| 【発明の名称】 |
3次元探査方法及び装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】早川 秀樹
【氏名】川中 彰
【氏名】北崎 恵凡
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| 【要約】 |
【課題】媒質中の物体の大きさ、形状、配置等の影響を大きく受けずに、その位置及び構造を高精度に3次元的に検出可能な探査方法及び装置を提供する。
【解決手段】媒質1の表面を移動しながら、波動信号4を媒質1中へ放射して物体2からの反射信号5を受信し、その反射信号強度に基づいて生成される媒質表面上の位置(x,y)と物体2からの反射時間tを座標(x,y,t)とする3次元ボクセルデータに対して、予め想定された複数の伝搬速度vをパラメータとして3次元マイグレーション処理を行い、その結果から各座標点毎の代表値を抽出し、その代表値に基づいて物体2の長尺体候補領域を抽出し、その長尺体候補領域毎に座標分布の分散共分散行列の固有値及び固有ベクトルを計算して特徴抽出を行い長尺体領域を抽出し、その長尺体領域毎に抽出される離散的な代表座標点と代表伝搬速度を補間することによって伝搬速度分布vを計算する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 媒質の表面を移動しながら、電磁波または音波による波動信号を前記媒質中へ放射し、前記媒質中に存在する物体からの反射信号を受信する送受信工程と、前記送受信工程で受信した反射信号強度に対する前記媒質表面上の位置(x,y)と前記波動信号の前記物体からの反射時間tを座標(x,y,t)とする3次元ボクセルデータを生成する3次元ボクセルデータ生成工程とを順次実行し、前記3次元ボクセルデータに基づいて前記物体の位置を探査する3次元探査方法であって、前記3次元ボクセルデータ生成工程で生成された前記3次元ボクセルデータに対して、予め想定された複数の伝搬速度vをパラメータとする3次元マイグレーション処理を施し、前記各座標点(x,y,t)毎の代表値を抽出し、その代表値に基づいて細長い3次元形状の長尺体が存在する可能性のある長尺体候補領域を抽出する長尺体候補領域抽出工程と、前記長尺体候補領域抽出工程で抽出された前記長尺体候補領域毎に座標分布の分散共分散行列の固有値及び固有ベクトルを計算して特徴抽出を行い、前記長尺体の特徴との特徴比較判定により前記長尺体候補領域から長尺体領域を抽出する長尺体領域抽出工程と、前記長尺体領域抽出工程で抽出された前記長尺体領域に対して、前記各長尺体領域の代表座標点及び代表伝搬速度を抽出する代表伝搬速度抽出工程と、前記代表伝搬速度抽出工程で抽出された代表座標点と代表伝搬速度を補間して伝搬速度分布を計算する伝搬速度分布計算工程と、前記3次元ボクセルデータ生成工程で生成された前記3次元ボクセルデータに対して、前記伝搬速度分布計算工程で計算された前記伝搬速度分布に基づく3次元マイグレーション処理を施して3次元マイグレーションデータを生成する3次元マイグレーションデータ生成工程とを実行することを特徴とする3次元探査方法。 【請求項2】 前記長尺体候補領域抽出工程において、前記各座標点(x,y,t)毎に、前記3次元マイグレーション処理によって得られた前記伝搬速度vをパラメータとするマイグレーション処理値の内の絶対値が最大となる値を前記代表値として抽出及び保存し、その代表値を与える伝搬速度を推定伝搬速度として抽出及び保存する第1抽出保存工程と、前記代表値に対して所定の閾値処理による2値化を行うことにより前記長尺体候補領域を抽出する閾値処理工程とを順次実行することを特徴とする請求項1記載の3次元探査方法。 【請求項3】 前記長尺体候補領域抽出工程において、前記各座標点(x,y,t)毎に、3次元マイグレーション処理によって得られた前記伝搬速度vをパラメータとするマイグレーション処理値の内の最大値と最小値と平均値を求め、前記平均値が正値の場合は、前記最大値から前記平均値を減じた差を前記代表値として抽出及び保存し、その最大値を与える伝搬速度を推定伝搬速度として抽出及び保存し、前記平均値が負値の場合は、前記最小値から前記平均値を減じた差若しくはその絶対値を前記代表値として抽出及び保存し、その最小値を与える伝搬速度を推定伝搬速度として抽出及び保存する第2抽出保存工程と、抽出された前記代表値に対して所定の閾値処理による2値化を行うことにより前記長尺体候補領域を抽出する閾値処理工程とを順次実行することを特徴とする請求項1記載の3次元探査方法。 【請求項4】 前記長尺体領域抽出工程において、前記長尺体候補領域毎に、その(x,y)座標分布の分散共分散行列の固有値及び固有ベクトルを計算し、前記特徴比較判定として、前記固有値の内の絶対値の大きい方の第1固有値の絶対値が所定の第1設定値より大きく、前記固有値の内の絶対値の小さい方の第2固有値の絶対値が所定の第2設定値より小さい場合に、前記長尺体領域であるとする請求項1、2または3記載の3次元探査方法。 【請求項5】 前記代表伝搬速度抽出工程において、前記長尺体領域抽出工程で抽出された前記各長尺体領域に対して、前記第1固有値に対応する第1固有ベクトルのx成分の絶対値がy成分の絶対値より大きい場合は、その長尺体領域をy−t断面で切り出し、前記x成分の絶対値が前記y成分の絶対値より小さい場合は、その長尺体領域をx−t断面で切り出し、切り出された前記各断面毎にその断面内の前記推定伝搬速度から前記代表値の最大値を与える断面代表伝搬速度を抽出し、前記各断面毎に抽出された前記断面代表伝搬速度の平均値或いは中央値を計算して前記各長尺体領域の前記代表伝搬速度とする請求項4記載の3次元探査方法。 【請求項6】 前記代表伝搬速度抽出工程において、前記長尺体領域抽出工程で抽出された前記各長尺体領域に対して、前記各長尺体領域内で前記代表値が最大となる座標点を前記代表座標点とする請求項1、2、3、4または5記載の3次元探査方法。 【請求項7】 前記伝搬速度分布計算工程において、前記代表伝搬速度抽出工程で抽出された前記各代表伝搬速度を前記各代表座標点の反射時間t座標に基づいて、伝搬速度v・反射時間t座標面上に座標化する座標化工程と、その座標化された離散的なv−t座標点を補間して、反射時間tに対する伝搬速度分布v(t)を計算する補間工程とを実行することを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の3次元探査方法。 【請求項8】 媒質の表面を移動しながら、電磁波または音波による波動信号を前記媒質中へ放射し、前記媒質中に存在する物体からの反射信号を受信する送受信手段と、前記送受信手段が受信した反射信号強度に対する前記媒質表面上の位置(x,y)と前記波動信号の前記物体からの反射時間tを座標(x,y,t)とする3次元ボクセルデータを生成する3次元ボクセルデータ生成手段とを備えてなり、前記3次元ボクセルデータに基づいて前記物体の位置を探査する3次元探査装置であって、前記3次元ボクセルデータ生成手段が生成した前記3次元ボクセルデータに対して、予め想定された複数の伝搬速度vをパラメータとする3次元マイグレーション処理を施し、前記各座標点(x,y,t)毎の代表値を抽出し、その代表値に基づいて細長い3次元形状の長尺体が存在する可能性のある長尺体候補領域を抽出する長尺体候補領域抽出手段と、前記長尺体候補領域抽出手段が抽出した前記長尺体候補領域毎に座標分布の分散共分散行列の固有値及び固有ベクトルを計算して特徴抽出を行い、前記長尺体の特徴との特徴比較判定により前記長尺体候補領域から長尺体領域を抽出する長尺体領域抽出手段と、前記長尺体領域抽出手段が抽出した前記長尺体領域に対して、前記各長尺体領域の代表座標点及び代表伝搬速度を抽出する代表伝搬速度抽出手段と、前記代表伝搬速度抽出手段が抽出した代表座標点と代表伝搬速度を補間して伝搬速度分布を計算する伝搬速度分布計算手段と、前記3次元ボクセルデータ生成手段が生成した前記3次元ボクセルデータに対して、前記伝搬速度分布計算手段が計算した前記伝搬速度分布に基づく3次元マイグレーション処理を施して3次元マイグレーションデータを生成する3次元マイグレーションデータ生成手段とを備えている3次元探査装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、媒質の表面を移動しながら、電磁波または音波による波動信号を媒質中へ放射して、媒質中に存在する物体からの反射信号を受信し、その受信した反射信号強度に対する媒質表面上の位置(x,y)と波動信号の物体からの反射時間tを座標(x,y,t)とする3次元ボクセルデータを生成し、その3次元ボクセルデータに基づいて物体の位置を探査する3次元探査方法及び装置に関する。 【0002】 【従来の技術】この種の3次元探査方法及び装置としては、電磁波の反射を用いて地中にある埋設物または空洞を探査する探査方法または装置があり、電気学会誌108卷11号pp.1113〜1116「地中埋設物探査レーダ」(1988年11月)に開示されている方法が知られている。この地中埋設物探査方法においては、地表面を一方向に移動しながら地中に向けて波動信号を送信して地中埋設物からの反射信号を受信し、この移動線に沿った鉛直断面でのその反射信号強度の2次元画像データを生成し、かかる走査を移動線をずらしながら複数回繰り返し、同様の2次元画像データを複数枚生成し、各2次元画像データ毎に、波動信号の伝搬速度或いは地中の比誘電率を推定し、各断面毎に埋設物の位置を求めてシンボル化し、当該シンボルの各断面間の連続性を判定することで、埋設物の3次元的構造を把握しようとするものであり、2次元探査方法を簡易的に3次元に拡張したものである。 【0003】ここで、上記従来の3次元探査方法に使用される2次元探査方法としては、上掲の刊行物及び特公平5−7671号公報「地中埋設物探査方式」に開示されている方法が知られており、その一般的な処理手順は、図12に示すように、S1〜S6の各ステップから構成されている。図12において、S1は地表面を移動しながら地中に向けて放射した電磁波の地中埋設物からの反射波を受信して、地表面の移動距離と反射波の反射時間を座標軸とする反射波プロフィールデータを収集するステップ、S2は受信した反射波に対する波形補正等の前処理を行うステップ、S3は合成開口処理を行うステップ、S4は地質補正を行うステップ、S5は地表面の移動距離と地中深度を座標軸とする2次元画像データを出力処理するステップ、S6は地中の比誘電率を算定するステップである。前記ステップS6において、前記ステップS1及びS2を通じて得られた反射波プロフィールデータに対して、地中の比誘電率εを一定規則の刻み幅で変化させ、各比誘電率εから一定の関係において定まる電磁波の地中における伝搬速度毎に、合成開口処理を行う。つまり、反射波プロフィール101に現れる双曲線の頂上付近に、各伝搬速度毎に定まる双曲線上の信号を集積させるわけであるが、合成開口処理後に得られる画像データ102は、使用した比誘電率εが実際の比誘電率εと異なる値で処理された場合は、前記双曲線の頂上付近への信号の集まりが悪く不鮮明な画像となるが、使用した比誘電率εが実際の比誘電率εと良く一致する場合は前記双曲線の頂上付近へ信号が集まり鮮明な画像を得ることができる。前記ステップS6において、前記画像データ102の画像鮮明度を下記の数1に示す評価関数F(ε) を用いて客観的に評価することにより、地中の比誘電率εが算定される。 【0004】 【数1】
【0005】ここで、上式のSar(i,j)は合成開口処理後の各配列、SmaxはSar(i,j)の最大値、mtは深さ方向(反射時間方向)のデータ数、ntは横方向(地表移動方向)のデータ数と定義され、F(ε) の最小値を求めることにより、地中の比誘電率εを算定する。前記ステップS3において、前記ステップS6において算出された地中の比誘電率εを用いて、前記ステップS1及びS2を通じて得られた反射波プロフィールデータに対して、改めて合成開口処理が行われ、地表面の移動距離と反射波の反射時間を座標軸とする2次元画像が得られる。前記ステップS4において、前記ステップS6において算出された地中の比誘電率εを用いて、地中の電磁波の伝搬速度を求め、前記ステップS3において得られた前記2次元画像の反射波の反射時間座標を埋設深度方向の長さスケールに変換する地質補正が行われる。最終的に、前記ステップS5において、地表面の移動距離と地中深度を座標軸とする2次元画像データの出力処理が行われ、探査物位置にマーカを配した探査画像出力103が表示出力される。 【0006】従って、従来の3次元探査方法或いは装置においては、図12に示すように、複数断面分の図12に示す前記探査画像出力103が生成され、シンボル化された前記マーカ位置の各断面間の連続性を判定することで、当該物体が埋設管のような長尺体であるのか、または、塊状物なのかが判定でき、更に、全くの連続性がない場合は、石またはノイズと判定される。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の従来の3次元探査方法或いは装置においては、各2次元画像データ即ち各断面毎に伝搬速度(比誘電率)を推定しているが、その際に、地中の比誘電率が各断面内で一様であること、及び、探査対象物の探査断面内での大きさが埋設深さに比べて十分に小さいことが前提となっており、かかる前提条件が満足されなければ、推定される伝搬速度(比誘電率)の誤差が大きくなり、適切な合成開口処理が行われず、埋設物からの反射信号が消失するとういう事態が発生することになる。このような前提条件が満足されないケースとして、例えば、埋設物自体の大きさが埋設深さと同等の場合、埋設物自体の大きさが埋設深さに比べて小さくても平板状の形状をしている場合、更に、埋設管のように細長い長尺体を斜め若しくは長手方向に探査した場合等があり、何れの場合も埋設物からの反射信号強度パターンの双曲線形状が歪んでしまうことが明らかであり、従って、反射信号強度パターンが離心率が2の平方根の双曲線形状であることを前提とする前記合成開口処理が適切に行われないことになる。また、上記のケースでは、探査対象が埋設物であるため、事前に探査方向や探査位置の選択等の方策を施すのが困難であり、頻繁にこのような問題が発生することになる。本発明は、このような従来技術の問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、不均質な媒質中においても、また、媒質中の物体の形状やその配置状態にかかわらず、その媒質中の物体の位置探査を精度良くできる3次元探査方法及び装置を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】この目的を達成するための本発明に係る3次元探査方法の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項1に記載した通り、媒質の表面を移動しながら、電磁波または音波による波動信号を前記媒質中へ放射し、前記媒質中に存在する物体からの反射信号を受信する送受信工程と、前記送受信工程で受信した反射信号強度に対する前記媒質表面上の位置(x,y)と前記波動信号の前記物体からの反射時間tを座標(x,y,t)とする3次元ボクセルデータを生成する3次元ボクセルデータ生成工程とを順次実行して、前記3次元ボクセルデータに基づいて前記物体の位置を探査する際に、前記3次元ボクセルデータ生成工程で生成された前記3次元ボクセルデータに対して、予め想定された複数の伝搬速度vをパラメータとする3次元マイグレーション処理を施し、前記各座標点(x,y,t)毎の代表値を抽出し、その代表値に基づいて細長い3次元形状の長尺体が存在する可能性のある長尺体候補領域を抽出する長尺体候補領域抽出工程と、前記長尺体候補領域抽出工程で抽出された前記長尺体候補領域毎に座標分布の分散共分散行列の固有値及び固有ベクトルを計算して特徴抽出を行い、前記長尺体の特徴との特徴比較判定により前記長尺体候補領域から長尺体領域を抽出する長尺体領域抽出工程と、前記長尺体領域抽出工程で抽出された前記長尺体領域に対して、前記各長尺体領域の代表座標点及び代表伝搬速度を抽出する代表伝搬速度抽出工程と、前記代表伝搬速度抽出工程で抽出された代表座標点と代表伝搬速度を補間して伝搬速度分布を計算する伝搬速度分布計算工程と、前記3次元ボクセルデータ生成工程で生成された前記3次元ボクセルデータに対して、前記伝搬速度分布計算工程で計算された前記伝搬速度分布に基づく3次元マイグレーション処理を施して3次元マイグレーションデータを生成する3次元マイグレーションデータ生成工程とを実行する点にある。 【0009】同第二の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項2に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記長尺体候補領域抽出工程において、前記各座標点(x,y,t)毎に、前記3次元マイグレーション処理によって得られた前記伝搬速度vをパラメータとするマイグレーション処理値の内の絶対値が最大となる値を前記代表値として抽出及び保存し、その代表値を与える伝搬速度を推定伝搬速度として抽出及び保存する第1抽出保存工程と、前記代表値に対して所定の閾値処理による2値化を行うことにより前記長尺体候補領域を抽出する閾値処理工程とを順次実行する点にある。 【0010】同第三の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項3に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記長尺体候補領域抽出工程において、前記各座標点(x,y,t)毎に、3次元マイグレーション処理によって得られた前記伝搬速度vをパラメータとするマイグレーション処理値の内の最大値と最小値と平均値を求め、前記平均値が正値の場合は、前記最大値から前記平均値を減じた差を前記代表値として抽出及び保存し、その最大値を与える伝搬速度を推定伝搬速度として抽出及び保存し、前記平均値が負値の場合は、前記最小値から前記平均値を減じた差若しくはその絶対値を前記代表値として抽出及び保存し、その最小値を与える伝搬速度を推定伝搬速度として抽出及び保存する第2抽出保存工程と、抽出された前記代表値に対して所定の閾値処理による2値化を行うことにより前記長尺体候補領域を抽出する閾値処理工程とを順次実行する点にある。 【0011】同第四の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項4に記載した通り、上述の第一、第二または第三の特徴構成に加えて、前記長尺体領域抽出工程において、前記長尺体候補領域毎に、その(x,y)座標分布の分散共分散行列の固有値及び固有ベクトルを計算し、前記特徴比較判定として、前記固有値の内の絶対値の大きい方の第1固有値の絶対値が所定の第1設定値より大きく、前記固有値の内の絶対値の小さい方の第2固有値の絶対値が所定の第2設定値より小さい場合に、前記長尺体領域であるとする点にある。 【0012】同第五の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項5に記載した通り、上述の第四の特徴構成に加えて、前記代表伝搬速度抽出工程において、前記長尺体領域抽出工程で抽出された前記各長尺体領域に対して、前記第1固有値に対応する第1固有ベクトルのx成分の絶対値がy成分の絶対値より大きい場合は、その長尺体領域をy−t断面で切り出し、前記x成分の絶対値が前記y成分の絶対値より小さい場合は、その長尺体領域をx−t断面で切り出し、切り出された前記各断面毎にその断面内の前記推定伝搬速度から前記代表値の最大値を与える断面代表伝搬速度を抽出し、前記各断面毎に抽出された前記断面代表伝搬速度の平均値或いは中央値を計算して前記各長尺体領域の前記代表伝搬速度とする点にある。尚、前記x成分の絶対値が前記y成分の絶対値に等しい場合は、前記何れの断面で切り出しても構わない。 【0013】同第六の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項6に記載した通り、上述の第一、第二、第三、第四または第五の特徴構成に加えて、前記代表伝搬速度抽出工程において、前記長尺体領域抽出工程で抽出された前記各長尺体領域に対して、前記各長尺体領域内で前記代表値が最大となる座標点を前記代表座標点とする点にある。 【0014】同第七の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項7に記載した通り、上述の第一、第二、第三、第四、第五または第六の特徴構成に加えて、前記伝搬速度分布計算工程において、前記代表伝搬速度抽出工程で抽出された前記各代表伝搬速度を前記各代表座標点の反射時間t座標に基づいて、伝搬速度v・反射時間t座標面上に座標化する座標化工程と、その座標化された離散的なv−t座標点を補間して、反射時間tに対する伝搬速度分布v(t)を計算する補間工程とを実行する点にある。 【0015】更に、本発明に係る3次元探査装置の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項8に記載した通り、媒質の表面を移動しながら、電磁波または音波による波動信号を前記媒質中へ放射し、前記媒質中に存在する物体からの反射信号を受信する送受信手段と、前記送受信手段が受信した反射信号強度に対する前記媒質表面上の位置(x,y)と前記波動信号の前記物体からの反射時間tを座標(x,y,t)とする3次元ボクセルデータを生成する3次元ボクセルデータ生成手段とを備えてなり、前記3次元ボクセルデータに基づいて前記物体の位置を探査する際に、前記3次元ボクセルデータ生成手段が生成した前記3次元ボクセルデータに対して、予め想定された複数の伝搬速度vをパラメータとする3次元マイグレーション処理を施し、前記各座標点(x,y,t)毎の代表値を抽出し、その代表値に基づいて細長い3次元形状の長尺体が存在する可能性のある長尺体候補領域を抽出する長尺体候補領域抽出手段と、前記長尺体候補領域抽出手段が抽出した前記長尺体候補領域毎に座標分布の分散共分散行列の固有値及び固有ベクトルを計算して特徴抽出を行い、前記長尺体の特徴との特徴比較判定により前記長尺体候補領域から長尺体領域を抽出する長尺体領域抽出手段と、前記長尺体領域抽出手段が抽出した前記長尺体領域に対して、前記各長尺体領域の代表座標点及び代表伝搬速度を抽出する代表伝搬速度抽出手段と、前記代表伝搬速度抽出手段が抽出した代表座標点と代表伝搬速度を補間して伝搬速度分布を計算する伝搬速度分布計算手段と、前記3次元ボクセルデータ生成手段が生成した前記3次元ボクセルデータに対して、前記伝搬速度分布計算手段が計算した前記伝搬速度分布に基づく3次元マイグレーション処理を施して3次元マイグレーションデータを生成する3次元マイグレーションデータ生成手段とを備えている点にある。即ち、上記第一の特徴構成における各工程を各別に記載した要領で処理するための手段を夫々に備えてなるものであり、よって、本特徴構成と上記第一の特徴構成とは、本発明に係る3次元探査方法及び装置に対して本質において共通するものである。 【0016】以下に作用を説明する。第一の特徴構成によれば、前記長尺体候補領域抽出工程において、前記長尺体候補領域を抽出することで、各座標点(x,y,t)毎に反射信号強度パターンの双曲線形状の歪みの少ない細長い3次元形状の長尺体が存在している可能性があるかをノイズや大きな物体の存在等を許容しながら大まかに見極め、次に、前記長尺体領域抽出工程において、前記長尺体候補領域毎に座標分布の分散共分散行列の固有値及び固有ベクトルを計算して主成分分析を行うことで前記長尺体候補領域の細長い3次元形状であるという空間的な特徴抽出を行い、探査の対象としている前記長尺体の特徴との特徴比較判定により前記長尺体候補領域からノイズや大きな物体等の伝搬速度推定の対象外のものを除外して正確な伝搬速度抽出が可能な長尺体領域を抽出することができ、次に、前記伝搬速度分布計算工程において前記代表伝搬速度抽出工程で抽出された各長尺体領域における代表座標点と代表伝搬速度を補間することでノイズ等の影響をより良く排除した形での精度の高い不均質媒質中の伝搬速度分布v(x,y,t)を計算することができ、このように、不均質媒質であることを前提に探査対象物体の媒質中での配置状況を把握した上で高精度に求められた伝搬速度分布v(x,y,t)に基づいて、前記3次元ボクセルデータに対して再度3次元マイグレーション処理を施すことで、高SN比で3次元マイグレーション処理を施すことができるのである。この結果、媒質中の伝搬速度が均一であると想定して3次元マイグレーション処理を行う場合に比べて、より高精細な3次元マイグレーションデータを得ることができ、媒質中における物体の探査精度を大幅に向上できるのである。 【0017】ここで、3次元探査の対象物体が、例えば、細長い3次元形状を有する地中埋設管であれば、そのまま前記長尺体領域として抽出されるのである。尚、3次元マイグレーション処理は、前記3次元ボクセルデータをフーリエ変換して周波数・波数ドメインで処理するものであっても、直接に空間・時間ドメインで処理するものであっても構わない。 【0018】第二または第三の特徴構成によれば、極めて簡易な処理で前記長尺体候補領域を抽出できるのである。また、各座標点(x,y,t)毎に前記代表値及び前記推定伝搬速度を保存することで、前記代表伝搬速度抽出工程における前記各長尺体領域の代表座標点及び代表伝搬速度の計算時に使用することができ、前記代表座標点及び代表伝搬速度の抽出処理を効率的に行うことができるのである。 【0019】第四の特徴構成によれば、前記第1及び第2固有値が夫々の条件を満足する場合は、前記長尺体候補領域が細長い3次元形状に分布しているものとして簡易的に抽出できるため、前記長尺体候補領域が大きな塊状物であったり、ノイズ成分である場合を的確に除去でき、前記長尺体領域を簡易に且つ精度良く抽出できるのである。 【0020】第五の特徴構成によれば、前記y−t断面または前記x−t断面の内、第四の特徴構成によって抽出された細長い長尺体領域の長手方向とより広い角度で交差する方の断面で、前記長尺体領域を切り出すことになり、切り出される断面の数が多くなるため、前記代表伝搬速度を計算するための前記断面代表伝搬速度のサンプル数を多く抽出でき、更に、前記断面代表伝搬速度の平均値または中央値として前記代表伝搬速度を計算するため、前記長尺体領域における前記3次元ボクセルデータのSN比が低くても前記代表伝搬速度を精度良く計算できるのである。 【0021】第六の特徴構成によれば、前記長尺体領域の代表座標点を簡易に且つ精度良く抽出できるのである。 【0022】第七の特徴構成によれば、不均質媒質中の伝搬速度分布v(x,y,t)を反射時間tに対する伝搬速度分布v(t)として簡易的に抽出できるのである。特に、前記媒質が土壌である場合は、伝搬速度の分布が主として深さ方向に変化し、地表面に平行な面内(x−y面)では略一様である場合が多いことに着目すれば、異なる(x,y)座標を共通に使用でき前記補間処理に使用できる離散的なデータ量を増やすことができ、伝搬速度分布v(t)を高効率且つ高精度に抽出できるのである。つまり、伝搬速度の分布が主として深さ方向に変化することが予め判明している場合には、x−y面内での分布が一様であると仮定することで、伝搬速度の推定精度を向上させることができるのである。 【0023】 【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、媒質である土壌1にガス等の流体を配送する鋼管などの物体2が埋設されており、波動信号の送受信手段である送受信機10とデータ解析手段であるデータ解析装置20を備えた探査装置3が地表面を移動しながら、前記物体2の埋設位置を探査する。前記送受信機10は例えば100MHz〜1GHzの図2(イ)に例示する単発のパルス信号を送信回路13で発生し、送信アンテナ11より電磁波として土壌1に放射する。前記送信アンテナ11より放射された電磁波の中の物体に入射した入射波4は前記物体2表面で反射散乱し、その中の反射波5が受信アンテナ12で受信された後、受信回路14において、図2(ロ)に例示するような受信信号として復調増幅される。前記送信アンテナ11より放射され、受信アンテナ12で受信されるまでの時間差ΔTは土壌1の表面から前記物体2までの距離と土壌1の比誘電率εまたは電磁波の伝搬速度vより一義的に決定される。送信アンテナ11と受信アンテナ12は一定間隔で地表面に対向して配置され、図1中のx方向に前記物体2を横切るように移動し、更に、前記物体2の配設方向である紙面表裏方向のy方向にも移動する。 【0024】前記送受信機10に、前記受信回路14の増幅部の利得を前記時間差ΔTに応じて変調する信号強度変調手段15を設け、前記時間差ΔTが長くなるにつれて土壌1を伝搬する前記パルス信号の損失が大きくなり、受信信号強度が減衰するのを振幅補正し、前記時間差ΔT、つまりは反射時間tの増加に対して急激に減衰しない受信信号強度分布を得ることができ、次段以降の信号処理に必要な信号強度を確保する。具体的には、前記信号強度変調手段15は前記単発のパルス信号の送信タイミングに同期して、前記時間差ΔTの増加に伴い減衰率を所定の変化率で自動的に低下させる減衰器で構成され、前記増幅部の所定個所に挿入してある。 【0025】データ解析装置20はマイクロコンピュータや半導体メモリ等によって構成されるデータ処理部21と外部からの操作指示を入力するキーボード等の入力部22と各処理段階での画像データや出力結果を表示する陰極線管ディスプレイや液晶ディスプレイ等の表示部23と前記各処理段階での画像データや出力結果等を保管格納する磁気ディスク等の外部補助記憶部24から構成されている。この受信回路14において受信信号は、前記信号強度変調手段15による振幅補正後に、波形のスムーシング等の雑音除去処理やA/D変換処理等の前置処理が施され、ディジタル信号として前記データ処理部21へ出力される。前記データ解析装置20では前記ディジタル化された受信信号より、前記物体2を含む土壌1の断面画像を、前記アンテナ11及び12の位置(x,y)と前記反射波5の前記物体2からの反射時間tを座標(x,y,t)とする3次元ボクセルデータ(3次元画像データの一例)として生成する。ここで、受信信号強度を複数階調で輝度表示し、図2(ロ)に示すように、信号強度の正値を白(輝度大)、信号強度の負値を黒(輝度小)、信号強度0を中間階調として表示部23に表示する。 【0026】図3に示すように、前記データ処理部21は、制御部30、3次元ボクセルデータ生成手段31、長尺体候補領域抽出手段32、長尺体領域抽出手段33、代表伝搬速度抽出手段34、伝搬速度分布計算手段35、3次元マイグレーションデータ生成手段36、出力処理手段37、内部データバス38、制御・アドレスバス39から構成されている。更に、前記長尺体候補領域抽出手段32は、第1抽出保存手段40及び閾値処理手段41を備え、前記伝搬速度分布計算手段35は、座標化手段42及び補間手段43を備えている。前記制御部30は、上記の各機能手段の作動を制御管理するためのものである。また、前記出力処理手段37は、後述するデータ処理手順で生成される各種の3次元画像等を前記表示部23に表示するための処理等を行う。上述のように、前記データ処理部21は、マイクロコンピュータや半導体メモリ等によって具体的に構成されるが、図3に示す各機能手段は、これらマイクロコンピュータや半導体メモリ等の一部または全部を使用して、前記内部データバス38、前記制御・アドレスバス39によって有機的に結合されることで実現される。 【0027】図4に、前記データ処理部21での典型的なデータ処理手順のフローチャートを示す。以下、前記物体2が埋設管であって、図5に示す埋設状況にある場合を探査した実施例につき、前記データ処理部21における各機能手段30〜43の動作並びにデータ処理手順について説明する。従って、本実施例では、探査対象である前記物体2が伝搬速度分布抽出に利用する細長い3次元形状の長尺体となる。前記埋設状況は、図5に示すように、y軸方向に埋設深度を異ならせて5本の小径管51、52、53、54、55が埋設されている。一方、x軸方向に沿って、伏せ越し部57を有する管58が埋設しており、更に、比較的小深度に、x方向、y方向、及び深さz方向に対して傾いた大径管59が埋設されている。 【0028】図4に示すように、開始ポイントでは、先ず、送受信手段である前記送受信機10が媒質の表面のx−y平面上を移動しながら、送受信工程(ST0)と3次元ボクセルデータ生成工程(ST1)を逐次実行する。前記送受信工程では、図2に示すパルス信号からなる波動信号を前記媒質である土壌1中へ放射し、前記土壌1に存在する前記物体2からの反射波5を受信する。この受信信号は、前記受信回路14及び前記信号強度変調手段15により、上述の如く前記振幅補正を含む前置処理が施され、反射時間tに対して一定のサンプリング期間Δtでサンプリングされディジタル化されている。前記3次元ボクセルデータ生成工程では、前記ディジタル化された受信信号が前記データ処理部21へ転送された後、前記3次元ボクセルデータ生成手段31によって、その受信信号の位置(x,y)と前記反射時間tで決定される座標(x,y,t)をアドレス信号にエンコードして、前記データ処理部21内のメモリ21aの当該アドレスに対応する領域に、ディジタル化された受信信号強度を前記A/D変換処理されたときの量子化ビット幅で、座標(x,y,t)の3次元ボクセルデータとして格納する。このように、(x,y,t)空間の全領域に対して、前記送受信工程と前記3次元ボクセルデータ生成工程を実行することで、3次元ボクセルデータの生成を完了する。 【0029】前記3次元ボクセルデータ生成工程を図5に示す埋設状況において実行し、その結果生成された3次元ボクセルデータの3次元画像例を図6に示す。尚、図6に示す3次元ボクセルデータは一般的な2値化処理を施して表示しており、実際には夫々に階調値を保持している。 【0030】次に、長尺体候補領域抽出工程(ST2)において、前記長尺体候補領域抽出手段32が、前記3次元ボクセルデータ生成工程で生成された前記3次元ボクセルデータに対して、予め想定された複数の伝搬速度vをパラメータとする3次元マイグレーション処理を施し、その各座標点(x,y,t)毎の3次元マイグレーション処理結果に対して、前記第1抽出保存手段40が第1抽出保存工程を、前記閾値処理手段41が閾値処理工程を夫々順次実行する。具体的には、前記第1抽出保存工程において、前記第1抽出保存手段40が、前記各座標点(x,y,t)毎に伝搬速度vに対するマイグレーション処理値からなる1次元配列データを生成し、その1次元配列データの中の絶対値が最大となる値を前記各座標点(x,y,t)毎の代表値として抽出し、その代表値を与える伝搬速度vをその座標点(x,y,t)の推定伝搬速度として抽出し、これら代表値及び推定伝搬速度を前記メモリ21aの所定領域に保存する。尚、前記代表値を抽出するにあたり、必ずしも前記1次元配列データを生成せずに、伝搬速度vを変化させながら前記3次元マイグレーション処理を行う際に絶対値の最大の値が出現する度にそのマイグレーション処理値を保存更新するようにしても構わない。また、前記代表値は、その代表値となったマイグレーション処理値の絶対値としても構わない。更に、前記閾値処理工程において、前記閾値処理手段41が、前記第1抽出保存手段40が抽出した前記代表値に対して所定の閾値処理を施し2値化し、前記物体2が存在する可能性のある長尺体候補領域を抽出する。 【0031】前記長尺体候補領域抽出工程を前記3次元ボクセルデータに対して実行し、その結果抽出された前記長尺体候補領域の3次元画像例を図7に示す。図7に示すように、図6と対比すると、図5に示す埋設状況をより鮮明に表してはいるものの、ノイズと考えられる領域が出現していたり、また、前記物体2の一部のデータが消失していることがうかがえる。 【0032】次に、長尺体領域抽出工程(ST3)において、前記長尺体領域抽出手段33が、前記長尺体候補領域毎に、前記埋設管と空間的な特徴が一致するものを抽出するために、前記各長尺体候補領域内にあるボクセルの分布に対して、x−y平面での2次元主成分分析を行う。具体的には、前記各長尺体候補領域内にあるボクセルの(x,y)座標の分布の分散共分散行列を求め、得られた分散共分散行列の第1及び第2固有値、並びに、固有ベクトルを計算する。ここで、前記第1固有値は前記第2固有値より絶対値の大きい方の固有値として求める。尚、各固有値は対応する各固有ベクトルの主成分方向の分散に相当する。更に、前記第1固有値の絶対値が所定の第1設定値より大きく、前記第2固有値の絶対値が所定の第2設定値より小さい長尺体候補領域を選択的に抽出することで、前記埋設管と同じ空間的特徴を有する長尺体領域を抽出する。尚、前記長尺体候補領域がノイズ領域である場合は、その大きさが小さいため前記第1及び第2固有値ともに絶対値が小さくなり、また、探査対象物自体の大きさが埋設深さと同等の場合や探査対象物自体の大きさが埋設深さに比べ小さくても平板形状の場合には、前記第1及び第2固有値ともに絶対値が大きくなるため、当該長尺体候補領域を伝搬速度推定対象でないとして除外できるのである。尚、本実施例では、前記第1設定値を10、前記第2設定値を2.5と設定している。図8に、図7の長尺体候補領域から当該設定条件で抽出した長尺体領域を示す。 【0033】次に、代表伝搬速度抽出工程(ST4)において、前記代表伝搬速度抽出手段34が、前記長尺体領域抽出工程で抽出された前記各長尺体領域に対して、前記長尺体領域抽出工程で計算された前記第1固有値に対応する第1固有ベクトルのx−y成分(a,b)が、|a|≧|b|の場合は、その長尺体領域をy−t断面で切り出し、|a|<|b|の場合は、その前記長尺体領域をx−t断面で切り出し、切り出された各断面内の座標点(x,y,t)の代表値が最大となる前記推定伝搬速度をその断面の断面代表伝搬速度として抽出する。一例として、図8に示す複数の長尺体領域の中で、最も浅い短管に相当する長尺体領域の場合、前記第1固有ベクトルのx−y成分は(1.23,−12.36)となるので、x−t断面で切り出して前記断面代表伝搬速度を抽出することとなる。このようにx−t断面で切り出した場合は、前記断面代表伝搬速度は各y座標値に一つずつ存在し、図9に示すような分布となる。尚、ここでは、縦軸は伝搬速度ではなく比誘電率εを使用している。引き続き、前記長尺体領域毎に、抽出された前記断面代表伝搬速度の平均値若しくは中央値を計算し、夫々の長尺体領域の代表伝搬速度とする。図9に示す断面代表伝搬速度の分布に対して平均値を計算すると、v/c0=0.411となった。但し、c0は真空中での電磁波の伝搬速度で、約3×108 m/sである。更に、前記代表伝搬速度抽出手段34が、前記長尺体領域抽出工程で抽出された前記各長尺体領域内の座標点(x,y,t)の代表値が最大となる座標点を代表座標点とする。 【0034】前記代表伝搬速度抽出工程を、図8に示す複数の長尺体領域に対して実行した結果を表1に示す。表1中、各長尺体領域は図5に示す埋設管に付した符合で区別する。 【0035】 【表1】
【0036】次に、伝搬速度分布計算工程(ST5)において、前記伝搬速度分布計算手段35が前記代表伝搬速度抽出工程で抽出された前記各代表座標点に対応する前記各代表伝搬速度を補間して伝搬速度分布を計算する。具体的には、前記座標化手段42が、前記各代表伝搬速度を前記各代表座標点の反射時間t座標に基づいて、伝搬速度v・反射時間t座標面上に座標化する座標化工程を実行し、引き続き、前記補間手段43が、前記座標化工程で座標化された離散的なv−t座標点を線形補間やスプライン補間等で補間する補間工程を実行して、反射時間tに対する伝搬速度分布v(t)を計算する。表1に示す代表座標点と代表伝搬速度に対して前記伝搬速度分布計算工程を施した結果を図10に示す。 【0037】次に、3次元マイグレーションデータ生成工程(ST6)において、前記3次元ボクセルデータ生成工程で生成された前記3次元ボクセルデータに対して、前記3次元マイグレーションデータ生成手段36が、前記伝搬速度分布計算工程で計算された前記伝搬速度分布v(t)に基づいて3次元マイグレーション処理を施して3次元マイグレーションデータを生成する。具体的には、前記3次元ボクセルデータに対して、前記伝搬速度分布v(t)の上限と下限の範囲内の予め想定された刻みステップの複数の伝搬速度vをパラメータとして、3次元マイグレーション処理を行う。このとき、前記想定された伝搬速度vが、前記媒質表面上の位置(x,y)と各反射時間tに対し、その反射時間tから前記伝搬速度分布v(t)に基づいて一意的に定まる伝搬速度v(t)と一定誤差範囲内で一致するときの3次元マイグレーションデータを保存する。また、前記長尺体候補領域抽出工程において、前記伝搬速度vの一連の値を変えて3次元マイグレーション処理した処理結果を全て保存している場合には、構成される4次元配列データ(x,y,t,v)から、各反射時間tに対して前記伝搬速度分布v(t)から一意的に定まる伝搬速度v(t)との関係を満足する座標点(x,y,t,v(t))の配列データを抽出するのも、3次元マイグレーション処理回数を軽減できる点において好ましい。図10に示す伝搬速度分布v(t)を用いて、前記3次元マイグレーションデータ生成工程を処理した結果を図11に示す。図11に示すように、若干のノイズの存在を確認できるが、探査対象物である埋設管については、深度の浅いところから深いところまで、また、複雑な曲がりの部分の形状についても、的確に把握することができる。 【0038】(別実施形態)以下に他の実施形態を説明する。前記長尺体候補領域抽出工程(ST2)及び前記長尺体候補領域抽出手段32の別実施形態として、前記第1抽出保存手段40が前記第1抽出保存工程を処理するのに代えて、別の第2抽出保存手段を設けて、下記の第2抽出保存工程を処理して、前記代表値と前記推定伝搬速度の抽出及び保存を実行し、前記閾値処理手段が前記第2抽出保存手段が抽出した代表値を閾値処理して前記長尺体候補領域を抽出するようにしても構わない。具体的には、前記第2抽出保存工程において、各座標点(x,y,t)毎に、前記3次元マイグレーション処理によって得られた前記伝搬速度vをパラメータとするマイグレーション処理値の1次元配列データの最大値と最小値と平均値を求め、前記平均値が正値の場合は、前記最大値から前記平均値を減じた差を前記代表値として抽出及び保存し、その最大値を与える伝搬速度を推定伝搬速度として抽出及び保存し、前記平均値が負値の場合は、前記最小値から前記平均値を減じた差若しくはその絶対値を前記代表値として抽出及び保存し、その最小値を与える伝搬速度を推定伝搬速度として抽出及び保存する。尚、前記最大値、最小値、平均値を算出するに際し、上述のように最終的に生成される前記1次元配列データを使用せずに、前記伝搬速度vを変化させながら得られるマイグレーション処理値に基づいて、逐次、最大値、最小値、平均値を更新するようにしても構わない。 【0039】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、探査対象物自体の大きさが埋設深さと同等の場合、埋設物自体の大きさが埋設深さに比べて小さくても平板状の形状をしている場合、更に、埋設管のように細長い長尺体を斜め若しくは長手方向に探査した場合等であっても、媒質中の伝搬速度分布の値v(x,y,t)が精度良く抽出でき、この伝搬速度分布を用いることにより、より適切な3次元マイグレーション処理或いは3次元合成開口処理が可能となり、地中埋設物の位置を高SN比の探査画像で3次元的に検出できるようになった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000284 【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月25日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】北村 修一郎
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| 【公開番号】 |
特開平11−271440 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)10月8日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−77053 |
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