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【発明の名称】 水中センサ展張構造
【発明者】 【氏名】武井 信生

【氏名】釼持 慎一

【氏名】本田 秀美

【氏名】中田 保則

【要約】 【課題】水中センサの各部が絡まないように、迅速に展張させることを課題としている。

【解決手段】フロート1に、信号ケーブル2、収納ケース6、緩衝ケーブル3、抗力体4、上部アレイ受波部5、水中電子部8、下部アレイ受波部7および錘9を順に連結し、信号ケーブル2、緩衝ケーブル3、抗力体4および上部アレイ受波部5を収納ケース6に収納し、該収納ケース6、水中電子部8、下部アレイ受波部7および錘9を筒状体10に収納し、該筒状体10を沈降させながら展張を行う水中センサ展張構造において、上部アレイ受波部5を巻き付ける筒部17を備えた上部アレイケース13と、収納ケース6の内容物が落下しないように固定するストッパ14とを設けた。上部アレイケース13から上部アレイ受波部5が全て繰り出されるとストッパ14の固定状態が解除されて収納ケース6の内容物が放出されることとした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水面に浮遊するフロートに、信号を伝達する信号ケーブル、収納ケース、弾性を有する緩衝ケーブル、抗力体、センサを備えた上部アレイ受波部、水中電子部、センサを備えた下部アレイ受波部および錘を順に連結し、前記の信号ケーブル、緩衝ケーブル、抗力体および上部アレイ受波部を収納ケースに収納し、該収納ケース、水中電子部、下部アレイ受波部および錘を筒状体に収納し、該筒状体を沈降させながら展張を行う水中センサ展張構造において、上部アレイ受波部を巻き付ける筒部を備えた上部アレイケースと、収納ケースの内容物が落下しないように固定するストッパとを設け、該ストッパは、前記上部アレイケースの筒部と該筒部に回巻した上部アレイ受波部との間に介在する爪部を有し、上部アレイ受波部が全て繰り出されてその爪部が自由になると、ストッパの固定状態が解除されて収納ケースの内容物が放出されることを特徴とする水中センサ展張構造。
【請求項2】 請求項1において、収納ケースは、相対向する一対の嵌合穴を有し、ストッパはその両端部に、前記嵌合穴に嵌合する嵌合部を有し、ストッパの下方へは1対の爪部が突出して該爪部間に上部アレイケースの筒部を挟み、ストッパの爪部の付け根付近には溝部が形成され、上部アレイケースと爪部に回巻した上部アレイ受波部が繰り出された場合、下方への荷重により、ストッパは溝部を軸として爪部が外方に拡がるとともに嵌合部が内側へ変位するように屈曲し、嵌合部が嵌合穴から外れるようにしたことを特徴とする水中センサ展張構造。
【請求項3】 請求項1または請求項2において、抗力体を収納する抗力体ケースを設け、該抗力体ケースは底部が開口しており、その開口部分を閉鎖板で閉鎖する構造をとり、該閉鎖板を上部アレイケースに接続し、抗力体ケースに、水中電子部の荷重では開放せずに錘の荷重が加わった場合に開放するように前記閉鎖板を係止する閉鎖爪を設け、その抗力体ケースと緩衝ケーブルの下部とを紐で接続したことを特徴とする水中センサ展張構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水中センサ展張構造に係り、例えばラインアレイ受波器等の水中センサを、水中で展張させる水中センサ展張構造に関する。
【0002】
【従来の技術】図5は従来の水中センサの展張状態を示す説明図である。この図において、1はフロートであり、後述する各部を支持するために十分な浮力を有し、内部に信号ケーブル2からのセンサ情報の処理および無線電送のための電子機器を内蔵している。
【0003】3は緩衝ケーブルであり、衝撃や振動を吸収して緩和する。4は抗力体を示している。5は上部アレイ受波部であり、複数のセンサを所定の間隔で設けてある。6は収納ケースであり、展張前には、前記の信号ケーブル2、緩衝ケーブル3、抗力体4および上部アレイ受波部5を収納しておく。7は下部アレイ受波部であり、複数のセンサを所定の間隔で設けてある。8は水中電子部であり、前記上部アレイ受波部5と下部アレイ受波部7との間に設け、その上部アレイ受波部5および下部アレイ受波部7が収集した音響信号を合成する。9は錘であり、前記上部アレイ受波部5および下部アレイ受波部7を垂直に保つために設けてある。
【0004】10は筒状体を示し、前記各構成要素を順序良く繰出可能に収納するためもので、展張後は図に示すように落下する。図6は従来の水中センサの収納状態を示す説明図であり、前記収納ケース6内に、信号ケーブル2、緩衝ケーブル3、抗力体4および上部アレイ受波部5が収納された状態を示し、図の(a)が収納ケース6の側断面図であり、(b)が底面図となっている。
【0005】信号ケーブル2は、繰り出しやすいように回巻された状態で、収納ケース6内の上部に格納され、収納ケース6の上方へ繰出可能としてある。信号ケーブル2の下側には、緩衝ケーブル3および抗力体4を格納する。該抗力体4の下には、仕切板11を介して上部アレイ受波部5を格納する。該上部アレイ受波部5は、上部アレイセンサ5aと上部アレイケーブル5bとから構成され、上部アレイセンサ5aを内側に配置し、その外側に上部アレイケーブル5bを収納する。緩衝ケーブル3、抗力体4、仕切板11および上部アレイ受波部5は、収納ケース6の下方へ放出されることになる。
【0006】この収納ケース6、水中電子部8、下部アレイ受波部7および錘9を、筒状体10内に収納する。図7は従来の展張シーケンスの説明図であり、この図に従って前記の如く収納された各構成要素が展張してゆく様子を説明する。
(1)フロートは海面に浮遊し、他の構成要素は筒状体10に収納された状態で海中を沈降してゆく。この際、筒状体10内の収納ケース6から信号ケーブル2が繰り出されてゆく。
【0007】(2)信号ケーブル2の繰出が完了すると、収納ケース6はその位置で吊下された状態となり、筒状体10がさらに沈降してゆく。この際、収納ケース6からは上部アレイ受波部5が繰り出されてゆく。
(3)収納ケース6より上部アレイ受波部5がある程度繰り出されると、その上部アレイ受波部5の残りの部分と、緩衝ケーブル3および抗力体4が、自重によって、仕切板11とともに放出される。
【0008】(4)放出された抗力体4には抵抗力がかかるため、わずかずつ沈降してゆく。水中電子部8、下部アレイ受波部7および錘9は、抗力体4に連なっているが、筒状体10はこれらと接続していないため、該筒状体10は抗力体4よりも速く沈降してゆく。従って、水中電子部8、下部アレイ受波部7および錘9は、抗力体4に吊下された状態で、筒状体10から繰り出されてゆくことになる。
【0009】(5)錘9が筒状体10から抜け出た後、水中電子部8および錘9の海中重量により、緩衝ケーブル3が伸びて展張は完了する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の従来技術によると、図7の(3)で示したように、収納ケースから上部アレイ受波部の一部が放出されている間に、残りの上部アレイ受波部、緩衝ケーブルおよび抗力体が自重により放出されるが、その際に、海中に浮遊している上部アレイ受波部と、緩衝ケーブルおよび抗力体とが絡まるおそれがある。
【0011】また、展張開始後、抗力体が早い段階で放出されることにより、その抗力体の抵抗力により、上部にある緩衝ケーブルが伸びずに、上部アレイ受波部以下の水中電子部、下部アレイ受波部および錘を展張させてしまい、全体が筒状体から抜けて緩衝ケーブルが吊下重量のために完全に伸びる。このため、緩衝ケーブルはしばらくの間伸縮を繰り返すこととなり、全長が安定して音響信号を正常に受信できるようになるまでに時間がかかってしまう。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、水面に浮遊するフロートに、信号を伝達する信号ケーブル、収納ケース、弾性を有する緩衝ケーブル、抗力体、センサを備えた上部アレイ受波部、水中電子部、センサを備えた下部アレイ受波部および錘を順に連結し、信号ケーブル、緩衝ケーブル、抗力体および上部アレイ受波部を収納ケースに収納し、収納ケース、水中電子部、下部アレイ受波部および錘を筒状体に収納し、筒状体を沈降させながら展張を行う水中センサ展張構造において、上部アレイ受波部を巻き付ける筒部を備えた上部アレイケースと、収納ケースの内容物が落下しないように固定するストッパとを設け、ストッパは、上部アレイケースの筒部とこの筒部に回巻した上部アレイ受波部との間に介在する爪部を有し、上部アレイ受波部が全て繰り出されてその爪部が自由になると、ストッパの固定状態が解除されて収納ケースの内容物が放出されることを特徴とする。
【0013】また、抗力体を収納する抗力体ケースを設け、この抗力体ケースは底部が開口しており、その開口部分を閉鎖板で閉鎖する構造をとり、この閉鎖板を上部アレイケースに接続し、抗力体ケースに、水中電子部の荷重では開放せずに錘の荷重が加わった場合に開放するように閉鎖板を係止する閉鎖爪を設け、抗力体ケースと緩衝ケーブルの下部とを紐で接続したことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図を用いて説明する。図1は実施の形態の展張シーケンスの説明図である。この図の(1)〜(6)の順に展張してゆく。(6)は展張が完了した状態を示している。図において、1はフロートであり、後述する各部を支持するために十分な浮力を有し、内部に信号ケーブル2からのセンサ情報の処理および無線電送のための電子機器を内蔵している。
【0015】3は緩衝ケーブルであり、衝撃や振動を吸収して緩和する。4は抗力体であり、抗力体ケース12に予め収納され、展張時にはその抗力体ケース12から引き出された状態ではたらく。5は上部アレイ受波部であり、複数のセンサを所定の間隔で設けて成るものである。この上部アレイ受波部5は、上部アレイケース13に予め収納され、展張時にはその上部アレイケース13から繰り出された状態ではたらく。
【0016】6は収納ケースであり、展張前には、前記の信号ケーブル2、緩衝ケーブル3、抗力体4、抗力体ケース12、上部アレイ受波部5および上部アレイケース13を収納しておく。7は下部アレイ受波部であり、複数のセンサを所定の間隔で設けて成る。8は水中電子部であり、前記上部アレイ受波部5と下部アレイ受波部7との間に設け、その上部アレイ受波部5および下部アレイ受波部7が収集した音響信号を合成する。9は錘であり、前記上部アレイ受波部5および下部アレイ受波部7を垂直に保つために設けてある。
【0017】10は筒状体であり、前記各構成要素を順序良く繰り出すことができるように収納しておくためのものであり、展張後は図に示すように落下する。図2は実施の形態の水中センサの収納状態を示す説明図であり、前記収納ケース6内に、信号ケーブル2、緩衝ケーブル3、抗力体4、抗力体ケース12、上部アレイ受波部5および上部アレイケース13が収納された状態を示す側断面図となっている。
【0018】信号ケーブル2は、繰り出しやすいように回巻された状態で、収納ケース6内の上部に格納され、該収納ケース6の上方へ繰出可能としてある。信号ケーブル2の下側には緩衝ケーブル3、抗力体4および抗力体ケース12を格納しておく。抗力体ケース12の下部には、上部アレイ受波部5を回巻した上部アレイケース13を収納する。14はストッパであり、緩衝ケーブル3、抗力体ケース12および上部アレイケース13を落下させないように固定してある。
【0019】図3は実施の形態の上部アレイケースを示す説明図であり、図の(a)は上部アレイ受波部5を収納した状態を示し、(b)は繰出後の状態を示している。ストッパ14の両端には嵌合部15が形成されている。収納ケース6には、対向する1対の嵌合穴16を設けておき、対応する嵌合部15とそれぞれ嵌合させてストッパを固定する。
【0020】ストッパ14の直下には上部アレイケース13を配置する。該上部アレイケース13は筒部17を有し、この筒部17は軸方向に切欠きを設けた構造となっている。上部アレイ受波部5は、上部アレイセンサ5aと上部アレイケーブル5bとから構成されており、その上部アレイセンサ5aを筒部17の切欠きの部分からその筒部17内に収納しながら、上部アレイケーブル5bを筒部17の外側に巻き付けてゆくことにより、上部アレイ受波部5を繰出可能にまとめることができる。
【0021】なお、ストッパ14は1対の爪部18を有し、ストッパ14の下方に伸びて上部アレイケース13の筒部17の外側に配置される。この状態で、上部アレイ受波部5を回巻してゆくことにより、その爪部18は上部アレイケーブル5bに固定される。図3の(a)はこの収納状態を示している。ストッパ14の爪部18の付け根の部分には、溝部19を設けてある。上部アレイケーブル5bの上端は上部アレイケース13に接続し、該上部アレイケースは、ストッパ14に接続している。上部アレイ受波部5が全て繰り出されると、上部アレイケーブル5bが爪部18から外れ、その上部アレイケーブル5bが上部アレイケース13を下方に引っ張る。すると、爪部18は自由になっているため、ストッパ14は、溝部19を軸として、爪部18が外方に拡がるとともに嵌合部15が内側へ変位するように屈曲し、嵌合部15が嵌合穴16から外れる構造になっている。図3の(b)はこの繰出後の状態を示している。
【0022】図4は実施の形態の抗力体ケースの説明図である。この図の(a)は抗力体ケース12が上部アレイケース13と接続して抗力体4を内蔵した状態を示し、(b)は抗力体ケース12が上部アレイケース13と分離して抗力体4を開放した状態を示している。抗力体ケース12の底部には、例えば1対の閉鎖爪20を設け、該閉鎖爪20に閉鎖板21を係止する。閉鎖爪20の上部には溝部22を設けておく。閉鎖板21は上部アレイケース13と接続している。
【0023】上部アレイケーブル5bが上部アレイケース13を下方に引くと、該上部アレイケース、ストッパ14および閉鎖板21は接続しているため、該閉鎖板21は下方に引っ張られる。閉鎖爪20は、展張時に水中電子部8を引き出す際の荷重には持ちこたえるが、錘9の荷重が加わったところで、溝部22で外方に折れ曲がり、閉鎖板21を開放するようにしておく。
【0024】23は紐であり、その一端を、緩衝ケーブル3の下端から所定間隔上方の位置に固定し、他端を抗力体ケース12に固定する。抗力体4が抗力体ケース12内にある場合には抗力体ケース12以下の荷重は全て紐23の上端にかかり、その位置から下の緩衝ケーブル3には荷重はかからない。抗力体4が開放されると、緩衝ケーブル3の下部にも荷重がかかるようになっている。
【0025】前述の如く各構成要素を内蔵した収納ケース6の下側に、水中電子部8、下部アレイ受波部7および錘9を配置し、これらを全て筒状体10内に収納する。以下、図1に従って本実施の形態の展張シーケンスについて説明する。
(1)フロートは海面に浮遊し、他の構成要素は筒状体10に収納された状態で、該筒状体10内の収納ケース6から信号ケーブル2が繰り出されて、海中に沈降してゆく。
【0026】(2)信号ケーブル2の繰出が完了すると、収納ケース6はその位置で吊下された状態となり、筒状体10がさらに沈降してゆく。この際、収納ケース6からは上部アレイ受波部5が繰り出されてゆく。
(3)収納ケース6より上部アレイ受波部5が完全に繰り出されると、ストッパ14の爪部18が自由になり、水中電子部8が筒状体10から抜出する際の上部アレイ受波部5の張力により、ストッパ14が溝部19で折れ曲がり、嵌合部15が嵌合穴16から外れて、上部アレイケース13は抗力体ケース13と一体となって収納ケースより放出される。
【0027】(4)水中電子部8の荷重により緩衝ケーブル3が伸び、伸びきったところで水中電子部8は筒状体10から外部に引き出される。この時、緩衝ケーブル3全体には張力がかからず、紐23の固定位置より上の部分にのみ張力がかかる。紐23は直接、抗力体ケース12を保持するため、緩衝ケーブル3の紐23の固定位置以下の部分には張力がかからない。
【0028】水中電子部8に引き続き、下部アレイ受波部7も筒状体10から繰り出されて展張してゆく。
(5)下部アレイ受波部7が完全に展張して、錘9の荷重が下部アレイ受波部7に加わると、抗力体ケース12は溝部22で変形し、閉鎖爪20が外方に拡がって閉鎖板21が外れ、抗力体4が抗力体ケース12から放出される。この段階で、緩衝ケーブル3全体に荷重が加わる。
【0029】(6)錘9が吊下された状態で筒状体10が沈降し続けるため、錘9は筒状体10から抜出することとなり、展張が完了する。
【0030】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、上部アレイケースを設け、上部アレイ受波部を展張させてから、緩衝ケーブルや抗力体等を展張させるようにストッパを設定したことにより、上部アレイ受波部と緩衝ケーブルや抗力体等が絡むことなく展張可能となる効果を有する。
【0031】また、抗力体ケースを設け、抗力体の展張を遅らせることにより、展張開始から作動準備完了までの時間を短縮することが可能となる効果を有する。
【出願人】 【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)11月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】金倉 喬二
【公開番号】 特開平11−160420
【公開日】 平成11年(1999)6月18日
【出願番号】 特願平9−326321