| 【発明の名称】 |
ヘリコプタの対地衝突防止装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】平 孝明
【氏名】冨尾 武
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| 【要約】 |
【課題】視界不良による衝突事故を確実に防止できる対地衝突防止装置を提供する。
【解決手段】ヘリコプタの対地衝突防止装置は、自機高度および自機位置を検出するGPS受信機1および高度計6と、自機位置に基づいて周囲の地形情報を生成する地図情報生成装置11と、自機高度、自機位置およびこれらの時間変化ならびに地形情報に基づいて、自機の対地衝突危険度を判定する対地衝突危険判定装置12と、パイロットが視界不良を指示する視界不良スイッチ7と、視界不良の指示によって起動し、現在の自機高度および自機位置から定点ホバーに至るまでの飛行パスを生成して、地形情報生成装置11からの地形情報および対地衝突危険判定装置12からの対地衝突危険度に基づいて対地衝突を回避できる飛行パスを選定する対地衝突回避飛行パス選定装置20と、選定された飛行パスに基づいて自動操縦コマンドを演算する自動操縦コマンド演算装置21と、演算された自動操縦コマンドに基づいて自機の操舵装置を制御する自動操縦装置22などで構成される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 自機高度および自機位置を検出するための自機位置検出手段と、自機位置に基づいて、周囲の地形情報を生成するための地形情報生成手段と、自機高度、自機位置およびこれらの時間変化ならびに地形情報に基づいて、自機の対地衝突危険度を判定する対地衝突危険判定手段と、パイロットが視界不良を指示するための視界不良指示手段と、視界不良の指示によって起動し、現在の自機高度および自機位置から定点ホバーに至るまでの飛行パスを生成して、地形情報生成手段からの地形情報および対地衝突危険判定手段からの対地衝突危険度に基づいて対地衝突を回避できる飛行パスを選定するための飛行パス選定手段と、選定された飛行パスに基づいて、自動操縦コマンドを演算するための自動操縦コマンド演算手段と、演算された自動操縦コマンドに基づいて、自機の操舵装置を制御するための自動操縦手段とを備えることを特徴とするヘリコプタの対地衝突防止装置。 【請求項2】 自機高度および自機位置を検出するための自機位置検出手段と、自機位置に基づいて、周囲の地形情報を生成するための地形情報生成手段と、自機高度、自機位置およびこれらの時間変化ならびに地形情報に基づいて、自機の対地衝突危険度を判定する対地衝突危険判定手段と、パイロットが視界不良を指示するための視界不良指示手段と、視界不良の指示によって起動し、現在の自機高度および自機位置から定点ホバーに至るまでの飛行パスを生成して、地形情報生成手段からの地形情報および対地衝突危険判定手段からの対地衝突危険度に基づいて対地衝突を回避できる飛行パスを選定するための飛行パス選定手段と、選定された飛行パスをパイロットに表示するための飛行パス表示手段とを備えることを特徴とするヘリコプタの対地衝突防止装置。 【請求項3】 飛行パス選定手段は、自機が定点ホバー状態に入った後、定点ホバー位置を起点とする新たな飛行パスを選定することを特徴する請求項1または2記載のヘリコプタの対地衝突防止装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、視界不良が原因となってヘリコプタが山や障害物等に衝突する事故を防止するための対地衝突防止装置に関する。 【0002】 【従来の技術】大型航空機では慣性航法や電波航法を用いた自動操縦装置を搭載しているため、夜間や天候不良などで視界が確保できない場合でも、正常な飛行を行なうことができる。 【0003】一方、ヘリコプタでは機体の特性上、低高度を飛行する場合が多いため、地上に設置された無線航法援助施設の利用が制限されることがある。また、ヘリコプタの飛行ルートは地形の影響を受け易いため、飛行ルートをきめ細かく設定する必要がある。そのためパイロットがヘリコプタを操縦する場合、飛行計器を参照しつつ地上の状況を肉眼で確認しながら飛行する有視界飛行方式(VFR:VisualFlight Rule)が原則として採用されている。 【0004】近年、測地人工衛星からの電波を受信して現在位置(緯度、経度、高度)を高精度で測定できるGPS(Global Positioning System) が普及しつつあり、このGPS受信機をヘリコプタに搭載することによって有視界飛行を補助する手法が開発されている。 【0005】たとえば文献(「ヘリコプタにおけるGPSの利用」、NAVIGATION平成9年9月号34頁〜39頁)では、GPS受信機と、日本全土の3次元地形データベースを用いて自機周辺の地図を表示するMAP装置とを組み合わせて、パイロットの有視界操縦を支援する装置が提案されている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ヘリコプタの飛行中に天候が急変して雲や霧の中に突入してしまい視界不良に陥った場合には、パイロットは有視界飛行を確保しようとして高度を下げざるを得ない。そのため、雲や霧が低く垂れ込めている場合には、山や地上障害物に衝突する可能性が高くなる。 【0007】また、視界がほとんど無くなると、パイロットは自分の姿勢が重力方向に対してどちらに向いているかが判らなくなる空間識失調(いわゆるバーディゴ)に陥って適正な判断能力を喪失してしまい、精神的動揺による不用意な操縦が事故を引き起こす可能性がある。 【0008】本発明の目的は、視界不良による衝突事故を確実に防止できる対地衝突防止装置を提供することである。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明は、自機高度および自機位置を検出するための自機位置検出手段と、自機位置に基づいて、周囲の地形情報を生成するための地形情報生成手段と、自機高度、自機位置およびこれらの時間変化ならびに地形情報に基づいて、自機の対地衝突危険度を判定する対地衝突危険判定手段と、パイロットが視界不良を指示するための視界不良指示手段と、視界不良の指示によって起動し、現在の自機高度および自機位置から定点ホバーに至るまでの飛行パスを生成して、地形情報生成手段からの地形情報および対地衝突危険判定手段からの対地衝突危険度に基づいて対地衝突を回避できる飛行パスを選定するための飛行パス選定手段と、選定された飛行パスに基づいて、自動操縦コマンドを演算するための自動操縦コマンド演算手段と、演算された自動操縦コマンドに基づいて、自機の操舵装置を制御するための自動操縦手段とを備えることを特徴とするヘリコプタの対地衝突防止装置である。 【0010】本発明に従えば、パイロットが視界不良と判断して、ボタン等で構成される視界不良指示手段を操作すると、現在の自機高度および自機位置から定点ホバーに至るまでの飛行パスを生成し、さらに地形情報および対地衝突危険度に基づいて対地衝突を回避できる飛行パスを選定し、この飛行パスに従ってヘリコプタを自動操縦し、定点ホバー状態になる。ヘリコプタが定点ホバー状態に入ると、もはや対地衝突の可能性は無くなり、時間的な余裕や精神的な余裕が生まれるため、パイロットが他機や管制機関と交信したり、天候の回復を待ったり、各種対策を検討することができる。 【0011】また本発明は、自機高度および自機位置を検出するための自機位置検出手段と、自機位置に基づいて、周囲の地形情報を生成するための地形情報生成手段と、自機高度、自機位置およびこれらの時間変化ならびに地形情報に基づいて、自機の対地衝突危険度を判定する対地衝突危険判定手段と、パイロットが視界不良を指示するための視界不良指示手段と、視界不良の指示によって起動し、現在の自機高度および自機位置から定点ホバーに至るまでの飛行パスを生成して、地形情報生成手段からの地形情報および対地衝突危険判定手段からの対地衝突危険度に基づいて対地衝突を回避できる飛行パスを選定するための飛行パス選定手段と、選定された飛行パスをパイロットに表示するための飛行パス表示手段とを備えることを特徴とするヘリコプタの対地衝突防止装置である。 【0012】本発明に従えば、パイロットが視界不良と判断して、ボタン等で構成される視界不良指示手段を操作すると、現在の自機高度および自機位置から定点ホバーに至るまでの飛行パスを生成し、さらに地形情報および対地衝突危険度に基づいて対地衝突を回避できる飛行パスを選定し、この回避飛行パスをたとえば多機能表示器(MFD:Multi Function Display)などの画面上に表示する。パイロットは、表示された回避飛行パスを参照しながら自機を操縦することによって、円滑に定点ホバー状態に移行できる。ヘリコプタが定点ホバー状態に入ると、もはや対地衝突の可能性は無くなり、時間的な余裕や精神的な余裕が生まれるため、パイロットが他機や管制機関と交信したり、天候の回復を待ったり、各種対策を検討することができる。 【0013】また本発明は、飛行パス選定手段は、自機が定点ホバー状態に入った後、定点ホバー位置を起点とする新たな飛行パスを選定することを特徴する。 【0014】本発明に従えば、自機が定点ホバー状態に入った後、さらに定点ホバー位置を起点とする新たな飛行パス、たとえば視界不良を離脱するパスや地上に着陸するパス等を選定することによって、パイロットの操縦を引続き支援することができる。 【0015】 【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態の構成を示すブロック図である。対地衝突防止装置は、ヘリコプタに搭載され、GPS受信機1と、気象センサ2と、データ記憶装置3と、データ入力装置4と、エアデータセンサ5と、高度計6と、視界不良スイッチ7と、初期飛行状態特定装置10と、地図情報生成装置11と、対地衝突危険判定装置12と、警報装置13と、多機能表示器 (MFD)14と、対地衝突回避飛行パス選定装置20と、自動操縦コマンド演算装置21と、自動操縦装置22などで構成される。 【0016】GPS受信機1は、測地人工衛星からの電波を受信し三角測量の原理によって自機位置(緯度、経度、高度)を検出するものであり、固定地上局からの補正データを用いて精度を向上させたDGPS(ディファレンシャルGPS)でも構わない。 【0017】気象センサ2は、温度計や風向風力計等で構成され、風速、風向、外気温等の気象条件を検出する。 【0018】データ記憶装置3は、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスク等で構成され、自機の飛行能力(エンジン性能、機体特性、減速能力、上昇能力、旋回能力など)や所定の定常飛行パスに関する各種データベースを格納する。 【0019】データ入力装置4は、キーボードやテンキー、マウス等のポインティング装置などで構成され、パイロットが全備重量、離陸地や着陸地等の各種データを入力する。 【0020】エアデータセンサ5は、対気速度や降下速度を検出するものである。高度計6は、電波高度計や気圧高度計などで構成され、GPSの高度測定より高い精度で高度を測定するものである。 【0021】視界不良スイッチ7は、パイロットが視界不良を指示するためのもので、このスイッチ7を押すことによって対地衝突防止ルーチンが開始する。 【0022】初期飛行状態特定装置10は、上述の各種センサや出力データを取り込んで、現在の自機高度、自機位置およびこれらの時間変化である昇降率、速度、飛行方向等の飛行状態を算出する。 【0023】地図情報生成装置11は、3次元地形データベースを格納しており、GPS受信機1からの自機位置に基づいて、自機周辺の地形や標高、人工建造物の位置や高さ等を含む地図情報を作成する。 【0024】対地衝突危険判定装置12は、現在の飛行状態および自機周囲の地図情報を用いて、現在の機首方向を中心としていくつかの方向に沿った候補パスを選んで、これらの候補パスが対地衝突する危険度を演算して、一定の危険レベル以上に達したものを危険と判定するものである。 【0025】警報装置13は、候補パスのうち危険と判定したパスをパイロットに告知するものであり、各種飛行計器や後述の多機能表示器14の画面上に視覚的な警報を表示したり、あるいは音声合成装置等によって聴覚的な警報を出す。 【0026】多機能表示器14は、各種飛行情報や地図情報生成装置11で作成した地図情報を2次元的にあるいは3次元的に表示したり、さらに後述の対地衝突回避飛行パス選定装置20で選定された回避飛行パスや上述の視覚的な警報を併せて表示するものである。 【0027】対地衝突回避飛行パス選定装置20は、視界不良スイッチ7が押されたときに起動され、初期飛行状態特定装置10から出力される現在の飛行状態(高度、位置、昇降率、速度、飛行方向等)を用いて、現時点の飛行状態から定点ホバーに至るまでの複数の候補パスを生成し、さらにこれらの候補パスが対地衝突を回避できるか否か、回避できる候補パスが複数ある場合には最も安全な飛行パスはどれか、について地図情報生成装置11から出力される地図情報および対地衝突危険判定装置12から出力される対地衝突危険度に基づいて判定する。 【0028】自動操縦コマンド演算装置21は、選定された飛行パスに基づいて、自動操縦コマンドを演算する。 【0029】自動操縦装置22は、操縦コマンドに基づいて、ヘリコプタブレードのコレクティブピッチ角およびサイクリックピッチ角、テールロータのピッチ角の操縦量を決定するものであり、自動操縦コマンド演算装置21からの自動操縦コマンドに従ってヘリコプタを操縦し、定点ホバー状態を達成する。 【0030】上述の初期飛行状態特定装置10、地図情報生成装置11、対地衝突危険判定装置12、対地衝突回避飛行パス選定装置20、自動操縦コマンド演算装置21および自動操縦装置22は、それぞれ独立した計算機で構成してもよく、一部または全部を1つの計算機で構成することも可能である。 【0031】図2は、ヘリコプタの対地衝突回避の様子を示す説明図である。図3、図4は、本発明に係る対地衝突防止装置の動作の一例を示すフローチャートである。図2において、ヘリコプタHCが有視界飛行を行なっている途中で、天候急変によって大量の雲が発生し、雲の中に突入して視界不良に陥った場合を例示しており、そのまま飛行を継続すると正面の山腹に衝突する危険性が高い。 【0032】そこで、図3のステップs1において、パイロットは図1の視界不良スイッチ7を押して、対地衝突防止ルーチンを起動させる。次にステップs2で、初期飛行状態特定装置10はGPS受信機1からのGPSデータおよび地図情報生成装置11からの地図データを取り込んで、現在の飛行位置(緯度、経度)を特定し、さらにステップs3で初期の飛行状態(飛行高度、飛行速度、飛行方位)を特定する。なお、ステップs20以降は、自動操縦装置22の動作を示すルーチンであり、対地衝突回避ルーチンと並列的に実行している。 【0033】ステップs4では、燃料流量計(不図示)から燃料消費量を算出して、データ入力装置4で入力した全備重量から引き算することで、現在の機体重量を算定する。さらにステップs5で気象センサ2からの風向、風速、外気温度を取り込んで、ステップs6において風向、風速等を考慮しつつ現在の飛行位置から水平飛行を続行した場合に減速停止までに必要な飛行距離L1を算定する。なお、外気温度はエンジン出力に影響を及ぼすため、考慮すべき対象となる。 【0034】次にステップs7では、現在の自機位置と対地障害物との相対位置を特定するため、機首方位に沿った水平相対距離L2を算定する。次にステップs8において、水平相対距離L2に安全余裕距離SDを見込んだ減算値L2−SDと飛行距離L1とを比較する。減算値L2−SDが飛行距離L1より大きければ、現在の高度を維持した状態で衝突せずに減速停止が可能と判断でき、ステップs21に移行して自動操縦モードを障害物回避モードに切替える。この障害物回避モードは、図2に示すように、ヘリコプタHCが高度をそのまま維持して位置Haで定点ホバー状態に入ることを意味する。 【0035】一方、減算値L2−SDが飛行距離L1より小さい場合は、今の高度で減速停止すると衝突可能性ありと判断できる。そこで、ステップs9で飛行距離L1の範囲内で減速上昇しながら停止できる飛行パスを算定する。なお、上昇回避するのは、対地障害物として山を想定しているためである。次のステップs10では、算定した飛行パスと対地障害物との相対距離L3を算定し、ステップs11において相対距離L3と安全余裕距離SDとを比較する。相対距離L3が安全余裕距離SDより大きければ、減速上昇による飛行パスは衝突しないと判断でき、ステップs21に移行して自動操縦モードを障害物回避モードに切替える。この障害物回避モードは、図2に示すように、ヘリコプタHCが高度を上げながら減速して位置Hbで定点ホバー状態に入ることを意味する。 【0036】一方、相対距離L3が安全余裕距離SDより小さければ、減速上昇による飛行パスでも衝突可能性ありと判断できる。そこで、図4のステップs12に移行して、水平旋回による衝突回避の可能性を調べる。まず、初期の自機方位を基準として方位変更が許容される角度を1つ設定する。この許容角度は、ヘリコプタの運動性能に基づいて旋回可能な複数の値がデータ記憶装置3等に予め設定されており、以下のルーチンでは小さい角度から大きい角度の順に衝突回避の可能性を調べる。 【0037】ステップs13において、自機方位から方位変更許容角度を引き算した左限界方位と自機方位から方位変更許容角度を足し算した右限界方位の範囲内で、対地障害物に対する距離が最大になる方位およびこの方位の最大距離を算定する。次にステップs14で、算定した方位に基づいて減速旋回上昇を組み合わせて停止可能な飛行パスを算定し、ステップs15でこの飛行パスと対地障害物との相対距離L4を算定する。 【0038】ステップs16において相対距離L4と安全余裕距離SDとを比較し、相対距離L4が安全余裕距離SDより大きければ、減速旋回上昇による飛行パスは衝突しないと判断でき、ステップs21に移行して自動操縦モードを障害物回避モードに切替える。この障害物回避モードは、図2に示すように、ヘリコプタHCが上昇および旋回しながら減速して、尾根より手前にある位置Hcで定点ホバー状態に入ることを意味する。 【0039】一方、相対距離L4が安全余裕距離SDより小さければ、減速旋回上昇による飛行パスでも衝突可能性ありと判断できるため、ステップs17で方位変更許容角度をより大きな値に変更して、ステップs12から減速旋回上昇を組合せた検討を再開する。 【0040】こうして当初は水平飛行だけの減速停止の可能性を調べて、次に上昇を組み合わせた減速停止の可能性を調べ、最後に上昇および旋回を組み合わせた減速停止の可能性を調べて、衝突回避の飛行パスを選定している。 【0041】次にステップ21において、自動操縦装置22が障害物回避モードに切替わると、ステップs22に移行して、自動操縦コマンド演算装置21は、ステップs8、s11、s16のいずれかで選定された回避飛行パスに沿って自動飛行するための自動操縦コマンドを演算し、次のステップs23でこの自動操縦コマンドに従って自動操縦装置22が自動操縦を行ない、さらにステップs24で自機と対地障害物との間の安全距離を監視しながら、ステップs22〜s24を繰り返して、最終的にステップs25で自機は定点ホバー状態に入る。 【0042】ヘリコプタが定点ホバー状態に入ると、もはや対地衝突の可能性は無くなり、時間的な余裕や精神的な余裕が生まれるため、パイロットが他機や管制機関と交信したり、天候の回復を待ったり、各種対策を検討することができる。 【0043】さらに定点ホバー状態において、ステップs26で対地衝突回避飛行パス選定装置20は定点ホバー位置を起点とする新たな飛行パス、たとえば危険空域を離脱する飛行パスや地上に不時着する飛行パス等を設定して、ステップs27で自動操縦装置22による自動飛行を再開することによって、パイロットの負担を大幅に軽減できる。 【0044】図5、図6は、本発明に係る対地衝突防止装置の動作の他の例を示すフローチャートである。この動作において、回避飛行パスの選定に至るまでのステップs1〜s16は図3、図4のものと同様である。 【0045】まず図5のステップs1において、パイロットは図1の視界不良スイッチ7を押して、対地衝突防止ルーチンを起動させ、ステップs2で現在の飛行位置(緯度、経度)を特定し、ステップs3で初期の飛行状態(飛行高度、飛行速度、飛行方位)を特定する。なお、図6のステップs40以降は、操縦参照情報の表示ルーチンであり、並列的に実行される。 【0046】次のステップs4で現在の機体重量を算定し、ステップs5で気象センサ2からの風向、風速、外気温度を取り込んで、ステップs6で風向、風速等を考慮しつつ現在の飛行位置から水平飛行を続行した場合に減速停止までに必要な飛行距離L1を算定する。 【0047】次にステップs7で、現在の自機位置と対地障害物との間の水平相対距離L2を算定し、ステップs8で水平相対距離L2に安全余裕距離SDを見込んだ減算値L2−SDと飛行距離L1とを比較する。減算値L2−SDが飛行距離L1より大きければ、現在の高度を維持した状態で衝突せずに減速停止が可能と判断でき、ステップs40に移行する。 【0048】一方、減算値L2−SDが飛行距離L1より小さい場合は衝突可能性ありと判断できるため、ステップs9で飛行距離L1の範囲内で減速上昇しながら停止できる飛行パスを算定する。ステップs10では、算定した飛行パスと対地障害物との相対距離L3を算定し、ステップs11において相対距離L3と安全余裕距離SDとを比較する。相対距離L3が安全余裕距離SDより大きければ、減速上昇による飛行パスは衝突しないと判断でき、ステップs40に移行する。 【0049】一方、相対距離L3が安全余裕距離SDより小さければ、衝突可能性ありと判断できるため、図6のステップs12に移行して、水平旋回による衝突回避の可能性を調べる。 【0050】ステップs13において、方位変更許容角度の左限界方位と右限界方位の範囲内で、対地障害物に対する距離が最大になる方位および最大距離を算定する。次にステップs14で、算定した方位に基づいて減速旋回上昇を組み合わせて停止可能な飛行パスを算定し、ステップs15でこの飛行パスと対地障害物との相対距離L4を算定する。 【0051】ステップs16において相対距離L4と安全余裕距離SDとを比較し、相対距離L4が安全余裕距離SDより大きければ衝突しないと判断でき、ステップs40に移行する。一方、相対距離L4が安全余裕距離SDより小さければ、減速旋回上昇による飛行パスでも衝突可能性ありと判断できるため、ステップs17で方位変更許容角度をより大きな値に変更して、ステップs12から減速旋回上昇を組合せた検討を再開する。 【0052】次にステップ40において、ステップs8、s11、s16のいずれかで選定された回避飛行パスの操縦に必要な参照情報(たとえばヘリコプタブレードのコレクティブピッチ角およびサイクリックピッチ角、テールロータのピッチ角の操縦量、あるいは速度、高度、方位、旋回率等の操縦目標量、風速/風向等気象情報、等)を多機能表示器14に表示するとともに、ステップs41で回避飛行パスを2次元的にあるいは2次元表示の組合せによる3次元表示、あるいはコリドー形式による3次元表示を行う。 【0053】図7は、多機能表示器14の表示画面の一例を示す説明図である。多機能表示器14は陰極線管や液晶パネル等で構成され、画面領域DAには上空から見た平面図が表示され、画面領域DBには飛行方向の立面図が表示され、画面領域DA、DBによって3次元位置が把握できる。 【0054】図2と対応するように、現時点の自機位置はシンボル○で表示され、回避飛行パスPが上昇右旋回の曲線で表示され、定点ホバー状態となる位置Hcがシンボル★で表示され、さらに位置Hcの高度、緯度、経度および現在の風向、風速が数字で表示されている。 【0055】パイロットは、多機能表示器14の表示画面を参照することによって衝突の可能性が無いと判断でき、さらに回避飛行パスPに沿って操縦するだけで定点ホバー状態に入ることができる。 【0056】ヘリコプタが定点ホバー状態に入ると、もはや対地衝突の可能性は無くなり、時間的な余裕や精神的な余裕が生まれるため、パイロットが他機や管制機関と交信したり、天候の回復を待ったり、各種対策を検討することができる。 【0057】さらに定点ホバー状態において、図4のステップs26と同様に、定点ホバー位置を起点とする新たな飛行パス、たとえば危険空域を離脱する飛行パスや地上に不時着する飛行パス等を設定して、多機能表示器14に表示することによって、パイロットの負担を大幅に軽減できる。 【0058】 【発明の効果】以上詳説したように本発明によれば、パイロットが視界不良を指示するだけで、対地衝突を回避しつつ定点ホバーに至るまでの飛行パスを自動的に生成し、自動操縦によって定点ホバー状態に入ることができる。 【0059】また、対地衝突を回避できる飛行パスをパイロットに表示することによって、定点ホバー状態に移行するための操縦が容易になる。 【0060】ヘリコプタが定点ホバー状態に入ると、対地衝突の可能性は無くなり、時間的な余裕や精神的な余裕が生まれ、パイロットが他機や管制機関と交信したり、天候の回復を待ったり、各種対策を検討することができる。 【0061】また、自機が定点ホバー状態に入った後、さらに定点ホバー位置を起点とする新たな飛行パス、たとえば地上管制局から得た情報を基にしたり地図データを基に自身で判定した情報を基に視界不良を離脱するパスや地上に着陸するパス等を選定することによって、パイロットの操縦を支援でき、ワークロードの軽減化が図られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】595013003 【氏名又は名称】株式会社コミュータヘリコプタ先進技術研究所
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月24日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】西教 圭一郎 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−271442 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)10月8日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−76244 |
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