| 【発明の名称】 |
磁気検出方法及び装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】竹内 淳
【氏名】和田 修
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| 【要約】 |
【課題】高い時間分解能で磁場の変化を測定でき、外部からの電磁誘導による雑音の影響を受けにくい磁気測定方法及び装置を提供する。
【解決手段】磁場測定用の半導体10の一方の側に、半導体10に励起光を照射する光励起光源12と、半導体10にパルス光を照射する光パルス光源14とが設けられ、半導体10の他方の側に、透過するパルス光を検出する光検出器16が設けられている。外部磁場により半導体10にゼーマン分裂が起こり、円偏光の励起光によって生じるキャリアスピンの上向きの数と下向きの数との間に差が生ずる。直線偏光のパルス光が外部磁場に平行な方向に透過すると、このスピン分極により、円偏光の右回り成分と左周り成分に差が発生する。光検出器16は、パルス光の右回り成分と左回り成分との差を検出して、磁場の強さを測定する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 光励起された半導体にパルス光を照射し、前記半導体を透過又は反射するパルス光から前記半導体に生じたスピン分極を検出し、検出されたスピン分極に基づいて磁場を測定することを特徴とする磁気検出方法。 【請求項2】 請求項1記載の磁気検出方法において、前記半導体は、量子井戸構造、量子細線構造、又は量子箱構造を含むことを特徴とする磁気検出方法。 【請求項3】 半導体と、前記半導体を光励起する光励起光源と、前記半導体にパルス光を照射する光パルス光源と、前記半導体を透過又は反射するパルス光から前記半導体に生じたスピン分極を検出する光検出手段とを有し、前記光検出手段により検出されたスピン分極により磁場を測定することを特徴とする磁気検出装置。 【請求項4】 請求項3記載の磁気検出装置において、前記半導体は、量子井戸構造、量子細線構造、又は量子箱構造を含むことを特徴とする磁気検出装置。 【請求項5】 請求項3又は4記載の磁気検出装置において、前記半導体は、被測定位置に配置され、前記光励起光源、前記光パルス光源、及び/又は前記光検出手段は、前記被測定位置から離れて配置されていることを特徴とする磁気検出装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は磁気検出方法及び装置に係り、特に、高い時間分解能で磁場を検出することが可能な磁気検出方法及び装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来から、磁気を測定する装置として、コイルを用いたものや、ホール素子を用いたものなど様々な磁気測定装置が提案されている。これら磁気測定装置は、磁界の強さを電気信号に変換するために何らかの磁気電気効果が用いられており、測定された信号を電気回路により増幅等の処理を行っている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】このように、従来の磁気測定装置では、何らかの磁気電気効果を用い、電気回路により信号処理を行っているため、CR時定数や電気回路を構成する電気素子の動作遅延による信号遅延が発生し、高い時間分解能による磁気測定ができないという問題があった。 【0004】また、従来の磁気測定装置では、外部からの電磁誘導による雑音の影響を受けやすく、測定値の信頼性が低いという問題があった。本発明の目的は、高い時間分解能で磁場の変化を測定でき、外部からの電磁誘導による雑音の影響を受けにくい磁気測定方法及び装置を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記目的は、光励起された半導体にパルス光を照射し、前記半導体を透過又は反射するパルス光から前記半導体に生じたスピン分極を検出し、検出されたスピン分極に基づいて磁場を測定することを特徴とする磁気検出方法によって達成される。 【0006】上述した磁気検出方法において、前記半導体は、量子井戸構造でもよいし、量子細線構造でもよいし、量子箱構造でもよい。また、上記目的は、半導体と、前記半導体を光励起する光励起光源と、前記半導体にパルス光を照射する光パルス光源と、前記半導体を透過又は反射するパルス光から前記半導体に生じたスピン分極を検出する光検出手段とを有し、前記光検出手段により検出されたスピン分極により磁場を測定することを特徴とする磁気検出装置によって達成される。 【0007】上述した磁気検出装置において、前記半導体は、量子井戸構造でもよいし、量子細線構造でもよいし、量子箱構造でもよい。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明の第1実施形態による磁気測定装置について図1乃至図3を用いて説明する。図1及び図2は本実施形態による磁気測定装置の原理の説明図であり、図3は本実施形態による磁気測定装置による測定結果を示すグラフである。本実施形態の磁気測定装置には、磁場測定用の半導体10が設けられ、半導体10の一方の側に、半導体10に励起光を照射する光励起光源12と、半導体10にパルス光を照射する光パルス光源14とが設けられ、半導体10の他方の側に、透過するパルス光を検出する光検出器16が設けられている。 【0009】外部磁場により半導体10にゼーマン分裂が起こり、円偏光の励起光によって生じるキャリアスピンの上向きの数と下向きの数との間に差が生ずる。このとき、直線偏光のパルス光が外部磁場に平行な方向に透過すると、このスピン分極により、円偏光の右回り成分と左周り成分に差が発生する。光検出器16は、透過したパルス光の右回り成分と左回り成分との差を検出して、スピン分極の大きさを検出して、磁場の強さを測定する。 【0010】本実施形態では、半導体10としてGaAsが用いられ、光励起光源12として半導体レーザが用いられ、光パルス光源14としてチタンサファイアレーザが用いられている。図2(a)に示すように変化する磁場を測定する場合について説明する。半導体10を測定しようとする外部磁場中に載置し、図2(b)に示すように、光励起光源12から円偏光の励起光を半導体10に連続的に照射して半導体10を励起する。図2(c)に示すように、磁場を測定しようとするタイミングで光パルス光源14から直線偏光のパルス光を半導体10に照射する。光検出器16は、光パルスの透過光の円偏光の右回り成分と左回り成分との差を検出して磁場の強さを測定する。測定された磁場の強さは、図2(d)に示すように、図2(a)に示す磁場の変化に応じた値となる。 【0011】本実施形態の磁気測定装置の時間分解能は、光パルス光源14による光パルスのパルス幅によるが、電気パルスでは実現不可能なパルス幅による高時間分解能の測定が可能である。例えば、本実施形態では100フェムト秒のパルス幅の光パルスにより測定することができた。また、光パルスのパルス幅を短くすれば、光パルスのピーク値を大きくすることができ、信号感度を大幅に上昇させることができる。 【0012】なお、光励起光源12からの励起光としては、半導体10を光励起することができれば、連続光ではなくパルス光でもよい。図3を用いて、本実施形態の磁気測定装置の時間分解能について説明する。本実施形態の磁気測定装置では、磁場測定用の半導体10の材料により応答速度が異なる。図3に半導体10の材料に対するスピン緩和時間の変化を示す。図3(a)に示すように、測定される磁場の強さが1(任意単位)から0に変化した場合、半導体10の材料により、図3(b)〜(e)に示すように、スピン緩和時間が異なる。 【0013】図3(b)は、上述したように、半導体10としてバルクのGaAs基板を用いた場合である。図3(b)に示すように、スピン緩和時間は約50〜80ピコ秒であった。図3(c)は、半導体10として量子井戸構造の半導体材料、具体的には、InGaAs/InP量子井戸構造の半導体材料を用いた場合である。InP基板上にMOCVD法によりInP層とInGaAs層を交互に3回積層して、InGaAs/InP量子井戸構造を作成した。図3(c)に示すように、スピン緩和時間は約10ピコ秒であった。 【0014】図3(d)は、半導体10として量子細線構造の半導体材料を用いた場合である。GaAs基板上に、分子線エピタキシー法(MBE法)により量子細線構造を形成した。(001)2度オフGaAs基板上に、AlGaAsスペーサー層を成長する。続いて、(AlGaAs)1/2(GaAs)1/2分数層の超格子を成長し、その後、AlGaAs層を成長することにより、量子細線構造を埋め込んだ。この量子細線構造の製造を3回繰り返した後、再び、AlGaAsバッファ層を成長し、更に、その上にAlGaAsスペーサー層、GaAsキャップ層を成長した。図3(d)に示すように、スピン緩和時間は約25ピコ秒であった。 【0015】図3(e)は、半導体10として量子箱構造の半導体材料を用いた場合である。GaAs基板上に、分子線エピタキシー法(MBE法)により量子箱構造を形成した。GaAs基板上に、AlGaAsスペーサー層を成長する。続いて、GaAsバッファ層を成長し、成長を中断した後に表面を平滑化した。次に、InAsを、成長温度520℃、成長速度90nm/hourの条件で2.5原子層成長し、再び成長を中断した。その後、再びGaAs層を成長して、量子箱構造を埋め込んだ。この量子箱構造の製造を3回繰り返した後、再び、GaAsバッファ層を成長し、その上にGaAsキャップ層を成長した。図3(e)に示すように、スピン緩和時間は約15ピコ秒であった。 【0016】このように、磁場測定用の半導体材料を選択することにより、より高速のスピン緩和が実現でき、更に高い時間分解能の磁気測定が可能である。本発明の第2実施形態による磁気測定装置について図4を用いて説明する。図4は本実施形態による磁気測定装置の原理の説明図である。図1に示す第1実施形態の磁気測定装置と同一又は同種の構成要素には同一の符号を用いて説明を省略する。 【0017】本実施形態の磁気測定装置は、パルス光の透過光ではなく反射光を用いて磁場を測定している点に特徴がある。磁場測定用の半導体10の下面には反射膜10aが形成されている。半導体10の上方に、半導体10に励起光を照射する光励起光源12と、半導体10にパルス光を照射する光パルス光源14とが設けられ、同じく半導体10の上方に、反射するパルス光を検出する光検出器16が設けられている。その他の構成は第1実施形態と同様である。 【0018】磁場を測定する場合には、半導体10を測定しようとする外部磁場中に載置し、光励起光源12から円偏光の励起光を半導体10に連続的に照射して半導体10を励起する。磁場を測定しようとするタイミングで光パルス光源14から直線偏光のパルス光を半導体10に照射する。光検出器16は、光パルスの反射光の円偏光の右回り成分と左回り成分との差を検出して磁場の強さを測定する。 【0019】このように本実施形態によれば、磁場測定用の半導体の一方の側にのみ測定用部材を設け、他方の側には測定用部材を設ける必要がないので、磁場を発生している測定対象に半導体を近接することができる。例えば、本実施形態の磁気測定装置を磁気ヘッドとして用いる場合には、磁気測定用の半導体を磁気ディスクに近接することができ、測定感度を向上することができる。 【0020】本発明の第3実施形態による磁気測定装置を図5及び図6を用いて説明する。図5は本実施形態の磁気測定装置の構成図であり、図6は本実施形態の磁気測定装置による測定結果を示すグラフである。本実施形態の磁気測定装置は、書き込み用の磁気ヘッドが発生する磁場変化をモニターするものである。ハードディスク装置の記憶容量の増大に伴い、書き込み用の磁気ヘッドの高速化がはかられている。磁気ヘッドの高速化に伴い、磁気ヘッドにより実際に生じる磁界の時間変化の測定が困難であり、磁気ヘッドの開発段階でのデータが得られず、最適な設計が行えないことがある。本実施形態の磁気測定装置によれば、非常に高い時間分解能での磁場の測定が可能であるため、磁気ヘッドによる高速の磁界変化や磁界の微小なノイズ成分や振動成分を精度よく測定することができる。 【0021】磁場測定される磁気ヘッド20は磁気ヘッド駆動装置22により駆動される。磁気ヘッド駆動装置22は、パターンジェネレータ24により、図6(a)に示すように、100MHzの周期Tで繰り返す一定のパターンの磁場を発生するように、磁気ヘッド20を駆動する。パターンジェネレータ24は、トリガー回路26から出力されるトリガーパルスに同期して磁場のパターンを出力する。 【0022】磁気測定用の半導体30は、磁気ヘッド20直下に位置させる。円偏光発生装置32は連続的に円偏光を発生し、半導体30の下面から照射して光励起する。光パルス発生装置34は、パルス幅が100フェムト秒の光パルスを発生し、半導体30の上面から照射する。光パルス発生装置34が光パルスを発生するタイミングは、図6(b)に示すように、時間遅延回路36によりトリガーパルスからΔtだけ遅延したタイミングである。半導体30を透過した光パルスは、4分の1波長板38を透過し、偏光子40により縦偏光成分と横偏光成分に分離され、それぞれ光検出器42a、42bにより検出される。差分アンプ44は、光検出器42a、42bにより検出された縦偏光成分(A)と横偏光成分(B)の差分(A−B)を検出する。この差分の値が測定された磁場の強度となる。 【0023】時間遅延回路36による遅延時間Δtを0からTまで変化させて、磁場の強さを測定すると、図6(c)に示すような磁場の測定結果が得られる。このように本実施形態によれば非常に高い時間分解能により磁場測定が可能であり、磁気ヘッドによる高速の磁界変化や磁界の微小なノイズ成分や振動成分を精度よく測定することができる。 【0024】本発明の第4実施形態による磁気測定装置を図7及び図8を用いて説明する。図7は本実施形態の磁気測定装置の構成図であり、図8は本実施形態の磁気測定装置による測定結果を示すグラフである。図7に示す第3実施形態の磁気測定装置と同一又は同種の構成要素には同一の符号を用いて説明を省略する。本実施形態の磁気測定装置は、パルス光の出力タイミングを遅延させるのに、電気的な時間遅延回路ではなく光学的手段を用いている点に特徴がある。光学的手段を用いることにより電気回路のCR時定数等の原因により発生する信号遅延を回避しようとしている。 【0025】光パルス発生装置34と半導体30の間に、半導体30への光路長を変化する光学的時間遅延手段46を設けている。光学的時間遅延手段46は、光路長を変化させることにより遅延時間を変化する。磁気ヘッド20と磁気ヘッド駆動回路22の間に、光パルスにより駆動する光導電スイッチ48を設けている。光パルス発生装置34から発生した光パルスがビームスプリッタ50により分離され、光導電スイッチ48に入力する。 【0026】光パルス発生装置34から図8(a)に示すような光パルスが発生すると、光導電スイッチ48は、図8(b)に示すように応答する。このため、磁気ヘッド20からは図8(c)のような磁場が発生する。プローブ用の光パルスは、図8(c)に示すように、光学的遅延手段48による遅延時間Δtだけ遅延して、半導体30に照射される。差分アンプ44からはプローブ用の光パルスが発生したときの磁場の強さに応じた出力信号が得られる。光学的時間遅延手段48による遅延時間Δtを0からTまで変化させて、磁場の強さを測定すると、図8(e)に示すような磁場の測定結果が得られる。 【0027】このように本実施形態によれば、光パルスの照射時間を光学的手段により遅延したので、原理的にCR時定数による信号遅延がなく、更に高い時間分解能の磁場測定が可能である。本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、磁気ヘッドの磁場測定に本発明を適用したが、測定用の半導体は被測定物の近くに置く必要があるが、光励起光源、光パルス光源、光検出手段等の測定機器は被測定物の近くに置かなくてもよいので、高圧送電線の作る磁場中に測定用半導体を設置して遠隔から測定を行うことによる送電線の落雷時サージ電流による磁気の検出や、その他高温等の過酷な環境における磁気の検出等の遠隔で行う磁気測定に本発明を適用してもよい。 【0028】 【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、光励起された半導体にパルス光を照射し、前記半導体を透過又は反射するパルス光から前記半導体に生じたスピン分極を検出し、検出されたスピン分極に基づいて磁場を測定するようにしたので、外部からの電磁誘導による雑音の影響を受けることなく、高い時間分解能で、かつ遠隔からでも磁場変化を測定することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005223 【氏名又は名称】富士通株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月20日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】北野 好人
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| 【公開番号】 |
特開平11−271412 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)10月8日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−71116 |
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