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【発明の名称】 RASS装置
【発明者】 【氏名】中島 憲彦

【要約】 【課題】RASS装置の周波数掃引音波信号に不要周波数が現れないようにするとともに送波時の振幅が時間経過により低下しないようにする。

【解決手段】周波数ステップ可変音波信号発生回路(図中のPLL)を複数設けて異なる周波数で発振させその出力を切換器6で切り換えて取り出すようにし、その場合切換え時点では周波数が安定し不要周波数が消えるのに充分な時間だけ前に発振させる。切換器6の出力はゲート回路8でゲート発生器7からの禁止ゲートにより周波数切換え時点を挟む、電源電圧回復に必要な時間幅だけ出力を禁止し休止期間のある信号として前段増幅器9へ送る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 周波数掃引音波発生系が次の各構成を具備することを特徴とするRASS装置。
(イ)複数個の周波数ステップ可変音波信号発生回路とこれらの出力を順次切り換えて出力する切換器とからなる周波数掃引音波信号発生器(ロ)周波数掃引音波信号発生器出力の周波数切り換り時点を挟んで予め定めた時間幅を有する禁止ゲートを発生するゲート発生器(ハ)周波数掃引音波信号発生器からの音波信号を入力として受け、ゲート発生器からの禁止ゲートによって、禁止ゲート部分の音波信号の通過を阻止し、その他の部分の音波を通過させて出力するゲート回路(ニ)ゲート回路からの音波信号を増幅して送波器へ送る増幅器
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はRASS(Radio Acoustic Sounding System)装置の周波数掃引音波発生系の改良に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】気温の高度分布を測定するRASS装置のうちBragg法によるものは、空中へ送波する音波の周波数をステップ状に変化させて行く周波数掃引を行っている。これは、Bragg条件(音波の波長が電波の波長の半分になること)を満たす周波数を探すためである。Bragg法は、音波を上空へ向けて送波し、音速で進行する音波領域へ向けてパルスレーダからパルス状の電波を放射したときBragg条件を満たしたときに電波が音波領域で反射されて戻って来ることを利用するものである。この電波を受信し、音波の進行によるドップラー周波数を検出し、そのドップラー周波数から音速を算出する。音速は大気の温度の関数であるから音速により大気の温度を知ることができる。
【0003】また、レーダはパルスレーダであるから、パルスを送信してから音波領域で反射されて戻って来るまでの伝搬時間を計測することによりそのときの音波領域の高度を知ることができる。かくして各高度の気温、即ち気温高度分布を測定することができる。
【0004】図4は、従来のBragg法によるRASS装置の周波数掃引音波発生系の構成を示すブロック図である。水晶発振器1から発振信号を受けたPLL3はCPU2からの制御によって、図5の(a)に示すようなステップ状の周波数掃引を受け、(b)に示すような波形の音波信号を出力する。この音波信号は前段増幅器9で必要なレベルまで増幅された後に、出力増幅器10で増力されて送波器11へ出力され、ここで音波に変換されて上空へ送波される。なお、前段増幅器9および出力増幅器10へは、トランス、整流ダイオード、平滑コンデンサからなる電源回路12から電源が供給されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来技術においては次のような問題がある。第1の問題は、周波数のステップ掃引を1個のPLLで行っているため、周波数を切り換えた際に過渡的に所定の周波数外の不要の周波数を発生し計測の精度を落とすという問題である。第2の問題は、図5の(b)の波形の時間幅が長くなると電源回路の電圧が低下して来て出力波形の振幅が図6に示すように低下するという問題がある。
【0006】本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑みて、不要周波数の発生に対しては、複数個のPLLを用いて、周波数切換えを行う前に次の周波数を別のPLLで発振させておき、これに切り換えるとともに、電源電圧の低下に対しては切換え時点を挟んで予め定めた時間幅だけ音波信号を遮断することにより電圧の低下を回復させる周波数掃引音波発生系を有するRASS装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達成するために次の手段構成を有する。即ち、周波数掃引音波発生系が次の各構成を具備することを特徴とするRASS装置である。
(イ)複数個の周波数ステップ可変音波信号発生回路とこれらの出力を順次切り換えて出力する切換器とからなる周波数掃引音波信号発生器(ロ)周波数掃引音波信号発生器出力の周波数切り換り時点を挟んで予め定めた時間幅を有する禁止ゲートを発生するゲート発生器(ハ)周波数掃引音波信号発生器からの音波信号を入力として受け、ゲート発生器からの禁止ゲートによって、禁止ゲート部分の音波信号の通過を阻止し、その他の部分の音波を通過させて出力するゲート回路(ニ)ゲート回路からの音波信号を増幅して送波器へ送る増幅器【0008】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態は、複数のPLLを用いこれを切り換えることにより1個のPLLで周波数の切換えを行っていた場合の過渡的な不要周波数の発生を回避するとともに、周波数切換え時に、電源電圧が回復できるだけの出力断期間を置くというものであり、PLL自体の発振周波数の切換えおよび信号を取り出すPLLの切換えによりステップ状に周波数掃引された音波信号を生成し、次いで禁止ゲート信号とゲート回路により周波数切換時点を挟む前記出力断期間は信号を遮断して出力増幅器へ送り増幅する。これにより周波数切換え時の不要周波数を除去するとともに、出力増幅器の動作による電源電圧の降下を回復させることができる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。図1は、本発明のRASS装置の周波数掃引音波発生系の実施例を示すブロック図である。水晶発振器1とPLLで発振する点は従来技術(図4)と同じであるが、本発明ではPLLが複数(図1の例では3個)となっている点が異なる。PLL3,4,5はCPU2の制御によって周波数が切り換えられる。例えば、図2に示すように、PLL3はf1 、それより遅れてPLL4がf2 、それより遅れてPLL5がf3 で発信するようにしておき、切換器6がCPU2からの制御信号によって、最初の決められた時間Tの間はPLL3の出力を選択して出力し、次いでPLL4の出力に切り換え、やはり決められた時間Tだけ出力し、次いでPLL5の出力に切り換えて時間Tだけ出力し、それが終わるころにはPLL3がf4 で発振し、PLL4が遅れてf5 で発振し、PLL5が同様に遅れてf6 で発振し、これらの出力を順次、切換器6がPLL3の出力、PLL4の出力、PLL5の出力と切り換えて出力するので、切換器6の出力周波数は図2の最下段のようになる。これを波形的に表現すれば図3の(a)のようになる。
【0010】このように、従来のように1個のPLLで周波数が切り換えていくのではなく、次の周波数は別のPLLですでに発振し周波数が安定して不要周波数がなくなるように時間ts だけ前に発振させておいてそのPLLに切り換えられるので切換器6の出力には不要周波数が現れない。この音波信号はゲート回路8へ送られる。
【0011】一方、ゲート発生器7はCPU2からのタイミング信号によって図3の(b)に示すような禁止ゲートを発生する。この禁止ゲートは図3の(d)の波形の周波数切換り時点を挟んで、電源電圧の回復に必要な予め定めた時間幅τの禁止区間を有するゲートであり、これがゲート回路8へ送られる。ゲート回路8では禁止区間の間は音波信号は出力しないので、その出力波形は図3の(c)のようになる。この信号が前段増幅器9、出力増幅器10で増幅されて送波器11へ送られる。
【0012】その結果、図3の(d)に示すように、音波信号の区間では送波器11へ音波信号を送るための電力消耗により電源電圧が低下しても音波信号の禁止区間では回復し、従来技術のように禁止区間のない場合のように電源電圧が低下していき振幅が低下するということはなくなる。
【0013】
【発明の効果】以上説明したように、本発明RASS装置の周波数掃引音波発生系では、複数の周波数ステップ可変音波信号発生回路(実施例におけるPLL)を具備し、それぞれ異なる周波数で発振させ、これを循環的に切り換えて出力することにより周波数掃引を行うに当たり、切換時点より前に所定の周波数で発振開始させ周波数が安定して不要周波数が消えた後に出力切換えをするようにしているので、従来のように不要な周波数が出力されることはないという利点を有し、また、こうして得られた周波数掃引音波信号の周波数切換り点を挟んで一定時間信号を遮断(禁止)するようにしたので、音波信号区間での電源電圧の低下を禁止期間で回復することができ、送波器から送波する音波振幅が低下することはないという利点がある。
【出願人】 【識別番号】000124959
【氏名又は名称】株式会社カイジョー
【出願日】 平成10年(1998)3月19日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】八幡 義博
【公開番号】 特開平11−271424
【公開日】 平成11年(1999)10月8日
【出願番号】 特願平10−90768