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【発明の名称】 衛星追尾装置
【発明者】 【氏名】松下 学

【氏名】小栗 清治郎

【要約】 【課題】高速データ通信のためアンテナ利得を上げるとともに、車載局の急激な動きに高速に衛星追尾を行い、さらにシャドウイング後の速やかな衛星追尾及び通信の復旧を可能にする。

【解決手段】固定局からのパイロットSS信号31は、通信衛星経由、車載局の高利得アンテナ1で受信される。通信断にならない程度に受信ビームを電気的に走査し、アンテナ1で受信されたパイロットSS信号は、中間周波数へ変換され、逆拡散復調器5で復調される。受信ビームの指向特性は、移相制御器3からのON、OFF信号で移相器2を制御し、一定周波数で切り換えて追尾誤差信号を検出し、これをアンテナ駆動信号として駆動モータ6に送ることにより、アンテナ1を衛星に指向させる。一方、シャドウイング時は、衛星方向検出器14と、GPS受信機15と、ジャイロ16で、アンテナ1を衛星に指向させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 衛星を自動追尾する衛星追尾装置において、高利得のアンテナをビームスキャンしてスペクトラム拡散変調されたパイロット信号を受けて得られた追尾誤差信号に基づき衛星方向を検出し、シャドウイング時は自局の位置と方位と衛星の軌道位置に基づき衛星方向を検出して前記アンテナを前記衛星方向に駆動することを特徴とする衛星追尾装置。
【請求項2】 スペクトラム拡散変調されたパイロット信号を受ける高利得のアンテナと、前記アンテナのビーム位相を高速に制御する移相器と、前記移相器の出力を中間周波数に変換する周波数変換器と、前記周波数変換器の出力を逆拡散する逆拡散復調器と、前記逆拡散復調器の出力若しくは自局の位置と方位を切り替えて衛星の方向を検出し、アンテナ駆動信号を発生する駆動信号発生器と、前記アンテナ駆動信号に基づき前記アンテナを前記衛星方向に駆動する駆動モータとを有することを特徴とする衛星追尾装置。
【請求項3】 前記アンテナは、2素子の平面アレーアンテナを用い電子的にビームスキャンすることを特徴とする請求項1、2記載の衛星追尾装置。
【請求項4】 前記駆動信号発生器は、自局の位置を検出するGPS受信機と、自局の方位を検出するジャイロと、前記GPS受信機と前記ジャイロの出力を受け前記衛星の軌道位置から衛星方向を計算する衛星方向検出器と、前記逆拡散復調器の出力と前記衛星方向検出器の出力を切り替える切替器と、前記切替器の出力を受けアンテナ駆動信号を出力するアンテナ制御器とを有することを特徴とする請求項2記載の衛星追尾装置。
【請求項5】 前記パイロット信号は、無変調キャリアをスペクトラム拡散変調したものであり、その出力レベルは通信用の信号よりも高いレベルであることを特徴とする請求項1、2記載の衛星追尾装置。
【請求項6】 前記切替器は、前記パイロット信号が受信できる場合は前記パイロット信号を受けて得られた追尾誤差信号に基づきアンテナ駆動を行い、前記パイロット信号が一定時間、一定レベル受信できない場合には、前記自局の位置と方位と衛星の軌道位置に基づき前記アンテナ駆動を行うように自動的に切り替えられることを特徴とする請求項1、2記載の衛星追尾装置。
【発明の詳細な説明】【発明の属する技術分野】本発明は、衛星追尾装置に関し、特に、陸上移動体衛星通信システムの車載局に使用される衛星追尾装置に関する。
【0001】
【従来の技術】図6は、従来の車載局に設置された衛星追尾装置40の構成を示している。この衛星追尾装置40は、移動体となる車載局に搭載される。そして、衛星追尾装置40は、低利得のアンテナ11と、自局の位置(経度、緯度)を検出するGPS受信機15と、自局の進行方向を検出するジャイロ16と、前記GPS受信機15からの自局の位置情報と、前記ジャイロ16からの自局の進行方向情報と、あらかじめ記憶されている衛星の軌道位置情報をもとに自局から衛星を指向する方向を計算する衛星方向検出器14と、前記衛星方向検出器14で計算された衛星方向に基づきアンテナ駆動信号を出力するアンテナ制御器13と、前記駆動信号に従ってアンテナ11を駆動する駆動モータ6とを有している。
【0002】上記低利得アンテナ11は、具体的にはKu帯において、送信利得が19dB、受信利得が18dBである。
【0003】本アンテナを用いて拡散変調を用いて伝送するためには、データ速度が165bps程度と低速のデータしか伝送できない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の衛星追尾装置の問題点は、アンテナ利得が低いため、伝送内容が低速データのみに限られ、音声等の高速データ通信ができない点にある。また、従来の衛星追尾装置の衛星の指向方向が磁性体等の影響を強くうけるGPSや低感度特性のジャイロに依存しているため、追尾精度が充分とれず、このため、アンテナビームを広く(アンテナ利得を低く)し、アンテナ指向方向の若干な変動にも対応できるようにする必要がある。
【0005】本発明は、上記問題を解決するため高速データ通信を可能とするためアンテナ利得を上げる(アンテナビームを狭くする)とともに、車載局の急激な動きに対して、衛星追尾が可能な高速な衛星追尾手段を提供することを目的とする。さらに、トンネル内などの電波を受信できない状態(シャドウイング)後の速やかな衛星追尾及び通信の復旧を可能にする衛星追尾装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の衛星追尾装置は、衛星を自動追尾する衛星追尾装置において、高利得のアンテナをビームスキャンしてスペクトラム拡散変調されたパイロット信号を受けて得られた追尾誤差信号に基づき衛星方向を検出し、シャドウイング時は自局の位置と方位と衛星の軌道位置に基づき衛星方向を検出して前記アンテナを前記衛星方向に駆動することを特徴とする。
【0007】また、スペクトラム拡散変調されたパイロット信号を受ける高利得のアンテナと、前記アンテナのビーム位相を高速に制御する移相器と、前記移相器の出力を中間周波数に変換する周波数変換器と、前記周波数変換器の出力を逆拡散する逆拡散復調器と、前記逆拡散復調器の出力若しくは自局の位置と方位を切り替えて衛星の方向を検出し、アンテナ駆動信号を発生する駆動信号発生器と、前記アンテナ駆動信号に基づき前記アンテナを前記衛星方向に駆動する駆動モータとを有することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、本発明の衛星追尾装置の実施の形態について、図1を参照して説明する。
【0009】本発明の衛星追尾装置20は、高利得で信号を送受信するアンテナ1と、アンテナ1の移相を制御する移相器2と、アンテナ1で受信し、移相器2を介してパイロットSS信号31を無線周波数から中間周波数へ変換する受信周波数変換器4と、前記中間周波数信号を逆拡散復調する逆拡散復調器5と、移相器の移相特性を所定周期で制御する移相制御器3と、復調信号レベルから衛星方向を検出し、アンテナ駆動信号19を発生する駆動信号発生回路10と、アンテナ駆動信号19に従ってアンテナ1を駆動する駆動モータ6とを有している。
【0010】また、駆動信号発生回路10は独立に自局の位置と方位を検出するGPS受信機15とジャイロ16と、GPS受信機15とジャイロ16の出力を受け衛星の軌道位置から衛星方向を計算する衛星方向検出器14と、逆拡散復調器5の出力と衛星方向検出器14の出力を切り替える切替器17と、切替器17の出力を受けアンテナ駆動信号19を出力するアンテナ制御器18からなる。
【0011】また、パイロットSS信号31としては、無変調キャリアに対してSS変調されたものであり、通信信号32のように別の1次変調信号やデータ変調されたものではない。また、通信信号よりも高いレベルのパイロットSS信号31を用いて、通信信号を衛星追尾に使用した場合よりも、高いS/Nにすることにより、信号復調を高速化している。
【0012】次に、本発明の衛星追尾装置20の動作について、図面を参照して説明する。
【0013】図2は、本発明の衛星追尾装置20が用いられる衛星ネットワーク30について示した図である。本図において、衛星ネットワーク30は、パイロットSS信号31を送信するパイロット送信局33と、通信信号32を送受信する固定局34と、衛星36と、本発明の衛星追尾装置20が搭載された車載局35とから構成される。ここで、パイロット送信局33と固定局34とは、異なる地球局の例で示したが、同一の地球局でパイロットSS信号31の送信と通信信号32の送受信を行うことができるのは勿論のことである。
【0014】パイロットSS信号31は、通信衛星36を経由して、車載局35の高利得アンテナ1で受信される。アンテナ1の具体的な構成としては平面アレーアンテナが用いられる。図3にアンテナ1の指向特性を示す。すなわち、アンテナ素子1a,1bからなり、アンテナ1の指向特性はこれ等アンテナ素子1a,1bの合成指向特性で表わされ、図3の実線Aまたは点線Bで示すファンビームを形成する。本図のごとく、アンテナ1のAZ軸(図3では軸C)方向には鋭い指向性を有し、これと直交するEL軸方向には広い指向性を有する。本アンテナ1としては、図6のアンテナ11よりは高利得なアンテナが形成され、例えば、Ku帯で送信利得30dB、受信利得24.5dBのアンテナ利得が得られる。このため、約2400bpsのデータの送受信が可能となる。
【0015】また、アンテナ1は、送信1面、受信4面で構成される。受信のアレーアンテナには各々移相器2が1枚取り付けられており、受信ビームは1面ずつ時計回りに放射される。ビーム走査は、電子的にビームの位相を制御できるため、高速な走査が可能であり、機械追尾方式に比べ車載局の急激な変化に対応できる。
【0016】アンテナ1で受信されたパイロットSS信号31は、受信周波数変換器4で無線周波数から中間周波数に変換され、逆拡散復調器5に入力される。逆拡散復調器5でベースバンド信号に変換された後、アンテナ制御器18に入力される。なお、逆拡散復調器5の構成については、例えばトリケップス社発行の「スペクトラム拡散通信技術の基礎と応用」(中川正雄監修)の「第5章同期の捕捉と保持」に記載されている。
【0017】受信ビームの指向特性は、移相制御器3からのON、OFF信号で移相器2を制御することにより、一定周波数で切り換えられる。このとき、図4に示すように、衛星36がアンテナ中心軸からΔθずれていると、ビーム1とビーム2との受信レベル差により変調を生じる。この変調周波数は、ビーム切り換え周波数と一致するため、アンテナ制御器18で、ビーム切り換え信号でこの受信信号を同期検波することにより、追尾誤差信号が取り出せる。この信号レベルは、ビームのレベル差であるからビーム近傍では、中心からのずれ角Δθの大小関係と一致し、この誤差信号のレベルより、アンテナ1の衛星からのズレ角がわかる。
【0018】一方、位相の変動からずれている方向が判断でき、これをアンテナ駆動信号19として駆動モータ6に送ることにより、アンテナ1を衛星に指向させることができる。
【0019】一方、シャドウイング時は、GPS受信機15からの自局の位置情報と、ジャイロ16からの自局の進行方向情報と、衛星方向検出器14に記憶されている衛星36の軌道位置情報から、自局から衛星36を指向する方向(方位角と仰角)を計算する。計算値はアンテナ制御器18に入力され、この値に基づいてアンテナ駆動信号19を駆動モータ6に出力し、アンテナ1を衛星方向に駆動させる。
【0020】一定時間のシャドウイングが終わり、衛星が再び視野に入ると、アンテナ1は衛星方向を指向しているため、パイロットSS信号31はある時間の後受信される。逆拡散復調器5では、拡散符号の同期が保持されているため、速やかにパイロットSS信号31の再同期が行われ、上記同様にアンテナ1を衛星に指向させることができる。
【0021】本実施の形態では、パイロットSS信号31の高速引き込みの点から、図5に示すように、通信信号とは別のパイロットSS信号31を用意し、パイロットSS信号31のフレームフォーマットを拡散変調のみにし、かつそのレベルを他のキャリアより高く(S/Nを高く)設定する。通信信号32を追尾に使用する場合、拡散変調と1次変調が一定の割合で混在するフレームフォーマットのため、追尾用の逆拡散復調が完全に終了する前に1次変調が始まると逆拡散復調が正常に行われず、次の拡散変調部分で再度同期をとる必要があり、同期時間の遅延になる。一方、拡散変調のみの場合、先の問題は発生せず1回の逆拡散復調で同期が可能になる。
【0022】通常、切替器17は自動に設定されており、パイロットSS信号31による衛星追尾を優先する。パイロットSS信号31が一定時間、一定レベルで受信できない時は、自動的に衛星方向検出器14が計算した衛星方向にアンテナ1を指向させる。パイロットSS信号31が一定時間、一定レベルで受信されると、再びパイロットSS信号31による追尾に戻る。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、パイロットSS信号とGPS受信機とジャイロの併用により、追尾精度の高い衛星追尾が可能になり、高利得アンテナが使用できるため車載局で音声等の高速データ通信が行える効果を有している。
【0024】さらに、本発明は、通信断にならない程度に電気的にアンテナビームを走査し、受信レベルが最大になる方向にアンテナを指向させるため、機械式追尾に比べ高速追尾が可能であり、機械的にもシンプルな装置にすることができる。従って、車載局の急激な動きに追従できる効果も有している。
【出願人】 【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
【出願日】 平成9年(1997)7月3日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】京本 直樹 (外2名)
【公開番号】 特開平11−23686
【公開日】 平成11年(1999)1月29日
【出願番号】 特願平9−177937