| 【発明の名称】 |
放射線検出装置及び放射線検出方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】板橋 哲
【氏名】遠藤 忠夫
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| 【要約】 |
【課題】シンチレーターの減衰特性を考慮した読み出し方法をとることで、雑音が小さく、ばらつきの小さい、所望のSNの信号を読み出すことができる放射線検出装置を実現する。
【解決手段】シンチレーター14と、複数の画素Sを有する光電変換装置と、転送用TFT(T)と、を有する放射線検出装置において、所望の信号対雑音をSNとした時、該SNを得るため、放射線の照射が停止した後、(n×τ1 )[ただし、τ1 はシンチレーター14の蛍光面残光特性の時定数、nはln(SN)である。]以上遅延させる手段(図中、制御回路、CPU、プログラムメモリ)により遅延した後、最初の上記転送用TFTをonさせて前記画素に蓄積した信号を転送する手段(図中シフトレジスタ102)を有することを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 放射線を光電変換可能な光に変換するシンチレーターと、該光を電気信号に変換するべくマトリクス状に配列された複数の画素を有するセンサ素子と、前記各画素の信号を順次転送すべく各画素に接続された転送用TFTと、を有する放射線検出装置において、所望の信号対雑音をSNとした時、該SNを得るため、前記放射線の照射が停止した後、(n×τ1 )[ただし、τ1 は前記シンチレーターの蛍光面残光特性の時定数、nはln(SN)である。]以上遅延した後、最初の上記転送用TFTをonさせて前記画素に蓄積した信号を転送する手段を有することを特徴とする放射線検出装置。 【請求項2】 放射線を光電変換可能な光に変換するシンチレーターと、該光を電気信号に変換するべくマトリクス状に配列された複数の画素を有するセンサ素子と、前記各画素の信号を順次転送すべく各画素に接続された転送用TFTと、を有する放射線検出装置において、装置全体の所望の信号対雑音をSNとした場合、該SNを得るために、以下の関係式を満たすことを特徴とする放射線検出装置。 (α×τ1 +β×τ2 )≦1/IFPSSN=exp(α+β); ただし、IFPS:放射線検出装置の読み取りの1秒あたりのフレーム数; τ1 :シンチレーターの発光の立ち上がり及び減衰の時定数; τ2 :センサ素子容量と転送用TFTのon抵抗を掛けて得られる時定数; α:[(センサ素子の光信号の蓄積時間)/τ1 ]の倍数:また、シンチレーターに要求される信号対雑音をSN1 とした場合、α=ln(SN1 )でもある; β:転送用TFTがonする時間の時定数の倍数:また、転送用TFTがセンサ素子の容量に蓄積された信号の転送に要求される信号対雑音をSN2 とした場合、β=ln(SN2 )でもある; 【請求項3】 放射線を光電変換可能な光に変換するシンチレーターと、該光を電気信号に変換するべくマトリクス状に配列された複数の画素を有するセンサ素子と、前記各画素の信号を順次転送すべく各画素に接続された転送用TFTと、を有する放射線検出装置において、所望の信号対雑音をSNとした時、該SNを得るため、前記放射線の照射が停止した後、(n×τ1 )[ただし、τ1 は前記シンチレーターの蛍光面残光特性の時定数、nはln(SN)である。]以上遅延した後、最初の上記転送用TFTをonさせて前記画素に蓄積した信号を転送することを特徴とする放射線検出方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、シンチレータとセンサ素子を用いる放射線検出装置及び方法に関し、特に、画像処理機能を有するリアルタイム放射線診断装置や、放射線治療装置に利用される放射線検出装置に関する。 【0002】 【従来の技術】X線等による放射線診断装置、X線撮影装置では、X線等の放射線を直接光センサで検出すると効率が悪く、放射線を可視光に変換するシンチレーターと光センサを組み合わせて用いることは従来より行われていた。 【0003】このシンチレーターの特性として、蛍光面残光特性と呼ばれる特性が有り、図5に示すように、シンチレーターの光の発生、消滅はある関数で発生、減衰し、遅い成分では数百ミリ秒の長い時定数を有することが指摘されている。その対策として、たとえば特開平5−237091ではアフターグローの減衰を補正するため、多数の信号サンプルを検出し、複雑な計算により補償値を算出し、信号から減じている。さらにこの計算のためには初期の減衰成分が無視出来るまで、遅延させている。 【0004】一方、薄膜半導体の光センサをシンチレーターと組み合わせてX線等による放射線診断装置、X線撮影装置に用いることがたとえば特表平7−502865で提案されている。この従来技術では、薄膜半導体からなるセンサとトランジスタによる時定数と装置の読み取り速度、S/Nの関係をあらわしている。この特表平7−502865ではX線が連続照射のときの透視モードの読み取り方法と、X線がある短時間のみ照射し、すべてのセンサが同時に信号を蓄積する写真モードが紹介されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の従来技術では、たとえば、特開平5−237091のように多数回信号を取り補償値を計算し補償値を信号から減じる計算をするためには高価な信号処理回路、演算装置が必要となる。さらに初期の減衰成分が無視出来るまで、遅延させているため、検出器からの信号を取り出すまで遅延時間分待たなければならない。 【0006】特表平7−502865ではX線が連続照射のときの透視モードと、X線がある短時間のみ照射する写真モードが紹介されているが、透視モードでX線が照射し続けていると人体のX線の被爆量が多くなるという心配がある。一方、写真モードでは、シンチレーターの光の発生、減衰の時定数が考慮されておらず、X線が終了してから瞬時に読み出しを開始すると、シンチレーターの光の減衰の時定数のために、読み出しの始めのラインでは暗電流が大きい間に読み出し、最後の方の読み出しラインでは暗電流成分が積分された信号が読み出される。このため、信号に混在するシンチレーターの遅延のある減衰特性による暗電流が読み取るラインの順番により大きく異なるという問題があった。 【0007】特表平7−502865では、a−Siよりなるセンサと薄膜トランジスタからなる大画面センサパネルを用いた、X線診断装置、あるいは放射線治療装置を紹介している。そしてリアルタイムイメージセンサとして必要な、センサの容量と薄膜トランジスタのon抵抗をかけた時定数と、S/N、フレーム周波数の関係を導いている。しかし、X線が連続で照射されている場合を想定しており、上述したようなシンチレーターの減衰特性については言及しておらず、X線が間欠で照射する場合の読み取りの設計については触れられていなかった。 【0008】また、シンチレーターの減衰特性は、写真モードのような場合は時間的に余裕があり、それほど問題になることはないが、循環器系の診断のようにフレーム数の多いフル動画の場合、光の残存成分がノイズとして影響を及ぼす事が考えられる。 【0009】しかし、このような場合について、シンチレーターの減衰特性と、センサパネルのセンサの容量と薄膜トランジスタのon抵抗からなる時定数読み取り特性と結び付け、設計することは提案されていなかった。 【0010】[発明の目的]本発明の目的は、X線等の放射線の照射を間欠にし、被爆線量を低減した放射線診断装置等の放射線検出装置において、シンチレーターの減衰特性を考慮した読み出し方法をとることで、雑音が小さく、ばらつきの小さい、所望のSNの信号を読み出すことにある。 【0011】また、連続的に照射される放射線による診断、治療において、シンチレーターの減衰特性を考慮し最適な信号対雑音(SN)を得るための関係を導くことにある。 【0012】 【課題を解決するための手段および作用】本発明は、上記課題を解決するための手段として、被写体を照射する放射線源と、前記放射線を光電変換可能な光に変換するシンチレーターと、該光を電気に変換するべくマトリクス状に配列された複数の画素を有するセンサ素子と、前記各画素の信号を順次転送すべく各画素に接続された転送用TFTと、を有する放射線検出装置において、所望の信号対雑音(SN)を得るため、前記放射線の照射が停止した後、(n×τ1 )[ただし、τ1 は前記シンチレーターの蛍光面残光特性の時定数、nはln(SN)である。]以上遅延してから、最初の上記転送用TFTをonさせて前記画素に蓄積した信号を転送する手段を有することを特徴とする放射線検出装置を提供するものである。 【0013】また、本発明の他の手段は、被写体を照射する放射線源と、前記放射線を光電変換可能な光に変換するシンチレーターと、該光を電気に変換するべくマトリクス状に配列された複数の画素を有するセンサ素子と、前記各画素の信号を順次転送すべく各画素に接続された転送用TFTと、を有する放射線検出装置において、装置全体の所望の信号対雑音をSNとした場合、該SNを得るために、以下の関係式を満たすことを特徴とする放射線検出装置である。 【0014】(α×τ1 +β×τ2 )≦1/IFPSSN=exp(α+β); ただし、IFPS:放射線検出装置の読み取りの1秒あたりのフレーム数; τ1 :シンチレーターの発光の立ち上がり及び減衰の時定数; τ2 :センサ素子容量と転送用TFTのon抵抗を掛けて得られる時定数; α:シンチレーターに要求される信号対雑音をSN1 とした場合の、α=ln(SN1 ) また、α=[(センサ素子の光信号の蓄積時間)/τ1 ]の倍数でもある; β:転送用TFTがセンサ素子の容量に蓄積された信号の転送に要求される信号対雑音をSN2 とした場合の、β=ln(SN2 ) また、β=転送用TFTがonする時間の時定数の倍数でもある;また、放射線を光電変換可能な光に変換するシンチレーターと、該光を電気信号に変換するべくマトリクス状に配列された複数の画素を有するセンサ素子と、前記各画素の信号を順次転送すべく各画素に接続された転送用TFTと、を有する放射線検出装置において、所望の信号対雑音をSNとした時、該SNを得るため、前記放射線の照射が停止した後、(n×τ1 )[ただし、τ1 は前記シンチレーターの蛍光面残光特性の時定数、nはln(SN)である。]以上遅延した後、最初の上記転送用TFTをonさせて前記画素に蓄積した信号を転送することを特徴とする放射線検出方法でもある。 【0015】[作用]本発明によれば、所定の幅のパルス時間の照射で行われる放射線を用いる放射線写真撮影に用いられる放射線検出装置であって、前記放射線を可視光領域の波長の輻射線に変換し蛍光面残光特性の時定数を有するシンチレーターと、各々が所定の容量を有する薄膜センサ素子と前記薄膜センサ素子に1対1で対応する所定のon抵抗を有する薄膜トランジスタ(転送用TFT)で構成される画素がマトリクス状に配列し、1以上の所定の列毎に薄膜トランジスタ(転送用TFT)をonさせて駆動する光センサを有する放射線検出装置において、前記シンチレーターの蛍光面残光特性の時定数をτ1 とすると、前記放射線の照射が停止した後、時間(n×τ1 )以上経過した後、薄膜トランジスタをonさせて前記薄膜センサ素子に蓄積した信号を転送する放射線検出装置であり、SN:システムが要求する信号対雑音n=ln(SN) n×τ1 =ln(SN)×τ1の関係を満たすようにシステムを設計することで、上記目的を達成出来る。 【0016】また、本発明によれば、放射線を用いる放射線撮影、放射線診断装置もしくは放射線治療装置に用いられる放射線検出装置であって、前記放射線を可視光領域の波長の輻射線に変換し、蛍光面残光特性の時定数を有するシンチレーターと、各々が所定の容量を有する薄膜センサ素子と前記薄膜センサ素子に1対1で対応する所定のon抵抗を有する薄膜トランジスタで構成される画素がマトリクス状に配列し、1以上の所定の列毎に薄膜トランジスタをonさせて駆動する光センサを有する放射線検出装置において、前記シンチレーターの蛍光残光特性の時定数をτ1 とし、前記薄膜センサ素子の容量Cと薄膜トランジスタのon抵抗Rを乗じた時定数τ2 、IFPS:放射線検出装置の読み取りの1秒あたりのフレーム数、α:センサの光信号の蓄積時間の、シンチレーターの発光の立ち上がり、減衰の時定数の倍数、またはシンチレーターに要求されるSN1 に対してα=ln(SN1 )、β:転送用TFTがonする時間の時定数の倍数、または薄膜トランジスタが薄膜センサ素子の容量に蓄積された信号の転送に要求されるSN2 に対してα=ln(SN2 )、また、システムとして必要な信号対雑音(SN)を、SN=exp(α+β)、1/SN=exp(−α−β)とすると、以下の式、(α×τ1 +β×τ2 )≦1/IFPSで表わされる関係を満たす放射線検出装置とすることにより、所望の信号対雑音(SN)を得ることができ、上記目的を達成できる。 【0017】すなわち、本発明によれば、放射線、X線の照射を間欠にし、被爆線量を低減した放射線診断装置において、シンチレーターの減衰特性を考慮した読み出し方法をとることで、雑音が小さく、ばらつきの小さい、所望のSNの信号を読み出すことができる。 【0018】また、連続的に照射される放射線による診断、治療においてシンチレーターの減衰特性を考慮し最適な信号対雑音(SN)を得るための関係を導くことにより、所望のSNの放射線検出装置の設計を容易にすることができるものである。 【0019】本発明によれば、例えば、絶縁基板上にa−Siからなる薄膜のセンサと薄膜トランジスタをマトリクス上に2次元に複数個並べた大画面センサパネルと大画面センサ表面にシンチレーターを配置した放射線検出装置において、センサの容量Cと薄膜トランジスタのon抵抗Rを掛けて得られる時定数τと読み取り速度とS/Nとシンチレーターの減衰特性とX線の照射タイミングを関係付けることにより、所望のSNの放射線検出装置を、容易に設計して得ることができるものである。 【0020】 【実施例】以下、図面を参照しつつ本発明の内容を詳細に説明する。 【0021】(実施例1)図1は、本発明の実施例を説明するための、放射線検出装置100を中心とした回路図である。 【0022】図1に示すように、本実施例は、放射線を光電変換可能な光に変換するシンチレーター14と、該光を電気信号に変換するべくマトリクス状に配列された複数の画素を有するセンサ素子と、前記各画素の信号を順次転送すべく各画素に接続された転送用TFT(T)と、を有する放射線検出装置において、所望の信号対雑音をSNとした時、該SNを得るため、放射線の照射が停止した後、(n×τ1 )[ただし、τ1 は前記シンチレーターの蛍光面残光特性の時定数、nはln(SN)である。]以上遅延させる手段(図中、制御回路、CPU、プログラムメモリ)により遅延した後、最初の上記転送用TFTをonさせて前記画素に蓄積した信号を転送する手段(図中、シフトレジスタ102)を有することを特徴とする放射線検出装置である。 【0023】放射線検出装置100は、放射線12を可視光に変換するシンチレーター14と、可視光を受光し電気信号に変換するためのa−Siからなる薄膜センサ素子(S1-1 〜S3-3 )と、薄膜センサ素子で光電変換された信号電荷をマトリクス信号配線M1〜M3側へ転送するためのa−Siからなる薄膜トランジスタ(転送用TFT)(T1-1 〜T3-3 )による画素が2次元のマトリクス状に並んだ光電変換回路101と、薄膜トランジスタのゲート線(G1〜G3)を駆動するシフトレジスタからなる。なお、ここでは説明を簡単にするために画素を3×3の構成にしてある。 【0024】マトリクス信号配線M1には、薄膜トランジスタの電極間容量(Cgs)の3個分の容量が転送時において付加されており、図1内では容量素子としての表記をしていない。他のマトリクス信号配線M2,M3についても同様である。光電変換素子S1-1 〜S3-3 とスイッチング素子T1-1 〜T1-3 とゲート駆動配線G1〜G3とマトリクス信号配線M1〜M3が、図中光電変換回路部101内に表示されており、図示されていないが、それぞれ1つの絶縁基板上に配置されている。102はスイッチ素子T1-1 〜T3-3 を開閉するためのシフトレジスタ(SR1)で構成される駆動用回路部である。 【0025】L1〜L3は、マトリクス信号配線M1〜M3の信号電荷を増幅し、インピーダンス変換するためのオペアンプであり、図中においては電圧ホロワ回路を構成したバッファーアンプとしてのみ記載してある。Sn1からSn3はオペアンプL1〜L3の出力すなわち各マトリクス信号配線M1〜M3の出力を読み出し、コンデンサCL1 〜CL3 へ転送する転送スイッチである。読み出しコンデンサCL1 〜CL3 は、電圧ホロワ回路を構成したバッファアンプB1〜B3を介して読み出し用スイッチSr1 〜Sr3 により読み出される。 【0026】103は読み出し用スイッチSr1 〜Sr3 を切り替えるためのシフトレジスタ(SR2)である。CL1 〜CL3 の並列信号は、Sr1 〜Sr3 とシフトレジスタ(SR2)103により直列変換され、最終段の電圧ホロワ回路を構成したオペアンプ104に入力され、さらにA/D変換回路部105でディジタル化される。RES1〜RES3はマトリクス信号配線M1〜M3に付加された容量(3個分のCgs)に蓄えられた信号成分をリセットするためのリセット用スイッチであり、CRES端子からのパルスによりあるリセット電位にリセット(図中ではGND電位にリセット)される。 【0027】また、106は、光電変換素子S1-1 〜S3-3 にバイアスを与えるための電源である。読み出し用回路部107は、バッファアンプL1〜L3、転送スイッチSn1〜Sn3、読み出しコンデンサCL1 〜CL3 、バッファアンプB1〜B3、読み出し用スイッチSr1 〜Sr3 、シフトレジスタSR2、最終段のオペアンプ104、リセット用スイッチRES1〜RES3で構成されている。 【0028】図6(a)は、光電変換素子及びスイッチング素子をアモルファスシリコン半導体薄膜を用いて構成した時の光電変換回路部の概略的上面図である、図6(b)は、図6(a)中A−Bにおける概略的断面構成図である。薄膜センサ素子301及び薄膜トランジスタ302(アモルファスシリコンTFT、以下単にTFTと記す)は、同一のガラス基板303上に形成されており、薄膜センサ素子301の下部電極は、TFT302の下部電極(ゲート電極)と同一の第1の金属薄膜層304で共有されており、薄膜センサ素子301の上部電極は、TFT302の上部電極(ソース電極、ドレイン電極)と同一の第2の金属薄膜層305で共有されている。また、第1、第2の金属薄膜層は、光電変換回路部内の、ゲート駆動用配線306、マトリクス信号配線307も共有している。図6(a)においては、画素数として2×2の計4画素分が記載されている。図6(a)中ハッチング部は、薄膜センサ素子の受光面である。309は薄膜センサ素子にバイアスを与える電源ラインである。また、310は薄膜センサ素子301とTFT302を接続するためのコンタクトホールである。 【0029】また薄膜センサ素子301は断面がTFT302と同じMIS型の構造をしており、薄膜センサ素子301とTFT302の絶縁膜311は、同時に形成された絶縁膜を用いている。 【0030】図7は、図6の光電変換回路部の等価回路である。薄膜センサ素子とTFTからなる画素を便宜上四角形で表わしている。 【0031】各薄膜センサ素子に印加するバイアス線は4系統(Vs1〜Vs4)に分けてあり、センサのリセットを4系統に分けて行うことができる。 【0032】図7は、画素がn×m個のマトリクス状に並んでいる例を示しているが、センサバイアスを4系統に分けているので列数mは4の倍数となっている。 【0033】次に、本実施例の動作について説明する。図2は、図1に示される放射線写真撮影時の放射線検出装置の動作を示すタイミングチャートである。図を用いて動作の詳細を説明する。 【0034】X線源11がT時間のみ照射し、照射を止めた後、配線M1,M2,M3に残留している電荷をCRES電位をonさせトランジスタRES1〜RES3をonすることで除去し、M1,M2,M3を接地電位とする。 【0035】X線源11から照射され、人体13を透過したX線12はシンチレーター14を照射し、透過したX線の量に応じた光をシンチレーター14に発光させる。 【0036】シンチレーター14で発生した光は、放射線検出装置100内の各光電変換素子S1-1 ,S1-2 ,…S3-3 を照射し、各光電変換素子に入射した光の量に応じた信号電荷を発生させる。 【0037】センサ内で生じた信号電荷は、光電変換素子内で形成されている容量成分に一定の期間だけ蓄積される。第1行の光電変換素子S1-1 〜S3-3 に蓄積されていた信号電荷は、シフトレジスタ(SR1)102のゲートパルス信号G1によりスイッチング素子T1-1 〜T1-3 がt1時間だけ“ON”し、マトリクス信号配線M1〜M3の各配線に形成される容量成分(スイッチング素子T1-1 〜T3-3のCgs3個分の容量)に転送される。図2中M1〜M3はその転送を示しており、各光電変換素子内に蓄えられた信号量が異なった場合を示している。すなわち、第1行の光電変換素子(S1-1 からS1-3 )においては、その出力レベルがS1-2 >S1-1 >S1-3 である。マトリクス信号配線M1〜M3の信号出力は、それぞれオペアンプL1〜L3により増幅される。 【0038】その後、読み出し用回路部内のスイッチング素子Sn1〜SN3が、図中に示されるSMPLパルスによりt2時間だけ“ON”し、読み出しコンデンサCL1 〜CL3 にそれぞれ転送される。読み出しコンデンサCL1 〜CL3 の信号は、それぞれバッファアンプB1〜B3によりインピーダンス変換される。その後読み出し用スイッチSr1 〜Sr3 がシフトレジスタ(SR2)103からのシフトパルスSp1〜Sp3により順次“ON”することにより、読み出し用コンデンサCL1 〜CL3 に転送されていた並列の信号電荷が、直列変換され読み出される。Sp1,Sp2,Sp3のシフトパルスのパルス幅をSp1=Sp2=Sp3=t3とすると、この直列変換読み出しに必要な時間はt3×3となる。直列変換された信号は最終段のオペアンプ104から出力され、さらにA/D変換回路部105によりディジタル化される。 【0039】図中に示されたVoutは、A/D変換回路部に入力される前のアナログ信号を示している。図に示しているように、第1行のS1-1 〜S1-3 の並列信号すなわちマトリクス信号配線M1〜M3の信号電位の並列信号が、それらの信号の大小に比例してVout信号上で、直列変換されている。 【0040】最後に、マトリクス信号配線M1〜M3の信号電位はCRESパルスがt4時間だけ“ON”することによりリセット用スイッチ素子RES1〜RES3を介して一定のリセット電位(GND電位)にリセットされ、次の光電変換素子S2-1 〜S2-3 の第2行の信号電荷の転送に備える。以下同様に第2行、第3行の光電変換された信号が繰り返し読み出される。 【0041】この時、センサはTFTのゲート電圧(G1〜G3)がonするまでの時間、信号を蓄積する。従って、センサ信号を転送するために最初にonするG1のonまでの時間と最後にonするG3のonまでの時間にずれがあり、そのためシンチレーターの発光の減衰の影響がライン毎に異なる。これについて、図4を用いて説明する。図4は放射線照射が停止した後センサ出力がどのように変化するかを示したものである。 【0042】図4において、縦軸のセンサ出力が減衰する部分においては、減衰成分が信号成分として蓄積されていると考えられるため、図に示すように、減衰成分を信号成分Sとする。また、例えば、放射線がoffしてからTm1時点で転送用TFTをonさせて、蓄積された信号電荷を読み出す場合、すでに蓄積されているS’成分は信号として読み出すことが出来るが、Tm1以降発生するN’成分はまだ蓄積されていないため転送することができない残留成分となる。従って、この残留成分は、信号成分以外の雑音成分N’と言うことができる。 【0043】つまり、放射線off後、早く、転送用TFTのゲートがonしたラインのセンサは放射線が停止した後短い蓄積時間で転送が始まるために信号対雑音(S′/N′)は小さく、後で(例えば、Tm2で)ゲートがonしたラインのセンサは信号対雑音(S/N)が大きくなる。このため、ラインによりばらつくことになり、システムとしての信号対雑音を低下させることになる。 【0044】しかし、シンチレーターの減衰の時定数τ1 に対してシステムとして必要な信号対雑音(SN)に対応する時間を、転送用TFTのゲート電圧をonするまでに設定することにより、システムとして必要なSNを得ることが出来る。 【0045】照射が停止する直前のシンチレーターの発光量を1とすると、シンチレーターの減衰の時定数τ1 により放射線の照射が停止したn×τ1 後のシンチレーターの発光量は、exp(−n×τ1 )になる。従って、この時システムとして必要なSNに対して1/SN=exp(−n)、ln(SN)=nとおく事が出来る。 【0046】従って、照射が停止した後、センサの信号を取り出すために転送用TFTが最初にonするまでの時間を、図4に示すようにTm2=n×τ1 以上に設定すれば、所望のSNが得られることになる。 【0047】次に、上述したn×τ1 以上遅延させるための本実施例の手段について、簡単に説明する。 【0048】転送用TFTが最初にonするまでの遅延時間をn×τ1 以上に制御するための手段としては、例えば、マイクロコンピュータ(CPU)により、制御プログラムを駆動し、図1の回路を例にとれば、放射線源11の照射終了時から、カウントを開始し、n×τ1 以上遅延させてから、シフトレジスタSR1のG1出力を駆動すること等により、通常の技術で、容易に実施可能である。 【0049】また、シフトレジスタSR1と、放射線源11との間に、同期信号線と遅延回路を設けて、放射線源11の照射終了信号を遅延回路で遅延した後、シフトレジスタのスタート信号として入力すること等によっても、容易に実施することができる。 【0050】(実施例2)本実施例では、動画像を形成するために、多数のフレーム画像を連続的に読み出す場合について、所望のSNを得る例について説明する。 【0051】図1の光電変換回路部では放射線検出装置の画素は3×3であったが、本実施例では、画素がm行×n列マトリクス状に並んで形成されている場合について述べる。この場合、一般的なのは、1秒間あたり30フレームでセンサアレイを読み出す場合である。この時、1フレームのスキャン時間は1/30(sec)=33msecとなる。 【0052】図3に動画の放射線画像を読み出すタイミングチャートを示す。図3(A)に示すように、放射線は連続で照射している。 【0053】図3(B)は、休みなく読み出し、もしくは信号の蓄積を行う場合である。 【0054】図3(C)は、全部のアレイが読み出した後、次の読み出しが始まるまで休止する場合(図中、点線部)である。この休止時間は、1フレーム当たりのスキャン時間tf 、各列の読み出し時間tX 、読み出す列数q(≦n)により、最大tf −tX ・qだけ設定することができる。 【0055】図3(D)は、各列一定のタイミングで読み取るが、各列の読み出し時間の間に休止(蓄積はしている)の時間が設けてある場合である。 【0056】図3(E)は、図3(D)と同様に各列の読み出し時間の間に休止が設定されている場合である。この休止の時間は、各列で蓄積も休みも行わない時間である。例えば、読み出しによってセンサから放電(充電)された後の、残留成分を除去する(リフレッシュ)駆動を行うことにより、さらにS/N比を向上させることができる。 【0057】放射線検出器を含むシステムで、読み出しに関係するパラメーターは、(1)システムが要求するSN(2)画素毎のスイッチとセンサからなるCR時定数τ2(3)装置が必要としているスキャン速度(フレーム数) (4)シンチレーターの発光のX線が当たった時の立ち上がり、X線が当たらなくなった時の減衰の時定数τ1以上4つが必要である。以下、上記(1)〜(4)を更に説明する。 【0058】(1)センサパネルからの信号のSNはスイッチにより転送された信号量Sと転送残り信号量Nで定義する。 【0059】(2)CR時定数τ2 は画素のセンサの蓄積容量Cと画素毎のスイッチ(TFT)のon抵抗Rを掛けたものである。 【0060】(3)スキャン速度(フレーム数)は1秒あたりのn列(必要に応じてq<n列)のスキャン数(フレーム数)である。通常のモニターでは30フレーム/秒である。 【0061】(4)放射線が入射するときのシンチレーターの発光、放射線の入射が終了した後のシンチレーターの発光の減衰は、多重指数関数(Σαtn )的な変化を示すが、ここでは時定数τ1 による指数関数で表わされるものとする。 【0062】図8は、TFTの転送時間と転送量及び転送残りの関係を示す図であり、光電変換素子(図1で言えば、S11〜S33)内の容量に蓄積された信号電荷を1としたときの転送量を示すグラフである。図8を参照しながら、上記パラメータを用いて考察してみる。 【0063】上記(1)と(2)を組み合わせると、転送を時定数τ2 のβ倍行った場合(ただし、β=t/τ2 )、図8に示すように、信号成分Sの転送量のグラフは、S=1−exp(−β)と表わすことができる。また、転送残り成分N2 は、図8に示すように、N2 =exp(−β)となる。転送した信号成分をSとすると、S=1−N2 =1−exp(−β)であるが、exp(−β)≪1であるため、規格化した場合、S≒1と近似することができる。 【0064】また、SN2 =S/N2 であるため、SN2 =S/N2 =1/exp(−β)となり、これより、逆数をとると、1/SN2 =exp(−β)=N2 となる。つまり、転送残り成分N2 は、SN2 の逆数となる。あるいはβ=lnSN2 となる。 【0065】次に、パラメーター(4)に基づく出力のばらつきについて、図4を参照しながら考えてみる。 【0066】■発光の時定数τ1 を持つシンチレーターの発光の立ち上がりによる時間t後の出力Sは、飽和したときのセンサ出力をS0 とすると、t/τ1 =αとおいた場合、S=S0 ・(1−exp(−α)) ■シンチレーターの発光の減衰の遅延による出力の変化は、S=S0 ・exp(−α) シンチレーターの立ち上がり、減衰の時定数が0すなわち瞬時で変化する場合はノイズがないが、時定数τ1 を有するために、ノイズ成分の割合として、exp(−α)のノイズ成分の割合が発生する。この時、出力の方は1で近似している。実際の読み取りでは、蓄積時間は、ほぼフレーム数の逆数で、たとえば30フレーム/秒ならば33msで、シンチレーターの時定数がmsオーダーであれば良い近似となる。 【0067】つまり、要求されるSN1 に対して、1/SN1 =exp(−α)となる。 【0068】システムとして外部から必要なSNは、TFTの時定数から生じるSN2 =exp(β)とシンチレーターの時定数から生じるSN1 =exp(α)の合成SNとなる。 【0069】この合成SNの逆数を1/SN=exp(−α−β)とおく事が出来る。 【0070】TFTのセンサの信号の転送時間はβ×τ2 であり、シンチレーターからの光をセンサが受け信号を蓄積する時間はα×τ1 であり、α×τ1 とβ×τ2 の合計時間は1フレームの時間を超えることは出来ない。 【0071】従って、(α×τ1 +β×τ2 )≦1/IFPSとなる。ここでIFPS:放射線センサの読み取りの1秒あたりのフレーム数τ1 :シンチレーターに放射線が照射されたとき、放射線の照射が停止したときの発光の立ち上がり、減衰の時定数τ2 :センサ容量とTFTのon抵抗を掛けて得られる時定数α:センサの光信号の蓄積時間の、シンチレーターの発光の立ち上がり、減衰の時定数の倍数β:転送用TFTがonする時間の時定数の倍数従って、例えば、マイクロコンピュータを用いた制御システムで、センサの1フレームのスキャン時間を(α×τ1 +β×τ2 )以上に設定することにより、所望の信号対雑音SN=ln(α+β)を持つ放射線装置を得ることが容易にできる。 【0072】 【発明の効果】以上説明したように、シンチレーターを有する放射線検出装置を用いた、放射線写真撮影装置、放射線撮影装置、放射線診断装置、放射線治療装置のシステムも必要なSNと読み取り速度の関係を最適に設定することで、蛍光体の残光特性の時定数、薄膜センサ素子と薄膜トランジスタから生じる時定数を考慮したSNの良い各種放射線検出装置を提供することが出来る。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001007 【氏名又は名称】キヤノン株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)11月28日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】山下 穣平
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| 【公開番号】 |
特開平11−160440 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)6月18日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−328618 |
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