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【発明の名称】 二次電池の劣化検出方法及び劣化検出機能を具備した充電器
【発明者】 【氏名】宇賀治 正弥

【氏名】世利 肇

【氏名】中尾 武寿

【氏名】山田 義則

【氏名】竹山 健一

【要約】 【課題】従来、二次電池の劣化度合いを高精度に検知する方法がなかった。

【解決手段】定電流定電圧充電により充電を行う二次電池において、定電流充電時の充電容量を求め、前記充電容量と電池容量の相関関係から二次電池の劣化度合いを推定する、また、充電開始後、定電圧充電に切り替わった直後の電流降下量を測定し、前記電流降下量と電池容量との相関関係から二次電池の劣化度合いを推定する、また、充電開始後、定電流充電から定電圧充電に切り替わった後の電流変化率または電流値から二次電池の劣化度合いを推定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被検二次電池を規定電流値で定電流充電し、前記充電により前記二次電池の閉路電圧が規定値に到達した後、連続して前記電池の閉路電圧を前記規定電圧値に維持する定電流定電圧充電行程において、前記定電流充電時の充電容量を測定し、前記充電容量と前記電池の定格容量の相関関係から前記電池の劣化の度合いを推定することを特徴とする二次電池の劣化検出方法。
【請求項2】 被検二次電池を規定電流値で定電流放電し、前記定電流放電により前記二次電池の閉路電圧が規定電圧値に到達した後、前記二次電池を規定電流値で充電する操作を施した時、前記定電流充電の開始時から前記二次電池の閉路電圧が規定電圧値に到達するまでの充電容量を測定し、前記充電容量と前記電池の定格容量の相関関係から前記電池の劣化の度合いを推定することを特徴とする二次電池の劣化検出方法。
【請求項3】 被検二次電池を規定電流値で定電流充電し、前記二次電池の閉路電圧が規定値に到達した後、連続して前記電池の閉路電圧を前記規定値に維持する定電圧充電において、前記定電流充電により前記二次電池の閉路電圧が規定値に到達し、充電方法が前記定電圧充電に切り替わった後の前記電池に流れる電流降下量を測定し、前記電流降下量と前記電池の定格容量との相関関係から二次電池の劣化度合いを推定することを特徴とする二次電池の劣化検出方法。
【請求項4】 被検二次電池を規定電流値で定電流充電し、前記二次電池の閉路電圧が規定値に到達した後、連続して前記電池の閉路電圧を前記規定値に維持する定電圧充電において、前記定電流充電により前記二次電池の閉路電圧が規定値に到達し、充電方法が前記定電圧充電に切り替わった後の前記電池に流れる電流変化率から前記電池の劣化度合いを推定することを特徴とする二次電池の劣化検出方法。
【請求項5】 被検二次電池を所定の電流値で充電し、前記二次電池の電圧が所定値に到達した後、連続して前記電池の電圧を前記所定の電圧値に維持する充電を行う定電流定電圧充電において、充電開始後、定電流充電から定電圧充電に切り替わった後の前記被検電池に流れる電流値を測定し、前記電流値と二次電池の電池容量との相関関係から二次電池の劣化度合いを推定することを特徴とする二次電池の劣化検出方法。
【請求項6】 請求項1、2、3、4、または5記載の劣化検出機能を具備したことを特徴とする充電器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウムイオン二次電池などの二次電池の劣化の度合いを検出する方法と、このような劣化検出機能を具備した充電器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、ノート型パソコン、ビデオカメラ等の電子機器の電源として高容量二次電池が急速に普及しつつある。しかしながら、これらの二次電池は極端な高温環境下で保存したり、過度な充放電サイクルを繰り返すと、電池特性の劣化が起こる場合がある。このような劣化を起こした電池では、例え所定の方法で充電を行っても、初期の電池容量まで回復しないことが多い。
【0003】このような電池特性の劣化は、高温環境下での保存時間や充放電サイクル数に大きく依存しており、保存時間や充放電サイクル数の増加と伴に、徐々に電池の劣化度合いは増していく。このため、電池の劣化度合いを正確に測定し、満充電の電池容量の補正を行うことは実用上不可欠である。
【0004】しかし、現在のところ、劣化度合いを充分に検知している例はなく、多くの場合、電池特性の劣化を大まかに検知し推定しているに過ぎない。これまで提案された二次電池の劣化検出方法は、以下に記載した方法に大別できる。
(1)電池の内部インピーダンスを計測する方法:特開昭53−42327、特開昭61−170678、特開平1−253175、特開平4−141966、特開平8−254573、特開平8−273705。
(2)電池の内部インピーダンスを周波数の異なる信号で測定し、その値を演算式に従って処理する方法:特開平8−43506,特開平8−250159。
(3)電池の構成要素である活物質の電気抵抗を測定する方法:特開昭56−103875。
(4)所定の電流を通電したときの電圧を測定し、それを予め定めた基準値と比較する方法:特開昭59−48661、特開平3−95872、特開平8−254573、特開平8−55642、特開平9−33620。
(5)充放電のサイクル数をカウントする方法:特開平5−74501、特開平6−20724。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の(1)から(4)に記載した劣化検出方法では、電池特性の劣化は、当然その使用方法、使用環境などにより大きく依存しており、これらをまとめて普遍的に把握することが難しいという課題がある。また、以上の劣化検出方法を用いると、機器使用中または充電作業中での測定が困難であり、電池の充放電を一時中止し、別途特定の操作を行い、劣化度合いの検出を行う必要がある。
【0006】また、上述の(5)に記載した検出方法では、充放電のサイクル数を単純にカウントしても、浅い充放電の繰り返しと完全放電に近い深い充放電の繰り返しとでは、同じ充放電サイクルを経た電池であってもその性能が異なり、正確に劣化度合いを推定することは当然困難である。
【0007】
【課題を解決するための手段】懸かる課題に鑑み、本発明の二次電池の劣化検出方法では、被検二次電池を規定電流値で定電流充電し、前記充電により前記二次電池の閉路電圧が規定値に到達した後、連続して前記電池の閉路電圧を前記規定電圧値に維持する定電流定電圧充電行程において、前記定電流充電時の充電容量を測定し、前記充電容量と前記電池の定格容量の相関関係から前記電池の劣化の度合いを推定する。
【0008】また、被検二次電池を規定電流値で定電流放電し、前記定電流放電により前記二次電池の閉路電圧が規定電圧値に到達した後、前記二次電池を規定電流値で充電する操作を施した時、前記定電流充電の開始時から前記二次電池の閉路電圧が規定電圧値に到達するまでの充電容量を測定し、前記充電容量と前記電池の定格容量の相関関係から前記電池の劣化の度合いを推定する。
【0009】また、被検二次電池を規定電流値で定電流充電し、前記二次電池の閉路電圧が規定値に到達した後、連続して前記電池の閉路電圧を前記規定値に維持する定電圧充電において、前記定電流充電により前記二次電池の閉路電圧が規定値に到達し、充電方法が前記定電圧充電に切り替わった後の前記電池に流れる電流降下量を測定し、前記電流降下量と前記電池の定格容量との相関関係から二次電池の劣化度合いを推定する。
【0010】また、被検二次電池を規定電流値で定電流充電し、前記二次電池の閉路電圧が規定値に到達した後、連続して前記電池の閉路電圧を前記規定値に維持する定電圧充電において、前記定電流充電により前記二次電池の閉路電圧が規定値に到達し、充電方法が前記定電圧充電に切り替わった後の前記電池に流れる電流変化率から前記電池の劣化度合いを推定する。
【0011】また、被検二次電池を所定の電流値で充電し、前記二次電池の電圧が所定値に到達した後、連続して前記電池の電圧を前記所定の電圧値に維持する充電を行う定電流定電圧充電において、充電開始後、定電流充電から定電圧充電に切り替わった後の前記電池に流れる電流値を測定し、前記電流値と二次電池の電池容量との相関関係から二次電池の劣化度合いを推定する。
【0012】さらに、以上の劣化検出機能を充電器に具備することにより、効果的に充電を行うことが出来る。
【0013】
【発明の実施の形態】現在、電子機器の高性能化、小型化に伴い、それらの電源機器の電源として小型で高容量なリチウムイオン二次電池が使用されている。ところが、現在のリチウムイオン二次電池は、極端な高温環境下で保存したり、過大な充放電サイクルを繰り返した場合、電池特性の劣化を引き起し、その後、例え所定の充電を行ったとしても、最初の電池容量まで回復しないという現象が生じる。
【0014】このような劣化の原因は、電池内活物質の劣化や電解液の分解などが原因と考えられる。劣化現象は、電池内での電極反応と密接に絡み合っているため、劣化が起こると二次電池の充放電挙動は大きく影響を受ける。
【0015】現在市販されてるリチウム二次電池の充電方法は、電池電圧が設定値に達するまで定電流で充電し、その後、この設定電圧に電池電圧を維持し、所定時間または充電電流が所定値にまで減少したとき、充電完了とするいわゆる定電流定電圧充電方法が採用されている。上記充電方法では、通常の定電圧時の設定電圧は、4.1V〜4.2Vが採用されている。
【0016】リチウムイオン電池を、極端な高温環境下で放置したり、過大な充放電サイクルを繰り返すと、容量劣化が起こる。この時、上述の充電方法により充電すると、定電流充電時の電圧は、容量劣化を起こす前のものに比べ、電圧の増加率が大きくなり、より早く所定電圧に到達する。これは、前述に示したように、電池内活物質の劣化や、電解液の分解などにより電池内の電気化学的な分極電圧が増加したことに対応しており、この現象を利用すると、定電流充電時の充電容量から電池の劣化度合いが推定できる。
【0017】通常、定電流定電圧充電方式を採用すると、充電を行い、定電流充電から定電圧充電に切り替わった後は、実際に流れる電流は徐々に減少し、所定の電流値にまで減少したとき、充電行程は完了する。この定電圧充電時の電流挙動、特に電流変化率は、前述のように電池の劣化度合いに対応している。従って、劣化度合いが増加すれば電流変化率は大きく変わるため、逆に、定電圧充電時の電流変化率から電池の劣化度合いを推定することができる。
【0018】また、劣化度合いが更に増した場合、充電を開始するとごく短時間に設定上限電圧に達し、定電圧充電に切り替わる。この時、流れる電流値は、劣化度合いに対応しおり、定電流充電から定電圧充電に切り替わった際、電池の分極電圧に相当する分の、いわゆる電流値のドロップ(電流降下)が現れる。この現象は電池の劣化に起因し、例えば、活物質量の減少、電池内のリチウムイオンの拡散が速やかに行われていないことなどによるもので、この電流値のドロップも劣化度合いに依存して変化する。したがって、定電流充電時の充電容量が求められない場合でも定電圧充電時のドロップ、又はドロップ後の電流値から、電池の劣化度合いが推定できる。
【0019】上記のようにいずれの場合でも、充電時に測定を行えるので、測定条件が統一されるため、測定値の比較が容易になる。
【0020】以下の実施例に於いて本発明の劣化検出方法を具体的に記述する。
(実施例1)被検電池の劣化を促進させるため、85℃の雰囲気中で、0時間、1週間、2週間、3週間の合計4種類の高温保存を行った。これらの電池に対し、本発明による二次電池の劣化検出測定を行い、本発明の検出方法の有効性を検証した。評価方法を以下に示す。
【0021】被検電池は、公称放電容量720mAh、公称電圧3.6Vのリチウムイオン電池を用いた。充電条件は本電池の推奨充電方法である定電流−定電圧充電法に従い、定電流500mAを通電し、定電圧4.1Vに達したところで定電圧4.1Vに維持するという方法で合計2時間で充電終了とし、この状態を電池残存容量100%とした。
【0022】高温保存は、電池残存容量100%の状態で85℃で保存し、保存時間は0時間、1週間、2週間、3週間の計4種類の時間で行った。
【0023】次に、上述の保存終了後、各電池に対して放電試験を行った。試験方法は、上述の保存を経た各電池に対して、144mAの定電流で放電を行い、3.0Vの放電停止電圧までの容量を測定した。以上の放電試験は20℃の恒温槽内で行った。
【0024】図1に前記放電試験の結果を示した。図1において、縦軸は電圧を、また横軸は720mAhを100%として放電容量を示した。図1より、85℃での保存時間が、1週間、2週間、3週間と増加するのに伴い、電池容量が徐々に減少し劣化が進んでいることが示された。
【0025】次に、これらの電池に対して、充電を行った。充電方法は前述の通り、定電流−定電圧充電法に従い、定電流500mAを通電し、定電圧4.1Vに達したところで定電圧4.1Vに維持するという方法で合計2時間で充電終了とした。その結果を図2に示した。図2では、前記充電行程における、定電流充電時の電池電圧の変化を示した。図2において、縦軸は電圧を、また横軸は720mAhを100%として充電容量を示した。
【0026】図2より、保存時間が1週間、2週間、3週間と増加していくに伴い、定電流充電時の電圧の立ち上がりが大きくなることが判明した。この結果により、前述の高温保存を経た電池を充電すると、定電流充電から定電圧充電に切り替わる時間が短くなり、定電流充電時の充電容量が徐々に減少することを見出した。
【0027】この結果と、図1に示した結果を合わせて考慮すると、高温保存により電池の放電容量は劣化し、この様子は懸かる電池を定電流で充電すると、充電時間に対する電池電圧の増加率で、逆に検知できるものであった。
【0028】つぎに、上述の充電において、定電流充電行程の後の、低電圧充電時の充電容量を測定し、表1に記載した。表1には、高温保存時間、放電容量、定電流充電時の充電容量、定電圧充電時の充電容量、及び劣化度合いを併せて記載した。ここで用いた劣化度合いは、720mAhを100%の放電容量として。劣化度合い(%)=100−保存後の放電容量とした。
【0029】
【表1】

【0030】表1において、前記高温保存時間の増加に伴ない、電池の放電容量と、定電流充電時の充電容量は直線的に減少することがわかる。これより、定電流充電時の充電容量から二次電池の劣化度合いを推定できることを見出した。
【0031】また、本実施例では、電池容量と定電流充電時の充電容量との対応表から二次電池の劣化度合いを推定したが、逆に、前記電池容量と前記定電流充電容量との関係式を求め、この関係式から劣化度合いを推定することもできる。
【0032】更に、定電流充電時の充電容量以外に、定電流時の所定電圧に到達するまでの充電時間からも二次電池の劣化度合いを推定できることは言うまでもない。
【0033】(実施例2)前述の実施例1では、85℃で3週間までの保存試験を行ったが、本実施例では更に2ヶ月までの保存試験を行い、本発明の検知方法の評価を行った。
【0034】本実施例で使用した被検電池は前記実施例1で使用したものと同じ型式のものを使用し、また試験方法は、85℃での保存時間の設定以外は、実施例1と同一とした。
【0035】85℃での保存を経た試験電池の、放電試験の結果を図3に示した。図3において、縦軸は電圧、横軸は放電容量である。図3より、保存時間が1ヶ月、2ヶ月では非常に劣化が進み、電池容量が公称電池容量の半分近くになることを確認した。
【0036】また、前記実施例1での評価と同じく、定電流定電圧充電における定電圧充電時の電流と充電時間の関係を図4に記載した。充電モードは、まず500mAの定電流で充電を行い、電池電圧が4.1Vに到達したところで定電圧モードに切り替えた。この切り替えた時を時間0として、4.1Vの電圧印加中に電池に流れる電流を測定した。図4では、この電流値を縦軸に、またその時間を横軸に示した。
【0037】図4において、充電行程において、定電流充電から定電圧充電モードに切り替えた直後に、電流の急激なドロップが現れ、これが試験電池の高温保存時間に対応していることが判明した。
【0038】表2に二次電池の劣化度合い、電池容量及び電圧降下量の関係を記載した。ここで用いた劣化度合いは、劣化度合い(%)=100−電池容量、として計算したものである。
【0039】
【表2】

【0040】表2より、保存時間の増加と伴に、電池の放電容量が低下し、この時、上述の通り、充電時の定電流から定電圧充電に切り替わった直後の電流降下量が増加することを見出した。この現象を利用すると、定電圧充電時の電流降下量から二次電池の劣化度合いが推定できる。
【0041】また、本実施例では、電池容量と定電圧充電時の電流降下量との対応表から二次電池の劣化度合いを推定したが、前記電池容量と前記定電圧充電時の電流降下量との関係式を求め、この関係式から二次電池の劣化度合いを推定することも可能である。
【0042】(実施例3)被検電池の劣化を促進させるため、85℃の雰囲気中で、0時間、1週間、2週間、3週間の合計4種類の高温保存を行った。これらの電池に対し、本発明による二次電池の劣化検出測定を行い、本発明の検出方法の有効性を検証した。評価方法を以下に示す。
【0043】被検電池は前記実施例1及び2において使用したものと同一のものを用いた。充電条件は本電池の推奨充電方法である定電流−定電圧充電法に従い、定電流500mAを通電し、定電圧4.1Vに達したところで定電圧4.1Vに維持するという方法で合計2時間で充電終了とし、この状態を電池残存容量100%とした。高温保存は、電池残存容量100%の状態で85℃で保存し、保存時間は0時間、1週間、2週間、3週間の計4種類の時間で行った。
【0044】次に、上述の保存終了後、各電池に対して放電を行った。放電方法は、上述の保存を経た各電池に対して、144mAの定電流で放電を行い、3.0Vの放電停止電圧までの容量を測定した。以上の放電試験は20℃の恒温槽内で行った。
【0045】以上の行程を経た被検電池に対して、定電流定電圧充電を行った。この充電行程における定電圧充電時の電流変化を図5に記載した。図5の横軸には充電時間を、縦軸には電流を示した。
【0046】図5に示したように、定電圧充電時の電流値は定電圧充電時間に伴い減少していくが、電流挙動は電池の高温保存時間つまり、劣化度合いに対応していることが分かる。定電圧充電時に被検電池に流れる電流の時間変化率をΔIとし、これと劣化度合いの関係を表3に示した。前記ΔIは、ΔI=(I1−I2)/(t1−t2)、により求めた。ここで、I1及びI2はそれぞれ定電圧充電時間t1及びt2後の電流値である。
【0047】
【表3】

【0048】表3において、保存期間の増加に伴い電流変化率ΔIは減少していき、劣化度合いは電流変化率ΔIに比例して増加することが判明した。この結果により、定電流定電圧充電行程において、定電流充電後の定電圧充電時の電流の時間変化率ΔIから二次電池の劣化度合いを検知することが出来る。
【0049】また、本実施例では、電池容量と定電圧充電時の電流変化率との関係式から二次電池の劣化度合いを推定したが、前記電池容量と前記定電圧充電時の電流変化率との対応表を求め、この関係式から二次電池の劣化度合いを推定できる。
【0050】(実施例4)以上の実施例では、被検電池を高温雰囲気に長時間置くことにより、電池の劣化を加速させ、これに対して本発明の検知方法が有効であることを示した。
【0051】次に、本実施例では、充放電サイクルによる電池の劣化に対する本発明の検知方法の有用性を示す。
【0052】劣化を促進させるため以下の方法で充放電サイクル試験を実施し、1サイクル、200サイクル、1200サイクルの合計3種類の充放電サイクルを経過した被検電池に対し、本願による二次電池の劣化検出測定を行い、その妥当性を検証した。測定方法を以下に示す。
【0053】被検電池は前記実施例1及び2において使用したものと同一のものを用いた。充電条件は本電池の推奨充電方法である定電流−定電圧充電法に従い、定電流500mAを通電し、定電圧4.1Vに達したところで定電圧4.1Vに維持するという方法で合計2時間で充電終了とし、この状態を電池残存容量100%とした。本実施例での電池試験は全て20℃の恒温槽で行った。
【0054】上述の充放電サイクルにおける、1サイクル目、200サイクル目、1200サイクル目の放電試験の結果を図6に示した。図6において、縦軸は電圧、横軸は放電容量である。図6より、充放電のサイクルが進むにつれて、電池の放電容量が徐々に減少することが示された。
【0055】次に、1サイクル目、200サイクル目、1200サイクル目の充電試験の結果を図7に示した。図7において、縦軸は電圧、横軸は定電流充電時の充電容量を720mAhを100%として%で示した。図7より、サイクル数が増加していくに伴い、定電流充電時の電圧の立ち上がりが大きくなり、より早期に定電流から定電圧充電に切り替わることが判明した。この結果により、充放電サイクルを経た電池に、上述の定電流定電圧充電を行うと、定電流充電時の充電時間つまり充電容量が徐々に減少することが確認された。
【0056】充放電のサイクル数、放電容量と劣化の度合い、及び、定電流定電圧充電における定電流充電時の充電容量と定電圧充電時の充電容量を表4に記載した。ここで用いた劣化度合いは、劣化度合い(%)=100−電池容量、として計算したものである。
【0057】
【表4】

【0058】表4において、充放電のサイクルが多くなるにつれて、放電容量と定電流充電時の充電容量が減少することが判る。この結果により、本発明の検知方法である、定電流充電時の充電容量から二次電池の劣化度合いを検知することの妥当性を示すことが出来た。
【0059】(実施例5)本実施例では、請求項5記載の検出方法の妥当性を検証した。試験電池はリチウムイオン電池(上限電圧4.1V、下限電圧3.0V、電池容量720mAh)を用い、被検電池の劣化を促進させるため、85℃の雰囲気中で保存した。電池の保存は、残存容量100%の状態で、85℃の環境温度で1ヶ月及び2ヶ月間放置した。
【0060】以上の保存が終了した後、電池の充放電試験を行い、容量劣化の度合いを確認した。充電条件は本電池の充電方法である定電流定電圧充電法に従った。定電流充電後の定電圧充電は、電池の閉路電圧を4.1Vで維持し、定電流および定電圧充電併せて、合計2時間の充電で充電終了とした。放電条件は144mAの定電流モードで行い、放電停止電圧はすべて共通の3.0Vとした。以上の充放電試験は20℃の恒温槽で行った。
【0061】放電試験の結果を図3に示した。第3図において、縦軸は電圧、横軸は放電容量である。第3図より、保存時間が長くなるのに伴い劣化が進むことが確認された。
【0062】以上記載の高温保存を行った電池を用い、以下のプロセスに従い、請求項5記載の電池の劣化の度合いの検出方法を評価した。まず、上記の方法で1ヶ月および2ヶ月間の高温保存を行った被検電池を、500mAの定電流で充電し、被検電池の閉路電圧が4.1Vとなったところで、4.1Vの定電圧充電モードに切り替えた。定電圧充電の開始後、100秒経たとき、被検電池に流れている電流値Iv(100秒)を測定し、その値を表5に記載した。表5では、被検電池の保存期間、保存後の電池容量、劣化度合いを併せて記載した。ここで用いた劣化度合いは、劣化度合い(%)=100−電池容量(%)として計算したものである。
【0063】
【表5】

【0064】表5より、被検電池は、高温保存の期間と共に劣化が進み、同時にIv(100秒)が減少することが判明した。つまり、このIv(100秒)を測定することにより、被検電池の劣化度合いを検出することが可能であることを見出した。劣化の度合いを定量化するためには、例えば、実際にIvを測定し、これを予め定めたIv−劣化度対応表と照合することで行うことが出来る。
【0065】以上のプロセスでは、定電流定電圧充電の際の定電流モードを500mAで行ったが、同じプロセスを1500mAで行い、定電圧充電モードに切り替わった後の、被検電池に流れる電流値を測定した。その結果を図8に記載した。この測定で使用した被検電池は、上述の高温保存を2か月行ったものである。第8図において、定電流充電から定電圧充電に切り替えた後、電流ドロップが現れるが、その後の電流値は、定電流充電の電流値の差によらず一定値を示した。この結果により、本測定で得られる劣化度合いの値は、定電流充電の通電電流の値による影響が無いものであることを確認した。
【0066】また本実施例では、電池容量と定電圧充電時の電流値との対応表から二次電池の劣化度合いを推定したが、前記電池容量と前記定電圧充電時の電流値との関係式を求め、この関係式から二次電池の劣化度合いを推定できる。
【0067】本実施例では、高温保存による劣化について示したが、充放電サイクルによる劣化についても同様のことが言える。
【0068】以上の実施例では、本発明の検出方法について示したが、この検出手段を二次電池の充電器に内蔵することにより、個々の電池の状態により充電方法の最適制御を行うことが出来る。
【0069】
【発明の効果】以上の実施例から明らかなように、本発明によれば、通常想定される電池の劣化モード、つまり高温保存と充放電サイクルにより劣化を起こした電池の劣化度合いを、高精度に検知することができる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月23日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】滝本 智之 (外1名)
【公開番号】 特開平11−271408
【公開日】 平成11年(1999)10月8日
【出願番号】 特願平10−73810