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【発明の名称】 半導体装置の故障解析方法および半導体装置不良解析装置
【発明者】 【氏名】鈴木 智史

【要約】 【課題】リーク箇所の定量的温度分布を確認すること。

【解決手段】表面に液晶を塗布した半導体装置を、液晶の相転移温度よりも低い第1の温度T1に維持する。そして、半導体装置に電圧を印加して、液晶の相転移発生箇所をモニタする。引き続いて、表面に液晶を塗布した半導体装置を、液晶の相転移温度よりも低く、かつ、第1の温度T1と異なる第2の温度T2に維持する。そして、再び、半導体装置に電圧を印加して、液晶の相転移発生箇所をモニタする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 半導体装置の表面に液晶を塗布し、該液晶の相転移現象を利用して前記半導体装置の故障を解析する方法であって、表面に前記液晶を塗布した半導体装置を、前記液晶の相転移温度よりも低い第1の温度に維持する工程と、前記半導体装置に電圧を印加して、前記液晶の相転移発生箇所をモニタする工程と、表面に前記液晶を塗布した半導体装置を、前記液晶の相転移温度よりも低く、かつ、前記第1の温度と異なる第2の温度に維持する工程と、前記半導体装置に電圧を印加して、前記液晶の相転移発生箇所をモニタする工程と、を少なくとも含む半導体装置の故障解析方法。
【請求項2】 請求項1に記載の半導体装置の故障解析方法であって、前記第1の温度は、前記第2の温度より低い温度であるとして、前記第1の温度において前記液晶の相転移が発生していた第1の箇所は、前記第2の温度において前記液晶の相転移が発生していた箇所であって前記第1の温度においては前記相転移が発生していなかった第2の箇所よりも故障要因の高い箇所であると判定することを特徴とする半導体装置の故障解析方法。
【請求項3】 半導体装置の表面に液晶を塗布し、該液晶の相転移現象を利用して前記半導体装置の故障を解析する方法であって、a)表面に前記液晶を塗布した半導体装置を、前記液晶の相転移温度よりも低い複数の温度の内から選択された一の温度に維持し、b)前記半導体装置に電圧を印加して、前記液晶の相転移発生箇所をモニタし、c)前記a)及びb)の工程を前記選択された温度を変更しながら、少なくとも2回繰り返すことを特徴とする半導体装置の故障解析方法。
【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の半導体装置の故障解析方法であって、前記液晶の相転移温度が40℃であることを特徴とする半導体装置の故障解析方法。
【請求項5】 半導体装置の表面に液晶を塗布し、所定温度を越えることにより該液晶に生じる相転移現象を利用して、前記半導体装置の故障箇所を温度に基づいて解析する半導体装置の故障解析方法であって、前記所定温度よりも低い複数の温度から選択される一の温度雰囲気中で、前記半導体装置に対して電圧を供給して当該半導体装置を駆動し、前記液晶に相転移箇所が発生しているか否かを観察し、これを前記一の温度を前記複数の温度から選択される他の温度雰囲気中でも行ない、観察結果を比較することにより、前記半導体装置の故障箇所を特定することを特徴とする半導体装置の故障解析方法。
【請求項6】 半導体装置の表面に液晶を塗布し、該液晶の相転移現象を利用して前記半導体装置の故障を解析する不良解析装置において、前記半導体装置に熱印加を可能とするヒータ部と、該ヒータ部のヒータ温度を精密に段階的にコントロールする温度制御装置と、前記半導体装置の不良状態を再現させるために前記半導体装置に電圧を印加する電圧印加装置と、前記液晶の相転移発生箇所をモニタするモニタ手段とを有し、前記半導体装置の発熱部の温度分布を定量的にモニタできる事を特徴とする半導体装置不良解析装置。
【請求項7】 前記モニタ手段は、前記半導体装置の観察を可能とする光学式顕微鏡を含む、請求項6に記載の半導体装置不良解析装置。
【請求項8】 前記モニタ手段は、前記液晶の相転移状態を知ることを可能とするための2枚の偏光板を含む、請求項7に記載の半導体装置不良解析装置。
【請求項9】 前記温度制御装置は、0.01℃の精度で温度制御を行う、請求項6に記載の半導体装置不良解析装置。
【請求項10】 前記温度制御装置は、前記ヒータ部のヒータ温度を前記液晶の相転移温度よりも低い複数の温度の1つに維持する、請求項6に記載の半導体装置不良解析装置。
【請求項11】 前記液晶の相転移温度が40℃である、請求項10に記載の半導体装置不良解析装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体不良解析技術に関し、特に半導体内部の発熱源を調査するための調査手法に関する。
【0002】
【従来の技術】LSI(大規模集積回路)の故障を解析する上において、チップ内の異常発熱箇所を検出することは重要である。このような異常発熱箇所を検出する有効な方法として、半導体素子の表面に液晶を塗布して、その相転移を観察する液晶塗布法が知られている。詳述すると、この液晶塗布法では、まず、半導体素子の表面に液晶を塗布し、その上で、当該半導体素子に電圧を印加することによって不良箇所を発熱させる。このような発熱が生じると液晶の相転移現象が発生することとなるため、液晶塗布法では、これを利用して、その相転移現象が発生した箇所を偏光顕微鏡等のアナライザを介することにより、不良箇所を見出すこととしている。
【0003】そのような液晶塗布法を実現する装置として、特開平2−107980(以下、先行技術1と呼ぶ)には、数十μWという微小リーク箇所の検出、安定した観察が可能であるとともに、持ち運びができる「半導体素子不良解析装置」が開示されている。この先行技術1では、恒温ブロックを液晶の相転移温度直前まで加熱し、半導体に電圧印加した際、異常部の発熱により液晶の相転移発生箇所をモニタすることにより、不良解析を実施している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の不良解析方法では、次に述べるような問題点がある。すなわち、従来の液晶塗布法による不良解析方法においては、リーク箇所の定量的温度分布を確認できないことから、LSIのリーク不良解析時に複数の不良箇所がある場合、ポイントごとのリーク電流量を確認することができないという問題が生じていた。
【0005】そこで、本発明は、半導体装置の不良解析において、異常発熱特性を定量的に扱い、不良原因の究明に役立てることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を達成するために次のような解決手段を提供する。
【0007】すなわち、本発明による第1の半導体装置の故障解析方法は、半導体装置の表面に液晶を塗布し、該液晶の相転移現象を利用して前記半導体装置の故障を解析する方法であって、表面に前記液晶を塗布した半導体装置を、前記液晶の相転移温度よりも低い第1の温度に維持する工程と、前記半導体装置に電圧を印加して、前記液晶の相転移発生箇所をモニタする工程と、表面に前記液晶を塗布した半導体装置を、前記液晶の相転移温度よりも低く、かつ、前記第1の温度と異なる第2の温度に維持する工程と、前記半導体装置に電圧を印加して、前記液晶の相転移発生箇所をモニタする工程と、を少なくとも含む。
【0008】また、本発明による第2の半導体装置の故障解析方法は、半導体装置の表面に液晶を塗布し、該液晶の相転移現象を利用して前記半導体装置の故障を解析する方法であって、a)表面に前記液晶を塗布した半導体装置を、前記液晶の相転移温度よりも低い複数の温度の中の1つに維持し、b)前記半導体装置に電圧を印加して、前記液晶の相転移発生箇所をモニタし、c)前記a)及びb)の工程を少なくとも2回繰り返すことを特徴とする。
【0009】更に、本発明による半導体装置不良解析装置は、半導体装置の表面に液晶を塗布し、該液晶の相転移現象を利用して前記半導体装置の故障を解析する不良解析装置において、前記半導体装置に熱印加を可能とするヒータ部と、該ヒータ部のヒータ温度を精密に段階的にコントロールする温度制御装置と、前記半導体装置の不良状態を再現させるために前記半導体装置に電圧を印加する電圧印加装置と、前記液晶の相転移発生箇所をモニタするモニタ手段とを有し、前記半導体装置の発熱部の温度分布を定量的にモニタできる事を特徴とする。
【0010】このような故障解析方法又は不良解析装置を採用すれば、相転移温度直前に半導体表面温度を維持する必要が、必ずしもないため、作業準備が容易となる。
【0011】たとえば、LSIチップ等の半導体装置の表面に液晶を塗布後、LSIチップの電源をオンし、その後、ヒーター温度Tを常温(Ta=25℃)から徐々に約50℃まで上げていく。
【0012】その間、ヒーター温度Tの変化に伴う液晶相転移面積を連続的に/離散的にモニタし、温度差に対する面積差からリーク箇所等の故障箇所の温度分布を定量的に算出する。
【0013】これにより、故障箇所の分布を定量的に得ることが出来ると共に、半導体装置を取り巻く雰囲気を所定の一の温度のみに維持しなければならないといった技術上の煩雑さを取り除くことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】図1および図2を参照して、本発明の一実施の形態に係る半導体装置の故障解析方法について説明する。
【0016】本発明では、表面に液晶が塗布された半導体装置(図示せず)の不良解析を、次に述べる不良解析装置(図示せず)を使用して行う。ここで、不良解析装置は、上記半導体装置に熱印加を可能とするヒータ部と、このヒータ部のヒータ温度を精密に段階的にコントロールする温度制御装置と、半導体装置の不良状態を再現させるために半導体装置に電圧を印加するための電圧印加装置と、上記半導体装置の観察を可能とする光学式顕微鏡装置と、液晶の相転移状態を知ることを可能とするための2枚の偏光板とを有している。
【0017】図1及び図2は、夫々、この不良解析装置で半導体装置の不良を解析したときの一例を示す図であり、互いに、ヒータ部の温度、即ち、半導体装置の存する雰囲気中の温度をT1又はT2とした場合の図である。特に、図1(a)及び図2(a)は、当該半導体装置状の温度分布を示した図であり、横軸に半導体装置上の位置を、縦軸に温度Tを示したものである。図1(a)及び図2(a)における熱分布は、夫々、図1(b)及び図2(b)に示される一点鎖線上の位置に基づくものである。図1(a)及び図2(a)において、液晶の相転移温度は、破線で示されている。図1(b)及び図2(b)は、当該半導体装置を光学式顕微鏡装置及び2枚の偏光板を使って熱発生個所の観察を観察したときの状態を示す図であり、熱発生個所は、黒点で生じされる。
【0018】以下、試料として、不具合のある半導体装置(以下、不具合半導体装置と呼ぶ)を用いた場合において、以下にして故障箇所の解析を行なうかにおいて、説明する。
【0019】まず、温度制御装置によりヒータ部のヒータ温度を制御することにより、不具合半導体装置が置かれる温度、又は不具合半導体装置を取り巻く雰囲気の温度を図1に示されるように、上記液晶LCの相転移温度よりも低い第1の温度T1に維持する。この状態で、電圧印加装置を用いて、異常発熱が発生するような電圧を不具合半導体装置に印加する、即ち、不具合半導体装置に対して電圧を供給して当該不具合半導体装置を稼動する。この電圧供給の結果、発熱を伴うような故障を有する箇所のみが、当該故障を有しない箇所よりも大きく温度上昇する。図1(a)の参照符号1,2,3,および4で示す個所が他と比較して熱を発生している個所である。図1(a)より、温度上昇により液晶の相転移温度に達したものは、参照符号4で示される個所のみなので、光学式顕微鏡装置で不具合半導体装置を観察すると、図1(b)に示すように、図1(a)の参照符号4に対応する箇所P4だけが黒くみえる。
【0020】この状態から、温度制御装置のコントロールの下でヒータ部のヒータ温度Tを、図2(a)に示すように、第1の温度T1から液晶の相転移温度に近いが、その相転移温度よりも低い第2の温度T2まで引き上げる。この状態で、前述したのと同様に、電圧印加装置を用いて、異常発熱が発生するような電圧を不具合半導体装置に印加する。この結果、図1(a)の参照符号1,2,3,および4の夫々の個所において、図2(a)に参照符号1’,2’,3’,及び4’で示す状態まで、液晶の相転移温度以上に温度が上昇する。これを光学式顕微鏡装置で観察すると、図2(b)に示すように、図2(a)において参照符号1’〜4’で示される箇所に対応する個所P1,P2,P3,およびP4’が黒点として見える。
【0021】尚、図2(b)に示す状態は、ヒータ部制御により温度をT2に制御した時点で観察されたものであることに注意されたい。詳述すると、ヒータ部制御による温度がT1であった際には、P4のみが黒点表示されており、そこから温度をT2まで上昇させていくにつれて、順番にP3、P2、P1が黒点表示されることとなっている。これらのことは、図1(a)及び図2(a)を併せて参照するとより良く理解できる。また、この過程で最も早く黒点表示されたP4は、ヒータ部温度による温度Tの上昇と共に、相転移温度を超える温度分布が広がることとなり、結果としてP4’に示されるように、もっとも大きい面積の黒点として確認される。
【0022】上述した観測結果から次のことが分かる。すなわち、不具合半導体装置の温度を第1の温度T1にした際に黒点を観察できたのは、図1(b)のP4で示す箇所、すなわち、図2(b)のP4’で示す箇所のみであるので、この箇所が不具合半導体装置の最も温度上昇の高い箇所であることが分かる。
【0023】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。
【0024】周知のように、ゲートアレイに代表されるCMOSトランジスタは低消費電力を特徴とする。しかし、ゲート酸化膜が破壊する等の不良が発生した場合、リーク電流が発生し、これが電力を発生させ、CMOSトランジスタの温度を上昇させる。
【0025】よって異常温度発生箇所を検出するのは不良解析の上で重要である。
【0026】半導体素子であるCMOSトランジスタの表面に、40℃で相転移を起こす液晶を塗布した。そして、このCMOSトランジスタに1Vの電圧を印加下したところ、100μAのリーク電流が発生した。このケースにおいては、0.1℃の温度上昇を発生した。この解析において、0.01℃の温度制御を行い、発熱箇所を特定した。
【0027】尚、本発明は、上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を脱逸脱しない範囲内で種々の変更が可能なのはいうまでもない。たとえば、上述した実施の形態では、温度を2段階にしか切り換えていないが、3段階以上に切り換えてもよいのは勿論である。また、上述した実施の形態では、モニタ手段として、光学式顕微鏡装置と2枚の偏光板とを使用していが、他のモニタ手段を使用しても良いのは勿論である。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明には次に述べるような効果がある。
【0029】第1の効果は、複数のリーク不良箇所を持つLSI等の半導体装置に対し、不良ポイントごとの定量的リーク量が明確となる。その理由は、不良ポイントごとの温度分布が明確になる為である。
【0030】第2の効果は、複数のリーク不良箇所を持つLSI等の半導体装置に対し、主不良箇所の特定化が明確となる。その理由は、不良ポイントごとのリーク量が明確となるからである。
【出願人】 【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 洋介 (外1名)
【公開番号】 特開平11−271388
【公開日】 平成11年(1999)10月8日
【出願番号】 特願平10−77148