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【発明の名称】 発進警報装置
【発明者】 【氏名】溝口 和貴

【要約】 【課題】発光素子が冷却されにくい自車停止状態での発光素子の発光時間を短くして発光素子の耐久寿命を向上させる。

【解決手段】自車および前車が共に停止した状態が一定時間以上継続した場合には、発光素子8の発光を一旦停止し、受光素子11で前車のブレーキランプからの光量を検出し、受光量が基準値を超えなかった場合、すなわちブレーキランプが消灯した(ブレーキが作動していない)ものと判断される場合には、発光を再開する。一方、受光量が基準値を超えた場合、すなわちブレーキが作動していると判断される場合には、引き続き発光素子の発光停止と受光素子による光量検出とを行ない、受光量が変化した場合、すなわち前車が発進して距離が離れて受光量が低下したか、或いはブレーキランプが消灯したものと判断される場合には、発光を再開するように構成した発進警報装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】発光素子を発光させて自車の前方にレーザ光線を放射し、自車前方に存在する前車からの反射光を受光素子で検出し、発光から反射光が到達するまでの時間を演算処理することにより、前車との車間距離を求めるレーザレーダ装置を利用して、前車が発進したことを乗員に報知する発進警報装置において、上記レーザレーダ装置における発光素子の制御に関して、前車との車間距離が変化せず、かつ、自車の停止状態が一定時間以上継続した場合に、上記発光素子の発光を一旦停止して上記受光素子で前方からの光量を検出し、上記受光素子による受光量が基準値を越えた場合には上記発光停止と前方からの光量検出とを継続し、基準値を越えなかった場合には上記発光素子の発光を再開して前方との距離を測定し、受光量が基準値を越えて発光停止と光量検出を継続している前記状態においては、受光素子の受光量が変化したら、発光素子の発光を再開して前方との距離を測定するように制御する制御手段を備えたことを特徴とする発進警報装置。
【請求項2】上記受光素子は、赤色光領域を検出できる波長−感度特性を有することを特徴とする請求項1に記載の発進警報装置。
【請求項3】上記受光素子が2個の受光素子から構成されており、一方の受光素子が赤色光領域の波長に感度ピークを有していることを特徴とする請求項1に記載の発進警報装置。
【請求項4】赤色光領域の波長に感度ピークを有している受光素子の前面に赤色光のみを透過するフィルタを配置したことを特徴とする請求項3に記載の発進警報装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自車前方に存在する前車が発進したことを乗員に告知する発進警報装置に関し、特に発光素子を発光させて自車の前方に向けてレーザを放射し、前車からの反射光を受光素子で検出し、発光から反射光が到達するまでの時間を演算処理することにより、前車との距離を求めるレーザレーダ装置を利用した発進警報装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の発進警報装置としては、例えば実開平5−92770号公報に記載されているものが知られている。これは、自車が停車状態である時に、前車との車間距離が設定値以下である場合に渋滞中であると見做し、この渋滞中に前車が発進したものと判定すると、先ず可視光で警報を発する。その後一定時間、自車の停止状態が継続したと判定した場合に、音による警報を発するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のような従来の発進警報装置においては、前車との車間距離センサとしてレーザレーダを用いた場合、自車および前車が共に停止していて車間距離が継続的に変化していない状態においても、常に発光素子を発光させておく必要がある。ところが停止時は走行風がないため走行時に比べて発光素子が冷却されにくく、そのため、発光素子の耐久寿命が短くなるという問題点があった。
【0004】本発明は上記のごとき従来技術の問題点を解消するためになされたものであり、発光素子の耐久寿命を向上させることができる発進警報装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明においては特許請求の範囲に記載するように構成している。すなわち、請求項1に記載の発明においては、自車および前車が共に停止した状態が一定時間以上継続した場合には、発光素子の発光を一旦停止し、前車のブレーキランプからの光量を検出し、受光量が基準値を超えなかった場合、すなわちブレーキランプが消灯した(ブレーキが作動していない)ものと判断される場合には、発光を再開する。一方、受光量が基準値を超えた場合、すなわちブレーキが作動していると判断される場合には、引き続き発光素子の発光停止と受光素子による光量検出とを行ない、受光量が変化した場合、すなわち前車が発進して車間距離が離れて受光量が低下したか、或いはブレーキランプが消灯したものと判断される場合には、発光を再開するように構成している。
【0006】上記のように構成したことにより、前車と自車とが共に停止し、かつ前車のブレーキが作動している場合には発光素子の発光を停止することが出来る。また、前車がブレーキを作動させない(ブレーキランプが点灯しない)で停車している場合でも、発光素子の発光が一定時間ごとに断続的に停止する。そのため停車時に発光素子の発光時間を短縮できる。また、前車が発進した可能性のある場合には確実にそれを検出して警報することが出来る。
【0007】また、請求項3に記載の発明においては、二つの受光素子を設け、一方でレーザの反射光を検出し、他方で前車のブレーキランプの光量を検出するように、各受光素子の波長−感度特性を設定している。
【0008】また、請求項4に記載の発明においては、レーザの反射光を検出する受光素子と前車のブレーキランプの光量を検出する受光素子とを別々にすると共に、ブレーキランプの光量を検出する受光素子の前面に赤色光のみを透過させるフィルタを配置している。これによりブレーキランプ以外の周囲の光源の外乱による影響を低減することができる。
【0009】
【発明の効果】本発明によれば、発光素子が冷却されにくい自車停止状態での発光素子の発光時間を短くして、発光素子の耐久寿命を向上させることができる、という効果が得られる。また、請求項4に記載の発明においては、ブレーキランプ以外の周囲の光源の外乱による影響を低減することができる、という効果が得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)図1は本発明の第1の実施の形態に係る発進警報装置1を示すブロック図である。発進警報装置1は、前車との車間距離を測定して車間距離信号および発進警報信号を発するレーザレーダ装置2、レーザレーダ装置2からの車間距離信号を受けて車間距離表示を行なう表示装置3、レーザレーダ装置2からの発進警報信号を受けて警報音を発するブザー4から構成される。
【0011】レーザレーダ装置2は、電源回路5、信号処理装置6、駆動回路7、発光素子8、発光用レンズ9、受光用レンズ10、受光素子11、増幅回路12から構成される。なお、信号処理装置6はレーザレーダ装置2の内部に記載してあるが、この部分は通常のレーザレーダ装置の測距制御のみならず、請求項1に記載の制御手段の制御内容も含んでいる。この信号処理装置6は例えばCPUなどで構成できる。また、信号処理装置6に入力する車速信号は、図示しない車速センサ(例えば車輪や車軸の回転を計測するセンサ、または対地速度を検出するドップラレーダ等)からの信号を用いる。また、発光素子8や受光素子11は例えば半導体素子を用いることが出来る。
【0012】図2は本実施の形態の作用を説明するための図であり、車両の走行状態を示す側面図とそれに対応する信号波形図を示している。以下、図1と図2を用いて、レーザレーダ装置2による前車までの車間距離検出の原理について述べる。レーザレーダ装置2は自車13の前面に取り付けられる。そしてイグニッションスイッチ等によるON/OFF信号がONになると、信号処理装置6は発光素子8の駆動信号を発する。
【0013】駆動回路7は信号処理装置6からの駆動信号を受けて発光素子8を駆動する。発光素子8としては、波長λ=850〜950nm付近に放射強度のピークを有する近赤外光を発するものが一般的に使用される。発光素子8が発した光は発光用レンズ9を通過した後、自車13の前方に向けてパルス状の放射光14として放射される。放射光14は前車15のリフレクタ16で反射され、反射光17としてレーザレーダ装置2に戻ってくる。
【0014】反射光17は受光用レンズ10で受光素子11に集光され、受光素子11で光量に比例した電流に変換される。受光素子11の出力は増幅回路12で増幅され、信号処理装置6に入力される。
【0015】信号処理装置6では、放射光14が発せられてから反射光17が到達するまでの時間tを求め、以下の式に基づいて自車13と前車15との車間距離Dを算出する。
D=(c×t)/2 ただし c:光速度算出された車間距離Dは車間距離信号として表示装置3に送られ、前車15までの車間距離情報として表示装置3に表示される。また、信号処理装置6は、車間距離、車速等から、所定の判定条件を満足した場合に発進警報信号をブザー4に送る。ブザー4はその信号を受けて、前車が発進したことを音によって車両の乗員に知らせる。
【0016】次に、図3は、発進警報信号を発するに至るまでの流れを示すフローチャートである。まず、ステップ100〜106に示すように、前車までの距離Dnを測定し、下記(1)〜(4)以下の条件を全て満足した場合には、今回の車間距離Dnを前回の車間距離Dn−1としてメモリに保存し(ステップ105)、発光素子の発光を停止する(ステップ106)。
【0017】(1)今回の車間距離Dnが所定値Ds以下である(ステップ101)。
(2)今回の車間距離Dnと前回測定時の車間距離Dn−1とが等しい(ステップ102)。
(3)自車が停止している(ステップ103)。ただし、図中のVaは自車速であり、車速センサからの車速信号による値である。
(4)上記(1)〜(3)の状態が所定時間T1以上継続した(ステップ104)。
【0018】上記(1)〜(4)の条件を全て満足した場合には、前車と自車は共に停止しており、かつ前車に比較的近接している状態となっている。このような状態では、前車はブレーキを踏んで停止している場合があり、ブレーキを踏んでいる限り前車は発進しない。すなわち前車との車間距離が変化することもないので、常に前車との距離を測定している必要がなく、発光素子を発光させる必要もない。したがって発光を停止させ、発光素子の寿命を延長させる。
【0019】なお、上記(1)〜(4)の条件において、車間距離の所定値Dsおよび所定時間T1は、信号待ちや渋滞等で前車が存在して停止する時の前車までの距離や停止時間等の経験値から定めることができる。一例としては、Ds:6m、T1:3秒といった数値を用いることができる。
【0020】一方、上記(1)〜(4)の条件の何れか一つでも満足しなかった場合には、今回の車間距離Dnを前回の車間距離Dn−1としてメモリに保存し、通常の測距動作を行なう(ステップ107およびステップ100)。
【0021】ここで受光素子の特性について説明する。図4は、受光素子の波長−感度特性を示す特性図である。図4に示すように受光素子は波長λ:700〜900nmに高い感度を有している。すなわち、発光素子の発する近赤外光と赤色光を感度良く検出でき、かつ他の色の光に対し感度は低い。このような感度特性を有する受光素子を使用することで、発光素子の発光停止時に前車のブレーキランプによる赤色光を検出でき、前車がブレーキを踏んでいるか否かを検出することができる。
【0022】再び図3のフローチャートに戻り、ステップ108〜110では、受光素子で光量検出を行ない、その受光量が所定の基準値αを越えた場合に、前車がブレーキを踏んでいると判断する。その場合には引き続き発光を停止したまま、受光素子での光量検出を継続する。
【0023】さらに前回の受光量と比較して受光量が変化しない場合は、前車はブレーキを踏み続けていると判断し、光量検出を続ける(ステップ111のNO)。しかし、光量が変化した場合(ステップ111のYES)には、前車がブレーキを離したか、或いはブレーキを踏んだままクリープ状態で前進した等の、何らかの挙動を示したものと判断し、発光を再開して測距を行なう(ステップ112)。
【0024】また、ステップ109で受光量が基準値αを越えない場合は、ブレーキランプが点灯していない(前車がブレーキを踏んでいない)ので、すぐに発進する可能性もあると考え、この場合にもステップ112へ行き、発光を再開して測距を行なう。
【0025】また、測距を再開した後に、以下の(5)〜(7)の条件を全て満足した場合には発進警報をONにして警報を発する(ステップ116)。一方、(5)〜(7)の条件のうち一つでも満足しなかった場合には、今回の車間距離Dnを前回の車間距離Dn−1としてメモリに保存(ステップ118)して測距(ステップ100)を行なう。
【0026】(5)今回の車間距離Dnが前回の車間距離Dn−1よりも大きい(ステップ113)。
(6)自車が停止している(ステップ114)。
(7)上記(5)および(6)の条件が所定時間T2以上継続した(ステップ115)。
上記(5)〜(7)の条件を全て満足した場合とは、前車が発進しているのに自車が停止しており、その状態が所定時間以上継続した場合である。
【0027】次に、本実施の形態における動作例を説明する。図5および図6は、特定シーンにおける発進警報装置の動作の一例を示す信号波形図である。なお、図5、図6において横軸は時間を示す。まず図5は、前車がブレーキを踏んで停止している場合である。前車との車間距離が変化せず、かつ自車が停止している状態がT1秒以上継続したら、発光素子の発光を停止してブレーキランプによる赤色光を検出する(点a)。その後、前車が発進しようとしてブレーキを解除すると、赤色光が変化し、受光素子の受光レベルが変化する(点b)。その結果、発光を再開し、前車との距離を計測する(点c)。前車が発進して自車が停止している状態がT2秒以上継続したら警報を発する(点d)。このように、前車および自車が共に停止している状態の時間をT0とすると、ほぼ(T0−T1)の時間、発光を停止することになる。
【0028】また図6は、前車がブレーキを踏まずに停止している場合である。この場合は、前車がブレーキを踏んでいないために、受光レベルは基準値αを超えない(点e)。その結果、発光を再開し、前車との車間距離を測定する(点f)。その時の車間距離が前回の車間距離と変化しておらず、かつ自車が停止していると、その状態がT1以上継続していることになるので、再度発光を停止する(点g)。その結果、車間距離計測で前車が発進したことが検出されるまでは、発光と停止を断続的に繰り返す。このように、(T0−T1)の約半分の時間、発光を停止することになる。なお、上記のように受光レベルが基準値αを超えない状態で、発光と停止とを繰り返す周期は、発光と停止の最小継続時間を設定することによって任意に設定できる。
【0029】次に、図7は、本発明の第2の実施の形態に係る発進警報装置18を示すブロック図である。前記第1の実施の形態では、一つの受光素子で近赤外光と赤色光の検出を行なっていたが、本実施の形態では、それを別体としている。発進警報装置18は、レーザレーダ装置19、表示装置3、ブザー4から構成される。レーザレーダ装置18を構成する部品のうち、電源回路5、駆動回路7、発光素子8、発光用レンズ9、受光用レンズ10は、第1の実施の形態と同様である。また、信号処理装置26は、前記第1の実施の形態と同様に、通常のレーザレーダ装置の測距制御のみならず、請求項1に記載の制御手段の制御内容も含んでいる。
【0030】以下に第1の実施の形態と異なる部分について説明する。20は受光素子で、近赤外光に対して感度ピークを有するものである。図8は受光素子20の波長−感度特性の一例を示す特性図である。21は受光素子20からの入力を増幅して出力する増幅回路である。22はフィルタで、赤色光のみを透過させる特性を有している。23はフィルタ22を透過した光を集光させるための受光用レンズで、受光用レンズ23で集光された光は、受光素子24で検出される。受光素子24は赤色光に対して感度ピークを有している。図9は受光素子24の波長−感度特性の一例を示す特性図である。25は受光素子24からの入力を増幅して出力する増幅回路である。26は信号処理装置で、増幅回路21、25からの入力を受けて、それに基づいて前車との車間距離の算出、発進警報信号の出力を行なう。この内容は前記図3で説明したものと同様である。
【0031】発光素子の発光停止時では、自車の前方からの赤色光のみを検出したい。前車に近接して停止しているので前方からの光には、前車のブレーキランプの光が多くを占めると考えられるが、それ以外に街路灯等、他の光源からの光が混在している可能性がある。これらの光をフィルタ22を介して受光し、かつ受光素子24に赤色光の波長に感度ピークを持つものを使用することにより、周囲光源からの影響を低減することが出来る。
【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】中村 純之助 (外1名)
【公開番号】 特開平11−271452
【公開日】 平成11年(1999)10月8日
【出願番号】 特願平10−71550