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【発明の名称】 ソーナー信号処理装置及び処理方法
【発明者】 【氏名】竹井 学

【要約】 【課題】海底や海面からの散乱反射による残響信号があっても、この付近にある目標物を検出できるソーナー信号処理装置及び処理方法を提供する。

【解決手段】送波器(1)から送波された広帯域パルス信号の反射音波及び散乱音波を受波し(2)、より狭い帯域の複数の信号に分離して(4)、検波した(5)後、時間方向に全帯域の加重平均を行い(6)、残響中のエコー信号を検出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 受波した広帯域信号をより狭い複数の帯域信号に分離する分離手段と、各帯域信号を検波処理し時系列の波形データに変換する手段と、時間方向に全帯域の波形データの加重平均を求める演算手段とを有することを特徴とするソーナー信号処理装置。
【請求項2】 受波した広帯域信号を複数の帯域に分離する分離手段と、複数の帯域に分離された受波信号のそれぞれのレベルを検出するレベル検出手段と、レベル検出手段で求められた複数の帯域の受波信号のレベルを平均化する平均化手段とを具備し、平均化された受波信号のレベルにより目標物を検出することを特徴とするソーナー信号処理装置。
【請求項3】 前記平均化手段が複数の帯域の受波信号のレベルデータを格納するメモリと、メモリから読出された複数の帯域のレベルデータの平均値を求める演算回路とを含むことを特徴とする請求項2記載のソーナー信号処理装置。
【請求項4】 送波器から送波された広帯域信号の反射音波及び散乱音波を受波し、より狭い帯域の複数の信号に分離して検波した後、時間方向に全帯域の加重平均を行い、残響中のエコー信号を検出することを特徴とするソーナー信号処理方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ソーナー信号処理装置及び処理方法に関し、特に残響領域中の目標物からのエコー信号を検出する技術の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】図5に示すように、従来のソーナー信号処理システムでは、送波器101から単一周波数の信号を送波した後、受波器102で受け、前処理部103で増幅等の前処理を行ったあと、検出部104で背景雑音や残響を含む受波信号の中から目標物のエコー信号を特定し検出していた。または、図6に示すように、広帯域信号を用い、これを送波した後、相関処理部105で受波信号と元の信号波形の相関をとり、エコー信号を特定して検出していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図5、図6で示した従来のシステムでは、海底または海面付近の物体を探知する場合、エコー信号の検出が困難になるという問題があった。その理由は、海底や海面での散乱は大きな残響信号となって現われ、エコー信号がこの残響信号の中に埋もれるためである。
【0004】したがって、本発明の目的は、海底または海面付近の物体を探知できるソーナー信号処理装置及び処理方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によるソーナー信号処理装置は、周波数によって残響のレベルは大きく変化する一方で、エコー信号のレベルは周波数による変化が小さいという周波数特性の違いを利用するものである。
【0006】具体的には、受波信号を複数の周波数帯に分離する手段(図1の4)と、各周波数帯の信号を検波して時系列のレベル変化を計算する手段(図1の5)と、全周波数間の平均的な時系列のレベル変化を演算する手段(図1の6)とを設けたことを特徴としている。
【0007】これらの手段により、周波数によるレベル差の大きい時系列データの中から周波数によるレベル差の小さい部分を強調し、その検出を容易にする。従って、単一の周波数に注目した場合、あるいは複数の周波数を受波したままの波形で処理した場合には残響レベルに埋もれてしまう目標物からのエコー信号を容易に検出できるようになる。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0009】図1は、本発明の一実施の形態としてのブロック図を示し、図において、送波器1からは広帯域のパルス信号が送波される。この信号により海底及び海面で散乱が生じ、受波器2では残響として受波される。図で、送波器1と受波器2とは共通化されることもある。
【0010】目標物が海底または海面付近に存在する場合、受波器2では残響と同時に目標物からのエコー信号も受波される。前処理部3は受波器2に接続され、受波した信号の増幅及び整相処理を行う。周波数分析部4は前処理部3に接続され、受波された広帯域の信号をより狭い複数の周波数帯域に分離する。検波部5は周波数分析部4に接続され、分離された各帯域の信号を検波処理し、各帯域毎に時系列のレベル変化を示す波形データに変換する。平均処理部6は検波部5に接続され、全帯域の波形データを時間的な同期をとって加算平均し、全体域平均の時系列のレベル変化を示す波形データを求める。検出部7は平均処理部6に接続され、波形データの中で時間方向に急激なレベル上昇を生じるレベル突出部位をエコー信号として検出する。図2は、図1の平均処理部6の構成の一例を示す図であり、検波部5から供給される各帯域毎の検波レベルをディジタルデータに変換するA/D変換器8−1〜8−Nと、これらディジタルデータを記憶するメモリ9−1〜9−Nと、メモリから読出されたデータの平均値を求める演算回路10を具備する。尚、前処理部3あるいは周波数分析部4での処理がすでにディジタルデータに変換されたうえで行われている場合には、この平均処理部6の構成において、 A/D変換器8−1〜8−Nは不要である。
【0011】次に本発明の動作について図3及び図4を参照して説明する。
【0012】図3を参照すると、(a)に示すように、送波器から送波された広帯域パルス信号は、海面で海面散乱Ssを、海底で海底散乱Sbを生じ、受波器において残響として受波される。また、海底または海面付近に目標物Pが存在する場合、目標物のターゲットストレングスTSによってエコー信号が発生し、受波器において残響と同時間帯に受波される。この時、一般的に、海面散乱Ssと海底散乱Sbは周波数によって異なるレベルを有するため、(b)に示すように、受波される残響のレベルも周波数によって大きく変化する。一方、目標物が金属等の剛体でできている場合、ターゲットストレングスTSのレベルは一般的に本発明の技術分野で使用されている周波数を通してほぼ等しく、エコー信号の周波数によるレベル変化は非常に小さい。本発明の信号検出方式は、この周波数に対する特性の違いを利用している。
【0013】図4は本発明による処理過程を説明するための図であり、同図を参照すると、受波器2で受波され前処理部3で増幅及び整相された信号は、ブロック10に示す時系列の広帯域信号として周波数分析部4に入力される。この広帯域信号には残響とエコー信号が混在しており、目標物が海面または海底付近に存在する場合エコー信号が残響に埋もれてしまい、エコー信号の特定が困難となる。周波数分析部4において、広帯域信号は狭帯域のバンドパスフィルターによりブロック11に示すN個の狭帯域信号(中心周波数F1〜FN)に分離され、検波部5に入力される。検波部5において、各狭帯域信号は検波処理され、ブロック12に示す時系列のレベル変化をあらわす波形となり、平均処理部6に入力される。検波処理された各帯域の波形には、部分的なレベルの突出が存在する場合があるが、単一の帯域を評価しただけでは、それがエコー信号の部分であるかを特定することはできない。
【0014】平均処理部6において、入力された全帯域の時系列データが同一の時間軸上で加算平均され、ブロック13に示す全帯域平均の時系列レベル変化をあらわす波形となる。すなわち、全帯域平均の波形データをPave(t)、帯域nの波形データをPn(t)とすると、Pave(t)=ΣPn(t)/Nとなる。この平均波形では、周波数によるレベル変化の大きい残響のレベルが相殺し合って低下し、周波数によるレベル変化の小さいエコー信号部分のレベルが突出する。この波形が検出部7に入力され、時間方向に滑らかにレベルが低下していくなかで急激なレベル上昇を示す部分すなわちレベル突出部分が特定され、エコー信号として検出される。
【0015】このように、上記実施の形態では、広帯域信号を複数の狭帯域信号に分離し、各帯域の時系列波形を全帯域で平均することにより、周波数によるレベル変化の大きな残響レベルが低下し、全帯域を通してレベル変化の小さなエコー信号のレベルが保存かつ強調されるため、エコー信号の検出が容易になる。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、本発明における効果は、残響レベル中に埋もれた目標物からのエコー信号の検出が容易になることにある。その理由は、周波数による残響レベルの変化量とエコー信号のレベルの変化量の違いを利用して、受波した時系列データ中からエコー信号の部分を強調できるためである。
【出願人】 【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月23日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】京本 直樹 (外2名)
【公開番号】 特開平11−271425
【公開日】 平成11年(1999)10月8日
【出願番号】 特願平10−73654