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【発明の名称】 電池トレイ及び電池の試験方法
【発明者】 【氏名】香坂 幸次

【要約】 【課題】電池製造工程で多数個の電池を搬送するための電池トレイにおいて、電池の試験工程で充電や測定などの作業がスムーズに行なえるようにし、生産性を向上させる。

【解決手段】電池トレイ1に、多数個の電池10を一定のピッチで収納する電池収納部2を形成する仕切壁3と、各電池収納部2において電池10を位置決めする寄せリブ4と、各電池収納部2において電池10の試験(充電、測定)用の端子が挿入される挿入穴5と、を設けた構造とする。電池の試験工程では、電池トレイ1の仕切壁3や寄せリブ4の形状をCCDカメラ等の撮像手段で撮像してパターン認識することにより電池の種類を識別し、その電池に応じた試験条件を設定するようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電池製造工程において多数個の電池を搬送するための電池トレイであって、多数個の電池を一定のピッチで収納する電池収納部を形成する仕切壁と、各電池収納部において上記仕切壁から突出して設けられ、電池を所定の収納位置に位置決めする寄せリブと、各電池収納部において底部に設けられ、電池の試験用の端子が挿入される挿入穴と、を有してなる電池トレイ。
【請求項2】 多数個の電池を一定のピッチで収納する電池収納部を形成する仕切壁と、各電池収納部において上記仕切壁から突出して設けられ、電池を所定の収納位置に位置決めする寄せリブと、を有してなる電池トレイを用いて多数個の電池を搬送するようにした電池製造工程において、上記トレイの仕切壁や寄せリブの形状を撮像手段で撮像してパターン認識することにより電池の種類を識別し、その電池に応じた各種の試験条件を設定するようにした電池の試験方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電池の製造工程において用いられる電池トレイ及び電池の試験方法に関する。
【0002】
【従来の技術】各種電子機器のバッテリーに用いられるリチウム電池の製造工程においては、電池の組み立て工程の後に、電池の性能(品質)をチェックする試験工程がある。
【0003】即ちこの電池の試験工程は、組み立て工程において組み立てられた電池に充電を行ない、その後に電圧、インピーダンス、温度などを測定し、不良な電池の場合はこれを取り除き、正常な電池の場合は放電を行なった後、これを完成品とするものである。
【0004】この電池の試験工程では、多数個の電池がコンベアに載せられて搬送され、充電、測定、放電の各工程に連続的に供給される。この電池の搬送には、量産性を考慮して、一度に多数個の電池を収納して搬送できる電池トレイが用いられるが、従来用いられている電池トレイは単に多数個の電池を収納できるようにしただけのものであり、特に電池の試験工程での利便性を考慮した構造とはなっていなかった。
【0005】また、電池は複数の種類(円筒型、角型、及び夫々の型で大きさの異なるもの)があり、その種類によって試験条件例えば充電時の電流、電圧、充電時間などが異なる。
【0006】この場合従来の試験工程では、人がその都度電池の種類を目視によって確認し、それに応じた試験条件を設定するようにしていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のように従来用いられていた電池トレイは、単に多数個の電池を収納できるようにしただけのものであり、特に電池の試験工程での利便性を考慮した構造とはなっていなかったため、電池の試験工程において充電や測定などの作業をスムーズに行なうことができず、生産性の面で問題があった。
【0008】また従来の試験工程では、その都度電池の種類を人が目視で確認して試験条件を設定するようにしていたため、作業効率が悪く、生産性をさらに低下させていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために本発明は、電池製造工程で多数個の電池を搬送するための電池トレイにおいて、多数個の電池を一定のピッチで収納する電池収納部を形成する仕切壁と、各電池収納部において仕切壁から突出して設けられ、電池を所定の収納位置に位置決めする寄せリブと、各電池収納部において底部に設けられ、電池の試験用の端子が挿入される挿入穴と、を有してなる電池トレイを提供するものである。
【0010】また本発明による電池の試験方法は、多数個の電池を一定のピッチで収納する電池収納部を形成する仕切壁と、各電池収納部において仕切壁から突出して設けられ、電池を所定の収納位置に位置決めする寄せリブと、を有してなる電池トレイを用いて多数個の電池を搬送するようにした電池製造工程において、トレイの仕切壁や寄せリブの形状を撮像手段で撮像してパターン認識することにより電池の種類を識別し、その電池に応じた各種の試験条件を設定するようにしたものである。
【0011】上記の如き本発明による電池トレイは、多数個の電池が一定のピッチで整然と並んだ状態で収納され、また各電池収納部の底部には電池の試験用の端子が挿入される挿入穴が設けられているので、電池の試験工程において充電や測定などの作業がスムーズに行なわれ、生産性が向上する。
【0012】また本発明による電池の試験方法では、トレイの仕切壁や寄せリブの形状を撮像手段で撮像してパターン認識することにより電池の種類を識別し、その電池に応じた試験条件を設定するようにしたことで、電池の試験工程における作業効率が大幅に改善され、生産性がさらに向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態例について詳細に説明する。先ず、図1〜図4において本発明による電池トレイの一例を説明する。尚、ここでは円筒型の電池を多数個収納する電池トレイを例示してある。
【0014】図1は電池トレイ1を全体として示しており、この電池トレイ1は上面側を開放した矩形筐状に形成され、その中に多数個の電池10が起立状態で収納されるようになっている。
【0015】図2に示す如く、電池トレイ1には多数個の電池10を一定のピッチで収納する電池収納部2が設けられている。この電池収納部2は、X方向(図2において横方向)とY方向(縦方向)とに夫々一定のピッチaで形成されており、この電池収納部2に電池10が一個ずつ収納されるようになっている。
【0016】電池トレイ1には図3に示すように仕切壁3が設けられ、この仕切壁3によって四方を囲まれるようにして正方形状の電池収納部2が形成されている。尚、仕切壁3の高さは、図4で明らかな如く電池トレイ1の深さの半分程度に形成されている。
【0017】各電池収納部2においては、電池10を所定の収納位置に正確に位置決めするための寄せリブ4が仕切壁3から中心に向かって突出形成されている。
【0018】本例ではこの寄せリブ4は四方の仕切壁3から夫々2本ずつの計8本が設けられており、電池収納部2に挿入された電池10はこの8本の寄せリブ4によって中央に寄せられる状態で所定の収納位置にガタつくことなく確実に収められる。
【0019】尚、電池10には大きさの異なるものが複数種類あり、例えば本例に示した円筒型の電池には径が17mmと18mmの二種類のものがあるが、この電池の径の違いには、寄せリブ4の突出寸法bを変えることにより容易に対応できるものである。
【0020】また、寄せリブ4は上部を傾斜状にカットした形状に形成されており、これによって電池10をスムーズに挿入できる構造となっている。
【0021】さらに各電池収納部2においては、その底部の中心に挿入穴5が設けられており、後述するようにこの挿入穴5から電池の試験用(充電及び測定用)の端子が挿入されるようになっている。
【0022】図5〜図7は電池トレイの他の形状例を示す。本例に示す電池トレイは、角型の電池を多数個収納するものである。尚、ここで前述した図1〜図4の円筒型電池用の電池トレイと対応する部分には同一符号を付しその説明は省略する。
【0023】本例の電池トレイ1が前述した円筒型電池用のトレイと異なる点を説明すると、本例の電池トレイ1では電池収納部2の形状が角型電池の形状に対応した長方形状に形成されていると共に、この電池収納部2は電池10を45°傾けた状態で収納する形状となっている。また本例の電池トレイ1における寄せリブ4は、仕切壁3の長辺側から夫々2本、短辺側から夫々1本の計6本が設けられている。
【0024】本例の角型電池用の電池トレイ1は、前述した円筒型電池用のトレイと外形寸法が同一であり、また電池収納部2のピッチaも同一となっている。これにより、電池の試験工程での設備を円筒型電池用と角型電池用とで共通化できるものである。
【0025】次に電池トレイの材質について説明する。電池トレイ1は、プラスチックを材料とした射出成形品である。その材質としては一般にはPP(ポリプロピレン)が用いられるが、電池が異常発熱した際の火災防止策として、PPより燃えにくい難燃PPの使用が考えられる。
【0026】しかしながら、難燃PPの場合、60℃以上の環境下では難燃PPに含まれる臭化水素系難燃材が粉体物質を発生させて電池に悪影響を与えるおそれがあるため、ここでは特にPPS(ポリフェニレンサルファイド)を使用する。
【0027】このPPSは臭化水素系難燃材を含んでいないため、60℃以上の環境下でも粉体物質が発生することはないので、電池に悪影響を及ぼすことはない。またこのPPSは、難燃度を示すUL94規格において最も燃えにくい5V相当であることが接炎難燃試験により確認済みであるため、火災防止の対策をより強化できるものである(難燃試験法UL94の規格は、燃え易い順にHB,V2,V1,V0、そして最も燃えにくい5Vまでの5段階がある。ちなみに、PPはHBレベル、難燃PPはV0レベルである)。
【0028】続いて、以上の如き電池トレイが使用される電池の製造工程における電池の試験工程について図8及び図9を参照しながら説明する。尚、ここでは電池10として円筒型電池の場合を例示してある。
【0029】電池の組み立て工程において組み立てられた電池10は、コンベアにて先ずトレイローダー工程に供給される。このトレイローダー工程において電池10は、図8に示す如く複数本(この例では4本)ずつチャックユニット20でチャッキングされる。ここでチャッキングされる電池10のピッチは、電池トレイ1の電池収納部2のピッチaと対応している。
【0030】そしてこのチャッキングされた電池10は、予め所定の位置に位置決めされた電池トレイ1の電池収納部2にロボットによって上方から挿入される。この動作を何度か繰り返して電池トレイ1の全ての電池収納部2に電池10が収納されるとトレイローダー工程が終了し、その後電池トレイ1はコンベアに載せられて次の充電工程に搬送される。
【0031】充電工程では、図9に示す如く固定台21の上に電池トレイ1が位置決めされ、その状態で電池トレイ1の上方から充電用の負極側端子22が電池10の負極の中心部に接触すると共に、電池トレイ1の下方から充電用の正極側端子23が挿入穴5を通って電池10の正極の中心部に接触する。尚、ここで端子22,23は夫々バネ24,25の力によって電池10に対し弾性的に押し当てられるようにして確実に接触する構造となっている。
【0032】このように充電用の端子22,23が電池10に接触した状態で端子22,23から電池10に電流が供給されて充電が行なわれ、充電終了後には端子22,23が電池10から離されて電池トレイ1はコンベアによって所定の保管庫まで搬送される。そして保管庫で所定の時間が経過した後、電池トレイ1は再びコンベアに載せられて次の測定工程に搬送される。
【0033】測定工程では、前述した充電工程と同様にして、図9に示すように固定台21の上に電池トレイ1が位置決めされ、その状態で電池トレイ1の上方から測定用の負極側端子22が電池10の負極の中心部に接触すると共に、電池トレイ1の下方から測定用の正極側端子23が挿入穴5を通って電池10の正極の中心部に接触し、この状態で電圧、インピーダンスなどの測定が行なわれる。また測定工程においては、この他に電池10の温度監視なども行なう。
【0034】そしてこの測定工程において不良な電池即ち測定値が一定の基準を外れた電池が発見された場合は、その電池を電池トレイから取り除く。その後、残りの正常な電池が収納されている電池トレイ1はコンベアによって次の放電工程まで搬送される。
【0035】放電工程では、放電装置の棚の上で電池トレイ1を所定の時間放置することにより、電池10に充電された電気を空気中に自然放電させる。
【0036】こうして電池の製造工程における電池の試験工程(充電、測定、放電)が全て終了した後、これを完成品の電池として出荷する。
【0037】以上の如き電池の試験工程において使用される電池トレイ1は、多数個の電池10が一定のピッチで整然と並んだ状態で収納され、また各電池収納部2の底部には電池10の充電及び測定用の端子22,23が挿入される挿入穴5が設けられているので、電池の試験工程において充電や測定などの作業がスムーズに行なわれ、生産性が向上する。
【0038】またこの電池トレイ1は、寄せリブ4の突出寸法bを変えるだけで複数種類の電池を収納できるので、電池の多品種化に容易に対応することができる。
【0039】そしてこの電池トレイ1では、上記のように複数種類の電池を夫々一定のピッチで並べた状態で収納できることにより、電池の試験工程の各工程(トレイローダー工程、充電工程、測定工程、放電工程)での設備を電池の種類ごとに設ける必要がなく、各工程における最小の設備での生産が可能となる。
【0040】ところで、前述した如き電池の試験工程においては、電池10の種類によって試験条件が異なる。例えば、例示した円筒型電池には径が17mmと18mmの二種類のものがあり、この17mm径の電池と18mm径の電池の充電時の条件は表1に示すようになっている。
【0041】
【表1】

【0042】この表1から明らかなように、17mm径の電池と18mm径の電池とでは、充電電圧と充電時間は同一であるも、充電電流において条件が大きく異なっている。
【0043】従来の電池の試験工程では、人がその都度電池の種類を目視によって確認し、それに応じた充電条件を設定するようにしていたため、作業効率が悪く生産性が低かった。
【0044】そこで本例においては、図10に示す如く予め電池トレイ1の仕切壁3や寄せリブ4の形状を撮像手段であるCCDカメラ30によって撮像し、これをコンピュータでパターン認識することにより電池の種類を識別し、その電池に応じた充電条件を自動的に設定するようにしてある。
【0045】即ち、コンピュータのメモリには電池トレイ1の仕切壁3や寄せリブ4の形状パターンが電池の種類別に記憶されており、これに基づいてコンピュータはCCDカメラ30で撮像した仕切壁3や寄せリブ4の形状のパターンを認識して電池の種類を識別する。そしてコンピュータは、識別した電池の種類に応じて表1に示したような電池の充電条件を設定し、これを実行するようにシステムの制御を行なう。
【0046】このようにすることにより、電池の試験工程における作業効率が従来に比べて大幅に改善され、生産性をさらに向上させることができるものである。
【0047】以上、本発明の実施の形態例について説明したが、本発明はこの例に限ることなく他にも種々の実施形態を採り得るものであることは言うまでもない。
【0048】
【発明の効果】以上に説明した如く本発明による電池トレイは、多数個の電池が一定のピッチで整然と並んだ状態で収納され、また各電池収納部の底部には電池の試験用の端子が挿入される挿入穴が設けられているので、電池の試験工程において充電や測定などの作業がスムーズに行なわれ、生産性が向上する。
【0049】また本発明による電池の試験方法では、トレイの仕切壁や寄せリブの形状を撮像手段で撮像してパターン認識することにより電池の種類を識別し、その電池に応じた試験条件を設定するようにしたことで、電池の試験工程における作業効率が従来に比して大幅に改善され、生産性がさらに向上する。
【出願人】 【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月23日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】松隈 秀盛
【公開番号】 特開平11−271409
【公開日】 平成11年(1999)10月8日
【出願番号】 特願平10−74417