、固体撮像素子の開口部と光遮蔽体の開口部との熱膨張による位置ずれは生じない。
【0069】また、CsI:Tl結晶からなる蛍光体とガラスとの接着は、屈折率が1.5から2.0の透明接着剤を用いて、接着面での反射を最小限にすることが好ましい。
【0070】[実施例2]光遮蔽体の実施例2として、図4に蛍光体から発生する光を遮蔽する物質の格子構造体からなる光遮蔽体を示す。
【0071】[光遮蔽体の構成]この格子構造体61は、例えば、フォトリソグラフィ技術により作製したもので、その格子の開口の数は固体撮像素子の画素数と一致し、固体撮像素子に近い方の格子の開口形状は、固体撮像素子の受光面の開口形状と一致し、固体撮像素子から離れるにしたがい、わずかに広がっているのが好ましい。
【0072】また、この格子構造体61は、単結晶蛍光体の放射線入射面付近、すなわち固体撮像素子3から遠い面付近で発光した蛍光を固体撮像素子3に導光し、その他の結晶内で拡散した拡散光は格子が吸収するように設計されていることを特徴としている。
【0073】[光遮蔽体の作製方法]このような、格子構造の光遮蔽体の作製方法としては、例えば、カラーテレビ等のCRTディスプレイ装置に用いられるシャドーマスク製造法と同様に、フォトリソグラフィ技術により作製することができる。
【0074】例えば、図8に示すように、光遮蔽体となる基材の両面にレジストを塗布し(a)、その両面のレジストに格子のガラスマスクを用いて露光し(b)、その後、レジストを現像し(c)、エッチングして開口し(d)、レジストを剥離して(e)、格子構造を形成することができる。
【0075】[他の実施例]実施例1では、複数のガラス板を積層して構成した光遮蔽体を示したが、1枚のガラス板中に、光遮蔽層を形成しても良い。
【0076】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれば、従来の、拡散、吸収の大きい粒子状の蛍光体に代えて、透明な蛍光体を用いることにより、蛍光体内での拡散および吸収を少なくすることができる。
【0077】また、単結晶の蛍光体を用いることにより、耐湿性が良好で、硬度の高い蛍光体とすることができるため、耐久性及び機械的強度を高めることができる。
【0078】さらに、固体撮像素子と蛍光体との間に、固体撮像素子の受光のための開口部以外の領域を遮蔽する光遮蔽体を配置することにより、横方向の拡散光の入射を防止し、直接光のみを固体撮像素子に入射させることができる。
【0079】従って、本発明によれば、蛍光体内での拡散および吸収が少なく、かつ蛍光体内での拡散光が固体撮像素子に入射することを低減した、高感度、高解像度で、更に耐久性及び機械的強度に優れた放射線検出素子を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【識別番号】591111112
【氏名又は名称】株式会社オプトロン
【出願日】 平成9年(1997)11月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】山下 穣平
【公開番号】 特開平11−160441
【公開日】 平成11年(1999)6月18日
【出願番号】 特願平9−328619