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【発明の名称】 マイクロ波検出器
【発明者】 【氏名】澤田 元司

【要約】 【課題】VCOの電圧−周波数特性の違いによるスイープのばらつきを補償することのできるマイクロ波検出器を提供すること【解決手段】 受信しようとする目的の周波数に応じた電圧領域a、b、cにわけ、各領域ごとに電圧降下の比率を変える。そして、前記受信手段が有する電圧制御型発振器における電圧−周波数特性に対して逆特性となるように比率を設定する。これにより、同一バンドの信号がスイープ中の度量域で検出されてもそのピークの発生する時間の間隔t1,t2,t3がほぼ同一になる。そのことにより、検出される真のレーダー波信号の検出間隔が正確になり、その結果として受信した信号のバンドを判別できる。

【解決手段】受信しようとする目的の周波数に応じた電圧領域a、b、cにわけ、各領域ごとに電圧降下の比率を変える。そして、前記受信手段が有する電圧制御型発振器における電圧−周波数特性に対して逆特性となるように比率を設定する。これにより、同一バンドの信号がスイープ中の度量域で検出されてもそのピークの発生する時間の間隔t1,t2,t3がほぼ同一になる。そのことにより、検出される真のレーダー波信号の検出間隔が正確になり、その結果として受信した信号のバンドを判別できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 マイクロ波帯に設定された目的バンドの受信動作を繰り返すスーパーヘテロダイン方式の受信手段と、前記受信手段から出力される検波出力をしきい値と比較し、検出対象の周波数のマイクロ波を検出する比較手段と、その比較手段の出力信号に基づいて検出対象のマイクロ波の有無を判断する判定手段と、その判定手段が前記検出対象のマイクロ波を検出したときに警報を出力する警報手段とを備えたマイクロ波検出器において、前記判定手段は、前記比較手段から所定の間隔からなる一対のパルス対が出力されたときに検出対象のマイクロ波があると判断するものであり、さらに、前記受信手段におけるスイープ速度を制御する制御手段を設け、その制御手段は、前記受信手段が有する電圧制御型発振器における電圧−周波数特性に対して逆特性となるように前記スイープ速度を制御するものであるマイクロ波検出器。
【請求項2】 マイクロ波帯に設定された複数の目的バンドの受信動作を時分割で繰り返すスーパーヘテロダイン方式の受信手段と、前記受信手段から出力される検波出力をしきい値と比較し、検出対象の周波数のマイクロ波を検出する比較手段と、その比較手段の出力信号に基づいて検出対象のマイクロ波の有無を判断する判定手段と、その判定手段が前記検出対象のマイクロ波を検出したときに警報を出力する警報手段とを備えたマイクロ波検出器において、前記判定手段は、前記比較手段から所定の間隔からなる一対のパルス対が出力されたときに検出対象のマイクロ波があると判断するものであり、前記一対のパルス対の間隔に基づいて目的バンドの種類を判別する判別手段と、前記受信手段におけるスイープ速度を制御する制御手段とをさらに設け、その制御手段は、前記受信手段が有する電圧制御型発振器における電圧−周波数特性に対して逆特性となるように前記スイープ速度を制御するものであるマイクロ波検出器。
【請求項3】 スイープ電圧のスイープ範囲を複数の領域に分割し、各領域ごとに前記スイープ電圧の変化率を設定し、前記制御手段は、前記電圧制御型発振器へのスイープ電圧を生成する積分回路と、出力された前記スイープ電圧が前記複数の領域のいずれに属するかを判断する手段と、その判断する手段により判定された領域に設定された前記変化率で前記積分回路が動作するようにその積分回路の時定数を変更する手段とを備えた請求項1または2に記載のマイクロ波検出器。
【請求項4】 前記制御手段は、前記逆特性となるような基準波形を出力するマイコンと、そのマイコンの出力に基づいて前記電圧制御型発振器を動作させる手段とを備えた請求項1または2に記載のマイクロ波検出器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、計測機器などから発せられるマイクロ波を検出して報知するマイクロ波検出器に関し、特に、1つの受信回路で広帯域をカバーする広帯域マイクロ波検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】レーダー式スピード測定器から発射された所定周波数のマイクロ波を検出してアラームを発生するように構成されたマイクロ波検出器が従来から知られている。具体的な回路構成は省略するが、外部から到来するマイクロ波をアンテナで捕捉し、スーパーヘテロダイン方式の受信回路で受信するのが一般に行われている。そして、係る受信回路における局部発振器の出力周波数を所定範囲内でスイープすることにより、前記検出対象のマイクロ波の周波数を含む受信バンド幅を確保している。そして、局部発振器は、1回の動作時間において上記受信バンド幅内の周波数を1度だけスイープし、それを繰り返し行う。そして、係るスイープは、例えば電圧制御型発振器を用いた場合、図1に示すように鋸歯状に変化する電圧を与えることにより、その電圧に応じた周波数を出力することにより行われる。
【0003】この時の受信回路の出力は、受信バンド幅内の周波数のマイクロ波が存在すると、図2(A)に示すように、所定の間隔tからなる2つのピークPが出力する。そして、その間隔tは、検出対象のマイクロ波の周波数に固定であるので、間隔tとなる一対のピークが存在するか否かにより、検出対象のマイクロ波の有無を判断するようにしている。
【0004】具体的には、マイクロ波が存在しないときには、微小なホワイトノイズが出力され、上記ピークPのレベルと異なることから、図2(A)に示すように、ホワイトノイズに対して一定のマージンを取ったしきい値Thを設定する。そして、そのしきい値Thと検波器の出力とを比較し、しきい値以下となったときにパルスが出力するようにし(図2(B))、発生するパルスの間隔に基づいて判断するようにしている。そして、係る処理は、検波器の出力と固定のしきい値とをそれぞれ比較器に入力し、そこにおいて大小関係を比較することにより簡単に実行できる。
【0005】ところで、一般的な交通監視用レーダー式スピード測定器の場合、10GHz帯(Xバンド)、24GHz帯(Kバンド)、35GHz帯(Kaバンド)のいずれかの帯域のマイクロ波を使用している。したがって、どの帯域のマイクロ波が使用されていても検出できるようにするために、スーパーヘテロダイン方式の受信回路の局部発振器は、それら各帯域に合わせたバンド幅になるような所定の周波数範囲を順にスイープする。つまり、例えば1回目の動作では、Xバンドに対応する受信帯域になるようにスイープし、2回目の動作ではKバンドに対応する受信帯域になるようにスイープし、3回目の動作ではKaバンドに対応する受信帯域になるようにスイープする。そして、以後上記処理を繰り返し、各バンドのマイクロ波が存在しているか否かを、順に判定していくようにしている。
【0006】また、XバンドとKバンドの検出目的帯域幅が、それぞれ約100MHzと約200MHzと比較的狭帯域であるのに対し、Kaバンドは検出目的帯域幅が約2600MHzと広帯域であることから、受信回路のローカル周波数等を適宜工夫して、XバンドとKバンドの検出目的帯域幅を1回のスイープで受信し、Kaバンドの検出目的帯域幅は数回のスイープに分割して受信するようなマイクロ波検出器もある。
【0007】さらに、本発明の出願人の先願発明である特開平7−35845では、広帯域のKaバンドをスイープした受信中にXバンドやKバンドの受信ができなくなることから、Kaバンドのスイープ時間を減らすために、ダブルスーパーヘテロダイン方式とシングルスーパーヘテロダイン方式の受信帯域を有効に活用して、ローカル周波数の切り替えやシフトを行う等の受信回路を適宜工夫することにより、ダブルスーパーへテロダイン方式の1回のスイープでXバンドの全検出目的帯域幅とKバンドの全検出目的帯域幅とKaの一部の検出目的帯域幅という複数のバンドを同時に受信可能なスイープを採用し、Kaバンドの残りの検出目的帯域幅をシングルスーパーへテロダイン方式の1回のスイープで検出するようにした。
【0008】上記した特開平7−35845号公報に記載された発明では、1回のダブルスーパーへテロダイン方式のスイープで複数のバンドを同時に受信できるが、各バンドの目的とする周波数により検出される2つのピークPの間隔tが異なっている。
【0009】その1回のダブルスーパーへテロダイン方式のスイープで複数のバンドを同時に受信する場合のピークPの間隔tの相違に基づいて、検出した信号がXバンドであるか、Kバンドであるか、或いはKaバンドであるかの判別がなされる。すなわち、実施の形態で詳細に説明するように、Xバンドの信号は、受信信号と局部発振器の基本波とを混合することにより検出し、Kバンドの信号は、受信信号と局部発振器の2次高調波とを混合することにより検出し、Kaバンドの信号は、受信信号と局部発振器の3次高調波とを混合することにより検出する。したがって、Xバンドに基づくピークPの間隔を基準とすると、Kバンドのそれは1/2となり、Kaバンドは1/3となる。従って、そのピークPの間隔により受信した信号がどの帯域の信号であるかが判別できる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記した従来のマイクロ波検出器では、以下に示す問題があった。すなわち、受信動作時にスイープを行わせるための電圧制御型可変周波数発振器(VCO)の電圧−周波数特性は、図3に示すように比例していない。特に電圧が低い場合の直線性は良くないので、図1に示すようにVCOに与えるスイープ電圧の変化率を一定にした従来のものでは、実際の周波数の変化率は一定とならない。つまり、電圧が低いほど周波数の変化は小さくなる。
【0011】従って、電圧が高いスイープ開始当初の領域における周波数の変化が大きいので、仮に同一バンドの信号であっても図1に示すようにスイープ開始当初の領域で検出された信号のピークの間隔t1と、中間の領域で検出された信号のピークの間隔t2と、スイープ終期の領域で検出された信号のピークの間隔t3では、t1<t2<t3となり、一定とはならない。
【0012】そして、Xバンドの信号はスイープ開始当初の領域を用いて検出し、Kバンドの信号はスイープ終期の領域を用いて検出し、Kaバンドはスイープ領域全体を用いて検出することから、各バンドのピークPの間隔が、上記した相対関係を満たさなくなるおそれがあり、誤検出につながる。
【0013】そこで、VCOの電圧−周波数特性が比較的直線性を有する領域Rのみ使用することにより対応することができる。しかし、そのように領域Rが限られると、検出に必要なスイープ幅を確保することが困難となる。
【0014】つまり、スイープ幅を確保しようとすると間隔が所定の関係にならずに誤検出をするおそれがあり、誤検出の発生を可及的に抑制する場合には、スイープ幅が得られなくなるというように、相反する問題がある。さらに、たとえ直線性を有する領域Rを選択したとしても、完全には比例関係にないので、やはり上記した問題は依然として残る。
【0015】本発明は、上記した背景に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、上記した問題を解決し、VCOの電圧−周波数特性が直線性を有しなくても、周波数の変化率を可及的に等しくなるようにし、目的とするマイクロ波の検出及びその検出したマイクロ波のバンドの判別を精度よく行うことのできるマイクロ波検出器を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成するため、本発明のマイクロ波検出器では、マイクロ波帯に設定された目的バンドの受信動作を繰り返すスーパーヘテロダイン方式の受信手段と、前記受信手段から出力される検波出力をしきい値と比較し、検出対象の周波数のマイクロ波を検出する比較手段と、その比較手段の出力信号に基づいて検出対象のマイクロ波の有無を判断する判定手段と、その判定手段が前記検出対象のマイクロ波を検出したときに警報を出力する警報手段とを備えたマイクロ波検出器を前提とし、前記判定手段は、前記比較手段から所定の間隔からなる一対のパルス対が出力されたときに検出対象のマイクロ波があると判断するものであり、さらに、前記受信手段におけるスイープ速度を制御する制御手段を設け、その制御手段は、前記受信手段が有する電圧制御型発振器における電圧−周波数特性に対して逆特性となるように前記スイープ速度を制御するように構成した(請求項1)。
【0017】また、マイクロ波帯に設定された複数の目的バンドの受信動作を時分割で繰り返すスーパーヘテロダイン方式の受信手段と、前記受信手段から出力される検波出力をしきい値と比較し、検出対象の周波数のマイクロ波を検出する比較手段と、その比較手段の出力信号に基づいて検出対象のマイクロ波の有無を判断する判定手段と、その判定手段が前記検出対象のマイクロ波を検出したときに警報を出力する警報手段とを備えたマイクロ波検出器を前提とし、前記判定手段は、前記比較手段から所定の間隔からなる一対のパルス対が出力されたときに検出対象のマイクロ波があると判断するものであり、前記一対のパルス対の間隔に基づいて目的バンドの種類を判別する判別手段と、前記受信手段におけるスイープ速度を制御する制御手段とをさらに設け、その制御手段は、前記受信手段が有する電圧制御型発振器における電圧−周波数特性に対して逆特性となるように前記スイープ速度を制御するように構成してもよい(請求項2)。
【0018】そして、上記2つの発明を前提とし、より具体的な一例としてはスイープ電圧のスイープ範囲を複数の領域に分割し、各領域ごとに前記スイープ電圧の変化率を設定し、前記制御手段は、前記電圧制御型発振器へのスイープ電圧を生成する積分回路と、出力された前記スイープ電圧が前記複数の領域のいずれに属するかを判断する手段と、その判断する手段により判定された領域に設定された前記変化率で前記積分回路が動作するようにその積分回路の時定数を変更する手段とを備えるように構成できる(請求項3)。
【0019】また、前記制御手段は、前記逆特性となるような基準波形を出力するマイコンと、そのマイコンの出力に基づいて前記電圧制御型発振器を動作させる手段(実施の形態ではD/Aコンバータ25に対応)とを備えて構成することもできる(請求項4)。
【0020】請求項1,2で言う「逆特性」は、完全に一致する場合はもちろんであるが、近似的に逆特性が得られるようになっているものも含む。つまり、実施の形態で説明したように、複数の領域に分割し、各領域で直線近似することにより、逆特性に近い波形を形成するようにしてもよい。このように部分的に直線近似することにより、誤差が少なくさらに回路構成も簡単にできる。
【0021】また、請求項3で規定する判断する手段は、実施の形態では、オペアンプOP2,3と、抵抗R1,R2,VR1,VR2からなる分圧回路により実現されている。また、時定数を変更する手段は、実施の形態ではナンド素子を含む論理回路とトランジスタTR1,TR2,TR3等により実現できる。そして、時定数はコンデンサC1と、択一的に選択された可変抵抗R3,R4,R5により決定される。
【0022】電圧制御型発振器は、電圧−周波数特性を完全に比例関係にすることはできない。そこで、両者の相関の逆特性(近似を含む)でスイープ電圧を変化させるようにした。これにより、1回のスイープにおける周波数の変化は全体的に同一或いはほぼ同一となるので、同一の次数の信号と混合されることにより検出される同一バンドの受信信号であれば、スイープ中の全領域に対してピークの発生する時間の間隔がほぼ同様になる。その結果、検出信号の時間間隔に基づいて目的とするバンドの信号か否かを判断したり(請求項1)、逆にどのバンドの信号かを判別したり(請求項2)することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】図4は、本発明の広帯域マイクロ波検出器の実施の形態の全体を示す図である。ダブルスーパーヘテロダイン受信系に沿ってその構成を説明する。図4において、外部からのマイクロ波がホーンアンテナ1でキャッチされ、第1混合器2にて第1局部発振器3の出力と周波数混合される。第1局部発振器3は電圧制御型可変周波数発振器(VCO)からなり、後述のように所定周波数範囲で繰り返しスイープされる。また、第1局部発振器3の出力には基本周波数の基本波だけでなく、2倍の周波数の2次高調波、3倍の周波数の3次高調波が積極的に含まれている。
【0024】第1混合器2からの混合出力はバンドパスフィルタ4、第1中間周波アンプ5を経て第2混合器6に入力され、第2局部発振器7の出力と周波数混合される。第2混合器6からの混合出力はバンドパスフィルタ8、アナログスイッチ9a、第2中間周波アンプ10を経て検波器11に入力される。
【0025】アナログスイッチ9aともう1つのアナログスイッチ9bとは、後述のようにマイクロ・コンピュータ(以下マイコンとする)21からの切り換え信号S1によって相補的にオン・オフ駆動される。つまり、いずれか一方のスイッチが、択一的にオンになる。そして、スイッチ9aがオンでスイッチ9bがオフのときはダブルスーパーヘテロダイン受信モードであり、スイッチ9aがオフでスイッチ9bがオンのときはシングルスーパーヘテロダイン受信モードとなる。
【0026】シングルスーパーヘテロダイン受信モードでは、第2局部発振器7は発振停止する。そして、アナログスイッチ9bがオンになるので、第1混合器2からの混合出力がバンドパスフィルタ12、中間周波アンプ13、バンドパスフィルタ14、スイッチ9b、中間周波アンプ10を経て検波器11に入力される。
【0027】検波器11は10.7MHzの信号を検出するようになっている。第2局部発振器7の発振周波数は900MHzであり、その基本波のみを積極利用する。VCOからなる第1局部発振器3の出力の中心周波数は11.567GHzで、スイープ幅は300MHzである。つまり、第1局部発振器3の出力周波数は11.417G〜11.717GHzの範囲で繰り返しスイープされる。さらに、第1局部発振器3については、その基本波だけでなく、以下のように2次高調波および3次高調波も積極利用する。
【0028】この本実施形態の基本動作としては、第1局部発振器3のスイープ動作と同期して、スイープ周期ごとに切り換え信号S1が反転し、ダブルスーパーヘテロダイン受信モードとシングルスーパーヘテロダイン受信モードとが交互に繰り返されるものとする。
【0029】前記のように各部の周波数が設定されているので、ダブルスーパーヘテロダイン受信モードの場合、図5に示すように、第1局部発振器3の基本波と入力信号との混合出力によりXバンドにA1とA2の2つの有感帯(検出感度の有る帯域)が生じ、第1局部発振器3の2次高調波と入力信号との混合出力によりKバンドにB1とB2の2つの有感帯が生じ、第1局部発振器3の3次高調波と入力信号との混合出力によりKaバンドにC1とC2の2つの有感帯が生じる。
【0030】またシングルスーパーヘテロダイン受信モードの場合は図4に示すように、第1局部発振器3の基本波と入力信号との混合出力によりXバンドにはA1とA2の中間の有感帯A3が生じ、2次高調波と入力信号との混合出力によりKバンドにはB1とB2の中間の有感帯B3が生じ、3次高調波と入力信号との混合出力によりKaバンドにはC1とC2の中間の有感帯C3が生じる。各有感帯の具体的な周波数は次の通りである。
(A1)10.5063G〜10.8277G(A2)12.3063G〜12.6277G(A3)11.4063G〜11.7277G(B1)21.9233G〜22.5447G(B2)23.7233G〜24.3447G(B3)22.8233G〜23.4447G(C1)33.3403G〜34.2617G(C2)35.1403G〜36.0617G(C3)34.2403G〜35.1617G前述した交通監視用レーダー式スピード測定機を対象としたマイクロ波検出器の場合、図5に示すように、Xバンドの検出目的帯域は有感帯A1に完全に含まれ、Kバンドの検出目的帯域は有感帯B2に完全に含まれ、Kaバンドの検出目的帯域は有感帯C1とC2とC3の全体に及ぶ。ダブルスーパーヘテロダイン受信モード時の有感帯C1とC2の間の無感帯がシングルスーパーヘテロダイン受信モード時の有感帯C3で隙間なく埋まり、全体としてKaバンドの広い検出目的帯域をカバーすることができる。
【0031】特に注目すべきことは、第1局部発振器3のスイープ幅が300MHzで特に大きくはなく、ダブルスーパーヘテロダインとシングルスーパーヘテロダインの受信モードを交互に繰り返すことでXバンド、Kバンドだけでなく、広いKaバンドをも完全にカバーしていることである。
【0032】これにより、交通監視用レーダー式スピード測定器を対象としたマイクロ波検出器の場合、Xバンドの検出目的帯域幅は約100MHzで、Kバンドの検出目的帯域幅は約200MHzであり、比較的狭い。一方、Kaバンドの検出目的帯域は33.400〜36.000GHz(帯域幅は2.6GHz)と相当広い。したがって、単純にスイープする周波数領域を固定にすると、帯域の広いKaバンドに合わせるとXバンドやKバンドの検出動作に無駄な周波数領域が存在し、目的とするマイクロ波の検出が遅れるおそれがあるが、本実施の形態では係るおそれはない。
【0033】また、ダブルスーパーヘテロダイン受信回路における第2混合段をバイパスして第1混合出力を検波器に導入することでシングルスーパーヘテロダイン受信回路となるので、回路が特に複雑になるわけではない。
【0034】図6には検波器11の入力周波数の変化と検波出力(a)の関係を示している。図6において、(i)は第1局部発振器3の基本波と入力信号との混合信号の周波数変化であり、(ii)は2次高調波と入力信号との混合信号の周波数変化であり、(iii )は3次高調波と入力信号との混合信号の周波数変化である。
【0035】前述の有感帯に含まれる入力信号がある場合、検波器11の入力周波数が10.7MHzを一度通過してゼロになり、再び10.7MHzを通過するので、検波器11からは時間軸上で左右対称な一対のパルス波からなる検波信号(a)が出力される。第1局部発振器3のスイープ速度が同じであれば、基本波に基づく混合信号(i)の周波数変化率をVfとすると、2次高調波に基づく混合信号(ii)の周波数変化率はVfの2倍であり、3次高調波に基づく混合信号(iii )の周波数変化率はVfの3倍である。
【0036】従って、混合信号(i)から検出される検波信号のパルス間隔をTsとすると、混合信号(ii)から検出される検波信号のパルス間隔はTsの1/2であり、混合信号(iii )から検出される検波信号のパルス間隔はTsの1/3である。このことに基づいて、検波信号(a)が発生したときに、それを発生させた入力信号がXバンド、Kバンド、Kaバンドのいずれに含まれる信号かを区別することができる。
【0037】図4のマイクロ波検出器における検波器11の出力(a)の処理系と、スイープ制御系および受信モード切り換え制御系について、図7を参照しながら説明する。まず、検波器11の出力は、比較器15に与えられ、この比較器15にてしきい値(スレッショルド電圧)と比較し、しきい値以下の時に比較器15の出力はHighが出力されるようになっている。これにより、しきい値を適宜に設定すると、検出器11の出力が図7(a)に示すようになっているとすると、比較器15から出力される判定信号(b)は、図7(b)に示すように検出対象の周波数のマイクロ波を受信したときのみHighとなり、その他はLowとなる。
【0038】この判定信号(b)はマイコン21に入力され、所定の確認処理(後述)に供される。マイコン21が判定信号(b)を目的とする検出対象周波数のマイクロ波の入力によるものと確認した場合には、警報手段たるアラーム回路22を動作させる。また、マイコン21は入力信号の帯域(Xバンド,Kバンド,Kaバンドの区別)を判別する処理も同時に行い、判別結果によりアラーム回路22の動作パターンを変えるようにしている。
【0039】積分回路18は、VCOからなる第1局部発振器3のスイープ制御信号(d)を生成するための回路である。積分回路18はマイコン21からのリセット信号S2でリセットされ、出力電圧Esはもっとも高い初期電圧E1に設定される。その後は所定の時定数で積分動作をし、出力電圧Esがその時定数に応じた変化率で低下する。
【0040】また、積分回路18の出力電圧Esは比較器20にて最終電圧E2と比較されており、EsがE2まで低下したとき比較器20からスイープ終了信号(f)が出力され、その信号(f)を受けたマイコン21が積分回路18を信号S2により前記のようにリセットする。これで初期状態に戻ったことになり、以上の動作が繰り返される。この積分回路18の出力(d)がアンプ19で適宜に増幅され、第1局部発振器3のスイープ制御信号となる。
【0041】以上の説明で明らかなように、積分回路18の出力電圧EsはE1からE2まで所定の軌跡で低下する鋸歯状波となり、この電圧変化と第1局部発振器3の周波数変化(スイープ)とが対応する。そしてマイコン21は、積分回路18をリセットしてスイープサイクルを更新する毎に、前述した切り換え信号S1を反転して、ダブルスーパーヘテロダイン受信モードとシングルスーパーヘテロダイン受信モードとを交互に切り換える。
【0042】なお、実際には、後述するように、各サイクルの開始当初は、一定期間出力電圧Esを変化させずE1の値を保持し、発振等が安定動作してから出力電圧Esを変化させるようにしている。これにより、正確な検出が行える。
【0043】ところで図6で説明したように、目的のマイクロ波信号の入力時には検波器11の出力(a)に所定間隔で一対のパルスを生じるが、図7に示すように、1発目の検波パルスが生じたときの積分回路18の出力電圧をE3とし、2発目の検波パルスが生じたときの積分回路18の出力電圧をE4とし、その差をΔEとする。
【0044】また図6で説明したように、Xバンドの信号入力時と、Kバンドの信号入力時と、Kaバンドの信号入力時とでは、前記一対の検波パルスの間隔が大きく異なる。このパルス間隔の違いは前記電圧差ΔEに対応するので、電圧差ΔEを測定してレベル判別することでアンテナ入力信号がXバンド、Kバンド、Kaバンドのいずれであったかを区別することができる。従って、マイコン21は判定回路16と積分回路18の出力を処理し、受信信号のバンドを区別することができる。つまり、この例ではマイコン21が目的バンドの種別を判別する判別手段となる。
【0045】ところで、図7では、基本的な動作原理を説明するために、スイープ電圧の波形を変化率一定で下降する鋸歯状で示したが、実際には図8に示すように、スイープ速度を途中で変更するようにしている。このように、スイープ速度を変更するのが本発明の特徴の一つである。
【0046】すなわち、図8は、スイープ電圧の電圧降下の変化率(スピード)を変更する概念を示す図で、縦軸がVCOからの出力電圧で、横軸が時間である。同図に示すように、スイープ電圧の変化領域を第1電圧値Aと第2電圧値Bを境界にして3分割する。そして、電圧が大きい方から順に第1領域a、第2領域b、第3領域cとした場合に、第1領域aの電圧降下の変化率を最も小さくし、第3領域cの電圧降下の変化率を最も大きくする。
【0047】さらに、その各領域における電圧降下の変化率は、以下のような値をとることができる。すなわち、使用する第1局部発振器3の電圧−周波数特性が図9に示すようになっているとする。そして、第1電圧値A,第2電圧値Bが図示するようになっているとし、第1局部発振器3の電圧−周波数特性における各領域a〜cの電圧に対する周波数の変化が、直線近似して同図中一点鎖線で示すようになっていると仮定した場合の各領域a〜cの変化率(周波数/電圧)の逆数に比例する値を、スイープ電圧の電圧降下の変化率とする。このようにすることにより、スイープ電圧を図8に示すように変化させたとすると、それに基づく周波数の変化率は、全領域でほぼ等しくなる。よって、1回のスイープ中における同一バンドの信号が各領域で検出された場合には、周波数本実施例では、図8に示すように、各検出信号に基づく一対のパルスの間隔t1,t2,t3は、ほぼ同じになる。
【0048】このように、同一バンドの信号、つまり、混合する周波数の次数が同じであれば間隔t1〜t3がほぼ一定になるので、図6に示すようにXバンド,Kバンド,Kaバンドによって、検出信号に基づく一対のパルスの間隔の相違が、正しく出現する。よって、係る間隔に基づいて受信した信号の目的バンドを正しく判別することができる。
【0049】また、VCOの出力電圧の変化率を図8に示すように切り替えるための回路としては、例えば図10に示すような構成をとることができる。すなわち、オペアンプOP1とコンデンサC1で積分回路が構成されており、この積分回路により基本的なスイープ電圧が発生される。この積分回路の反転入力端子への入力を切り替えることで、周波数スイープスピードの切り替えを行うためのVCOの出力電圧の変化スピードを切り替える。
【0050】抵抗R1,R2及び可変抵抗VR1,VR2は、それぞれの抵抗値の分圧比で図1における第1電圧値Aと第2電圧値Bの設定をするためのもので、可変抵抗VR1,VR2を調節することで、図8のスイープ電圧における第1電圧値Aと第2電圧値BとなるVCOの出力電圧値を設定している。
【0051】オペアンプOP2とオペアンプOP3は、上記で設定された電圧を反転入力端子に入力し、比反転入力端子には積分回路のオペアンプOP1の出力を入力してその差分を増幅している。
【0052】積分回路の出力が第1電圧値Aより高ければ、VCOのスイープ電圧は図8の領域aの範囲であり、オペアンプOP2,OP3の出力とも負の出力となる。また、積分回路の出力が第1電圧値Aより低く第2電圧値Bより高ければ、VCOのスイープ電圧は図8の領域bの範囲であり、オペアンプOP2の出力は正、オペアンプOP3の出力は負の出力となる。さらに、積分回路の出力が第2電圧値Bより低ければ、VCOのスイープ電圧は図8の領域cの範囲であり、オペアンプOP2,OP3の両出力とも正の出力となる。
【0053】また、オペアンプOP2,OP3の出力は、2入力NANDゲートであるNAND1、NAND2、NAND3のに入力されるが、NAND2ではオペアンプOP2からの出力はインバータINV1を介して反転されて入力され、NAND3ではオペアンプOP2,OP3の両方からの出力がインバータINV1とINV2で反転されて入力される。
【0054】結果として、VCOのスイープ電圧が領域aの範囲の時にはNAND1からのみ出力され、 VCOのスイープ電圧が領域bの範囲の時にはNAND2からのみ出力され、 VCOのスイープ電圧が領域cの範囲の時にはNAND3からのみ出力されるというようにどれか一つのNANDゲートからのみ出力される。そして、トランジスタTR1,TR2,TR3は、 NANDゲートのNAND1かNAND2かNAND3のどれかからのバイアス信号が入ったどれか一つのトランジスタがオンされる。
【0055】また、可変抵抗VR3,VR4,VR5は、その後段の積分回路への入力電流の調整を行って、図8のスイープ電圧で領域aの範囲の積分回路の出力が得られるように可変抵抗VR3が調整され、領域bの範囲の積分回路の出力が得られるように可変抵抗VR4が調整され、領域cの範囲の積分回路の出力が得られるように可変抵抗VR5が調整される。よって、トランジスタTR1,TR2,TR3の中でオンされたトランジスタのコレクタに接続された可変抵抗を通った電流が積分回路に入力され、コンデンサC1とにより決定される時定数によって所定の増幅率で積分される。このような回路構成とすることで、図8に示すスイープ電圧を得ることができ、係る回路が図4における積分回路18となる。
【0056】なお、上記した実施の形態では、スイープ電圧の変化スピードを変更するための設定する電圧値を2つとし、スイープ電圧の異なる変化スピードの範囲を3つとしたが、本発明はこれに限ることはなく設定する変化率を異ならせる領域は2つであってもよく、或いは4つ以上であってもよい。そして、係る変更は図8において積分回路にいたる回路の系統を増やすことで可能である。すなわち、領域数を増やした方が、周波数の変化をより一定にすることができるものの、回路構成が大規模化するので、仕様に応じて適当な値に設定すればよい。
【0057】また、図11に示すように、第1局部発振器3に与える電圧の変化の基本波形をマイコン21で生成し、それをD/Aコンバータ25に与えることにより基本波形(デジタルデータ)に対応したアナログ値(電圧)に変換してVCOからなる第1局部発振器3に与えるようにすることもできる。このようにマイコン21を用いるようにすれば、複雑な波形も容易に生成できるので、第1局部発振器3における電圧−周波数の特性の逆特性になるような電圧変化の波形を精度よく形成できる。係る構成にすると、スイープ時の周波数の変化率をより完全に逆特性にすることも可能となる。なお、その他の構成並びに作用効果は図4に示したものと同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0058】なお、上記した各実施の形態では、受信手段は、1段目と2段目にそれぞれ1個の局部発振器3,7を設けた例について説明したが、本発明はこれに限ることはなく、例えば受信バンドの周波数帯域に応じた発振周波数を出力する複数の局部発振器を用意し、それら複数の局部発振器を第1混合器2に対して択一的に接続可能に設け、マイコンからの制御信号に基づいて順次所定のバンド用の局部発振器を接続して周波数混合するようにしても良い。これにより、各サイクルで受信可能なバンドが切り替わる。この時、複数の局部発振器としては、複数のバンドがXバンド,Kバンド,Kaバンドの3つあるとして各バンドに合わせて3つの局部発振器を設けてもよく、或いは、Xバンド(基本波を使用)とKバンド(2次高調波を使用)は共通にし、それとKaバンド用の局部発振器の2個を用いるようにするなど、各種の構成を取ることができる。
【0059】また、判定手段としては、上記した実施の形態ではマイコン内に実装したが、マイコンとは別の回路により構成しても良い。また、判定方法としてもスイープ電圧(積分回路18の出力信号)を利用するものに限ることはなく、例えば比較器から出力される1回目のパルスが出力されてからタイマーをスタートし、2回目のパルスが出力されるまでの時間が所定のものか否かにより、目的とするマイクロ波か否かを判別するなどの他各種の判定方法を採るマイクロ波検出器に適用することができる。
【0060】
【発明の効果】以上のように本発明に係るマイクロ波検出器では、VCOの電圧−周波数特性の補償ができ、同一バンドの信号であれば、スイープの全領域にわたって検出信号の発生間隔をほぼ同じにすることができる。その結果として、検出が正確にでき、また、受信信号のバンドを精度よく判別できる。
【出願人】 【識別番号】391001848
【氏名又は名称】ユピテル工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)11月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
【公開番号】 特開平11−160417
【公開日】 平成11年(1999)6月18日
【出願番号】 特願平9−341954